携帯電話12月の純増数:厳しい数字がいくつか
携帯電話の2009年12の純増数についての記事を投稿します。
事前に予想投票を行いましたので、まずはその答えあわせから。
◆まずは答えあわせ
まずは結果の数字そのものと予想投票の答えあわせをしたいと思います。
結果:
- DoCoMo 13万8800
- KDDI 6万3600
- SBM 16万5300
- EM 7万2900
- WILLCOM -4万2400(PHSのみ:-5万500)
- SBM > DoCoMo > EM:11票 (35%)
- SBM > EM > DoCoMo:11票 (35%)
- EM > SBM > DoCoMo:3票 (9%)
- EM > DoCoMo > SBM:1票 (3%)
- DoCoMo > SBM > EM:2票 (6%)
- DoCoMo > EM > SBM:3票 (9%)
正解は、
- SBM > DoCoMo > EM:11票 (35%)
でした。基本的には意外感の無い結果だったのではないかと思います。
◆各社の数字
今月もソフトバンクが一位でした。今月の二位はドコモで、ドコモとの差は2万6500でした。いつもよりは二位との差は多めですが、相変わらずの「小差の一位」です。
三位にはイーモバイルで、イーモバイルの数字は先月と同じような数字です。お客さんがデータ通信中心なので、他社との増減の傾向が異なっています。
KDDIは相変わらずそこそこの純増数のままです。
またウィルコムの数字はここしばらくと同じ傾向ながらも、悪い数字になっています。また、そもそもが良い数字ではありません。
全体としては、基本的には意外感のない結果だったのではないかと考えています。
◆ソフトバンクの気になる数字
では、その他の気になる数字についてチェックしてみましょう。
関東力チェック:
まずは「SBMの純増数がなぜか関東に集中している件」が今月はどうなったかというと、
- SBM(全国) 16万5300
- SBM(関東) 10万8700
いつもよりも「関東力」は弱めですが、しかし過半数が関東のままです。
第二世代巻取りの状況:
次に、ソフトバンクの「第二世代巻取り」の状況を見てみましょう。ちなみに第二世代は三月末で停派しなければならないことになっています。少なくとも免許の上では。
- ソフトバンク(第二世代) 78万1800(前月より-9万7400)
残りあと三ヶ月で78万のままです、12月も巻き取り数は10万に届きませんでした。これはもう絶望的な数字です。つまり「ソフトバンクは第二世代を十分に巻き取れないまま4月を迎える」ことはほぼ確定しました。
50万以上が巻き取れずに残る可能性が大きくなってきました。この巻き取りペースだと60万以上が残るかもしれません、巻き取りは進むにつれて面倒になってしまうからです。
よってソフトバンクは3月末(四月頭)に何もしない場合こういうことがおきます。
シナリオ:
- 巻き取れなかった第二世代は停波と共に純減として処理
- SBMの純増数に「マイナス50万以上」の数字がのしかかる
- 3月末は大幅純減となり、連続純増一位は再度途切れる
残り5万ならともかく、50万ではどうしようもないはずです。しかし、「純減した事情は非常にわかりやすい」ことも確かで、一度に処理すればその後困らないのも事実です。しかし、純減を回避するとこうなります。
シナリオ:
- 巻き取れなかった第二世代は停波後も理由をつけてカウントしたままにする
(停波後の乗り換えを待っています、とか何とか)
- 「マイナス50万以上」は何らかの方法で「分割返済」することになり、その後にわたってソフトバンクの純増数の重荷になり続ける
その後何年経っても処理しない、なんてこともあるかもしれません。
さらには以下の反則シナリオもあります。
シナリオ:
- 2010年4月になっても停波を行わない
「まだ50万以上ものお客様が残っており・・・」
- 1.5GHz帯を次世代に使おうと思っていた他陣営の次世代計画は混乱
念のために書いておくと、以下は不可能になりました。さすがにここからの「きれいな巻き取り」は不可能なはずです。
シナリオ:
- ソフトバンクが必死の巻き取りを行う。
- 三月末の時点で、数万程度が巻き取れずに残る
- 普通に純減処理
ソフトバンクは「第二世代の巻き取り問題」は当然理解しているので、何らかの対策を既に立てているはずです。さて皆さん、ソフトバンクはどうすると思いますか?
