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2009年6月の9件の記事

505 XGPとは「快適」な次世代通信なのかも

XGPの試験サービスについてのニュースが出てきたので、それについて書いてみたいと思います。


◆案外と悪くない

六月の中ごろを過ぎてから、「XGPを実際に使ってみた」系の記事が出てくるようになりました。

たとえば、

ウィルコムの「WILLCOM CORE XGP」、さて何Mbps出る?
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0906/17/news088.html

速報レビュー エリア限定でスタート、ウィルコム「XGP」の実力を試す
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/review/45821.html

WILLCOMからXGP端末借りてきたよ!
http://www.gizmodo.jp/2009/06/willcomxgp.html

【速報】下り10Mbpsを超えた! WILLCOM CORE XGP初体験
http://ascii.jp/elem/000/000/428/428389/

XGPは速かった! 条件が良ければ10Mビット/秒超も
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090617/332128/

ウィルコムの“次世代PHS”「XGP」を試す
秋葉原で下り通信速度11Mbpsを記録
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20090617/1016145/

ベンチマーク以上に体感が速い「WILLCOM CORE XGP」
http://blog.goo.ne.jp/cestaff/e/463f6cad634a3be8afffa0f8c1101034

第347回:上下20Mbpsの実力は? 「WILLCOM CORE XGP」を試す
http://bb.watch.impress.co.jp/docs/series/shimizu/20090623_295566.html


記事からは、こういうことが共通した傾向として読み取れます。

・XGPに大きな欠点は無いようだ
・好印象をもって書かれている傾向

正直のところ、私の予想としては初期のXGPは難儀なことになるだろうと思っていたので(かなり厳しいことになるかもしれないと思っていた)、こういう評判になったのはちょっと驚きでした。


◆意外に良い速度、良好な「使用感」

XGPが本来不利なはずの速度の面についても(後述)、少なくともWiMAXに大きく劣らないようです。

電波状態がきわめて良好な地点で計測した結果、速度が派手に出ている記事としては、

http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0906/17/news088_2.html

15.58Mbpsが計測できたとあります。電波状態がきわめて良好な地点だったとしてもなかなかの数字です。

また、実環境でも256QAMがきちんと動作していることが確認できる速度です。64QAMでは出ることの無い速度が出てしまっているからです。

他の記事でも電波状態がとてもよい場合には10メガを超えることがわかります。

おそらく、普段良く出る速度としては2-5メガくらいを期待しておけばがっかりすることは無く、調子が良い時には8メガくらいが出る、という感じになるのではないかとか思っています。

つまり、モバイルWiMAXと同程度くらいにはなるんじゃないかなと思います。

また、

・電波状態が悪くて速度が出ないような状況でも接続が切れにくい?
・屋内でも速度が落ちたり圏外になりにくい?(WiMAXと比較して)

ようです。後者については、マイクロセルだからかもしれませんし(基地局密度が高いから?)、四本アンテナの効果が出ているのかもしれません。

また他には、得意分野の上がり速度ではやはり優秀であることと、pingの値(応答速度)が良いようです。WiMAXが100msを超えることも多いのに対し、XGPでは50msを切ることが多いとかで。

好意的な記事が多いのは、応答速度が優秀なので、XGPでネットに接続し、まずウェブを見た時点で「固定回線のような快適さで使えてしまった」ために第一印象が良かったからではないかと思ったりしています。

また、モバイルWiMAXの(初期の)記事では、圏外が多いとか室内で不安定になるというツッコミが多かったのですが、XGPの場合はエリア内にいる分には、速度の上下はともかくちゃんとつながっていることが多いようで、そういう印象もないようです。

WiMAXとの比較をみんな考えますから、そういう「問題点」については気にしつつ使ったはずなのですが、不満が記事に出てきていません。おそらく、大きな問題点はなかったのでしょう。

たとえばこういう感想とか、

http://bb.watch.impress.co.jp/docs/series/shimizu/20090623_295566.html

実際に使ってみた印象としては、他のサービスよりも速度の安定性が高い点に感心した。同じ場所、もしくは少し場所を移動して計測したとしても、さほど速度にばらつきが発生しない。現状は利用できるエリアは限られているのものの、エリア内であれば比較的場所を問わず高速な通信が可能となっており、小さな“穴”があまりない。このあたりはマイクロセルの恩恵と言おうか、やはり安定性という点での魅力は大きいだろう。

こういう感想とか、

http://blog.goo.ne.jp/cestaff/e/463f6cad634a3be8afffa0f8c1101034

それにしても感じるのが体感速度の速さ。 初めて、NTTのBフレッツを使った時のような快適な使用感がある。 連続した巨大ファイルのダウンロードなどでは、40Mbpsくらいで通信もできる NTTの Bフレッツと比べることはできないが、一般の Webページを見るには、体感速度がまったく変わりがない。Bフレッツが言いすぎであれば、無線LAN 並み。

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20090617/1016145/

今回使用してみて、WILLCOM CORE XGPの圏内ではかなり快適に通信できると感じた。通信環境が良い場所では、10MBのファイル転送も十数秒で終わる。通信環境があまり良くない場所でも、安定して1M~2Mbps弱の速度が得られるため、Web閲覧やメールの送受信には全く問題がない。

次世代通信ということになるとどうしても速度の話になりますが、どうも速度では語れない良さがあるような気がします。

XGPは「快適」な次世代通信なのかもしれません。


◆XGPは速度では不利なはずだったが

XGPは本来、モバイルWiMAXに対して二つの点で速度面で不利です。

・上下対象(最大1.33倍不利)
・MIMOが無い(最大2倍不利)

ですが同じような速度が出ており、記事にある「速度比較」でWiMAXを超えてしまっている場合もあるというのが驚きです。

まず「MIMOが無い」については、このブログで何度も説明したのでおわかりの人が多いと思います。MIMOは基地局と端末の通信経路を複数確保することで通信速度(の理論最大速度)を倍々ゲームで増やす方法です。

現在のところ実環境ではMIMOはなかなかうまく働かないとされますが、しかし全く効かないわけではないので、WiMAXはMIMOにより速度面で有利なことになります。

※蛇足:現状ではMIMOはあまり効きませんが、将来の「次世代戦争第二ステージ」では、実際に効くMIMOが出てくるかもしれません

また「上下対象」についても説明をしましょう。まずは説明無しで図(というほどではないですが)を

↑:上り(端末→基地局)
↓:下り(基地局→端末)

