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541 エリクソン、HSPA+で40Mbpsを出すデモ(ただし「有線接続」で)

先日、エリクソンが第3世代のまま42Mbps(スペック上は)になる基地局を売り込もうとしているという記事を書きましたが、これのデモで40Mbpsが出ているという件について。

◆エリクソン先生、またですか

ここしばらく話題にしてきた(記事としては以前からかなり書きました)HSPA+ですが、エリクソンがデモを行っていたようです。デモでは、なんと?40Mbpsが出ていたようです。

まず引用

【MWC】EricssonがマルチキャリアHSPAをライブデモ,実効40Mビット/秒を記録
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090218/165917/

スウェーデンのEricssonはスペインのバルセロナで開催中のMobile World Congress 2009の会場内にて,マルチキャリア技術を使ったHSPA(DC-HSDPAとも呼ばれる)のライブ・デモを実施している。

「マルチキャリア」というのは何かというと、W-CDMAの帯域(キャリア)を複数(マルチ)束ねて使いますという事です。

マルチキャリア技術とは,2倍の帯域を使用することで通信速度の高速化を計る技術。理論的には速度も2倍になる。HSPAは5MHz幅の帯域を使って,現在最大21Mビット/秒の速度を実現しているが,マルチキャリア化することで10MHz幅の帯域で最大42Mビット/秒の速度が期待できる。

「21Mビット/秒」、つまり21Mbpsがどういう計算式?で出てくるものなのかはここしばらくの記事で何回か説明しましたのでそちらをご覧下さい。ごく簡単に算数を再現しておきますと、

・3.6Mbps×2:7.2Mbps(現在の日本の3.5世代)
・3.6Mbps×2×2×1.5:21Mbps

ただし後ろの方の「×2」の実際の効き具合は怪しく、×1.5についても電波状態がとても良い場合にしか効果がありません。

よってスペック上は「21Mbps」になるにもかかわらず、7.2Mbpsでの体感速度から画期的な変化は起こらないという困った高速化の現状でした。

マルチキャリア化については素直に2倍になるものの、電波帯域も通常の2倍使ってしまうので2倍の混雑を招きます。

エリクソンは現在HSPA+基地局を絶賛売込み中なのでデモをしていたようです。そしてデモでは・・

Ericssonのデモではマルチキャリアの基地局とモバイル・ルーター型の受信機(写真1)を使って,ファイルを受信や動画を伝送する様子を披露。実効速度としては,40Mビット/秒弱を記録していた(写真2の右のウインドウ)。

40Mbpsなんてすごいなー、と思ったあなたはエリクソン先生にやられています。

理論上のスペックが42Mbpsなのに40Mbpsも出ている事をまず疑いましょう。そんなに出るわけがありません。理論値の95%もの速度だからです。

7.2Mbpsのイーモバイルで言うと、6.8Mbps以上出た状態に相当します。しかも先ほどの算数計算式の説明で書いたとおり、21Mbpsよりも7.2Mbpsの方が理論値に近い数字が出る傾向がありますから、実際には、7.2Mbpsで7.1Mbps以上出ているくらいの感じです。

こういうデモは速度が出るようにチューニングを凝らして行われるのが普通ですが、さすがにチューニングをしてもここまで速度を出すのは困難なので、

「これは有線接続で行われたデモ」

ではないかと思われます。

有線接続というのは何ですかというと、「基地局」と「端末のようなもの」を「有線」で接続をしているのではないかということ。有線接続だから「電波」状態はきわめて良好ということになり、それでさらにチューンしたのでこういう事になっているのではないかと。

おいおいちょっとそれは・・というデモなのですが、元のニュースでは「あたかもエリクソンが実環境でも超高速が出る新技術のデモをした」かのように取れる記事になってしまっています。

しかし元のニュースではそういうことは一言も説明がなされていません。そんな事でよいのでしょうか・・

LTEについてもEricssonは最新のライブ・デモを実施した。20MHz幅の帯域を使い,2×2 MIMOの構成で,170Mビット/秒弱の速度が出る様子を見せた(写真3)。

実はこちらも同じような次第であります。


◆エリクソンと大人の事情?

こうやって速度を真に受けたニュースが流れてしまっているわけでして、エリクソンの思う壺です。

もっともこうでもしないとモバイルWiMAXのハッタリを真に受けてしまった人々の心を携帯本流のLTEに呼び戻せないのかもしれません。頭の悪い人向けのデモだったのだと思いたいところです。

そういえば昔に行われた「世界初のLTEの小型端末」のデモにおいても、海外では有線接続デモが行われて派手な数字が出ていました。ただ、日本ではちゃんと無線接続でデモが行われたところ常識的な速度しか出ず、「何でたったこれだけの速度しか出ないんですか?」とか記者(3桁速度が当然に出るもんだと思っていたらしい)に質問を受けたりしていました。

そういう事情あたりで有線接続デモはしょうがないのかもしれません。

今後とも、有線接続デモのスペシャリスト、エリクソンの次世代技術にご期待ください。

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コメント

これからの携帯電話は基地局とケーブルでつないで使うのですよ。

これからも無線で使えると思っていたら日本はガラパゴスですよ!

投稿: | 2009/02/23 17:09

SBとEMは実験と称してこれと同じことをやると予想します。

投稿: sy | 2009/02/23 17:17

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