496 ドコモが北米市場に再挑戦:ここから「ケータイ」が世界に広まる可能性
ドコモがMVNOで北米市場に再挑戦することを検討しているというニュースについて、これが、日本のケータイが世界に広まるきっかけになる「かも」しれないということを書いてみたいと思います。
「また失敗するだろ」という意見もごもっともで、私も「失敗する可能性は高い」と思いますが、
「今回はこれまでの失敗を踏まえ、これまでとは違うこととしようとしているかもしれない」
ので、今度は海外進出に成功する可能性があります。
◆ドコモがMVNOで北米再進出へ
ドコモ、米国進出へ 高性能端末を武器に
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090905/biz0909051150008-n1.htm
NTTドコモが米国で、MVNO(仮想移動体通信事業者)として携帯電話事業の展開を検討していることが5日、分かった。
ドコモが北米に「再チャレンジ」するようです。
「再チャレンジ」なのは、かつてのiMode帝国時代に北米のAT&Tへの出資を行ったものの巨額のロスになってしまったことがあり、その失敗をカウントすると「二回目」となるためです。
今回の「パートナー」も前回と同じAT&Tですが、今度は出資ではなく「MVNOでの参入」という新しい形での参入を目指すことになりました。
また、ドコモはこれまでずっと世界中の携帯電話会社にドコモの作った「iMode」を売ってきましたが、これとも異なる新しい試みになります。
◆かつてのiModeのチャレンジと、今回のチャレンジの違う点
かつての出資の場合と今回が違うのは、出資の場合はドコモの影響力がAT&T自体や携帯電話網自体に及ぶような感じになりましたが、今回はMVNOですから、純粋に「携帯電話回線を使わせてもらう権利」だけを買うことになることです。
出資とは言っても完全に買収するような話ではなく、「AT&Tに意見が言える」程度のことでした。ドコモの北米展開は「意見が言える」範囲でしか行えませんでした。MVNOの場合には回線を使えるようになるだけで他のことはできませんが、借りた回線をどうするかはドコモが自由にできます。
また、これまでドコモが世界中で行ってきたように、現地のキャリアに「iMode一式」を売りました、という形とも違います。今回の話は、「ドコモ自身がサービスを行う」からです。
これまでいろんな国でiModeが導入されましたが、どうも上手く行っていません。日本のドコモの成功と同じ成功をと思って導入に踏み切り、ドコモからiModeのシステムを提供してもらい、そしてサービスインしたものの今ひとつ利用されずにサービス停止。基本的にこの繰り返しだったはずです。
そもそも、日本以外ではiModeのようなものは商売として成立しないのかもしれません、そういう可能性も当然にあります。しかし、ハードは買ったけど、正しい「使い方」を理解していなかったから駄目だったという可能性もあります。
つまり、立派なハコモノを建てるだけ建てたが、有効活用する方法はまったく知らずに無駄になる、田舎の立派な設備のように。
あるいは、アニメの作り方と制作システムを売っても、日本のアニメと同じような感動を与えるものを外国人の組織で作れるか、というと難しい、というようなことが起こっていた可能性もあります。
もちろんドコモはシステムを売るだけではなくノウハウも移転しようとしたはずです。なにしろドコモ自身がiModeの導入時にいろいろ苦労しているので、システムを買って動かせば自動的に成功するようなものではなく、そんな簡単なものではないことは知っているはずです。
ですが、ノウハウの移転というものは一般的に容易ではないことです。
◆今度こそ、本気でiMode=日本のケータイを海外に
そういうわけで「ドコモ自身がサービスをやらないと成功させるのは難しい」と思ってのことではないかな、という気もします。
ドコモの「海外」と言えば、どうしても失敗の歴史になります。AT&Tに投資して大失敗したことに始まり、世界中のいろんな国にiModeシステム一式を売り込んだのに、どうも成功しているとは言い難いとか。
ですから、またドコモが同じ失敗を、という話になりがちではないかと思います。実際、また失敗する可能性は結構高いとも思うのですが、それでも今回に関しては、
「ドコモはこれまでとは違うことをやろうとしている」
ので、今回はこれまでと違って成功するかもしれません。
もし、ドコモが北米で成功すると、そこから先の可能性は大きく開かれています。ドコモは北米での成功をさらに他の国へ広めようとするでしょう。、
そして、他の国でも同じ方法で成功できたなら、ドコモは現時点では世界に存在しない「新しい形の通信事業者」として世界に君臨することになるかもしれません。
つまり、携帯電話網で商売をするのではなく、携帯基地局の商売でもなく、端末の商売でもなく、コンテンツを提供するサイトでもなく(ドコモのiModeではドコモ自身はコンテンツ提供しないことに注意)、「ケータイ」を提供する世界企業として。
これまでの経緯を踏まえると、ドコモが海外の事業者にiModeのシステムを売ってノウハウの移転まで試みても成功しなかったのですから、もし海外でこの方法が成功するとなると、
「iModeのシステム+ドコモ固有のノウハウ」
が組み合わさらないと成功しないということになります。「真似が難しい」のは商売としては良い性質です。
しかも自前の携帯電話網などを持つ必要は無く身軽です。安売り方向ではなく高付加価値のサービスの方向、あらゆるモノと繋がってゆく能力、日本式の高性能高価格な携帯電話が売れることにもつながります。
よって、もし成功すれば大化けする可能性「も」あります。
◆「日本のケータイ端末メーカー」をドコモが助けてあげようとしている?
