その後:LibreOfficeは快進撃中、OpenOfficeはもうすぐ新版が出る?
以前書いた話題の続きです。
OpenOffice.orgが残念なことになってしまい、LibreOfficeとに分裂してしまったという話を書きました。今思うと上記の記事ももうちょっと何とかならなかったのかという内容なのですが、一定の啓蒙効果はあったようなのでお許しいただきましょうか。
もう一度、ここまでの状況を振り返り(記事を書き直し)、そしてその後について記事を書いてみます。私の知っている程度で。
◆振り返り:OpenOffice.org が生まれる
まず、これまでの経緯を、また振り返っておきましょう。解ってる人はその部分を読み流していただければ幸いです。
MicrosoftOffice(通称「オフィス」、そして以下「オフィス」と書きます)という天下無敵なソフトウェアがあります。パソコンでお仕事っぽいことをする際には事実上必須のソフトウェアなので、必要に迫られて渋々買ったこともある人も多いでしょう。
今回話題にするのは、「オフィス」のようなソフトウェアで無料のもの(オープンソースのもの)についての話題です。
その昔、JavaでおなじみのSunという会社が「オフィス」に対抗するものを作るべく、ドイツのご当地オフィス(日本で言うと一太郎的な)ソフトウェアを買収し、最終的にオープンソースソフトウェア(=無料)とします。
これが、OpenOffice(OpenOffice.org)の始まりでした。
LinuxがWindowsに対抗しうるものとして期待されたように、OpenOfficeも「オフィス」に対抗しうるものとして期待され話題になるようになります。
ただし特に日本では、序盤(バージョン1.xの時代)には話題になったものの、まだいろいろと問題もあり、特に日本語環境への対応が不十分でした。しかし、バージョン2くらいからは日本語対応が本格的になります。
残念ながら「オフィス」との互換性はまだ完璧ではありません。例えば、「オフィス」で作成したファイルを開く場合には、まだいろいろと問題があります。しかし、バージョン3ではその点を除けば概ね問題ない仕上がりになっていますと感じました。
もし、初期に使ってガッカリしたことのある人は、この記事を読み終えた後でLibreOfficeをインストールしてみるといろいろと印象が違うかもしれません。
◆ LibreOffice への分裂
OpenOfficeを始めたのは、先ほど書いた通りにSunという会社でした。しかし、そのSunが、データベースでおなじみのOracleという会社に買収されます。
買収後にOracleの新方針が気に入らないという理由でSunを辞めてしまう人が沢山出ます。同じように、Sunのいわば傘下で育てられていたオープンソースプロジェクトについても、いわば「外に出てしまう」プロジェクトが沢山出現します。
辞めた人では例えば、Javaの作者である(つまり超大御所)James Goslingさんが辞めています。
「外に出てしまう」プロジェクトとしては、超有名なデータベースであるMySQLの作者も去り、MySQL互換の新プロジェクト(MariaDB)を立ち上げています。作者(ウィデニウス氏)はこのように言っています。
http://www.atmarkit.co.jp/news/200905/14/mysql.html
オラクルによるサンの買収によって、MySQL関連事業はオラクルに吸収されることが確定したが、買収発表直後の4月21日にはウィデニウス氏はブログ上で懸念を表明。オラクル買収後のMySQLの行く末を悲観的なトーンで分析した上で、「誰もオープンソースプロジェクトを所有することなどできない。プロジェクトというのは、デファクトのプロジェクトリーダーたちと、プロジェクトに携わる開発者たちによって形作られるのだ。もし企業がこうした人々の信頼を失うなら、みんな立ち去ってプロジェクトをフォーク(分岐)し、自分たちの望むものにするだろう」と発言していた。
「プロジェクトをフォーク」とは、こういうことです。
Sunの傘下で行われていた活動だったけれども、「オープンソースプロジェクト」だったので、ソースコード(プログラム自体)の所有権は「みんなのもの」でした。
そこで、新しく外部にコミュニティを立ち上げ、そして新しい名前をつけ(「以前の名前」の所有権は「みんなのもの」ではないからです)、「みんなのもの」であるソースコードを持ってきて外部で再出発することが可能でした。
このような分裂騒動が色々と起こり、残念なことにOpenOfficeでも分裂騒動がおこります。
開発者が従来のOpenOfficeのコミュニティを離脱、外部に新しいコミュニティ(TDF:The Document Foundation)を作ります。幸いにして、OpenOfficeのソースコードは「オープンソース(みんなのもの)」でしたから、ソースコードを持ってくることもできました。
しかし、OpenOfficeの名前自体は「みんなのもの」ではありませんでした。そこで、まずはLibreOffice(Libre:自由な)を名乗ることにします。
TDFは、OpenOfficeの名称を私たちに寄付してくださいと要求しますが、Oracleはこれに応じず、別途OpenOffice.orgのプロジェクトを継続すると発表します。これによって、「分裂」が決定的になります。
- 離脱メンバ(多くは離脱した)は「LibreOffice(リブレオフィス)」として再出発
- OpenOffice.org も継続する
「オフィス」に対抗しうる重要なソフトウェアが分裂するという大変残念なことになっていました。共倒れになるような最悪な展開も考えられましたし、今後も心配されます。
