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2009年3月の17件の記事

523 LTEでは「オフライン」の概念が無いかもしれない

次世代通信技術では、「スペック上」の最高速度の話題ばかり話題になりがちですが、もしかしたらLTEは「まったく別の」で次世代感を持っているかもしれない、という話。


◆最高速度競争だけではない

次世代通信技術の話題となると、どうしても「スペック上」の最高速度の話題になりがちです。ADSL並みだとか光ファイバー並みだとかそういう感じの話題です。

おそらく世間では「ITというものは何でも爆発的にスペックが改善してゆくものだ」という思い込みがあって、CPU性能やメモリと同じように、モバイルでの通信速度も高速化してゆくのだという先入観があるのだと思います。

しかし、前回の記事にも書いたとおり、通信速度は物理法則による限界が存在するので劇的な向上は難しいのが現状です。おそらく次世代通信技術も、「同条件下」での実効速度は大きくは変らないものになる気がします。

では、互いに何も差がつかないだけの未来になるかというと、意外なところで違いが出てくるかもしれないという話を書いてみたいと思います。

まずは、ニュースの引用

インテルやNEC、クアルコムがWiMAXや3.9Gの現状と今後を語る
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2008/11/26/21650.html

次世代技術についていろんなところが語っていましたというようなニュースです。前半はインテルがモバイルWiMAXについていつものことを言っているだけなので割愛しまして、その次のNECによるLTEについての発言、その後のクアルコム日本による発言に注目してみる事にします。

で、今日の本題に入る前に、「前回の記事と同じ話題がここでも出ている」ことを書いてみたいと思います。長い寄り道になりますが、

まずはNECの発言、

周波数の利用率向上は、LTEや「IMT-Advanced」(4G)などを採用しても、「当面は、最大で10~12倍程度の効率向上しか見込めない」のが現状だという。そこで、面的または空間的な利用効率の向上に期待を寄せる。

「IMT-Advanced」というのは3.9世代の次の「本物の第4世代」となるはずのものとして計画されているものです。100MHz幅の帯域を用いて1Gbpsに到達するというような話です。このブログでも以前に少し話題にしたものです。

つまり、机上のプランやら研究中の技術が実用化されることまで想像しても「10~12倍程度の効率向上」が限度だろうという発言です。

なおこの「効率向上」にはMIMOによる速度インフレが進むことも勘定に入っているはずです。実環境ではMIMOはあまりうまく働かないとされることを考えると、将来技術を総投入しても帯域あたりの実効速度の向上は数倍程度しかないのかもしれません。

で、NECの人が旧来的な速度向上の方法に代わって期待しているのが、

面的または空間的な利用効率の向上に期待を寄せる

というわけで、言ってみれば「マイクロセル技術」が将来を担う技術であると言っています。ただしNECは

面的または空間的な利用効率の向上としては、具体的にフェムトセルが挙げられる。
1つの基地局に接続するユーザーが少なくなるため、周波数の利用効率が向上する。

としており、通常型の基地局を多数配置するのではなく、容量増加型のマイクロセルを想定しているようです。

ただし現状のLTEはマイクロセル運用されることを主に考えて作られているわけではありませんから、現状のままだとやっぱり干渉問題が起こってしまいますが。

クアルコム日本の人も同じ趣旨の発言をしています。

石田氏は、3GPP2やEV-DOに限った話ではなく無線通信技術全体に言えることとして、「新しい技術が出ると周波数利用効率が上がってきたが、そろそろ限界が見えてきた」との見解を示した。

こちらも「そろそろ限界」という発言です。そして、

「LTEとHSPA+の周波数利用効率は変わらない」とする。「MIMOには期待できる」としながらも、「4×4のMIMOで通信速度が4倍になるのはせいぜい2~3%の端末。また、端末にアンテナをたくさん入れられない」とした。

HSPA+(第3世代の進化バージョン)と次世代のLTEの周波数利用効率にはあまり差が無いというクアルコムの主張がここでも繰り返されています。

またMIMOについても「期待する」とは言ってはいるものの、実環境ではあまりうまく働かないし、携帯端末に多量のアンテナを搭載するのは無理があるし、としています。

そして、マイクロセル的な世界が次の速度向上の鍵であるとしています。

そこで提案したのが、カバー範囲が異なるマクロセル、マイクロセル、ピコセル、フェムトセルが混合し、干渉制御などを自動的に行う「ヘテロジニアスネットワーク」だ。通信方式ではなく、ネットワークのトポロジーにより効率を上げるという考え方であり、「既存の技術を打破できる」と自信を見せた。

クアルコムは従来型の通信技術でマイクロセル化をした場合の難点である「干渉
」について言及をしています。おそらく、技術開発ををやっているからの言及ではないかと思われます。

つまり、容量型フェムトセルやマイクロセルが今後の方向であるという話です。

次世代PHSもこの流れに沿っていますし、「第3世代携帯と無線LANを組み合わせる」後ろ向きにも思える方法もこの流れに沿っていると言えます。


◆LTEには「オフライン」の概念がないかもしれない

それでは本題。

実効速度については劇的な改善は難しいという話でした。劇的な改善が難しいということはつまり、利用者にとって「次世代通信技術じゃなきゃだめだ」というような圧倒的な速度差にはなりにくいということです。実効速度では。

ですが、差は何も無いのかというと、最高速度以外のところで利用者にとっての「差」が出ることになるはずです。

試験サービス中のモバイルWiMAXでは、移動に弱かったり圏外になりやすいという「他の技術との差」が話題になりつつあります。

つまり、次世代技術は最高速度で語られるだけではないということです。

LTEですが、実は最高速度面以外でも「第3世代系」との差がつくように作られているところがあります。それは別の意味で「はやい」ことです。

LTEでは、通信速度は最大で100Mbps、伝送遅延は5ミリ秒、接続遅延は100ミリ秒以内を目指している。さらに、時速500kmの移動でもハンドオーバーが可能になるとする。

「伝送遅延」というのを(不正確ながら)ごく簡単に説明すると、携帯端末がデータをリクエストするパケットを送ってから、その応答が戻ってくるまでの時間のことです。RTTとか応答時間?とか言われている数字のことでもあります。

この時間を大きく短縮することを意図して作られているということです。

ここで言う「5ミリ秒」とはネットワークでの通信のうち「LTEの部分」になので、ドコモがLTEをサービスインしたら実際のRTTが5msになる、という話ではないのですが、

「固定回線としか思えないような応答時間」

というのが目標になっているということです。モバイル接続はネトゲ向きではない、という話どころではなく、下手をすると品質の悪い固定回線よりも応答が速いなんてことになるかもしれないということ。

次に接続遅延、

「接続遅延」というのは回線接続が接続してない/休止中の状態から(アクティブな)接続状態に移行するまでの時間の事です。

これを0.1秒以内にするのを目標にしているということです。

例えば携帯電話でメールを取ったりウェブを見に行くときに、ネット接続が切れているときには「接続中」というような表示が出て待ち時間が発生しますが、いわばあれを0.1秒(100ms)以内にするのが目標になっているということです。

「0.1秒以下」ですから、もはや「接続中」などと表示する必要性自体が無いかもしれないということ。

LTEでは「接続の待ち時間」が体感的にほぼ無視できるレベルになっているかもしれず、その結果「ネットに接続する」という概念自体が利用上は消滅しているかもしれないということです。

つまり、通信の必要性が生じてから接続をしても、現時点の感覚から言うと「まるで最初から繋がっていたかのような」感じになるかもしれないということです。

また、「瞬時にアクティブな接続状態にできることを前提としたサービス」が作られた場合、他の技術では真似ができなくなってしまうこともあるかもしれません。

※ずっとアクティブな接続状態のままにしておけばよいと思うかもしれませんが、それだと電力も使いっぱなしになります

もしLTEと他の技術との実効速度での差が無かったとしても、「まるでずっと繋がっているかのよう」ならば、LTEは利用者にとって他とは全く違った通信技術になりえるという話でした。

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524 クアルコムCEO曰く:「HSPA+もLTEもそんな変わらない」

ちょっと前のニュースからになるのですが、クアルコムのCEOが興味深いことをいろいろと言っていることについて少し。


◆HSPA+もLTEも大して差が無い

ちょっと前、半年くらい前のニュースについての話になって申し訳ないのですが、クアルコムのCEOがいろいろと興味深い発言をなさっているので、今更ながら記事にしてみたいと思います。

「モバイルの高速化は限界に近づいている」,Qualcomm社のCEOに聞く
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080903/157393/

このインタビューに答えている人は、クアルコムのCEO(ボス)のPaul E.Jacobsさんです。この人は公然とモバイルWiMAXをこき下ろしていた人でもあります。

では、順番に引用して記事を書いてゆくことにします、

ユーザー・スループットを向上させる無線リンクの改善は既に,限界に近いところまで来ていると思う。これは,HSPA+(いわゆるHSPA Evolution)とLTEを比較して見るとわかりやすい。両者の無線リンクを比較すると,周波数利用効率の差がわずかに10%程度に過ぎない。この程度の向上幅は,ほとんど雑音に埋もれてしまいそうなほど小さい。

つまり、HSPA+(既存の第三世代の発展系)とLTE(次世代)の間には大した差は無いという発言です。

「限界に近いところまで来ている」というのは、通信速度がすでに理論的な速度向上の限界(シャノンの限界)の手前まで来ているので大した差は出ないという意味です。

理論的な速度限界は
・帯域幅が広ければ広いほど
・通信経路でノイズが少ないほど
向上します。

帯域幅については帯域を沢山使えば帯域幅に比例して速度が出るというだけのことで、当たり前の話です。「ノイズ」については基地局と携帯端末との距離があるため、現実問題としてある程度のノイズがあることは避けられません。

ノイズが無い環境だってあるかもしれないじゃないか、と思う人もいるかもしれません。でも、(とっても簡単に言うと)地球自体がノイズを発生していますから、人為的なノイズを全部取り除いても、ノイズの海の中で通信しなければならない事情は変らないのです。

実際の環境ではある程度のノイズ混じりになる、という前提において理論速度限界に近い速度がもう出てしまっているので、これ以上劇的な向上はありませんよ、というのがこの発言の趣旨のはずです。

なお、基地局に超近い場合にはノイズが極端に少なくなりますから、理論速度限界も一気に上がります。「新技術ではものすごい速度が出ました」というのは、そういう限定された状況で速度が出るだけの話をしている事があります。

ちなみに、「有線接続でのデモ」というのはこういう意味においてかなりインチキであることもわかります。無線とはノイズが飛び交う中でどうやって通信をするかという話なのに、事実上ノイズを無視できるような有線接続では、理論限界速度も何もあったものではないからです。

なお、次世代通信技術と呼ばれるものは基本的にOFDMAが用いられているのですが、

OFDMA自体は,決して高いパフォーマンスを約束するものではない。ビット単価がわずかに下がる程度にとどまる。

確かにたくさんの企業が,OFDMAの利用を声高に叫んでいる。しかしOFDMAの適用を喧伝する理由は,ほとんどビジネス的な理由や,アライアンスによる理由であって,技術的な理由に基づくものではない。技術的な意味では,LTEであろうとWiMAXであろうと,3Gのパフォーマンスをそれほど大きく超えるものではない。

一応、クアルコムもOFDMAを用いると性能が向上することは認めているようです。しかし、性能向上の幅はごく知れていると言っています。

「ビジネス的な理由や,アライアンスによる理由」というのはモバイルWiMAX陣営が好き放題言っていたのにクアルコムが(というかこの人が)激怒していた件と関係あるでしょう。

なお、クアルコムは「CDMA系技術の支配者」なので、クアルコムの発言はどうしてもCDMAひいきであることにはご注意ください。ただし、クアルコムはOFDMA世界においても無視できる存在ではないので、CDMAを延命させたいがために根も葉もないホラを吹いているわけではありません。

一部誇張がある可能性はあるにせよ、基本的に本当の事を仰っているはずです。

LTEになるとHSPA+を比べても帯域あたりの性能は向上するのは確かだが、劇的なものではないと。

#ただしクアルコムはHSDPAとLTEを比べているわけなく、HSPA+とLTEを比べている点に注意

◆「マイクロセル」が次の突破口である

CDMAでもOFDMAでもあまり差が無いとして、じゃあ次世代はどうやって速度向上を図ればよいのかという点について、「基地局を沢山作るしかない」という発言が出てきます。

もう一つの手法として,密度の濃い基地局の配置がある。基地局と端末を密接に近づけるというものだ。現在,盛んに議論されるようになってきたフェムトセルも,このようなコンセプトの一例である。

「密度の濃い基地局の配置」というのは何かというと、つまり「マイクロセル」ということです。

ただし通常基地局を高密度に配置する話ではなく、「フェムトセル」の話が続いています。フェムトセルには話が二種類ありますが、

・スポット的圏外を解消するための安価な簡易基地局
・トラフィックが多い地区で容量を増やすために用いるもの

ここでの「フェムトセル」は後者の容量増加が目的のフェムトセルの話題です。

ただ、この後者のフェムトセルは現状うまく作動しないという話が続けてあります。

ただし,マクロセルの基地局と同様の周波数にフェムトセル基地局を設置して使うと相互干渉が生じ,ネットワーク容量の減少を引き起こす可能性が高い。

これはもう致命的な結論です。なぜならば後者のフェムトセルは「容量を増やそうとした」ものであるにもかかわらず、「干渉が原因で容量の減少を引き起こす可能性が高い」というわけですから、導入する意味が全くありません。

