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473 ケータイ(スマホ)でWi-Fi(無線LAN)の時代が来るまでの話を思い出してみる

現在、ケータイ方面ではでWi-Fi(無線LAN)の話題がよく聞かれるようになっています。

以前からブログを読んで頂いている方はご存知だと思いますが、私はかなり前から、ケータイやスマートフォンでWi-Fi(無線LAN)が広く使われることのなるかもしれない、と予想していました。

考えていたことが間違っていなくてよかったなと思っております。また、当時読んでおられた方の役に立っていればと思っております。

一度、これまでの経緯(と私が思っているもの)をまとめてみることにしました。

◆大昔:無線LANに過大な期待がかけれた時期があった

以下、単に話を整理するのではなく、これまでの色々な経緯をまとめながら整理したいと思います。

かつて、無線LANに過大な期待がかけれていた時期がありました。IT全般において無理な期待があった、20世紀のITバブルの頃です。

その頃、無線LANで町を覆いつくそうという試みがありました。誰でも設置できる無線LANが町を覆いつくしてゆき、そしてそのうち町のどこに居ても無線LANが使えるようになるという未来像です。

通信インフラは通常巨大企業によって構築されますが、「誰でも設置できる」無線LANでこれを代替できるかもしれないというロマン、経済の方からもコモンズという理屈で、この試みの未来性に一種のお墨付きもありました。無線LANを設置する事業への期待の膨張と自己拡大もあったように思います。

当時は、携帯電話はまだ低速の時代。PHSはデータ通信手段として用いられていましたが、携帯ではパケット料金が高い上にパケット定額制など影も形もありませんから、速度以前に携帯でモバイルなど常識的なことではありませんでした。

例えば、一部ではこのような未来像が語られたりしていました。

  • 皆が設置した無線LANが町を覆いつくす
  • PHSでのデータ通信は近いうちに間に使われなくなる
  • 音声通話も無線LANのIP経由で行われるようになり、携帯は廃れてゆく

さらには、無線LANで覆いつくされた町では、無線LANがどこでも使えることや、場所に応じた情報配信ができることを生かした各種サービスが生まれ発展するといった話や、それに乗っかろうという試みも色々ありました。

私は最初は期待をよせて、ある都市で無線LANの基地局が設置されてゆく様子を見ておりました。彼らの語るITに覆われた未来都市が出来るんじゃないかと。しかし結論としては、これはかなり無理があるんじゃないの?と思わざるを得なくなりました。

ホットスポット(スポット=点)、つまり町のあちこちのポイントでは使えるようになるかもしれない。でも、彼らが言うような面に近いカバーは不可能に思える。また、単なるお店一つの全体で問題なく使えるようにするだけでも結構大変なので、点の数を増やすことも容易ではないように思えました。

案の定、ブーム(過剰期待)は程なく終わりました。

それから随分たちましたが、無線LANによる面のカバーは実現していません。他、世界各地で無線LANで覆われた都市を作ろうという話は色々あったようですが、大成功したという話は聞きません。

無線LANは面をカバーする能力が低すぎるので、都市部だけでも無線LANで全てカバーするようなことはできない、という歴史の教訓であろうと思います。

また。私がかつて2.5GHzの争奪戦の頃に、アッカ陣営があまり調査をせずにモバイルWiMAXに入れ込んでいると思えたことや、さらには無線LANで何かしようとしていたのに良いコメントをしなかったのは(確か横浜でだったと思いますが、まるで同じ事をしようとしているように思えました)、過去に起こったことから全く学んでいないように思えたからでした。

◆3.5Gの容量不足

かつて、ドコモ(FOMA)の暗黒時代とAUの黄金時代がありました。技術面でその時代を象徴するものは、3.5世代(CDMA2000 EV-DO)でした。

メガ単位という圧倒的な高速性、その上定額でした。ドコモにとっては、圧倒的な速度差をつけられた上に、定額制では、いわばユーザをパケ死させることで儲けていたドコモのビジネスは崩壊してしまいます。

また、ケータイがこんなにも(当時としては)超高速で定額ならば、固定回線はもう必要ないのではないか?という期待も一部では生じました。

ですが、これについては初期のブログでも書いたとおり、無理でした。

  • 電波状態があり得ないほど良好な時の理論上のスペックに過ぎないこと
  • 基地局を自分ひとりで占有した場合のスペックに過ぎないこと、そして基地局は広大な範囲をカバーしているので多数の人間と帯域を共有せざるをえないこと

後者は致命的でした。例えるなら、自分ひとりでADSL回線を使っているのではなく、ビル全部で一本のADSL回線を共有しているようなものだったのです。確かに、スペック上はメガ単位の速度ですが、皆が自由に使うとあっという間にパンクして超低速になります。

