« 雑:マクドのル・グラン トマトは久々に新しい味だったという話 | トップページ | 雑:食い物シリーズ、マクドのゴールドマサラは普通(法則は維持される) »

プラチナバンド連呼でソフトバンクは損をするのではないかという気がした件

投稿間隔を開けないようにすることを優先しまして、まずは投稿することを目的とした記事を投稿します。

最近、プラチナバンドって何?と聞かれることが何回かあったので、ついでに記事にしてみることにしました。あんまりおもしろくない投稿です。

700/900MHz帯は結局山分けになった件

執筆が低調になっていたためにあまり記事にも出来なかった700/900MHz帯の獲得合戦ですが、携帯以外の用途の整理が進んで帯域が増えたのは良かったものの、割り当ての面では既存の携帯会社四社で帯域を山分けして終わりとなりました。

これはまるで以前の孫社長が非難していたことでした。つまりドコモやNTTやKDDIやAUは国と密室で談合していて怪しからんのでオークションのような方法が望ましいと。それが今やソフトバンクも話し合いで帯域の山分けをやってしまった、少なくともオークションをやろうぜとは言いませんでした。ソフトバンクはすっかり普通になってしまいました。

なお、著者は以前から書いている通り、オークション方式には恣意的な割り当ての可能性が一層されるという意味では確かに理想的であるものの、他にいろいろ問題があると思っている次第で、オークションはオークションで問題があると思っています。

ただ、落選なしの既存各社均等割り当てでは、未来をどうデザインして、そのために現状をどう変化させるのか、という点においてはっきりしません。例えば、帯域をもっとまとめて割り当てる方法だってあったはずですから。

熟考の結果として均等割り当てだったのかもしれないとしても(私は、その可能性は十分あると考えています)、どうすべきかの論争が十分に行われた印象はないので、既存キャリアで談合して権利を山分けした印象はどうしても残ってしまう次第です。

プラチナバンド

ここしばらくまでの間、900MHz帯を割り当てろ割り当てろと主張していたソフトバンクですが、とうとう念願の900MHz帯を手に入れて、運用を開始しています。

900MHz帯のメリットされることはいくつかあり、アメリカでの帯域割り当てと互換性が取れるので端末の共通化ができる(かもしれない)点などがあります。中でも最大の特徴と思えるのは、実際に使えるようになる時期が最も早い点でした。

現在、CMを動員してまで「プラチナバンド」が連呼されています。

念のために説明すると、プラチナバンドとは、携帯電話にとって良質な帯域とされる800MHz前後の帯域のことを言います。

電波は周波数が高くなると光に似た性質が強くなります。そのため直進性が高くなって建物の影に回り込みにくくなったり、障害物に弱くなって建物の中に入りにくくなったりします。実際、周波数の高い2GHz帯のみを使っていたソフトバンクや(基地局が十分ではなかった初期の)FOMAは県外が多かったですよね?

ただ周波数が低くなりすぎると、電話機のアンテナが大きくなりすぎるなど別の問題が発生します。そこで、800MHzあたりは圏外になりにくく、携帯電話にとって上質な周波数帯でした。例えば、AUは昔から800MHz帯を主力で展開していますが、昔からAUは圏外にはなりにくい印象があるはずです。これが800MHz帯がプラチナバンドと呼ばれる理由です。

ただ、注意してほしいのは、2GHz帯を主力で展開しているドコモもエリア面で盤石どころか世界最強レベルだという点です。ですから、何でもかんでも周波数で決まるわけではありません。

ただソフトバンクとしては、上位二社と違って2GHz帯しか持っていないので圏外が多いのは仕方がないという説明をしてきました。どこまで計算でどこまで天然だったかはともかく、そういう説明がなされていました、圏外が多いことに対しての。

ですから今回手に入った900MHz帯はソフトバンクの念願の新帯域ということになります。

派手にアピールされた「プラチナバンド」

ドコモは、2GHz帯と800MHz帯の差はそれほど無いと言っています。また都市部では電波が飛びすぎる方が逆に厄介だったり、周波数が高い方が通信速度を出しやすいメリットもあります。なので、将来にわたって800MHz帯が理想的な周波数帯であるかどうかは解りません。

