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2008年10月の12件の記事

588 「インテルがiPhoneを酷評」騒動の正体は「モバイルCPU戦争」でiPhoneはあまり関係ない件

なんか一部で話題になっていた件について少し書いてみたいと思います。


◆「インテルがiPhoneを酷評」という(おそらく誤解の)ニュース

事の発端は、以下の記事のようです。記事タイトルだけで事態は了解できるかと思いますが。

インテルが「iPhone」を酷評、アップルとの蜜月は終焉へ
http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20382453,00.htm

書き出しが、

IntelとAppleとの蜜月は、どうやら苦い結末を迎えたようだ。

ということになっています。これは「記者がそう思った」という事ですが、この煽る感じの内容が今回の騒動を引き起こしてしまいました。

何故そう思ったのか、というと、

台北で開催された「Intel Developer Forum」(IDF)に関するZDNet Australiaのレポート記事によると、Intelの幹部は、同社のチップを採用していないことを理由に、「フルインターネット機能」を提供していないスマートフォンの典型例の1つに「iPhone」を加えることに決めたようだ。

というだけのことなのですが、この事実を元に

・インテルがiPhoneを攻撃した
・インテルとアップルは喧嘩状態になった

という記事になっています。

記者はこう考えたのでしょう。

・「IntelとAppleとの蜜月」というのは、アップルがインテルなマックを発売するという事件があったので、インテルはアップルの味方になった。
・ところが今回インテルがiPhoneに無茶な文句をつけたように思えたので、インテルはアップルの敵になった。

以下、周辺の状況を書いてゆきたいと思いますが、インテルは「iPhoneそのもの自体」に文句をつけたいと思ってはいないはずです(少なくともそういう効果を狙った発言ではないはず)。

インテルとしては意図と違うリアクションが発生してしまったので、困ったのではないかと思います。

実際、そういう記事を書こうかなと思っているうちに、インテルから「皆さん誤解ですよ」「お詫びいたします」という訂正が入りまして、

インテル、「iPhone」を酷評した幹部の発言を「訂正」
http://www.yomiuri.co.jp/net/cnet/20081024nt10.htm

・iPhoneそのものやユーザに文句をつけるつもりは無かった
・本音の部分(後述)でもちょっと言い過ぎた(確かにARMに劣っている面がございます)

という訂正がなされました。どちらにせよ、インテルにとって今回の件は失敗でした。インテルが劣っている面まで認めなきゃならなくなりましたから。

とりあえず、事の本質は(具体的な製品としての)iPhoneがどうのこうの「ではない」と思います。


◆モバイルCPU戦争

インテルが台湾で攻撃したかったのは、「ARM」というモバイル用途で圧倒的な世界シェアを持ちつづけるCPUのはずです。インテルは別に特定の製品(含むiPhone)について好き嫌いを言いたいわけではなかったはずです。

「ARM」なCPUが積まれている携帯電話などのモバイル機器がどれくらいあるかというと、「そういう機器の大半」だと思ってよいのではないかと思います。ちなみにW-Zero3系に積まれている「XScale」というCPUもARM系です。要するに世界中ARM系だらけということです。

そしてインテルは現在、モバイル系CPUの市場を攻略しようとしていて、パソコン用のCPUを超低消費電力にしたようなCPUを作って、「モバイルなCPU市場もインテル王国の領土に!」ということをやろうとしています。

その一番槍こそが、WILLCOM D4が採用した「Atom」で、そしてそれに続く事になっている「Moorestown」です。

インテルとしてはARM系を蹴散らして「Atom」ないしは「Moorestown」を携帯電話っぽい用途にどんどん使ってもらいたいのですが、今のところあんまり上手く行っていないようです。

インテルはこれが気にいらないのです。

そして今回問題になっているiPhoneについても、ARM系のCPUが採用されています。

で、事あるごとに「ARMはダメだ、インテルの方が素晴らしい」ということをプレゼンなさります。今回の事件はインテルのARM潰しキャンペーンで「手が滑った」、という感じではないかと思います。まあ実際、iPhoneがARMを採用しているという事実は気にいらないのでしょうけど。

引用部をもう一度持ってくると、

Intelの幹部は、同社のチップを採用していないことを理由に、「フルインターネット機能」を提供していないスマートフォンの典型例の1つに「iPhone」を加えることに決めたようだ。

インテルのCPUを積んでないと「フルインターネット機能」が利用できないぞ(ARMなんか積んじゃダメだ)、という主張をインテルが行っていて、積んでない機器の具体例にiPhoneの名前が書かれていた、という事から書かれたニュースだったようです。


◆「フルインターネット機能」

インテルの強みはパソコン用のCPUでの圧倒的な支配力です。で、インテルは今後、パソコン用のCPUをモバイル用の世界にも受け入れさせようと企んでいます。

ただ、「ARM」は超低消費電力で性能を出さなければならない分野で伊達にナンバーワンをやっているわけではありません。今のところインテルは「旧来どおりの携帯電話的な尺度」でARMを性能で蹴散らすことは出来ていない模様です。

ただ、インテルにも強みがあります。パソコン用のCPUと同一系統のCPUだということは、もしこれを携帯電話に積めば、インテルが支配する「パソコン世界」にある多くの資産を携帯電話世界に持ってこれる可能性がある、という点です。

インテルが「フルインターネット機能」と言っているのは、例えばパソコンでのインターネット体験を支えているソフトウェア群をそのまま携帯電話上に引越しさせられますよ、というようなことでしょう。ARMだと苦労しますよと。

極端な話、ARM用のWindowsVistaやWindowsXPはありませんから、WILLCOM D4のようなマシンをARMベースで作ることは出来ません。

インテルは、携帯電話のフルブラウザがPC用のものと同一の性能を持っていない、例えばFlashのサポートが不完全なのは、インテル製のCPUを積んでいないからだという主張をしています。つまりヘボいARM系なんか積んでるからダメなんだぞ、と。

で、今回の問題の主であるiPhoneについても、Flashに対応していないと言う事実があります。ただこれについては、以前に書いたとおりパワー不足が原因ではないようなのですが。


◆「ARM側」は「インテルのARM批判」にぶち切れている

つまり今回の件は、インテル vs ARMというのが事の本質だろうと言う事になります。

で、インテルに「フルインターネット機能」が提供できないとか、パワー不足だとか言われて続けている「ARM」側ですが、インテルの批判はウソだらけだと怒っています。

ARM、IntelによるAtom優位の主張に強く反論
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0910/arm.htm

以下、具体的な反論内容の部分については省略した形になりますが、引用してみます。

Intelは最近、AtomプロセッサとARMプロセッサの性能比較を盛んに公表し、Atomプロセッサの優位性を積極的に訴えている。これまで、ARM側からは表だった反論は行なわれていなかったが、堪忍袋の緒が切れたと見えた。

(略)

続いてマーケティング&ビジネスデベロップメントのシニアマネージャーを務める平田一行氏が、Intelの主張するAtomの優位性を示したスライドや図版などに対し、問題点を指摘した。

(略)

以上のようにARMの反論は丹念かつ詳しいものだった。ARMとしてはこれまで、Intelのプロセッサとの性能比較はあまり行なったことがなく、今回の資料発表はIntelの宣伝攻勢に対する対抗的な措置としている。Intelからのリアクションが期待されるところだ。

詳細については元記事をご覧下さい。

まあつまり、Intelの言っている「Atomの方が優れている」という主張はインチキで、きちんと性能比較をするとARM系の方が優れている、という反論がなされたということです。

ARM側の主張がすっかり正しいと確認したわけではないですが、クアルコムがモバイルWiMAX陣営に反論した時と何か似ているような気もします。今回も「インテルは反論できず」になるのではないかと。


◆iPhoneがインテル系のCPUを仮に積んでいた場合

ただ先にも書いたように、性能はともかく「普通のパソコン」と同じCPUを積むと良い事もあります。

たとえば、iPhoneの特徴として、OSXそのものを小さくしたものが積まれているという特徴があります。だから「いわば小さいマック」と言われたりもします。

iPhoneは現在ARM系のCPUを積んでいますが、もしこれがAtomだった場合には
・iPhoneのOSは基本としてはMacと同じ
・CPUは全く同じ
となります。まさしく「ポケットに入るマック」という感じだったかもしれません。

というわけで、(そういう意見が主流なのかどうかは知りませんが)iPhoneがAtomだったら、とか、Moorestown(インテルの次期モバイル機器用CPU)のiPhoneが出て欲しい、と言っている人も居るようです。

とりあえず今回の件については、インテルはiPhoneそのもの自体に文句を言っているわけでは無いでしょう。積んでいるARMが気にいらないだけで。

ですからiPhoneユーザの方々は、将来に出るiPhoneの後継機について想像をしながら「インテルを積んだ方が面白い」「いやARM系のままで良い」とか議論する種になさればよいのではないかと思います。とりあえずiPhoneの将来には複数の選択肢があることは確かですから。