これは日本におけるフェムトセル論議でAUが「干渉を発生させて大変な事になるからフェムトセル解禁に反対する」という意見を出していますが、つまりこういう事を解っていたからだと思われます。

ドコモはフェムトセルに限定付きで推進派ですが、よくよくドコモの発言を聞くと、ドコモのフェムトセルは「前者のフェムトセル」なのではないかと思われます。例えば、「地下道だけ圏外になっているのを解消するのに使いたい」(そのためだけに通常基地局を配置するとコストが合わない)なんていう発言がありましたが、これは前者のフェムトセルです。

つまりクアルコムの意見が正しいなら、現状で後者のフェムトセルを導入すると逆効果(通常の基地局の通信容量を削る効果のほうが大きい)なので導入してはいけないということになります。ただし、フェムトセル専用帯域を用意すれば話は別かもしれません(その場合でも「専用帯域」を普通の帯域として使った方が能率は良いかもしれない)。

我々はその影響を調査するために数年前,ノート・パソコン程度の大きさの基地局を作り,ホテルや家やオフィス・ビルに実際に設置して,フェムトセルとマクロセルを混在した場合のネットワークへの干渉の状況を調べた。結論としてやはり干渉があった。

クアルコムはアメリカで実験したはずですが、日本の都市部はアメリカよりも過酷な環境です。ですから、フェムトセル同士の干渉が原因で結果的に容量が低下するという笑えない結末、日本で発生する確率は高そうです。

なお、クアルコムとしては、

干渉を低減するには,フェムトセルとマクロセルの基地局が干渉を避けるために,お互いに情報をやりとりすることが必要だろう。

この干渉問題を解決するために、いわばフェムトセル改良版が必要になるだろうと発言をしています。このあたりの研究開発は既に行われて、クアルコムの新領土になっている可能性もあります。


◆ウィルコムとクアルコムの言っている事が同じである

面白いことクアルコムの見解、実はウィルコムのかねてからの主張ととても似ています。

・「通信速度の向上」はもう限界に近い
・基地局を沢山作るのが本当の未来
・従来技術で基地局を沢山作ろうとしたら基地局の干渉に苦しむ
・沢山配置するには干渉の除去がポイント

ウィルコムの場合は既に「基地局を無茶苦茶に配置しても干渉しない技術」を開発済みです。「干渉しない技術」はウィルコムによる「現行世代」のPHS改良版として日本を覆っていて現実になっています。開発どころか実証も終わってノウハウが蓄積された状態です。

OFDMA(第4世代)の上で、ウィルコムの「干渉しない技術」のノウハウを動かそうというのが「次世代PHS」です。もっとも、OFDMA上で(第2世代の)PHS由来のノウハウがそのまま使えるかどうかは解らないので、この点は様子を見る必要がありましょう(この点は真面目に心配なところ)。

つまり、クアルコムはCDMA系の技術で「干渉しない技術」を作ろうとしているようです。なお、

基地局が干渉を避けるために,お互いに情報をやりとりする

というのは、ウィルコムの基地局同士も行っています。PHSでは基地局同士が情報を交換し干渉しないように互いに帯域を譲り合うようにできています。干渉前提で隣の基地局からの余計な電波(ノイズ)は自分の基地局の電波で吹き飛ばす式とは違う方法です。

クアルコムでは

具体的には,相互干渉の軽減や,ユーザー端末ごとの送信出力マネージメント,あるいはどの基地局にどうやってアクセスするかをきちんと制御するといった用件が含まれる。

というような事をするようです。シンプルな方法で干渉対策をとっているPHSと異なり、手の込んだ方法になっているのかもしれません。

また「干渉問題が解決した場合」に、どれくらいの性能向上が図られるかについては、

我々の調査では,これによって8倍くらい,ユーザー当たりのスループットを向上できるとわかった。振り返って考えると「8倍の向上」は,携帯電話の方式がアナログからデジタルに変わったときと同じくらいだ。これは本当にエキサイティングな事実だと思う。

フェムトセルの干渉問題が解決して、フェムトセルを沢山配る事ができるようになれば、「8倍くらい」の容量の向上が見込まれるとの事です。つまり、おおよそ桁が一つ違う改善になるだろうと。


OFDMAといった無線リンクの技術だけでなく,その周囲のシステム特性を向上させる技術のほうが,重要性は高い。次世代移動体通信技術には,違うアプローチをとるべきというのが私の持論だ。

「無線リンクの技術」では理論限界に近い速度まで来てしまっているが、システムでの改善を行えばまだまだ速度は上がるという発言です。

基地局単体での速度向上には限界があるので、「基地局の群れ」で実効速度の向上を図るべきだ、というウィルコムの発言と同種のものだといえます。


◆その他の発言

この記事ではUMBは確かに劣勢だがまだ諦めていない的な発言がありますが、これは「半年前」の記事なのでクアルコムがギブアップをする前だからです。この時点で既にLTEが主流になってもクアルコムはLTEに関わってゆくという発言があります。

またLTEの次、つまり「本当の第4世代」についても

――ITU-Rはいよいよ来年から,次世代移動体通信システム「IMT-Advanced」の提案募集を開始する。LTEは,その候補技術のベースの一つになりそうだ。Qualcomm社はどのように関わる予定なのか?

Jacobs氏 当社は,IMT-Advancedの標準化には,非常にアクティブに関わるつもりだ。とても強い関心を持っている。先ほど述べたような,ネットワーク・コンフィギュレーションような技術を,どんどん提案していくつもりである。

第4世代技術では「LTE改良版」の陣営に、「非常にアクティブに関わるつもり」だそうで、そして「干渉除去技術」のようなものをどんどん提案していくつもりだそうです。

他には、LTE陣営のパテントプール(特許を共有するようなもの)に参加する気が無いということも言っています。


◆次世代通信を本当に高速化するには

なお、この記事ではLTEで速度を出す方向の話が無いので少し補足しておきましょう。

最初に書いたように「ノイズが少ない状態」つまり「基地局と端末の距離が近くてノイズや干渉が無い状態」では、理論的な速度の限界も上昇し、結果的に実際に高速通信ができる可能性が上がる事になります。

これは例えるならば、48MのADSLと12MのADSLは、電話局からの距離が遠ければあまり速度の差が無いが、電話局から近ければ速度の差がぐっと出るのと同じような事が起こると思ってください。

ドコモが現在やたらと基地局を作っていますが、これはもしかしたらLTEに置き換えた時に本当の性能を出すための布石かもしれません。上記のたとえ話だと電話局が密にあるほうがADSLの実効速度は出やすいですよね?

また、

・基地局の数で実効速度を稼ごうとした場合も
・理論的な速度の限界を上昇させる作戦を取ろうとした場合も

どちらにしても結局は「基地局を沢山作る」のが今後の流れだということもわかります。ただし「実効性能を追求した場合は」ですが(違う戦略も考えられますから)。

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525 「新幹線でネット」の戦いはまだ終わっていない

新幹線で無線LANが使えるようになったというニュースがありますが、これについて少し。


◆「新幹線でネット」の戦いはまだ終わっていない

新幹線で無線LANが使えるようになった件について過剰に期待している人がいるようなので、それをネタにして少し記事を書いてみたいと思います。

新幹線での移動時間に無線LANが使えるなら、移動中にネットを多用する作業をして資料を準備できると思っていた人が居たり、新幹線で無線LANが使えるなら3Gの通信カードを取り上げて経費削減できると思っていた人とか(そういうご時世らしいです)。

でも、あまり過剰に期待はしない方が良いかもしれないという話を少し。

無線LANと聞くと、とりあえずは高速というイメージがあります。ちゃんと繋がれば固定回線に近い速度が出るが、ちゃんと繋がる場所がかなり限定されるというイメージです。そして、非常に安いイメージ。

だからか、この記事を書くきっかけになった話では、

・気になること:ちゃんと安定して繋がるの?高速移動してるし
・暗黙の前提:速度はすごいんだろうな
・料金は激安のはずだ

こういうリアクションがありました。

繋がるかどうかについては、ちゃんと繋がるはずです。そもそも列車への作りつけですから、列車のどの席でも問題なく繋がるように作ってあるはずだからです。この点でJRがケチって中途半端にするとは考えにくいです。

速度については、高速接続は期待しない方が良いと思います。なぜならば新幹線の無線LANは以下のような方法で実現されているからです。ものすごく簡単にすると、

ノートPC =(無線LAN)= 車両 = (別の方法の無線)= 線路に沿って設置されているケーブル

ノートPCと車両の間の通信については、通常の無線LANと同じ感じを期待して問題ないのですが、問題は「列車」と「列車の外」との通信です。この部分の速度がとても心細いのです。

「列車」と「列車の外」との通信:
・線路沿いに設置してある地上ケーブルと列車の間での通信
・通信装置は列車1編成あたり、基本的に一台
・通信装置が出せる速度は
 ・下りが最大2Mbps
 ・上りが最大1Mbps

新幹線の線路に沿ってずーっと、「漏洩同軸ケーブル」というものが設置されていて、それと列車が通信を行います。「漏洩同軸ケーブル」は言ってみれば「恐ろしく長いアンテナ」のようなものです。列車は走りながらずっとすぐ横にある「恐ろしく長いアンテナ」と通信を続けます。

注意すべきは「車両一両あたり」ではなくて「1編成あたり(つまり全部の車両で)」というところで、つまりどういうことかというと、

・新幹線の列車1編成に乗っている「乗客全員」で、下り2Mbps/上り1Mbpsをシェアする

しかも新幹線といえばノートPC広げてる人は珍しくも何とも無いわけでして、通信容量不足は深刻と思われるわけです。


◆本当に混雑するのは「これから」ですが

まずは、今回の計画がスタートする前のニュース、実に「2006年」のニュースから。

東海道新幹線、2009年春から無線LANサービス提供
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060629/242122/

2006年の記事に「2009年春にスタートする」とありますから、JRはちゃんとスケジュールのとおりに仕事をしたことが解ります。

上記の記事にはサービスイン時の速度についての予想がなされています。

通信速度は、下り(漏えい同軸ケーブルから移動局)が最大2Mbps、上り(移動局から漏えい同軸ケーブル)が最大1Mbps。これを1編成の無線LAN利用者全員で分け合う形になる。「(1)乗客のおおむね10人に1人、1編成で120人~130人が同時に接続する、(2)複数ユーザーが周波数帯域を共有することによる『統計多重効果』を1%と仮定する、(3)動画配信やファイル転送といった負荷のかかる処理をせず、電子メールやWebサイト閲覧などの用途で利用する——との仮定で算出すると、1人当たり200kbps程度というのが理論上の速度になる」(JR東海広報部)。

つまり2006年のこの記事から「速度はあんまりでない」ことは想定されているということなのですが、記事は解りにくいのでまとめると、

前提
・10人に1人が通信
・列車全体で120-130人が同時利用
・沢山の人がばらばらに利用するのでアクセスタイミングは分散する
・「軽い」ネット利用しかしない
 ・軽い:電子メールなど
 ・重い:動画配信やファイル転送

その結果としては「一人あたり200kbps」だそうです。

なお、この記事が書かれたのは2006年の6月で、イーモバイルのサービスインはまだまだ後です。よって、当時想定されていたモバイルでのネット利用と、今の使い方は違っています。よって、負荷の予想は過小になっているのではないかという気がします。

そして、実際のサービスイン後に速度を調べた記事を張ってみましょう。

“新幹線ネット”でネット接続を試す
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090318/326903/

実験は、FTPサーバーに10MBの容量のファイルを送信/受信する時間を3回計測し、その平均を割り出した。新幹線がビジネスマンの利用で混みやすい午後5時(東京~新大阪)と、比較的空いている朝10時(新大阪~東京)にテストした。
混雑時の転送速度は、送信が平均230kbps、受信時は平均217kbps。席の周りを見回しただけでも、数人のビジネスマンがパソコンを利用している状況だった。新幹線の1編成すべての乗客で2Mbpsの帯域を分け合うため、利用者が多ければ多いほど、速度は遅くなる。USENが提供する「スピードテスト」による計測でも、100k~200kbpsを行ったりきたりする状況だった。

一方、閑散時のテストでは、ファイルの送信時で220kbps、受信時で395kbpsに向上した。USENのスピードテストでは平均800kbpsだった。

なお、記事のサブタイトルには「転送速度は混雑時で約200kbps、閑散時なら400kbps」とあります。この記事を見る限り、事前の予想はおよそ当たっていることになりそうです。

ただしサービスインが3月14日で、この記事が投稿されたのは3月18日です。つまり、使ってみたいと思っているだけの人や、まだこういうサービスが始まったことが知らない人が多くいる状況です。つまり、新幹線で無線LANを利用しようとする人はこれからどんどん増えるはずですから、速度はここからさらに下がってゆく事になるはずです。

ちゃんと考えての予想ではありませんが、最終的に混雑時間帯には最終的に100k以下になるような気もします。


◆遅くともメリットはある

遅すぎてがっかりだ、と思った人もいると思います。3Gのデータ通信はまだこれからも必要になるはずです。

ただし上記の記事でも言及されていますが、速度が遅くとも「新幹線無線LAN」には、これまでの通信手段にはなかった優れた点があります。それは何かというと「トンネルになっても通信が途切れない」という特徴です。

先に書いたように、線路に沿って「恐ろしく長いアンテナ」を設置するようなことをしているため、携帯電話のように電波状態で速度が低下したり、電波の届かない場所で通信が止まったりする心配がありません。

無線LANなら接続状態を気にする必要自体がなくなるはずですが、遅さにはいらいらするかもしれません、3Gならば「もうすぐトンネルだ」とか「このトンネルを出たらすぐに繋いでデータを取らなきゃ」という余計な心配をすることになり、思考の邪魔になります。

よって、

・速度は出ないが、恐ろしく安定している「新幹線無線LAN」
・速度は出るが、場所によって速度が変わったりトンネルに入ると切れてしまう「3Gのデータ通信」

新幹線での通信手段にはまだ決定的なものが無いので、どちらかを選ぶか組み合わせて使いましょうということです。つまり、「新幹線でネット」の戦いはまだ終わっていないということです。

あるいは、シームレスに複数の通信手段を組み合わせるサービスを提供するところがあれば、歓迎されるかもしれません。

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526 「LTE実験で120Mbpsの通信を確認」はどの程度のものか?

