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585 次はソフトバンクとイーモバイルの純増一位争奪戦かも- 2008年10月の携帯純増数

しばらく更新に間があきましたが、2008年10月の携帯純増数について記事を書いてみたいと思います。


◆まず結果

まずは数値を。

DoCoMo 3万2700
KDDI 4万6700
SBM 11万8400
EM 10万2500
WILLCOM マイナス2万2700

今月も概ねこれまでの流れが継続した形となりましたが、イーモバイルが2位になったことと、ウィルコムが今までよりも多く純減した点が異なる点ではないかと思います。

ドコモは久しぶりにKDDIに抜かれてしまいました。KDDIが伸びたというよりもドコモが控えめの数字になったという感じです。

SBMは今月も一位をキープしました。しかし、もう少しのところまでイーモバイルに迫られました。

そしてウィルコムは多めの純減をしています。


◆純増数をあまり気にしすぎてはいけない

極めて「分かりやすい」数字であるために、純増数は必要以上に業績の良し悪しと結び付けられてしまう傾向があります。

しかし以前記事に書いたとおり、純増数というのはちょっと難しい数字です。同じ内容を二回書く代わりに以前の記事へのリンクを張ります。

7月の携帯純増数は先月と同じ流れ / 純増数には一喜一憂するものでもない側面も
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/08/611_7_8565.html

加入者数が多いゆえに解約に弱いはずのドコモがまだ純増を保っているのは、ドコモがかなり頑張っているか「人間以外の契約」へ力をいれて純減しないようにしているからだと思われます。

KDDIについても、公約だった3000万契約を達成したあとは低空飛行が続いています。

両社ともに世間的なイメージの悪い純減は回避しつつ、それ以上の無理はしないようにしているのではないかと思われます。

一方でソフトバンクは今月も一位を維持しました。ソフトバンクも本音では一息つきたいのかもしれませんが、好調であるというイメージ自体がソフトバンクの好調の基礎になっているという事情のためか、まだ頑張った数字になっています。さすがにそろそろこの水準の維持は難しくなってきているのではないかと思うのですが。

イーモバイルはもう少しで一位の二位になりました。ここで一位になっていれば世間的には大ニュースになっていたはずで、イーモバイルとしては実に惜しい事をしてしまったかもしれません。

イーモバイルですが、「絶対契約者数が少ないために純減の効果がかなり少ない」ため、純増数では他社よりも圧倒的に有利な状態にあります(上記の以前の記事を参照のこと)。ですので、イーモバイルが純増一位を取るのは(他社に比べて)それほど難しい事ではありません。

よって、例えばドコモが少し純減をしていてイーモバイルが一位独走だったとしても、本当の好調さではドコモの方が上、ということもありえる状況です。

ソフトバンクは息切れしてきているように思えますし、もうしばらくすると「イーモバイルが一位」のニュースが続くこともあるかもしれません。

逆にいえば、ソフトバンクが一位死守をするためには、「イーモバイル対策」をせねばならないのではないかと思います。


◆イーモバイルがもう少しで一位

イーモバイルが今月好調なのは、Touch Diamondの好調によるものと、100円ノートパソコン作戦によるものだと報じられています。

iPhone発売前夜の変な熱気の中、千本会長が「EMONSTER liteでiPhoneに対抗する」と言い放った時には、iPhoneに熱狂する方面からは失笑もあったようでした。しかし、「Touch Diamondの好調」という結果は、iPhoneを凌駕したわけではないにせよ(念のため)、一応「対抗できている」という結果になりました。

私も当時、イーモバイルもiPhoneを欲しがるより、iPhoneキラーを大々的に売り出すほうがイーモバイルらしいはずだ、と書きました。結局それで良かったようですね。

また、ソフトバンクが大金を使って開拓した市場をイーモバイルが横からちょっと頂いたことになっているかもしれません。iPhone 3Gの国内発売がもし無かったとして、Touch Diamondの好調はありえないからです。もし10月の純増数の好調が主にTouch Diamondによるものならば、千本会長は孫社長とジョブス師匠を肴に祝杯を上げているかもしれません。

