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537 モバイルWiMAXは「遅からず速からず」?

モバイルWiMAXの試験サービスが始まりました。試験サービスの感想もいろいろ出てきていますので、そのあたりについて仮に投稿をしてみたいと思います。

◆速いとも遅いとも言いにくい速度

まず、事前予想もやっていた速度を中心に書いてみましょう。

表看板には掲げていないようですが、UQコミュニケーションズは10Mbpsを超える速度がやってきます、というような説明をしていることがありました(後で引用するニュースでも「15Mbps以上が出ると言っていたのに」というような部分が出てきます)が、まずそういうことにはならなかったようです。

確かに実測で10Mbpsを超える場合はあるようですが、現時点では頻繁に目にするような数字とは言えないようです。逆に速度が出ない側の話になると、使いたい場所で1メガ以下だったとか、そもそも窓際以外では圏外だったという話もあります。

期待していた人の期待には応えられなかったが、あまり期待していなかった人の予想は下回らなかったのが結果ではないかなと思っています。

個人的にざっくりまとめると、こういう感じなのではないかと思います。

・報告されている速度はばらつきがある
・速度を出す事自体を目的にすると、10Mbps超が出ることもあるらしい
・室内圏外が多く、窓際で速度が出る傾向
・移動に弱い
・2-5Mbpsくらいを期待しておくべき
・運がよいと8Mbpsくらいが出ている
・運が悪いと、1Mbps以下どころか圏外
・RTTは少なくとも優秀ではない

40Mbpsを素直に受け取った方面からすると(特に、こういう速度は「基地局を占有した場合の速度」だという事を知らない人は)あまりに予想外の数字のようです。

ただ、全くダメだろうと思っていた人にとっては、逆の感想ではないかと。


◆まだどうもよくわからない

まだ判断は難しい状況だろうと思います。というのも、

・基地局はまだ整備中:これから"改善"したり"変化"したりする可能性がある
・利用者は皆無に近い状態:混雑したときのことは全くわからない
・現時点の利用者はモバイル愛好者で無償利用

「改善」は、UQコミュニケーションズ自身が基地局密度を将来的にはもっと上げたいと言っているようなことや、スポット的にエリアカバーをする基地局(屋内基地局など)が未整備であること、室内対策用の中継局などが用意されていない点の可能性です。

「変化」は、ユーザ数が増えた場合の変化や、基地局密度を上げた場合の変化、小型の基地局のよる変化などです。例えば、基地局密度を上げると逆に電波状態が悪くなってしまうような事も考えられます。

#これから良い方向に進むとは限らない

「モバイル愛好者」というのは一般の利用者はもっと辛口だろうということです(ただし、最高速度の面以外で)。無料で提供されている事もあり、現時点で出ている感想は好意的なものが多いのではないかと予想しています。


◆いまひとつ切れ味の悪いレポート記事

速度について言及をしている記事を二つ持ってきますが、どちらも慎重に書かれているように思えます。

UQ WiMAX端末の実機で接続スピードを検証,屋内での電波減衰が弱点か
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090226/325620/

UQコミュニケーションズは,電波の状態がよい場所では実効速度で15Mビット/秒以上の速度が出るというが,実際に利用する場合はどの程度の値なのか。これを調べるため,編集部内で場所を変えながら,速度がどう変化するのかを調べてみた。測定場所は3カ所。まず電波を捉えやすいと考えられる「窓際」。次に,窓から15m以上の距離があって壁を越えた位置にある「廊下」。3つ目が,廊下の先に位置する窓のない「倉庫」である。
UQ WiMAXでは,窓際では下り3.45Mビット/秒と高速だったが,廊下では同2.94Mビット/秒,倉庫では同1.17Mビット/秒と,窓から離れるほど速度が落ち込む傾向が見られた。特に速度が落ちる傾向が大きかったのは上り回線。窓際,廊下,倉庫で,それぞれ0.527Mビット/秒,0.099Mビット/秒,0.031Mビット/秒という結果になった。