LTEが実験で120Mbpsを出したというニュースについて書いてみたいと思います。


◆LTE実験で120Mbpsの通信を確認

まずは記事の引用。

富士通やNTTドコモなど、LTE実験で120Mbpsの通信を確認
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/16/22788.html

富士通と富士通研究所は、NTTドコモと共同で、北海道札幌市のユビキタス特区で「LTE(Long Term Evolution)」のフィールド実証実験を実施したと発表した。
実証実験では、3社が共同で開発した「LTE無線基地局装置」の試作機を利用。札幌市の市街地環境で、4本のアンテナから同一時刻に、同一周波数で異なる信号を送信する「4×4 Pre-coding MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)」の下りリンクでのスループット特性を評価し、最大120Mbps(帯域幅:10MHz)の通信を確認した。

ドコモと富士通が札幌で、10MHz幅で4x4MIMOのLTEで最大120Mbpsを出したというニュースです。

この「120Mbps」という数字がどのようなものなのかを考えてみたいと思います。


◆以前の「LTEで250Mbps出ました」とほぼ同じ数字

今回の実験は、日本で実際にサービスインする可能性の高い「10MHz幅」での速度です。つまり、この実験は近いうちに実際にサービスインするLTEでこれくらいの速度が出ますと言いたいのだと思います。

これまでのLTEのデモでは20MHz幅で行われている事が多かったですから、過去の話と比較するためにも、一度20MHz幅換算にしてみましょう。

・120Mbps/10MHz幅
・240Mbps/20MHz幅

240Mbps相当という数字が出てきましたが、これは過去に出てきた数字と似ています。というのは、ドコモが以前「LTEで250Mbpsが出ます」というデモを行っていた事がありますが、その「250」とほぼ同じだということです。

250と240相当という数字の接近は偶然ではないはずで、有線接続ではないデモで限界いっぱいまで速度を出そうとした場合にはこの程度まで出るということなのだと思われます。

#逆にいえば、実環境では出ない速度なのではないかと


◆モトローラによるLTEのスペックの説明

次に、LTEのスペックとの比較をしてみましょう。

モトローラがLTEの速度について書いているページからデータを持ってきます。

LTEのパフォーマンス
http://www.motorola.jp/networks/lte/lte-depth.html

最初にエラー対策を考えない速度と、エラー対策入りの速度(「より現実的なピークデータレート」)があります。

帯域幅:MIMO:速度(エラー対策なし)
・5MHz幅:2x2:43Mbps
・10MHz幅:2x2:86Mbps
・20MHz幅:2x2:173Mbps
・5MHz幅:4x4:82Mbps
・10MHz幅:4x4:163Mbps
・20MHz幅:4x4:326Mbps

帯域幅:MIMO:速度(5/6エラーレートコーディング)
・5MHz幅:2x2:29Mbps
・10MHz幅:2x2:59Mbps
・20MHz幅:2x2:117Mbps
・5MHz幅:4x4:55Mbps
・10MHz幅:4x4:113Mbps
・20MHz幅:4x4:226Mbps

5/6エラーレートコーディングというのは、6ビットに5ビット分の情報を載せて運ぶ方法だと思ってください。送信できるデータが1ビット減る代わりに、データがどこかで「少しだけ」壊れても再送なしで復元できるようにする方法です。

エラー対策なしの場合には少しでもデータが壊れてしまうと、再送処理が必要になります。実際の環境ではエラーは頻繁に発生しますから非現実的です。よって、モトローラも

この理論最大値にはエラーレートコーディングが含まれず、これ無しでは、実環境で大部分のビットを再送することになり、それがスペクトル効率を悪くしてしまう、ということに注意してください。

とした上で、「5/6エラーレートコーディング」の数値を「現実的な数値」として出しています。


◆そもそものLTEのスペックと比較をする

なおモトローラが出している速度は「実際の環境で頻繁に体感できる」という速度ではありません。実際にユーザが体感できる速度については

ユーザーのピークレートと予想平均レート

予想ユーザーデータレートの評価は非常に難しく、無線技術の特徴である多くの要素(セルまでの距離、セルの負荷、加入者の移動速度、屋内/屋外、マクロレイヤー、ホットスポット…)に依存します。

として「わからない」としています。

それでは今回のニュースの10MHz幅4x4MIMOの数値を持ってきて考えてみましょう。

・10MHz幅:4x4:163Mbps(エラー対策なし)
・10MHz幅:4x4:113Mbps(5/6エラーレートコーディング)

そして実験で出たとされる数字は以下のようなものでした、

・10MHz幅・4x4:120Mbps

モトローラの「より現実的なピークデータレート」とより少し多い似た数字だということがわかります。ちなみに、20MHz幅で250Mbpsについては、

・20MHz幅:4x4:326Mbps(エラー対策なし)
・20MHz幅:4x4:226Mbps(5/6エラーレートコーディング)

こちらも少し多い数字になっています。

ただしこの速度は、

・電波状態がものすごく良く
・他に利用者が誰も居らず
・4x4MIMOが理想的に動作

という場合の速度のはずです。特に実環境でMIMOが想定したとおりに動作することは考えにくいとされるので、チューンしたデモで見かける速度ではあっても、実環境で見かける速度にはならないのではないかと思われます。

では、実際の速度はということになるとモトローラも「予想ユーザーデータレートの評価は非常に難しく」と言っているような状態ですが、

・MIMOにはあまり期待してはいけない
・電波状態や混雑でも速度は落ちる

ということになりますから、実際にユーザが体感できる速度は「かなり落ちる」ことになるはずです。

いずれにせよ、

・10MHz幅:4x4:163Mbps(エラー対策なし)

なのに、「120Mbpsも出た」というのは、理論値の73%もの数値になっています。これは40Mbps(が既に163Mbps相当ではない)のモバイルWiMAX(しかも2x2)で73%にすると、30Mbpsが出た状態に相当します。

なお、モバイルWiMAXのスペックと並べて書いてみると、

・10MHz(TDD):2x2MIMO:40Mbps

で、LTEの2x2での速度は

帯域幅:MIMO:速度(5/6エラーレートコーディング/エラー対策無し)
・5MHz幅:2x2:29Mbps/43Mbps
・10MHz幅:2x2:59Mbps/86Mbps
・20MHz幅:2x2:117Mbps/173Mbps

となります。

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527 誰もが忘れている「2GHz帯TDD」の再割り当て

誰もがすっかり忘れている、TDDな2GHz帯の再割り当てについて少し書いてみたいと思います。


◆すっかり忘れられてしまった、2GHz帯TDDの再割り当て

携帯電話会社向けの帯域割り当ては毎回もめたり、話題になったりします。が、現在「使いたいところは手を挙げてくれませんか」と募集中であるにもかかわらず、全く忘れられている帯域があります。2GHzのTDD用帯域です。

どういう帯域か:
・2GHzあたりにある15MHz幅
・TDD用帯域で、帯域がペアになっていない。

「帯域がペアになっていない」というのは、普通の携帯電話用の帯域は「下り:基地局→端末」と「上り:端末→基地局」の帯域の(適度な間隔の)ペアになっているのですが、TDD帯域では「帯域は上下兼用の一つしかない」ということです。

つまり、普通の携帯電話用の帯域には使えないのです。

これまでの経緯について少し書いてみましょう(復習になる人も多そうですが)

・2005年末:アイピーモバイルが帯域を獲得(TD-CDMA での利用を計画)
・2007年末:アイピーモバイルが免許を返上
・その後、再割り当ての作業になるも、ほとんど進展なし

まず2005年の時のことを書いて見ましょう。

2005年末に三つの新規割り当て(新規参入への割り当て)がありました。
・2GHzのTDD帯域に1枠:アイピーモバイル
・1.7GHzのFDD帯域に2枠:イーモバイルとソフトバンク

ところが帯域獲得してほどなくソフトバンクはボーダフォン日本を突然買収し、新規参入の免許を返上します。現在、2005年末に割り当てされたところで残っているのはイーモバイルだけです。

なお、2GHz帯の方では、アイピーモバイルだけしか立候補せず(できず)、アイピーモバイルへの割り当てが行われましたが、帯域の用途をTD系のCDMAに限定したために「門前払い」を受けたところがいくつかありました。

まずウィルコムは次世代PHSで手を挙げたいと言いましたが門前払いのままでした、京セラはiBurstでの利用を許すように言いましたが門前払いのままでした。また、ライブドアがiBurstで参入したいと考えていたという話もありました。

次に2007年末のあたりについて、

2007年末と言えば、2.5GHz帯の獲得とモバイルWiMAXをめぐる騒動のあった時期でした。まだモバイルWiMAXのバブルは(日本では)終わっておらず、本命のLTEも存在自体が良く知られていなかった事もあり、真面目に取り合いがなされていました。

ちょうどその頃にアイピーモバイルが(既に時間の問題になっていましたが)新規参入を公式にギブアップして免許の返上を行っています。

争奪戦が加熱した2.5GHz帯はTDD用の帯域で、返上された帯域もTDD用の帯域だったこともあり、2.5GHz帯の争奪戦の熱は今すぐに2.0GHz帯の再割り当てに流れ込むような勢いでした。

2.5GHz帯の割り当てが終わってすぐは、「今すぐにでも2.0GHz帯を獲得しておいついてやる」「今すぐにでも2.0GHz帯の再割り当てを開始ほしい」というような熱を帯びた空気でしたが、その熱は短期間で冷めています。


◆現在どうなっているか

現在、1.5GHz帯の再割り当ての話が進んでいますが、その際に一緒に処理される予定になっています。ですが、全く話題になっていないのでわかるとおり、立候補するところ自体が無いような状態です。

問題はTDD帯域であることに加え、15MHz幅であることです。

利用できる技術の候補(募集できるもの)は以下のようになっていますが、以前に解説を書いたとおり、決定的な選択肢は無いように思われます。

・TD-CDMA
・TD-SCDMA
・モバイルWiMAX
・次世代PHS
・iBurst
・LTE(TDDモード)
・UMB(TDDモード)

モバイルWiMAX用としては帯域幅が足りません(5MHz×3になってしまう)し、周波数も標準外です。

2005年の時点でiBurstか次世代PHSに割り当てておけば、今ごろこの帯域は日本で大活躍しているはずです。今からそのようにしても悪くは無いとも思うのですが、今となっては本命とは言えません。

LTEは普通のLTEとは違うものになりますから、LTEの名前がついているからといって安心してはいけません。

TD-SCDMAを採用して中国大陸の力を使う方法もあるかもしれませんが、本家が怪しい状態です。

これ以外で以前から出ている使い方は、

・AUがRev.B用に利用する

という使い方です。Rev.Bとは、下り帯域を複数束ねて高速化を図る方法ですが、AUが既にもっているFDD用の2GHz帯に「下り専用帯域として追加」する形で使う方法です。たしかに、帯域を無駄なく使う事ができるかもしれません。ただし、AUはRev.Bやりません、と言ってしまった後ですが。

同じような方法で、HSDPAの下り専用帯域として使う事はできなくは無い、かもしれません。

なお、流れとしては「誰も立候補しませんでした」(まともに事業ができそうなところでは)という結末になって、実験用などに使われる帯域という悲しい余生になりそうだとか。


