+難しい方面の話

761 エァプルの発表を待ちながら、今さら「PSE騒動」を回顧しつつ、ホワイトリスト問題について説明

どうも皆様。また2.5Ghz関連とは違う話題です。


◆待っている理由

もうちょっとしたら、スティーブジョブスという人がアメリカで面白いことをいう行事があって、それで日本のほうでも色々と悲喜こもごもになる筈です。そして、予想される発表の中には、このブログ的なネタもあるであろうことから、すぐ記事を書くつもりで準備しておりました。

しかし、発表時間を私に教えた奴がインチキ時間を教えてしまっていたため、執筆しようと思ったところスティーブジョブスがオモロイ事をいう行事はまだこれからだったということで、しょうがないので別のネタを書いてみたいと思います。

従来とは毛色の違うネタですが、それなりに面白いはずです。そして、一見脱線に見えて、最終的には携帯っぽいネタにも接続します。


◆改正されたPSE法が施行されたらしい

数年前になりますか、PSE法というもので結構な騒動になったことがありました。あれの改正版が2007年末にとうとう施行状態になったようです。

電気安全なんたらの法律でPSEマークを取っていない機器は販売まかりならんということになり、そして古い機器の中古販売などが事実上できなくなってしまうという法律でした。ネットで火がついて大騒ぎになり、最終的に国のすることが代わってしまったという意味でも、結構注目すべき事件でした。

「ビンテージ機器殲滅法案」とでもいいましょうか、電子楽器やゲーム機などの中古販売がPSEマーク無しでは無理、となりまして、反対意見が爆発し中古楽器関係などでは一部投売り現象が発生したりもしました。

私は騒動が大規模化したのを見て、これは撤回されるだろうと確信しましたので、投売りになっている機器を買い占めて後に再放出すれば儲かるチャンスではないかとすら思いました。そして実際そのようでした。

お役人は一度決めた事を無しにすると誰かの責任問題になって嫌なのでしょうか、最初は一部電子楽器等をホワイトリスト方式で公認ビンテージにし、それらを例外扱いにして大勢を維持しようとしましたが、いかにも批判かわしの小細工であるので世間に怒られ、結局は常識的なところに落ち着いた・・筈であると聞いています(もしそうじゃなかったら教えてください)。

2.5Ghz割り当ての際にもこの騒動の事を少し思い返してみたりはしておりました。ただしPSE騒動では失敗が話題の種でしたが、2.5Ghzの割り当てにおいては総務省がちゃんと対応するか(あるいはそれぞれの人がそのようの思えるかどうか)どうかがポイントでしたが。


◆公認ビンテージ機器リストを見て遊ぶ

以上は長い枕でして、結局お流れになった「公認ビンテージ機器リスト」のことを書いてみようと思った次第です。これも実はブログに投稿しようと思っていた事もあるネタでした。

そもそも手法自体があまり褒められた方法ではなかったのですが、「公認ビンテージ機器リスト」に掲載されている機器名がなんとも変な感じで、それでも怒られておりました。

役所の作った一覧表(PDF注意)
http://www.meti.go.jp/press/20060330004/vintage-list-set.pdf

電子楽器のことを知っている人が見たら何かよく解らんことになっていると思うのではないかというリストです。有名なところ、たとえばRolandやYAMAHAで話をすると一番良いのですが何せリストが長いので(一度説明しようとしてあまりに長くなって挫折した)、説明にちょうど良いKAWAIを引用し、さらに一部について説明をしてみたいと思います。

載っているものを全て引っ張ってくると、掲載数だけからしても明らかに少なすぎる以下のとおりになります。

K1II / K1r / K3 / K4 / K5000R / MAV-8 / MIDI Key II / MP9500 / Q-80 / Q-80 EX / XD-5 / XS-1 / EQ-8

全部の機材について説明するときりが無いので(そして私も全てすっかりわからないので)、メインストリーム?と思えるあたりについて説明(というか羅列だけ)をしたいと思います。つまり、以下の説明に出てくるもので全てではありません。


◆KAWAIの電子楽器の歴史(なぜか)

以下、大半の人はほとんど意味がわからないと思いますが、斜め読みしてください。実のところ以下の説明もそんなに詳しいわけでもありませんが(思いっきり割愛もしました)。

大まかに言って、K3系→K5系→K1系→K4系→K11系(GMega)→K5000系という流れがKAWAIのシンセサイザーの歴史です。

"K3"はデジタル化したアナログシンセでした。KORGのDW8000などと同じような設計で、アナログシンセの処理の前段(波形を出す部分)をデジタル化して、デジタル化の難しいフィルター部分はアナログのままのシンセでした。ヤマハがFM音源帝国を築いている裏側でのシンセでした。鍵盤無しの"K3m"というものがあり、これがまずリストから落ちています。

"K5"は音色の倍音の成分の分量を自分で完全に指定できるという、一種マモノののような機材でした。これも鍵盤無しの"K5m"というものがありました。両方ともリストから抜けています。

次に、フルデジタルなのだがフィルターが無いという変な設計のK1系が発売されます。最初は"K1"と"K1m"が発売され、そして時代の流れが「一台で全部の演奏ができる」という時代になったので、付け焼刃的に改良されたと思われる"K1 II"と"K1r"(鍵盤無しのラック)が発売されます。K1/K1mがリストから落ちています。さらに同じ音源を流用したPHmというものもあったはずですがこれも落ちています。

次に出てきたのが、フルデジタル(PCMで)でかなり効くフィルターを装備したK4でした。これはK4とK4rがあるのですが、K4rがリストから落ちています。さらに同じ音源をバージョンダウンさせて流用の軽量鍵盤のKC10というものも確か出ていますがこれも落ちています。

次に、K4のエンジンをさらに改良したと思われるもので、DTM音源時代に発売されたGMega(DTM音源)と鍵盤のついているK11が発売され、さらにGMegaLXやGMouse、KC20というものも音源流用で出ていたはずです。全部リストにありません。

最後に、波形の倍音成分を独自の感じ(他社のシンセには全くない機構で)でいじったりできる、K5000シリーズが出て、残念ながら撤退となります。最低限、K5000S/K5000W/K5000Rの三種類があるのですが、一つしか載っていません。
そして、K5000は98年くらい?の楽器で結構新しいのですが、他社をみると新しいのが載っていなかったりします。