それぞれの帯域の使い方
↓↓↓↑↑↑:XGP
↓↓↓↓↑↑:日本のモバイルWiMAX

XGPもWiMAXも、同じ周波数帯域を時間で上り通信と下り通信に使い分ける方法(TDD)を用いています。ですが、その時間の割り当て方が違います。

XGPはPHSとの互換性を取るためか、上下それぞれに同じ時間幅を割り当てています。つまり、下り信号に使える時間は1/2です。

一方のモバイルWiMAXは本来「上下比率を動的に変更できる」規格なのですが、この仕様を実際に利用すると危険な現象が発生して性能が大きく低下する可能性があるため、日本のモバイルWiMAXでは「上下比率を固定」して使っています。

※KDDIがWiMAXを良く調べて慎重にサービスインした証拠の一つです

おおよその比率としては、下りが2で上がりが1、つまり2/3が下りに使えます。

その上で再度先ほどの図を見てほしいのですが、XGPは矢印ひとつ分だけ下りで不利になっていることがわかります。

下りだけにする
↓↓↓:XGP
↓↓↓↓:日本のモバイルWiMAX

その代わりにXGPは256QAMを採用することによって高速化を行い、スペック的には64QAMでの矢印四つと同じスペックを達成しています。ただし、256QAMはノイズに弱く、実装が難しく、「事前には」実環境で使えるのかどうか怪しいと思われていたような次第でした。

・MIMOを採用していない(最大2倍)
・矢印一つ分だけ時間が使えない(最大1.33倍)
・256QAMはノイズに弱い

逆に言えばXGPは速度面でWiMAXよりも一段下の下り速度しか出ていなくても、何ら不思議ではありませんでした。

しかもXGPはまだ十分に完成していないため、基地局や端末は絶賛開発中(調整中)の状態です。

しかしながら、試験サービスでのXGPの速度はWiMAXと大きな差はなく、それどころか比較してみたところXGPの方が速度が出ているという記事まであるような結果になっています。

XGPが良く出来ているのか、基地局密度が高い(マイクロセル)だけなのか、それともWiMAXが駄目なだけなのかはわかりませんが。

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506 インテル vs ARM:「Androidはもう少しお待ちください」

スマートフォンやネットブック方面を巡る戦いについて、インテルではない側、つまり「ARMやAndroid」の話題について、いろいろと書いてみたいと思います。


◆クアルコムも実は「ARM陣営」の一員

「スマートブック」登場~クアルコムとフリースケール、インテル追撃へ
http://www.usfl.com/Daily/News/09/06/0611_029.asp?id=70591

ちょっと前のニュースですが少し。

スマートブックとは、スマートフォンをネットブック化したもののことを言います。あるいは、売る側の事情としてはそういう名前を定着させようとする動きがあります。

ただし、今のところは「非インテルでつくったネットブック」というような呼び方が、買う側にとっては自然な呼び方ではないかと思います。

スマートブックは、携帯電話側からパソコンの間を埋める動きであり、モバイルに攻めてきたインテルに対してのARM陣営の反撃の動きとも言えます。

この構図においては、クアルコムも「ARM陣営」のメンバーだったりします。SnapDragonという名前のスマートフォン向けのARM系のチップを独自開発しており、東芝が発売しているTG01などが採用しています。

インテルとクアルコムは、モバイルWiMAXを巡っても対立関係がありましたが、ATOMとARMの戦いにおいても敵同士になっています。

※クアルコムとインテルのモバイルWiMAXを巡る対立(過去の記事)
続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/749_wimax_f209.html

◆ARMへやってきたOS

ARM向けにはいろいろなOSが移植されています。

まず、Ubuntu が ARMなネットブック向けのLinux(Ubuntu)を作っています。

また、Javaで有名なSunが作っているUNIXである「Solaris」のARM版も作られることになりました。

OpenSolaris ARM版登場、組み込み進出
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/06/11/057/index.html

また、Debian(Linux)もARM版のサポートを行っています。

Debian GNU/Linux 5.0がARMをサポート
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/02/16/024/index.html

実はARMだけではなく、

サポートされるCPUアーキテクチャはSun SPARC(sparc)、HP Alpha(alpha)、Motorola/IBM PowerPC(powerpc)、Intel IA-32(i386)、IA-64 (ia64)、HP PA-RISC(hppa)、MIPS (mips/mipsel)、ARM(arm/armel), IBM S/390(s390)、AMD64/Intel EM64T(amd64)の12種類。

ということになっています。

実はMacOSXも実質上ARM版が作られています。それは何かというと「iPhoneのOS」です。なぜならばiPhoneのOSは、デスクトップ版のMacOSXをそのまま小さくしたような感じになっているためです。

もともとMacOSXは移植しやすいつくりになっているためでもありますが(インテル版のMacOSXが出た理由でもあります)、Appleはその気になれば

・ARM版のMacOSXベースのネットブックをアップルが発売する
・ネットブック用のOSとしてアップルがMacOSXベースのものを他社にライセンスする(Androidのように)

という驚天動地なことも可能です。

また、MacOSXどころではない「驚きの展開」の可能性も残っています。それは「マイクロソフト」です。

今のところマイクロソフトはスマートフォン方面ではWindowsMobile(WindowsCE)を使ってね、としています。WindowsMobileは見た目はWindowsに似せてあるところもありますが、デスクトップ版とは全く異なるOSになっています。

実はこれまでにも「WindowsCEベースのネットブックのようなもの」が作られて発売されたりしていますが、Windowsっぽいけれど実はWindowsじゃないということで、今ひとつ広くは受け入れられていません。

ですが、マイクロソフトには「奥の手」が温存されています。それは「Windows 7をARMに移植する」という最終兵器です。

今のところマイクロソフトはWindows 7をARMに移植するつもりはない、としていますが、マイクロソフトがデスクトップ用のWindowsをインテル以外向けに作ったことは過去にもあることなので、やろうと思えば出来ないことではありません。

もし、Windows 7がARMに移植されれば、かなりの大事件になるでしょう。


◆Androidはもうしばらくお待ちください

しかしながら現実問題として、これまでにARMなネットブックに使われたものとしては、

・Linuxベースのもの
・WindowsMobile(WindowsCE)のもの

です。

しかし、WindowsCEのものについてはノートパソコンのニセモノのようなポジションになってしまっており、LinuxについてはLinuxそのもののイメージで敬遠されています。「私にはLinuxは難しい」から最初から検討もされない、と。