◆ただし、新規参入の最後のチャンスかもしれない

ただしこの割り当て、新規参入の最後のチャンスになる可能性もあります。

1.5GHz帯の割り当てでも、一応は新規参入も立候補できる事になっていますが、4社で4枠という有様なので、事前に話し合いが完了していると思われます。

アナログ地上波跡地については既存キャリアが全力本気モードで争奪戦をすることになるはずで、新規どころの話ではなくなっているはずです。同じく、形式上は新規参入も手を挙げられるようにはなっているかもしれませんが、既存キャリア同士のスーパーバトルになっていてはどうしようもないはずです。

ですから、新規参入をしたいと考えているところは、今回が最後のチャンスだと思った方が良いのではないかと思います。


◆帯域を細切れにしてはいけません

もし仮に、この帯域が30MHz幅あった場合にはモバイルWiMAXでの利用が真面目に検討され、場合によっては2.5GHz帯の落選陣営がすぐに再立候補して獲得しているかもしれません。

帯域幅が狭いとそれだけで使い道が限定されるという例かもしれません。1.5GHz帯やアナログ跡地も細切れにしない方がいいと思います。

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528 カーライルがウィルコムに追加出資の件について

あまり書くことが無いので少しだけ。


◆カーライルがウィルコムに追加出資するらしい

以前、ウィルコムへ新規で出資してくれるところを探すのを諦めた、という一部ニュースがあったことについて記事にしましたが、今度はカーライル自身が追加で出資するというニュースが出てきました。

米カーライル、ウィルコムに追加出資 次世代PHS後押し
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090314AT1D1305L13032009.html

米投資ファンド大手のカーライル・グループはウィルコムに追加出資する方針だ。ウィルコムが4月中をメドに実施する50億円の第三者割当増資を全額引き受け、出資比率を60%から65%前後に引き上げる。ウィルコムは次世代PHS事業の試験サービスを来月に始める計画で、カーライルは新規事業の立ち上げを主導する姿勢を明確にする。

念のためにまずは復習。

ウィルコムにお金を出しているところは現時点ではこういうことになっています。

・カーライル 60%
・京セラ 30%
・KDD(京セラの子会社) 10%

カーライルで60%、京セラ一味で40%ということになっています。

ポイントは、カーライルが過半数を持っているので基本的にカーライルの意見が通るのですが、過半数を持っているからといってなんでもできるわけではなくて、三分の一以上の反対がある場合には重要なことを決められないため、カーライルが主導権を持っているが、京セラには拒否権があるので、京セラが同意しないことはできなくなっています。

で、新しくお金を用意するには、主に出資してもらう方法と、どこかから借りる方法がありますが、借りる方については、ウィルコムはお金の状態を良い状態にする代わりに、良い条件でお金を借りているとされます。

で、

・2.5GHz帯の獲得の際の事業計画では「追加資金無し」での計画が出されている
・2008年の夏に、次世代PHS計画の前倒しのために新規出資を探すという一部報道(注:この時点ではまだ世界は好景気というかお金が唸っている時期)
・しばらく前に、8月に出ていた新規出資者探しを諦めたという一部報道

以上を前置きにして今回のニュースについて。

日経が報じただけなので、本当なのかどうかは疑わないといけないのですが(前例もありますし)、その辺についてはひとまずさておきます。

今回のニュースですが、カーライル自身が50億円を追加で出資する事になったという一部報道です。

おそらく問題は金額というよりも、「出資比率を60%から65%前後に引き上げる」というところです。先に説明をしたように「京セラは三分の一拒否権」を手放したくないわけですから、カーライルは限界いっぱいまで出資しましたということになりそうです。

つまり、カーライルは50億円しか出資しないのではなく、京セラが反対するので50億円くらいしか出資できないのだと思われます。「普通の方法」ではこれでカーライル側からの追加出資は難しくなったんじゃないかと思います(他の方法があると思う人は教えてください)。

お金を調達する手段としては、出資以外に「どこかから借りてくる」方法がありますが、こちらについては、次世代PHSがサービスインする前の今より(モバイルWiMAXのように話題バブルではないので)、実際にサービスインして「これなら大丈夫だな」と思ってもらってからの方が安くお金を集められるはずです。

50億円がどれほどのものかについてですが、携帯他社であまりに巨大な金額が動いているために何だかよく解らなくなっていますが、例えば次世代PHSの基地局の展開資金に使うとしたら、

・50億円:500万円×1000基地局
・50億円:250万円×2000基地局
・50億円:100万円×5000基地局

2010年3月までの基地局数のノルマは1500ですから、それくらいにはなりそうです。

基地局の場所は既にあり、既存の基地局のパワーアップと兼ねての交換作業で済むようになっているので、基地局さえ開発できていれば計画どおりに作業は進みやすいはずですし、基地局は500万円もしないはず(少なくとも多数を量産した時点で)です。

また、このタイミングで話が出てきたというのは、ちょっと興味深いかもしれません。

というのは、モバイルWiMAXが日本で試験サービスインしてしばらくして、その後の発表だからです。どのような判断を経てなのかはわかりませんが、少なくともモバイルWiMAXの試験サービスがどのような状況であるか、という情報がカーライルにもたらされ、その後の決定のはずだからです。

上記のような意味でどういう意図の追加出資なのかはわかりません。もっと急いでエリア展開しないと負けてしまうと思ったからかもしれませんし、逆に競争相手がこんな軟弱なならば我々は大丈夫だと思ったからかもしれません。

少なくとも、もうどうやってもダメだという判断ならば追加出資は無いはずなので、そういう判断はされなかったのではないかと。

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529 モトローラが中国の独自次世代技術(TD-LTE)に協力

モバイルWiMAX開発の張本人であるモトローラが、中国の独自次世代技術「TD-LTE」の開発に協力するようだ、という件について。


前回の記事:
530 上海万博(来年5月)で中国の独自3.9世代技術が「試験サービスイン」、の予定
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2009/03/530-539-322c.html

の続きです。

◆モトローラが中国の国策技術開発に協力する?

モバイルWiMAXが(今のところ)うまく行かず、携帯端末販売でもうまく行かずで困っているはずのモトローラですが、なんと中国のTD-LTEに協力するようです。

モトローラ、TD-LTEへの取り組みを強化
http://mediacenter.motorola.com/content/Detail.aspx?ReleaseID=10811&NewsAreaID=2

北京発-2009年2月24日-米モトローラ(MYSE:MOTO)は本日、TD-LTE(時分割複信LTE)商用化の進捗状況を発表しました。モトローラは通信事業者と協力し、2009年中にTD-LTEの運用試験を実施します。

これは中国の通信事業者やTDD帯域を使用する世界中の通信事業者の将来のニーズを満たすTD-LTEに対するモトローラの取り組みを改めて示すものであり、また世界中でのパーソナルなモバイルメディア体験の提供を加速するものです。

モトローラと言えば、WiMAXの古参にしてWiMAXの張本人です。WiMAXがモバイルWiMAXになって変な騒ぎになる前から関わってきていました。

モトローラについては、モバイルWiMAX陣営がIEEE802.20委員会でトラブルを起こしていたときにクアルコムが(激怒して)こう評しています(以下、引用の引用になります)

過去の記事:
749 続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/749_wimax_f209.html

一方、説明会に同席したクアルコム・ジャパン代表取締役社長の山田純氏は、WiMAXに賛意を示している韓国サムスン電子社、米モトローラ社などを「携帯電話におけるインフラビジネスに脱落した人々」と酷評。

モトローラはGSM御三家(という表現もどうかと思いますが)の一角でしたが、第三世代では世界の第一線級の存在ではなくなっているように思います。クアルコムはこういう状況を「脱落した」と言ったわけです。

この表現にあわせるならば「脱落組」のモトローラが、やはり「世界のインフラビジネスで競争する能力が無い」中国の独自技術開発と手を組んだようにも見えます。

◆「2009年中に試験運用」

モトローラによると「2009年中に運用試験をする」とあります。今現在すでに2009年ですから、残りは僅かしかありません。何をするか考えましょうか、というようなことでは間に合いませんから、既に存在するものをベースに話が進められるはずで、そうなると

・中国側:既になされているTD-LTEの検討
・モトローラ側:モバイルWiMAXおよびモバイルWiMAXの発展技術の研究成果

どちらが力があるかというと、開発済みのモバイルWiMAXかもしれません。中国の固有の事情があるとしたら、TD-SCDMAと一緒に利用することに配慮するようなこともあるかもしれません。またモバイルWiMAXは音声通話に使う事をあまり考えずに作られていますが、音声通話できるよう求められるかもしれません。

中国が単独で独自にTD-LTEを間に合わせるとなると本当なのかなと思えてきますが、もしモバイルWiMAXをベースにした技術で、ほとんどモバイルWiMAXと変わらないのなら、

・2009年中に試験運用
・2010年5月に試験サービスインに近い事をする

確かに間に合う話かもしれません。

単にモトローラがちょっと協力するだけのことで、あまり気にするような事も無いのかもしれませんが、考えようによっては、

・中国政府がモバイルWiMAXの技術をモトローラの技術開発部隊ごと買い取る
・負け試合になってきて困っているモバイルWiMAX陣営が中国に頭を下げた
・モトローラもモバイルWiMAXに見切りをつけた

というようなことも考えられます。

◆ただし

ただし、独自の第3世代のTD-SCDMAは今のところ先が心配される状態です。悪い方に流れが進むとW-CDMAとCDMA2000に本家中国大陸でこれからフルボッコにされることになります。

そういうことになればTD-LTEも無事ではすまないはずです。TD-SCDMAの大失敗が明らかになり、その上で世界でLTEのサービスインがはじまっていたとしたら、さすがどうかと思うはずです。

また中国政府からすると国策で開発している技術が、「米国」の技術であるモバイルWiMAXを借りて作ったのが明らかになるようなことは許されないはずです。中国は自国の力だけで、他の技術とは一線を画する違いを持った技術を開発したいと思っているはずです。

協力して利益も得るモトローラ自身はともかく、モバイルWiMAX陣営にとってTD-LTEは本来「直接の競合相手」となります。同じTDD帯域を使う技術ですから。TD-LTEが栄えることはすなわち、
・LTEとモバイルWiMAXが、FDDとTDDの違いで住み分ける
・先進国の携帯市場はLTEが、途上国ではモバイルWiMAX
というモバイルWiMAXの「残った未来」を潰すことにも繋がります。特に途上国市場では中国相手の競争は相当に厳しいことになるかもしれません。

また、モバイルWiMAX陣営ではLTEと合流すべきだという意見もあり、LTEのTDDモードをモバイルWiMAXということにしようという話もあります。そういう意見においては、全く同じ方法でLTEと合流してしまう可能性もあるTD-LTEは危険な存在です。LTEとTD-LTEが合流してしまったら、モバイルWiMAXがLTEと合流するのはほぼ不可能です。

つまり中国を手を組んだ時点で、モバイルWiMAXは取引条件として自らの存在自体を売らないといけないかもしれません。


あるいは実はこういうことかもしれません。

・モトローラがモバイルWiMAXに見切りをつけ、場合によってはTD-LTEに寝返ろうと考えている

もしそうなら、モバイルWiMAXは完全に終了モードになっているだけで、モトローラはモバイルWiMAXの残りかすから回収できるものは回収しようとしているだけかもしれません。

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530 上海万博(来年5月)で中国の独自3.9世代技術が「試験サービスイン」、の予定

来年に5月に行われる上海万博で、中国の独自3.9世代(TD-LTE)がお披露目される、とのニュースが出ています。

第3世代の間違いではありません、なんと「次世代」のデモをすると言っているという話です。


◆2010年5月の上海万博でTD-LTEがお披露目される「予定」

念のために書いておきますと、TD-SCDMAではなく、中国版LTEとでも言うべき「TD-LTE」です。

少し前、世界にLTE風が吹き始めた頃から見かけるようになった単語で、話題自体は前からあったものです。

まずは引用を行って、それから書いてみたいと思います。

中国移動:上海万博で4G携帯電話の実験
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0304&f=stockname_0304_024.shtml

中国携帯電話業界最大手の中国移動有限公司[香港上場、中国移動(チャイナモバイル)、00941]の関係者によると、来年5月に開催する上海万博で同社が開発中の次世代携帯電話、4G水準TD-LTEネットの実験を行うもよう。実現すれば中国初の4G実験になる。

政府の工業及び情報化部部長の李毅中氏は、現在は3G普及に主力を注いでいるが、次世代携帯システムの研究は必要不可欠と述べている。

つまり、来年五月(2010年5月)の上海万博で中国移動(チャイナモバイル:中国のドコモみたいなところ)が、中国の独自次世代技術のTD-LTEの試験サービス?実験?を行うようです。

えー、と思った人も多いと思います。なにしろ独自第3世代のTD-SCDMAすら何だか怪しい状態だからです。記事にもそういう状況がでてしまっています(「3G『普及』に主力を注いでいるが」)。

念のために別の記事、

上海万博(世博会)、エリア内では国産4G方式通信も採用
http://www2.explore.ne.jp/news/article.php?id=11968&r=sh

