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レバ刺し禁止って、日本の閉塞感の縮図だよなあ、という話

レバ刺し禁止の件について書きます。禁止の決定に、なんだか「納得がいっていない」人が多いと思いますが、なぜこんなことになったかとか、ちょっと書いてみることにします。

当たり前の話だと思うのですが、誰かに話しているとブログに書いてくれと言われたので書いてみます。怒らないでください。

※下書きレス、推敲レスで書き流します。どんな恐ろしい結果になるかも見ものです。

レバ刺しが禁止の件

皆さんご存知であろうと思いますが、本日、レバ刺しが来月から禁止と決まりました。

とりあえず、引用。

牛生レバー、7月から提供禁止 厚労省が正式決定
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1203P_S2A610C1000000/

遡ること、DQN焼き肉チェーンが食中毒事件を起こしまして、レバ刺し(ユッケ)が糾弾方面や規制方面にロックオンされる事件が発生しました。

その後、安全に食べるための加熱方法についてのご指導が考案されましたが、経済性を大きく無視して形式上の超安全を目指した方法でした。このままに、お上からのご指導が下るとユッケは高級メニューになってしまうのではないか、と不満が渦巻いておりました。

そこで、殺菌方法(加熱方法)について、それでは商売が成り立たないという主張と、お上の事なかれ主義における主張の綱引きが続いていました。

しかし、じゃあどの辺までが安全なんだよ、の駆け引きにおける諸々の調査が、最終的に意外なところにゴールしてしまいました。

お上の結論はなんと「全面禁止」でした。ご禁制を破ると200万円ないしは懲役二年となりました。

これまでの綱引きにおける前提には、食中毒の原因は外部からやってくるという暗黙の前提がありました。しかし、お上がお肉を調査すると、肉の内部から菌が出てきてしまいます。超安全を主張するお上としては、内部に菌が居るなら「内部まで加熱しろ」というお達しをすることになりました。

「内部まで加熱しろ」とはつまり、生では食うなということになります。

レバ刺し=こんにゃくゼリー?

ただ、日本中でこの決定に対する不満が渦巻いています。何か納得できない。その理由はとても簡単。レバ刺しは今日昨日発明されたわけではないからです。

  • レバ刺しを食べた人は何人いると予想されますか
  • 食中毒になった人は何人ですか
  • 亡くなられた方は何人ですか

さらに、以下の問いも浴びせることが出来ます。

  • そのうち、DQN調理を止めさせるだけで防止できたケースは何件ですか

私にはデータはありません、ありませんが、「何か納得できない」のはつまり、ご禁制にするほど危険じゃないのは明らかだろうという皆の感想のことでしょう。

問いはさらに続けることができます

  • レバ刺しより危険性のある食品は他にないのですか?

つまり、「こんにゃくゼリー現象」が再発しているのではないかというツッコミです。

こんにゃくゼリーは危険な食べ物であるとされる事件がありました。独特の固さのある食感がこんにゃくゼリーの良さだったにもかかわらず、柔らかく改変して良さを台無しにすることや、変な形にすることを余儀なくされ、販売方面でも店頭からの撤去を強いられるなどの事件がありました。

が、調べてみるとバカバカしいことに、2006年の事故件数はこんにゃくゼリーが2件に対して餅が77件、もっと「危険」な食べ物は沢山あることが判明。しかし、こんにゃくゼリーはお上の方針通りに規制される、という事件がありました。

問いはまだ続きます。

  • レバ刺しの禁止(規制)によって失われるものと、得られるものの差はどの程度でしょうか

こんにゃくゼリーでは「独特の食感」を味わう幸せが失われました。固さからも形状からもです。今では、ほぼゼリーにすぎません。禁止されなければ、その後、こんにゃくゼリーが進化する可能性も刈り取られました。日本全国の一年間で、数えられるほどの件数の事故を防止することとの引き換えとして。

レバ刺しの禁止によって失われるものと引き合うだけの被害が存在したのか?少なくとも、お上の規制の理由で十分に検討されているとは聞いていませんよね。

ゼロリスク病

お上は、ここまで書いたようなことすらわからないほど頭が悪いのでしょうか?そんなわけはありません。個人としては同じ意見でしょう。しかし、「お上」の一員としては禁止する結論に到達するわけです。

ニュースで印象的な発言がありました、「事故が起こる可能性が少しでもある以上、禁止せざるを得ない」という発言です。つまり、おそらくこうなっているわけです。

  • 規制しないことによる事故:責任を被ることになり、お役人の人生的に破滅的な結果を招く
  • 規制することによる日本中での損失:知ったことではない

「事故が起こる可能性が少しでもある」ことと「日本中の大勢の人が残念なことになる(しかも確実に)」ことが天秤にかけられていないわけです。結果、こうなります。

  • 「事故が起こる可能性が少しでもある」から逃れる:一部の人にとってはメリットがある
  • 日本中で食べられなくなる:日本中の大勢の人が少しずつデメリットを被る

