490 ロシアのWiMAX、LTE陣営への寝返り決定
WiMAXネタです。
ロシアでWiMAXをサービスインしているところが、WiMAXに見切りをつけ、LTE陣営に寝返ることを決定したようです。
これによりロシアのWiMAXは閉店へ向かう可能性が出てきました。
◆WiMAXロシア戦線が崩壊
ロシアでは、Yota(ヨタ)というところがサムスンの支援を受けてWiMAXのサービスを行っていたのですが、開始早々にWiMAXに見切りをつけ、LTE陣営に寝返ることを決定したようです。
まずはニュースを引用、
WiMAX陣営大手の露ヨタがLTEに方針転換 - 2010年中に提供へ
http://wirelesswire.jp/Watching_World/201005241129.html
ロシアのモバイルブロードバンド事業者ヨタ(Yota)が5月21日(現地時間)、これまで商用展開していたWiMAXに見切りを付け、LTEに転換すると発表した。同社はWiMAX事業者としては大手の1社であり、この方針変換は世界のWiMAX推進派にとって大きな逆風となる。
「LTEに転換すると発表した」のであって、LTEに寝返るんじゃないかな?という予想の記事ではありません。WiMAXやめます、と公式に言ってしまったというニュースです。
なお、サービスインはなんと日本よりも後です。にもかかわらず、もう見切りをつけてしまったようです。
サービス提供は2009年6月
何もしないうちに撤退を決断したのではなく、WiMAXを一度真面目にやってみてから、その上で「これはもう撤退だ」と判断がされています。
WiMAX用基地局4500基以上を設置
利用者数は50万に達していた模様
さらに、サムスン(モバイルWiMAXの重鎮)の全面支援を受けてWiMAXのサービスインを行っていたはずですから、
・サービスインからまだ一年経っていない
・本格的にサービスインしているので、撤退は痛みを伴う
・サムスンからの支援も受けている
ちょっと嫌だった、というレベルならこのような判断はなされないでしょう。
しかも、LTEへの乗り換えは早期に行いたいようです。
ヨタは今後1億ドルを投じて、2010年中にロシア5都市でLTEをスタートさせる。またその後にサービス提供エリアを15都市に拡大する計画で、投資額はあわせて20億ドルに達するとのこと。
「2010年中」ですから今年中です。本当にそんな時期にサービスイン出来るかどうかはともかく(難しいように思えます)、LTEの機材が調達可能になり次第すぐにサービスインしたいと考えているようには思えます。
◆WiMAX新興国戦線もピンチ
ご存知の通りWiMAXは最初、モバイル通信の歴史を塗り替える革命的技術であるというような説明で登場しました。
しかしその後、技術的な問題点などが指摘されるようになるにつれ、携帯電話とは住み分けて共存する技術であると言われるようになったりします。例えば、携帯電話と無線LANの間を埋めるものである、とか。つまりは「撤退」したわけです。
日本で2.5GHz帯の争奪戦をやっていた頃には、革命的技術であるという誤解(話題の古い人には)と、住み分けて共存する技術であるという理解が混ざっている状態だったと思います。
そしてその後、旗色が悪くなるにつれ、先進国とはモバイルブロードバンドの事情が違う国では有望である、というような言われ方がするようになります。
つまり、確かに先進国では負けてしまいそうだけど、しかし新興国と途上国ではモバイルWiMAXが普及して住み分ける形となります、新市場では有望なんです、と。
しかし、今回の件で「新興国」のロシアでも駄目だったことが明らかになりました。このままだと、また新しい「説明」を作らないといけないことになりそうです。
◆日本のモバイルWiMAXはローミング先を失った
ロシアのYota(ヨタ)は、日本のモバイルWiMAXと国際ローミングすることになっていましたが、その話も無くなるのではないかと思います。
まあもともと、日本とロシアの両方で使いたい人はほとんど居ないとは思いますが、WiMAXはオープンな世界標準規格だから、誰でもWiMAXの機器を作れて世界中で使えるという謳い文句、そろそろ大人の嘘を混ぜたとしても使えないフレーズになりそうです。
・欧州ではそもそもスルーされる
・米国では大炎上(WiMAXをやめるという「噂」もあり)
・中国は国家ぐるみで上陸拒否
・ロシアで戦線崩壊
・韓国でも閑古鳥
・台湾は敵前逃亡状態
日本でも順調とは言えません(契約者数では)が、世界では一番頑張っているように思えてきます。しかしこれでは日本が何とか踏みとどまったとしても、「ひとりWiMAX状態」になりかねません。
なお、元の記事はWiMAX陣営のボスのはずの「インテル自身もLTEに逃げ出しそうだ」という締めになっています。
WiMAX推進グループの中核にいる米インテル(Intel)も状況の変化に対応している。ドイツの経済紙が報じたところでは、インテルは独チップメーカーのインフィニオン(Infineon)からワイヤレス部門を買収することを検討しており、この買収を通じてLTEその他のワイヤレス技術へアクセスしようとしているという。
まだWiMAXバブルが残っているころから書いてきた通り、インテルは他のWiMAX陣営参加者とWiMAXとの関わり方が違います。一度サービスインしたら命がけのキャリアとも、基地局や端末を売るところ(こちらは「売り逃げ」も一応可能です)とも違い、半導体販売のオマケに過ぎないからです。
インテルにとって商売の本丸ではないことから、旗色が悪くなったらボスが部下を捨てて先に逃亡する事態になるかもしれないと書いてきましたが、どうもそういう流れに見えます。少なくともLTEとの二股はなさるようです。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。

コメント