中国ではいまTD-SCDMAの国産3G方式携帯電話システムの普及を目指しているが、上海万博(世博会)では、会場内で国産の4G方式となるTD-LTE方式も採用される。通信速度は、下りで100Mbps。万博エリア内では、100%信号がカバーされる見込みで、上りでも、20~50Mbpsの通信速度が確保される。

TD方式の普及には、2009年3月~4月にかけてこの規格に対応するネットブックパソコンが登場していき、多くのメーカーが感心を寄せているという。年末までには各メーカーから30種類のネットブックが出てくる見込み。

なんか意味不明記事になっていますが、順番に検討してみましょう。

「中国ではいまTD-SCDMAの国産3G方式携帯電話システムの普及を目指しているが」というのは先の記事と同じ、実のところ独自の第3世代もまだ怪しい状態が現状だということ。

またこちらでも「国産の4G方式となるTD-LTE方式」とあり、別の方式(例えばTD-HSDPA)のデモをTD-LTEと間違えてのニュースではなさそうな事が解ります。

デモだけならイメージモックだけ飾ってあっても「デモ」なのですが、こちらの記事では試験サービスに近い規模で提供されることがかかれています。

・エリア:万博会場を全て圏内にする
・下り速度:100Mbps
・上がり速度:20~50Mbps

万博会場、それも国策で行う万博の会場ですから狭い会場をカバーしておしまいということにはなりません、小さい都市全体で試験サービスインするくらいの規模にはなってしまいます。

ただしこの記事、後半部が変なことになっています。

「2009年3月~4月にかけてこの規格に対応するネットブックパソコンが登場していき(略)」とあるのは、モバイルWiMAXとTD-LTEが混同されていることがわかります。

近々にネットブックが出る(かもしれない)のは明らかにモバイルWiMAXのことですが、モバイルWiMAXは「中国の独自次世代技術」ではないわけで、少なくともネットブックと独自技術の記述の間には矛盾があります。


◆北京五輪のTD-SCDMAと同じ手法

両方ともの記事にありますが、中国が国策で開発した独自第3世代技術の「TD-SCDMA」がまだ怪しい状態で、そもそも第3世代のサービスインすらまだ行われていない状態です。

そういう状態で来年の5月に次世代技術の試験サービスインをすると言われても、大丈夫には思えなかったりします。

まず念のために説明をしておきますと、世界でLTEと呼ばれているものとこれは別です。次世代関係を列挙してみると、

W-CDMA陣営:
・第3世代:W-CDMA/HSPA
・次世代:LTE、LTE(TDD)

CDMA2000陣営:
・第3世代:CDMA2000/EV-DO
・次世代:UMBだったが開発中止してLTEに合流

モバイルWiMAX陣営
・第3世代:(なし)
・次世代:モバイルWiMAX

中国
・第3世代:TD-SCDMA/TD-HSDPA
・次世代:TD-LTE

面倒なのは、欧州(日欧)で開発されているLTEのTDD版と中国のTD-LTEは別物(のはず)だということです。もちろん、モバイルWiMAXとも別物(のはず)です。

怪しい話だな、と思った人が多いのではないかと思います、それは
・TD-LTEは最近話が出てきただけで、デモなどがされた情報は全く無い
・TD-SCDMAすらまだ未完成で、独自3.5世代も未完成
・残り期間は僅か一年とちょっとしかない

残り期間の問題は深刻です。デモンストレーションが出来る状態になっていても、そこから実際に試せる状態にするのに長い期間がかかるのが普通だからです。万博会場全体をカバーするのですから、開発中ですがデモする機械を持ってきました、みたいなことではダメなはずですから。

TD-SCDMAを北京五輪にぶつけてお披露目をしようとした作戦と似ていることから、「同じ人が同じ思考回路で言い出した」可能性も疑われます。もしそうなら、

向こうのえらい人の誰か(あくまでも妄想):

第一段階
・国の威信をかけたTD-SCDMAを何としてでも中国五輪で世界に自慢したい
・開発が遅れに遅れていたTD-SCDMAの試験サービスインのスケジュールが現状無視で設定される
・とりあえず北京五輪の前に試験サービスインしたことにした
・えらい人に「言われたとおりに試験サービスインしました」という成功の報告が行く
・実際問題としては、2009年になってもTD-SCDMAは全然ダメな状態だが、そういう現状は報告されない。

第二段階
・えらい人:北京五輪で自分の国家事業が成功した
・えらい人:強い決意で期限を設定すれば成功するんだ
・えらい人:じゃあ次は上海万博までに次世代を完成させよう
・「来年五月までに試験サービスインできるようにせよ、間に合わないなら間に合わせなさい」

まず思ったのは、無理な期限を設定して完成させてお披露目させる手法、すでに北京五輪のTD-SCDMAで失敗しているということです。まさかあの状態でTD-SCDMAが華々しく世界にデビューできたと思っている人は居ないはずです。

国策事業だから大人の事情で無理をして試験サービスインしているんだろうな、事情はお察しします、というのが普通の感想だったはず。

とりあえずあれから随分経った現時点(2009年3月)になってもTD-SCDMAがまともにサービスインしている話は聞きません。

普通、失敗したと思った場合には同じ手法は用いらないはずですが、また同じ手法が用いられている点に疑問を感じます。TD-SCDMAとは状況が違う可能性も当然考えなければなりませんが、同じく「張本人が現状を全くわかっていないから」という可能性も当然考慮されるべきだろうと。

ただ、来年の5月にはもしかすると

・(中国での)サービスインから1年経ったW-CDMAやCDMA2000がいよいよ勢いがついてきた
・TD-SCDMAが炎上していることは誰の目にも明らか

ということになっている可能性もあり、TD-LTEのデモをするどころの状況ではなくなっているかもしれません。


◆と思っていると・・

長くなってしまったので分割して次の記事にしますが、モトローラが中国のTD-LTEに協力するという気になる話が出てきているようです。続いてすぐに投稿しますのでしばらくお待ちください。

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531 世界市場に0円スマートフォンが登場? / ガラパゴス販売方式、アメリカで流行??

台湾のAcerが「0円スマートフォンを登場させる」ような事を言っていたり、海外のキャリアがインセ販売(ガラパゴス販売方式)をどんどんやるよー、と言っている件について。


◆台湾のAcerが「0円スマートフォンを登場させる」

しばらく前に、AcerやDELLがスマートフォン市場に参入したら低価格スマートフォン量産時代がはじまりますよ、というようなことを記事にしましたが、

「劣化ケータイ」としてのスマートフォンが登場するかもしれない
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2009/02/548-f2b9.html

記事では最初は違っても世界規模での競争の結果そうなる可能性が高い、ということを書きましたが、Acerが投入するスマートフォンは最初からいきなり「量産型低価格スマートフォン」を目指しているようです。

スマートフォンをいずれは無料で──台湾エイサー上級副社長
http://www.computerworld.jp/news/mw/137589.html

台湾のPCベンダーであるAcerは、スマートフォンの販売価格をネットワーク・オペレーターに無料配布できるくらいの価格に下げたいとしている。「それが、10月の発表を予定しているスマートフォン2機種の狙い」と、同社のシニア・コーポレート副社長で、スマート・ハンドヘルド・ビジネス・グループの社長を務めるアイマール・ド・ランクザン(Aymar de Lencquesaing)氏は語った。

結構な金額で出荷するけれどもお客さんの負担金がゼロ円という話ではなくて、「ネットワーク・オペレーターに無料配布できるくらいの価格」と言っています。つまり携帯電話会社に無料で配れるくらいの価格と。

どこまで本気かわかりませんが、少なくとも、

・スマートフォン = 高機能 = ハイエンド = 高価格

というつもり「ではない」のは確かです。グローバルな競争というのは何と恐ろしい。

記事では、エイサーがもうすぐ発売を予定しているスマートフォンについての話題もあるのですが、そちらは普通なのでさておいて(笑)、無料計画の方に集中して引用してみましょう。

ド・ランクザン氏は、このほかにも「C1」および「E1」と呼ばれる2つのモデルがあることを明かしたが、その仕様についてはほとんど語らなかった。これらのモデルは、電子メールやWebブラウジングに適しており、さまざまなカラーリングが選べる予定だという。
同氏が壇上に持って上がった黒と白のデバイスには、どちらも大画面スクリーンと大きくて丸いジョイパッドのようなコントロール装置が付いていた。
 「われわれは、顧客に魅力的なスマートフォンを提供したい。しかも、一般の多機能携帯電話と同程度の価格で」とド・ランクザン氏は述べた。「C1とE1は、まずネットワーク・オペレーターに配布され、その後には無料になるだろう」という同氏のことばが、本当に実現されるかどうかに注目したい。

「その後には無料になるだろう」ですから、もしかしたらインセで無料にということかもしれません。しかし、衝撃的な価格を意図して開発しているのは確かなようです。

お金が無いのでスマートフォンで我慢するか、という時代、なんと次のお正月までに到来しているかもしれません!


◆ガラパゴス販売方式っぽい方法がアメリカで流行中

日本では悪い習慣であるとされているインセ制度ですが、アメリカでインセ販売っぽい方法がブレイク中という記事です。

携帯キャリアはデバイスの“補助金付き”販売に商機を見いだす
顧客争奪戦の中、ネットブックやiPhone以外のデバイスにも拡大する見込み
http://www.computerworld.jp/news/mw/137610.html

不況の中、顧客獲得に必死の携帯電話事業者が、ネットブックを始めとするワイヤレス・デバイスに対し多額の「補助金」を出し始めている。

米国の携帯キャリアAT&T Wirelessは今週、ネットブック2機種(Dell製とAcer製)の販売に対して補助金を出してきたことを認めた。AT&Tのデータ通信サービス(月額60ドル)を2年間契約すれば、これらのネットブックを1台99ドルの特別価格で購入することができる。

AT&Tのある広報担当者は、将来的にはネットブックだけでなく、ネットワーク接続機能を内蔵した電子ブック・リーダやワイヤレス・デジタルカメラ、車載ナビゲーション・システムといったさまざまなワイヤレス・デバイスについても、同様の「補助金」戦略を検討したいと語っている。

ネットブックにインセ(補助金)を出されており、今後はネット対応のいろいろなデバイスの販売にも拡大されるのではないかということです、

・本来高額なものを
・2年契約を条件に値引き

通信料金と別に端末代の請求が二年間続いて・・・という話ではなくて、客を獲得するために最初に値引いていてその後の通信料金は基本的に同じ。ただし、かつての日本とは違って新規契約をして即解約をすることは出来ないようです(違約金なしでは)。

このブログで話題に出てくる「勝ち組ベライゾン」も似たようなことをしているようです。

Verizon Wirelessも、ソニーの「VAIO type P」を購入し、2年間のデータ通信サービス契約を結ぶ消費者に対し、200ドルをキャッシュ・バックしている。VAIO type Pは小型のノートPCで、ソニーのWebサイトでは900ドル前後で販売されている。

こちらはキャッシュバックですが、2年契約すれば200ドルが戻ってくるとの事です。

おそらくLTEの試験サービスが開始されると、これが例えば

・例:ベライゾンのLTEで2年契約された方には、VAIO type Pを200ドル値引き

というようなことになるのではないかと思われます。さらに余計な事まで考えると、モバイルWiMAX側もインセで応戦して、値引き合戦になるやもしれません。例えば劣勢になったモバイルWiMAX側が最終作戦として0円攻撃を始めたりするようなことはあるかもしれませんから。

で、記事中ではですが(念のために注意)、こういう販売方法はけしからんとか一時的なものだろうという話にはなっておらず、「今後流行ってゆくだろう」という話になっています。

アナリストたちはこうしたキャリアによる補助金について、短期的には大きな出費となるが、長期的には利益を生むだろうと分析する。

米国ABI Researchのアナリスト、ケビン・バーデン(Kevin Burden)氏は、景気の悪化とともに、キャリアは先を争って契約獲得に走るはずだと述べている。

「今後、あらゆるキャリアが多額の補助金を出すようになるだろう。そして、その対象も多種多様なデバイスに広がっていくはずだ。多額の補助金を支払っても、最終的にはワイヤレス・サービスの料金として回収できる。そこで、どのキャリアも(補助金付きの)デバイスを利用して顧客を増やそうともくろんでいる」(バーデン氏)

この販売方式の原因はおそらくiPhoneの「199ドル」(インセ販売で)が原因ではないかと思われます。あれがうまく行っているのなら真似しよう、と。そしてiPhone 3Gの販売方式は日本の携帯電話の売り方を参考にしたものだとも言われているわけで、日本方式が向こうに伝染したのかもしれません。

もっとも、日本で「日本の方法は良くなかった」と一部で言われているのと同じく、アメリカでも「この方法は良くないと思いつつ、どの電話会社もやめることが出来ない」ということになるのかもしれません。

ただし、もしそうなったとしても、お上が販売方法に介入するようなことは向こうでは起こらないはずです。自由に任せるのが原則、とされると思います。

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532 AUが「LTEまでは新技術を投入しない」の理由

AUがLTE開始まではRev.Aのままで行くと発言して一部で不評らしい件について、実はそう思うようなことでもないぞという事を書いてみたいと思います。

一度良い方向に誤解を解きますが、結局はAUは難しい事になっているという話になります。


◆LTEまではRev.Aでいく、Rev.Bは導入しない(新技術は投入しません)