一方で「100円ノートパソコン」については、携帯電話の契約というより、良く言われるようにノートパソコンのローンを携帯電話料金の形で払っているような、従来からすると変な純増でもあります。自動販売機の純増をカウントするのが変という感覚の人にとっては、これも変に違いありません。

「この方法」は今後他社に模倣される可能性もあります。他社の制限付き3.5世代PC定額や、これから出てくるモバイルWiMAXのUQコミュニケーションや、ウィルコムの次世代PHSにです。もしくは、この方法が横行すると「何か変」な感じもするのも確かなので、総務省方面から「やめましょう」という話がまた出てくるかもしれません。


◆次の一位争奪戦

イーモバイルは現契約者数が少ないため解約効果があまりありません。そして、新規契約数は予算をつっこめば(短期的には)比較的簡単に増えます。よって、ソフトバンクより純増数競争の点で有利な点があります。

今月はもう少しで届きませんでしたが、近いうちにイーモバイルが純増一位を取る日が来るかもしれません。契約者数の効果で有利だからです。

データ通信についてはこれから次世代戦争がはじまりますし、ソフトバンクがそろそろ息切れしてきていること(これまで「好調」すぎた)、またイーモバイルの基地局整備は少しずつ進んで音声通話での不便がなくなってゆく一方で(ただ、現状ではエリア狭すぎだと思いますが)、ソフトバンクの基地局整備は足踏みしています。

データ通信でまず伸びたイーモバイルは、次はソフトバンクを食べてゆく形になるのではないかという気もします、もっとも両社のこれからの作戦次第だとは思いますが。

Touch DiamondがiPhoneを(一部)食ったというのは、もしかしたらこれからの流れを象徴する出来事かもしれません。

しかしソフトバンクは一位を死守しようとするでしょう。今月の「イーモバイルに迫られる」というのはもしかすると予想外の事だったかもしれませんが、今月の結果を受けて今後はイーモバイル対策をしてくるかもしれません。

ソフトバンク・イーモバイルともに今後どうなるか解らない要素が多いので、実際にはどうなるやらわかりませんが、もしかするとこれからは

ソフトバンクとイーモバイルの純増数一位争奪戦

という新しい戦いが始まるかもしれません。そしてそういう戦いがはじまったとして、有利なのはおそらくイーモバイルに思えます。


◆ウィルコムは結構減りました

最後にウィルコム。

ウィルコムは結構減ってしまっています。なんでも発表によると純減の原因はデータ通信系の大きな純減によるもので、音声は好調なんだそうです。

「音声の純増で来月はトータルで純増に戻す」とのことですが、本当なんでしょうかねえ。

また、ウィルコムは携帯三社と比べて契約者数があまり多くありません(解約の効果が弱い)。よって、純減しているというのは重ねてよろしくない現象です。

ただ、Honey BEEが相変わらずとても売れているのは事実のようなので、「音声については好調」というのは本当なのではないかと思います。

データ通信についても、どうも売り方が下手糞な気がするので(良い点がアピールできていない)、何かが改まればこちらも改善するかもしれません。

ただ、次世代PHSが始まって「安定するまでは」なかなか難しい状況が続くのではないかと思います。

今後どうなるかは、
・次世代PHSのポテンシャルの良し悪し
・音声定額での再反撃がどこまで進むか
ではないかと思います。

まあそれにしても、ウィルコムに音声定額がもし無かったら(その後の他社の定額攻撃を招いた事を差し引いても)、今ごろとても大変なことになっていたでしょうね。

まさか2008年になってみると、「京ぽんの直系子孫」が「音声定額」でウィルコムを支える事になるとは、京ぽんブームの時には誰も思わなかったに違いないです。

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コメント

日本でMVNOについてのノキアの目論見、狙いってのはなんなんでしょうねぇ。

キャリアからの縛りに関係なく価格設定できるのかな?
i-modeが嫌い?
の割にはアップルのようにコンテンツで儲ける仕組みを持ってないし・・・

投稿: TT | 2008/11/22 22:07

NOKIAがセレブに!!

NOKIAがガラパゴスを見捨てた!!

投稿: | 2008/11/27 19:35

Verizonの動きは通常の3倍の早さだ!

http://kiyonari.japazine.com/uncategorized/post-125.html

アメリカのWiMAXは初動で潰されるかも?

投稿: TT | 2008/12/19 20:58

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