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589 インテルがモバイルWiMAXを見限ってLTE陣営に寝返ったかもしれない件

もしかするとですが、インテルがモバイルWiMAXを見捨てたかもしれません。

恐ろしい事が始まった可能性があります。


◆インテルがエリクソンとを組む

何とも要領を得ないニュース記事なのですが、まずは引用してみることにします。

インテル、まもなく「Core i7」プロセッサを提供開始--WiMAXを超える新技術にも注目
http://japan.zdnet.com/news/hardware/story/0,2000056184,20382281,00.htm

さて、まず記事タイトルに「WiMAXを超える新技術」とあります。この時点では何ことやらわかりませんが、記事の内容が驚くべきことになっています。

Intelが、Moorestownのプラットフォーム向け「High Speed Packet Access(HSPA)」データモジュールの開発を、Ericssonと協力して進めていると語った。

というわけで、「WiMAXを超える新技術」というのはHSPAのこと、つまり日本でいう「HSDPA」のことでした。しかも、「LTE陣営の欧州側のボス」である「エリクソン」との協力であると発表されています。いいですか、エリクソンはLTE陣営のボスの1人なのです。

まずは枝葉の部分から処理しましょう。そして先に書いておくと細かい話は後で書きます。

「HSDPA」を「WiMAXを超える新技術」と呼ぶとは随分思い切った勢いのWiMAX批判にも思えますが、その部分を引用して考えてみましょう。ちなみにこの記事のオリジナルは外国人が書いています。

WiMAXを超える他の通信技術に注目していることを明らかにした。
WiMAXもサポートされてはいるものの、すでに確立されている他のワイヤレステクノロジとの厳しい競争に直面しており、抱えている問題を乗り越える上でも、WiMAXは十分でないかもしれない。

可能性:
・WiMAXブームに乗せられている記者(バブルの担い手)はこの程度の理解力しかない。
・嫌味入りで書かれた記事
・インテルが発表した内容そのままを記事にした

インテルはこれを発表するにあたって、HSDPAに対応させる必要性があるのだ、と大人の事情で何らかの屁理屈を言ったに違いありません。それを真に受けてのそのまま書いてしまった記事にも思えます。

この発表の何とも切ないのは「台湾」での発表だったということです。

WiMAXを超えるものが存在する。Intelは、台北で開催された「Intel Developer Forum(IDF)」において、スマートフォンの次世代プラットフォーム「Moorestown」向けに、WiMAXを超える他の通信技術に注目していることを明らかにした。

台湾と言えば、国策でモバイルWiMAXに入れ込んでいます。

台湾の国策モバイルWiMAX計画「M-Taiwan」について
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/07/618_wimaxmtaiwa_11de.html

つまり台湾は挙国体制でインテルの計画に乗っているのですが、その台湾でこの発表がなされたことになります。なんとも切ない話ではありませんか。


◆これはどういう話か

まず、何を開発しているという発表だったかについて整理してみましょう。

Moorestownのプラットフォーム向け「High Speed Packet Access(HSPA)」データモジュールの開発を、Ericssonと協力して進めてると語った

まず、「Moorestown」について説明をしましょう。これは、インテルが「消費電力の厳しいモバイル機器向け」に開発中の次世代の「CPUなど一式」のことです。「WILLCOM D4」が用いている有名な「ATOM」がありますが、これの後継にあたります。

つまり、「ATOMの後継」が「HSDPA(HSPA)に対応する」と発表された、ということなのです。

そしてエリクソンとは、欧州陣営のボスです。GSMの重鎮で、W-CDMAの重鎮であり、そしてLTE開発での欧州のボスです。そしてエリクソンはずっとモバイルWiMAXについては厳しい評価をしています。

さらに続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営(2)
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/748_wimax2_dbb2.html

上記の以前書いた記事に色々書きましたが、エリクソンは相当に前からモバイルWiMAXを酷評しています。HSPAの方が総合的に優れているとか、せいぜいHSPAと同じ物を提供するにすぎないものだ、と言っています。

そしてLTEはモバイルWiMAXと次世代の主役の座の争いで正面から激突している相手です。

またさらに、インテルが「共同開発中」と言っているデバイスですが、これは実は、「エリクソンが対モバイルWiMAX兵器」として開発中のモジュールの事を差すと思われます。

以下の記事を参照ください、

エリクソン(LTE陣営)がHSDPAをThinkPadに載せて、モバイルWiMAXに喧嘩を売る
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/02/737_ltehsdpathi_a9d6.html

「明日のWiMAXより,今日のHSPAを」と紹介されている次第でして、完全にWiMAX殺しとして作られたデバイスです。

実際、共同開発とは言ってもインテルには無線の技術力はありませんから、新たに独自開発したとは思えません。エリクソンの「対モバイルWiMAX兵器」をインテルがそのまま採用したと考えるべきでしょう。


◆モバイルWiMAX陣営の「最大の優位性」が崩壊したかもしれない

一応インテルはモバイルWIMAXには対応させないと言っているわけでも、LTEを採用すると言っているわけではない、と思うかもしれませんが、HSPAの標準採用がなされるとすると予想以上の影響があります。

まず「LTEじゃないじゃないか」ですが、それは「当たり前」です。なぜならLTEはまだ開発中の技術だからです。LTEモジュールが標準採用されるという「最悪の結果」になっていないのは確かですが、LTE自体が開発中なのですから現時点では採用しようがありません。

また、モバイルWiMAXが公式に非サポートになったわけではない、というのも確かでしょうが、以下のようにモバイルWiMAX陣営の「最大の心の支え」が崩壊しています。

モバイルWiMAXが持てはやされていた理由をざっと並べてみると、
・超高速で安価なすごい未来技術である
・世界の流れはWiMAXである(ブームだからブームだ)
・インテルが次世代のPCに標準装備させるので自然に超巨大市場ができる

まず最初のものですが、あっという間に正体がバレました。もともと固定のWiMAXとモバイルWiMAXが混ぜこぜになって言われていたりしていた側面もありました。さらには、802.20を一味に潰されて怒ったクアルコムがとんでもない欠陥技術だと攻撃をはじめまして、そしてそれに対して「反論が出来ない」という情けないことになっていました。

クアルコムの怒り加減については以下の記事を参照ください

続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/749_wimax_f209.html

次に、去年末あたりに日本で吹き荒れた「WiMAXは世界の流れ」「日本は遅れる」ですけれど、去年末の時点ですでに秋風が吹いていました。

さらに続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営(3)
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/747_wimax3_436c.html

その後、モバイルWiMAX陣営には良いニュースはありません。北米の700MHz帯もあっさりとLTE陣営が占拠しましたし、欧州でのオークションの結果も微妙です。そして何より、日本でのモバイルWiMAX熱もあっという間に冷めました。

以上、最初の二つについては「最初からどうも怪しい話」だったわけですが、最後のものは「本物の強み」でした。

今でもなおモバイルWIMAXを支持する人はこう言います。劣った技術であろうとも及第点(ないしは忍耐の範囲内)のもので安価に提供されるなら、加えてインテルの全面サポートがあれば数の力で負けはしない、と。

ちゃんと技術間競争をせずに勝つという意味では、「インテルのPCへの絶対支配力」を使ったインチキでもありますが、数の論理というのもまた世の法則です。なお私もこの可能性は今なおあると思っています。

おそらくインテルの絶対支配力に由来する優位性こそ、モバイルWiMAX陣営の最後の拠り所だったはずです。

ですが、インテルがHSDPAモジュールを採用すると、この強みも消滅します。モバイルWiMAXには特に目立った強みは無い、ということになるかもしれないのです。

そして、エリクソンのHSDPAモジュールを採用するとなると、自然にHSPA+モジュールが後継として採用され・・そしてそのうちLTEのモジュールが採用される流れも自然に予想されます。まさにモバイルWiMAX陣営にとって最悪の流れです。


◆UQコミュニケーション(KDDIのモバイルWiMAX)の端末調達まで影響を受ける

第三世代戦争の序盤戦ではクアルコムの技術力で歴史的な快進撃を続けてきたAUでした、3.5世代化完了まで進撃速度はあまりに圧倒的で、今になってもなお「当時のリードの貯金」が残っているほどです。実際、3.5世代化を完了し、上りの高速化まで着手中のキャリアは今のところAUだけです。

ですが、その後の次世代計画では厳しい状況です。頼みのクアルコムの次世代技術のUMBは普及しない流れで、AUもLTEを採用せざるを得ないと思われます。そしてもう一つかけていたはずの保険、モバイルWiMAXもこの状況に追い込まれました。