AUのボスが、LTE開始までは現状のままのRev.Aでサービスを続けますと言っていますよという話があります、それについて一部で不評だったりする件について少し書いてみたいと思います。

まずは引用です。

[前編]3.9GまではRev.Aでいく,Rev.Bは導入しない
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Interview/20090204/324198/

以下が問題となっている直接の部分です。ちょっと短いですが、まずはこの部分だけ。

3.9Gの導入まではEV-DO Rev.Aでいくのか。Rev.Bは導入しないのか。

そうなる。Rev.Bは導入しない。

このニュースはソースに使っただけで、どうもAUは以前からRev.Bには消極的な感じです。

ネットではなんとなくAUに不満を言っておけば問題は無いみたいな空気もあるので、「他社に遅れをとっているAUが怠けていてけしからん」みたいなリアクションを生んでいるような気がします。

ただ、Rev.Bを採用しないのはしょうがない気もします。何故そのように思えるかをちょっと説明してみます。

まず基本として、AUはCDMA2000陣営で、携帯他社はW-CDMA陣営です。基本的に両方ともにCDMAなので似たところが多いのですが、利用する帯域幅が違います。

・CDMA2000:1.25MHz幅×2(下り:基地局→端末、上り:端末→基地局)
・W-CDMA:5MHz幅×2(下り:基地局→端末、上り:端末→基地局)

AUの方が「通信あたりで利用している帯域が細い」ので、スペック上の最高速度が劣る傾向があります。

次に世代の整理をしてみましょう、

まず素の第3世代
・CDMA2000 1x
・W-CDMA

次にいわゆる3.5世代
・EV-DO(WIN) : 2003年11月28日
・HSDPA(FOMA HIGH-SPEED) : 2006年8月31日(3.6Mbps)

通信方法を変えてデータ通信の高速化を図った(そして混雑に弱くなった)のが3.5世代での高速化でした。3.5世代的な方法を考えたのもクアルコムなので、EV-DOが先に開発されており、この流れの速い業界で年単位の差がついてしまっていました。

この圧倒的な技術的先行こそAUの黄金時代をもたらした原動力でもありました。

今、世界ではLTEなのか第3世代の進化版なのかという話題がありますが、第3世代の進化版というのはつまり3.5世代にさらに細工して高速化をしようという流れです。

進化の方法にはいろいろなものがありますが、今回話題にするものをいくつか抜き出すと、

・上り通信も同様の方式を採用して高速化
・変調方式を64QAMにして高速化(「スペック上」は1.5倍)
・MIMOの採用
・帯域を複数束ねて高速化

ちなみに、W-CDMA陣営にとってはこれらの技術は「これからの話題」です。

・上り通信も同様の方式を採用して高速化
これはHSUPAとか言われているもので、ドコモやイーモバイルが導入しつつあるものです。

・変調方式を64QAMにして高速化(「スペック上」は1.5倍)
これ(+α)を実施をすると「21Mbps」に到達します。

・MIMOの採用
アンテナ2本でスペック上は速度2倍になる方法です。基地局工事が必要になるのが難点です。

・帯域を複数束ねて高速化
これは、DC-HSDPAと言われているものです。「21Mbps」とこれをセットで導入することで「42Mbps」を実現するというのがエリクソンの売り込んでいるものです。

おそらく、AUはサボっているという意見は、他陣営が新技術を投入しているのに何をやっているんだという意見だと思うのですが、CDMA2000陣営では実はこういうことになっています。

・上り通信も同様の方式を採用して高速化
EV-DO Rev.A で導入済み。

・変調方式を64QAMにして高速化(「スペック上」は1.5倍)
EV-DO Rev.A で導入済み。

・MIMOの採用
導入が検討されていたが、CDMA2000系では採用されないことになった。

・帯域を複数束ねて高速化
EV-DO Rev.B(開発済み)

ちょっといい加減に比喩することになりますが、AUは既に「HSPA+化」に相当するようなことを既にやってしまっているというわけです。

・EV-DO Rev.A : 2006年12月
・HSPA+ : 日本ではまだこれから


◆AUがRev.Bを採用しないと言っている理由

(くりかえしますが)いい加減な比喩ではあるのですが、AUはすでにHSPA+相当のところまで新技術の投入を済ませている事情があります。21Mbps化っぽいものを2006年12月に済ませているような感じだということです。

Rev.Bは帯域を束ねるだけではないのですが、大まかに言ってRev.BとはDC-HSDPAに相当するようなものです。

「帯域束ね」をするとスペック上の最高速度、および混雑が無い場合の実効速度は「束ね数」に応じてどんどんと上がってゆきます。ちなみにMIMO無しで20MHz幅の限界まで束ねると、

・W-CDMA系:21×4=84Mbps
・Rev.B:73.5Mbps

CDMA2000系の方が帯域を細切れにして使っている無駄がある分だけ遅いのですが、あまり変わらない速度になります。

このように高速化をするのですが、Rev.Bが導入されない方向なのは以下のような理由があると思われます。

まずコストアップにつながるためです。基地局はともかく(アップデートで大半済むかもしれません)、Rev.Bに対応した端末を用意したりと面倒な事になります。しかもCDMA2000陣営は拡大方向ではありませんので、量産効果もあまり見込めません。

次に、「帯域を多量に使って高速化する」方法では、混雑を考えると実効速度が上がらないという問題点があります。

どういうことかというと、
・これまでの高速化(利用効率):同じ帯域幅を利用して、出来るだけ速度を出す
・束ねての高速化(利用量):一人で何人分も同時に使うことで高速化する

建物で例えると

・これまでの高速化:高層ビルを建てて沢山の人が住めるようにした
・束ねての高速化:土地を何倍にも使えるようにした

土地が余っている状態なら「束ねて高速化」がスペック上の速度向上と同時に実効速度の向上にも繋がります。

しかし、土地が足りなくて困っている状態ならば、高層ビルを建てる方法しか有効性がありません。

で、AUにおける「高層ビルを建てる方向の高速化」については、Rev.Aでおおよそ終了しています。Rev.Bにすると帯域束ね以外でも高速化の効果はありますが、実際の改善効果は知れていると。

つまりAUは「お金がかかる割に『実効速度』への貢献が怪しいので、やめときます。それならLTEに予算を使います」と言っているということです。

ちなみにドコモもHSPA+について似たような評価をしていると見られ、HSPA+の本格導入をするくらいならばLTEにお金を使うべきです、という発言をしています。

ちなみにRev.Bを導入してどんどん束ねると、7.2Mbps超えどころかモバイルWiMAX超えの「スペック上の速度」をAUが手にする事も可能です。

AUには現時点では連続で使える20MHz幅はありませんが、仮に20MHz幅まで束ねた上でMIMOで2倍にすると、

73.5Mbps×2=147Mbps

という「ものすごい数字」が出てくる事になります。ただ、AUはそういうハッタリはやらないし、そもそもそういうハッタリ数値を必要としない商売のやり方に進んでいるから必要性もないのだと思われます。


◆じゃあLTEはいつ開始するのか

CDMA2000陣営の電話会社は第3世代の延命技術(データ系での高速化)に期待していないところが多く、データ通信の高速化についてはLTEへの早期移行をもくろんでいるところが多いように思われます。事情はAUと同じような感じではないかと思われます。

例えば、アメリカのベライゾンは2009年中にLTEの試験サービス開始という勢いです。

それではではAUはいつLTEをスタートさせるかのか、ということになりますが、これが難しい事になっています。

LTEをどの周波数帯で利用するかという問題がある。2GHz帯はPHSとの干渉帯域があるので5MHz幅しか連続で利用できない。10MHz幅を連続で利用できるのは2012年に800MHz帯の再編が終わったときになる。最終的な結論は出していないが,800MHz帯の活用が現在の基本的な考え方。そうすると2012年になってしまうが,800MHz帯は既存設備に併設するだけなので,事前に工事さえ実施しておけば比較的早期に提供できる。さらに全国で提供するのか,他の周波数帯で早く提供すべきかなどはこれから判断する。提供時期は明確にしていない。

総務省は今回,1.5GHz帯で3.9Gの免許を募集する。

1.5GHz帯では国際ローミングができない。事業者の立場からすると,これは非常に重要な問題。我々が800MHz帯の再編に約5000億円も投資しているのは国際的な周波数と合わせなければユーザーに迷惑がかかるから。同様に3.9Gの周波数帯も,800MHz帯と2GHz帯をメインにせざるを得ない。

まとめるとこういうことになります。

帯域の状況
・1.5GHz帯は日本固有の変な周波数なので、LTEに使いたくない。
・800MHz帯は2012年まで再編が終わらない(それまでは帯域が細切れのまま)
・2GHz帯はPHSとの干渉で封印されている5MHz幅があるので、15MHz幅しかない

世界共通の2GHz帯と800MHz帯をLTEのメインにしたい要望があるようです。これについては他社も似たようなことを考えているようで、ドコモもLTEは2GHz帯で始めたいようですし、SBMも1.5GHzでHSPA+をやってから2GHz帯でLTEをやるのが本命のようです。

AUは

・LTEのメインは再編後の800MHz帯(2012年)

という方針であるとしていますが迷っているようで、「他の周波数帯で早く提供すべきかなどはこれから判断する。提供時期は明確にしていない。」としています。

もし2012年の方針のままだとすると、

・2012年まで:2GHz帯でのRev.A化と800MHz帯の再編が進む
・2012年:800MHz帯でLTE開始

と、2012年まで「現状の技術のまま」になります。移行までの間に基地局の整備は続くはす(移行に必要なため)なので、だんだん混雑に強くなってゆくかもしれませんが、最高速度などはそのまま、となります。

また、LTEとCDMA2000は並行利用される事になるはずですから、既存の帯域(800MHz帯も2GHz帯も「既存の帯域」です)をLTE用に使う場合にはCDMA2000の利用者を一度「どこか別の帯域」に移動させて停波させてからになります。

Rev.Bを導入しないのは良いとしても、肝心のLTEをどうするのか難しいことになっています。


◆モバイルWiMAXはどうするのか?

LTEまでのつなぎでモバイルWiMAXを活用する可能性はあるのかという質問に対しては、

モバイルWiMAXと携帯電話では発展形態が違う。モバイルWiMAXは無線LANの発展系と言え,MACアドレスですべてを制御する。MACアドレスはメーカーが決めるもので,MACアドレスを持ったWiMAX端末であれば基本的に誰でも接続できる。
もちろんモバイルWiMAXも活用するが,auの携帯電話とは違う使い方をせざるを得ない。auの携帯電話とシームレスに連携させようとすれば何らかの処理を加えなければならず,コストアップの要因になる。

ちなみに、モバイルWiMAXも実質的に「KDDIのもの」なので「モバイルWiMAXは必要ない」とは言いにくい立場の人の発言ですが、

「auの携帯電話とは違う使い方をせざるを得ない」
「auの携帯電話とシームレスに連携させようとすれば何らかの処理を加えなければならず,コストアップの要因になる」

というわけで、auの「ケータイ」がモバイルWiMAX対応する可能性についてはどうも否定した感じの回答です。

とりあえずAUは

・次はLTE
・LTEまでは新技術の投入はなさげ
・ただしLTEはいつ、どの帯域で開始するのかわかりません。
・遅くとも2012年にはLTEがスタート

AUは、全国の3.5世代化はとっくに終えた状態でしたが、その先どうするのかで足踏みしています。気が付くとドコモも3.5世代化を終えてしまいました。まだ救いなのは残りの二社がずっと後方にいるということでしょうか。

第3世代の前半戦ではクアルコムの技術力でドコモから年単位で先行したAUでしたが、2012年にLTEとなると、今度はドコモに先行されることになるのかもしれません。このままだとAUは「永遠の2位」になりそうです。

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533 携帯電話2009年2月の純増数:基本的には同じ流れながら、少し変化の兆し?

