543 "iPhone以外"のスマートフォンはFlashフル対応へ
スマートフォンへのフルスペックFlashの搭載の話がどんどん進んでいます、がiPhoneは相変わらずの状態だという話。
◆(およそ)iPhone以外のスマートフォン、フルバージョンのFlashに対応予定
「ほとんど」とはいかなる事かというのが今回の記事の内容でもあります。
2010年にスマートフォンのほとんどがFlash 10対応に - 米Adobe
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/02/16/055/
米Adobe Systemsは2月16日(欧州時間)、現在スペインのバルセロナで開催されているMobile World Congressにおいて米PalmがOpen Screen Project (OSP)に参加したことを発表した。これにより、同社スマートフォン「Palm Pre」上でFlash Playerがサポートされることになる。またAdobeではPC版とフル互換となるFlash Player 10を、2010年までにPalm webOSに加え、Google Android、Nokia Symbian、Microsoft Windows Mobileの各スマートフォン向けにリリースする計画だ。これにより、iPhone (Apple)を除くほとんどのスマートフォンでFlashが搭載されることになる。
AdobeはFlash 10発表時にPC向けの「Flash」と携帯向けの「Flash Lite」の2系統の製品をひとつの「Flash」に統合していくと説明していたが、ここで改めて対応プラットフォームや登場時期について明らかにした。
よって、近いうちにスマートフォンにおけるFlash事情はこうなるということです。
・Flash 10でPC向けのFlashと携帯向けのFlash Liteが統合される。
・スマートフォンのプラットフォームのほぼ全てがFlash 10に対応する
・Windows Mobile
・Symbian
・Android
・Palm Pre(webOS)
・2010年までに以上が完了する予定
「ネットから降ってきてブラウザの上やローカルマシンで動いたりするもの」関係の競争が激しい昨今ですが、Flashもその辺りでの覇権を狙っており、今のところは戦いは優勢に進んでいます。
ただし、
・iPhone
・BlackBerry
はリストから外れています。
BlackBerryについては、ビジネス向けだからというところもありそうです。iPhoneについては以前から何回か書いているように、
・Adobe:開発したい
・ユーザ:対応して欲しい
・アップル:×△・・・
となってしまっており、iPhone登場からもう随分経つにもかかわらず対応がなされていません。
◆「iPhoneのFlash」は難航中という説明
Adobeは以前からずっとiPhone向けのFlashを何とかしようとしているようなのですが、Appleさんがいろいろ言うためにまだ対応できていないようです。
iPhone対応Flashの準備は困難続き--アドビCEOが発言
http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20387424,00.htm
Adobe Systemsは、ほとんどの環境で動作するFlash技術をAppleの「iPhone」でも利用可能にすべく長い時間をかけて取り組んでいる。
スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムにあわせて、Adobe Systemsの最高経営責任者(CEO)Shantanu Narayen氏はBloombergニュースサービスの取材に応じ、何カ月も努力を重ねてきたが、今も、iPhoneで正常に動作するFlashを作る作業において困難が続いていることを認めた。
本当は「何ヶ月」なんていうレベルじゃないと思います。ここでいう「何ヶ月」というのはアップルとの最新の妥協案でのやりとりが、ということだと思います。本当は初代iPhoneが出たとき以来の問題です。
その2週間前にあたる3月初旬、Appleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏は、PC用FlashはiPhoneで使用するには「動作が遅すぎて実用的でない。一方でモバイル版のFlash Liteはウェブでの使用に十分ではない」と述べ、iPhone対応Flashへの期待に冷や水を浴びせていた。
つまりこういうことになっています。ついでにインテルも加えると、
・Adobe:開発したい
・ユーザ:対応して欲しい
・アップル:「ユーザのためにならないのでダメです」
・インテル:ARMなんかを積んでいるから、iPhoneはフルインターネット体験が出来ない、Intelを積まないからだ
以前書いたとおり、実際にはどうやらAppleが「iPhone上でアプリを実行する基盤になりうるようなアプリの開発を禁止している」のが原因だと見られています。この記事でも、
Adobeは「iPhoneのウェブブラウジングエクスペリエンスにFlashのすべての機能をもってくるためには、SDK(ソフトウェア開発キット)やさまざまなライセンスの枠を超えてAppleと協業する必要がある」と述べていた。
Adobeは技術的な問題ではなくて、Appleがライセンスで禁止しているから開発できないんだ、と言っているという事です。「ライセンスの枠を超えて」というのは、禁止を解除してくださいというお願いですね。
以前も書きましたが「禁止」をしている理由は、iPhoneで動作可能なアプリをアップルの管理下に置きたいためだとみられます。つまり、
・アップルがOKを出し
・アップルの公式サイトに配置されたアプリ
・上記以外のアプリはiPhone上で実行できない
という囲い込み状態を維持したいのだろうと。
iModeで言うならば「勝手アプリ完全禁止」かつ、加えて「間接的に勝手アプリに類するものの実行を可能にするものも禁止」の状態です。
FlashやJavaの実行エンジンや、Safari以外のウェブブラウザは「間接的に勝手アプリに類するものの実行を可能にするもの」なので禁止対象になっています。
Adobeはアップルに泣きついて何とかしようとしてますし、SunもJavaを出したいと思っています。FireFoxはアップルに呆れてこのあたりの事情をぶっちゃけてしまいました。
Adobeはおそらくアップルの要望に沿った「制限版」のFlashを作ろうとしているのではないかと思われます。
◆インテルやアップルの言い分が通らなくなる
アップル(ジョブス師匠)の説明は、
「動作が遅すぎて実用的でない。一方でモバイル版のFlash Liteはウェブでの使用に十分ではない」
・Flashは遅すぎて使い物にならない
・Flash Liteはへぼすぎて使い物にならない
・だから搭載しない
ついでにインテルの主張も書いておきますと、
・ARMを積んだマシンは非力すぎてFlash対応すらまともにできない
というものでした。
しかし、スマートフォンはほとんどの場合CPUとしてARMを搭載しており、今回のAdobeの発表で「iPhone以外のスマートフォンではフルに対応」の方向となりました。
対応していないのはiPhoneだけになってしまうと説得力はなくなってしまいますから、ますます対応してくださいの声が大きくなるはずです。
さて、この状況にアップルはどう対応なさるのでしょうか?
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コメント
>2010年までに(ry
(論旨とはずれますがw)ケータイでもフルのFlashが使えるようになるのですねー......なんか楽しみですwktk
こういうことを書くと叩かれそうですが 私はアップルの高慢で攻撃的な(そのように映る)ところが好きではないので
そんなに面倒なことを言うのなら アップルなんて無視すればいいのに......なんて思ってしまうのですが
iPhoneに進出することはそんなにビジネスチャンスなのですかね......?
投稿: sy | 2009/02/20 00:16