暗号のような説明が続いてすみませんでしたが、リストのクオリティには相当な問題があることが解っていただけたかと思います。ほとんど話にならないレベルです。

ちなみに、ヤマハやローランドで同じ作業をするとすごい事になります。


◆ホワイトリスト方式の問題点とも言える

思い出してみれば、最近子供の携帯が繋がるサイトを規制したいとかで「許可するサイトにだけ接続できるようにする」という案が出ていますが、許可するものだけOK方式(ホワイトリスト方式)では、こういう駄目な事になっちゃうことがあるという例でもあるのではないかとも思います。

この記事を読まれた方は上記機材の知識は無いと思うのですが、もしあったとしたらこうなります。最初のまま法律が通っていれば、このリストに無いものは事実上販売禁止になっていたわけでして、
「ちょっとまってくれ、なんであの機材を日本から消し去るんだ!」
となっていたことは確実です。

というわけで、今後色々な規制の際に一番しっかりしていると思えるというような理由で「ホワイトリスト方式」が出てくる事があると思うのですが、その時にはこのような事を思い出していただければよいかなと思います。こういう馬鹿馬鹿しい事になりがちであるっていうことです。

ちなみに日本のいろんな規制はこの方式になりがちのようです。困った話です。

頭の隅にあると役に立つ事もあるかもしれません。


補足:

上記の機材の説明部分をもっときちんと読みたいという人がいたら書いても良いかなとも思ったりもしました(あるいは勝手にどこかで始めてしまうかもしれません)。

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868 携帯、四月の増減: ドコモとAUがデッドヒート、「ウィルコムの寸止めの大好調」が続く

携帯電話の四月の加入者の増減が発表されました。
http://www.tca.or.jp/japan/database/daisu/yymm/0604matu.html


結果は、
ドコモ +25万3800
AU +35万3000
ツーカー -13万9900
ボーダフォン +1万2600
ウィルコム +7万8700

モバイルで発表を見てすぐにモバイル経由で記事を投稿するつもりだったのですが、あまりにもいつもどおりだったので断念してしまいまして、結局パソコンからきちんと書いています。


◆ドコモとAUの健闘

携帯電話市場は飽和しつつあると言われて久しいわけですが、ドコモとAUはまだこんなに沢山の新規加入者を得ています。
数値上は一見AUがかなり勝っているように見えますが、ツーカー→AUへの移行には優遇措置があるのでAUは下駄を履いています。しかし、ツーカー解約数の多くがAUの増加に直結しているわけでも無いそうです。
結果としては、ドコモとAUはまあ似たようなものだったというところでしょう。

ボーダフォン(ソフトバンク)は減少こそ免れたものの、ちょっと厳しい状態です。ボーダフォン(ソフトバンク)についてはまた別に記事を書きたいと思います。


◆微妙なウィルコムの健闘

ウィルコムは+7万8700となり、かつての厳しい状況と比べると見違えるようになりました。

ウィルコム(DDIPocket)は、PHSが斜陽になったころはずっと純減、そのあとAirH"で持ち直したあとは微増というような状況でした。
かつてと比べると、毎月コンスタントに8万前後の加入者増というのは見違えるような話です。

しかし、AUやドコモと比べるとまだまだという感じがします。AUやドコモと現在直接競争するわけではありませんが、長期的にはAUやドコモとの位置関係がどうなるか考えなければならないはずですから、このままニッチ市場に留まるのでなければ、現在の純増数は良くないでしょう。

また、8万前後の加入者増というのは、需要の限界というよりウィルコムの受け入れ態勢などの限界でもありましょう。派手なCMを打ち、低価格で新規契約できるようにすれば(ゼロ円端末が無い)、もっともっと増えるはずだろうからです。

慎重だという言い方も出来ましょうが、
・加入者増→無料通話ドミノ→爆発的増加
が期待できるのはもしかしたら他社が無料通話を行えない「今だけ」かもしれないので、慎重になっている場合ではないのかもしれません。

あるいは、慎重になっていないのだけれど、諸般の事情により八万で辛抱せざるを得ないのかもしれません。

好調なことは確かながらどうにも寸止めの感じがします。


◆ウィルコムの加入者数400万突破寸前(あるいはもう超えた?)

四月末で総加入者数が397万600人となったそうで、400万人突破が目前になりました。
連休中の新規加入者が多ければ、現時点でもう突破しているかもしれません。

ほんの少し前まで300万人回復が目標といわれていたそうなのですが、現在の純増のペースでも一年で100万人程度は増加するので、今の寸止め的な好調でも今年度中に500万人に到達するかもしれません。
率にするとすさまじい成長で、そういうわけで携帯他社よりも話題性が大きいというわけです。

500万人で驚いたあとに他社について考えてみると、不調なボーダフォンでも1500万人、ドコモは5000万加入者を超えていたりするわけで、本当の「ウィルコムの好調」がやってくるとしたらこれからまだまだいろいろなことがあるのだろうと思う次第です。

さて、400万人突破のニュースはいつ頃に?

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869 HSDPA後も、ドコモの料金プランに変更なし

既報についてちょっとコメントをしてみたいと思います。


ドコモ、3.5G携帯サービスを7月開始-料金体系は現行と同等
http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK200605050007.html

すでに各方面で同じようなニュースが報じられていますが、「HSDPA開始後、特にFOMAの料金体系の変更はありません」というニュースです。


◆やっぱりPC定額は無い?