つまり、日本中の大勢の人から幸せを少しずつ吸い取り、ごく一部の人のメリットに変換しとるわけです。しかも(おそらく)トータルでは、幸せの総量は大きく減っています。

このような結論に至るには、お上の責任逃れ体質だけではなく、何か事件や事故があると「危険があるのにお上が規制していないのが悪い」というヒステリックな意見が世間に存在すること、広範に存在するのかノイジーマイノリティが居るのかはともかく、存在することも理由です。つまり、悪いのはお上だけではない。

今回も、DQN焼肉屋のみに非難の矛先が向かうだけでなく、なぜ国は規制していないんだということになったからこその展開でもあります。マスゴミの体質か、我々全体に薄く広くか、あるいは一部の極端な方に、「ゼロリスク病」と「お上に"安全"をたかる権利があると思っている病」が潜んでいるわけです。

ゼロリスク病による衰退

また、今回は「禁止」でしたが、もし「お上の決めた手順で加熱したらとんでもない金額になる」となると、はっきりとお金の話になります。レバ刺し以外のこともイメージしてほしいわけですが、結局こういうことになります。

  • 日本中の大勢の人からお金や自由や幸せを少しずつ吸い取り、ごく一部の人のメリットに変換される。トータルではマイナスになっている

「レバ刺し禁止令」と同じ構図のものが、日本にはおそらく大量にあります、こういう判断が山のように積み重なって、日本は弱り、不幸になっているとも考えられます。

明らかな規制以外にも「業界の自主規制」なる形態をとることもあります。規制をちらつかせることにより、業界が「空気を読んで」そうするわけです。

あるいは、一般人の集団ヒステリーの形をとることもあります。科学的根拠のない、東北の食べ物への風評被害が例かもしれません。東北の件では、規制(に類することを)される側が不幸になることも解りやすいでしょう。

食べ物の安全だ、私には理解ができないから怖いと騒ぐのは当然の権利だという意見があるとしたら、それにより失われるものだって大きいことが見えていないかもしれません。

また、規制ができると、規制を監督したり許認可をする組織とポストができます。

例えばレバ刺しを監督する組織ができて「法定のレバ刺し監査」が義務化されレバ刺し監視員が業界をぐるぐる回るとか、資格が無いとレバ刺しを調理できませんとなって『一級レバ刺し士』みたいなのができて試験をする組織やら研修する組織が出来たり、資格保有者は年会費を何らかの団体に納入しないと資格を継続保持できませんとか、レバ刺しの許認可申請を出すには国家資格の「レバ刺し書士」に依頼して書類を出してもらわないと申請が通らない、みたいなことになります。

特殊法人が沢山あって大層無駄である、というのはこういう側面もあります。

天下りとかは一般人と関係ない単なる悪事とも認識されがちですが、我々が自由を十分に大事にせず、お上の規制や保護に頼るので、そういう団体が必要になって増殖しているという側面も、おそらくあるということです。

規制緩和

日本はこうやって自分で自分を縛り付けてしまっているところがあり、その状態で他国と競争しています、そして日本で働く人はこうやって見えない重石を背負って苦しんでいるとも言えます。

そして、目に見える規制だけではなく、自主規制や、業界の慣行、果ては我々の思考回路までが原因となっています。

危険なのになぜ規制していない、有害だから規制しろ、不道徳だから禁止しろ、「けしからん」奴は入ってこれないようにルール化しろ・・やはり、お上が悪いとだけ言えば済むわけではないでしょう。

規制を緩和せよ、とか政府を小さくせよ、というのはそういう重しを外さないと、他国との競争に勝てないという主張です。

隣国ではレバ刺しは自由に調理して自由に出してよい、しかし日本は法律で決まった加熱方法やらを経て肉の大半を犠牲にしないとレバ刺しが出せない、この状態で、レバ刺しでの国際競争をしたらそりゃ負けてしまいます。

ただ難しいのは規制緩和にも、一部の人が幸せになるけれど大勢が不幸になるものがあるということです。規制はすべて無意味なわけでもないからです。何もかも無くなってしまったら、世紀末救世主伝説のヒャッハー状態だからです。

(例えば、「働く環境」の一部について皆が思うことは、外してはいけない規制を外したので部分的にヒャッハー状態になっているとか思うことありませんでしょうか)