また、LibreOffice陣営は元気はありましたが、ようやくある程度は世間で知られるようになった「オープンオフィス」という名前が使えなくなり、「リブレオフィス」という名前を広めなおす必要も生じてしまいました。
◆LibreOfficeの快進撃が続く
分裂騒動が起こってから一年半程度、LibreOfficeの快進撃が続いています。
まずはリリース状況を張ってみましょう。
- 2010年9月28日: 3.3.0 beta 1
- 2011年1月25日: 3.3.0
- 2011年2月23日: 3.3.1
- 2011年3月22日: 3.3.2
- 2011年6月16日: 3.3.3
- 2011年8月17日: 3.3.4
- 2011年6月3日: 3.4.0
- 2011年7月1日: 3.4.1
- 2011年8月1日: 3.4.2
- 2011年8月31日: 3.4.3
- 2011年11月9日: 3.4.4
- 現在: 3.5がリリース目前
一方のOpenOfficeは 2011年1月26日 に3.3を発表して以降はリリースがありません。
なお、LibreOfficeは以前にFirefoxで説明したのと同じ、「一定期間ごとにリリースをする」システムがとられています。
参考:Firefox が 2011年末には「Firefox 9」にもなるのはどうしてか?
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2011/06/479-firefox-201.html
ただし、Firefoxのような激しい方針がとられているわけではありません。
年に二回「大きなリリース」が行われることになっていて、リリースでは「その期間中に開発できた機能をリリースする」という方式がとられています。上記の記事で説明したとおりです。
また、旧バージョンのメンテナンス(サポートの継続)もすぐに打ち切られず一定期間は継続するようになっています。
分裂直後にとりあえずリリースされた3.3の後、「大きなリリース」である3.4が実施され、さらに次の「大きなリリース」である3.5のリリースがされる直前となっています。
機能が追加されたり改良されたりしているだけではなく、起動が高速化したりもしています。起動が遅いから使うのを止めた人は、LibreOfficeを試してみると驚くかもしれません。
機能面だけでなく内部的にも進歩しています。
OpenOfficeは大昔からあるソフトウェアを基にしているため、ソースコードのスタイルが古くて汚くて読みにくいものだったようですが、それを今風の綺麗な書き方で書き換える作業が進んでいるようです。
こういう作業は大変なので、目に見える部分以外でも作業が「進んでいる」ことになります。つまり、この一年半で使ってわかる変化以外にも多くの作業がなされたということです。
また、ソースコードがきれいになると以後の作業もスムーズになりますから、今後の開発速度はさらに上がることになるかもしれません。
◆開発の「加速」
LibreOfficeでは「自由に開発する」ことが優先されているように思われます。先に説明したリリースの方針変更も該当する要素ですし、ソースコードを綺麗にしているのも、LibreOfficeの開発作業を楽しくするためだとされています。古臭いソースコードを書き直すのは面白くないけれど、今風のカッコいいコードなら楽しいはずだと。
内部的なソースコードの書き直しや上記のような方針に伴ってか、LibreOfficeになってから発生した不具合もあるようです。まあ、もしかするとですが、LibreOfficeというのはあちこちに小さいうっかりミスが入りやすい状態になるかもしれません。
しかしながら、加速と「自由に開発する」のプラスの面も出てきています。例えば、解りやすいところでは以下のような話があります。
LibreOfficeのオンライン版、Android版、iOS版を開発中。リリースは2012年後半以降
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20111017_484313.html
つまり、以下の三つがともかくも進行中という話です。
- iOS(iPhone/iPad)版の開発
- Android版の開発
- LibreOffice Online
随分無茶しますなと言う感じですが、こういうチャレンジが芽を出せるような環境になった証拠とは言えましょう。
なお、少し説明しておきますと、最初の二つは、LibreOfficeをAndroidやiOS(iPhone/iPad)版へ移植する試みです。例えばAndroidは基本Javaの環境で、LibreOfficeはC++で書かれていますので、何か工夫するんでしょう。
最後のものはもっと驚きのプロジェクトで、LibreOfficeを「ウェブブラウザから利用できる」ようにするプロジェクトです。プロトタイプのデモも行われています。
どうやって実現しているかというと、普通のLibreOfficeがOS上で画面描画に用いている共通部品、つまりウインドウを描画したりボタンを表示したりしている部分を、ウェブブラウザーでの表示に置き換えているようです。
- 通常のLibreOffice: LibreOffice(C++のコード)
- -> 共通部品(OSにお願いをしてウインドウを出す仕事をする)
- -> 画面にLibreOfficeのウインドウが出る
- LibreOffice Online: LibreOffice(C++のコード)
- -> 別の共通部品(上記の共通部品と同じようにLibreOfficeから情報を受け取るが、表示先が以下の通り)
