« 572 「GSMなW-SIM」は何をもたらすか? | トップページ | 570 モバイルWiMAX、月額料金は4000円台前半? »

571 1.5GHz帯(次世代携帯向け)の割り当て方針が出る(イーモバイル大勝利)

まだ、案なので変更される可能性はあるのですが、総務省が1.5GHz帯などの「次世代携帯用の帯域」の割り当て案を発表しました。


◆1.5GHz帯と同時に1.7GHz帯も割り当てる

まずは元記事からです。

総務省が3.9Gの開設指針案を公表、意見募集を実施
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/43702.html

総務省は、第3.9世代(3.9G)携帯電話システムの導入に向けて開設指針案を公表し、2月23日まで意見募集を実施する。

総務省が出したものは「案」であって、まだ「決定」ではないということす。

不満があるキャリアがあった場合には、これから総務省に意見をしたりして、方針を変えさせることも出来なくはありません。

そして、割り当て方針はどうなったかというと、

3.9Gの開設指針案では、1.5GHzおよび1.7GHzの周波数帯において、新規・既存を問わずに4社に対して、10MHzおよび15MHz幅を割り当てるとされた。3.9Gへの柔軟な移行を促すために、3Gと3.5Gシステム使用も認めている。ただし、1.5GHz帯の15MHz幅に関しては、東名阪エリアなどで2014年3月末まで、業務用無線などで使われるデジタルMCAが使用されている。該当エリアは2014年4月より全国展開可能になる。
また、認定事業者は、認定日から5年以内に人口カバー率50%以上となることが求められるほか、電波を効率的に利用するための技術を導入しなければならない。

最初に説明をしておくと、「×2」というのは「下り:基地局→端末」と「上り:端末→基地局」のことを意味します。

・1.5GHz帯と1.7GHz帯をあわせて4枠の割り当てを予定している。
・1.5GHz帯の三つ
 ・10MHz×2
 ・10MHz×2
 ・15MHz×2(ただし2014年3月末までは実質的に5MHz×2)
・1.7GHz帯
 ・10MHz×2
・LTE(3.9世代)だけでなく、3.5/3世代での利用も認めている(W-CDMA/HSDPA/HSPA+)
・免許が出てから五年以内に人口カバー率50%以上の義務を負う

総務省は用意した4枠に4社を割り当てて落選なしにする方針のようです。なんとも役所らしい案です。

まず、イーモバイルの1.7GHz帯を下さい要求が半ば通っていることがわかります。その他の条件についても、イーモバイルに全面的に有利な案になっていることがわかります。

また、1.5GHz帯の三つ目の枠が変則的なことになっています。最終的には他よりも少し多くの割り当てを受けることになるものの、当初は5MHz幅しかつかえないという帯域です。しかも「当初」というのは2014年なので、結構な先です。少し待つ代わりに20MHz幅にでもなれば話は違うのかもしれませんが、15MHz幅です。

人口カバー率のノルマがありますが、かなり緩やかな目標です。国際的に孤立する可能性のある1.5GHzは混雑地区限定でしかサービスインしたくない各陣営の我侭がちゃんと反映されています。もしかすると地方には1.5GHz帯の電波は永遠に来ないかもしれません。

割り当てはこうなるのではないかなと、

注意:こうならない可能性も高いです
・1.5GHz帯(10MHz×2) ドコモ
・1.5GHz帯(10MHz×2) AU(ソフトバンク)
・1.5GHz帯(5MHz×2→15MHz×2) ソフトバンク(AU)
・1.7GHz帯(10MHz×2) イーモバイル

イーモバイルがいろんな意味で完全勝利を果たし、ソフトバンクが踏んだり蹴ったりになるのではないかと。

また「当面は5MHz幅」についてのポイントは
・5MHz幅でLTEは半泣き状態になる
・しかし3.5世代での利用には一応問題ない

SBMについては、三社の中では一番不利なのですが、ただしLTEの早期展開をしないと思われるので、5MHz幅だけでもサービスをすることは出来ます。もしかすると、こういうことになるかもしれません。