やっぱりというか、PC定額の噂は「あのニュース」一回きりでその後ありません。
ドコモとしてはとりあえず「やらない」ということのようですね。

見るからに誤報っぽかったPC定額のニュースでしたが(残念ながら信じちゃった人も多かったようですが)、やっぱり天下のドコモは無茶なことはしないらしく、PC定額どころか「料金体系は今までどおり」だそうです。

もちろん、あのドコモですから資金力に任せてむちゃくちゃな設備投資によってPC定額を開始する可能性は無くああリません。しかし、常識的に考えてそんなことをしてもまったく儲からないので、やっぱり定額は行われなかった。こういう感じです。


◆ドコモは盛んに「3.5世代」と自称している

AUはEV-DO、いわゆる「WIN」のことを「ブロードバンド携帯」と呼んでいましした。
WINが始まったころはブロードバンドという単語がまだ流行の力を持っていたこともあり、なかなか悪くは無い呼び方だったと思います。

一方ドコモのニュースでは今のところ「3.5世代」という単語を頻繁に目にします。
もちろんこのあとサービスインを行うときまでに、マーケティング関係(というか広告代理店かもしれない)が「ドコモ茸」のようなキャンペーン用の何かを思いつくのかもしれませんが、今のところはHSDPAが何かを示す単語として「3.5世代」が使われています。

このまま技術世代の呼称(「3.5世代」)を世間に浸透させるのかどうかちょっと気にしています。
「3.5世代」という呼称はわかりやすいのですが、AUにすぐさま「3.7世代」とやり返されるかもしれません。
(あるいは、AUがもっと考えてその後の「世代の無意味な数値」の無意味な争いになることを避けてAUが自重するかもしれませんが)

もしかすると、利用者からすると結局「なんか速くなったな」程度でしかないので、あるいはここは「ドコモは高速化について特に大きなキャンペーンを打たない」のかもしれません。どうしてかというと、ドコモが何を言っても実はかなり先行しているAUと比較されておしまいだからです。

とすると、「とくにキャンペーンを打たない」のなら、内部用語としての「3.5世代」あなんとなくそのまま説明に使われている現状のままでよいのかもしれません。
つまり、ドコモは商品としての呼び名はつけず、HSDPAという呼び名と「3.5世代」という最低限の説明以外はしないかもしれないということです。

あるいはもしドコモが何か呼び名をつけると、先行しているAUからの「反撃」が予想されますから、現行のEV-DOの2.4メガよりも一見数値上速いことをうまく使って、「ドコモが最新技術を導入してAUは後追い中です」と錯覚させるようなキャンペーンを行う必要があるかもしれません。

まとまりがなくなってしまいましたが、つまり状況としては微妙なのではないかということです。よく考えてみますと「ドコモ茸」も、安い安いと言っているだけであまり具体的なメッセージを含まないCMなので、ああいう感じになるのでしょうか?

かつてのAUの「ブロードバンド携帯(速いですよ)」とか、W定額の「定額なだけではなくてこんなに安い定額です」、「着歌フルをどんどんダウンロードして楽しいです」と、AUのほうが具体的アピールなのはやはりリードがあるからでしょう。
そういう意味ではボーダフォンのLOVE定額なんかも「実に具体的」です。


◆ドコモがHSDPAですること

HSDPAはPC定額を行うには荷が重過ぎるのですが、電話機単体(ハンドセット単体)にとってはある程度十分な能力があります。

ドコモがHSDPAで何をするかですが、思いつくものを書いてみると、
・AUと同じく着歌をはじめる
・新サービスは始めない
・関係ありそうで関係ないサービスをHSDPAならでは新サービスだと銘打つ

まず一つ目ですが、着歌はAUが利益をあげているわけで、真似をすれば儲かるだろうというわかりやすい話です。次は、特に目立った新サービスはしないという予想です。これは、AUよりも加入者数が多いうえに第三世代で無理をして定額をしてきたドコモが一息つくために使うという予想です。

三つ目は、HSDPAゆえの新サービスであるというようなCMが打たれるにもかかわらず、冷静に考えてみると実はあまり関係ない(3.5世代である必要性は無い)そういう新サービスが出てくるという予想です。
これからワンセグや決済関係の新サービスなどは出てくるかもしれませんが、その場合もHSDPAの恩恵が無ければできないような転送量の多い新サービスはなかなか少ないはずですが、そこを無理やり関係があるかのようにサービスするという新サービスという予想です。

3.5世代ではAUがやった以上のことはなかなか出てこないだろうと思います。


◆本当に影響を受けるのは

ここまでの感じでわかるとおり、AUはなおも技術的な優位があるのでドコモが新しいことをしても対処する能力があります。

問題なのはソフトバンクと新規参入各社です。
ドコモもAUが両方とも当然のようにサービスをしている、となると新規参入も真似をしなくてはならなくなってつらいわけです。これがドコモもAUの片方だけならば、まだ「やらない」理由が残りますが、両方となるとつらいでしょう。

当ブログでは新規参入が厳しいことになると予想しているわけですが、ドコモがHSDPAで行うこと次第では、また厳しい材料が増えそうです。

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870 ソフトバンクが1.7Ghz帯を返納

久しぶりに更新になってすみません。
いやー、本当に忙しいんですよ。


◆ソフトバンクが1.7Ghzをギブアップの理由

ソフトバンクの1.7Ghzがどうなるのだろうか、ということについては当ブログでもボーダフォン買収のニュースの時からいろいろ書いていますけれど、結論としては「返します」ってことだそうです。
私は1.7Ghzでのサービスとの両立は無理だと見ていましたが、もうちょっとゴネると思っていました。あっさり返却に決まってしまって驚いています。

ボーダフォン買収のニュースが流れた時には、マスコミは勝手にわくわくするようなニュースという体で報道をしていましたが、よくよく考えてみるとあちこち不可解な買収である事はすでに記事にしています。
読んでいない人、あまりにも記事を書かないので(すみません・・・)私が過去に何を書いたか忘れた人は、昔の記事を読んでみてください。


ボーダフォン買収は以前から計画されたものではないと見られる事で、文字通り急に決まったとみられること。そして、ボーダフォンとソフトバンクの協力なんてニュースが出ていたけれど、協力できることなど限られているということ。

そしてなにより、巨額買収の意図が良く見えない事。
1500万の加入者を買い取った?わかりますけれども、あまりにも買収金額が高すぎます。
また巨額の借金で買収したので利息が大変な事になっています。ですので、毎年沢山の利益を上げて支払いをしないといけなくなっています。

買収の意図として考えられるのは、
1.何らかの理由で、事業展開を非常に急がなければならなくなった。
2.自前での(1.7Ghz帯での)参入計画が、実のところひどい事になっていたのでもうどうしようもなかった。
マスコミは1.だと報道していたわけですが、どうにも2.じゃないかと思っています。


さて、今回の話。

ボーダフォン買収をしてしまったとしても、1.7Ghzに居座る事は可能でした。
すでに新規参入の為の設備投資を始めてしまっているとか(実際そうでしょうから)、約束どおりサービスインしますから電波は無駄にしません、ということなら返さずに済む理由になります。
あるいは、「返したくない」「返すとなったら損害が出る」などと言い張って、返すにしても何か見返りを得る、何かの交渉で使うよなことも出来たと思います。

