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505 XGPとは「快適」な次世代通信なのかも

XGPの試験サービスについてのニュースが出てきたので、それについて書いてみたいと思います。


◆案外と悪くない

六月の中ごろを過ぎてから、「XGPを実際に使ってみた」系の記事が出てくるようになりました。

たとえば、

ウィルコムの「WILLCOM CORE XGP」、さて何Mbps出る?
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0906/17/news088.html

速報レビュー エリア限定でスタート、ウィルコム「XGP」の実力を試す
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/review/45821.html

WILLCOMからXGP端末借りてきたよ!
http://www.gizmodo.jp/2009/06/willcomxgp.html

【速報】下り10Mbpsを超えた! WILLCOM CORE XGP初体験
http://ascii.jp/elem/000/000/428/428389/

XGPは速かった! 条件が良ければ10Mビット/秒超も
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090617/332128/

ウィルコムの“次世代PHS”「XGP」を試す
秋葉原で下り通信速度11Mbpsを記録
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20090617/1016145/

ベンチマーク以上に体感が速い「WILLCOM CORE XGP」
http://blog.goo.ne.jp/cestaff/e/463f6cad634a3be8afffa0f8c1101034

第347回:上下20Mbpsの実力は? 「WILLCOM CORE XGP」を試す
http://bb.watch.impress.co.jp/docs/series/shimizu/20090623_295566.html


記事からは、こういうことが共通した傾向として読み取れます。

・XGPに大きな欠点は無いようだ
・好印象をもって書かれている傾向

正直のところ、私の予想としては初期のXGPは難儀なことになるだろうと思っていたので(かなり厳しいことになるかもしれないと思っていた)、こういう評判になったのはちょっと驚きでした。


◆意外に良い速度、良好な「使用感」

XGPが本来不利なはずの速度の面についても(後述)、少なくともWiMAXに大きく劣らないようです。

電波状態がきわめて良好な地点で計測した結果、速度が派手に出ている記事としては、

http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0906/17/news088_2.html

15.58Mbpsが計測できたとあります。電波状態がきわめて良好な地点だったとしてもなかなかの数字です。

また、実環境でも256QAMがきちんと動作していることが確認できる速度です。64QAMでは出ることの無い速度が出てしまっているからです。

他の記事でも電波状態がとてもよい場合には10メガを超えることがわかります。

おそらく、普段良く出る速度としては2-5メガくらいを期待しておけばがっかりすることは無く、調子が良い時には8メガくらいが出る、という感じになるのではないかとか思っています。

つまり、モバイルWiMAXと同程度くらいにはなるんじゃないかなと思います。

また、

・電波状態が悪くて速度が出ないような状況でも接続が切れにくい?
・屋内でも速度が落ちたり圏外になりにくい?(WiMAXと比較して)

ようです。後者については、マイクロセルだからかもしれませんし(基地局密度が高いから?)、四本アンテナの効果が出ているのかもしれません。

また他には、得意分野の上がり速度ではやはり優秀であることと、pingの値(応答速度)が良いようです。WiMAXが100msを超えることも多いのに対し、XGPでは50msを切ることが多いとかで。

好意的な記事が多いのは、応答速度が優秀なので、XGPでネットに接続し、まずウェブを見た時点で「固定回線のような快適さで使えてしまった」ために第一印象が良かったからではないかと思ったりしています。

また、モバイルWiMAXの(初期の)記事では、圏外が多いとか室内で不安定になるというツッコミが多かったのですが、XGPの場合はエリア内にいる分には、速度の上下はともかくちゃんとつながっていることが多いようで、そういう印象もないようです。

WiMAXとの比較をみんな考えますから、そういう「問題点」については気にしつつ使ったはずなのですが、不満が記事に出てきていません。おそらく、大きな問題点はなかったのでしょう。

たとえばこういう感想とか、

http://bb.watch.impress.co.jp/docs/series/shimizu/20090623_295566.html

実際に使ってみた印象としては、他のサービスよりも速度の安定性が高い点に感心した。同じ場所、もしくは少し場所を移動して計測したとしても、さほど速度にばらつきが発生しない。現状は利用できるエリアは限られているのものの、エリア内であれば比較的場所を問わず高速な通信が可能となっており、小さな“穴”があまりない。このあたりはマイクロセルの恩恵と言おうか、やはり安定性という点での魅力は大きいだろう。

