520 「なんちゃってパソコン」としてのスマートフォン
以前からスマートフォンについての話題を何回か書いてきました、例えばこういう記事を書いたりしました。
2009年はスマートフォン普及の年、という話がありますが・・
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2009/02/549-2009-1d58.html
「劣化ケータイ」としてのスマートフォンが登場するかもしれない
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2009/02/548-f2b9.html
以上は、ケータイとしてのスマートフォンの話題でしたが、今度はスマートフォンを反対側から見てみたいと思います。
◆「劣化パソコン」としてのスマートフォン
記憶によると以前に何回か書いたことなのですが、多くないながらもスマートフォンをパソコンの代わりに使っている人がいます。
例えば以前(最近の感じではないですが)にこういうことを書いたことがあります、
店頭でW-Zero3シリーズの売れ方をみていると、ITリテラシーがむしろ平均以下の人(穏やかな表現にしてみましたが)が「なんかスゲー」とか「これパソコンじゃん」とか、また別カテゴリの平均以下の感じの人が「これでExcelとかWordを開けるんですか」ばかり(だけを)何回も聞くような人とか、そういう人が買う事も多かったようです。何でこの人がW-Zero3を駆使ているのだろう?(リテラシーの低い人が、ファーストパソコン代わりとして使い始めてそのまま使いつづけてしまっている状態だった)という不思議な状況に出くわしたこともあります。
ただ、この売れ方は基本的に「勘違い」によるもので、自分でちゃんと考えての選択によるものというより、スマートフォンとパソコンの区別すらできない人が間違えて買っているだけのはずですが、一部の人はそのまま先に進んでしまってスマートフォンマスターになっていることすらある、という話でした。
以前に書いた、スマートフォンが劣化ケータイ(のベース)になる可能性がある、という記事にそろえると、スマートフォンには「劣化パソコン」としての可能性もあるということになります。
◆「劣化パソコン」としてのiPhone@米国
これも以前から書いていることですが、私はiPhoneはいわゆるスマートフォンと呼ばれていたものではなく、ケータイでも従来のスマートフォンでもない、別のカテゴリに属するものであると思っています。
例えば日本での「勘違い」では、例えばW-Zero3シリーズはパソコンを期待して買ってがっかりする人が多く、iPhoneについてはケータイを期待して買ってがっかりする人が多いように思えますが、これは上記の違いを反映したものでもあると思っています。
ただし、以上の認識は「日本の」諸般の状況を加味した結果でもあります。
半年くらい前のニュースになりますが、一方アメリカでは、こういうことが発生しているようです。
実はネットブックだった『iPhone』?――平均以下所得層の購入が急増
http://news.goo.ne.jp/article/wiredvision/business/2008news1-18251.html
この調査によると、iPhone所有者の43%は年収が10万ドルを超えている人たちだが、2008年の夏にiPhoneの購入が最も増加したのは、収入が平均より低い世帯だった。具体的には、年収2万5000ドルから5万ドルの世帯で、6月から8月のiPhone所有者数が48%増加したのだ[年収10万ドル以上のiPhone購入者の増加率(16%)の3倍、全体(21%)の2倍以上のペース。なお、2006年の統計では、全世帯平均の年収は5万4453ドル]。
こうした層では、ウェブサイトを見たり、音楽を聴いたり、電子メールを使ったりするのに別々の製品を買うのではなく、iPhone1台ですべてを済まそうと考える人が増えているという。
つまり、アメリカで「なんちゃってパソコン(ネットブック)」としてiPhoneを購入している人が多くなっているかもしれないというニュースです。
元のニュースでは、何故売れているかについて以下のような考察をしています。
約200ドルの本体に、最低でも月額70ドルという通信料金は、可処分所得の少ない人たちにとっては贅沢すぎるようにも思われる。だがこうした人たちは、複数のデジタル機器やサービスを使う代わりに1つのデバイスを使えば節約できることに気づいた。
ここはそうではなくて、インセ制度の悪い面について散々議論がなされた日本の視点で見れば、実際のところは「最低でも月額70ドル」の意味(ローンで端末を買うようなものであること)をちゃんと理解できずに買っている人が大半だと予想します。
たった200ドルを払うだけで携帯電話でもあり、パソコンっぽいこともできる話題のものを手に入れられるぞ(トータルでの損得は考えたことがない)、ではないかと思います。
◆劣化パソコン
他にも最近「パソコンのようなもの」の話題があります。
・Android+ARM でネットブックを作る話がある
・au BOX が好調
ただし、au BOX については「パソコンそのものの代用品」だと思って入手する人はおらず、最初から買った後の結果が正しく認識されているのは違うかもしれません。
「パソコンではないがパソコンのようなことが出来るもの」は新しい分野ではなく、過去の挑戦と失敗がある分野ではあります。しかし、スマートフォンやネットブックのようなものが今のような形で受け入れられつつある状況は過去に無かったことです。
ケータイでしかネットしない人が沢山居ますし、(ネットな人たちの事前の評価と違って)au BOX が好調なのですから、
・スマートフォンがケータイ化して、スマートフォンとケータイの間をカバーするものを作る
・ケータイではないという不満を取って、ケータイの代わりになる
だけではなく、反対にすることも出来るかもしれません。
・ケータイではカバーできない領域、スマートフォンとパソコンの間をカバーするものを作る
・ケータイと併せて持てば、ないしは、ケータイではないことを我慢すれば、パソコンを持ってない・使えない、の代わりになる
前者は実際にケータイで出来ることが出来るようになる必要があります。しかし後者は実際にパソコンでできることが出来るようになる必要が無い、という違いもあります。
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コメント
>「なんちゃってパソコン」
そこで東芝からWS026T(PDA)なのだろうか。
パソコンを置き換えたいと思っているなら、通話機能は要りませんからね。
ウィルコムのzero3成功体験は吉とでるか凶とでるか。
投稿: TT | 2009/04/13 18:25
個人的には、ARM+Androidのネットブックに期待しております。IntelとMicrosoftの呪縛を逃れることで、もう一段の低価格化が出来、更にネット端末としての形状の自由度も増すんじゃないでしょうか。
この手のデバイスは、メーカー独自規格で終わってしまうことが多かった気がしますが、Androidによってソフト・ハードでの汎用性が与えられれば、「Android搭載ネット端末群」みたいなデバイス達が生まれる可能性もあるんじゃないかと妄想してます。
投稿: | 2009/04/14 01:35
>他にも最近「パソコンのようなもの」の話題があります。
>・Android+ARM でネットブックを作る話がある
>・au BOX が好調
firstlightさんの予言が当たりすぎてこわいですw
モトローラ、Android搭載の「au BOX」を開発中--米報道
http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20391635,00.htm
日本企業はマイクロソフトの引力から脱することができるか?
投稿: TT | 2009/04/15 00:47