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503 ソフトバンクに厳しいニュースが最近多かったなという話

ここしばらく、ソフトバンクに厳しいニュースが多かったな、というあたりをまとめて書いてしまいたいと思います。


◆とうとう基地局の数でAUに抜かれる

もはや時間の問題でもありましたが、携帯電話の基地局数でAUに逆転されてしまいました。

ソフトバンクはドコモと「数」で競っていましたが、ドコモははるか先に行ってしまっただけではなく、AUにも「数」で追い抜かれてしまいました。

以前から書いていることですが、AUは基地局を数より質で整備してきており、その上で数でも追い抜かれてしまったので、現時点での基地局網の能力には決定的な差がついていると考えてしかるべきでしょう。

AUは800MHz帯の周波数変更のための基地局入れ替えがあったり、2GHz帯の平行整備を進めているので800MHz帯との二重になっていて数が増えている面もありますが、コスト面はともかく、少なくとも容量面では良い方向に働いているはずです、質的な手抜きが無い上で数が増えているのですから。

◆さようなら8円ケータイ

8円ケータイの廃止の「テスト」が一部地域で行われていることは記事にしましたが、とうとう全国で廃止されてしまうようです。

ソフトバンク、基本使用料を「月月割」の対象外に
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20090717_303192.html

ソフトバンクモバイルは、携帯電話を「新スーパーボーナス」で購入した際に受けられる割引「月月割」について、8月19日以降の契約では基本使用料を「月月割」の対象外にすることを明らかにした。

端末代金を一括支払いすれば月額8円のケータイができる、がお盆明けに終了です。

ソフトバンクでは、今回の割引対象の変更について「将来的なサービス品質の向上のため」と説明している。

以上が中止の理由ですが、意外と真実を言っている気がします

◆第二世代の巻き取り時期迫る

以前に書いたとおり、ソフトバンクは来年の四月までに(2010/03/31まで)に第二世代の停波を行う義務を負っています。電波の免許がそうなっているためです。

つまり、残り九ヶ月で、第二世代の利用者を第三世代に移動する必要があります。さもなくば、移行せずに残った数がいずれそのまま「純減」になります。

しかしまだ6月末時点で、第二世代の利用者は150万人。しかも、数が減るにしたがってどんどんと「移動してもらうのが難しい」人が残ってしまいます。巻き取りは絶望的にはなっていませんが、しかしちゃんと巻き取れるのか良くわからない数字です。

さらに、巻き取りにはコストもかかるのです、熱心に巻き取ろうとすればするほどコストはかかります。ソフトバンクには頭の痛い話のはずです。

◆総務省からの回答は「だめです」

総務省が「MNOのMVNO化は原則禁止」の方向性での議論を提示,接続政策委員会から
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090707/333362/

ソフトバンクは、携帯他社から回線を借りたり、基地局の設置場所を借りたりしようとしていました。

他にも要求があったかもしれませんが
・都会の混雑を緩和するために回線を借りたい
・田舎のエリア不足に対処するために回線を借し出させたい
・基地局の設置場所を借し出させたい

ソフトバンクがイーモバイルの回線を借りるという話は、最初の目的を果たすための貸し借りでした。この貸し借りについては、イーモバイルとの同意ありでの貸し借りでした。しかし、基地局を持っている携帯電話会社(MNO)が回線を借りる(MVNO化)は責任放棄ではないか、ということで騒動になっていました(過去に記事にしました)。

「MNOがMVNOしてはいけない」というのは、これまで暗黙に当然のルールだと(他社は)思ってきただけで、明文化された禁止ルールではありませんでした。しかしソフトバンクは「何を言っているんですか貸し借りする方が正しいのですよ」としました。

で、総務省がこの問題についてルールを決めることとなり、その結果は「ソフトバンクに対する『ノー』」でした。

「MNO(移動体通信事業者)がMVNO(仮想移動体通信事業者)になるローミング」について,事業者間で合意していない場合は原則禁止で検討していく方向性を打ち出した。