これに対して,イー・モバイルでは場所による速度低下の傾向が見られなかった。

イーモバイルについては、下り速度は1.383Mbps~1.045Mbps(1メガちょっと)で、上がり速度は0.291Mbps~0.359Mbps」となっています(つまり300kbpsくらい)。
※訂正:上りと下りを間違えて記載していた部分について書き直しました。

モバイルWiMAXが建物内の場所によって速度が変化しているのに対し、イーモバイルでは場所による影響は見られません。

元記事にはグラフで結果が示してあって直接引用できないので文字にてまとめると、

下り速度 / 上がり速度
・窓際:3.45Mbps / 0.527Mbps
・廊下(屋内に15メートル):2.94Mbps / 0.099Mbps
・倉庫:1.17Mbps / 0.031Mbps

室内での上りの速度低下が激しいことと、結局のところ窓際で使っても3.45Mbpsだという結果になっています。

イーモバイルよりは速そうだなと思える速度ではあるのですが、記事では「UQコミュニケーションズは,電波の状態がよい場所では実効速度で15Mビット/秒以上の速度が出るというが」としっかりツッコミが入っています。つまり、期待を裏切っている速度であると言っているわけです。

そして次のレポート、こちらでは屋内圏外がかなり激しい感じになっています。

速報レビュー:本日スタートのUQ WiMAXの実機を試す
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/review/44266.html

今回の速報レビューでは、ケータイ Watch編集部にて試してみた。住所で言えば東京都千代田区、UQ WiMAXのエリア内と公表されている。編集部はビル内の2階に入っている。試してみた日時は26日の13時~14時ごろだ。

元記事を引用したいところですが、引用すると恐るべき長さになったので、簡単にまとめてみました。以下の引用は元記事をまとめたものです。

窓から5mほど離れた席(2Fの編集部):
・窓から5mほど離れた席
・電波が不安定で、繋がったり繋がらなかったりする状態

この部屋では事実上室内は圏外に等しい状態のようです。

2階北側の窓際
・安定して繋がるようになる
・計測10回の結果
 ・下り:平均2.36Mbps(最高2.81Mbps / 最低1.43Mbps)
 ・上り:平均60kbps(最高110kbps / 最低47kbps)

窓際(本当に窓のすぐそば)に移動すると使えるようになるものの、こちらでも同じく上がり速度が激しく低下しています。

7階の南向き窓側
・下り:平均2.76Mbps(最高4.18Mbps / 最低1.9Mbps)
・上り:平均1.09Mbps(最高1.38Mbps / 最低765kbps)
・一瞬だけ好条件になる事もあるようで、下りでは最高4Mbps超えも

電波状態がある程度回復すると上り速度はまともになるようです。

その他には、

場所によっては電波強度表示が4段階くらいまで行き、7Mbpsを超えるときもあったが、少し位置を変えただけで電波状況が変わってしまい、再現できなかった

ラッキーならば7Mbpsを超えるようですが、継続して出なかったとのこと。

そして、感想はこうなっています。

今回はテスト環境があまり良好ではなかったのかもしれないが、それでも千代田区のど真ん中で10Mbpsも出ていないとなると、ちょっとまだまだ電波が強いとはいえない状況だ。カバー済みのエリアでも、基地局がもっと密に設置され、死角が減っていくことに期待したい。

こちらでもやっぱり「褒められない」ということですが、今後改善されるかもしれません的な感想になっています。


◆追加:圏外具合を示す動画

全く使い物にならなかった、という記事もあるようです。

【ビデオニュース】果たして編集部でWiMAXはつながるのか?
http://www.rbbtoday.com/news/20090228/58208.html

試したのは、編集部がある西新宿の高層ビルの11階および1Fの屋内・屋外だ。
サービス提供エリアを見ると新宿は入っているが、電波状況は非常に悪かった。高層ビル、室内というせいもあるかもしれないが、編集部内を歩き回ると、たまに微弱な電波を拾い、すぐに消えるといった具合だ。今回は残念ながら、最終的に電波をとらえることができなかった。

事実上の圏外ということです。

おそらく一つ前のニュースの「編集部の室内では非常に不安定で」というのは、このニュースで紹介されているような状況の事を言っているのではないかと思われます。もしそうだとすると、不安定というより圏外に等しいと言ってよいかと。