こういう感想とか、

http://blog.goo.ne.jp/cestaff/e/463f6cad634a3be8afffa0f8c1101034

それにしても感じるのが体感速度の速さ。 初めて、NTTのBフレッツを使った時のような快適な使用感がある。 連続した巨大ファイルのダウンロードなどでは、40Mbpsくらいで通信もできる NTTの Bフレッツと比べることはできないが、一般の Webページを見るには、体感速度がまったく変わりがない。Bフレッツが言いすぎであれば、無線LAN 並み。

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20090617/1016145/

今回使用してみて、WILLCOM CORE XGPの圏内ではかなり快適に通信できると感じた。通信環境が良い場所では、10MBのファイル転送も十数秒で終わる。通信環境があまり良くない場所でも、安定して1M~2Mbps弱の速度が得られるため、Web閲覧やメールの送受信には全く問題がない。

次世代通信ということになるとどうしても速度の話になりますが、どうも速度では語れない良さがあるような気がします。

XGPは「快適」な次世代通信なのかもしれません。


◆XGPは速度では不利なはずだったが

XGPは本来、モバイルWiMAXに対して二つの点で速度面で不利です。

・上下対象(最大1.33倍不利)
・MIMOが無い(最大2倍不利)

ですが同じような速度が出ており、記事にある「速度比較」でWiMAXを超えてしまっている場合もあるというのが驚きです。

まず「MIMOが無い」については、このブログで何度も説明したのでおわかりの人が多いと思います。MIMOは基地局と端末の通信経路を複数確保することで通信速度(の理論最大速度)を倍々ゲームで増やす方法です。

現在のところ実環境ではMIMOはなかなかうまく働かないとされますが、しかし全く効かないわけではないので、WiMAXはMIMOにより速度面で有利なことになります。

※蛇足:現状ではMIMOはあまり効きませんが、将来の「次世代戦争第二ステージ」では、実際に効くMIMOが出てくるかもしれません

また「上下対象」についても説明をしましょう。まずは説明無しで図(というほどではないですが)を

↑:上り(端末→基地局)
↓:下り(基地局→端末)

それぞれの帯域の使い方
↓↓↓↑↑↑:XGP
↓↓↓↓↑↑:日本のモバイルWiMAX

XGPもWiMAXも、同じ周波数帯域を時間で上り通信と下り通信に使い分ける方法(TDD)を用いています。ですが、その時間の割り当て方が違います。

XGPはPHSとの互換性を取るためか、上下それぞれに同じ時間幅を割り当てています。つまり、下り信号に使える時間は1/2です。

一方のモバイルWiMAXは本来「上下比率を動的に変更できる」規格なのですが、この仕様を実際に利用すると危険な現象が発生して性能が大きく低下する可能性があるため、日本のモバイルWiMAXでは「上下比率を固定」して使っています。

※KDDIがWiMAXを良く調べて慎重にサービスインした証拠の一つです

おおよその比率としては、下りが2で上がりが1、つまり2/3が下りに使えます。

その上で再度先ほどの図を見てほしいのですが、XGPは矢印ひとつ分だけ下りで不利になっていることがわかります。

下りだけにする
↓↓↓:XGP
↓↓↓↓:日本のモバイルWiMAX

その代わりにXGPは256QAMを採用することによって高速化を行い、スペック的には64QAMでの矢印四つと同じスペックを達成しています。ただし、256QAMはノイズに弱く、実装が難しく、「事前には」実環境で使えるのかどうか怪しいと思われていたような次第でした。

・MIMOを採用していない(最大2倍)
・矢印一つ分だけ時間が使えない(最大1.33倍)
・256QAMはノイズに弱い

逆に言えばXGPは速度面でWiMAXよりも一段下の下り速度しか出ていなくても、何ら不思議ではありませんでした。

しかもXGPはまだ十分に完成していないため、基地局や端末は絶賛開発中(調整中)の状態です。

しかしながら、試験サービスでのXGPの速度はWiMAXと大きな差はなく、それどころか比較してみたところXGPの方が速度が出ているという記事まであるような結果になっています。

XGPが良く出来ているのか、基地局密度が高い(マイクロセル)だけなのか、それともWiMAXが駄目なだけなのかはわかりませんが。

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コメント

性能と安定性で中国のTD-SCDMAかTD-LTEの地位をを乗っ取ってほしいなw
そうすれば曲がりなりにも世界的に無視できないシェアを持った規格として普及するかも?

投稿: sy | 2009/07/03 23:53

上下対象ではなく上下"対称"ではないでしょうか

投稿: HINQ | 2009/07/21 20:18

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