538 ベライゾンのLTEが実測で60Mbps、の話について考察
先日ベライゾンのLTEについての記事を書きました。そこで出てきた「実測値で60Mbpsが出ています」という件について少し考察。
◆「60Mbps」の前提条件は何もわかりませんが
どういう条件でのどういう数字のことなのかさっぱり解らないのですが、ベライゾンから、試験運用の結果60Mbpsが出ていました(実際の運用での平均速度はわかりませんけど)という発言がありました。
チューンしたデモで不自然な速度を出したり、さらには「有線接続」を用いたりして速度の水増しが行われる事がありますから、この速度もそういう類のものかもしれません。そのような場合には考察する意味はあまり無いのですが、今回はそうではないとして少し考えてみます。
実際に試しての数字であることと考え、「どれくらいの数字」なのかを考えてみましょう。
前提条件が良くわからないのですが、10MHz幅での速度ではないだろうということで、20MHz幅での速度だとします。ちなみにベライゾンは20MHz幅でサービスインできる帯域を持っています。
MIMOが2x2なのか4x4なのか良くわかりませんが、実環境での実効最大速度にはMIMOはあまり働かないということにして気にしない事にします。
また、ベライゾンが80Mbpsと言ったという話もあるようですが、とりあえずは60Mbpsで考えてみる事にします。
◆LTEで60MbpsをHSPA+と比較する
LTEで電波状態が良いときで他に誰も使っていないときには60Mbpsが出るという事にします。
・LTE:60Mbps/20MHz幅
不正確ですが、簡単のため4で割って第3世代と帯域幅をそろえてみましょう。
・LTE:15Mbps/5MHz幅(仮に)
現実感のある(ないしは非現実的ではない)速度が出てきました。HSPA+では5MHz幅で「理論値」が(MIMO無しで)21Mbpsですから、HSPA+にとっては15Mbpsはちょっと厳しい数字に見えます。
MIMOを使っても実際の最高速度は二倍にはなりませんから、HSPA+ではちょっと厳しい速度がLTEでは出ているらしいことになります。
ドコモも以前、LTEでの帯域あたりの実効速度は「数倍程度になる」ようなことを言っていたような気がするので、それとも矛盾しない数字かもしれません。
よって、20MHz幅で電波の良い状態(で混雑皆無)のLTEを使うと、本当に60Mbpsのような速度が出るのかもしれません。
#もしそうだとしても実際に体感できるのは稀でしょうが・・
2009年中にこんな速度が実測できる「試験サービスイン」が実現してしまったら、大事件になるはずです。北米のWiMAXは崩壊でしょうし、細切れに割り当てた日本は大後悔になるはずです。
念のために書いておくと、60Mbpsは単にベライゾンのビッグマウスなだけかもしれませんけどね。だったらここまでの考察は全く意味無しです。
なお10MHz幅の速度だった場合には、必殺有線接続が必須の速度なので意味なし速度です。
◆実際の速度は
HSPA+での20MHz幅を用いてのギリギリいっぱい(14.4化、64QAM化、MIMO、帯域の4つ束ね)をした場合のスペックは168Mbpsですから、スペック上は似た数字になるのかもしれませんが、LTEの方が実際の速度が出そうな感じです。
まあ、だからこその「次世代」なのであって、ドコモがHSPA+ではなくてLTEの早期サービスインを目指しているのでしょう。
しかし電波状態が良好な場合には両者に差がつくというだけのことで、電波状態が良好でなければあまり変わらないかもしれません。
次世代技術でものすごく速度が出るのは、基本的に基地局近辺だけというのが良くあることなので、電波状態がややこしい場所では逆に第3世代系の方が安定しているかもしれません。。
また、念のために書き添えておくと、「60Mbps」は「電波状態がとても良くて一人で基地局を占有できた場合」で、一人一人が占有できる速度ではありません。混雑するとあっという間に速度低下を起こします。
よって、理論速度や最大実効速度よりも、基地局を密に配置したところが「実際には速い」ということになるかもしれません。ちなみに次世代PHSはこちら側からの作戦です。
まあ、次世代PHSに限らず他陣営は、実際に利用する速度では大差が無いとか、実用上関係ないみたいなことは言いつづけなければならなくなるでしょうけど。
ちなみにモバイルWiMAXですが、次世代っぽい最高速度と設備が安い(これも怪しくなってきましたが)面以外の性能は基本的に良くないと予想されます。よって、速度と安さでLTEに負けた場合には、ちょっと厳しいのではないかと。
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