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OpenOffice.org と LibreOffice が内紛してる件(MSOfficeの敵は内部抗争中)

OpenOffice(オープンオフィス)はご存知でしょうか?名前は聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

OpenOfficeは、マイクロソフトオフィスに対抗する、オープンソース(つまり無料)のオフィスソフトとして知られているものです。

ですが、OpenOffice は現在、「OpenOffice.org」と「LibreOffice」に分裂して内部抗争中という大変残念な状況にあること、皆さんご存知でしょうか?

知らない人が多いようで、説明すると驚かれることが多いのですが、その残念な状況について少し書いてみたいと思います。

◆まずは、OpenOfficeについての説明から

まずは一応、OpenOfficeの説明をしてみたいと思います。まずは、あまり知られていない正式名称のお話から。

このソフトウェア、一般には「オープンオフィス(OpenOffice)」と呼ばれていますが、正式名称は「OpenOffice.org(オープンオフィス・オルグ)」です。「.org(オルグ」はいったい何やねん!何かっこつけとんねん!・・実は、「大人の事情対策」が原因で、「OpenOffice」という呼び名は権利的に怒られてしまうので、じゃあ「.org」くっつけたから別物ですからね!ということでくっ付いているらしいです。

#よって、ラルクアン「シエル」と呼ばせようとするような試みとは異なります

世間的には、「無料のマイクロソフトオフィス・・のようなもの」として知られています。残念ながら完璧な互換性はありませんが(表示が崩れたりします)、MSOfficeのファイルを開いたりすることもできます。よって、お金が無い人にとっての不完全な「オフィスの代用品」でもあります。

また、無料であることのみならず、「オープンソースなのでどこの組織の支配下にも無い」ことから、(主に外国の)官公庁などが採用されていることがあります。

また、OpenOfficeのファイルフォーマット(を基にしたもの)が、OpenDocument Format(ODF) という名前でISO標準(国際標準)の文書ファイルフォーマットとして採用されています。

また、WindowsやLinuxは言うに及ばず多くのプラットフォームへの移植がなされているため、Windows以外のOSで「オフィスみたいなことをする」際に便利な存在です。

例えば以前から話題にしている、インテルと対決中の「ARM」のマシンでも動作します。ARM+Linux+OpenOfficeで、互換性の部分はともかくもワードやエクセルのファイルが開けて編集できてしまいます(例:Netwalker)。

  • お金を払わなくて済む「オフィス」の代用品
  • どこの組織の支配下にも無いソフトウェア
  • Linuxを含むいろんな環境で「オフィス」が使える

また、無料なので「最初からフルセットがそろっている」点も「オフィス」とは違う点です。つまりPowerPointだけ別に買わないといけないみたいな事は無いということです。

特に日本だと、日本でニーズがある細かい機能が十分に無いこともあり、OpenOfficeは嫌だなと思う人もいると思うのですが、このようにその存在自体が画期的なところもあるソフトウェアなのですね。

◆来歴

もともとは、ドイツで開発されていたソフトウェアでした。無理に比喩をすると「ドイツにおける一太郎ファミリー」的な存在が、その元になったソフトウェアでした。つまり、Microsoft Office の攻勢に傾きつつあった、ドイツのご当地オフィスが元となっています。

1999年にJavaで有名なSunが、Microsoft Officeの圧倒的支配力を崩すことが目的で、上記のドイツの一太郎的ソフトウェアを持っていた「StarDivision社」を買収し、その後、無償で提供すると共に、そのソースコードをオープンソースにします。これが「オープンオフィス」の始まりでした。

その当時は「オープンソース」という単語が光り輝いてた時代、OpenOfficeは大きな期待を寄せられて他国では話題になります。しかし、日本においては日本語対応ができていなかったこともあり(たとえばOpenOffice1.0は全然駄目でした)、しばらくは普及が足踏みします。

