モバイルWiMAXの障害「報告」が多すぎる件について
モバイルWiMAXの障害報告のページが面白いことになっているという話題について、余計なことを書いてみたいと思います。
◆多発でも丁寧でもなく、手抜きかなと
WiMAXに障害多発? UQの障害報告の方針
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20090703_299856.html
7月1日の本格サービス開始以来、UQコミュニケーションズのWebサイトでは連日、WiMAXサービスの障害発生がアナウンスされている。携帯事業者の障害報告としては著しい頻度であり、同社にその真相を聞いた。
こうした事態について、UQコミュニケーションズに真相を聞いたところ、UQでは「WiMAXサービスの障害発生状況に関するお知らせ」において、基地局1つ1つで発生している障害についても全て公表しているという。確かに障害発生エリアを確認してみると、「東京都○○区○○1丁目周辺」などと非常に小さなセル単位での障害報告となっている。
記事にもあるとおり、いわゆる通常の意味での障害多発と呼ぶものとは少し違う状況です。
他社では障害としないものを報告していることから、これを顧客への姿勢がどうのこうのという話にしてしまっている人もいるようですが、それも違います。気持ちがどうのこうのという話はそもそも意味が無いことが多いですが。
おそらく、これはこういうことで発生している現象にも思えます。大雑把に説明すると、
・基地局自身に「私は今こういう状態です」という情報を送ってくる機能がある。
・その機能で送られてくる情報を、基本的に直結でそのままウェブに表示している
他社は通常こうしているはずです
・基地局自身に「私は今こういう状態です」という情報を送ってくる機能がある。
・送られてきた情報は、携帯電話会社の基地局指令本部みたいなところに表示される
・表示された情報をもとに、担当者が実際に何を起こっているか判断して対処する。
・担当者が公表すべきことがあると判断した場合、障害がアナウンスされる。
◆報告していること/実は報告していないこと
ただ、どうも悪意の手抜きには思えません。そうではなくて「賢い方法だ」と思って採用した方法にも思えます。
お客様に基地局1つ1つで発生している障害についてすべて公開しており、情報をオープンにする顧客指向であり、これからはこういうビジネススタイルであるべきで、包み隠さないことでコストまで削減される、という話だったのかなと。
でも例えば、「○月○日に関東地方でメール送信が難しい状態になっておりました」の代わりに、メールサーバのログを完全公開されてもそれでは意味が解りません。
区別されるべきものが区別されていない気もします。つまり、情報の大小じゃない気がします。
まず、基地局に機能不全が発生していることと、利用者へのサービス内容の低下(利用者に不便が発生していること)が発生していることは、区別される必要があります。
例えばある基地局が壊れたとしても、周囲の基地局で応急処置して実質的に問題ないような場合には、故障があってもサービスには影響はありません。その逆に、基地局には何の問題も無くても、予想外の通信が行われて輻輳してしまった場合には、サービスに影響しています。
また、サービス内容の低下があったとして、特に報告せねばならないことかどうかの区別もされなければなりません。サービス内容の低下には、利用者との約束を守れていないレベルのものと、そうではないものがあります。
例えば、壊れた基地局を周囲の基地局で応急処置したので速度がいつもより半分くらいしか出なくなった地点がある場合、解消されるべきですし、できればそういうことも解るようになっているほうが親切ですが、約束破りのレベルではありません。
一方で関東全域で通信不能になったような場合には、こちらは約束破りですから、確実に報告しなければなりません。
つまり
・基地局の運用状況
・サービスの状況
・約束破りが発生したかどうか
は区別して報告されるべきではないかと。
ただもちろん、細かい情報が全部出ていること自体は決して悪いことではないので、情報を出すなといっているわけではありません。例えば、小さい「約束破り」すら報告しないような方針よりは良い方針かもしれません。でも、必要な情報が良くわからないという意味では、似た結果だとも言えます。
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