Linux陣営にとって「このイメージ」は残念なはずですが、なかなか払拭するのは難しいはずです。マイクロソフトにとっては、(今のところは)普通のネットブックが売れれば別に問題はありませんから、売れなくて気にになりません。

そこで期待されているのが、そういう「難儀なイメージ」がなく、Googleの良くて新しいイメージをそのまま使えるAndroidです。また、そういうイメージなら、普通のパソコンと操作が大きく違っても、消費者は納得して使おうとするでしょう。

しかし、現状のAndroidは、スマートフォン向けにデザインされていることが問題となっています。例えばARM社としてはAndroidよりも、どうも今のところはLinuxを薦めたいようです。

ARM幹部が指摘、「Androidをネットブックに対応させるには多くの作業が必要」
加熱する“Androidネットブック”待望論にクギ?
http://www.computerworld.jp/topics/netbook/149310.html

ただし、上記記事のタイトルはどうにも誤解を生む感じです。「AndroidにはネットブックのOSの素養が実は無い」というようにも思えますが、

・"現行バージョン"のAndroidはスマートフォン向けでネットブックは想定外
・そのため現状では「多くの作業が必要」になる傾向がある
 例:一画面で同時に複数のアプリを使えない
 例:周辺機器への対応(デバイスドライバ)が面倒
 例:画面の見た目が映えないらしい(スマホサイズでデザインされている)

つまり、もうしばらく待つほうが無難、だそうです。

ただし、現状のままでも問題が無いのなら、例えば
・スマートフォン寄りのものにするので、あまり問題が無い
とか
・他社が手を出しにくい今だからこそ、困難は承知(むしろチャンス)で先に市場を制圧したい
というようなことなら問題なさそうです。

スマートフォン以外からも広く注目を受けるようになりましたから、Androidはこれからスマートフォン以外を明確に意識した開発が行われることになるはずです。もうしばらくするとこのあたりの状況は一変するかもしれません。


◆AndroidはARMだけではない

AndroidはARMと組み合わせて使われることが多いのですが、Android自体は特定の環境に依存するように作られていないので、いろんな環境で動作させることができます。

例えば、前回の記事で話題にした「MIPS」もAndroidへの参入を表明しています

MIPS、MIPSアーキテクチャによるAndroidプラットフォームサポートを発表
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/06/02/088/index.html

つまりARMでAndroidな製品だけではなく、MIPSでAndroidな製品も作れるようになるというニュースです。

また、他のいろいろな環境でもすでにAndroidは動いています。

Androidの移植はそんなに難しくなく、その辺の素人が酔狂でやっているほどです。そのため、さまざまなところが「とりあえず動かす」ということをやっています。

【MWC】ルネサスがSH-Mobileで「Android」を駆動(2008/02/15 04:42)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080215/147473/

日付が「2008/02/15」になっていることにご注意ください、つまり相当前の話です。また記事のタイトルにある「SH-Mobile」だけではなく、

英ARM社や,米Freescale Semiconductor社,NECエレクトロニクス,米Qualcomm社,米Texas Instruments社などがAndroidに基づくソフトウエアを実行する実演を行っていた。

だったようです。

極端な話「インテル+Android」でも別にかまわないことになります。ARMとインテルの戦いが、最終的に意外な形で決着する場合もあることになります。

また、どこでも動かしやすく、動かしたことを大きな声で言えば簡単に話題になるのですから、日本のプロセッサがAndroidの名前を使ってイメージアップを図っても悪くないのではないかと思います。たとえばSH-Mobile+Androidの組み合わせをプッシュしてみる、とか。

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507 インテル vs ARM:インテルがノキアと提携

インテルがノキアを提携した、というニュースについて書いてみたいと思います。


◆インテルとノキアが提携するらしい

まだ提携の具体的内容は明らかになっていないのですが、インテルとノキアが提携することが発表されました。

IntelとNokia、無線ブロードバンド時代に向けたモバイル機器開発で戦略提携
http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/06/24/intel_nokia/

ノキアとはいわずと知れた携帯電話端末で世界最大のところ。インテルはPC用のプロセッサで世界最大のところです。

発表でも
・これからどのような提携を行うのかというところ
・提携によって話がややこしくなるところ
への質問が浴びせられたようですが、具体的な回答は無かったようです。

まずこの二社に関連する話題としては、大きく二つのカテゴリがあります。

・モバイル用のプロセッサの話題:ATOM vs ARM
・次世代通信技術の話題:W-CDMA/LTE vs モバイルWiMAX

それぞれについて考えてみましょう


◆Linuxが共通項(MoblinとMaemo)

「モバイル用のプロセッサの話題」については、インテルとの提携なので当然ながら、今後はノキアはインテルのチップを採用する方向で検討をするという説明はされましたが、具体的にどのようにするかについては発表がされていません。

ただし、インテルにとってATOM採用抜きでの提携は意味がありませんから、こういうスマートフォンの発売が検討されている「かも」しれません。

・(Nokia+Symbian)+ATOM/Moorestown
・(Nokia+Maemo)+ATOM/Moorestown
・Nokia+Moblin

ちなみにMoorestownとは「次世代ATOM」のコードネームです。

SymbianやMaemoについては過去にも記事で触れましたが、両方ともNokiaが自分の手元に置いているモバイル用のOSです。

Symbianは昔から欧州で使われているモバイル用に設計されているOSで、日本でもドコモの携帯の一部がOSに用いています。Maemoは聞き慣れない名前だとおもいますが、これは要するにLinuxの一種です。

両方とも現在は非インテルなCPUで動作しています。しかしこれをインテルへ移植する話があるかもしれません。ただしSymbianについては比較的面倒が多そうなので、こちらは何もなしかもしれません。

三つ目のMoblinとは、インテル自身が育成中のモバイル用途向けのIntel+Linuxです。こちらは逆にインテルが育成中のものをノキアが採用する形になります。

NokiaのMaemoもLinuxベースですから、当然統合しようという話はでているようで、

・Linux(Moblin+Maemo)+ATOM/Moorestown

という話は進むことになりそうです。

そして当然のことながら「ARMとの関係はどうするんですか」という質問が浴びせられましたが、ノキアは実に典型的な回答で、

「ARMとの関係を悪くするという提携ではございません、ARMとも今後とも良好な関係を続けます」

という何の情報も無い回答だったようです。ノキアがARMとの関係をどうするのかは解りません。


◆モバイルWiMAXについての言及は無し

もう一つの話題である「W-CDMA/LTE vs モバイルWiMAX」については、あまり具体的な話は無かったようです。

インテルがHSPA/3Gの技術ライセンスを受けるという発表がされたものの、モバイルWiMAXについての話は無かったようです。

ノキアはモバイルWiMAXに深くかかわっていた時期もあったのですが、かといってW-CDMA/LTE陣営でもあり続けていました。そしてモバイルWiMAXのブームが去ってゆくとともにだんだんと距離を取りはじめ、最近ではモバイルWiMAXの端末製造を中止したりしています。

