iPhoneの「TV&バッテリー」はどうなんだろう、と
更新が追いついていませんが、先週には各社からいろんな発表がありました。その中の話題の一つについてまず更新。
◆らしくない
まずニュースを引用、
ソフトバンク、iPhone 3G用充電・ワンセグチューナーを12月中旬以降に提供
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/10/31/080/
iPhone用に、ワイヤレスワンセグチューナーと外部バッテリーが中途半端に合体したようなものが出るようです。
「TV&バッテリー」というのは、こういう感じのものです
・iPhoneよりも少し小さくて分厚いくらいの感じの装置
・USB経由でiPhoneを一回分充電する能力がある
・ワンセグチューナーを積んでいて、伸ばせるアンテナもついている
・ワンセグを見るときには、無線LAN経由でワイヤレスで
・ワンセグはiPhone上で専用再生ソフトウェアで見られる
まず、外部バッテリとしての説明からしてみましょう。
孫社長が今回自ら認めてしまったように、iPhoneはバッテリの持ちが悪いという問題があります。ただしスマートフォン一般に見られる傾向ですが。
iPhone用のポータブルな外部からの充電装置は既に複数発売されています。そもそも外部からの充電装置自体が以前から「良くある周辺機器」ですから。
しかし今回少し違うのは、
・ソフトバンク自らが売り出す装置である
・なぜかワイアレスなワンセグチューナー機能と一体化した装置である。
この外部装置は外部バッテリであるだけでなく、ワンセグチューナーを内蔵していてiPhoneに無線LANで飛ばしてiPhone上でワンセグを見ることが出来るようになるようです。ただし、iPhone上での再生ソフトウェアは専用品で他の機器で見たり出来ないようです。
どうも「アップルらしくない」製品です。確かにアップルからの発売ではないのですが。
アップルは機能を削りすぎた感じがするくらいのものを出す事が多いのに、これは変な折衷感がします。そして、ワンセグを見たい、あるいはこういうものを使ってまでiPhoneでワンセグを見たいという要望自体が「なんか違う」感じがします。
◆どんどん気になる問題点
まず、バッテリの充電なんですが、一回分の充電能力しか無いようです。また、こういう装置の電池も弱ってゆきますから、より正確には「買った当初ならば、一回分の充電能力」という感じかもしれません。どうにも頼りない。
またワンセグですが、ポケットやカバンにこの装置を入れておいて、無線LAN経由でiPhoneにワンセグ視聴が出来るようにするようですが、そういう使い方だと「ワンセグのアンテナを伸ばす事」が出来ません。
また、ワンセグチューナー自身も電池を使いますし、無線LANで飛ばして受けること自体にも電池を使います。実際この装置は
ワンセグの連続視聴時間は、約3時間(フル充電時)
とあります。
また、「iPhoneの電池持ちを良くする」一番良い方法は「iPhoneを無闇に起動しない」ことです。そして、無線LANの連続利用も電池を使ってしまいます。
よって、ワンセグ視聴をするとこういう事になります、
・ワンセグを見るためにiPhone自体を起動するので電池が減る
・飛んできたデータから動画を表示する処理をするためにiPhoneの電池が減る
・無線LANが動きっぱなしになるのでiPhoneの電池が減る
・「TV&バッテリー」自体もワンセグの受信処理と無線LANにして飛ばす処理で電池が減る
・よって、iPhoneの電池が無くなった時に「TV&バッテリー」から充電してもらおうと思った時点で「TV&バッテリー」のバッテリが減ってしまっている
何のための外部電池だか解らなくなってきました。
よって、こうした方がよりすっきりすると思うわけです。
・iPhone
・普通に外部バッテリ
・別途ワンセグ視聴機
ないしは、
・iPhone
・普通に外部バッテリ
・ワンセグは見ません
普通の携帯電話ユーザですらワンセグなんていらねえ(ほとんど使わない)という意見もあるわけでして、iPhoneを使うような人が別途装置を持ってまで見たいと思わないと思うのですよ。
あるいは、実際問題としては、
・iPhone
・普通に外部バッテリ
・ワンセグ搭載の携帯電話と二台持ちしてるし
全てが台無しの感じですが、でも実際こういう感じが多そうです。
どうも真のiPhone愛好家のための装置であるとは思えなくなってきました。
もしかすると、