モバイルWiMAXでの帯域獲得戦では、以前から次世代技術として入れ込んできたという自負(昨日今日出てきた他陣営が何を言うか)と、実際に試した結果としてのモバイルWiMAXへの落胆が混ざっているような状況に思えました。

モバイルWiMAXでは、総務省と約束したエリア整備は行うものの、自前での端末調達は特にやらない方針のようです。これは、本気を出さないということの証拠に思えますし、自分で何もしなくてもインテルのパワーで対応するデバイスはたくさん出るでしょ?ということでもあったと思います。

無理をせずに、モバイルWiMAXが自然に持つであろう優位さに乗っかって楽をしようというわけでした。モバイルWiMAXで日本の携帯電話相手に大勝負をしようという気迫は感じられませんが、まあ、合理的な作戦です。

ですがこの流れだと、「モバイルWiMAX対応デバイスがたくさん出る」代わりに「HSDPA対応デバイスがたくさん出る」流れかもしれないということです。楽できるのは自分ではなくて、むしろ「敵陣営」かもしれないということです。

また、LTEならば自分達が先行している(その間に走って逃げろ)と思えたはずですが、HSPAとなると自分達の方が追う立場です。むしろ、LTEとHSPAで挟み撃ちです。

いろんな話がおかしくなってゆきます。

またインテルですが、そもそも「こういうことをするところ」でもあります(メモリの事件とか)。インテルにとって大事なのは「CPU方面における圧倒的な支配力」であって、それ以外は基本的に枝葉なのです。自分の力を削る事になってまでモバイルWiMAXを守ろうとは思わず、戦線自体を切り捨ててしまい、LTE陣営に乗り換えてしまっても別にそれで困らないわけです。

インテルは半導体屋で、通信技術で勝負をしているわけでもなければ、ましてや携帯キャリアでもないからです。実際このまま行くと、親分であるはずのインテルが最初に逃げ出すこともあるのではないかと思っていました。

とりあえず今回の発表、その他モバイルWiMAX陣営にとっては困ったニュースだったのではないかと思われます。

また、どの程度依存しているのかわかりませんが、次世代PHSはモバイルWiMAXにも使われるデバイスとの量産効果に便乗する予定だったはずで、こちらも影響をうけるかもしれません。すでにこの状況を見越していて、LTEの量産効果に便乗すべく作戦を切り替えていれば問題ないはずですが。

また、LTE一色の世界なんて多分とても退屈なんですけど、そういう方向なんでしょうか。

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590 HSUPAのプラットフォームを開発するそうだ / ネフロとドコモ / 中国の「三年で1億」

いろんなニュースへのリアクションを混ぜて記事にします。

読みにくかったらすみません、以後はバラバラに投稿する方法などを検討したいと思います。

また、細かい話題をまとめて投稿した感じの記事なので、「面白い」記事についてはもうちょっとお待ちください。執筆時間が十分に取れずに困っているだけですので。


◆HSUPA用のプラットフォームが作られます

しばらく前の記事で

ドコモが2009年中にHSUPAを開始
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/10/596-2009hsupa-4.html

ドコモが上がり回線の高速化をするHSUPAを2009年中にサービスインすると発表したという記事を書きましたが、これに関連した新しいニュースです。

ドコモはHSUPAのサービスインにあたって、HSUPA対応電話機の開発をするためのプラットフォームを準備する事になりました。

ドコモら、上り5.7MbpsのHSUPAやHD対応携帯電話プラットフォームを開発へ
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/10/16/033/

NTTドコモら4社は16日、携帯電話向けのワンチップLSI「SH-Mobile G4」と、それを搭載した携帯電話プラットフォームについて、来年第1四半期(1~3月)をめどに共同で開発すると発表した。同LSIにより、アップロード速度の大幅向上と携帯電話端末のHD対応が実現する。

共同開発に参加するのはドコモに加えルネサス テクノロジと富士通、シャープの4社。ドコモとルネサスはこれまでも共同で、ベースバンドLSIとアプリケーションプロセッサをワンチップ化した「SH-Mobile G series」を2004年から開発しており、今回はその第4弾の製品となる。

というわけで、ハードウェアからソフトウェアまでのセットで、端末メーカのための下準備をするということです。

念のために説明すると、「ルネサス」というのは日立と三菱の半導体部門が合体して出来た会社です。なんだか良くわかんない企業名に見えた人は覚えておきましょう。

日本の半導体業界のうちCPUとかを作る感じの方向の反撃の砦みたいなところです。かの有名な「SH-Mobile」を作っているところでして、セガサターンやドリキャスのCPUもここの製品(正しくは合体前の日立ですが)です。

ドコモとルネサスでは、単にLSIを開発するだけでなく、OSやミドルウェア、ドライバなどの基本ソフトウェア群、リファレンスチップセットを一体化した「携帯電話プラットフォーム」までを開発しており、そこには富士通やシャープといった端末メーカーも参画していた。

こうした開発手法によって、端末の基本機能を独自開発する必要がなく、開発機関の短縮や開発コスト低減が可能になる。その上で端末メーカーは、ブラウザやメールなどといったアプリケーションや端末デザインなどで差別化に注力できるメリットがある。

なお、今回開発されるプラットフォームは、世界の携帯電話市場に対して、ルネサスから提供される予定だという。

で、携帯電話向けの(出来るだけ)全部入り半導体をルネサスが作り、それを使うための基本ソフトウェアも用意するということです。で、これらがあればHSUPA対応の電話機は難しい事を気にせずに比較的簡単に作れるはずだよ、というわけです。

世界向けも考えているようですが、まあ健闘すると良いですね。


◆実はAUは開発済み

以下は念のため。

このニュースに対するリアクションで、気になるリアクションがあるようなのでそれについて補足をしておきましょう。

現在世間は単なるイメージで、携帯電話会社で「勢いがあるところ」と「無いところ」が何か区分されています。で、現在AUはとにかく批判しておけばそれで正しいみたいな変な感じになっています。まるでJ-Phone時代の後半のような状況です。

ので、これでAUはまた引き離された、という理解があるようですが、実はそうではありません。AUにはこれにおおよそ相当するものがすでに準備されているからです。

すでに書いたように、AUは上りの高速化をかなり前からサービスインしています(Rev.A)。そして、サービスインに際して、現在ドコモが開発しようとしてるものと同じものを用意しています。

ハードウェアの部分はクアルコムが提供するものを基本にして、ソフトウェアも用意されている、というようなものです。

これは別に大したことではなくて、ただ単に先に上がり高速化をサービスインしていて、それの「付属品」(その程度のことだ、ということでもあり)も先にきちんとそろえてあっただけという事なのですが、意外に思う人は意外に思うようでしてわざわざ記事に書き込んでみました。


◆携帯ウェブブラウザでおなじみのACCESSの集会に、ドコモの社長が普通に登場

ACCESSというのは、MicrosoftOfficeのアレではなくて、携帯電話用のウェブブラウザを作っている会社の事です。iModeブラウザから始まって、携帯用のフルブラウザ、メーラー、WindowsMobileのフルブラウザなんかも作っています。つまりNetFront、ネフロの会社です。

一応ニュースを引っ張ってきますが、内容自体にはさして意味が無いと思うので参照をしません。

【ACCESS DAY 2008】ドコモは成長期から成熟期へ――山田氏が講演
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/event/42359.html

なんかちょっと変です。どういうことかというと、「ACCESS DAY 2008」というのは、ネフロの会社の2008年大集会というようなイベントなのです。しかしそこにドコモの社長が来ていて、ドコモの今後の戦略について語っているということになっています。引用したニュースの記事タイトルが「ドコモは成長期から成熟期へ」ですから。ネフロと関係なくなってます。

これは何が起こっているのか(ないしはそうであると予想される)というと、「そういうことになってしまうくらい、ネフロの会社はドコモ一味である」なのではないかと。

そもそもドコモのiModeブラウザが始まりだったこともあるでしょうし、昨今のソフトウェア開発現場の疲弊の結果としてドコモから少なからずの助力がなされている結果でしょう。

で、そこで思い出していただきたいのは「ネフロ」はドコモ以外でも採用されているということです。

ウィルコムでもネフロは採用されていますが、どうも今ひとつしっくり来ない状態で搭載されています。まずOperaと比較された場合、Operaの方が良かったという人の方が多いですし、なにしろネフロ搭載機種の「メーラーの不便さ」は良く言われることです。自動受信しないというあれのことです。

ドコモと関係が深いからといって、別に他キャリアの端末にわざと悪い事をするはずもありませんが、ただ、ドコモ優先でそれ以外は二番目なのかな、と思ったりする次第でした。ただそれでも、ドコモの助力で維持・改良されるであろうこと、ドコモが採用する以上業界標準でありつづけることであろう点などは、二番目扱いされてもなおメリットのあることかもしれませんが。

にしても、全然他社の集会でドコモ自身の次世代戦略の発表をするドコモもどうなんだろう、と思いました。


◆本当に?