今回も特に話は無かったこと、ノキアが一度撤収モードに入ってしまっていることからも、モバイルWiMAXについての提携は前提に入っていないのではないかと思います。またそもそものインテルも最近ではエリクソンと協力したりしていますから、「HSPA/3Gの技術ライセンス」の話題もあまり新しい情報ではありません。

よって、まずは

・Linux(Moblin+Maemo)+ATOM/Moorestown+HSPA/3G

というものを作る話になのではないか、と思います。

インテルの意図はとても解りやすいのですが(ARM対策)、ノキアにとっての利益についてノキアはどう考えているのかは、はっきりとしない話でもあります。

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508 中国で「国策CPU」の計画が頓挫の件(TD-SCDMAの近未来かも)

中国が国策で開発していた独自CPU開発計画が、事実上敗北宣言をしたのではないかというニュースです。

校正不足で投稿しますがご容赦ください。


◆まずはARMの説明から

中国の国策技術の一つが白旗を揚げることになりました。

中国国産CPU「龍芯」戦略“失敗”、実質的な敗北宣言
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0618&f=it_0618_001.shtml

米ミップス・テクノロジーズ(MIPS)は17日、中国国産CPU「龍芯」の開発者・中国科学院計算技術研究所との間でMIPS32とMIPS64の権利供与に関して合意に達したと発表した。

これが実際に何を意味するか解るためには「MIPSって何」ということを理解する必要がありますので、まずその説明をしたいと思います。

その説明のための説明(おい)として、ちょっと長い寄り道になりますが、MIPS に似た存在である ARM についての説明を経由して説明したいと思います。このブログでこれまで話題にしてきたものから説明したほうがわかりやすいだろうということで。

ARMは携帯電話などの消費電力が厳しい世界で広く使われているCPUです。現在モバイル世界に攻めてきたインテルと戦っているCPUです。

ARMにはインテルと根本的に違う点があります。基本的にインテルのCPUはインテル自身が設計製造しています、しかしARMは「ARM社」はCPUの設計を行っているだけで、基本的に製造は行っていません。

では携帯電話に使われている「ARM」は誰が作っているの?というのが以下の説明です。

ARM社は他社に「CPUの基本設計」を他社にライセンスすることだけを行っています。

他社はそれを用いて実際の用途に合わせた「実際に生産するチップ」の設計図を作ります。その際にはARM社以外からの「設計図」と組み合わせて、複合的な機能を持っている専用チップにすることも出来ます。完成品を買ってくるしかないインテルとはこのあたりが違います。

設計した後も自社で生産をするとは限りません(自社で作らないほうが多いでしょう)。設計図面を「製造専門の会社」に「こういう設計図のチップを○万個製造してください」と発注して作ってもらう、というような分業がなされています。

ARMが広く使われているのは、こうやってその製品専用のチップが作れてしまうことにもあります。低消費電力で高性能でありつつ、用途に特化した無駄がないチップが作れるためです。

ちなみにiPhoneのCPUも、こういう次第にてAppleがiPhone専用に設計して量産されています。

なお、設計図面だけを受け取って製造を請け負う会社のことをファウンダリと呼びます。台湾が得意な分野です。

なお蛇足ですが、日本は困ったことになっており、

・国産CPUはいろいろ作られてきたものの、ARM社のような存在になったものはない
・世界的に通用するファウンダリが日本にない

ということになっています。

これで単に日本に技術力が無いだけなら簡単な話なのですが、日本は技術力で大きく遅れているわけではない、というところが悩ましいところです。

つまり、SH-MobileがARMのように世界を席巻している可能性や、日本が世界から半導体製造を一手に引き受けている未来が実現していた可能性もあるにはあったのです。

◆MIPS社

ARMと同じように、CPUの設計図だけ売っている大手が他にもあります。それが今回のニュースに出てくる「MIPS社」です。

MIPSが採用されている製品の例としては、プレイステーション(の1と2)、NINTENDO64などがあります。

プレステ用のCPUはプレステ用に専用設計されており、製造は東芝が行っています。つまり、MIPS社はCPUの基本設計をライセンスし、それを用いて東芝とソニーが専用CPUを設計し、製造は東芝が行っています。

では、もう一度ニュースを引用して、「意味」を理解してみましょう。

米ミップス・テクノロジーズ(MIPS)は17日、中国国産CPU「龍芯」の開発者・中国科学院計算技術研究所との間でMIPS32とMIPS64の権利供与に関して合意に達したと発表した。

中国の国策CPUである「龍芯」を開発していたところが、なぜだか MIPS社 から設計のライセンスを受けたというニュースということがわかります。

中国の本来の目標は、独自開発したCPUを作る、というものでした。

それが独自CPUの開発を行っていたはずの当事者が「MIPS」のライセンスを買ってしまった、というのがこのニュースです。

MIPSを中国独自にカスタマイズすれば、一応「独自」ではあります。しかしそれを「完全に独自」と名乗るにはちょっと無理があります。同じ理屈を用いると、プレステのCPUは「東芝の作った日本独自のCPU」という事になってしまいます。

確かに「微妙」な部分もあるにはあります。例えばプレステ2のCPUは、MIPS社の提供したものをそのまま使ったというよりは日本で新たに価値を与えられた感じがありますが、しかし東芝がインテルと同等の仕事をしたとみなしたり、日本独自のCPUとは言い難いと思います。

ちょっと無理がある比喩にも思えますが、

ドコモを倒そうとして基地局を整備していたが、その自前の携帯電話網を放棄して、他社からMVNOして対抗することにした、ようにも思えます。

そして『龍芯』とは、「放棄した自前の携帯電話網」を指す単語だったはずです。

MVNOでオリジナルのサービスと全く異なるサービスを作ることは可能です。ですが、本来中国が目指していたのは「インテルの代わりになる国産のもの」でした。これではインテルを倒そうとすることになるのかどうか。

