« iPhoneの「TV&バッテリー」はどうなんだろう、と | トップページ | 586 森久美子さんが、iPhoneにマジギレ »

587 1.5GHz帯再割り当て議論開始:日本のLTEは2010年春に1.5GHzから、かも

1.5GHz帯を次世代に再割り当てする話が動き始めたようです。

◆三社なんですか?

まずはニュースを

3.9G携帯の技術的条件ほぼ固まる,1.5GHz帯割り当てを拡大する意向も
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081027/317908/

1.5GHz帯は第二世代携帯用に割り当てられていた帯域で、
・2009年度末停波予定:J-Phone→Vodafone→SBM
・停波済み:ドコモが第二世代用に補助的に利用
・停波済み:ツーカー
・その他携帯以外にも使われている
というような使われ方をしてきた帯域です。

現在はソフトバンクの第二世代が停波待ちの状態で、この停波が実は結構大変かもしれないということを以前記事にしています

難題:ソフトバンクは2009年度末までに第二世代を停波する義務がある件
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/695_2009_00d2.html

今回の記事は、ソフトバンクが第二世代を停波した後に、この帯域をどうするかという話が進んでいますよという記事です。

結論から言うと、
・第三世代の更なる発展系の技術
・3.9世代(実質的に第4世代)の技術
への再割り当てがなされるようです。具体的には「HSPA+」と「LTE」が現実的な候補になります。

一応、総務省的な技術の候補としては(出来るだけ「公平」にやらないといけない)

・LTE
・UMB
・HSPA Evolution(HSPA+)
・DC-HSDPA

以上が候補になるようです。

FDDモードのモバイルWiMAXについては、「標準プロファイルが現段階では存在しない」ということで却下されてしまうようです。まあそもそも、候補にしたところで誰も採用しようとはしないでしょうけど。

ちなみに補足すると
・LTE(W-CDMA陣営の次世代。事実上の次期世界標準)
・UMB(クアルコム自慢の次世代技術も、採用するところが無い)
・HSPA Evolution(既存の第三世代の延命技術)
・DC-HSDPA(既存の第三世代の延命技術)

下の二つについては、HSPA+と呼ばれているような感じのものをわざわざ二つに分けただけ、くらいに思っておいて良いでしょう。

KDDIがUMBで手を挙げる可能性はゼロではありませんが、KDDIも次世代にはLTEを採用することをほのめかしています。

次の問題は、どの程度の帯域幅が用意される事になるかということと、何社に割り当てるかです。

ちなみに、第二世代での利用の状況は非常に大まかに言って
・全国帯域:20MHzくらい
・東京・名古屋・大阪あたり限定での帯域:20MHzくらい

総務省はかねてから,上下それぞれで25MHz幅が空く予定の1.5GHz帯を,3.9Gシステム向け追加割り当て帯域として活用する意向を示してきた。

というわけで、全国帯域の部分についての話がまず進んでいるということのようです。

携帯電話以外に使われているローテクな利用についても一緒に整理(成敗)を行って帯域を綺麗にして、全国帯域を広げるようです。

今回の報告書案ではさらに一歩踏み込み,1.5GHz帯デジタルMCAの帯域も「3.9Gシステムを導入可能にすることが望ましい」と記した。

現在、携帯電話以外の用途も含めて取り合いをやっている700/900MHz帯ですが、ここでもつまらない用途の成敗が望まれます。

1.5GHz帯で成敗をした結果、どの程度の全国帯域が確保できるかというと、

ガードバンドを含めて合計で上下それぞれ48MHz~49MHz幅を3.9G向けに転用する見込みとなった。これによって3.9Gシステム向けに1.5GHz帯の周波数追加割り当てを,3社で分配するプランも現実味を帯びてきた。