つまり、速度ではなく「容量」が全く足りなかったのです。

AUは、パケットの利用量が増えないように非常に気を使った上で、パケット定額を導入していました。ケータイではキャリアが端末やサービスをコントロールできます、だからこそ出来た定額制でした。

新規参入のキャリアでは、確保している帯域に対して利用者がほとんど居ないため、一時的にPC定額の提供が可能でした。しかし、利用者が増えると当然に速度はどんどんと低下してしまいます。

根本的な対策としては基地局を沢山作るしかありませんが、予算面でもエリア設計の面でも、容易ではないことでした。

そしてこれ以降、速度面でのスペック競争が激化する影で、次第に「容量」の問題が深刻化してゆくことになります。

◆フェムトセルへの過剰期待

フェムトセルと呼ばれる超小型基地局を多数配置することで、携帯電話の基地局整備の常識を覆すことができるという主張もありました。

たとえば、フェムトセルを大量に配置すれば基地局が増えるので容量面での問題は解決するという主張がありました。

フェムトセルの「フェムト」とは、マイクロ(10の-6乗)とかミリ(10の-3乗)とかピコ(10の-12乗)のような「小さい単位につけるもの」のことで、フェムトは単位としては10の-15乗を意味します。それくらい非常に小さい範囲をカバーする基地局という意味合いが込められています。

極端な例としては、安価に大量生産されるフェムトセルが大量に配置され、旧来からある旧態依然とした大型基地局を淘汰するというようなことを言っている人も居ました。それから随分たちましたが、現在そんなことは起こっていません。

どうも世の中はこの手の話に弱いらしく、無線LANの時にも同じような話がありましたし、今現在の話題では、巨大な発電所の時代は終わり、大量生産される小さい発電所の時代がやってくるという話が流行っています。

携帯の基地局は無計画に配置すると干渉を発生してしまいますが、フェムトセルを計画的に配置するのは容易ではありません。クアルコムやエリクソンも、このようなフェムトセルの使い方は効果的ではないと判断しているようでした。

◆スマートフォンの登場

そうなると基地局の増設以外で打てる効果的な対策は、トラフィックの事前制御と帯域制限です。

そもそもAUのパケット定額の投入は、そもそもパケットを大食いしないような作りになっているケータイ端末とサービスを前提にしたものでした。利用者が皆、ちょっとずつしか通信できないのならば、高速さを保つことが出来ます。

しかし、スマートフォンの時代になりました。スマートフォンにはそのような制限をかけることが困難です。自分でアプリを入れたりできるのですから、利用者の使い方を制限することができなくなりました。典型的な例としては、反則技を使ってのテザリング(スマホ経由でPCに繋いで、PCで通信し放題)があります。

その上、スマートフォンは「快適な閲覧性能」を売りにしています。PC向けのウェブサイトや動画など、通信料の多いコンテンツを利用者は大食いすることになります。

最初にこれに困ったのは、iPhoneのソフトバンクでした。もしかすると、従来のパケット定額気分での提供だったのかもしれませんが、結果としては歴史的なパケット大食い端末があまり十分ではないソフトバンクのインフラに襲い掛かることになりました。

スマートフォン利用者のパケット消費量は、一桁くらい上だと言います。しかもスマートフォン利用者には、スマートフォンに買い換えたはいいけど今ひとつ使いにくいのであまり使っていません・・という人も多いはずで、本当はもっと多いのではないかと思っています。

基地局の建設だけでは追いつかなくなりました。混雑してからの帯域制限(利用者にとっては「速度低下」)で対策しても、低速になりすぎる場合が出てきます。

◆準定額制は「あり」か「なし」か

世界中の携帯電話会社が、3.5G+スマートフォンの組み合わせで深刻な容量不足に悩まされています。

例えば、パケット定額制を廃止するキャリアが出てきています。北米ではAT&T(北米二位)が廃止を行い、ベライゾン(北米一位)も定額料金制の新規受付を停止しました。結果、一定量までは定額だがそれ以降は従量制という、準定額制プランとでも呼ぶべきものが出現しています。

この判断は、インフラのコストを利用者にどのように公平に負担してもらうかという意味では合理的だろうと思いますし、緊急避難的な対策としてならばこれ以外の方法はないかもしれません。よって「あり」な対策かもしれません。

データ通信の話題ではありませんが、ソフトバンクのホワイトプランがパンクしそうになった場合の緊急対策としては、通話を制限したりするよりは、新規加入の停止が無難なのはイメージしやすいと思います。

ドコモもLTE(Xi)で定額制の廃止をするかどうかちょっと迷っているような料金プランを出してきています。

しかし商売としては、定額制の廃止はあまりよろしくないようにも思えます。定額制は合理的な損得判断というより、料金が増える心配をしなくてよい安心を買って定額制にしている場合が多いと思われるからです。