・ワンセグを視聴させて、パケットの消費を減らしたい(混雑対策)
のかもしれません。
あるいは、
・店頭で一緒に売りつけて売上を増やしたい作戦
なのかもしれませんし、
・単に孫社長の悪アイディア
ということかもしれません。
また、ここで書いているような意見を持っているような人は最初からターゲットではない製品で、
・店頭で「でもワンセグとかないんですよね・・」とか言う客を納得させて売りつけるため
に使うものかもしれません。
前から言っているとおり、どうもソフトバンクのiPhoneの売り方は「本来iPhoneを買うべきではない人」に一生懸命売っている気がしてなりません。本当にiPhoneを愛してくれる人の手に届く変わりに。
この装置、この悪い傾向をさらに加速させる気もします。
#少なくとも玄人が感心するような装置では決して無いと思う
◆絵文字と無料無線LAN
他、近いうちにアップル側での対応で「携帯絵文字対応」をするようです。孫社長曰く、我々の説得が実ったのだ、とのことですが、ソフトバンクの発表というのは「孫社長劇場」でもあります。
引用したニュースにはありませんが、孫社長はiPhoneの売れ行きについて、当初の予定の通りに順調に売れております、とか仰ったそうですが、それはさすがに違うだろうと皆さん思ったのではないかと。
毎回の「孫社長劇場」らしい感じです。(嫌味じゃなくて)本当にこういうのが上手い人だと、感心します。
で、絵文字の件について考えてみてどうも気になるのは、もしかするとこれは「ドコモからの要望にアップルが応えたもの」であるかもしれないということです(ドコモが絵文字無しを許すわけが無い)。つまりもしかすると、一部の人が熱望している「ドコモから発売」の足音かもしれないよ、と。
また、
会場でソフトバンクモバイルの代表取締役社長兼CEOの孫正義氏は、iPhoneへの要望として、「バッテリーの持ちが悪い」「ワンセグが見られない」「メールで絵文字が使えない」という3点が挙げられていると説明。
コピペの不満はどこへ言った、とか言いたくなりますね。
実際は「発表の都合」でしょうから、引き続き他の「より重要な」要望への対処も続けてくださるのではないかと思います。孫社長がiPhoneを(どの程度かはともかく)個人的に使っているようなので、不満点などはちゃんと解っているはずですから。
絵文字以外には、
また11月4日からiPhone用に、公衆無線LAN「BBモバイルポイント」を無料で使えるようにする。BBモバイルポイントは現在、マクドナルド、JR駅構内、空港内ラウンジ、Yahoo!カフェなど全国約3,500カ所で展開している。同サービスは、申し込み不要で、BBモバイルポイントのエリア内でアカウントを設定するだけで利用できるようになる。12月1日から2回目以降の接続でIDアカウント、パスワードの入力なしにサービスが利用できる自動接続に対応する。
ユーザは便利になるし、ソフトバンクからすると基地局への負荷が減るので、一石二鳥な感じがします。
マクドナルドに長居するiPhoneユーザが見られるようになったりするのかもしれません、変な光景かもですが。
| 固定リンク
« 588 「インテルがiPhoneを酷評」騒動の正体は「モバイルCPU戦争」でiPhoneはあまり関係ない件 | トップページ | 587 1.5GHz帯再割り当て議論開始:日本のLTEは2010年春に1.5GHzから、かも »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
AT&Tも無料Wi-Fi
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081031/160583/?ST=mobile
スマホ数あれど、なぜにiPhoneだけ?
投稿: TT | 2008/11/03 22:14
絵文字のところで、「ドコモからの要望をアップルが応えたのでは?」とのことですが、これはあり得ません。ドコモがもし絵文字で関与しているのであれば、絵文字の内容がソフトバンクの新絵文字をベースに開発されること自体おかしくはないでしょうか?
残念ながら、ドコモは既にアンドロイドをターゲットにしているため、公の場ではiPhoneをあきらめていないと言っているものの、アンドロイドに目がいっています。これはハードウェアは自由に作れるということで、ドコモが主導権を握って発売することが出来るからです。まぁ、実績からすると台湾のhtc社が開発を担当するのでしょうね。
投稿: ゆきち | 2008/11/04 23:51