そのため、私自身はプラチナバンドという表記はあまり使わないようにしてきました、一面的な評価が埋め込まれ過ぎている表記だと思ったためです。800MHz帯はいかなる基準においても絶対的に優位ではないからです。

ただ現在、状況が変わってしまいました。「プラチナバンド」という単語は知っていて、逆に周波数帯の事を知らない人が増えてしまいました。

ソフトバンクが、プラチナバンドで圏外解消ということを大々的にCMで連呼したことが原因です。

このようなことをしたのには、ソフトバンクの苦しい事情もあるとは思われますが、ちょっと考慮が不十分で、結果的にプラチナバンド連呼は失敗だったのではないかと思っています。

ソフトバンクは連呼したい理由もある

まず、連呼に至った事情もいくつか思いつきます。まずは長年の苦しみを今こそ晴らしたいという思いがあるでしょう。ソフトバンク社内(孫社長自身も含めて)、とうとうやったぞ!という打ち上げ感はあると思います。だから晴れやかにスタートしたいと。

あとは、ソフトバンクは圏外が多いというイメージで現に受け続けているダメージを今すぐ緩和したい緊急の要請もあるでしょう。

例えば、これまでiPhoneはソフトバンク限定なので選択肢はありませんでした。つながらないソフトバンクに電波的にどうも今一つのようであるiPhoneが組み合わさってしまい、結果的に圏外になりやすい機種になっていました。

その結果、業務でiPhoneを使っているところなどで、AUへの移動が発生しているようです。営業の人が外でつながらない問題を解消する必要があるためですね。

このようダメージを前倒しで減らすためには、今連呼するのは意味があります。AUに移ろうかと迷っている人に、もう少し我慢しようかと思わせる効果はあるでしょう。

ソフトバンクは損をするかもしれない?

ですが、ちょっと大丈夫なのかなと思える点もあります。

まず、900MHz帯の整備は急いでできませんし、短期間でソフトバンク必殺の基地局力技整備をすると「圏外になりやすいプラチナバンド」という全く笑えないものが出来上がります。

900MHz帯は基地局を適当に配置すれば圏外にならなくなるわけではありません。綿密に計画をたて、基地局を一つ作っては実際の様子を見て調整してから次を計画するなどの準備が必要です。

また、基地局設置場所の確保も容易ではありません。反対運動はどうしても起こりますから時間がかかりますし理想の場所に確保できるとは限りません、その上に基地局設置の一等地はAUやドコモが占拠済みです。さらに、900MHz基地局はアンテナが巨大になる傾向があり、重量が増してより設置が難しくなります。

そして、ソフトバンクには2GHz帯でのノウハウしかありません。やってみないと解らないことがあるわけです。しかも、予算をどんどん使える体質ではありません。

その上、第三世代だけではなく将来のLTE導入のことも今から考えておく必要もあります。LTEに切り替えたらエリアボロボロではやはり笑えないからです。

圏外にならないようにするには、時間をかけてじっくりとエリア整備をする必要がおそらくあります。慌てて整備すると、特に昔の「基地局4万6000」騒動のように強引な命令でエリア整備をすると取り返しのつかないことになると思います。

今の時点でプラチナバンドを連呼してしまうと、実際に改善されるまで時間がかかり、今作った期待はほどなく失望に変わるかもしれません。かといって慌てて基地局整備をすると、これも失望につながってしまいます。

そもそもが分の悪い戦いである

そもそもこの戦いは分が悪いのです。その理由は簡単です。他社はすでに先行しているからです。

AUは第三世代開始時から800MHz帯を主力にしており、LTEも800MHz帯を主力にしてスタートします。AUは予算面で劣るにもかかわらずドコモよりも本格的とも言える基地局を整備し、質の高い基地局と800MHz帯の組み合わせで圏外にならないネットワークを作ってきました。混雑と戦う方法も知っています。つまり、プラチナバンドの扱い方はとても良く知っているわけです。