ですから、本来すぐに返す必要は無かったと私は思っています。

しかし、このソフトバンクらしくない物分りのよさは一体何でしょう。私は、「1.7Ghzへの新規参入計画を一刻も早く止めてしまいたかった」のではないかと思っています。

返却させられたのではなくて、返却したかった。
あるいはもしかすると、
新規参入計画を止めたいから、ボーダフォンを買収した。
のではないかとさえ思っています。

つまり何かといいますと、携帯電話事業への新規参入は経済誌が書き散らすほど簡単ではないのではないか、ということです。
たしかに携帯電話会社は儲けすぎで、他の業種と比べると競争は無さ過ぎの甘すぎる業界に見えますし、それは事実だと思います。しかし、だからといって新規での参入は容易ではないということでしょう。あるいは、ソフトバンクの技術者があまりにもダメだったのかもしれませんが。


さて、ここで気になるのは他の新規参入各社です。
ボーダフォンからMVNOをするという裏技も使えなくなりましたし、いよいよダメなのではないかという気もするのですが。

ソフトバンクが早々に手をひいてしまったらしい「新規参入」に、うまみは本当にあるのでしょうか?

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873 1.7Ghz帯新規参入が5Mhzで、アイピーモバイルが15Mhz、というのは少し違う

四月一日に書いている記事ですが、ウソじゃありませんので念のため。

メディアで、
「イーアクセスとソフトバンクの周波数割当は5Mhzで、アイピーモバイルは15Mhz」といわれていることが時々ある気がします。

実際これを読んで、どこが間違っているのかわからない人も居る気がするということでちょっと記事を書いてみます。


◆5Mhz?10Mhz?

例えばイーアクセス、5Mhzを割り当てられたと書いている記事があったり、10Mhzと書いてあったりします。
一般の新聞や雑誌の記事はそもそも頻繁に間違っているので、これくらいは気にならないのかもしれないのですが、とりあえず説明は混在しています。

ドコモのFOMAも、15Mhzと書いてあったり、20Mhzや30Mhzや40Mhzといろんな「割当幅」が書かれていることがあります。


さっそく答えを書いてしまいますと、これは何かといいますと、

「下り(基地局→端末)だけで考えているか、下り(基地局→端末)と上り(端末→基地局)を合計しているか」というだけのことなのです。

つまりイーアクセスは、
下り:5Mhz
上り:5Mhz
合計:10Mhz
というだけでした。

まあ、5Mhzと表記するのがよろしい状況です。

ドコモは、
下り:15Mhz(→20Mhz)
上り:15Mhz(→20Mhz)
合計:30Mhz(→40Mhz)

帯域としては20Mhz(40Mhz)割り当てられているのですが、大人の事情で5Mhzは今は使わない事になっています(・・・ですよね?)。

第三世代用の2Ghz帯域はPHSと隣接しているのですが、PHSとCDMAを隣同士に配置すると干渉してしまうので、PHSと周波数が接しているAUの5Mhzが封印される必要があり、AUだけ封印したら不公平なので他社二社も封印されています。

PHSは新しい帯域を用意してもらう代わりに次第に移動する事になっていて、ウィルコムは移動中で、他の二社は消滅するので移動はそのうち終わる、という状況です。

ともかく、5Mhzと10Mhzの表記が混在する理由はそんなところです。


◆アイピーモバイル

そしてアイピーモバイルですが、同じように考えるとアイピーモバイルは30Mhz割り当てられている?と思えるかもしれません、しかしそうではありません。

アイピーモバイルは上下合わせて15Mhzです。

では、7.5Mhzなのか?と言われれば、それもちょっと違います。

アイピーモバイルはTD-CDMAという技術を使う予定なのですが、これでは上がり帯域と下り帯域が区別されていません。つまり兼用なのです。
TD-CDMAの利点として、上がりが多い時には上がりに沢山帯域を使い、下りが多い時には下りに沢山割り当てるというようなことができるくらいなのです。

というわけで直接比較は出来ないけれど「5Mhzと15Mhzではない」のです。
アイピーモバイルは三倍の帯域をもらっている、なんて思うのは間違いで、しかし7.5Mhzだと思うのも少し違います。

データ通信用として使う場合には、下りが多くて上がりが少ないのが普通ですから(そしてアイピーモバイルは音声通信はサービスしない)、15Mhzの多くの部分は下りとして使われる事になりましょう。
なかなか器用な奴です。


しかしながら、こういう利点もありながらTD-CDMA一族はとりあえず技術として難産しているようなので(CDMA方式を基礎とするには不自然な方式という人もいるようです)、そもそもサービスインが大丈夫なのかという話もあります。

TD-CDMA一族が実際にサービスインしたことはまだありません。さて、使い物になる技術なのかどうか。

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874 PSE騒動で儲けた人が居るのである

久しぶりの更新になって申し訳ないです。
とんでもなく忙しくなっているのですよ。

というわけで短いけど割と面白い話を。


◆PSE騒動

ここしばらく騒ぎになっていた「PSE」ですが、どうやらなし崩し的に無かった事になりそうです。
撤回せずになし崩しに無力化してしまう事で、お上のメンツも傷がつかず、皆も困らないというわけなのでしょう。
ネット経由の話題の広まりが世間を変えたというのも結構面白い事だと思います。


で、本題。

私は、PSE法は撤回されるのではないかと踏んでいました。
というのも、騒動になってしまっていて、明らかに被害をこうむる人たちがいて、そして、社会正義やら時流の面からも全く賛成できないというシロモノだったからです。

役人は事なかれ主義ですから、一度決まった事を覆したくもないのでしょうが、世間的になんかまずいことになってしまうこともするのも嫌なのです。
こういうときに一番楽なのはうやむやにする事ですから、うやむやになるに違いないと思っていました。


PSE法のニュースでいろんな中古品が投売りになっていると聞いて、「これは今買い込んでおけば後で儲かりそうだな」と思ったのですが、私は手持ちが無かった(貧乏とも言う)ので、私自身は何も出来ませんでした。