二月の純増数についての記事です。


◆携帯電話二月の純増数:結果

まず結果そのものです。2月の純増数は以下のようになりました。

・ドコモ 10万3100
・KDDI(au) 5万6900
・SBM 13万1000
・EM 9万6500
・ウィルコム 8300

というわけで事前に行った結果予想投票の「正解」は、「SBM > DoCoMo > EM」となりました。正解率は21%に過ぎませんでした。予想が当たった人はおめでとうです。

今月も大枠においてはこれまでの純増数の流れを踏襲しています、

ここ最近の傾向:
・ソフトバンクは1位、だがだんだん苦しくなってきている
・EMの純増数がソフトバンクに接近
・ドコモの純増数が復調
・AUは3000万達成後は低空飛行
・ウィルコムは純増と純減の境目を行ったり来たり

ソフトバンクにとって「純増1位」は経営上死守すべき戦略拠点になりつつあるため、無理をして純増数を稼いでいるようです。

他社には不可能な無茶ができることこそソフトバンクの強みでもありますから、「ソフトバンクが他社より優れている点」を戦略上の重要地点の防衛に投入するのは真っ当な事かもしれません。

ただ、こんな事をしていると純増1位が崩れたときに「歴史的大崩壊」になってしまうのではないかと心配になります。どうやってソフトランディングするのか考えていれば良いのですが。

イーモバイルについてもこれまでの流れのとおりでした。契約者数が少ないので(解約の効果が少ないため)純増数では有利ですから、今後も多めの純増は維持"可能"だと思います。


◆投票での予想が外れた原因の「残り三社の好調」

残り三社については、いつもより好調な感じでした。

まずドコモはEMを超えて2位になりました。契約者数の多さによる解約の効果はドコモに不利で、なおかつ無茶販売もしていないのに2位です。ドコモの数字が良いのは攻めによるものではなく、解約する人が驚異的に少ないという鉄壁の防御力によっているようです。よってほどほどの好調が今後もしばらく続くはずです。

KDDI(AU)も数字が復調しています。もしかすると、ドコモとAUの両方とも数字が良いのは、本当はソフトバンクが調子を崩しているけれども数字上見えていないから、かもしれません。

最後にウィルコムですが、純増しています。純増するだけでニュースになるというのもなんともですが。

ウィルコムは基本的にこういうことになっています、

・データ通信については次世代待ちの谷間で苦戦中
・(一部)音声では好調
・契約者数は多くないので解約には比較的強い(本当はどんどん純増しないといけない)

加えて「どこでもWi-Fi」の発売(=純増の材料)が3月に延びてしまった状態での2月でしたが、低空飛行ながら純増をしています。

2月に純増したということは、「(一部)音声が他の要素を打ち消すほど好調だった」ということではないかと思われます。機種限定での980円があったり、パケ代定額0円から、があったりしましたが、これも「HONEY BEE効果」の続きをするためとも言えるものでした。

次は「どこでもWi-Fi」の効果があるのかどうかでしょうか。

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投票結果:携帯電話2009年2月の純増数、どうなる?

投票結果および2009年二月の純増数についての記事を書きます。


◆まずは投票結果

まずは投票結果(みなさんの予想)について書いてみたいと思います。

投票結果は以下のとおりでした。

SBM > DoCoMo > EM:18票 (21%)
SBM > EM > DoCoMo :39票 (46%)
EM > SBM > DoCoMo:5票 (6%)
EM > DoCoMo > SBM:5票 (6%)
DoCoMo > SBM > EM:6票 (7%)
DoCoMo > EM > SBM :10票 (12%)

実質的に二択+αな感じの予想だったわけですが、「+α」の部分に結構な数の投票をいただきました。

二択+αでまとめてみると、
・SBM > EM > DoCoMo :39票 (46%)
・SBM1位陥落:31票(33%)
・SBM > DoCoMo > EM:18票 (21%)

となりました。「+α」としてまとめると2位となってしまう勢いでした。

実は予想ではない投票が多いとは思われますが、ソフトバンクの首位陥落は遠い先のことではないと思っている人も多い、ということにしておきましょうか。

で、引き続いて実際の二月の純増数での「答えあわせ」もこの記事でやってしまおうかとも思ったのですが、記事が長くなりすぎたので、別の記事にします。すぐに投稿しますのでしばしお待ちを(もう途中まで書いております)。

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534 ドコモ+ぐるなびの「圏外撲滅キャンペーン」はどうせならこうすれば

ドコモ+ぐるなびの圏外無くしキャンペーンについて少し書きます。

#執筆時間が無いので簡易投稿


◆ドコモがぐるなびと組んで圏外無くしキャンペーン中

まず引用。

ドコモ、ぐるなび掲載店舗の「圏外撲滅キャンペーン」を実施
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/02/17/059/

NTTドコモとぐるなびは17日より、東京都内の飲食店向けのFOMAの接続エリア対策として「ぐるなび×ドコモ圏外撲滅キャンペーン」を実施する。実施期間は、2月17日から6月30日まで。

最近、エリア品質が優れていることを盛んにTVでCMしているドコモですが、「ちょっと手の込んだ」エリア品質のアピールをなさるようです。

さてどういうキャンペーンなのかというと、

同キャンペーンは、飲食店情報検索サイト「ぐるなび」に掲載されている都内の店舗が対象。同サイトに掲載されている都内の飲食店のうち、現在FOMAを利用しにくい状態にある店舗から電波改善要望を受け付ける。

・「ぐるなび」な店で
・都内の飲食店で
・FOMAが圏外っぽい店

を対象に、

応募のあった店舗には電波状態の調査を実施した上、必要に応じて屋内中継装置の設置工事を行う。屋内中継装置は、基地局からの電波を屋内向けに増幅、端末の電波を受信して基地局へ送信するというもの。

ドコモが出向いて調査を行った上で屋内中継機を設置して圏外を無くすそうです。もし無料でドコモが工事をするのであれば、かなりの太っ腹です。店に負担が生じるのかどうかは記事からは良くわかりませんが。

電波状態が良好な店舗および改善された店舗については、ぐるなびの特設ページ「みんなに教えたくなるお店」で紹介すると共に、店舗には「NTTドコモFOMAステッカー」を貼るとしている。

そして

・電波状態が最初から良好な店
・工事で改善した店舗

について

・ぐるなび上で紹介
・店にはFOMAステッカーを貼る

だそうです。


◆今ひとつ切れ味が悪いと思ったのですが

ドコモが何をしたいのかは良くわかるのですが、どうも切れ味が悪い感じがします。

例えば、

・「この店はFOMAが圏外じゃない」とぐるなびで表示されていたとして、何か思うか?
・店の入り口に「FOMAは圏外じゃない」ステッカーが張ってあったとして、何か思うだろうか?

たぶん、多くの場合には「ふーん」で終わりなのではないかと思うのです。なぜなら今となってはFOMAは基本圏外にならないからです。圏外じゃないと書いてあってもあまり新しい情報になりません。

どうしても圏外になったら困る時には、非常にありがたい情報かもしれませんが、そういう場合は稀に思えます。

圏外が問題になっているキャリア、たとえばイーモバイルやモバイルWiMAXがこういうキャンペーンをやったらまだ意味があるのではないかとも思うのですが、ドコモについては、初期FOMAの時期に「FOMAひどいよね~」とみんなが思っていたような時期とは状況が違うのではないかと。

またこういうアピールによって、他キャリア利用者が不安になるような効果も、この場合にはあまり期待できない気もします。

つまり、すでに既に信頼を勝ち得ている領域に向けてアピールをしている気がしてなんか無駄な気がします。

どうせなら、

・ぐるなびに載っている「全ての店」でドコモは圏外じゃないです

とか、

・iMode公式コンテンツの飲食店情報で出てくる店には、ドコモが圏外の店は一つもありません、安心してお出かけください

ドコモ的なエリアの安心はどういうことなのかを考えてみると、圏外なのかどうかチェックしてみて大丈夫だった、ではなく、そもそも圏外になるかどうか心配をする必要があることを忘れていた、というようなものに思えます。

ならば、店が圏外なのかどうかチェックさせた時点でドコモは「他社と同じ土俵」に降りています。圏外なのかチェックする必要すら無いようにすべきです。

「全ての店で圏外の心配はありません、チェックしたり心配したりする必要はありません」というのがドコモ的な安心ではないかと。

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最近のその他の話題

「その他の話題」についてまたまとめて投稿、昨日の今日でまたかよ、と思いつつ。

反響があったりしたエントリについてはあとで記事として書くかもしれません。


◆ホワイトプランが1500万人を超える

新旧スーパーボーナスの契約数、1500万件を突破
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0902/23/news049.html

ソフトバンクはおおよそ2000万人くらいですから、75%くらいがホワイトプランになったということです。持っているだけでほとんど使わないような人(極端な場合、料金コースがまだJ-Phone時代のままの人とか)も居るので、その分を考えると75%という数字から感じる以上のホワイト率が実際のところだと思います。

つまり、ソフトバンクは音声通話関係で儲からなくなっているということ。「ホワイト混雑」で基地局網は大変だということです。あるいは逆にいえば、75%までホワイト化が進んだ現時点で基地局網がホワイトプランの重みに耐えているということは、とりあえずは音声通話が収容不能になるような事態にはならずに済みそうだということかも。


◆BlackBerryが回収騒ぎで解った意外なこと

北米などでビジネスなスマートフォンの界隈を制圧しているブラックベリーが日本に本気上陸をしましたが、発熱するとかで回収騒ぎになってしまいました。

ドコモ、BlackBerry Boldに発熱の不具合で一時販売停止
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/44283.html

問題は充電中に50度くらいになることがある、というものでした。ドコモじゃなかったら、無かった事にされている問題点かもしれません。

で、意外なことが一緒に解っています。
・20日に発売開始した
・「26日時点での販売台数は約4000台」

大々的にCMをしているわけでもないのに、一週間経たずに4000台も売れているようなのですね。なかなか評判は悪くないようです。


◆日本では人気がありますが

米国でRuby関連書籍の売り上げが減速か
http://www.atmarkit.co.jp/news/200902/27/langs.html

「減速か」じゃなくて、最初からさほど売れてないようですが。面白い言語としては認知されているように思いますが、広く受け入れられている感じは確かにしませんね。

日本では次の主役だと疑って信じない人が多いように思いますが、日本以外では「ちょっと変わってる」系の選択肢で、Pythonが日本におけるRubyのような場所にいるのではないかと。
#本屋で初めて勉強する本を選んでいる人の頭の中で、のような話


◆モバイル版FireFox「Fennec」はどのプラットフォームから出るか?

「Fennec」の名前はフェネックきつねのことで、小さくて可愛い狐だからそういうコードネームだろうと思い込んでいますが本当にそうなのかは調べた事はありません。

モバイル版「Firefox」開発の行方--モジラVPインタビュー
http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20388605-2,00.htm

出る
・Windows Mobile
・Symbian
・LiMo
・Maemo(NokiaのOS)

出ない
・iPhone
・BlackBerry
・Android

極力いろんなプラットフォーム向けに出すつもりのようですが、iPhoneは「アップルが許可しないので出しません」、BlackBerryはアプリがJava環境なので出したいけれど出せない、Androidも今のところJava環境なので出せない、とのことです。

プラグインを使えるのが特徴になるようですが、そうなるとなおさらAppleの審査は通過できない気がします。


◆オバマさん、帯電話会社からお金を取ることを画策

オバマ米大統領、無線周波数帯利用への新たな課金を提案
http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000056021,20389047,00.htm

つまり、帯域を使っているところからお金を取る計画です。とりあえず携帯電話会社からはお金が取られることになるようです。

700MHz帯のオークションで(日本円にして)兆単位の収入があったので、古今東西を問わず、お上というのは一度お金が取れることが解ったところからもう一回巻き上げようということをすることがあり(お上だけじゃなくて・・)、これもそういうことなのではないかなと思ってみたり。

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535 NokiaがSkypeをスマートフォンに「密接に統合」する予定

ノキアがSkypeを携帯電話と統合してしまうらしい、という話について。


◆電話会社・基地局・技術・電話機

前回の記事で「それぞれの組織の立ち位置」によって、同じLTEとの関係がそれぞれ違っているというような事を書きました。

前回の記事:LTEなのかHSPA+なのか / ドコモはベライゾンの大成功を願っているかもしれない
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2009/03/536-ltehspa-9d2.html

さて今回は、世界最大の携帯端末メーカの「ノキア」が、その立ち位置ゆえにやった事についての記事を書きます。

まずはその前に「ノキアが何をやったか」について説明をしてみたいと思います。


◆Nokiaが「スマートフォンにSkypeを密接に統合」

SkypeとNokiaが提携合意、スマートフォンにSkypeを密接に統合
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/02/18/22475.html

SkypeとNokiaは17日、NokiaのスマートフォンにSkypeを密接に統合することで合意したと発表した。Skype機能が組み込まれて出荷される最初のスマートフォンはNokia N97で、出荷時期は2009年第3四半期ごろとしている。

ニュースの要点は実は以上だけです。

ポイントはノキア自らが標準搭載するということと、「密接に統合」というところです。

通常、スマートフォンのようなものでSkypeを動かす場合、自前でインストールしなければならないだけではなく、スマートフォン本体の通話機能とは分断された形で利用を余儀なくされます。

ところがノキア、電話機が最初から備えている通常の通話機能とSkypeの通話機能を一体化すると言っております。

今回の提携ではSkypeが1つのアプリケーションとしてインストールされているのではなく、スマートフォンのOSの一部として深く統合されていることが大きな特徴だ。
この端末では、携帯のアドレス帳にSkypeのプレゼンス機能が組み込まれ、アドレス帳を見ることによって、連絡先がオンラインかどうか確認でき、そこからインスタントメッセージを送信できる。さらに、Wi-Fiや3Gネットワークを使い、Skype同士の無料音声通話、Skypeから世界各地の固定電話や携帯電話への低料金通話が行える。