しかし、OpenOffice1.0の一年後にリリースされたOpenOffice1.1から日本語版が作られるようになり、そこから次第に改良がなされるようになります。1.xでは新しいバージョンが出るたびに進歩が続き、1.0が出てから三年後、OpenOffice2.0で日本語については概ね問題なく使えるようになった印象があります。現在(執筆時点)では、3.3が最新バージョンです。

◆内紛の火種と、分裂

今回の話題は、残念ながらこの「OpenOffice.org」が分裂状態に陥っているというニュースです。

まずは以前から「もめごと」は存在しました。SunがOpenOffice.orgの公式のリリースに「何を取り込むか」でいろいろ煩い面があり、せっかく便利な機能を開発をしたのにOpenOffice.orgに取り込んでもらえないという理不尽な現象が起こっていました。

オープンソースですからソースコード自体は誰がどのようにしてもかまわなかったのですが、「公式リリース」に何を含めるかはSunに決定権があったわけです。そのため、Sunの意向に沿ったソースコードは取り込まれるけれども、そうではないソースコードは有用なのにほったらかしにされるということも起きていました。

そのため、以前からそのような不満を取り込んだ「分家」が存在していました。NovellなどLinux陣営が開発を推進していた「Go-OO」というOpenOfficeから分家したソフトウェアでした。こちらには、リリースに取り込んでくれなかったが明らかに便利な機能、例えば「VBAの互換機能」が搭載されるなどしていました。

また、開発人員が少ない上に活動が遅いこと、特に日本においては日本でのオフィスソフト利用で求められる機能が遅々として実装されないこと(罫線の機能が貧弱など)への不満もありました。

でもまあ、ここまでは概ね問題なかった時期の話です。

分裂状態の原因となったのは、データベースでおなじみのOracleによるSunの買収でした。これにより、Sunの持っていたソフトウェアはOracleのモノとなり、Sunの技術者はOracleのモノとなります。

買収後、Oracleは色々なことについてSun時代とはやり方を変えてしまいます。その結果、Oracleのやり方に反感を持つ人が沢山出てしまいます。例えば、有名なところでは、Javaを開発した人(ジェームスゴスリングさん)はOracleを辞めてしまい、その後Googleへ入社してしまいます。MySQLの作者も離脱して、「MariaDB」という別プロジェクトを開始してしまいます。。

このような現象は色々なところで発生しますが、不幸なことにOpenOffice.orgについても、離脱の騒動が発生してしまいます。

Oracleに不満を持った開発の主要メンバーが「The Document Foundation」という新しいグループを結成、OpenOffice.orgに代わって「LibreOffice」の開発を行うと表明します。そして、これをLinux陣営の各社が支持することを表明、上記のOpenOffice.orgの分家である「Go-OO」も「LibreOffice」と合流することを表明します。

The Document Foundation(LibreOffice)はOracleに対し、主要開発者が多量に離脱してしまったことも背景として、「OpenOffice.org」の名称を寄付するように要請をします。もし、Oracleがこれに応じていたら、「LibreOffice」は「OpenOffice.org」の名称を再度獲得して分裂は避けられるはずでした。

しかし、Oracleはこれを拒否するとともに、LibreOffice関係者に対してOpenOffice.orgから去ることを要求するようなことまで起きてしまい、(ひとまず)分裂は決定的となってしまいます。

◆今後どうなるのか?