以前と同じ内容ですが、今になってもまだ同じ発言があるようであるという件。

大唐電信:中国TDユーザーは今後3年で1億ユーザー見込む
http://www.chinapress.jp/mobile/15446/

「今後3年以内にTDユーザー1億人を目指す」と語った。

中国では、TD-SCDMAのことを「TD」と省略して呼びます。で、以前から言われていた数字、三年以内に1億突破という目標がまた表明されています。

先の記事に書いたとおり、このまま何も無く話が進んだ場合、W-CDMAやCDMA2000との対決になる流れです。本当に達成できるのでしょうか、本当に?

また逆に、この数字が本当だとすると、ないしは世界最大の携帯電話会社の中国移動がなんとしてでもこの数字を作り出すつもりなら、中国市場だけでしか使われない国策技術であったとしても、「1億」もの巨大市場が出来上がるということになります。国が大きいと何事も常識が通じません。

中国の人口は日本の10倍ということにして無理矢理換算してみますと、三年で1000万人という感じでしょうか。確かに不可能ではないけれども、しかし容易ならぬのはこれで解りやすいのではないでしょうか。しかも、W-CDMAやCDMA2000とも戦わないといけません。

ちなみに三年後となりますと、日本ではモバイルWiMAXや次世代PHSのエリア展開が進んでいるはずで、ドコモのLTEも使えるようになっているはずです、そうやって考えると現在とは空気が全く違うだろうことは容易に予想がつきます。で、そういう状態で中国は3G化の序盤戦をまだやっているということになります。

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591 アメリカでとうとう「ホワイトスペースの開放」が公式に議論開始

ホワイトスペース問題について記事を書きます。

ホワイトスペースって何?という人は、過去に書いた以下の記事を参照していただければと思います。内容はちょっと頼りないですけれども、日本でほとんど話題になっていなかった時期に書いた記事なのでご容赦ください。

知られざる空き電波帯域(?)、「ホワイトスペース」とは何か
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/05/648_1fc8.html

ホワイトスペース問題でGoogleがキャンペーン開始
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/08/604_google_1ceb.html

なんとも一般の人には(本来)解りにくい話ではあるのですが、これから日本でも大きな話題になってゆくかもしれません。次の流行話題かもしれないということです。


◆アメリカで「ホワイトスペースの開放」が正式に議論開始

で、上記の記事で書いたように、開放しろとIT業界が騒ぎ、放送局がIT業界の横暴であると言い合って綱引きが行われている状況がしばらく続いていましたが、とうとうアメリカ政府が正式にホワイトスペースの開放を検討することになったようです。

まずは記事から。

FCCがホワイトスペース開放を協議へ,GoogleとMSは歓迎のコメント
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081017/317151/

米連邦通信委員会(FCC)が,いわゆる「ホワイトスペース」と呼ばれる周波数帯域の開放に関する検討に乗り出したことを受け,米Googleと米Microsoftは米国時間2008年10月15日に,それぞれ歓迎のコメントを発表した。両社は,FCCがこれまでの内部作業とテストから集めた十分な情報により,ホワイトスペース使用の適切な規定を設けるプロセスに進めるはずだと期待を示した。

先の記事で書いたようにGoogleが「開放しなさい」と大騒ぎしていて、Microsoftも開放してくれとこれに荷担しておりまして、それ故の両社からの「歓迎のコメント」です。

FCCは同日,議長のKevin J. Martin氏が,11月4日の公開ミーティングで協議する議題に,ホワイトスペースに関する第2次報告および指令(Second Report and Order)などを含めていることを明らかにした。また米メディア各社(Washington Post/CNET News.com/Internetnews.com)は,Martin氏がホワイトスペースの開放を支持する意向を示したと報じている。

つまり、向こうのマスコミが言う事には(向こうのマスコミもマスゴミだそうですが)、この「公式に議論開始」は基本的にホワイトスペース開放という決定を出す事を意図したもの、だそうです。そりゃそうかもしれません。なぜなら、開放すべきでないと考えているのなら握りつぶしていればいいわけですから。

つまりもうリーチがかかったかもしれないということです。もっともリーチはちょっと言い過ぎで、イーシャンテンないしはリャンシャンテンあたりかもしれませんが。

FCCとはアメリカで電波の割り当てをする役所みたいなところです、いい加減に例えると総務省の電波を司るところのような存在です。

で、そういうところが事実上ゴーサインを出したらしいというわけですが、日本人にとって総務省の判断がどの程度信用に値すると思えるかということとか、FCCが700MHz帯のオークションのブロックDで大失敗したりしたことも忘れないようにしましょう。

「ブロックDで大失敗」についての記事:

北米700Mhz帯:Googleに非難の声上がる/失敗したDブロックで揉める
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/690_700mhzgoogl_5029.html


◆とても注意が必要な話題

この話題は注意しなければならない点がいくつもあります。以前の記事にも書きましたが、Googleが「正義のGoogle、悪で強欲な放送業界」の図式を作り上げてキャンペーンを張ったこととか、ホワイトスペースがそもそもどういうもので、また「空いている部分がある」としてもどういう技術的理由で「空いている」のか一般人にはさっぱり訳が解らないということです。

そして、「とっても『ステキ』なものなんですよ」という話は簡単に作るこができます、たとえば引用している記事についても、

全米規模で利用でき,ネットインフラが行き届いていない地域もカバーできる。通信速度が速いといった好条件もそろっているという。

冷静に考えてみると、こういう「ステキ化」は常套手段です。分野方面によっては、ステキ化を取り除くと何一つ残らないような分野だってありますから、まあ世の中そういうものなのかもしれませんが。

まず、利用できる帯域が存在する(あるいは慎重に言うと「無くは無い」)のは事実です。よって、有効活用できるのなら有効活用すべき帯域です。

しかし、これは一応意味があって空けられている側面もある帯域です。一部の「開放しろ」の意見には、単に浪費されているだけの帯域だと思わせるような説明をする向きも出てくると思います。そしてこういうことになると、放送局の「無駄ではない」「空いているわけではない」という事情説明は、放送局が邪悪な証拠だということにされてしまうでしょう。

まあ私も放送局は資源の無駄遣いをしていると思いますし、というか放送局以外にも無駄遣いしている変なところがたくさんある印象があります。ですが、全て無駄だと言わんばかりの主張はさすがに変だと思います。

ホワイトスペースを利用する場合には、「変則的な利用」になりますし、免許無しで開放するとまともな状態で使われるのかどうかわかりません。また、周波数的に電波の性質がとてもよい帯域なので、もっとふさわしい利用方法があるかもしれません。

例えば、素人が個人利用で使うのを少し便利にする代わりに、日本の携帯電話事情を革命的に改善するような利用方法だってあるかもしれません(画期的に新しい「条件付利用」を携帯電話会社にさせて、画期的新サービスを開始させるとか)。放送局から取り上げる事にしたとしても、使い道は一つだけではないのです。

#画期的な使い方を思いついた人はネットで披露すれば皆に感謝される事でしょう

また日本には「例の困った病気」があります。

アメリカで最新流行のホワイトスペース様だから、導入を検討しないような未開の国日本は明日にも滅びる、というような話が出てきて、さらにはこれまで書いたような世論誘導で議論を経ずにすっかり規定路線にされてしまうかもしれません。

新しい通信帯域が出来るとお金が儲かったりするところがありますし、いろんなことがある気がします。

世界中が一時的に熱に浮かれたWiMAXが今どういう状態になっているか、などを思い出してよく考えてください。WiMAXはこれから再度繁栄の道を歩むかもしれませんが、しかしながら現在、かつての過剰期待は落胆に変わっています。ブームだから当然とか、世界の流れだから、というのはその程度だということです。

日本では冷静な検討が、いろんな選択肢を含めた検討がなされる事を期待したいと思います。

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近いうちに、WILLCOMに東芝と日本無線から新機種がでるかもしれない

実にちょっとだけ・・のつもりで書き始める。

◆意外な形で新機種の存在が?

