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580 ドコモの3.5世代が人口カバー率100%達成、の意味

「ドコモの驚異的なエリア整備」のわかりやすい結果がニュースとして出てきているので、少し書いてみたいと思います。

「100%ってどういうこと?」という当然の疑問への解説も書いてみましょうか。


◆ドコモのHSDPA(3.5世代)、人口カバー率が100%に

FOMAハイスピードが人口カバー率100%に
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0901/07/news013.html

NTTドコモは1月6日、HSDPA方式による高速データ通信「FOMAハイスピード」のサービスエリアが、昨年12月末で人口カバー率100%に達したと発表した。

2006年8月31日、東京23区をエリアとして下り最大3.6Mbpsでスタート。同年10月末に全国主要都市にエリアを拡大しした。08年4月には下り最大7.2Mbpsに高速化した。

100%は、開始から約2年4カ月となる12月26日に達成した。人口カバー率は、地方自治体の市役所・町村役場での通信の可否を基に算出している。

しばらく前にも、ドコモのインフラ整備力が半端ではないということを書きましたが、また新しいニュースです。

「FOMAハイスピード」というのはHSDPAのことで、つまり3.5世代のことです。携帯電話のエリアカバー率は通常「人口カバー率」という指標で表されますが、なんとそれが100%、つまり「完璧な状態」になってしまったという驚きのニュースです。基本的なエリア整備の時点で半泣きになっているキャリアもある中、ドコモは異次元の状態です。

ドコモすごいなー、ということはなんとなく解ると思いますが、実際にこれがどういうことなのかを説明してみたいと思います。


◆人口カバー率って何?

まず、一部の人はこのニュースを好意的?に受け取らないかもしれません。それはどういうことかというと、

・自宅の近所にFOMAが圏外で困るところがあるんだけど、それなのにどうして100%?
・そもそも100%っていうのは「完璧」っていうことでしょ?その時点でなんか怪しい。

ごもっともでございます。というわけでまず「人口カバー率」とはいったい何であるのかを説明します。

「人口カバー率」とは元のニュースにも書かれているとおり、

人口カバー率は、地方自治体の市役所・町村役場での通信の可否を基に算出している。

つまり、

・自治体の役所で通信できるか調べる
・通信できれば、その自治体は「カバーした」ことことになり、通信できなければ「カバーされていない」と判断する

なんと無茶苦茶な、と言いたい人も多そうですが、ドコモの俺ルールでこういう指標が出されているのではなくて、昔からこういうルールが使われているため、ドコモも普通に人口カバー率を用いて発表した、というのが実際のところです。

もっと実情を反映した数字にしなさい、というのは簡単なのですが、なかなか上手いルールを思いつくのは簡単じゃないので使われている側面もあります。

エリア化した面積を日本の国土面積で割ってはどうか、という案を思いついた人もいると思いますが、残念ながら使い物になりません。というのは、日本の国土の大半は「人間なんかちっとも居ない」場所ばっかりだからです。

人間が居るところがエリア化されていることが重要なのですが、人間が実際にどこにどれだけいるかは簡単にわからないのです。自治体の人口と市役所の位置は簡単に解りますから、それで代えられているのです。


◆人口カバー率100%は不自然でもある

つまり、ドコモのHSDPAは「日本全国の役所で使える」状態になった、ということになります。日本の全てがカバーできたというのとは意味が違うということです。

ただ、役所をカバーすれば全体をカバーしたと言い張れることをドコモが悪用している感じはむしろ無く、他キャリアの方がむしろ悪用しています。「基地局が一つしかない」のに、その一つが市役所の近くにあるってことで「○○市をエリア化しました」と発表してしまったところもあります。

また、基地局を一つも増やしていないのに、市町村合併で人口カバー率が上がるという意味不明なことが起こる事もあります(役所の数が減るため)。

以上は、100%の価値を下げる話でしたが、ここからは価値(達成したことの難しさ)を引き上げる話をします。

少なくともドコモが「100%」と言っているということは、少なくとも日本の全ての役所の近くに基地局を配置したということです。で、考えてみれば解りますが、役所はとんでもない場所にあることもあります。海の彼方の離島にも自治体やら役所があることもあるわけです。ドコモはそういうところまでHSDPAの基地局とインフラを整備したということになります。

日本地図を見てみましょう(特に海の方)。日本というのは海だらけで、海の果てにも役所があることがわかりますし、そういうところまでエリア化したというわけです。よくよく考えてみると、とんでもないことが行われていることが解ります。

他社が100%にならないのは、そういう場所まで無理に3.5世代でエリア化するのはナンセンスだ、と判断しているからでもあります。あるいはドコモユーザは「100%と言い張るためにそんな無駄なところに予算を使うな」と言っていいかもしれません。

ただ、ドコモの場合「100%と言い張るため」ではなくて、「本当に日本全国津々浦々で使えるようにしたいと思っている」可能性もあります。


◆時間の意味

また記事には、HSDPAサービスインやらの時期も書かれています。

・2006年8月31日 HSDPAサービスイン(23区)
・2008年4月 7.2メガ化
・2008年12月末 人口カバー率100%
・2009年(予定) HSUPA(HSPA)、上がりの高速化サービスイン

これらは全て、ブログで記事に書いた記憶があります。

「2006年8月31日」は、2006年の夏にはHSDPAをサービスインすると事前に言ってしまっていて、で秋になる直前の「8月31日」にサービスインしたので、子供の夏休みの宿題並みだとか書いた記憶があります。また、AUの3.5世代サービスインからおよそ2年遅れでした。

ドコモは当時まだAUの勢いに押されている状態で、HSDPAの投入には大きな意味がありました。一日も早く投入してAUに対する不利を取り除きたいと思っていて、しかし同時にFOMAの電波が悪いイメージの払拭にも努めていた時期だったので、HSDPAを慌ててサービスインしたけれども今ひとつ駄目だ、というイメージがつくのも絶対に避けたい状況でした。

2006年はまた怒涛の基地局増設が開始された年でもありました。

ドコモはHSDPAのサービスインから2年と少しで「人口カバー率100%」をやってのけたことになります。あるいは、基本的にW-CDMAの基地局のアップデートで済む作業で、なおかつ全力ドコモをもってしても2年かかったというのが、正しい表現かもしれません。

すでに書いたとおり、100%にする必要性はあまり無かったりもしますが、しかしこれからやってくる次世代は、基地局の配置についてHSDPAとは違う配置が望ましい傾向があります(HSPA+でも同様の傾向)し、なおかつドコモほどの力を持っているところは他にはありません。

よって、まともなエリアカバーを得るためには、というか他キャリアの次世代化にはおそらく、最低数年はかかると考えておいて良いのではないかということもここから解ります。また、現行世代(3.5世代)のエリア整備で難渋しているところは、同じく追いつくだけでかなり時間がかかると考えた方がよいかもしれません。

次にドコモが行うのは、上がりの高速化(HSUPAないしはHSPA)ですが、こちらはおそらくソフトウェア的アップデートで大半が済むと思われるため(ドコモの基地局は安物ではないからです)、あっという間に上がり高速化人口カバー率100%の報がもたらされるのではないかと思います。

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