しかし、やはり同じことを考えた人は居たようで、投売りになっていた中古楽器を買い込んで、値段が元に戻ったところで売って儲けた人が居るようでした。
私もやりたかった、というか私の場合、買い込んだビンテージ楽器にほれ込んでしまって自分の所有にしてしまい、単に散在するだけにもなりそうですが・・


最初、中古楽器だけ対象外にして逃げをうとうとしたあたりが、まさにお役人でした。
撤回したくないし、かといって世間で騒動になった責任も取りたくないので、役人らしい言い訳をしてみたのが「中古楽器の撤回」、しかし、これは逆に怒りに火を注ぐ事になってしまい、
「検査体制の強化方針(がんばっているんだという言い訳)」「事実上先送り(中止もしてないという言い訳)」というお役人の必殺技が二つ炸裂してPSE騒動は一段落つきました。
みっともない話であります。

とは言っても、まだ世間の怒りは収まったわけではないし、とりあえず今は治まっただけでしょうけどね。


そして、投売りになったビンテージを買い込んだ人は儲かったというわけです。
この騒動はビンテージの広告にもなってしまった感があるので、今からかっても値上がりするんじゃないかとさえ思える次第です。


結果としては、かえって中古品の宣伝活動になってしまっただけのような気もしなくありません。

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875 ドコモ必殺の物量作戦が発動?怒涛の基地局整備で力技の定額?それとも?

どうにも忙しくてこまっているブログ主です。
今日はかなり疲労しながら記事を書いていたりします。
記事を書いてお金がもらえるなら良いのになあと思いつつ(そんなことをしたらもっと忙しくなる?)

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ドコモが物量作戦に出るような予感のニュースが立て続けにでてきました。

・基地局大増設
新聞などによりますと、FOMAの基地局を大量に設置するとかで、「2006年度に一兆円弱(9000億円)をかけて基地局1万局」、だそうです。

・帯域追加
そして、東京・名古屋・大阪の人口密集地限定ではありますが、1.7Ghzの免許がドコモにおりました。
東京・名古屋・大阪でドコモは新たに5Mhzの帯域を手にする事になります。
1.7Ghzのサービス開始は6月1日という事になっています。


総務省、ドコモに1.7GHz帯東名阪バンドを割当て
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/28273.html


さて、以前の記事で、
904 Docomoが、PCでのデータ通信定額を実現することが難しい理由

ドコモはHSDPAをサービスインしたとて帯域的にゆとりの無い状況なのですが、基地局を沢山作る(つまり力任せの物量作戦)にでたらどうなるかわかりません、と書きました。

で、なんというか物量作戦が発動しつつのかもしれません。


◆1.7GHz帯東名阪バンド

まず、「1.7GHz帯東名阪バンド」によって、最も混雑すると思われる三大都市圏は、現在の5Mhz×3から5Mhz×4へと利用可能帯域が増えます。実のところ劇的に増えるわけでもありませんが。

あるいは1.7GHzを敢えてHSDPA専用にしてしまうなら、現在の2Ghzの基地局配置をそのままにしたまま(つまり今の基地局を調整したりする苦労をせずに)HSDPAを始められる事になります。
(だけれど、電波特性の良い1.7GHzをHSDPAだけに使ってしまうのはもったいない気がしますが)

つまり、ドコモはHSDPA専用帯域を用意できるかもしれないという事です。


◆巨額投資

一兆円弱(9000億円)をかけて、基地局を一万局増設だそうです。しかも、2006年度だけで。

ボーダフォンの買収予算が一兆7500億円で、あのソフトバンクですら資金調達に困る金額だったわけですが、ドコモは何事も無くFOMAに一兆円の新規設備投資をするわけです。ドコモは儲かっているにもほどがありますね。

巨額な総額に目が行きますが、基地局一箇所あたりの価格もなかなかです。
約一兆円でおよそ一万局なのですから、なんと一箇所あたり一億円という事になります。
はっきりとマクロセル(大きなセルサイズ)で基地局を設置しているAUと違い、FOMAはセルサイズを小さくしているとは言われますが、この金額を見る限り、基地局を多いけれど基地局が安いわけでは無さそうです。


基地局の多さを特徴とするウィルコムの基地局は数百万円程度だと言われますし(他に余分な費用がかかったとしても一千万円はかからないでしょう)、ウィルコムの小型基地局やナノセルは百万円を切っているとも聞きますから、ウィルコムに換算すると・・・もしかするとウィルコムの今稼動している基地局全ての設置にかかった費用よりも高いのではないでしょうか・・・ドコモのたった一年分で。

ドコモの資金力は恐ろしいですね。

◆理由

ドコモが基地局を整備しなければならない理由を考えてみます。

・純粋なエリア展開のため。地方、つまり田舎でのエリアの広さで定評のあるmova(ドコモの第二世代)に比べると、まだまだ基地局が足りないという話です。

・収容能力を上げるための基地局の増設。すでにカバーしているところの基地局の密度を増やして(つまりマイクロセルに近づけて)混雑に強くするための増設。

・FOMAの深刻な問題のひとつである、「都市部でスポット的に通信できない」「建物の中で圏外になる」などの対策の為に、都市部でスポット的なエリアカバーを行う基地局の設置。

・HSDPA基地局の増設(これは既存基地局のHSDPA化でも賄えるとは思いますが)。

これ以外に、通信方式が旧式の基地局を取り潰して(初期の規格で作られている基地局は問題があるそうなので)作り直すなんて話もあると思います。

前向きの話題ばかりではないのもポイントです。FOMAの問題点を力技で解消するためでもあるわけです。


ドコモはこれまでにFOMAの基地局を設置費用だけで何兆円も使っているので(当然他の費用も沢山あるわけです)、一体どれだけお金を使えばFOMAは圏外が多いといわれなくなるのやら、という感じでもあります。
基地局の整備費用をそこそこに抑えながら、高品質のサービスを提供する事に成功しているAUとはかなり対照的です。

技術とノウハウがあるはずであり、長年W-CDMAに取り組んでいて、とんでもない資金力がある、いわばW-CDMA陣営で世界最強のドコモですら手を焼いているので、W-CDMAが世界中で広く使われるのは厳しいのではないか、と言われたりもするわけです。

AUは3.5世代の展開すら終えて3.7世代の導入を控えています。
一方ドコモはいまだに第二世代のユーザが大半であり、いまだFOMAはmovaのエリアカバーを超えられず、3.5世代もこれからです。
地固めをするのでしょうか、力技の定額に走るのでしょうか。