公式には何のアナウンスもありませんが、もしかすると、近日中に東芝と日本無線からウィルコム向けの新機種が出るかもしれません。

というのも、以下のウィルコム端末向け端末のウェブサイトにPCでアクセスすると(今現在)

http://ctc.ginga-music.jp/w/noSupport.php?e=1

非対応端末

お客様がご利用の端末では、当コンテンツをご利用になることが出来ません。 下記から対応端末をご確認の上、対応端末からご利用ください。

WX330K
WX331K
WX321J
WX320T
WX320KR
WX320K
WX310SA
WX310K
WX310J
WX300K 4X
WX300K
WS009KE
WS009KEBA
WS009KEplus
WS018KE
AH-K3002V
AH-K3001V
AH-J3001V
WS023T
WX330J

「WS023T」と「WX330J」という、存在しないはずの対応端末名が出てきてしまっています。

おそらくこのページは

・システムに対応機種名のデータベースがある
・画面を表示するかどうかの判定は、対応機種名のデータベースとの照合で行われる
・照合の結果ダメポだった場合には、対応機種名のデータベースから自動生成される「対応機種か確認してね」画面が表示される

ということで表示されているページなのではないかと。

さらに想像を逞しくすると、開発中の新機種がウェブサイトに対応しているかのチェックを端末開発側がするために事前に対応機種に追加されている、のかもしれません。

ちなみに、こういう感じで事前に新機種の存在が解ってしまった事はこれまでにもあったとかなので。

というか、これが間違い情報だったらどういう経緯でこういう「存在しない機種名」が出てきちゃったのかが大変興味深いです。私としてはそっちだった方が謎が増えて楽しいかも(おい)。


◆どういう機種なんだろう?

日本無線のものはまさにこれまでの流れのままの機種名です。W-SIM機ではない端末だと思われます。

これまで日本無線は元祖「味ぽん」(日本で携帯電話ブラウズのパケット代をはじめて定額にした端末)からの機種のラインと、指紋認証の二種類の機種の流れがあります。機種の改良が以下のように行われています。

AH-J3001V/3002V(味ぽん)→AH-J3003S→WX210J

WX310J(WX310SA)→WX321J(→WX320T)

念のために補足をすると、WX310SAはWX310Jの相互使いまわしであると思われ、WX320TもWX321Jを小改良した端末だと思われます。

WX330Jが発売されるとして、WX321Jの改良機なのか、三つ目の機種のラインができるのかどちらなのでしょうか。型番から言って、味ぽん系列ではないと思われます(それはさすがに)。

「指紋デバイス」に引き続き拘るのかどうか、またビジネスっぽい感じを意識した感じが継承されるのかも気になります。

東芝は、ジャケットフォン、つまりW-SIM機のようです(「WX」ではないため)。どういう価格帯のどういう端末なのか全く想像がつきません。また、東芝自らが作った端末なのか、WX320Tと同じように日本無線の使いまわしなのかも解りません。

同時発表という点からは、日本無線の派生機かもしれません。ただし、日本無線のものはW-SIM機ではありませんから、そういう意味では派生機の可能性は下がります。

しかし、W-SIM機は開発が比較的容易なので、今度こそ東芝オリジナルかもしれません。W-SIM機には「普通の端末」が少ないですから、WX320Tの製品ラインの普通の電話機っぽいものが出てきたら喜ばしく思う人は結構居るかもしれません。

また東芝にはPDA開発の歴史がありますし、音楽プレイヤーの開発の歴史もあります。普通の電話とは違う端末が発売される可能性もあります。

#ただ、「暇をもてあました神々の遊び」で端末名が表示されているだけの可能性もありますからご注意。

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592 ソフトバンクがiPhoneユーザに「無線LAN」を配ることになった理由

ソフトバンクがiPhoneユーザに「無線LAN」を配り始めました。


◆「なんちゃって基地局」の人のプラン、実行される

正しくは、配るというよりも割引販売、さらに正しく言うと割引販売というよりも「セットで買え買え攻撃」をするというのが正しいところかもしれません。

つまり、「なんちゃって基地局」の人(後述しますので解らないJ人はしばらくお待ちください)のプランが実行に移される模様です。

まずはソフトバンクのその件のサイトを、

iPhone 3G+無線LAN 快適無線LANでiPhone 3Gフル活用
http://mb.softbank.jp/mb/special/wifi/index.html

無線LANでiPhoneを使うと素晴らしい、ということが書かれてます。また、この施策は基本的にiPhoneユーザ向けだと思いますが、従来からあるスマートフォンユーザも対象のようです。

以下、引用の都合で一部修正して引用。

■iPhone 3G / Xシリーズを新たにご購入のお客さま(新規/買い増し/契約変更)

・店頭にて、対象機種との同時購入時にのみご購入可能となります。

・対象端末1台につき、ご購入は1台までとなります。

■iPhone 3G / Xシリーズをすでにお持ちのお客さま

・2008年11月以降、ソフトバンク オンラインショップにてお申し込み受け付け開始予定

スマホ定額の料金改定の件についても思いましたが、iPhone発売の恩恵を一番受けているのは、iPhoneユーザではなくて、ソフトバンクの「iPhoneではないスマートフォンユーザ」のような気がしてなりません。

また、今は新規契約の際に一緒に売ろうとする感じのようですが、もうしばらくすると既存ユーザもこのキャンペーンの対象になるようです。

また、残念ながら「無料配り」ではなくて割引販売で、しかし割引販売とは言ってこれは安いという感じでもなくて微妙なので、どちらかというと

ソフトバンクのお店に行くと「セットで持って帰れ」としつこく薦められるようになった

というのが実質的な「前後の変化」ではないかと思われます。おそらくこれが売れると「お店が少し儲かる」という感じにはなっているのではないかと、という気はします。

世間的ソフトバンクのイメージで考えると、新規の人には無料で配るとか、ADSLかつiPhoneな人には問答無用で無料バラ撒きに出るのが「らしい」ような気もするのですが、今回はお金を取るようです。

さて、既存ユーザがお金を払ってでも買うのかどうか。


◆「なんちゃって基地局」の人の話をもう一度考える

事情が良くわかっていないと、ソフトバンクは太っ腹だな、ないしは微妙に太っ腹だなと思えるようですが(この「感じ」はソフトバンク全体へのふつーの評価とも似ているような)、こういう事がされるようになるにはソフトバンク側の事情があります。

以下、以前の記事を読んでいる人には復習になります。

iPhoneについての当初の記事から書いているように、iPhoneはとにかくパケットを鬼浪費する端末ではないかと思われます。海外でそうでしたし、そもそもそういう風に使うように作られている端末だからです。

で、問題なのはそういう端末は基地局網に大きな負荷をかけるという問題です。ソフトバンクの基地局網は他社よりも頑丈とは言えず、しかもホワイトプランで高負荷になっています。そして、基地局網を強化する設備投資をするにもつらい状況です。

ので、iPhoneが「パケット馬鹿食い端末」であるという事実は、ソフトバンクにとって頭痛の種だろう、ということを書きました。

で、ソフトバンクで基地局を作らせている人が以前、このあたりの件について「正直つらい」ということをぶっちゃけてしまうという事件がありました。以前、その事も記事にしました。

ソフトバンクのあの人が、「iPhoneは無線LANで使って欲しい」/「PC定額は他社の罠」
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/07/614_iphonelanpc_5995.html

素晴らしい本音っぷりなので、記事を読んでいない人はぜひ読んでいただきたいと思います。この人、この件で一部ソフトバンクユーザの心を掴んじゃった感じすらします。

話の流れが横にそれますが、「本音」の件については、こっちの記事のほうがより良いだろうということで追加。

ソフトバンクの4万6000基地局公約と、武士の情け
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/05/656_46000_5420.html

「4万6000」の公約の始末のつけ方が事実上インチキであったと、当事者が認めてしまったという驚きの記事でした。しかし、ユーザの不安と同じ「本音」を言う人が基地局整備の総責任者だったということが解ったため、ソフトバンクユーザには良いニュースだったようですが。

話を戻して、最初の引用から今回に関係ある部分を引用の引用しますと、

――3Gのネットワークがパンクする心配はないですか。

そりゃ不安ですよ。一機種がもたらす通信量としては莫大(省略)。結論を言えば、アイフォーン導入に向けて準備をしてきたので大丈夫。でも、実際の動向を見てみないと正直ドキドキですよ。自宅でWi‐Fi(無線LAN)経由でつないでくれる人が、5%いるのか10%いるのか。ヘビーユーザーが少しでもそうしてくれるとかなり楽になる。発売後2週間は特別体制でネットワークの状況を見続けます。

――無線LAN接続を推奨していく必要がある、と。

僕が管理している投資を削ってでもいいから、アイフォーン購入者には無線LANルーターを1個ずつプレゼントしたいと思っているくらい。自宅ではぜひ無線LANでつないでほしい。You Tubeやナビなどは、3Gネットワークよりもサクサク動きますから。

というわけで、「iPhoneに無線LANをセットで」というのは以前から言われてた事で、今回それが本当になったというわけです。ソフトバンクは行動力あるなと思いました。もう実現してしまいましたから。