その後、LibreOfficeからはリリースがなされ、OpenOffice.orgもそれとは別に開発が続けられています。

LibreOfficeの活動:

  • 2010年9月28日 3.3.0 beta 1 (最初のリリース)
  • 2011年1月25日 3.3.0
  • 2011年2月23日 3.3.1
  • 2011年2月23日 3.3.2
  • 2011年5月予定 3.4.0

とりあえず現在のところ、LibreOfficeの活動は盛んです。資金集めも順調で、Linux陣営からも支持も取り付けています。また、Sunがリリースに取り込んでいなかった機能もどんどん追加されつつあります。日本に関係あるところでは、長年対応してくれと言われ続けていたのに放置されていた、破線の罫線にあっさりと対応してしまっています。

また、日本の自治体でのOpenOfficeの採用例として良く知られる「会津若松市」が、LibreOfficeの試用を開始しています。

会津若松市がOpenOffice.orgの派生ソフトLibreOfficeの試用を開始 (2011/03/29)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110329/358882/

今のところ、LibreOfficeの快進撃が目立ちます。しかしまだ分裂してからわずかな時間しか経過していません。よって今後どうなるのは解らない面があります。

一方で、Oracle側もOpenOffice.orgの3.4の開発を続けています。今のところは劣勢だといえるかもしれませんが、Oracleがテコ入れするようなこともありえることで、何がどうなるのかわかりません(また逆に、開発者が多量に抜けた影響で、今後はプロジェクトを十分に維持できなくなるかもしれません)。

また、「OpenOffice」なら聞いたことがあっても、「LibreOffice」の名前は聞いたことが無い人が大半ではないかと思います。そもそも、LibreOfficeの読み方すらわからないのではないかと思います。ちなみにLibreOfficeは「リブレオフィス」と読みます(Libre=自由な)。

一般人向けに「マイクロソフト以外のオフィス」について説明をしている人にとっては、また名前を覚えなおして貰わないといけないだけで面倒なことだと思います。

思想的にどちらかの共鳴する人はそちらを使えばよいのでしょうが、安定しているものを使いたいだけの人(おそらく多くの人)にとってはちょっとめんどくさい状況となっています。

今後、どちらかが本流となるか決着のつかぬまま本格的な喧嘩が続くようなことになると、困った感じになります。例えば、Oracleが白旗を揚げて一つに合流して仲直りとかしてくれれば、ありがたいのですが・・

OpenOffice3.3で様子見をしつつ、LibreOffice3.4とOpenOffice3.4の様子を比較して判断するのが良いかな、と思っていたのですが、使っている人の話によるとLibreOfficeは悪くないらしく、早速移ってみようかと悩み始めたり・・

#誰かどうすればいいのか教えてください

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コメント

ごくふつうにOpenOfficeのバージョンアップみたいなつもりでLibreOfficeを使ってますが、そういう感覚だと「内紛」みたいには見えないですね。単なるフォークで、フォークしたやつのほうが使いやすいやね、みたいな感じで。

投稿: 松本 | 2011/04/04 20:53

OpenOffice.orgの3.3にはバグが少なからずあって一部は私にとって致命的でしたが(例えば、2行以上じの文字列を含む図形をGDIメタファイルで貼り付けると、文字列の2行目以降が1行目の文字列になってしまう)、LibreOfficeの3.3.2では修正されています。その他、若干ですが、日本語に関する新しい機能も追加されています(文字数・行数を基準としたインデント・行間設定等)。やはりOpenOffice.orgは対応が遅いので、今では完全にLibreOfficeに移行してしまいました。

投稿: manomi | 2011/04/06 23:02

LibreOffice、最高です。今後にも大変期待しています。
私も、完全にLibreOfficeに移行してしまいました。

投稿: jk | 2011/07/15 11:25

こんにちは。なかなか興味あるお話ですね・・・。

小生が聞いていたのは(どこかのニュースだったと思いますが)、「もうオラクルは今後 Open Office の開発を続けない、と表明した」と言うものだったので、「これから未来永劫 Open Office 3.3」を使い続けるのかなぁ?OS が変わり、対応しなくなったらどうしようか??」などと悩んでいました。

早速 Libre Office 使ってみたいと思います。有り難う御座いました。

投稿: Ryo-chan | 2012/01/05 06:50

うむむむ。2011年頃はそうだったのかー
参考にさせて頂きます。

投稿: わきこわきこ | 2016/11/01 17:49

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