さて、ドコモのこの怒涛の基地局整備が向かう先は何でありましょうか。

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876 ソフトバンクがボーダフォンを買収すると、なぜかイーアクセスが困る理由

ソフトバンクのボーダフォン買収がまとまりましたね。
1兆7500億円というとんでもない買収になりました。

この件については、
・ソフトバンクにとってどうなのか
・ボーダフォンにとってどうなのか
・AUやドコモにとってどうなのか
ということはすでにいろんなところで語られています。
(私も以前の記事でちょっと書いています)

しかし、よくよく考えてみると意外な事に気がつきました。
この買収でイーアクセスが困るのです。


◆買収が発表されるまでの「ボーダフォンと新規参入組」の関係

ボーダフォンは新規参入組に回線を貸す予定でした。

というのも、ボーダフォンは第三世代への早期移行計画に失敗し、今でも大半のユーザーが第二世代を使っているために、第三世代用の帯域が余り設備が遊んでいるのです。
遊んでいる回線はお金を生みません。

古くなって痛んでいると思われる第二世代の設備をいまだに使わなければならなくなっている一方で、新規に整備した第三世代の設備が遊んでいるのは、買収を行ったソフトバンクの難題になる事でしょう。

ボーダフォンが遊んでいる第三世代の設備を有効利用する方法として考えたのが、MVNO、つまり「他社に回線を貸す」ということでした。

MVNOはすでにウィルコムが行っています。
b-mobileというブランドで定額通信が提供されていますが、これはウィルコムの回線を借りて「他社が独自のブランド」で定額サービスを提供しているものです。
消費者(というか、細かい事まで調べない消費者)にとっては、ウィルコムの名前で提供されているサービスではないので、「b-mobileが自前」で提供している定額サービスに見えるというわけです。

ボーダフォンは余っている第三世代の収容能力を貸す予定でした。
そしてその相手は、携帯の新規参入組のソフトバンクとイーアクセスでした。


◆なぜ借りるのか?

ここまでで、ボーダフォンが「回線を貸したがっている理由」について説明しました。
つまり、設備が遊んでいるから貸してでもお金を回収したいというのが理由でした。

では、借りる側の事情とは何でしょう?

新規参入組はゼロからエリア整備を行わなければなりません。十分なエリア整備には時間がかかります。しかしながら、十分なエリア整備が済むまでにはかなりの時間がかかります。エリア整備が終わるまでサービスインを待っているわけには行きません。

しかし、エリア整備をしながら順次サービスインする方法では、すでに全国展開をしている既存他社とエリア面で比較されながらの厳しいスタートとなります。

なかなか困った状況です。そして、新規参入組のこの悩みに手を差し伸べたのがボーダフォンのMVNOでした。
つまり、ボーダフォンは余っている回線を有効利用でき、新規参入組は初期のエリアカバーの不安を取り除けるというわけです。両者にとって悪い話ではありません。

実際、ソフトバンクもイーアクセスもボーダフォンから回線を借りることになっているようでした。

これを「新規参入組とボーダフォンとの提携」と思い込んでそういう記事を書いてしまったマスコミも結構あるわけですが、実際には提携ではなくて一時的打算にすぎませんでした。

ボーダフォンとしては、第二世代から第三世代への移行が順調に進めば回線を貸している状況ではなくなります。また、新規参入組は「儲かる人工密集地域」から自前でエリア整備を行って、儲からなくてエリア整備のお金がかかる地方はボーダフォンから借りたままにするというようなことをしようとすることでしょう。
そして、新規参入組に「都合のいいところだけつまみ食いされていて損をしている」とボーダフォンが思ったら、回線値上げも行われたことでしょう。

そもそも新規参入組との競争によって打撃を受けるのはボーダフォンも同じですから、最初から仲良くするつもりは無かったわけです。


◆ところが

ところが、急に決まった見られる買収でいきなり話が変わってしまいました。

以前から水面下で買収の話が進んでいたとは思えません。なぜなら、ソフトバンクの自前での新規参入への動きも進んでいましたし、これらMVNOの話も進んでいる事が知られていました。
もし、買収前提で考えているのならそんな無駄な事はしなかったはずです。
ここしばらくの間に、ソフトバンクの孫さんに重大な心境の変化があったに違いないのです。

より野心的になったのかもしれませんし、自前でのサービスに強い不安を感じたのかもしれません。
このブログも過去の記事で帯域不足についての不安について書きましたから、不安が原因だとするなら当ブログも買収決定への一助を担ったのかもしれません。


突然決まった買収で困ってしまったのはイーアクセスです。
ボーダフォンはソフトバンクになってしまいますから、回線が借りれなくなってしまいました。

イーアクセスは早期の全国展開が出来なくなってしまったという事です。
最初は利益の出やすい東京などだけで基地局整備を行い、大半なボーダフォンに相乗りする計画であったように思われるだけに、この買収の話でイーアクセスの事業計画は根本的に崩壊したのではないか、と私は考えています。

回線を借りなければ、当面は首都圏前提サービスというような事になるでしょう。あるいはエリア整備に長い時間を費やしたあとでのサービスインになる事でしょう。

ソフトバンクから回線を借りることも出来ましょうが、なかなか厳しい条件になるのではないかと思います。
ドコモが貸す理由はありませんし、AUにも貸す理由がありません。
借りるというよりも他社の軍門に下る形でならありえるかもしれません。イーアクセスの1.7Ghz免許を持参金として。

他のMVNOの提供主としてはウィルコムのみです。ウィルコムにはMVNOの実績もあります。
しかし、ウィルコムとイーアクセスは通信方式が全く違いますから、もしMVNOをするとしてもかなり特殊な電話機を用意しなければならず、難しい事でしょう。

イーアクセスの社長は実はウィルコム(旧DDIPocket)出身だったりする事実はあるのですが、ここしばらくの間イーアクセスの社長はマスコミに出るたびにウィルコムの悪口を言い倒している状態でありまして、もしウィルコムから回線を借りる事になるなら、友好的にというわけには行かないでありましょう。
また、ウィルコムは現在非常に好調なので、昔のように積極的に回線を貸すつもりも無い事でしょう。
まあそもそも、通信方式が違いすぎるのが最大の障害ではありますが。

というわけでイーアクセス、私の想像ではかなり困っているのではないかと思われますが、実際のところいかがでありましょうか?