#「インテルを倒せ」は、実際に『龍芯』開発におけるスローガン


記事には以下のようにあります、

中国現地の半導体専門家によれば、「『龍芯』が発展するには、単独でMIPSと契約するのが唯一の出口だった」として、今回の提携に前向きなコメントを発していると同時に、「これは中国の『自主知的財産権』におけるCPU技術取得の戦略的失敗を意味する」とも指摘している。

MIPSベースで高性能なCPUを作る話がどうなのかはともかく、とりあえず、これまで『龍芯』と呼ばれていたものは、もう終わったのではないかと思います。

「国家の意思」が技術的現実の前に頓挫したという結末になったようです。


◆これまで

日本では『龍芯』はあまり大きな話題になっていないので、大きな動きもなく消えてしまった話なのではないかと思えたりするかもしれません。でも、結構本気での開発がされていました。

開発自体は20世紀から10年以上続いているはずですし、研究室で試行錯誤している段階で終わった話でもありません。

例えば2007年の春のニュース

中国のCPUとインテルのFabとの微妙な関係
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0704/12/news027.html

中国産CPU「龍芯2E」を搭載したデスクトップPCが最近になってリリースされた。PC以外でも、シンクライアントや、サーバ、POS端末などで龍芯2Eを搭載した製品が発表されている。龍芯2E搭載PCをリリースしたメーカーのひとつ「龍夢科技」は、「1000台限定」「価格1599元」ですでに完売したという。それを信じるならば「順風満帆」の出だしといえるだろう。
中国科学院は龍芯2Eを「2006年の10大科学技術成果」に認定している。なお、ここで認定された“10大科学技術成果”でIT関連は「龍芯2E」だけ。

どうでしょうか、話だけ、机の上だけで消えた話ではないのです。

製品まで作られて中国国内に売り込みがなされていた、ということです。TD-SCDMAで例えるなら、基地局整備と端末開発もなされ、サービスインをしたところまで行ったということです。

なお中国人の反応はTD-SCDMAなどに対する反応と見事に同じのようです、

ニュース系Webサイトで紹介された龍芯記事のコメント欄には「中国産だから応援する」「中国のアップルになれ」という書き込みが並ぶが、「俺は買うぜ」という言葉は確認できなかった。

中国が独自に作ったものだと聞いたら熱く応援はするものの、個人として買うか買わないかの話になるととたんに冷静になって誰も買わない、といういつものパターンです。


【中国】中国産 CPU 搭載「龍芯電脳」、年末に欧州市場進出(2007年9月18日 16:00)
http://japan.internet.com/finanews/20070918/26.html

中国が独自開発した CPU「龍芯(Loongson)」の重要な提携パートナーである藍迪科技はこのほど、この CPU 搭載の「龍芯電脳」(龍芯盒子とも称す)が、年末に欧州市場で発売開始されることを明らかにした。

藍迪科技の王剛総経理によると、この「龍芯電脳」は世界第5位の半導体ベンダであるスイスの「ST マイクロエレクトロニクス(ST)」とフランスの Linux 大手「Mandriva」が提携し、欧州市場への進出を図るという。販売価格は100ドル前後になる予定。

ST は今年3月、3,000万元を出資し中国産 CPU「龍芯2E(Godsun-2E)」の製造及び全世界における5年間の販売権を買収、欧州市場に進出する伏線を張っていた。

3,000万元は(現時点で)4億円くらいなのではありますが、「確かに国策だった感」はわかる記事なのではないかと思います。

中国独自規格のCPU「龍芯2F」 100万枚の量産開始
http://www.cbm-ch.jp/china/news/post_841.html

世界に向けた大量生産の計画があったということもわかります。

なお、当事者はこういう釈明をなさっている模様。

中国科学院 龍芯の戦略失敗における質疑に回答
http://opensourcechina.blog92.fc2.com/blog-entry-200.html

中国科学院コンピュータセンター所長の李国杰院士,龍芯研究チーム長の胡O武氏は昨日関連する質疑に応え、龍芯の研究開発はすべて独自のもので、コア技術は外部の制限を受けず、MIPSアーキテクチャのライセンスを購入したことは龍芯の自主的財産権には何の影響ないもないと語った。

「何の影響ない」んだそうです。


◆TD-SCDMA

強大な力で国策を推進するとなるとかなりの迫力はありますが、でも無理なものはやっぱり無理なこともある、というのが『龍芯』の結論ではないかと思います。

さてそうなると気になるのが、似た状況にも見えてしまう「TD-SCDMA」の今後です。

もし中国が今回の『龍芯』と同じ方法で携帯電話技術の「つじつまあわせ」をするとしたら、TD-LTEを他技術のカスタマイズ版にすることになります(TD-SCDMAへの他技術の移植はもう難しそうですから)。

・LTEのTDDなもののどれか
・モバイルWiMAX
・802.20
・XGP

以上がTDDで次世代なものになります。ただ、TD-LTEのことを考える間もなくTD-SCDMAが全部をご破算にしたら、次世代などどうでも良いことでしょうけど。

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509 アナログ停波で北米の次世代戦争が秒読み状態に(LTE vs WiMAX vs HSPA+)

いろんな重要ニュースがあったにもかかわらず、どういうわけかその他のニュースに関する記事を先に投稿。

#肩慣らしとも言う


◆アメリカでアナログ地上波が停波

アナログ停波当日の米国,「大きな混乱はなし」とFCCが報告
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090615/331895/

アメリカで6月12日にアナログ地上波が停波しました。

上記記事は停波を行った当事者が「大きな混乱はなかった」と報告したというニュースです。FCCというのは日本で言う総務省みたいなところで、アメリカの電波の使い方を仕切っているところです。

日本で例えると総務省自身が「総務省の計画はとりあえず成功しました」と発表した、というようなニュースということになります。

記事中では以下のようにあります、

FCCによると,無料サポート電話には当日,31万7450本の問い合わせがあった。約30%がアナログ-デジタル変換器の動作に関するもので,そのほとんどは,電話の指示に従い再度デジタル放送波をスキャンすることで解決した。
米Nielsenの調査によると,6月7日時点でデジタル放送に対応していない家庭は,全テレビ視聴世帯の2.5%にあたる280万世帯だった(関連記事:アナログ放送終了目前,米国の280万世帯が地デジ未対応 )。

こういう状況だったとして、日本だったら「大混乱した」と言われるような気がします

ただアメリカはケーブルテレビ経由での視聴をしているところが多く影響を受けにくい傾向があることと、そもそも日本と違って不平を言う人が少ない傾向があるので、停波できたのかなと思います。


