556 ソフトバンク:「言うのを忘れてましたが、モバイルWiMAXも借ります」
ソフトバンクとイーモバイルとの提携が出てきたと思ったら、今度は「モバイルWiMAXも借ります」とのこと。
◆イーモバイルの回線を借りるな、の声があがる
ソフトバンクがイーモバイルの回線を借りると言う話、あちこちで非難を浴びています。無責任であると言う記事を書いている人はあちこちにおられます。
#個人的にはソフトバンクのインフラの燃え具合を想像するに留まりましたが
今回の件について、MVNO本家の方面から怒りの声が上がっています。
ソフトバンクモバイルとイー・モバイルの提携は「責務放棄」--MVNO協議会が猛反発
http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20387685,00.htm
MVNO協議会は、周波数の割り当てを受けた通信事業者が他の事業者の通信網を利用することは、モバイル通信網の拡大につながらず、電波の公平な利用に反すると指摘。また、通信サービスの事業者を多様化し、競争を促進するというMVNOの理念にも反するとしている。「周波数免許を付与されている事業者が他の通信事業者のモバイル通信網を利用したMVNOとなることは、そもそものMVNOの趣旨に反し、また、周波数免許に伴う責務の放棄につながることから、認められるべきではない」(MVNO協議会)
MVNOは本来、携帯電話会社ではないところが携帯電話会社っぽい商売をはじめられるようにするために意図されて生まれた制度でした。
イーモバイルは新規参入のエリア整備の弱点を補う名目でドコモの回線を借りています。
ソフトバンクは今回、そのような理由は特に無いけれども借りるという「新しいMVNOの使い方」を発明してしまったとも言えます。
そして、本来の意味でのMVNOの利用者の方々がお怒りになっているというニュースです。
携帯電話会社の難しいところは、国民の共有資産である電波帯域を国から無料(ないしは無料に近い形で)で提供されているということです。
「そもそも、諸外国では、MNOによる周波数免許の取得はオークションによるものとされ、少なくとも兆円単位の初期投資が必要とされているが、日本では、周波数免許の取得にあたり、通信事業者にこのような負担は課されていない。日本の通信事業者は、国民共有の財産である周波数の使用権を電波利用料以外の対価を支払うことなく取得しているといえる。このような特典に伴う公共的な責務として、通信事業者は、可能な限り広範囲にわたり、多様なモバイル通信サービスの提供を可能とし、公平かつ能率的な電波利用を実現する設備を構築し、国民の利便に寄与する通信サービスを提供すべきだ」(MVNO協議会)
公共の電波を国民から託されて事業を行っているならば、有効利用して国民にサービスを提供する義務があるはずなのにそれを放棄しているのでけしからんという意見です。だから「責任放棄」と言われているのです。
実際ソフトバンクは、自前で2GHz帯にW-CDMA用の帯域を持っていて全国に基地局を配置しているのに、W-CDMAの新興キャリアから回線を借りようとしています。確かに、「自分でサービスできるものを他所から借りようと」しています。
さて今回のイーモバイルとソフトバンクの貸し借り、このような意見がを受けたお上から「そういうMVNOは反則だから許しません」と言われて禁止されるのか、それとも今後「ソフトバンクが新しい商売のやり方を発明した」と言われるようになるのかどうかは定かではありません。
◆「モバイルWiMAXも借ります」
さてソフトバンク、イーモバイルから借りる騒動のついでにもう一つ面白い発表がありました。
イーモバイルとの話が表面化した直後、なんと「モバイルWiMAXも借ります」と言ってしまいました。
ソフトバンクモバイル、モバイルWiMAXサービスを検討――UQのMVNOで
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0902/05/news109.html
ソフトバンク社長の孫正義氏が、モバイルWiMAXを利用したサービスの提供を検討しているとコメント。現在、テストを行っており、7月から始める可能性もあるとした。2009年3月期第3四半期の決算会見に登壇したソフトバンク社長の孫正義氏が、UQコミュニケーションズのMVNOとして、モバイルWiMAXを利用したデータ通信サービスの提供を検討していることを明らかにした。
すでにUQコミュニケーションズに要望を出しているとし、「7月から始めるかもしれないので、テストを開始している」と孫氏。ただし導入するかどうかの最終決定は、テストの結果や条件面での折り合い次第としている。
おそらくこの話、千本会長は知らなかったのではないかと思われます。イーモバイルとの話がまとまった途端、訳の解らん話が飛び出してきた感じになっているのではないかと。
もしかすると、モバイルWiMAXの話をちらつかせてイーモバイルとの条件交渉に使っている可能性もあります。だとすると、千本会長は怒っているかもしれません。
イーモバイルとの話と違って、ソフトバンクはモバイルWiMAXについては堂々と借りることが出来ます。そもそも、落選組はMVNOで借りてください、という約束での割り当てだからです。よって、イーモバイルとの話がどうなろうと、こちらの話自体がなくなることはありません。
この記事にはありませんが、孫社長は「落選した我々のモバイルWiMAX計画のような安い価格なら借りてあげますが」というようなことを言っています。借りる立場なのに上から発言です。条件面で納得できれば借りるつもりであるという発言です。
UQコミュニケーションズには無理をしても貸す理由も無いので、条件があわないから借りたくないのならどうぞ借りないでください、だと思います。2.5GHz帯の獲得の経緯から言っても、喜んで貸す感じではないでしょう。もっとも、ソフトバンクが大量にユーザを獲得してくれるのなら、その点についてはありがたいのはありがたいはずです。
もし仮に続いて「次世代PHSも借りる」と言い出したりすると面白いかもしれません。もっとも、当のウィルコムは複雑な気分で貸すことになるのは間違いありません(ウィルコムにも同じく「貸す義務」があるので断れない)。
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コメント
オバマがアナログ停波を4ヶ月延期
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITbo000006022009
4ヶ月延期は「延期」か?
しっかりその後は移行すると明確にされたようなものかも。
日本でもLTEが4ヶ月遅れたとして、それがWiMAXやXGPにどれだけアドバンテージになるのかしら。
投稿: | 2009/02/06 23:51