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514 KDDI(au)が、LTEまでのつなぎに「Rev.Bのようなもの」を採用するらしい

「次はLTE」で「EV-DO Rev.Bは導入しない」と発言していたAUでしたが、LTEまでの間がありすぎるためか、「Rev.Bのようなもの」を導入する事にするようです。


◆AUが「Rev.Bのようなもの」のようなものを採用するらしい

第三世代での基地局整備は一通り済んでいるAUですが、LTEへの移行計画がどうも難儀しています。

KDDI、連結決算は減収増益~Rev.Aをマルチキャリア化
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/45095.html

Rev.Aのマルチキャリア化は、Rev.Bの一部を適用し、現在あるRev.Aの基地局をソフトウェアアップグレードによって対応するもの

いい加減な比喩になりますが、解りやすくするために話を端折ってW-CDMAとCDMA2000を比べるとこういう感じになっています、

- 素の第3世代 W-CDMA / CDMA2000
- 3.5世代 HSDPA / CDMA2000 EV-DO
- 上がり高速化 HSUPA / CDMA2000 EV-DO Rev.A
- 64QAM化 HSPA+(21Mbps) / CDMA2000 EV-DO Rev.A

というわけでAUはいわば21Mbps化を既に開始していて、LTEの導入も考えつつ、その後どうするのか考えている状態でした。

更なる高速化には(これもいい加減に分類しますが)以下のような選択肢があります。

- 複数帯域を束ねる
- MIMOの利用
- その他の改良

まずMIMOですが、これはCDMA2000陣営でも検討されてましたが、導入が事実上見送られている状態です。よって、EV-DO Rev.Bにも含まれていません。EV-DO Rev.Bには、

- 複数帯域を束ねる
- その他の改良(現行の下り最大3.1Mbpsが4.9Mbpsになるなど)

が含まれています。

AUはこのうち「複数帯域を束ねる」のみを採用し、Rev.Aのまま「帯域束ね」のみを行うことにしたというニュースです。

帯域束ねは高速化はするものの帯域の消費量を増やして高速化を図るわけで、直接的な効率の向上はしません。「その他の改良」の部分には効率の向上も含まれていますが、どうやらRev.Bを丸ごと採用するとなると基地局への投資が必要になるようで、どうせお金を使うならLTE導入のために予算を温存しておきたいようです。

お金がかからないためか、海外のCDMA2000陣営の電話会社とも導入の話を進めているという発言もあります。アメリカや中国と話をしているのではないかなと。

つまり、AUは「Rev.Bのようなもの」を導入することにしたということです。


◆なぜか

AUや他のCDMA2000陣営のキャリアがRev.Bを導入しないのは、基地局への投資が必要になるためだと思われます。LTEへの(早期)移行こそが次に打つ手であると考えているキャリアが多いので、世界的にスルーされてしまっているのだと思われます。

ポイントは別にRev.B自体が嫌いなのではなくて、追加投資が必要になることです。

今回AUが採用予定であると発表した「Rev.Aを束ねたもの」については基地局のソフトウェア書き換えのみで実現が可能で、追加投資の悩みがあまり無いというところがポイントです。

ただし端末側については、基地局と違って「同時に複数の通信を処理できる」ようには作られていないので、既存の端末(を書き換えたりしたもの)では対応できず対応端末を新しく作る必要が生じます。

このあたりの事情はW-CDMA陣営での「帯域束ね」でも似たような状況があります。エリクソンがMIMOではなく帯域束ねでの「42Mbps」を売り込んでいるのも結局同じような理由によります。

また、「どれくらい束ねるか」については検討中だとしています

検討中:
- 束ねる数
- 800MHz帯なのか2GHz帯なのか
- 800MHz帯と2GHz帯にまたがって束ねるのか?

二つしか束ねないのなら、スペックはRev.Aの2倍(下り3.1×2)になりますし、三つなら3倍(下り3.1×3)です。

もし仮に、800MHz帯と2GHz帯を全てを全束ねできる能力を持たせたりすると、スペック上は「恐るべき速度」になると思われます。

二つ束ねでは7.2Mbpsに負けてしまうので、どうせ導入するなら三つ束ねはやっておくべきかなと思います。まず合理的な選択肢がこのあたりにあると思われます。まずは「通常の3倍」あたりが選択肢だろうと思います。

多数束ねる能力を持たせるとするなら、中途半端に束ねるよりのではなく、基地局側に「全束ね能力」を持たせてしまって世間を驚愕させるスペックをする方が面白いと思います。全部束ねるとWiMAX(やHSPA+の42Mbpsも)を優に超えるスペックが実現できるからです。

その上で個別の端末については「実用的な束ね数」にのみ対応した端末を発売するのが良いのではないかと思います。

スペックだけじゃないか、というツッコミは多数受けることになると思いますが、それでも世間に対してのAUのイメージはかなり変わる事になるはずです。また、次世代感のスペックで登場する事になるはずのドコモのLTEに対する防御にもなるはずです。


◆ちなみにLTEは

本命のLTEの導入については、どうも困り気味のようです。

- 1.5GHz帯がもらえればLTEに使うが、国際標準の帯域ではないので初期&都市部限定で用いて、本格的には用いたくない
- 800MHzを本命に考えているが、800MHz帯の再編が済んでLTE用の10MHz幅が確保できるのは2012年

LTEを早く導入したいと思っているようですが、ちょうど良い帯域がなくて悩んでいるようです。そしてその結果、

- 2010年以降:1.5GHz帯でLTEの限定的サービスイン
- 2012年:800MHz帯で本気サービスイン、1.5GHz帯は都市部の補完用帯域に

ドコモは2010年くらいからLTEを始動させるはずですから、ドコモに対しては一歩遅れる感じになるはずです。

そしてこれに加えてLTEが本格的に使えるようになるまでの繋ぎとして、「Rev.Bのようなもの」を導入するというのが今回新たに発表された内容ということになります。

次に注目すべきは、派手に束ねるのか限定的に束ねるだけなのか、そしていつ導入されるのか、です。

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コメント

クアルコム様が考案なさる「ウィルコムみたいなCDMA」はいつごろお目見えするのかしら。

2012~13年頃ならいっそLTEまでもスキップしてはどうだろうか。
その間ずっとRev.A+ を続けておく。

「LTEっつってもシャノン限界がさ、ゴニョゴニョ・・・」とウィルコムみたいにつぶやき続けるのです。

投稿: | 2009/05/03 22:37

>クアルコム様が考案なさる「ウィルコムみたいなCDMA」はいつごろお目見えするのかしら。

たぶん無いです
802.11bとcdma2000とW-CDMAで特許料を取りまくったので
業界からCDMAは特許切れするまで使いたくない
と思われている節があります
(LAN-WimaxもTV放送もGSM系LTEもみんなOFDMです)

あとauは全部束ねるわけにはいきません
束ねるのは通信用だけですから通話にcdma2000を
最低1波残す必要があります

投稿: 姫 | 2009/05/04 01:58

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