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506 インテル vs ARM:「Androidはもう少しお待ちください」

スマートフォンやネットブック方面を巡る戦いについて、インテルではない側、つまり「ARMやAndroid」の話題について、いろいろと書いてみたいと思います。


◆クアルコムも実は「ARM陣営」の一員

「スマートブック」登場~クアルコムとフリースケール、インテル追撃へ
http://www.usfl.com/Daily/News/09/06/0611_029.asp?id=70591

ちょっと前のニュースですが少し。

スマートブックとは、スマートフォンをネットブック化したもののことを言います。あるいは、売る側の事情としてはそういう名前を定着させようとする動きがあります。

ただし、今のところは「非インテルでつくったネットブック」というような呼び方が、買う側にとっては自然な呼び方ではないかと思います。

スマートブックは、携帯電話側からパソコンの間を埋める動きであり、モバイルに攻めてきたインテルに対してのARM陣営の反撃の動きとも言えます。

この構図においては、クアルコムも「ARM陣営」のメンバーだったりします。SnapDragonという名前のスマートフォン向けのARM系のチップを独自開発しており、東芝が発売しているTG01などが採用しています。

インテルとクアルコムは、モバイルWiMAXを巡っても対立関係がありましたが、ATOMとARMの戦いにおいても敵同士になっています。

※クアルコムとインテルのモバイルWiMAXを巡る対立(過去の記事)
続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/749_wimax_f209.html

◆ARMへやってきたOS

ARM向けにはいろいろなOSが移植されています。

まず、Ubuntu が ARMなネットブック向けのLinux(Ubuntu)を作っています。

また、Javaで有名なSunが作っているUNIXである「Solaris」のARM版も作られることになりました。

OpenSolaris ARM版登場、組み込み進出
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/06/11/057/index.html

また、Debian(Linux)もARM版のサポートを行っています。

Debian GNU/Linux 5.0がARMをサポート
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/02/16/024/index.html

実はARMだけではなく、

サポートされるCPUアーキテクチャはSun SPARC(sparc)、HP Alpha(alpha)、Motorola/IBM PowerPC(powerpc)、Intel IA-32(i386)、IA-64 (ia64)、HP PA-RISC(hppa)、MIPS (mips/mipsel)、ARM(arm/armel), IBM S/390(s390)、AMD64/Intel EM64T(amd64)の12種類。

ということになっています。

実はMacOSXも実質上ARM版が作られています。それは何かというと「iPhoneのOS」です。なぜならばiPhoneのOSは、デスクトップ版のMacOSXをそのまま小さくしたような感じになっているためです。

もともとMacOSXは移植しやすいつくりになっているためでもありますが(インテル版のMacOSXが出た理由でもあります)、Appleはその気になれば

・ARM版のMacOSXベースのネットブックをアップルが発売する
・ネットブック用のOSとしてアップルがMacOSXベースのものを他社にライセンスする(Androidのように)

という驚天動地なことも可能です。

また、MacOSXどころではない「驚きの展開」の可能性も残っています。それは「マイクロソフト」です。

今のところマイクロソフトはスマートフォン方面ではWindowsMobile(WindowsCE)を使ってね、としています。WindowsMobileは見た目はWindowsに似せてあるところもありますが、デスクトップ版とは全く異なるOSになっています。

実はこれまでにも「WindowsCEベースのネットブックのようなもの」が作られて発売されたりしていますが、Windowsっぽいけれど実はWindowsじゃないということで、今ひとつ広くは受け入れられていません。

ですが、マイクロソフトには「奥の手」が温存されています。それは「Windows 7をARMに移植する」という最終兵器です。

今のところマイクロソフトはWindows 7をARMに移植するつもりはない、としていますが、マイクロソフトがデスクトップ用のWindowsをインテル以外向けに作ったことは過去にもあることなので、やろうと思えば出来ないことではありません。

もし、Windows 7がARMに移植されれば、かなりの大事件になるでしょう。


◆Androidはもうしばらくお待ちください

しかしながら現実問題として、これまでにARMなネットブックに使われたものとしては、

・Linuxベースのもの
・WindowsMobile(WindowsCE)のもの

です。

しかし、WindowsCEのものについてはノートパソコンのニセモノのようなポジションになってしまっており、LinuxについてはLinuxそのもののイメージで敬遠されています。「私にはLinuxは難しい」から最初から検討もされない、と。

Linux陣営にとって「このイメージ」は残念なはずですが、なかなか払拭するのは難しいはずです。マイクロソフトにとっては、(今のところは)普通のネットブックが売れれば別に問題はありませんから、売れなくて気にになりません。