プラチナバンドって騒いでたけど、結局AUより全然つながらないじゃん、となりかねません。

実際AUは、「ソフトバンクさん、プラチナバンドを有名にしてくれてありがとう」というような発表をしています。

プラチナバンドが“ベース”なのはauだけ KDDIがつながりやすさの秘密を各地で説明 (1/2)
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/1208/07/news066.html

AUは大げさなことを言っているわけではなくて、長年プラチナバンド(800MHz帯)をメインでやってきたことをそのまま発表しているだけです。ただ、ソフトバンクがプラチナバンドを有名にしてくれたおかげで、AUは自分の長所をアピールしやすくなりました。

またAUは都心部などで800MHzをメインに2GHzを組み合わせる方法にノウハウを積み上げていると思われます。これもソフトバンクにとっては、これから勉強しなければならないことです。

ドコモは予算が潤沢で技術力がある上、2GHz帯だけで他社の上を言ってしまっています。エリアカバーの面ではプラチナバンドなどなくても大丈夫なレベルです。この上さらに、プラチナバンドも補助的に重ねて使っています(恐ろしいことに「補助」です)。

どうも分が悪いですよね。

ソフトバンクは実際に圏外が減ったことが明らかに体感できるようになった数年後に、改めて圏外減りましたと言うならば問題なかったのではないかと思います。

現状では、ソフトバンクが「プラチナバンド」という他社にはないすごいものを手に入れたので、近いうちに他社に勝つみたいな理解になってしまっているようで(少なくとも、私が話を聞いた人だと実際そうなっていた)、自分で上げたハードルに自分でつまずくことになりかねません。

プラチナバンドの整備が(慎重に)進むと、ソフトバンクの圏外はどんどん減ってゆくでしょう。ただし、エリアの盤石さでドコモやAUを追い抜くようなことは、しばらくの間は無いと思います。ただ、実際のところドコモやAUを追い抜く必要など本来なかったので何も問題ないはずでしたが、自分でハードルを上げてしまった上に、急いで整備しなければならない空気まで作ってしまいました。

そもそも分が悪い戦いだろうと思いますし、勝っても意味はあんまりないと思うので、早めにハードルを下げなおした方が良いのではないかと思った次第です。

|

« 雑:マクドのル・グラン トマトは久々に新しい味だったという話 | トップページ | 雑:食い物シリーズ、マクドのゴールドマサラは普通(法則は維持される) »

コメント

自分でハードルあげた感は否めないですね。

でも、一般認識(自分の家族とか)では、
「すごく繋がるようになったんだ~
 いいなぁ~」
的なものが多いみたいです。(わざとでしょうけど)

・・・大丈夫なのかな?

投稿: さじった | 2012/08/09 08:58

一般層には周波数の特性など理解する気がないので、現状よりつながりやすくなれば、「ソフトバンクのiphoneつながりやすくなった」といううわさがが流れるだけでよいのでしょう。
ライトユーザーには使い比べなどないので、現状よりも相対的によくなりさえすれば、問題は値段だけだと思います。

投稿: モコム | 2012/08/10 12:58

ここ数カ月の話だと、ドコモは技術力の低下があるような気がしてならない
少なくともぶっちぎってのTOPではない印象

投稿: 思いつきで | 2012/08/19 03:07

通信事業が利益好調なら、メガソーラー事業とかに手え出さないよね。

投稿: JC | 2012/08/19 11:10

一陸特勉強中の身です。
大変勉強になります。周波数特性(周波数が上がると光に近い性質になる)とか目から鱗です。ものすごいわかりやすいです。

このブログ見つけられて良かった。ブックマークさせていただきますね。

投稿: 一陸特勉強中 | 2015/09/15 21:23

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/41683/55380478

この記事へのトラックバック一覧です: プラチナバンド連呼でソフトバンクは損をするのではないかという気がした件:

« 雑:マクドのル・グラン トマトは久々に新しい味だったという話 | トップページ | 雑:食い物シリーズ、マクドのゴールドマサラは普通(法則は維持される) »