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576 中国で「携帯電話三国志」がはじまる

以前から、中国で国策による通信事業者の大再編が行われていると言う件について書いてきましたが、とうとう第三世代携帯の免許が実際に交付されてしまったようです。


◆「携帯三国志」がはじまる

まずニュースから。

中国移動、中国電信、中国聯通に3G携帯営業の免許
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0107&f=business_0107_048.shtml

中国工業情報化部は7日午後、国内通信キャリアの中国移動(チャイナモバイル)、中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)に3G(第3世代)携帯電話の商用サービスライセンスを交付したと発表した。

3社に認可した規格はそれぞれ異なり、中国移動には「TD-SCDMA」、中国電信には「CDMA2000」、中国聯通には「WCDMA」の各方式による営業を認めた。

事前には実際のところどうなるんだろう、という話はいろいろありましたが、結局のところ、三陣営三方式で、免許も同時に出すことになりました。

中国の最強キャリア(というか世界最大の電話会社)に託したとはいえ、問題技術のTD-SCDMAは生き残れるのでありましょうか?

◆過去の記事

この件は早期から記事にしてきました。

中国の(携帯)電話会社、三大グループに集約される見込み(ただし、国策で)
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/05/post_239a.html


中国で第三世代の「三方式が戦う」流れに
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/10/594-iphone-9db6.html

他の記事も何回か書いた気がしますが、面倒なのでこれでおしまい。

まとめのコピペをまた持ってきて書き足すと、

グループ1:TD-SCDMA(国策の独自第三世代技術)
中国移動(国営携帯電話会社)(国内1位:世界1位)
+中国鉄通(チャイナレールコム)(鉄道の通信網が由来の固定事業者)
+中国衛星通信(チャイナサットコム)(元は中国電信の一部)

グループ2:CDMA2000(クアルコムと協力関係)
中国電信(チャイナテレコム)(固定1位)(PHS事業者)
+中国聯通(チャイナユニコム)(国内2位:世界3位)のCDMA部門

グループ3:W-CDMA(W-CDMAは世界標準)
中国網通(チャイナネットコム)(固定2位)(PHS事業者)
+中国聯通(国内2位:世界3位)のGSM部門

毎度の事ながら、グループにつけた番号は私が適当に付けた番号です。

三グループに国策で再編し、そして三方式を割り当てたので、まるで三国志のようなことになりました。

また、固定事業者ゆえに携帯電話への進出を禁止されていた二社が「携帯電話じゃないもんねー」と「上に政策あれば下に対策あり」で開始して中国大陸で普及したPHSについては、再編後もこういう感じになってしまっています。携帯免許を手に入れたことで一気になくなってしまう可能性もあります。

固定二社は念願の携帯電話事業を手に入れて浮かれているはずですが、その反動が来たときにPHSを再アピールできるかどうか、そんな感じかもしれません。

第三世代は三方式がそろいましたが、TD-SCDMAと直接的に帯域の奪い合いになるWiMAXについては、中国政府自体が嫌っています。

また、しかしながら中国での主流はGSMではありつづけるので、しばらくは第三世代では何も起こらないかもしれません。次世代にしたくても資金が足りないような展開とか。


◆TD-SCDMAは生き残れるのか

TD-SCDMAは現時点での最強の陣営に託されましたが、未熟な技術です。一方で他陣営は未熟どころか完成されて枯れた技術を利用することが出来ます。

クアルコムは生き残りをかけて中国大陸で本気の協力をするはずです。

W-CDMAは基地局も端末も高性能で安価なものを調達しやすい状態にあります。何しろ中国以外で事実上の世界標準になりつつある存在です。

よってこの戦い、現時点で弱い方の陣営が技術的に有利なので、歴史的な大逆転劇を発生させる可能性がある状況にあります。

可能性としてですが、世界最大の携帯電話会社がTD-SCDMAと共に大炎上するなんてすごい状況がそのうちおこるかもしれません。

TD-SCDMA保護論者には、将来の世界技術決戦で戦える可能性を残すためにはTD-SCDMA以外の第三世代を締め出して保護する必要があるという意見もあったようですが(私もそうしないと危ういと思います)、なんと三方式で直接競わせるようにしたようです。

確かに、これで勝ち残れば堂々と世界へ中国の威を示すことができますが、他国でLTE帯域争奪戦をやってるさなかでベータ版の技術を競争にさらして大丈夫なのか謎です。

蓋を開けてみれば、第三世代どころかGSM世界の続行なだけかもしれませんが、もし早期から全力で第三世代戦争になったら(他二社が状況を読めていて、状況が許すならそうする気がします)、すごいことになるかもしれません。

二社にとっては第三世代序盤煽で圧勝できるかかどうかで、その先の未来が全く変わってしまう場面です。このチャンスを逃すと永遠に逆転のチャンスが無いかもしれない絶好の機だからです。

もしそれでもちゃんとTD-SCDMAが勝ち残れば、LTE一色世界への対抗馬が残って良かったともいえるかもしれませんし、逆に赤壁の戦い並みの歴史的大敗北となる可能性もあります。

質的にはソニーと任天堂にプレイディアで挑むような気もしなくも無いのですが、物量や政府の支援でそれも覆るのかどうか。

それともTD-SCDMA、急速に問題点が解消されたりしたのでしょうか。一応その可能性もあります(なにせ一周遅れの技術ですから、急激に追いつく可能性もあるわけです)。

また、PHSは大丈夫なのでしょうか。八本槍が中国に生えたりするのでしょうか?こちら的には第三世代全面戦争になってもらっては困ることになります。

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コメント

クアルコムはCDMA2000とLTE両対応のチップも作ってるから無いでしょうけど UMBがぽしゃったから CDMA2000はやめてXGPにするよ!!とかとち狂ったことやってくれないものですかねー(笑)>グループ2

3グループのうちどれかの株でも買うとしたら グループ3が一番堅いですかねー(笑)
GSM→W-CDMA→LTEでしょうし。

投稿: sy | 2009/01/16 16:53

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