そこで期待されているのが、そういう「難儀なイメージ」がなく、Googleの良くて新しいイメージをそのまま使えるAndroidです。また、そういうイメージなら、普通のパソコンと操作が大きく違っても、消費者は納得して使おうとするでしょう。

しかし、現状のAndroidは、スマートフォン向けにデザインされていることが問題となっています。例えばARM社としてはAndroidよりも、どうも今のところはLinuxを薦めたいようです。

ARM幹部が指摘、「Androidをネットブックに対応させるには多くの作業が必要」
加熱する“Androidネットブック”待望論にクギ?
http://www.computerworld.jp/topics/netbook/149310.html

ただし、上記記事のタイトルはどうにも誤解を生む感じです。「AndroidにはネットブックのOSの素養が実は無い」というようにも思えますが、

・"現行バージョン"のAndroidはスマートフォン向けでネットブックは想定外
・そのため現状では「多くの作業が必要」になる傾向がある
 例:一画面で同時に複数のアプリを使えない
 例:周辺機器への対応(デバイスドライバ)が面倒
 例:画面の見た目が映えないらしい(スマホサイズでデザインされている)

つまり、もうしばらく待つほうが無難、だそうです。

ただし、現状のままでも問題が無いのなら、例えば
・スマートフォン寄りのものにするので、あまり問題が無い
とか
・他社が手を出しにくい今だからこそ、困難は承知(むしろチャンス)で先に市場を制圧したい
というようなことなら問題なさそうです。

スマートフォン以外からも広く注目を受けるようになりましたから、Androidはこれからスマートフォン以外を明確に意識した開発が行われることになるはずです。もうしばらくするとこのあたりの状況は一変するかもしれません。


◆AndroidはARMだけではない

AndroidはARMと組み合わせて使われることが多いのですが、Android自体は特定の環境に依存するように作られていないので、いろんな環境で動作させることができます。

例えば、前回の記事で話題にした「MIPS」もAndroidへの参入を表明しています

MIPS、MIPSアーキテクチャによるAndroidプラットフォームサポートを発表
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/06/02/088/index.html

つまりARMでAndroidな製品だけではなく、MIPSでAndroidな製品も作れるようになるというニュースです。

また、他のいろいろな環境でもすでにAndroidは動いています。

Androidの移植はそんなに難しくなく、その辺の素人が酔狂でやっているほどです。そのため、さまざまなところが「とりあえず動かす」ということをやっています。

【MWC】ルネサスがSH-Mobileで「Android」を駆動(2008/02/15 04:42)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080215/147473/

日付が「2008/02/15」になっていることにご注意ください、つまり相当前の話です。また記事のタイトルにある「SH-Mobile」だけではなく、

英ARM社や,米Freescale Semiconductor社,NECエレクトロニクス,米Qualcomm社,米Texas Instruments社などがAndroidに基づくソフトウエアを実行する実演を行っていた。

だったようです。

極端な話「インテル+Android」でも別にかまわないことになります。ARMとインテルの戦いが、最終的に意外な形で決着する場合もあることになります。

また、どこでも動かしやすく、動かしたことを大きな声で言えば簡単に話題になるのですから、日本のプロセッサがAndroidの名前を使ってイメージアップを図っても悪くないのではないかと思います。たとえばSH-Mobile+Androidの組み合わせをプッシュしてみる、とか。

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コメント

スマートブック向けAndroidについてGoogleは沈黙を守ってますね…
実はもう作ってるんじゃないかと個人的には予測してますが(期待を込めてですが)。

とりあえず「年末までにはTegra搭載スマートブックを出す」と宣言してるNVIDIAは
Windows Embedded CE 6.0上に独自のUIを載せて、Firefoxも移植して動かしてるデモを
してましたが、この辺りが「スマートブック第一世代」なのかなぁ、と。

本命はAndroidだと個人的には思ってますが、まずはこのNVIDIAの実在するスマートブックが出てくることに非常に期待しております。

投稿: | 2009/06/28 17:34

「Google Chrome OS」はGoogle版のWebOSなんでしょうか?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20090708_300683.html

>Webブラウズに特化したOSで、従来のWebアプリケーションがそのままOS上で動作するという。
>x86でもARMでも動作する。
>軽さと速さを追求しており、電源を入れて数秒後にはWebにアクセスできる。

「Android」とは棲み分けるようですが、言ってる通りの能力なら期待大です。

投稿: . | 2009/07/08 22:25

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