定額制の廃止後のプランは、一定量までの通信は定額ですが、それ以降は従量制です。となっていることがほとんどです。

目論見としては、大量に通信する一部ユーザを牽制して、残りの一般ユーザには「それなら定額と変わらないから安心だ」と思わせることだと思います。合理的に考えればそうなのですが、ユーザはそう考えるとは限りません。

たとえば、従来のパケット定額をつけているユーザのかなり多くは、実際には定額に入る必要性が薄いユーザだったはずです。少しでも大きな料金を請求されるかもしれない可能性が生じるなら、利用時に自分で考える必要が生じます。完全定額なら何も考えなくて良かったのですが。

彼らはそこを嫌っているので、準定額制を嫌がって他のキャリアへ行ってしまうかもしれません。他社に、わが社には安心のパケット定額制度があります、と言われたらどうでしょう?しかも、彼らはもっとも儲けが出る客のはずですから、それでは困ることになります。

◆3G+Wi-Fi(無線LAN)が当面の解ではないか?と思った

このブログで、3G+Wi-Fi(無線LAN)の組み合わせが当面は無難な解ではないかと考えるようになったのは、iPhoneが日本で発売されるよりも前のことでした。ですから、相当に前のことになります。

今でこそWi-Fiに対応している端末は珍しくないのですが、その当時としては携帯へのWi-Fi搭載はあまり自然な発想でなかったはずなので、受け入れられる発想だろうかなと思いながら書いていました。

正しくは、消去法で他のアイディアを消すと、Wi-Fiが「冴えないが無難な解」として残ったという感じでした。願わくば、私の考えが甘くて、もっとかっこいい解決策が出てきて欲しかったような気もします。

現在、日本中でWi-Fi(無線LAN)の基地局の設置が話題になり、携帯基地局が背負っている通信の一部を肩代わり(オフロード)させようとしています。

日本での当面の合理的な解は、Wi-Fi(無線LAN)と帯域制限の組み合わせになるのではないかと思います。

ただちょっと気になるのは、無線LANへの過剰な期待があるかなと思えることです。期待とは言っても以前とは種類が違いますが。

昔と違って、現在はいろんな機器が無線LANの電波を出すようになりました。ですから、電波状態を調べる機器で様子を見てみると、とんでもないことになっている場合があります。無線LANは干渉すると性能が落ちるので、あまり良くない傾向です。

無線LANの基地局をどんどん作るぞ!とやってゆくと、無線LANの電波状態がどんどん最低なことになる恐れもあります。昔と違って無線LANで面カバーできるとか思っている人は少ないでしょうが、皆で設置した結果、干渉で潰しあいになって意味が無かった、ようなことにならなければ良いなと思っています。

また現在、外で無線LANを使おうとすると、無線LANを提供している会社ごとに数百円のお金を取られたりします。そして、場所ごとで会社がバラバラなので、下手するとあっちにもこっちにも数百円ずつ支払う、みたいなことにもなります。

しかも、つながる場所に行かないとつながりません。どこでどの会社がつながるか、またつながる場所で席が空いているかなど、色々なことを考えないといけなくなります。そうなると面倒なので、別に普通のモバイル接続でいいじゃないかとなります。

昔、iPhoneのトラフィック苦労したソフトバンクの宮川さんが、無線LANのルータを無料で配ってでも使って欲しいと言っていたことがあります。3Gの利用を無線LANで置き換えると、基地局整備をその分せずに済むからです。

他にも、お金を払ってでも人が来るようになって欲しい人達もいます。飲食店などがそうです。

お金を出してでも遣ってほしい人達がいるのですから、何とかうまい仕組みが出来て、あちこちで無料で無線LANが使えるようになると良いなと思います。

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コメント

wifiとスカイプにより携帯は滅ぶとか、ホリエモン伝説の黒歴史
ライブドアワイアレスですねw

「点と面」の区分で言えば

面:携帯電話による通話は
点:公衆電話 を駆逐しました。

通信では
面:携帯deウェブ が便利すぎて
点:ホットスポット に行けませんでした。

やはりみんな、速度より面なんだなと。

しかし、面で速度を求めすぎて、面の繋がる品質が脅かされたので悩ましいところ。

投稿: DASEW | 2011/07/09 09:38

定額か従量課金かは悩ましいですね。

いっそどこでも電波オークションというはどうでしょう。

ん、速度遅いな・・スイッチオン
「ジャーン、電波オークショーン!1円~最大1000円まで入札して、落札した人は速度100倍ゲット!」
じゃあ40円

「残念、他の方がハンマープライス。落札者以外は速度30%OFF!」
オーNO!

投稿: DASEW | 2011/07/09 09:57

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