・2010年3月 1.5GHz帯追加割り当て(5MHz幅)
・HSPA+で利用開始、1.5GHz帯対応端末発売
・2014年3月までに
 ・混雑する地区で1.5GHz帯対応完了
 ・電話機の1.5GHz帯対応化完了
・2014年3月(15MHz幅に)
 ・帯域一気に三倍に 
 ・2GHz→1.5GHzへの利用者(の電波の大移動)をさせる
 ・2GHzでLTE開始
#700/900MHz帯の獲得が間に入るかもしれない

ただしこの間「他陣営が何をしているか」を考えると、ソフトバンクには厳しい状況が続くことになるでしょう。

LTEを始めるつもりのAUは5MHz幅だけもらっても使い道に真面目に困るはずです。

ドコモがもし5MHz幅だけもらった場合には、1.5GHz帯は2GHz帯の第三世代の混雑緩和装置としてだけ使われ、2GHz帯のLTE化を進める加速装置として使われるのではないかと思われます。


◆イーモバイルの大勝利

4枠落選なしで1.7GHz帯となると、イーモバイルは1.7GHz帯をもう貰うつもりでいることでしょう。イーモバイルにとってはこの上ないほどの大勝利になりつつあります、何故なら、

・「設備投資ほぼ無し」で2010年4月から、イーモバイルの収容能力は突如三倍になる(5MHz幅→15MHz幅)
・既存のイーモバイルの端末を置き換える必要すらない、端末もそのまま。つまりお金もかからず、時間もかからずに一瞬でパワーアップする。

基地局にも端末にも全くお金がかからない、おまけに他社が時間をかけてエリア整備をしなければならないのに対し、既存基地局の設定書き換えだけでパワーアップが完了します。


同時期のソフトバンクはどうなっているかというと、

ソフトバンク
・第2世代の停波巻き取りがようやく終わって息切れ
・2GHz帯は第2世代の巻き取りによる流入で大混雑
・新しい1.5GHz帯は基地局整備からやり直し(ゼロから)
・というか、ソフトバンクの携帯端末が1.5GHz帯に対応できていない

ソフトバンクは2010年4月の時点で、2GHz帯の帯域しか実質的に活用されていない状態になります。第2世代巻き取りで第2世代→第3世代への流入で苦しんでいるはずです。

ここへきてソフトバンクは基地局整備が遅れています。設備投資を怠ったツケは時間遅れでやってきますが、このころにはそれも火を噴き始めているはずです。そして、イーモバイルの方が新しい基地局網なので基地局自体はきちんと作られている傾向があります(エリアの穴が多いとかエリアが狭いとかはさておいて)。

ということは何かというと、

「2010年4月に、イーモバイルの一部インフラ力がソフトバンクのインフラ力を凌駕する」

ということが起こる可能性があります。2010年4月というと、あと一年とちょっとに過ぎません。

・ソフトバンクは世代移行でインフラ力を使い果たして死にかけ状態
・1.5GHz帯はまだ使えず、今後使えるようにする資金もやばい、端末もまだ対応してない
こういう状況で
・イーモバイルにインフラ力で抜かれて攻勢を受けることに

しかもイーモバイルはソフトバンクの最大の敵に育ってゆく可能性のあるところ。ソフトバンクから「純増一位」を奪い取る可能性が高いのも、ホワイトプランの敵もイーモバイル。

また、

・現時点での契約者数と割り当て帯域幅で冷静に比較すると、イーモバイルは追加割り当てにふさわしくない

にもかかわらず、イーモバイルに大勝利がやってくることになります。

総務省の案が出てきたということは、ここまでの相談にてこの方針で話が進んでいるということ。イーモバイルは非常にうまくやっていることになります。三社の「LTE用帯域が欲しい」の駆け引きに見事に便乗した、と言えるかもしれません。

一方でソフトバンクとして「都合」がいいのは、こういう感じでしょうか?