- -> ウェブブラウザー上(のHTML5Canvas)に、デスクトップ版のLibreOfficeと同じ表示がなされる
つまり、Linux上やWindows上でLibreOfficeのウインドウを表示する代わりに、ウェブブラウザ上の自由に描画できる部分(Canvas)にLibreOfficeのウインドウを描いてしまう方法のようです。
「Broadway」というものを使うとこういうことができるようですね。なお、この方法で他のアプリも「Online化」することができるはずなので、LibreOfficeに限らない未来の可能性が示されたデモだとも言えます。
◆OpenOfficeはこれから再スタートする
一方のOpenOfficeですが、里子に出されることになりました。
所有権そのものはまだOracleにあるようですが、Apache Foundationというところに里子に出されていて、諸般の事情(後述)でしばらくの間活動中止中にありました。
名前も、「Apache OpenOffice」という名前に変わりました。
Apache Foundationもオープンソースの団体なのですが、ライセンスの種類が少し違います。
LibreOfficeやLinuxは「GPL」というライセンスのオープンソースソフトウェアです。GPLでは、公開されているソースコードそのもののみならず、LibreOfficeのソースコードを利用して作ったものはすべて同じように「みんなのもの」にすることが強制されます。
つまり「みんなのもの」が派生品を含めて「みんなのもの」のままずっと維持されるように考えられているライセンスの仕組みです。
このようになっているのは、公開されている「みんなのもの」を誰かが(いわば)盗んでしまい、いつの間にか「誰かのもの」に置き換わってしまうことを心配しての措置です。そして、そういう措置があった方が「みんなのもの」に対して行った作業は、かならず「みんな」のためになると解ることになります。
しかし、Apacheのライセンス(Apache License)は少し違います。
公開されているソースコードが「みんなのもの」であるところは同じです、しかし、派生的に作られたソフトウェア(ソースコード)は同じように「みんなのもの」にする必要はなく、ただ「○○のソースコードを利用させていただきました」の文言を入れれば許してもらえる仕組みになっています。
つまり「みんなのものの派生品」が「みんなのもの」のまま維持されるとは限らない仕組みです。
なぜこのようなことになっているかというと、GPLではGPLのソースコードを使った商用製品が作りにくい問題点がありました。もし使ってしまうと、自社の製品のソースコードを全て公開する(そして同じく「みんなのもの」にする)義務が生じます。
まあ、それでも商売が成り立っている例は色々とありますが、商売としては必ずしも歓迎されない現象です。そこで、Apache Licenseでは、派生品には同じ義務を課さないようにしています。
つまり、こういうことになりました
- LibreOffice(GPL): 派生品を含めて「みんなのもの」がずっと維持される
- Apache OpenOffice(Apache License): 派生品については、「ソースコードを利用させていただきました」の文言を入れればあとは自由
つまり、新生OpenOffice(Apache OpenOffice)は、企業製品における利用(ソースコードの流用)が可能なライセンスとなっているのが大きな違いです。
例えば、IBMが「Lotus Symphony」というOpenOfficeの派生品を製品として作っていましたが、Apache OpenOfficeからは他社でも誰でも、そのようなことも可能になります。
なお、IBMは「Lotus Symphony」のソースコードを同じようにしてApacheに寄付しており、Apache OpenOfficeの活動を支援すると発表しています。
米IBMが「Lotus Symphony」をApache OpenOffice.orgに寄贈へ
http://sourceforge.jp/magazine/11/07/15/0347243
米IBMは7月14日、自社が提供する無償のオフィススイート「IBM Lotus Symphony」のスタンドアロン版をApache OpenOffice.org(OOo)プロジェクトに寄贈すると発表した。今後はApache OOoプロジェクトに活発に参加したいとしている。
Weir氏はIBMがこれまでOpenOffice.orgコミュニティで活発に活動していなかったことを認め、ASFに移管したことを機にコミットを強めたいとしている。
Lotus Symphonyは、OpenOfficeをIBMが独自に改良したものでしたので、その「改良」部分のソースコードが今後は使えるようになります。
なお、OpenOffice側が長らく休止状態にあったのは、旧来のOpenOfficeを構成するソースコードの「検査」を行っていたことも理由とされます。
つまり、Apache Licenseでリリースできる由来のソースコードかどうかチェックが行われていました。例えば、GPLのソースコードが混じっている部分は使えないので、その部分は捨てなければなりません。
そしてその調査も終わったようで、2012年第1四半期に、Apacheに移管後の最初のリリースがなされる予定だと発表されています。
「Apache OpenOffice 3.4」は2012年第1四半期にリリースへ、ASFが公開書簡で明らかに
http://sourceforge.jp/magazine/11/12/21/0419202
◆今後どうなるのか?
