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527 誰もが忘れている「2GHz帯TDD」の再割り当て

誰もがすっかり忘れている、TDDな2GHz帯の再割り当てについて少し書いてみたいと思います。


◆すっかり忘れられてしまった、2GHz帯TDDの再割り当て

携帯電話会社向けの帯域割り当ては毎回もめたり、話題になったりします。が、現在「使いたいところは手を挙げてくれませんか」と募集中であるにもかかわらず、全く忘れられている帯域があります。2GHzのTDD用帯域です。

どういう帯域か:
・2GHzあたりにある15MHz幅
・TDD用帯域で、帯域がペアになっていない。

「帯域がペアになっていない」というのは、普通の携帯電話用の帯域は「下り:基地局→端末」と「上り:端末→基地局」の帯域の(適度な間隔の)ペアになっているのですが、TDD帯域では「帯域は上下兼用の一つしかない」ということです。

つまり、普通の携帯電話用の帯域には使えないのです。

これまでの経緯について少し書いてみましょう(復習になる人も多そうですが)

・2005年末:アイピーモバイルが帯域を獲得(TD-CDMA での利用を計画)
・2007年末:アイピーモバイルが免許を返上
・その後、再割り当ての作業になるも、ほとんど進展なし

まず2005年の時のことを書いて見ましょう。

2005年末に三つの新規割り当て(新規参入への割り当て)がありました。
・2GHzのTDD帯域に1枠:アイピーモバイル
・1.7GHzのFDD帯域に2枠:イーモバイルとソフトバンク

ところが帯域獲得してほどなくソフトバンクはボーダフォン日本を突然買収し、新規参入の免許を返上します。現在、2005年末に割り当てされたところで残っているのはイーモバイルだけです。

なお、2GHz帯の方では、アイピーモバイルだけしか立候補せず(できず)、アイピーモバイルへの割り当てが行われましたが、帯域の用途をTD系のCDMAに限定したために「門前払い」を受けたところがいくつかありました。

まずウィルコムは次世代PHSで手を挙げたいと言いましたが門前払いのままでした、京セラはiBurstでの利用を許すように言いましたが門前払いのままでした。また、ライブドアがiBurstで参入したいと考えていたという話もありました。

次に2007年末のあたりについて、

2007年末と言えば、2.5GHz帯の獲得とモバイルWiMAXをめぐる騒動のあった時期でした。まだモバイルWiMAXのバブルは(日本では)終わっておらず、本命のLTEも存在自体が良く知られていなかった事もあり、真面目に取り合いがなされていました。

ちょうどその頃にアイピーモバイルが(既に時間の問題になっていましたが)新規参入を公式にギブアップして免許の返上を行っています。

争奪戦が加熱した2.5GHz帯はTDD用の帯域で、返上された帯域もTDD用の帯域だったこともあり、2.5GHz帯の争奪戦の熱は今すぐに2.0GHz帯の再割り当てに流れ込むような勢いでした。

2.5GHz帯の割り当てが終わってすぐは、「今すぐにでも2.0GHz帯を獲得しておいついてやる」「今すぐにでも2.0GHz帯の再割り当てを開始ほしい」というような熱を帯びた空気でしたが、その熱は短期間で冷めています。


◆現在どうなっているか

現在、1.5GHz帯の再割り当ての話が進んでいますが、その際に一緒に処理される予定になっています。ですが、全く話題になっていないのでわかるとおり、立候補するところ自体が無いような状態です。

問題はTDD帯域であることに加え、15MHz幅であることです。

利用できる技術の候補(募集できるもの)は以下のようになっていますが、以前に解説を書いたとおり、決定的な選択肢は無いように思われます。

・TD-CDMA
・TD-SCDMA
・モバイルWiMAX
・次世代PHS
・iBurst
・LTE(TDDモード)
・UMB(TDDモード)

モバイルWiMAX用としては帯域幅が足りません(5MHz×3になってしまう)し、周波数も標準外です。

2005年の時点でiBurstか次世代PHSに割り当てておけば、今ごろこの帯域は日本で大活躍しているはずです。今からそのようにしても悪くは無いとも思うのですが、今となっては本命とは言えません。

LTEは普通のLTEとは違うものになりますから、LTEの名前がついているからといって安心してはいけません。

TD-SCDMAを採用して中国大陸の力を使う方法もあるかもしれませんが、本家が怪しい状態です。

これ以外で以前から出ている使い方は、

・AUがRev.B用に利用する

という使い方です。Rev.Bとは、下り帯域を複数束ねて高速化を図る方法ですが、AUが既にもっているFDD用の2GHz帯に「下り専用帯域として追加」する形で使う方法です。たしかに、帯域を無駄なく使う事ができるかもしれません。ただし、AUはRev.Bやりません、と言ってしまった後ですが。

同じような方法で、HSDPAの下り専用帯域として使う事はできなくは無い、かもしれません。

なお、流れとしては「誰も立候補しませんでした」(まともに事業ができそうなところでは)という結末になって、実験用などに使われる帯域という悲しい余生になりそうだとか。


◆ただし、新規参入の最後のチャンスかもしれない

ただしこの割り当て、新規参入の最後のチャンスになる可能性もあります。

1.5GHz帯の割り当てでも、一応は新規参入も立候補できる事になっていますが、4社で4枠という有様なので、事前に話し合いが完了していると思われます。

アナログ地上波跡地については既存キャリアが全力本気モードで争奪戦をすることになるはずで、新規どころの話ではなくなっているはずです。同じく、形式上は新規参入も手を挙げられるようにはなっているかもしれませんが、既存キャリア同士のスーパーバトルになっていてはどうしようもないはずです。

ですから、新規参入をしたいと考えているところは、今回が最後のチャンスだと思った方が良いのではないかと思います。


◆帯域を細切れにしてはいけません

もし仮に、この帯域が30MHz幅あった場合にはモバイルWiMAXでの利用が真面目に検討され、場合によっては2.5GHz帯の落選陣営がすぐに再立候補して獲得しているかもしれません。

帯域幅が狭いとそれだけで使い道が限定されるという例かもしれません。1.5GHz帯やアナログ跡地も細切れにしない方がいいと思います。

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コメント

現状でHSDPA設備投資が滞るSBMが
新帯域で何をやるのか、やれるのか非常に楽しみです。

投稿: | 2009/03/16 22:17

法律論はひとまずおいておき、

誰も食べないものを食わせる相手ですけど、NTT東西とかに押し付けてはどうでしょう。

中国も有線会社が無線も持ちます。
NTTはガリバー過ぎるので、MVNO条件ももっとも不利なものを飲ませてバランスを取るとか。
しかも、10ウン年後、採算が取れた頃には分社化することなどを条件とすれば。

それでも孫社長が憤死するぐらい圧倒的すぎますか。

投稿: TT | 2009/03/17 12:51

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