◆「LTEの足止め」は続かなかった

混乱があったかどうかはともかく停波が行われたのは確かです。不満を持っている人が実は大勢居たとして、まさかここからアナログの電波がもう一度飛ぶことにはならないでしょう。

これでアナログ停波を待っていた「700MHz帯」も利用可能になりました。停波が遅れるとその分だけモバイルWiMAXが逃げる時間になったのですが、それももう終わりです。

そもそもオークションで帯域を売ってしまったために、あまり遅延させると携帯電話会社から「巨額のお金を払ったのに約束踏み倒しで使えないとはどういうことか」「弁償してください」ということになりかねない、という圧力も、早期停波への圧力になっていたはずです。

ともかく、

ベライゾンの「LTE@700MHz帯」

のサービスインを妨げるものが無くなったことになります。ベライゾンは2009年中にLTEを開始したいと言っており、LTEのフルスペックを発動可能な「20MHz×2」の帯域を確保済みです。もっとも、20MHz幅をまとめて使うかどうか解りませんが。

LTEはPC向けのデータ通信などでスタートするようですから(そもそも初期には消費電力の問題で電話機への搭載は無理)、近いうちに北米で「LTE と WiMAX の正面対決」になる可能性は高いと考えられます。

フルスペックでのサービスインになったばあい、スペックでの100メガ超えは確実ですから、相当なニュースになって世界に広がることになるはずです。

年末までには、北米から「ものすごいニュース」が飛び込んでくることになるかもしれません。

また、700MHz帯を獲得したもう一つの勢力「AT&T」は、700MHz帯をまずは HSPA+ に使うことになっています。例えば、ベライゾンのLTEが技術的理由で2010年後半に遅れたとしても、HSPA+ は現時点ですでにサービスインできる状態にあります。

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510 接続料問題:一方で千本会長曰く「接続料は半額にできる」

少し前のニュースになりますが、興味深いのと、他があまり取り上げていないので記事にします。


◆接続料(アクセスチャージ)問題とは

まず簡単におさらいをします。

現在、主にドコモとソフトバンクの間で「接続料(アクセスチャージ)」というものが原因でもめています。発端はドコモが「ソフトバンクの接続料は高すぎる」とか、接続料経由で他社ユーザにホワイトプランの穴埋め負担をさせているのに等しいのではないか、というようなことを言ったことでした。

例えば、

NTTドコモ,ソフトバンクとの携帯接続料格差に不満を表明
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090311/326363/

なお、念のために説明をすると接続料とはこういうものです。

例えばドコモを使っている人(Aさん)が、ソフトバンクを使っている人(Bさん)に電話をするとき、通信はこういう感じになります。

ドコモの電話機 = [ドコモの携帯電話網] = [ソフトバンクの携帯電話網] = ソフトバンクの電話機

この場合の「電話料金」はAさんがドコモだけに支払います。しかし、通話ではソフトバンク側の設備も使っています。

日本ではこういう場合に、「ドコモからソフトバンクに接続料を支払う」という習慣があります。

ちなみにアメリカでは、Aさんがドコモ部分の料金を、Bさんがソフトバンク部分の料金を支払うという、お金の計算上はとてもわかりやすい仕組みになっています。
#ただし、携帯電話に出るだけでお金を取られることになりますが

ドコモの不満は、

・ソフトバンクの接続料設定が妙に高い
・ドコモ→ソフトバンク、ソフトバンク→ドコモ、それぞれの通話の量は同じくらいであるにもかかわらず、ドコモからソフトバンクへの支払いが100億を越えている
・ソフトバンクは接続料の根拠を明らかにしなさい

ちなみにドコモとAUは法律の決まりによって、接続料の根拠を明らかにしています。

また注意すべきは、ドコモは「値下げしろ」と言っているのではなく、「値段の根拠を公平公正な形で明らかにしなさい」と言っているということです。本当に正当な事情があっての高い接続料なら仕方ない、と言っているわけです。

ですがソフトバンクはこれに応じる事が出来ずにいます。こういう話になると臆病になるはずのドコモが自信を持っているあたり、ソフトバンクの接続料設定には全く根拠が無いとドコモはみているのでしょう。

ちなみに、接続料の差額による収入は、結果的に「他社のユーザから料金を取る」という形になりますから、ホワイトプランの穴埋めの一部を、あべこべにも他社ユーザに強いているとみなす事も出来ます。だからドコモは不満があるのです。


◆実際の接続料(アクセスチャージ)の金額一覧

接続料が実際どれくらいかを、ドコモが暴露してしてしまっています。

接続料(アクセスチャージ) とは
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/keyword/44715.html

2008年度の接続料(3分あたり):ドコモが暴露

NTTドコモ
 区域内:28.80円
 区域外:32.40円

KDDI
 区域内:31.50円
 区域外:39.24円

SBM
 区域内:38.70円
 区域外:45.36円

イー・モバイル
 全区域:29.34円

確かに突出してソフトバンクが高いことがわかります。

しかもソフトバンクは、弱小キャリアは安く出来ません、と主張しているのですが、何とイーモバイルの接続料が安いことも同時にばらされてしまっています。


◆千本会長、「接続料は半額でもまだ高い」

イーモバイルの千本会長ですが、接続料騒動が本格化する(本格的に炎上する)前に、接続料についてのインタビューに答えており、そこでなんとソフトバンクと正反対の主張をしています。

「接続料は半額可能」 新規参入のイー・モバイル会長に聞く(2009年3月9日0時7分)
http://www.asahi.com/business/topics/TKY200903080153.html

――どの程度が適正だと。

 「実際にかかっている費用は現在の接続料の3分の1ぐらいではないか。利益を上乗せしても半分にはできる。払うのは各社同じだから、一斉に下げれば経営への大きな影響もない。接続料が下がり競争が働けば通話料金も下がる

なぜ接続料がこの額になるのか、各社は根拠を明らかにしていない。接続料は着信時にかかる費用の回収が目的。広告費用も契約獲得費用も、端末の開発費用も関係ない。なぜ固定電話に比べ5倍以上も高いのか。適正な費用から算出しているのか疑問だ

三分の一(実際にかかっている費用)とは「10円くらい」という事になります。そこから利益を載せたとしても「15円くらいでも十分利益が出るはず」、という驚くべき主張をしています。