つまり、ソフトバンクが無線LANをセットで提供することになったのは、ソフトバンクの気前が良いからではなくて、ソフトバンクの基地局網に余裕が無いからです。

夏野さんが突っ込みを浴びせていたように(過去に記事にしましたが)、無線LANで使わないとiPhone 3Gは快適に使えない(3G接続だと妙に待たされたりする)ということもあると思います。

また、無線LANを配ろうという話が実現したということは、実際問題としてiPhoneのトラフィックはやはり目立って大きいのでしょう。サービスインしてからしばらく経ちますから、実際にサービスインしてみると「別にたいしたこと無かった」ということならば、何もされなかったでしょうから。

次世代通信の件も含め、最高速度の話ばかり話題になりますが、実際に問題なっているのはむしろ「容量」の方になりつつある気がします。まあそもそも容量の問題があることすら理解されてないことが多いですが。

以前にAUも無線LANについて同様の見解を示しているのではないかという記事を書きましたが、

AUからも「携帯+無線LAN」が正解じゃないか、という意見が
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/09/aulan-44f7.html

もちろん、無線LANは良い事ばかりではありませんけども、ソフトバンクのこれを見て、他社も同じようにセット販売を始めるかもしれません。なぜなら、宮川さんが仰るように、基地局増設よりも安上がりで確実で、しかも後の面倒も無いからです。その上、3G接続とは次元の違う高速接続をユーザに提供できます。

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593 モバイルWiMAXの実機デモで、わずか1.7Mbpsしか出てない件

モバイルWiMAXの端末のデモがされつつありますが、「ちょっと速度遅くね?」という件について。

◆またも遅い速度が・・

2.5GHz帯のサービスインが近づくにつれて、具体的な話が色々と出てくるようになりました。デモなども行われるようになりつつあります。

実際にサービスインした後に起こる事は、デモで示される事とはまあ同じではありません。なぜ同じではないかと言うと、デモは実環境よりも理想的な状況で行われる事が多く、また逆に未成熟な状態でデモされる傾向があるという要素もあります。

前者の顕著な例としては、「LTEで250Mbpsが出ます」というデモです。まさかLTEがサービスインした途端に250MBpsをみんなで使える状況になるわけがありません。まさにデモのためのデモです。

後者については、そんな状態ならデモするな、と言いたいところですが、デモすら出来ない状態ではないという遅れてないアピールをする場合や、世界に先駆けて実際に動いてます、という場合にそういうことになります。もしかすると、エリクソンの性能が今ひとつだったLTE実験機もこちらの部類かもしれません。

前置きして、今回の話題に行きます。

地域WiMAX向けの展示なのですが、モバイルWiMAXのデモが行われています。そして、デモでの速度が「あれっ?」という低速度です。

[ITpro EXPO]地域WiMAXを体感!フジクラがモバイルWiMAXを動態展示
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081015/316889/?ST=top

地域WiMAXじゃないか、と言ってはいけません。地域WiMAXも同じ通信規格であるモバイルWiMAXを使いますから、通信方式が違うわけではありません(固定WiMAXとごっちゃにしないように)。

フジクラという会社が地域WiMAXをするところ向けに機器を展示していて、この会社が実際に取り扱っていて納入済みの基地局と端末のデモが会場で行われていたようです。
で、記事の気になる部分です。

気になるスループットは「まだ調整中の部分が多い」(説明員)ということで,会場内では1.7Mビット/秒程度だった。通常は数Mビット/秒程度は出るという。

なんとたったの1.7Mbpsしか出ていなかったようです。

どういう端末でデモされたかというと、

端末は韓国INFOMARK製のUSB接続タイプで,国内での技術適合証明を取得済み。同社がシステムを手がけた福井県敦賀市のCATV事業者「嶺南ケーブルネットワーク」は10月1日から試験サービスを開始しており,そこで利用中の端末である。

だそうで、試作機ではありませんでした。

また、実際の利用状況よりもノイズは少ない(だって基地局との至近距離通信ですから)状況でのデモになっているはずです。同じく「混雑」もありませんし、建物に遮られて圏外みたいなことも当然ありません。


◆同じような「速度が出てない話」

今回の速度に関する部分、つまり

・1.7Mbpsしか出てません
・「もうちょっと出るはずなんですけどね・・」と、もじもじする

というような記事を実に過去に書いたことがあります。

台湾のモバイルWiMAX端末、なんと実効速度は2Mbps
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/06/wimax2mbps_5c3b.html

WiMAXの実効速度は,「現在の端末は2Mビット/秒程度だが,チューンをすれば8M~10Mビット/秒まで出せるだろう」(同社の説明員)という。

1.7Mbpsと2Mbpsは似た数字じゃありませんか。苦しい言い訳をしているのまで似ています。

そしてこういう記事もありました。

北米モバイルWiMAXが(一応)サービスイン/AUばら撒く/欧州のiPhone
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/09/598-wimaxauipho.html

「XOHM」ブランドで開始される今回のモバイルWiMAXサービスは,下り方向で平均2~4Mビット/秒の速度を実現できるという。

これも似た数字です。

また韓国では「速度的にHSDPAと何が違うのかわからん(ちょっとしか違わんではないか)」というツッコミを受けていたはずです(あっちはモバイルWiMAXではなくて「WiBro」ですが)。

つまり、1.7Mbpsという数字はモバイルWiMAXの性能を正しく表している数字かもしれません。もちろん、そうじゃない可能性も十分にありますけれども。

ちょっと大丈夫なんでしょうか?>モバイルWiMAX

またこれに加えて、混雑での速度低下や、セル(エリア)の端っこでの怪しい性能や、移動時にどうなるか、建物の中圏外という問題がまた別途あるかもしれない、ということも一言添えておきます。


◆なぜ遅いのかを少し考えてみる

最初に書いておきますが、これからどんどん改良されて行くだけのことで、一年も経たないうちに目を見張るような速度が出るようになるだけのことかもしれませんので、恒久的な問題だと思わないほうがいいかもしれません。

ですが一度、これが当面は続く問題だったとして、その原因について考えてみましょう。

まずモバイルWiMAXが「規格ごと腐っている」可能性です。この場合には当面はどうにもなりません。

ただしKDDIがサービスインするモバイルWiMAXについては、モバイルWiMAXの怪しい部分の取り扱いを慎重に行ってサービスインするようなので、KDDIだけは大丈夫という変な現象が起こるかもしれません。

次に、アナログ回路がまだうまく作れていない可能性が考えられます。つまり、10MHz幅の信号を綺麗に処理できる回路ないしは素子が難しすぎて、(2.5GHzを使う)OFDMAなモバイル機器に本来必要な性能を持つアナログ処理が出来ていない可能性です。

後者の場合には、モバイルWiMAXだけではなくて、次世代PHSやLTEでも同種の悩みを抱えている可能性もあります。よって次世代PHSやLTEにとってもこれは他人事ではない可能性もあります。

またそもそも、次世代通信技術というものは「そもそもこの程度」でしかないという可能性も考えられます。つまり現状+α程度でしかないと。

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594 中国で第三世代の「三方式が戦う」流れに / 「iPhoneの真似」には物理キーボードがついた

間が悪いながら中国の第三世代のことを少しと、物理的キーボードはやっぱり必要なんじゃないか、という話


◆排除するのかしないのか

基本的に以前から書いている内容の再まとめみたいになりますが、書いてしまう事にしました。

世界にポスト第三世代(3.9世代)の足音が響く中、中国が国策で開発中の独自の第三世代技術(TD-SCDMA)はまだ今ひとつ未完成の状態です。

国の威信をかけたオリンピックまでには一応完成したような形にして、現在商業サービスインを準備している事になっています。さて、まともなサービスとして提供できるのやらわかりませんが。

TD-SCDMAについてはこれまでに何回か記事にしましたが、ライバル技術が完成して枯れた状態にまでなっているのに、「まだ安定すらしていない」という致命的遅れと、超巨大市場中国が技術鎖国した場合にはそれでも「生き残ってしまって将来的には侮れない存在になる」可能性の二つの側面があります。

また、TD-SCDMAは結局のところ「素の第三世代」です。3.5世代でなければ、3.9世代でもありません。一応これらについても中華版が計画されていて

・中華版3.5世代 TD-HSDPA
・中華版3.9世代(ないしは第4世代) TD-LTE

という話があります。TD-LTEについては、(どうやら)すでに作られつつあるLTEのTDDモードのことではなくて、自前で作ろうとしているもの。

TD-HSDPAについても実験して成功した、みたいなことは発表されたりしているようですが、TD-SCDMAについても長年、実験して成功しましたというニュースとともにいつまで経っても実用化しない状況だったようなので、どうにもあてになりません。