未来というのは良くわかりません。しかし、現時点ではLibreOfficeが元気なのが目立ちます。
ですから、今後はLibreOfficeが主流となるという予想をまず立ててみることにしましょう。つまり「今後はLibreOffice、OpenOfficeはオワコン」の未来です。予想としてはこれが主流だと思えますが。
しかしながら、その場合でもOpenOfficeは商用製品に利用できるという点で一定の価値は残ることになります。OpenOffice3.3相当+αの状態のソースで、ですが。
OpenOfficeの名前が知られている意味が予想以上に大きかったり、OpenOffice側が例えばIBMの支援により活発に活動を始めて両勢力が拮抗することになると、一般の利用者からすると余計な混乱が発生した状況となるかもしれません。
OpenOfficeもLibreOfficeもODFという共通のオープンファイルフォーマットであるから競争は歓迎だという意見も出るような気もしますが、結果的にLibreOffice的なODFとOpenOffice的なODFが出現するように思えるので、難しいことになるように思えます。特に「オフィス」に対する有効な対抗者となりうるかという点について。
#少なくとも、マイクロソフトから見ると同士討ちに見えるはずです
ともかくも、Apache OpenOfficeはもうすぐ再始動することになっています、今後どうなりそうかは今年中に判明することでしょう。
◆まとめ
- 旧OpenOfficeは「LibreOffice」と「Apache OpenOffice」に分裂した
- 今のところ、LibreOfficeが快進撃を続けている
- 現時点ではLibreOfficeを利用する方が良いと思われる
- OpenOfficeは「Apache OpenOffice」となり、現在準備中の状態
- LibreOfficeと新OpenOfficeはライセンスが異なる
- 新OpenOfficeはライセンスは商用利用に優しい
- LibreOfficeのライセンスは「みんなのもの」であり続けることを保証する
- 新OpenOfficeにはIBMがソースコードを寄贈している
- 新OpenOffice(Apache OpenOffice)の最初のリリースが近いうちに行われる
- 新OpenOfficeは今のところ元気が無い(ように見える)が、今後の様子は見る必要がある
- おそらく2012年中に今後の情勢が見えてくると思われる(特に「今後はLibreOffice、OpenOfficeはオワコン」の展開の場合は)
なお、LibreOfficeのダウンロードは以下から行えます。
現在は3.4が最新版ですが、近いうちに3.5が登場するはずです。使ったことのない人はお試しあれ。
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コメント
「LibreOfficeが快進撃」って表現に違和感を覚えました。
ま、言いたいことは判りますし間違ってはいないんですけどね。
投稿: らいおん | 2012/01/17 13:57
前の記事も読ませていただきました。わかりやすくまとまっていて参考になりました。その後どうなるか見守っていました。
実はOOOのBaseで作ったデータベースをすこし変更することになり、OOOを使い続けるべきかLibreOfficeに乗り換えるか迷っていたのですが、とりあえずLibreOfficeでやってみます。思想的にはそっちのほうが近いので(動かないと仕方がないですが。。。)
投稿: あざらし | 2012/02/05 14:24
LibreOfficeで検索して、興味深く読みました。素晴らしい記事をありがとうございます。
当方の職場の端末にもコストカットのためか既に一部端末でLibre Officeが導入されています。Open Officeとの違いや各陣営の思惑や動向がとても良くわかりました。ソースコードの所有権の話題も、プログラムにあまり縁のない人間ですが、非常に興味深く読みました。みんなの共有物と、その改良者による私物化、ライセンスによる金儲けの仕組み、どの世界でも起こりうる根深い問題ですね。
今後もこのようなわかりやすい記事をお願いします。
投稿: | 2012/05/26 12:13
OpenOffice→ (1) LibreOffice (2) Apache OpenOffice の経緯と違いの概略が分かりました。
ちなみに、この記事を読んで、LibreOffice の最新版(3.5.5)をインストールしましたが、OpenOffice 3.3 時代に比較して『軽快』になったと思いますし、デザインもすっきり…という感じです。今後に期待してしまいます。
投稿: mod | 2012/07/22 00:12
ubuntuに入っていたLibreを削除して、以前使っていたOpenOfficeを入れようとしていたところ。

削除前にせめてLibreも知っておくかとここにたどり着きました。
Libreファンになりました。
まぁそうやってPCデビューもWin95買わずにMac買ったんだな
投稿: | 2012/08/29 18:43