つまり、ノキアのスマートフォンでは「通常の携帯電話の通話機能」と「Skypeの通話機能」が区別されずに使えるような状況に向かうという事です。

ユーザにとっては便利になるわけですが、これはちょっといろいろな問題になりえます。

#実は、昔にこういう問題が発生しうるというネタを書いたことがありました


◆Skypeは電話会社にはあまりありがたくない面がある

Skypeでの通話は携帯電話会社にはあまりありがたく無い側面があります。まず、音声の料金体系とデータ通信の料金体系を区別しているのに、その境界を踏み倒されてしまいます。

また、本来の音声通話は効率よく(低ビットレート)で音声通話ができるように工夫されていますが、Skypeはそんな事お構いなしに帯域を使います。また、間違ってテレビ電話が流行ってしまったりすると鬼トラフィックの発生源になります。

つまり、電話会社からすると課金体系の秩序を壊したり、無駄なトラフィックを発生させうる厄介モノだということです。

おまけに、音声通話を音声通話として制御する権利を携帯電話会社から奪い、土管屋に格下げをすることでもあります。

長期的には「この流れ」は無視できないものになるかもしれないにせよ、とりあえず携帯電話会社にとってはありがたくない現象であるには違いありません。

元のニュースでは「携帯電話会社の得にもなるんですよ」と言っていますが、

同社では、Skypeを利用しやすくする契約を携帯電話事業者と結ぶことによって、ARPUの増加や音声通話時間の増加が見込めると主張しており、携帯電話事業者のHutchison 3との提携でそのことは実証されているとしている。

消費者が喜ぶ事をすることによって全体の需要が増えるから、双方が儲かるんですよと言っているわけですが、実際には携帯電話会社にとって良い話ではないように思えます。もし携帯電話会社が折れるとしたら、時代の流れだから仕方ない、という感じではないかと。


◆ノキアだから

日本でこういうものが発売されると、スマートフォン向けにパケット定額を提供しただけのはずが、気が付いたら音声通話(の一部)も定額にしたのと同じになってしまうわけで、電話会社は困る事になるはずです。

日本でこういうスマートフォンが出てくることがあるとすれば、どこかのキャリアが思い切った決断をして、他社には出来ない(他社が嫌がる)ことで勝負しようと思った場合だけでしょう。

前回の記事でLTEとHSPA+に関する立場の違いが、それぞれが「どういう商売をやっているか」に関係しているのではないかという事を書きました。例えば、エリクソンは基地局を売りたいからああいう立場を取っているのではないかと。

同じように、スマートフォンにSkypeを統合するというようなことをノキアが進めるのは、ノキアが「端末メーカ」だからです。極論すれば端末が売れればよいのであって、携帯電話会社が多少困る事はノキアには関係ないからです。

また、Skypeの搭載は音声通話を音声通話として握る権利を、電話網から端末内部に移動させようとする企みであるとも言えます。電話網とは携帯電話会社の支配領域で、端末といえばノキアの支配領域。

携帯電話会社にとってケータイとは携帯電話網のことであって端末は手段、ノキアとしてはケータイとは電話機の事で携帯電話網は手段にしたい、と。

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536 LTEなのかHSPA+なのか / ドコモはベライゾンの大成功を願っているかもしれない

LTEとHSPA+について少し。

同じ話題を読む事になる人もいると思いますが、整理も兼ねて一度。


◆LTEの三大勢力

知らない間に世界の最先端地区になってしまった日本のWiMAXを除いて、世界的にはモバイルWiMAXは終了の流れになってきています。

モバイルWiMAXとLTEの話題が減る代わりに出てきたのが、LTEなのかHSPA+なのかという話題です。ただし、LTEもHSPA+も同一陣営の技術ですから、どちらが生き残るのか、というわかりやすい話題として表出しないのが難しいところです。

異論はあるところだと思いますが(他にいい案があったらコメントください)、携帯電話の界隈では、

・欧州のエリクソン
・北米のクアルコム
・日本のドコモ一家

携帯電話本流の技術開発においては上記の三大陣営があるということにします。

エリクソンとドコモはW-CDMA陣営で、クアルコムはCDMA技術の王にしてCDMA2000陣営主催でした。

次世代ではエリクソンとドコモがLTEを開発し、クアルコムがUMBを開発しましたが、クアルコムもUMBを諦めてLTE陣営に合流しています。

またクアルコムはW-CDMA陣営のライバルであるCDMA2000の主ではありつつ、「CDMA技術そのもの」の支配者でもあるためW-CDMAにも関与しています。

クアルコムは技術開発やチップの開発など裏方に徹しており、エリクソンは基地局で世界一で、ドコモは携帯電話会社だというところも違います。


◆次のメインの話題はLTEとHSPA+の「内輪もめ」

そして今回の話題。

早期のLTE化をすべきなのか、HSPA+を経由してからLTE化が本流なのかで、それぞれの意見が違っています。一応三つともに「LTE陣営」なのでLTEは必要ないとは言いませんが、本音としては「まずはHSPA+が次の本流であって欲しい」と思っているところもあるかもしれないということです。

ドコモは、3.5世代は「7.2Mbps化+上がりの高速化」で終わりにするつもりのようです。そして出来る限りのLTE早期サービスインをしたいと考えています。ただし、W-CDMAで世界の先頭を走りすぎて苦労したトラウマから、他国の様子を見ている状態です。

またドコモはHSPA+になると不利になるからこういう行動をしているのではありません。HSPA+化でもドコモが有利な状況にあるのですが、それでもLTEこそが正しい選択肢であると判断していると見られます。

次にエリクソンですが、最近記事にしているとおりに「HSPA+を絶賛売り込み中」の状態です。例えば、

HSPA+とLTEは並行して導入される――Ericsson、モバイルブロードバンドの動向を予測
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20090217/1023795/

記事ではHSPAが、21Mbps化→42Mbps化→84Mbps化を進める話が出てきています。前に説明をしたときには、20MHz幅で168Mbps化の話もある事を紹介しました。
#ただし「理論値」なのですが

オーストラリアのTelestraの場合、2010年に42Mbpsにアップグレードする計画なので、84Mbpsの実現は2011年以降になるでしょう。2010年~2011年にLTEが始まるころには、HSPAのピークレートはかなり進化しているはずです。また、2G技術のGSMも進化しています。今後もGSMと3G、そして4Gが並行して利用されるでしょう。

第3世代どころか「GSMもまだ頑張るよ」と言っている始末です。つまり、LTEを大プッシュする気は前提から無いということです。

もっともこういう行動を取るのには、HSDPAの基地局で大きな世界シェアを持っているために、既存顧客にアップグレードを売り込めるHSPA+のほうがありがたかったり、さらにはGSMの基地局の既存顧客も居るから、ということではないかと思います。

また、エリクソンはHSPA+の「理論上の最大速度」の話をしています。ドコモが「実効性能」を気にしてHSPA+を採用しないのと対照的です。

つまり、エリクソンは基地局屋なので基地局を売るのが仕事、ドコモは基地局を「買って」「使って」サービスをするのが仕事(しかも世界最高レベルの市場で)というのが両者の反応を分けていると思われます。

またクアルコムは、LTEもCDMAも最終的な電波利用効率はさほど変わりませんよ、と(まるでウィルコムのようなことを)言い出していたりします。世界がCDMA系に留まる限り、クアルコムの支配下に留まるからです。

・ドコモ:早期のLTE化を希望
・エリクソン:GSMやHSPAの進化版基地局で儲けてからLTEに移行
・クアルコム:CDMAの方が覇権を保てる

ただし、

・モバイルWiMAXはダメ技術で終わってる

というのは共通する認識ではないかと思われます。


◆ドコモが望む流れになるためには

実はドコモ以外に早期のLTE化を望んでいる勢力があります。

それはどこかというと「CDMA2000陣営の電話会社」です。CDMA2000を採用している電話会社には、HSPA+の採用が不可能なために、一気に次世代に移行してしまいたいと考えているところがあります。

例えばベライゾンがそうですし、AUもその方針です。

もっとも、HSPA+で話題になっているような高速化技術はCDMA2000陣営にも存在しており、一部はとっくに採用済みだったりもします。HSPAの21Mbps化で用いられる64QAM化は、AUのRev.Aでとっくに用いられているなど、第3世代での高速化は進んでいるのですが、ドコモと同じような事を考えてLTEへの移行が望ましいと考えているようです。

アメリカのベライゾンが2009年中にも、
・電波が良く飛ぶ700MHz帯
・フルスペックが出る20MHz幅
・ベライゾンはアメリカの勝ち組キャリア
・クアルコム(端末)、エリクソン(基地局)のサポート
でLTEを開始する予定で、これが世界へのLTEの本格お披露目になるはずです。

もし、ベライゾンのLTEが衝撃的デビューを果たした場合には、世界の流れは一気にLTEに傾くはずです。世界の考えがドコモの考えに近くなるわけです。

逆に次世代ってあんまり意味無いな、と思ってしまったらHSPA+モードになるかもしれません。

というわけでW-CDMAの世界最強電話会社のドコモは、なぜかCDMA2000世界最強のベライゾンのLTEでの成功を願っているという不思議なことになっているかもしれません。

もしくはベライゾンのサービスインがどんどん遅れてしまってドコモが世界初になってしまった場合、世界の注目が集まっているのに「5MHz幅@2GHz帯」でのサービスインをやってしまって、帯域が狭いのが原因の「それほどすごくない速度」を世界に見せてしまうと、HSPA+が本流になるのを後押ししてしまうかもしれません。

早期のLTE化を願っている方面は、ベライゾンの実測60Mbpsとか実測80Mbpsという話が現実のものになって世界が驚くよう願いましょう。
#そうなるとモバイルWiMAXも終わります

HSPA+が本流になって欲しいところや、LTE一色の世界は退屈だ(乱世が見たい)と思っている人は、「何か面倒な事が起こってしまう」ことを願いましょうか。

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最近のその他の話題

「その他の話題」の執筆形態(というほどでもないか)をまた少し変えてみたいと思います。

書いて貯めてから投稿しつつ、すでに書いたネタに追加話題があった場合には書き足すことにしてみたいと思います。


◆欧州でのブラウザ戦争にGoogleも参戦

以前、欧州で「マイクロソフトvsOperaのブラウザ戦争@欧州委員会」ということが起こっている事を書きました。揉めていることは昔からのおなじみ?の内容とも言えるもので、マイクロソフトがIEをOSに抱き合わせにしているのが良くない、というものです。

また考えてみると、Operaは欧州で作られた著名なブラウザでもありました。

しばらく前にこの争いにFireFox(Mozilla)も加わることが決まりましたが、今度はGoogleも手を貸すことになったようです。

Google、欧州のMS独禁法問題に協力申し出
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0902/25/news026.html

これで著名なブラウザで関わっていないのは、AppleのSafariだけになりました。

MSが負けると、例えばIEの入っていないWindowsなんかが作られるようになるかもしれません。


◆一方日本は1年前倒しを主張した

日テレ社長「地デジ移行期限、10年に前倒しを」
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090223AT1D2309223022009.html

・『移行期限の延期は絶対に困る』
・国費を財源にする
・「期限付き」で購入費を支援しよう
・2011年7月から一年くらい前倒しにして2010年にしたい
・記者の観測:自民党では17日、追加景気対策の一環として受信機の購入世帯に約2万円の支援金を配布する案が浮上。久保氏の発言はこうした動きに呼応したとみられる。

うーん、てれびの中の人は危機感がないのかな。あるいは、何が原因なのか間違って理解しているんじゃないかなと。

#あとでちゃんとした記事にするかもしれない。

◆ARM+Androidなネットブックの気配

ARM+Linuxなネットブックの話があることはしばらく前に書きましたが、ARM+Androidの話もあるようです。

【MWC】AndroidベースのNetbookが登場へ
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090217/165821/

ちなみに補足しておきますと、AndroidもLinuxカーネルを使っているわけですが、まあLinuxではないと言っておいた方がいいでしょう。Linuxな部分はユーザ側から見える感じではありませんから。少なくとも、通常のLinuxなネットブックとは区別すべきでしょう。


◆噂の宝庫、iPhone

どうにもiPhone(というかApple自体)は意味不明な噂が多くて困ります。

これまでにも、iPhone 3Gはフルキーボードが付いている、絶対ついている間違いない、とかモバイルWiMAX対応のiPhoneがまもなく発売されるという噂が「かなり前」にあったり、コピペにまもなく対応するという話があったり、きりがありません。

結果として林檎関係の正体不明な噂は全て信じない方が時間の節約だと思うようになりました(笑)。

今度はCDMA2000なiPhoneがまもなく登場するという噂が出ているようです。もし本当だとするとアメリカのベライゾンや、AUや、中国のCDMA2000のところに向けて製品が作られつつある事になります。もし本当なら(←まるで信じていない)。

噂を製造した(ないしは量産している)とみられるアメリカン林檎厨(失礼)は、北米で勝ち組のベライゾン向けに製造するのは当然のことだと思っているようですが、他国でのCDMA2000事情は違うことと、ジョブス師匠は世界標準をとても気にしているので、その点ではリアリティが下がります。

ベライゾン向けなら「LTEバージョンが開発される」という噂にしておくべきだと思いました、個人的には。

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