ソフトバンクは出来ればドコモから回線を借りたい(正しくは「ドコモに無理にでも貸し出させたい」)と思っていたようですが、これで「それはできなく」(原則禁止)なりました。

加えてソフトバンクが求めていた,800MHz帯を利用する携帯電話事業者(NTTドコモとKDDI)へのローミング義務付けについては,「必要性が乏しいのではないか」とした。

ドコモから田舎の回線を借りれば、お金を使いたくないソフトバンクとしては田舎の基地局整備のコストをかけずに済んで大変助かったはずですが、実質的に禁止されてしまいました。自分でエリア整備しなさい、と言われてしまいました。

ちなみにソフトバンクの言い分にも一応利はあって、儲からない(利用者の少ない)田舎のエリア整備を全社が並行して行うと無駄が生じるので、一社が整備してそれに各社が相乗りする方が良い、という主張でした。そして、他国でそういう例もあることを主張していました。ですが、さすがに無理(強制に貸し出させるのはさすがに無理があります)は通らなかったようです。

そして今回、逆にOKになったものは、

・事業者間で合意している場合
・競争促進や利用者の利便性が向上する場合

「合意している」というのは、ソフトバンクとイーモバイルの貸し借りが相当します。ただし、「自前でエリア整備しなさい」という方針には反します。

OKの場合の例としては、

・携帯電話事業者がWiMAXサービスを提供するなど異なる市場のサービスを提供する場合
・新規参入したMNOが基地局を全国展開するまで,暫定的に利用する場合
・トラフィックがひっ迫しているMNOが自社ネットワークを増強するために一時利用する場合

最初のものについてはつまり、ソフトバンクは2.5GHz帯を借りることはできそうだということ。モバイルWiMAXを借りたり、XGPを借りたりすることは問題ないようです。

次のものは、イーモバイルが時限付き/条件付きでドコモからエリア整備がまだの地区のローミングを受けている例や、似た条件付きでウィルコムがドコモから回線を借りている例が該当すると思われます。

最後のものについては、ソフトバンクがイーモバイルの回線を借りている話を「条件付き」で許可したものととれます。
・トラフィックが逼迫していること
・一時利用であること
イーモバイルから回線を借りっぱなしの前提で借りるのは止めてほしいようです。そうなると、一時利用が一時利用という名の恒久利用にならないようにする必要が生じます。だとすると、「トラフィックが逼迫していて」なおかつ「トラフィックの逼迫の自前での解消を十分に行っている」とか「期限が設定されている」というような前提が必要になりそうな気がします。

結果として総務省の回答は、「ほぼ全部ダメです」というものでした。

ただし、イーモバイルからPC定額の回線を借りるのを即時禁止されることは避けられたようですし、モバイルWiMAXやXGPを借りるのは問題ないようです。

ドコモの回線を借りるのは難しいようですが、何も借りてはいけない、ということにはなりませんでしたし、これらと1.5GHz帯の自前の次世代で今後は乗り切ることになるのでしょう。

なおソフトバンクが「1.5GHz」で何をする/何ができるのかについては、近いうちに書いてみたいと思います。こちらについては良い話もいろいろ考えられます。

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コメント

>一時利用が一時利用という名の恒久利用にならないようにする必要が生じます。
これはWILLCOM COREの定義に引っかかるんですよね、あれは無線LANやら3Gやら全て含んでますし
XGPが全国展開できたら本当に止めるのかな?

投稿: | 2009/07/26 19:46

>XGPが全国展開できたら本当に止めるのかな?
止めるのではなく、止められるのです。ドコモに。
2014年4月1日に、強制的に。

投稿: | 2009/07/27 09:01

芸人バブルが弾けたくさいのでS-1バトルを
「SMAPが1番」コンテンツにしてはどうか。

投稿: . | 2009/07/29 22:45

コンテンツパックをもうちょっと宣伝すればいいのに。

投稿: HT | 2009/07/31 21:44

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