というわけで、CDMA2000やW-CDMAとの競争を考えるとなかなか厳しい状態が続いています。よって、普通に競争に晒すとTD-HSDPAが滅びる可能性があることになります。実際、中国でこれまで第三世代のサービスインがなされていないのは、TD-HSDPAの完成を待つためでした。

つまり政治次第なところがあります。また、中国では国策で携帯電話会社や固定の電話会社が三グループに再編されつつあります。

グループ1:
中国移動(国営携帯電話会社)(国内1位:世界1位)
+中国鉄通(チャイナレールコム)(鉄道の通信網が由来の固定事業者)
+中国衛星通信(チャイナサットコム)(元は中国電信の一部)

グループ2:
中国電信(チャイナテレコム)(固定1位)(PHS事業者)
+中国聯通(チャイナユニコム)(国内2位:世界3位)のCDMA部門

グループ3:
中国網通(チャイナネットコム)(固定2位)(PHS事業者)
+中国聯通(国内2位:世界3位)のGSM部門

毎度の事ながら、グループにつけた番号は私が適当に付けた番号です。

「中国移動」は中国の携帯電話では圧倒的な存在です。どのくらい圧倒的かというと、現地の大学生の就職で中国移動カッコイーみたいなのが押し寄せてやまない、というような感じです(何が?)。過去にドコモが大人気だったり、KDDIが大人気だったりのと同じ感じです。つまり時代を代表する感じがするということです。

「中国移動」は国策を担う係でもありますので、TD-SCDMAをする事になっています。一応、「圧倒的な一位」が手がけるということでTD-SCDMAがダメな感じでも何とかできるのかもしれません。

で、問題は他勢力。他勢力は勢力に劣るながらも「TD-SCDMAをやらなくてもいい」かもしれないわけです。実際、

・グループ2はCDMAOneつながりでクアルコムの技術の採用
・グループ3は世界標準のGSM→GSM+W-CDMA/HSDPAの採用

の話が進んでいるはずです(もし違ったら教えてください)。というわけでそのままだとこうなります。実際、「グループ3」がインフラの準備をしているというニュースが出ています。

【中国】チャイナユニコムの WCDMA 設備入札、本日にも発表へ
https://japan.internet.com/allnet/20080926/8.html

中国 3G 戦争が益々白熱化している。中国移動(チャイナモバイル)と中国電信(チャイナテレコム)に次いで、中国聯通(チャイナユニコム)も26日に第一回目となる WCDMA 設備入札を正式に発表する予定だ。

入札対象となるのは200都市以上で、基地局数は7万近くとなり、その規模はチャイナモバイル(TD-SCDMA)の2倍となり、カバー都市の数で5倍となる。予想では、Ericsson、Nokia Siemens、Alcatel-Lucent、HUAWEI(華為)および ZTE(中興通訊)が入札に参加すると見られている。

というわけで、TD-SCDMAではない陣営は着々と準備を進めてしまっています。よってこうなりつつあります。

・圧倒的な「中国移動」+問題のある(かもしれない)TD-SCDMA
・現在はパッとしない陣営+確実に大丈夫な技術

日本でかつてこういうことがありました。

・第二世代の絶対勝者のドコモ+初期FOMA(地雷)
・まずい状態になっていた(はずの)AU+CDMA2000

これが再現するかもしれないわけです。事前にドコモが圧勝であったからこそ、余計にCDMA2000の優位が際立つ結果でした。

CDMA2000やW-CDMAに免許を出すのを遅らせたり、TD-SCDMAへの優遇がされるのかもしれませんが、どうなるんでしょうね。

で、もし中国移動がTD-SCDMAを大々的にサービスインしたものの、その後次第に弱小だったはずの他陣営に追い上げられた場合を考えてみます。ドコモの場合にはW-CDMAは世界標準だった事もあり、またドコモの脅威の執念によって再逆転がなされましたが、TD-SCDMAにそこまでの底力があるとは思えなかったりします。

・TD-SCDMAを生かすつもりなら、他の技術は最初から政治的に潰す
・そうでないなら、最初からTD-SCDMAは諦める

どちらかだと思えます。TD-SCDMA(+中国移動のパワー)が普通に他の技術と戦える状態ではないという前提が間違っていたら話が違いましょうが。

・中国移動がTD-SCDMAに入れ込んだ後で負け戦になる

場合によっては最終的に凄い事になってしまう場合すらありそうな気がするのですが、そう思うのは私だけでしょうか?


◆iPhoneもどきにキーボードがつきます

PRADAフォンというiPhoneもどきがあります。初代iPhoneの真似っこの一種でありつつ、意欲作だともみなされている電話です。

それの新しいものが出るようなのですが、それにフルキーボードがついているようです。

LGのPRADA携帯、第2弾はQWERTYキーボード付きで年内発売
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/14/news023.html

物理的キーボード論争がありますが、PRADAフォンの結論としては物理的キーボードが必要だと思ったようです。

もちろん、iPhoneの真似をしたところでiPhoneほど洗練されたものではなかったからこそ、キーボードなしの境地には到達出来なかっただけのこと、という解釈も可能です。

ただLGとしては、フルキーボード搭載は確実にコストアップにつながるものの、コスト増になっても「これをつけた方が儲かる」と思ったようです。

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595 ドコモはLTEを慌てて導入しない / ドコモは全陣営を採用

以下の記事の続きです。

596 ドコモが2009年中にHSUPAを開始
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/10/596-2009hsupa-4.htm

前回書いた部分以外にも面白い内容があるのでその部分について書きます。


◆LTEや第4世代についても言及がある

LTEや第4世代についての導入スケジュールについての言及もありますので、まずはそれについて。

CEATEC JAPAN 2008 - ドコモは来年中にHSUPA導入、OSは各陣営を並行して採用
http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/10/02/ceatec-mobile5/

HSUPAは来年、LTEは2010年度、4Gは2015年度以降

(略)

また、同社が「Super 3G」の名称で呼んでいる新技術のLTEについては「2010年度には入れたい」(同)とし、その際の実効速度は「平均的な実感スピードは数十Mbpsくらいだろう。光ファイバーと同じくらい」になると説明した。

一方、第4世代(4G)と呼ばれる次世代の通信方式は「周波数が3Gとは違うし、方式も大きく異なる。かなり先、2015年度以降くらいになると見ており、この先数年は3GあるいはLTEが主流になるだろうと考えている」(同)との見解を示した。

つまり
・2009年 HSUPAを導入
・2010年度 LTE開始
・2015年度以降 第4世代導入

ドコモとしては、「これからはLTEの風が吹き荒れて欲しい」と思っているということも解ります。

HSUPAについては前回の記事に書きました。これは第三世代の発展系です。一方でLTEは第4世代に属する技術で別の種類の技術です。

この記事には出てきませんが、第三世代をさらに強化するHSPA+の方向の進化もありますが(以前に散々記事にしました)、以前書いたようにドコモはHSPA+を評価しておらず、静観なさるようです。

ちなみに(これも以前に書きましたが)、HSPA+の導入が一番たやすいのもドコモでして、LTEが流行ろうがHSPA+が流行ろうが、日本最強(でおそらく世界最強)の基地局網を作ってしまうのはやはりドコモであろうことはもう確実です。

ちなみにLTEの実効速度で言われている「平均的な実感スピードは数十Mbpsくらい」というのは、基地局の利用者で割り算する数字(例の記事参照のこと)であり、なおかつ20MHz幅×2での数字ではないかと言う気がします。

つまり光ファイバー並みとは言いつつ、容量の面では弱々しいのは変わりの無い事になるはずです。

また、「第4世代」についてはまだまだ先になるのではないかと言う見解が示されています。


◆ドコモは他国と歩調を合わせる

記事では引き続いて、世界の「次世代の勝者」がLTE確実になりつつあることが紹介されていて(これも以前から散々記事にしたとおり)、その後で「ドコモは慌てて導入しない」ということが重ねて強調されています。

世界的に「次はLTE」という動きが主流になる中、当初からの規格策定メンバーであるドコモは先陣を切ってサービスを開始したい考えだが、辻村氏は「あまり早く行き過ぎてもまずい」とも話す。

つまりドコモとしては、早期にサービスインしたいという希望はあるものの、世界と歩調を合わせての導入しか行わないと言っています。何故こういうことを言うかと言うと「過去の失敗」があるためです。

「過去の失敗」とは以下のようなものです。

FOMAは世界初の3G携帯電話だったが、標準化作業の早い段階でのサービス開始だったため、特に海外の基地局や端末との間で十分な相互接続性が得られないといった問題が初期に発生した。日本はLTEを「世界よりは若干早く導入できる」(同)としながらも、各国と足並みをそろえたいとの慎重な姿勢も伺える。