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877 次世代携帯技術の決戦場となりそうな、2.5Ghzの争奪戦

最近非常に忙しいので更新が少なくなってすみません。
どなたか、超長時間労働しなくてもお金がもらえるお仕事を紹介ください、いやマジで。

今回は、携帯電話用に新しく解放される事になっている「2.5Ghz」の電波の奪い合いが、次世代技術の決戦場のようになってきている事について書いてみたいと思います。

この記事に限りませんが、面白かったらレスポンスをください、あるいはレスポンスをつけるのが面倒ならこの記事へのリンクをお張りください。そうすればもっと詳しく書きます。書いてる本人は何が好評なのかわかってないのです・・

あ、あと間違いがあったらごめんなさい。
時間があまりないのできちんと調べたり確認したりせずに書いております、すみません。


◆帯域

2.5Ghzは「2.5ギガヘルツ」ってことで、2.5世代の事ではないのでその事をまず書いておきます。誤解するといけないですからね。

2.5Ghzは次に新しく携帯電話用に割り当てられる電波帯域です。今回記事を書くのはこれを巡っての争奪戦です。

その前にまず、既存の帯域について簡単に整理しておきます。

・800Mhz(0.8Ghz)帯
ドコモの第二世代(mova)と、AUの第三世代が使っています。
周波数の低い800Mhz帯は他の帯域に比べて非常に性質のよい電波で、言ってみれば日本においては最上級の携帯用の電波帯域です。
実際、ドコモの第二世代もAUの第三世代も、つながりやすさでは定評がありますよね?
このためソフトバンクは一時期、「800Mhz帯をヨコセ」と無理矢理役所に帯域解放を迫っていたこともありました。

・1.5Ghz帯
ボーダフォンの第二世代、ツーカー(第二世代)、そしてドコモでも少し使っている帯域です。
800Mhz帯よりも圏外になりやすかったりします。
J-Phone(当時)やツーカーがつながりにくかったのは、1.5Ghzだからという面もありました。

・1.9Ghz帯
ようするにPHSの帯域です。
そのうちウィルコムの専用帯域になります(今はドコモのPHSなども少し使っている)

・2Ghz帯
ドコモの第三世代(FOMA)と、Vodafoneの第三世代が利用しています。
FOMAが今ひとつつながりにくいのは周波数が高いからでもあります。
AUは、第二世代を早々に停派してしまったお陰で贅沢にも800Mhz帯で第三世代を行えているので、音声は電波の質のよい800Mhzで行って、2Ghz帯を3.5世代(つまりデータ通信の高速大容量化)などに使う予定です。
わかるとおりとにかくAUが有利な状況です。

・1.7Ghz帯
新規参入の携帯キャリア(と既存携帯会社の追加用)の為に用意され、争奪戦の終わった帯域です。
新規参入のイーアクセスとソフトバンクが手に入れた帯域です。
しかし、ソフトバンクはボーダフォンの買収を始めてしまったので、返上されるかもしれません。

・2Ghzあたり(正確な周波数忘れたすみません)のTDD用帯域
TD-CDMA用に用意されている帯域があり、ここはアイピーモバイルが手に入れました。
データ通信中心にサービスインする予定らしいですが、TD-CDMA系は良い点もありながら難しい技術のようで、しかもCDMA2000陣営やW-CDMA陣営は3.5世代を通過してさらに先へと進みつつあるので、なかなか厳しいでありましょう。


さて、ここまでが今までに使われているか、すでに割当が決まっている帯域です。


◆2.5Ghz

そして、次に空く予定なのが2.5Ghzの帯域です。周波数はちょっと高いので電波は扱いにくいと思われます。
この帯域は、非常に簡単に言うと「次世代『高速』通信に解放します」と国が言っております。

つまり、この帯域に普通の第三世代で参入しようとしてもダメだという事です。

で、ここに名乗りをあげているところなのですが、これが見事に・・・これから次世代で激突するであろう面子が勢ぞろいしているのです!

まず、

・WiMAX(IEEE802.16)
KDDIは「次世代」として、無線LANの進化系のような存在のWiMAXの試験を行ってきています。
今のところ(まだ「事前」の評判である事には要注意ですが)、世界で次世代の第一候補な感じのする「WiMAX」です。
AUは今の第三世代とシームレスに組み合わせて利用する事を考えているようです。つまり、速度を出したいときにはWiMAX、通信の安定を図りたい時にはCDMAという感じにです。


・次世代PHS(ウィルコム独自)
ウィルコムが自前で開発中の第四世代技術です。
詳細は良く知りませんが、PHSをOFDMで束ねたもの、なんというかPHSと第四世代の合体のような技術であると聞いています。
目標としては既存のPHS基地局あるいは基地局設置場所をそのまま利用できるようにする事と、最高速度ではなく、沢山の人が使う実際の利用状況においても高い実効転送速度を出せるようにしたいようです。
つまり、ウィルコムの現在の戦略の長所をそのまま生かす技術を作ろうとしているのです。

心配なのは自前の技術だという事です、次世代通信技術とは一社で開発できる程度のものなのかが心配ではあります。しかし、もし成功すれば他の技術と違って「ウィルコム自身がウィルコムの事情に最大限マッチした技術として開発」するわけですから、システム全体として非常によいものになるかもしれません。
個人的には一社で開発している事が不安に見えますが、可能性としては「ウィルコムが開発に成功→日本で大成功→それを見た世界中が採用→第四世代の覇者に」なんてことも考えられなくはありません。


・iBurst(IEEE802.20)
以前の記事で説明したiBurstです。技術的にはなんと第二世代に属する枯れた技術ながら性能は高く、この話にも候補として登場している次第です。詳しいところは私の過去の記事を参照ください。
iBurstは京セラの技術(国内の技術)であり、開発中に過ぎないほかの技術と違い「すでにサービスインしている」という大きなリードがあります。絵に描いた餅ではないのです。

WiMAXは「IEEE802.16」で、WiMAXのモバイル版(モバイルWiMAX)は「IEEE802.16e」という規格です。今のところ世界の空気としては次世代はWiMAXなんじゃないかという感じなわけですが(ただし、無責任なマスコミ中心の空気ではあります)、このモバイルWiMAXと規格上完全なライバル関係にあるのが「IEEE802.20」です。