携帯電話は世界にありますが、「ケータイ」は日本にしかありません。したがって、ケータイである携帯電話を作っても日本でしか売れない(売りにくい)という悩みがあります。
ですが、もし日本以外に「ケータイ」が存在しうる場所が存在するなら、そこへ向けて日本の「ケータイである携帯電話」を売り込むこともできることになります。
つまり北米でドコモが成功するためには、日本のケータイ電話機が必要不可欠な要素であって、結果的にドコモが先頭に立って「ケータイオールジャパン」が世界進出をする最初の一歩になるのかもしれません。
ドコモのMVNO計画が上手く行くかどうかはともかく、とりあえずはドコモが買い付ける北米向けの端末は売れますし、どういう形にせよ(例えば、結局ドコモはこれまでと同じく失敗するだけだったとしても)日本の携帯電話を知ってもらえるきっかけにはなるはずです。
◆成功するかどうかはよくわかりません
ドコモの「海外」の歴史とは、つまり失敗の歴史です。
ですから今回も(今回の大方の意見の通り)、また失敗に終わるだけの可能性も高いと思います。
しかし、今回の挑戦はこれまでとは少し違っていて、成功すれば良いことが起こるかもしれないので、ちょっとは期待しても良いのでは無いかと思いました。
日本には世界に通用する新しいビジネスが必要ですが、「iMode=ケータイ」もその候補に入れてあげても良いはずのもので、もしドコモの北米進出が成功すれば、日本にとっても良い知らせとなるかもしれません。
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コメント
imodeなんて廃れる運命でしょ。PCサイトが携帯で見れる時代、時代遅れも甚だしい。PCを知っているひとが、携帯サイトには戻れません。もし、アメリカでimode、お財布ケータイ、ワンセグなどの機能を売りに参入するなら、大失敗に終わるでしょうね。
あと、週末だけ表示される記事というのはこの記事ですか?
投稿: | 2009/09/07 00:26
前コメの人、分かってないよね
iモードだってPCサイトみれるし
携帯サイトしか見ない?
iphone最適化したサイトしか見ないiphoneユーザが
世界で増えていそうなんですけど・・・
iphone最適化サイトってある意味携帯サイトだよね
iモードがiphone、WM、NOKIA S60に並ぶ
4番目のスマートホンプラットホームになろうとしていることだよ
中国ではFOMAが大人気らしいし
アメリカでFOMA+iモードがかっこいいという評価を
得られたならiモードは大きく変わると思う
ただ得られるかどうかはかなりギャンブルなんだけど・・・
投稿: 姫 | 2009/09/07 07:01
imodeとiphoneを同列に扱うなんてお花畑もいいとこだな。
で、FOMAは中国で何億回線契約してるって?
最適化なんて当然だろ。そんなこといったら、携帯で見るサイトは全部携帯サイトということになる。imodeの強みはなんだい?キャリアが儲かる囲い込みビジネス?いらないいらない。imodeをPCサイトが見れますよって売り込むのかい?wわかってないのは君だよ
投稿: | 2009/09/07 08:26
KDDIのように、単にアメリカ在住日本人向けのサービスじゃないの?挑戦とかいう話じゃなく。
投稿: | 2009/09/07 09:12
ドコモがLTEの首魁としてじきじきに立ち上げの活動をするとか?
「ちんたらダラダラGSMのアメ公どもに任せてたら日が暮れっちまわあ!」
というますらおぶりで日米同時LTE発信フルスロットルだぜ!?
投稿: lte | 2009/09/11 20:34
タタドコモGSMでは結構好調のようだ
投稿: ※ | 2009/09/29 21:04