今のところは「三社」への割り当てが計画されているようです。ということは、

(5MHz幅×3)×3社

という計画なのかもしれません。もしそうだとすると、LTEのフル性能は出せません。5MHz幅×3を一つに束ねても20MHz幅のLTEは入らないからです。

もし、「20MHz幅のLTE」の割り当てを行うのならば、三社均等に割り当てないようにする必要があります。

いずれにしても、成敗が前提になっている帯域についてはすぐに利用可能にはなりませんから、割り当て時期でズレが出ることになるはずです。よって、どちらにしても「均等」に割り当てることにはならないかもしれません。

また、1.5GHz帯は日本独自の帯域で、世界標準な感じではありません。よってどんな方式でどんな割り当てをするにせよ、世界標準とは違う感じの基地局や端末が必要になります。


◆どのように手が上がるか、など

各社がどのような方式で手を上げるかについては、

・DoCoMo:LTE
・KDDI:LTEのはず
・SBM:おそらくHSPA Evolution/DC-HSDPA
・EM:どちらの可能性もある(ただそもそも「三社」に入れないかも)が、早期ならHSPA Evolutionかもしれない

という感じではないかと思います。

また、記事になっているのは総務省の現時点での案で、実際にどうするかについては意見を募集してまたもめる事になります。2.5GHz帯の取り合いのときのようなことが、これからまた起こるかもしれないということです。

総務省では今回の報告書案を,10月31日から1カ月間にわたって意見募集にかける。その後,取りまとめに入り,12月に答申を得る計画。総務省は並行して,3.9Gシステムの免許方針案の策定にも取り掛かる。策定に当たっては,参入を希望する事業者の意見を聴取する場として,公開ヒアリングを11月7日に開催する。ここで事業者から計画するシステムやサービス内容,割り当て希望する周波数幅,事業者の選定要件,競合が生じた場合の選定基準などをヒアリングし,免許方針案の参考とする。

四社全てが、帯域の割り方から選定方法からそもそも何社に割り当てるべきかについて、全て違う意見を持っているのではないかと思います。

例えば、多社に割り当てると揉め事は起きなくなりますが、いろんな無駄も増えます。一社に全部割り当てると揉めますが、無駄は減ります。

SBMは現在1.5GHz帯を利用していることから、既得権を主張するかもしれません。1.5GHz帯を前提に整備している設備が無駄になるとか何とかで。

LTE陣営からは20MHz幅で割り当てないと真価を出せないという意見もあるでしょうし、細切れに配分すると長期的な有効活用ができないという意見も出るはずです。

逆に、落選しそうな陣営にとっては割り当て幅を小さくすれば自分ももらえる可能性が高くなります(極端な話、落選無しも可能)。

「成敗される側」(携帯電話ではないところ)も黙っていないはずです。

可能性は低いですが、新規参入が出てきた場合にも話がややこしくなります。

また、SBMが期日までに停波できない(ないしは「停波しない」)場合も考えられるので、そういう場合にどういうことになるのかも考えておく必要もあるかもしれません。

これからどうするかで相当揉めることになるかもしれません。

--

とりあえず、日本でのLTEの幕開けは、

・2010年4月
・1.5GHz帯

となるかもしれないというニュースです。

|

« iPhoneの「TV&バッテリー」はどうなんだろう、と | トップページ | 586 森久美子さんが、iPhoneにマジギレ »

コメント

半端な帯域になるのなら、個人的にはTDDモードのLTEが見てみたいですねー

投稿: sy | 2008/11/02 23:48

http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/42689.html

iPhoneが怪物的パケット呑みマシンであることは確かなようですね。
パケ定値下げははやまった事だったか。

iPhoneでたいへんだから帯域くれときたもんだ

投稿: TT | 2008/11/09 15:03

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 587 1.5GHz帯再割り当て議論開始:日本のLTEは2010年春に1.5GHzから、かも:

« iPhoneの「TV&バッテリー」はどうなんだろう、と | トップページ | 586 森久美子さんが、iPhoneにマジギレ »