もしかして次世代PHSが上手くゆかない場合にはウィルコムが改良して採用する可能性もあります(そのままではウィルコムの要望に会わない)。京セラはウィルコムの株主ですし。
そういう意味では「失敗してもウィルコムには保険がすでにある」とも言えます。ウィルコムは実は有利かもしれません。


・クアルコムの新技術(IEEE802.20)
IEEE802.20にはクアルコムの提案と京セラの提案が受け入れられました。こちらはiBurstではない方のIEEE802.20になります。
クアルコムとは現在第三世代で圧倒的リードをつけている「CDMA2000」、つまりAUの技術を開発しているアメリカの会社です。

そのクアルコムが第四世代として開発している技術が(そうなんです、まだ開発中です)日本の2.5Ghzの争奪戦に登場する可能性があります。というのもクアルコムが日本企業に「クアルコムの技術を使って参入を戦ってくれるところ募集」なんてことを言っているらしいからです(しかしこれまでの三つに比べると候補としては一段落ちます)


他にも世界中で沢山の会社がOFDM系(第四世代系)の通信技術を開発しています。とりあえずこれら有象無象は今回は出る幕無しです。
以前ここで記事にしたように、ドコモも独自技術開発を進めていて、技術の限界を突き詰めるようなすごいことをしています。しかし、逆にいえばもっと将来に向けた状態で、実用化には遠い状態にあるとも言えますので、2.5Ghzの争奪戦には参加できない、あるいは参加すべきではない(まだ開発できていない)と言えるでしょう。


◆揃い踏み

見ていただければ解るように、次世代の有力候補が勢揃いしている状態です。
世界的レベルには順当な次世代候補WiMAX、ウィルコムが自ら手がける次世代PHS、モバイルWiMAXの敵として登場したIEEE802.20にして実績で一歩リードしているiBurst。

どれが勝っても不思議はありません。帯域は一社だけに与えるわけではないかもしれませんから、もしかしたらこの三つの規格が全て採用され、サービスインの後に実際のサービス品質で熾烈な競争が行われるかもしれません。

そうなれば、日本の2.5Ghz帯は世界が注目する「次世代技術の闘技場」という感じになるかもしれません。


そのうちはじまるであろうHSDPAとEV-DO Rev.Aの戦いや、ウィルコムの高度化PHSと3.5世代携帯の戦いも面白いですが、もしかするとその後にはもっと面白い戦いが待っているかもしれません。


三つの規格の戦いは見たい気もしますし、細切れにせずに一つの方式に帯域を全部提供する方が電波の利用効率は高いのではないか(=サービスが良くなる)という気もしますから、国がどう判断するかも興味のあるところです。

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880 ソフトバンクにボーダフォン:売却ではなくて・提携?、派手だけど怪しいという話

前回(昨日)、ボーダフォンをソフトバンクが買収する事について書きました。
勢力が衰える一方のボーダフォン日本を持て余したボーダフォン本社がソフトバンクに売り飛ばした、と思ったのですが、予想外に話は大きいようです。

売却というより世界レベルでの提携かもしれません。


◆アメリカのヤフーまで出てきました

ヤフーの情報海外配信へ、ソフトバンクが提携で調整
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20060305i201.htm

ソフトバンクとボーダフォンが「業務提携」するそうであります。記事では「ソフトバンクグループが持つコンテンツ」で提携なんて書いてありますが、こんなに簡単な話であるわけがありません。
他の記事ではアメリカのヤフーまで話に出てきています。

買収に使われる金額は二兆円近くになるそうで、
資金は、LBOにて、「みずほコーポレート銀行、ドイツ銀行、米ゴールドマン・サックスがまとめ役となり、国内外の金融機関から融資などを受ける」とあります。うーん、そんなお金をどこが出すんですかね。
今までどおりに素人からかき集めるのでしょうか。


ボーダフォン、日本法人株の一部継続保有を要求
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20060304ib21.htm

というわけで、ボーダフォンも売り逃げするつもりではないようです。
売り逃げするつもりだったのに景気のいい話になってきたから戻ってきたのか、全株は高すぎて買い切れないソフトバンクに押し付けられるのか、そのあたりはどうなのかわかりません。

記事には「ボーダフォン日本は利益が出ているから」なんていう文言もありますが、それなら売らなければよいと思います。
私の以前の記事に書いたとおり、「ボーダフォン(本社)の株価は、日本事業に投資すれば株価が下がり、日本事業をないがしろにすると株価が上がる」という状態にありますから、理由は「利益が出ているから」ではないと思われます。

提携?


◆よくよく考えてみると

売り飛ばすというより、大規模な提携のようになってきました。
そのあたりがわかってきますと、にわかに物凄く派手な話が進んでいるように思えてきます。

ここまで派手な話になると、おそらく両社の株価などは上がりっぱなしになるのではないかと思いますが、よく考えてみると怪しい話も沢山あります。

ソフトバンクはこの巨額買収に資金を使ったあと、さらに
・がたがたになっているボーダフォンのインフラに資金を投入して強化しないといけない
・自前での携帯新規参入計画(すでにかなり進めてしまっている)はどうするのか
という感じでお金を使わないといけないでしょうし、もしそれが用意できないなら「今までどおり」のボーダフォン品質は続くことになります。

また、ボーダフォンとソフトバンクが協力するといってもどのように協力するのでしょうか?
ソフトバンクはあくまでも日本の企業で、コンテンツがあるとは言っても日本語のコンテンツです。
ボーダフォンは携帯の技術は持っていません、技術開発もしていないし端末も開発していません。ただ単に、世界中の弱った携帯キャリアを買いあつめて世界規模になっただけです。

他の記事にも、「コンテンツと携帯技術で提携する」とありますがそれはどうかなと思います。

話が派手なので、無根拠に「すごい話だ」とか、「ソフトバンクだから価格破壊をしてくれるにちがいない」というような意見を見かけますが、どのあたりがすごいのか、そして価格破壊が可能なのかはよく考える必要があると思います。特に価格破壊はすでにウィルコムがやり尽くしているとも言えます。
一方で不安は沢山あります。

イギリスを代表する「自転車」と、日本を代表する「自転車」が合体という気もしなくはありません。

この話は今後どうなってしまうのでしょうか?

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