全てかゼロかの二択思考もまた不健全なので、ただ規制を敵視してもまたよろしくありません。結局悪いのは愚かさと不合理さであります、そして当事者意識のなさ、でありましょうか。

「上に政策あれば、下に対策あり」

ではここからは、レバ刺しおよびレバ刺しを食う話に戻ります。

ここまで書いたような規制とは質が違いますが、中国では意味の解らない法律や規制が突然できることがあります。これに対して、中国では「上に政策あれば、下に対策あり」とか言うそうです。

意味の解らん規制をかけてくるなら、抜け穴を探して対抗するぞ、と。

例: http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=41806
バブル抑制策で「二軒目の不動産は買っちゃだめです」→「(偽装)離婚したら二軒買ってもOKよね?」

実は、レバ刺しにも「抜け穴」が出来つつあります。

お上が禁止しているのは「生食用」として出すことです。ですから・・

「なんか、見た目がどう考えてもレバ刺しなんですけど、あくまでも加熱用で出しております。加熱用をお客が勝手に生で食べたりしてますが、お店としては一切関知しないことでございます」

という方法で、レバ刺しを継続することは一応可能です(一部ではもうやっている、とも聞きます)。

これを、「実質的な生食提供だ、お上をなめやがってタイホだ見せしめだ」となるか、あるいは「まー確かに加熱用しか売ってないから知りませんな」となるかどうかは、お上の気分次第でどうなるかわかりませんが。

また、実は生のまま、お上をすっかり黙らせるに必要な殺菌をする方法があります。

そんな夢のような方法が何故検討されていないのか、と思うのかもしれませんが、『現在の風潮的に人気がない方法』なので、話題に出てこないのだと思われます。

その方法とは、「放射線(γ線)による殺菌」です。

加熱をせずに肉の内部まで殺菌することが出来ます。出来ますが、一部の方々が、今度は別の理由で騒ぐことになるでしょうけども・・

#生肉って美味しいので、γ線による殺菌が広く使われて色々安全に食べられるようになるのも良いかなとは思うのですが。難しいか

おわり

レバ刺しが禁止なんてなんかおかしい、世の中病んでるぞと思ったあなた、実際そうであろうよ、という話でした。

以上、下書きレス、推敲レスで部屋の掃除をしながら小一時間で書き流しました。色々ドイヒーなところはあると思いますが、お許しください。

まとめ

  • DQN焼き肉への過剰反応が最終的にこうなってしまって残念
  • 加熱方法で揉めていたが、最終的に禁止というオチがやってきた
  • 禁止の理由は内部から菌が出たため、表面加熱ではゼロリスクを主張できなくなったため
  • こんにゃくゼリーと同じ現象が起こっている、規制により失われるものが考慮されていない
  • ゼロリスク病や規制は日本の問題で、レバ刺し規制の誰得加減は日本全体の問題の縮図とも言えなくもない
  • ↑けれども、私はうっとおしい文書を書きすぎ
  • スケベな店と同じ方式で、規制後もレバ刺しは実質食べられるかもしれない
  • 放射線による殺菌という解決策があるが別のところが反対するので難しいだろうね
  • 知り合いの名言:お前ら本当に生の肉が好きなのか、本当はラー油が好きなだけじゃないのか?

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コメント

お店側はこの客になら出してもいいや、
客側はこのお店で出してくれるなら安心して食べられる、
という前提の元提供されていた生肉が、チェーン店で、「ほい」と出てくることになった、のも問題だと思う。
また、生肉は子供に食べさせる親の気が知れない、とも思う。
(前回の事故は成人の方もなくなられてるので、お店側の落ち度は明らかですが。)

放射能での滅菌は、菌と放射能天秤にかけて、
本人が食べる食べない決めろ
と思わなくもないですが・・・無理でしょうねぇ。

投稿: さじった | 2012/06/13 08:54

実はこの問題の根幹はゼロリスクへの指向ではなく、「菌」というものへの「穢れ」概念ではないかと思います。
餅が許されていることや、こんにゃくゼリーがかろうじて残っていること、またふぐが認可で許されていることがその証明になるかと思われます。
また、個人的には鳥インフルエンザ騒動もレバ刺しと同じく、過大すぎる騒動であったように思っています。
このまま医療機関が「菌」に対する啓蒙活動をおこなわなければ、今後も同じような過大な騒動が起きることは間違いないでしょう。

投稿: モコム | 2012/06/13 12:44

レバ刺しのこんにゃくゼリーや餅と違う点は、伝染性が強いということです。しかも、提供側も消費者側も注意を払おうとしていない。食べていない人にうつるかもしれないのに!これでは、禁止されて当然ではないですか?

投稿: | 2012/09/27 17:32

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