「一斉に下げれば経営への大きな影響もない」というのは、自社だけが下げるとソフトバンクとドコモの間のような現象が発生して「差額による他社への支払い」が出てしまいますが、同時に値下げをすれば通話量が同じなら値下げは互いに帳消しになって持ち出しは発生しないという主張です。

ちなみにイーモバイルとしては、接続料が下がって競争が働いて通話料金も下がった状況での戦い、を望んでいるから、という事情による主張でもあると思います。

これでイーモバイルの接続料が高かったら単なる言いたい放題ですが、ドコモが暴露した通り、イーモバイルの接続料は確かに安く設定されています。

ともかくも、「接続料は10円とちょっと」にしても本当は赤字にならないはず(イーモバイル調べ)、だそうです。

さてどうしますかソフトバンク。

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511 イーモバイルが8月上旬にHSPA+(21Mbps)を開始すると発表

イーモバイルが、21Mbps(HSPA+)をサービスインすると発表した件について

#推敲せずに投稿(すみません)


◆2009年8月上旬にHSPA+(21Mbps)を開始

まずはニュースの引用をします。

イー・モバイル,21Mbpsの通信サービスでWiMAXに対抗
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090608/331526/

イー・モバイルは2009年6月8日,受信速度を最大21Mビット/秒に高速化したHSPA+(high speed packet access plus)方式のデータ通信サービスを8月上旬に開始すると発表した。早期に既存のサービス提供エリアの70%程度で利用できるように対応を進め,UQコミュニケーションズのWiMAXサービス(関連記事)に対抗する。
通信料金は1年間の継続利用を条件とした場合の二段階定額プランで月額580~5980円。

イーモバイルが、8月上旬に最高速度を21Mbpsに引き上げる予定だそうです。

前からこのブログを読んで頂いている方には「イーモバイルは『あれ』をするのですね」というだけ話だと思いますが、少し振り返ってみたりしたいと思います。

まず、この高速化は、次世代技術によるものではなく、現行世代(第3世代系)の技術をさらに発展(延命)させたものです。次世代技術(LTEやWiMAXやXGP)に対して、イーモバイルは当面は第三世代系の技術で対抗することにした、ということになります。

ドコモやAUは、現行世代の技術への追加投資よりも次世代(LTE)の早期展開を優先する予定ですから、上位二社とは違う選択肢を取っていることになります。


◆実効速度(実際に体感できる速度)の高速化は限定的

また(このブログをずっと読んでおられる方にはもはや常識だと思いますが)、

「21Mbpsと大幅に高速化する」という話になっていますが、実際にユーザが体感できる速度の向上は、さほどでは無いはずです。

またまた再度になりますが(そして随分と話を単純にしていますが)、
・3.6Mbps(3.5世代の基本速度:この時点で3.6Mbpsに近い速度は出ない)
・7.2Mbps(3.6Mbps×2:ただし実効速度はそんなに速くならない)
・14.4Mbps(3.6Mbps×4:さらに実効速度の向上効果は限定的になる)
・64QAM化(×1.5:ノイズに弱くなる代わりに一度に転送する速度を向上させる、電波状態がとても良い場合のみ高速化)

今回の高速化は「下の二つ」を使って「スペックを三倍にする」というものです。しかし、どちらの高速化についても、実際の効果は限定的ですねえ、という感じのものです。

ですから、利用者としては高速化にあまり期待するべきではないですし(「もう少し速くなるかも」くらいの期待が一番適切)、イーモバイルとしては「スペックは凄くなっているが実効速度はさして高速化していない」ことを悟られないようにする必要があると思われます。

特に「現状で速度があんまり出ていない」イーモバイル利用者は、あまり高速化は期待できないはずです。速度が出ない理由としては、

・ノイズが多くて速度が出ていない
・混雑が激しい

まず前者についてですが、新技術の景気の良い「高速化します」のニュースは、電波状態が良い場合には高速化するという話が基本なので、その前提が外れている場合はさほど高速化はしないと思った方が無難です。

後者については、混雑が解消しない限りは結局現在と似たような速度のままのはずです。十分な速度が出るのは、「空いている」場合だけですから。

よって、21Mbps化での高速化をはっきりと体感できる人は、現時点で「相当速度が出ている」場合に限られると思われます。


◆展開速度は比較的速いと思われる

よって、実際に速くなるかどうかという点については、世間の普通の人が「21Mbps」という数字から素直に受けるような印象を期待するべきではないと思います。

しかし、21Mbps対応のエリア拡大については、思ったより早く行われる事になると思います。記事にも、

早期に既存のサービス提供エリアの70%程度で利用できるように対応を進め

とあります。

なぜに早期のエリア拡大が可能かというと、今回の高速化は「基地局のハードウェアはそのまま」で「信号処理の方法」を変更しての高速化だからです。そして今時の携帯電話の基地局は信号処理をソフトウェア的に実現している事が多いので、基地局をアップデートするだけで対応できてしまう(ことが多い)ためです。

基地局が新しいものではない場合には、基地局のアップデートで対応できる範囲を超えてしまう場合も発生しますが(例えば、ソフトバンクの基地局には「古すぎる」「パワーアップできない」基地局が多い)、イーモバイルはサービスインしてから間もないため、結果的に新しい基地局が多い傾向があります。

ただ本当は、HSPA+の本当の性能を出そうとするなら、基地局配置や基地局のアナログ部分の性能まで、きちんと考慮しないと性能が出ない面もあるので、ただ単に「基地局がHSPA+の電波が飛ばせればよい」というものでもないのですが、

「21Mbpsに対応しました」

と、とりあえず名乗るだけのことなら、それ無理矢理じゃね?ということになっていても別に問題なかったりします。


◆他社への影響

記事にはWiMAXへの対抗策、とあります。

WiMAXは7月スタート(HSPA+開始よりも前)で、スペック上の最高速度も40Mbpsとなっているため、イーモバイルに数字上のリードを許す事はありません。しかし、エリア面ではイーモバイルにかなりのリードがありますから、確かにWiMAX対策にはなる事でしょう。

#WiMAXの40Mbpsも、体感速度とあまりにかけ離れた非現実的数字ですが

ただし、以前の記事で書いたように、イーモバイルが「HSPA+の第二段階」の「42Mbps化」を実現した場合には、イーモバイルが日本最速の座を取り返すことになります。実現するには、物理的な設備投資が必要になるMIMO化か、投資はほとんど必要ないものの、新帯域が必要になるマルチキャリア化が必要になります。