・1.5GHz帯(10MHz×2) ドコモ(ないしはAU)
・1.5GHz帯(10MHz×2) ソフトバンク
・1.5GHz帯(5MHz×2→15MHz×2) AU(ないしはドコモ)
・1.7GHz帯(10MHz×2) 割り当て中止


◆みんなが忘れている「2GHzのTDD帯域」

2005年に割り当てられたあと返上の憂き目となり、そしてその後に2.5GHz帯での騒動で急に注目されたあとにまた忘れられている「2GHzのTDD帯域」についても同時に割り当てが議論されています。

アイピーモバイルの破産によって空いている2GHz帯については、新たに5つの通信方式が認められ、モバイルWiMAX、IEEE802.20、625k-MC、次世代PHS、UMB-TDD、LTE-TDD、TD-CDMA/TD-SCDMAの7方式が対象となる。1.5GHz/1.7GHz帯と同様、認定から5年以内にカバー率50%以上が求められる。

方式としては、これまでに話に出たものがすべて候補となっています。

ただ、今のところ立候補をするところがあるかどうか怪しい状態のようです。また、この帯域は新規参入を果たすことが出来る最後のチャンスだと思われます。


◆20MHz幅での割り当てでなくて良いのか?

LTEが真価を発揮するには、20MHz×2単位での割り当てが本来望ましいところです。細切れに割り当ててしまったために800MHz帯は後になってから再編で苦労していますが、同じく細かい割り当てをしてしまうと1.5GHz帯が将来無価値な帯域になってしまう可能性があります。

ですが細切れにして、落選なしにしてしまいました。どこからも怒られたくないだけだ、とも言えます。おそらくアナログ地上波停波後の割り当てでも、また細切れにすることでしょう。そして、1.5GHz帯も700/900MHz帯も両方とも半端な性能しか出ない状態になってしまうかもしれません。

例えば、

・20MHz×2に1陣営
・10MHz×2→20MHz×2に1陣営

とか

・1.5GHz帯を全て1陣営

とか、そういう感じのほうが長期的には良いのではないか、とも思うのですが。たしかに、全社に割り当てるメリットも感じますけれども。

|

« 572 「GSMなW-SIM」は何をもたらすか? | トップページ | 570 モバイルWiMAX、月額料金は4000円台前半? »

コメント

たしかドコモは東名阪バンドで1.7GHz帯を使っていましたよね?
ドコモが1.7GHz帯を希望して

・1.5GHz帯(10MHz×2) AU
・1.5GHz帯(10MHz×2) ソフトバンク
・1.5GHz帯(5MHz×2→15MHz×2) イーモバイル
・1.7GHz帯(10MHz×2) ドコモ

となるシナリオは考えられないのでしょうか?
ドコモは端末開発コストが抑えらますよね

また、イーモバイルは条件を満たしていないとして当初帯域の狭い所においやり一人勝ちシナリオを潰せますし
AU、ソフトバンクは700/900MHz帯で新規獲得の主張がしやすくなると

投稿: | 2009/01/26 08:29

◆みんなが忘れている「2GHzのTDD帯域」

既存キャリアとのローミングやMVNOを行えれば新規参入もハードル低くできませんかね?

次世代PHSで始めつつ、ドコモ3GをMVNOする・・・てまるっきりウィルコムCORE

投稿: TT | 2009/01/29 00:12

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/41683/43851496

この記事へのトラックバック一覧です: 571 1.5GHz帯(次世代携帯向け)の割り当て方針が出る(イーモバイル大勝利):

« 572 「GSMなW-SIM」は何をもたらすか? | トップページ | 570 モバイルWiMAX、月額料金は4000円台前半? »