なお、記事ではこういうツッコミも続いています、

ちなみに、サービスエリアはこちらで確認できるが、地図の下には「こんな場所で快適に使えました」と駅構内が複数個所挙げられているが、駅でPCを広げる機会は比較的少ないのも現状だ。

「こちら」というのは公式サイトのエリアマップです。そんなところで速度出ても意味無いですよね?というツッコミがなされています。

駅は屋外に近い状態であり、なおかつ駅にはモバイルWiMAX基地局があって基地局からの距離も近いということもあって速度が出るので、エリアマップに書いちゃったんでしょう。

でも自分が繋がらなくてがっかりした場合には、エリアマップに良い事が書いてあるほど、がっかりを増幅させる情報になってしまうようですね。


◆今後改善するのか?他キャリアへの影響は?

まだ試験サービスなので、今後改善される可能性はあります。特に単に基地局の密度不足なだけならば。

ただし、密度を上げても解消しなかったり、密度を上げられなかったり(密度を上げると別の問題が生じる場合)には、エリアが怪しいが速度は出るサービスのままになりましょう。

移動についてもどうやら怪しいようです。これについても、基地局密度が足りないだけならば整備で改善されてゆくはずですし、移動性能自体に問題があるのなら、基地局整備が進むと逆にさらに悪化するかもしれません。

イーモバイルにとっての最悪の結果にはなっていません。モバイルWiMAXが異次元の速度感で登場していないからです。

しかし、イーモバイルより一段階上の速度にはなっており、混雑による速度低下の面でも(利用者の居る)イーモバイルの方が不利です。

また、イーモバイルにとって望ましい結果、全くダメな状態での試験サービスインにはなっていないようです。今のところの感じではですが。

イーモバイルとの関係については、速度面で大差がついているわけではないので、HSPA+導入とエリア面での優位性のアピール次第、および一般人がモバイルWiMAXの悪い側面にどう反応するか次第ではないかと思います。

また、同じ2.5GHz帯を使う事になるウィルコムの次世代PHSも、同じような屋内圏外の問題に悩まされる可能性があることにもなります。もしモバイルWiMAX固有の欠点によるのではなく、本当に電波が届かない事が原因ならばですが。

ただし、次世代PHSはPHSから引き継いでいる「狙った方向に電波を集中させる」技術が用いられるので、ウィルコムのPHSが他社のPHSと屋内での性能が違ったのと同じように、たとえ電波自体が届きにくい事が問題だったとしても、屋内圏外では違いが出るかもしれません。

とりあえず結果としては、WiMAXは流れを変えるような性能は示せなかったし、かといって「もうこれはダメだ」と思えるような性能ではなかったのではないかと思います。

日本での次世代緒戦の結果を見極めるにはもうすこし様子をみないといけないようです。

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コメント

2.5GHz下のXGP勝利の鍵はホームアンテナの機能次第なのかな?
フェムトセルとしてのホームアンテナが。

SBMが渇望するフェムトは輻輳対策の方
屋内→
有線----Y)))) 端末

XGPに必要なフェムトは圏外対策
屋内→
無線>>>>Y)))) 端末

この場合、基地局から見るとホームアンテナもXGP端末モドキなのだから、SIM入れちゃって、1契約(レンタル代で)にしちゃって、契約数を水増し? することとかできんかな。
通称・窓際族。

投稿: TT | 2009/02/28 23:27

XGPにはホームアンテナあるの?

投稿: 姫 | 2009/03/01 09:26

>XGPホームアンテナ

可能であれば、必要があれば、許可があれば、お目見えするのかなあと思ってます。

ウィルコムも次世代はマクロセル&フェムトセルで始めるとか、どこかで言ってましたし。

投稿: TT | 2009/03/01 11:04

>>イーモバイルの速度は安定しているとは言っても「0.291Mbps~0.359Mbps」となっています(つまり300kbpsくらい)。念のために書き添えておくと、これは「混雑による速度低下」が原因だと思われますが

だから、これは上りの速度と何度言ったらwわざとやってるのか。

投稿: | 2009/03/01 21:48

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