前者はお金がかかったりするのが面倒ですが、比較的早期(場合によっては2009年中)に42Mbps化が可能になります。後者(新帯域)については今すぐは無理ですが、1.5GHz帯や1.7GHz帯の割り当ての流れによっては実現します。ただし、新帯域の割り当てはイーモバイルにとってあまりに有利な結果を生むので、携帯他社が反対する可能性もあります。

#とりあえずソフトバンクは反対するのではないか、と思います。

また、XGPのサービスイン時のスペック上の最高速度は20Mbpsで、正式サービスインは秋になっていますから、スペック上の最高速度でも、サービスインの時期でも、XGPが一歩遅れをとる形になります。

ただし、XGPは現時点で既にWiMAXよりもスペック上の数値が劣る(スペック上は日本最速ではない)ことが前提に入っていますから、基本戦略は崩れないはずです。スペックよりも実効速度、速度より容量、という方向性ですから。しかし、影響を受けないというわけには行かないでしょう。

また、記事を書く予定で遅れている話題なのですが、AUが採用を表明した「マルチキャリアEV-DO Rev.A」ですが、結局「三本束ねの3.1×3の9.3Mbps」となるようなので、7.2Mbpsには勝てても14.4Mbpsや、ましてや21Mbpsには勝てないことになります。

よってAUが一時的にでも「第三世代最速」の座を奪還するのは難しい感じになりそうです。まあ、AUの戦略はそういうことは全く重要視していませんが。

ソフトバンクについては取り残され感で困っているのではないかと思います。ソフトバンクも早期LTE派ではなく、HSPA+を経由する派なのですが、イーモバイルと違い基地局が古かったり非力だったりするため、7.2Mbps化どころか3.5世代化そのものも不十分な状態です。できることなら21Mbps化はもっと後になって欲しかったはずです。

ドコモについては21Mbpsを採用する気が無いだけで、採用するとなると圧倒的速度でエリア展開がされ、性能面でもちゃんとHSPA+の性能を引き出す事をやってくれるはずです。

現状ではLTEの早期サービスイン優先で、21Mbps化はスルーする可能性のほうが高いと思いますが、ドコモが「やっぱりやります」と言った場合には、やはりドコモが世界最強のHSPA+網を作り上げる事になると思います。

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512 携帯電話5月の純増数:これまでの通りだが、全体が減った

少し間があいてしまいましたが、アンケートもやりましたので5月の純増数について少し書いてみたいと思います。

時間が無いので短めの投稿。


◆まずは結果

まずは結果

DoCoMo 6万1700
KDDI 5万1900
SBM 10万5000
EM 6万7700
WILLCOM 1万5100 (PHS 7000)

ソフトバンクは今月も首位でした。先月とは異なり、危うさの無い数字です(数字上は)。

今月も「これまでの流れの通り」になりました。ただし、純増数全体が小さくなっています。もしかすると、純増が当たり前の時代がとうとう終わりつつあるのかもしれません。

では、投票結果と比較をしてみましょう。

SBM > DoCoMo > EM:10票 (21%)
SBM > EM > DoCoMo:17票 (36%)
EM > SBM > DoCoMo:13票 (28%)
EM > DoCoMo > SBM:1票 (2%)
DoCoMo > SBM > EM:1票 (2%)
DoCoMo > EM > SBM:4票 (8%)

正解は、「SBM > EM > DoCoMo」となり、一番人気が正解となりました。


◆全体が減っています

先月はソフトバンクがあわや一位ではなくなるところでしたが、今月は少し余裕ありでの一位となりました。先月の結果をうけて今月は用心したのかもしれません。

イーモバイルが二位でドコモが三位となりましたが、ほとんど差はありません。ただしドコモは強力な防御力を背景にした好調で、イーモバイルは新規参入の優位さを生かした好調さです。また、AUはそこそこ復調した状態が続いているようです。

ウィルコムについては、純増と純減の間を行ったり来たりを続けていますが、今月は純増になっています。

つまり、順位についてはこれまでと同じ流れです。しかし、純増全体の数字が減っています。純増が当たり前の時代がようやく終わりつつあるのかもしれません。


◆ウィルコムの「980円」の結果

ウィルコムは連休くらいから、旧型のデータ端末を月額980円で提供するキャンペーンを行っていましたが、今月の数字を見る限り、それなりには好評だったようです。

ウィルコムの数字は、
・ウィルコム全体で1万5100の純増
・PHSだけでは、7000の純増

月額980円で済む代わりに、4xのデータ専用端末になるというキャンペーンでした。

ウィルコム的には、今となっては微妙な感じとなってしまった「4xのデータ専用端末」の在庫処分をしつつ、不調なデータ契約の数を増やす作戦だったと思われます。

・安い:月額980円
・端末は今ひとつ感:4xのデータ専用端末

980円ですが、その一方で4xのデータ専用端末ですから、そもそも契約する可能性のある人が限られる面もありました。しかし結果としてはPHSだけでも7000の純増になっており、それなりには好調だったように思われます。

ウィルコム的には
・端末は在庫処分
・帯域は余っており、そもそもこのコースの契約者は帯域を多量消費しないはず
というわけで、コストがあまりかからないキャンペーンだったのではないかと思います(たとえばインセ大盛りのケータイ安売りなどと比べて)。

しかしながらキャンペーンが好評だったとしても、基本は在庫処分のはずですから売切れてしまえばそれで終わりです。よってこのキャンペーンをずっと続けることは難しいかもしれません。

XGPの立ち上がりまではまだしばらくありますから、ウィルコムとしては次のネタがまた必要かもしれません。

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投票:携帯電話2009年5月の純増数、どうなる?

ブログを更新する時間が取れなくてすみません、もうしばらくお待ちください。

とりあえず、投稿に時間がかからない「純増数の予想投票」をやってみたいとおもいます。

今月の純増数の発表の日は6/5(金)なので、投票締め切りは6/4(木)とします。いつもの月よりも日が早いのでご注意ください。

毎度の事ですが、投票の選択肢が六つしか作れない都合上、これまでと同じ3キャリア限定での予想とします。

・SBM:ソフトバンクモバイル
・EM:イーモバイル
・DoCoMo:ドコモ

略さないと入らないので略しています。

なお、投票結果は投票を済ませると見ることが出来ます。

具体的な数字を予想(予言)しておきたい人は、コメント欄に書いてください。後で、自分の予想が当たったと自慢したりすることもできます。

投票に含めていないAUとウィルコムについて何か予想をしておきたいひとも、コメント欄にお願いします。

投票は6月4日(木)中までにお願いします。


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