今月の写真立て配布状況:
基本的には「純増数稼ぎ」の側面が大きいのではないかといわれている「写真立て」についての数字を見てみましょう。
通信モジュールの純増数
- DoCoMo 3200
- KDDI 1万3500
- SBM 6万7700
なお、通信モジュールの純増数は事実上写真立ての純増数と同じと見なせるはずです。今月の純増数は「16万5300」ですから、相変わらず高い比率で写真立てだったことになります。
念のために書いておきますが、私は写真立てについては良い面もあると思っていますので(記事にしました)、純粋に悪い現象だとして書いているわけではないことは一応断っておきます。
◆モバイルWiMAXの二回目の数字は・・・
そして今回最も注目される数字は、「モバイルWiMAXの二回目の数字」が出ていることです。携帯他社と違って毎月の数字は出ず、今のところ四半期(三ヶ月)に一回の発表がされることになっています。
そしてその数字ですが、あまりよろしくありません。
UQコミュニケーションズ12月末の契約者数(注:純増数ではない)
- 12月末:6万3600
前回発表されたのは9月末での数字でした
- 9月末:2万1700
またさらに考慮しなければならない要素として、サービスイン時に端末を無料で多量に撒いている、というものがありました。それを考えると9月末の数字では、サービスインから半年経ったにも関わらずあまり数が増えていないという困った結果になっていました。
そして今回ですが、
- 9月末→12月末:4万1900 (一ヶ月あたり、およそ1万4000)
つまり、他社と同じ基準にすると
- 純増数はわずか1万4000
という結果となりました。個人的には予想外の少ない数値です。
9月末の時点ではあまり積極的なCMや売り込みは行っていなかったのですが、最近では盛んにTVCMや販売を行っています。それでもこの数字だからです。
以前から(イーモバイルに関連して)書いてきたとおり、「純増数は契約者数が少ないほうが有利」です。それはなぜかというと・・
- 純増数
= 新規契約数 - 解約数
= (新規契約数は予算を突っ込めば増える傾向あり) - (既存の契約者数×解約率)
現在では携帯電話市場は飽和しているので、なおさら解約の効果が大きい意味を持っています。ドコモがそれでも純増で健闘しているのは、解約率が非常に低いためです。
UQコミュニケーションズは「既存の契約者数」はほぼゼロです。つまり、解約の効果の重しがほとんどありません。また、TVCMをがんがんやっています。これは新規契約に予算を突っ込んでいることになります。
それでも1万4000、というのはちょっと厳しいんじゃないだろうかと思います。
◆モバイルWiMAXにとって厳しい2010年
モバイルWiMAXの有利な点は「先んじている」点でした。しかし、十分なリードを作れないままに2010年には次世代のライバルがそろうと思われます。
まず、次世代本命のLTEが登場して世間の注目をかっさらうことになるはずです。例えばドコモは、LTEのサービスインの準備をもう行っています。
LTEが登場するのは今年の後半になるはずですが、それよりもずっと前に「イーモバイルが42Mbps化」することになるはずです。つまり、
「あとしばらくで、日本最速の座はイーモバイルに奪われる」
のが確定しているということです。42Mbpsは「スペックだけ」の数値になるでしょうが、それは40Mbpsでも同じことです。そしてモバイルWiMAXの「40」より「42」の方が数字は大きいのです。
次の発表は4月頭になります。UQコミュニケーションズの「売り込み」の努力は続けられることでしょうが、その結果はどうなるのでありましょう。
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コメント
ソフトバンクの巻き取り策ですが、停波時に3G用プリペイドSIMを強制送付して「○○円分チャージされたSIMをサービスでお送りしました。お使いになる場合は端末を自費でご購入下さい」、なんてのはどうでしょう。
イーモバイルが、電話で解約を申出た人にいくらかチャージしたプリペイドSIMを送付することがあるらしいので、この方法をソフトバンクが頂く可能性はあるかな、なんて想像しています。
投稿: | 2010/01/10 23:27
龍馬でごまかす!
投稿: DASEW | 2010/01/11 12:42
いまのUQ WiMAXの純増数をイーモバイルと比べると、大変な不振に見えますが、両社をサービスインから半年時点で比較してみるとそれほど差はないように思います。
この件は私のblogでもちょうど取り上げたところですが、サービスエリアが不備な段階での純増数は低迷して当たり前ではないでしょうか。今後UQがテイクオフできるかどうかは、需要期の3月までにエリア整備に目処をつけられるか、一定の知名度を獲得できるか、PCへのWiMAX内蔵が進むか、この三点にかかっていると思います。
投稿: aquila | 2010/01/11 14:18
UQ WiMAX に同情する余地はあると思いますが、大丈夫か大丈夫でないかで考えると、あまり大丈夫じゃないと思います。問題はそこだと思います。
投稿: | 2010/01/11 19:23
同情の念を禁じえないが、高速PC定額通信が存在しない時勢のイーモバイル登場と、
当世のUQのおかれる状況から、今後同じ経路をへて同じ程度の成功を得るのは難しいかと思います。
投稿: DASEW | 2010/01/11 22:22
>両社をサービスインから半年時点で比較してみるとそれほど差はないように思います
あなたの目は節穴ですか?
UQ:サービス開始7ヶ月 21700
サービス開始10か月 63600
イーモバイル:サービス開始6ヶ月 122300
サービス開始10か月 238500
たぶん、最初の4か月は試用期間だから含まないとか言うのでしょうが、タダで端末配った上に、お金払えば誰でも契約できたわけだから、むしろイーモバイルより有利だし、イーモバイルも最初の3ヶ月は試用期間という位置づけでしたから、条件は同じです。
投稿: 1 | 2010/01/14 02:33
ビックカメラやヨドバシはイーモバイルに出資してるからイーモバイルの販売に力入れてるのは分かるけどUQのMVNO始めた経緯は何なのだろう?始めた割には放置気味
投稿: | 2010/01/16 00:58
auのガンガン系サービスが思ったより好評を博していないのが不思議です。
こんどのガンガン系な学割はうけるでしょうか
投稿: | 2010/01/20 22:54