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516 またもや「日中で次世代携帯を」の話が

以前にツッコミを入れたことのあるネタですが、またもや「日中で次世代携帯を開発しよう」という怪しい話が出てきています。

すぐに投稿した方が良いと思える話題なので、推敲などがされていませんが投稿してしまいます。


◆麻生さん、これはダメです

もし麻生さんがこの件で向こうと合意して帰ってきたら、怒ってよいような気がします。だれですかこんな話を作っている人は。

次世代携帯、日中が協力 端末やインフラ整備、首相会談で合意へ
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090428AT3S2703B27042009.html

まずは元の記事が変な事を言っているのでそれに突っ込みます。

中国で主流となる通信規格が、日本と同じ第三世代携帯電話(3G)や、第3.9世代(3.9G)に移行するのを見据え、

この記事を書いた人は、まずこの時点で基本的な事を何も解っていないかもしれません。日本で主流となる方式と中国の国策の方式は違うものですし、日本はLTEの開始間近で、中国はTD-LTEをまだ開発中です。同じではありません。

ないしは、「日本と中国の利害関係が一致しているかのような誤解をさせる記事」を書いていることになります。同じ技術だから利害関係も一致するので協力するのです、という間違った説明をしている事になりますから。

困ったのはこの部分、

両政府が新たな端末開発やインフラ整備で連携する官民協力を主導。

政府主導で必要の無い「協力」を強いられるかもしれません。

また記事の見出しがこういう事になっています

首相会談で合意へ

もう合意する事になっています。

技術協力をテコに約6億5000万件とされる世界最大の携帯電話市場への日本企業の進出を後押しする。

これは最近の中国の常套手段ですね、自国市場を餌にして他国と交渉する方法です。先日のソースコード公開問題でも、公開しないと中国で売らせませんというものでした。


◆メリットがあるか怪しい

以前から「日中で協力して次世代携帯を」という良くわからない話があるようです、いったい誰がそんな話を広めているのは知りたいところです。

前にこういう記事を書いたことがあります。

「日中韓で第四世代携帯」は正直どうだろうか?
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/697_0e97.html

基本的なことは上記の記事に書きましたので、出来れば上記を先に読んで欲しいと思います。

まず記者は、日本と中国が携帯電話技術で同じ物を用いていて利害関係が一致するとしていますが、

日本(ドコモ一家)
・第3世代:W-CDMA/HSDPA(日欧:世界標準)
・次世代(3.9世代):LTE(世界標準)
・その次:IMT-Advanced(LTEの改良版:開発中)

中国の国策技術開発
・第3世代:TD-SCDMA/TD-HSDPA(まだ未完成)
・次世代(3.9世代):TD-LTE(ほとんど開発がされていない)

一致する点はありません。また、「次の技術」の開発においても、互いに違うものを開発しています。

日本は携帯電話技術で世界から孤立した、と日本叩きをする人が今になってもいますが、実際には第三世代以降では「日本は世界の勝ち組」になっています。

日本は携帯電話技術においては世界の三大勢力(日本:ドコモ一家、欧州:エリクソン、米国:クアルコム)の一角を占めており、次世代では日欧連合のLTEがクアルコムの次世代技術を退場させて勝ち組本流になり、クアルコムもLTE陣営に加わってしまったような次第です。

世界では第3世代どころか3.5世代も枯れた状態になり、次世代(LTE)の足音をする状況で、他国の技術を締め出して国策で独自の第3世代技術開発を続けていたのが中国です。

TD-SCDMAはまだちゃんと完成した状態だとは言えず、TD-LTEに至ってはまだほとんど開発されていないはずです。

日本は世界の勝ち組本流の一員で、中国は独自技術を作って本流に挑戦している形になっています。また中国は独自技術を勝たせるために、中国市場で他の技術の導入を遅らせたりするようなことをしています。

しかも、どうもTD-SCDMAは中国大陸でも旗色が良くないので、市場の力でこのまますぐに滅んでしまう可能性もあります。よって、中国の挑戦が次の本流になるとは考えにくい状況にあります。

なぜこの状況で、中国にとってではなく日本にとって、日中が連合(して欧米に対抗)する必要があるのかなと思いました。


◆誰の主張なのでしょう?

「日中で協力して次世代携帯」という話はどこから出ているのでしょう。もしちゃんとした理由があって進められている話ならば、その理由を聞きたいところです。

日本は現路線を維持するだけで、次の携帯電話技術においても勝ち組本流になる可能性が高いわけで、技術的な勝算が薄い独自技術路線をとっている中国と手を組んで日本に意味のある結果が得られるとは思えません。

またそもそも、世界を無視して独自技術開発を続けている中国が、世界標準に歩み寄らないのに、日本に歩み寄ってくれたりするかどうか考えて欲しいところです。

また、欧米との駆け引きがうまく行かないから中国と組む、というのなら、欧米と引き続き駆け引きをするのと、中国と駆け引きするのとどちらが大丈夫そうか、考えて欲しいところです。

#このあたりは先にしめした「以前書いた記事」にも書きました。

「協力によって中国市場を・・」という話を出すのなら、それはこういう事になります、

・主張の正体:日本は携帯電話技術と引き換えに、中国市場に入れてもらうべきだ

そういう取引が成立するかどうか、また、成立したとしてどれほどの意味がある結果につながりそうか、よく考えて欲しいところです。

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コメント

ソースが日経...日経は中国礼讃記事が多いですね。
要は「中国様にドコモ一家が持つ技術を献上しましょう」ということでしょうか。日本に利益がないのはご指摘通り。
※ 高速鉄道(北京-上海)の例があります。結局は技術を毟られていくだけで、利益らしきものはない。

投稿: | 2009/04/29 00:42

つ ttp://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin01_000011.html

投稿: k-p | 2009/05/02 02:08

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