つまり、FOMAを早期に導入しすぎて色々苦労した件について大反省しているので、今回は同じ失敗は絶対しません、ということを言っているということです。

他社や他勢力に先んじてサービスインするのはやはり有利な面があります。例えば、モバイルWiMAXや次世代PHSが先行する中、ドコモは我慢を続けるというようなことも必要になるかもしれません。また先に実績を作ってしまって既成事実にすれば有利になる事もあります。しかしそういうことはドコモはしない、と言っているのです。

ドコモは今になっても「第二世代」での失敗でバッシングされます。「世界から孤立した」というお決まりのバッシングです。ドコモは第三世代が出来る際にこの件についてひどく反省しており、欧州の陣営に譲歩をして今度こそ「孤立」しないように注意を払っています(W-CDMA)。

しかしドコモはFOMAを早期にサービスインしすぎて、その後大変な苦労をすることになります。そして今回は初期FOMAの大失敗の繰り返しはしないように反省しているというわけです。前回やらかしたことはちゃんと反省しているというわけです。

今でも相変わらず「世界から孤立した」ということを言う人がたくさん居ますが、その他にも「ドコモは3.9世代で勝手に日本独自規格を作ってしまうつもりだ」ということを言っている人も居るようです。ドコモは勝手に規格を作って勝手に早期サービスインするつもりだ、というような批判です。

#ちなみにWiBroはまさにこれ↑の極みです

ドコモは「そのようなつもりは一切無い」ということを表明しているということです。


◆OSは「全部採用」

ご存知のとおり、携帯電話はむやみに高性能化中です。よって、1からソフトウェアを全部作るようなことは難しくなりつつあります。共通のプラットフォームのようなものの上に作るのが普通になりつつあります。

そして、現在そういうプラットフォームについていくつかの陣営がありますが、ドコモはそれらについて事実上「全陣営のOSを採用します」と言っています。

陣営
・Linuxベース
・Symbian(シンビアン)
・Windows Mobile
・Android

しかも「iPhoneの獲得も諦めてない」ですから、全部採用という感じです。

もともとドコモはシンビアンとLinuxについては以前から採用中です。ドコモ独自の共通プラットフォームとして、シンビアンをベースにしたものと、Linuxベースで作らせていたもの(NやPなど)の2系統がありました。ただし、ドコモ独自でのプラットフォームの追求ではなく、次第に国際共通プラットフォーム+日本独自な感じになってゆくと思われます。

Linuxベースのものは他国での同じような試みと合体して、Linux(Limo Foundation)という陣営になりました。

シンビアンは欧州のOSで、こういう用途に昔からずっと使われているOSです。つまり非常に実績があってこの点は優位な点ですが、「昔から使われている」ために古い面があり、今風の要求に対応できていない面があります。

Windows Mobileはスマートフォンでよく知られているものです。念のために説明すると、普通のパソコンで使うWindowsとは完全に別系統のOSです。UIは本家Windowsを意識してありますけれども。

AndroidはGoogleが作ったプラットフォームで、これから世に広まろうとしているものです。一番作りが新しいものです。

iPhoneについても書くと、これはMacOSXをベースにしています。Window Mobileは普通のPCで使うWindowsとは完全に別物ですが、iPhoneについては同系統の派生したものが搭載されています。ただし、今のところアップルが囲い込んでしまっているので、陣営と言う感じではありません。

というわけで、「なんでもかんでも採用」という感じです。

「全部に手を出す」のは一般的に賢明なことではありませんが、ドコモほどの巨人となれば全部に手を出してしまってどれがどうなっても関係ない状態にするのも賢明な作戦となります。


◆少なくともスマートフォンでは・・

普通の端末開発ではこれまで通り、Linuxベースでの開発とシンビアンベースでの開発が行われるはずです。

しかし少し前の記事に書いたとおり、スマートフォンについては「何でも有り」の状態があっという間にやってくることになります。ドコモはスマートフォンについて「あれもこれも投入」「2008年度に6種類投入する」「次の年度には10種類近くを投入する」と言っているからです。おまけにiPhoneの獲得も時間の問題のような気がします。

ドコモには「何でもある」状態になりそうです。各陣営の直接対決が、ドコモでの「具体的な端末での直接対決」の形で全部見られることになりそうです。

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596 ドコモが2009年中にHSUPAを開始

少し前のニュースから、ドコモが2009年中にとうとう「HSUPA」をサービスインすると言う記事について。


◆ドコモの怒涛の設備投資、とどまるところを知らず

すでに世界最強のW-CDMAネットワークを作り上げているドコモですが、まだまだ設備の強化は止めないようです。

3.5世代と呼ばれる下り速度の高速化を図った第三世代(HSDPA)に続いて、ドコモは上がりにも同様のテクノロジーを用いて高速化を図る「HSUPA」を2009年中にサービスインすると発表しています。

CEATEC JAPAN 2008 - ドコモは来年中にHSUPA導入、OSは各陣営を並行して採用
http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/10/02/ceatec-mobile5/

HSUPAは来年、LTEは2010年度、4Gは2015年度以降

現在同社が一般にサービス提供している最も高速な通信方式はW-CDMA/HSDPAで、受信速度が最大7.2Mbps(規格上の理論値、以下同)、送信は同384Kbps。2009年中には送信を高速化するHSUPAを導入し、5.7Mbpsまで引き上げる。実効速度としては「平均1~2Mbpsくらいをお使いいただける」(辻村氏)見込みという。

「世代数」で表現してAUと比較するとこういう事になります。

・第3世代 W-CDMA/CDMA2000
・3.5世代(下り高速化) HSDPA/CDMA2000 EV-DO
・3.7世代(上がり高速化) HSUPA/CDMA2000 EV-DO Rev.A

下り高速化のさらなる高速化は何世代?MIMOは何世代?とか言われると良くわからなくなってしまう世代区分なのですが、つまりドコモは「所謂3.5世代化を終え、その次に進もうとしている」ということなのです。

日本での3.5世代の導入はまずAUの「WIN」の開始から始まりました。つまりAUは他陣営に大きく先行していました。その後現在の話題はHSDPA化です。

・ドコモ 3.5世代化は完了、これから次に進もうとしている
・AU 3.5世代化は随分前に完了 Rev.A化などを行っているところ
・ソフトバンク 3.5世代化がまだ未完成
・イーモバイル 最初から3.5世代で基地局整備を行っているが、エリア整備自体未完成

ドコモは(携帯電話会社としては)他社と大差をつけた多数の基地局を整備しており、その上基地局も他社よりも高性能なものを整備しています。質でも量でも圧倒的です。

AUは「上りの高速化」や「64QAM化(下りのさらなる高速化)」にまで手をつけているという点でドコモに先行していますが(質では現在でもなお勝っている点がある)、「上りの高速化」についてはドコモに追いつかれるのは時間の問題となったようです。

また、残りの二社は3.5世代の基地局整備で大変な苦労をしているところですけれども、ドコモはさっさと「その次」へ進んでしまうことになります。


◆しかし上がり回線の利用方法はまだ見つかっていない

3.5世代化での下り回線の高速化については、AUがあっという間に「使い方」を発見してドコモを悩ませる事になります。

AUは3.5世代化で
・携帯初のパケット定額
・音楽配信
を開始します。AU大躍進の時期のイメージはまさにこれです。そしてこれらは、3.5世代化が出来ていない他キャリアには真似する事が難しいサービスだったため、他社は大いに困る事になります。

その後AUは上がり速度の高速化もドコモに先んじて行います(EV-DO Rev.A)。もしAUが「上がり回線の世代進化が無ければサービスインが難しい」ようなサービスを、3.5世代化の時と同じく発見していた場合には、

もしもの世界:
・AUが3.7世代でなければ実施困難なキラーサービス開始
    ↓
・ドコモまたも涙目

となっていたはずでした。AUは「ドコモとの技術的差」が自分達に大勝利をもたらした事は良く知っていましたから、勝ちパターンを継続したかったはずです。ですから、「高速化した上がり回線」を絶妙に活用したサービスについては一生懸命考えたに違いありません。

しかし現実には、AUから画期的な新サービスは発表されていません。つまり、AUは高速化した上がり回線の有効活用方法を思いつけなかったのです。

ドコモは来年「上りの高速化」をも実現します。しかし、それを使って何をするのか、という点についてはまだ何も思いついてない可能性があります。ちなみに記事では用途についてこのようにあります。

高速回線を何に使うかというアプリケーション面については、まずHSUPA導入によって生まれるシナリオとして、携帯電話で撮影した動画の利用を挙げた。「アップリンクが速くなると、例えばある非常に重要なイベントに遭遇した人が、5分とか10分の動画を撮ってアップロードすることができる。事故が起こったときに、そこを経由してどこかに行きたい人がYouTubeを検索すると、何分か前にその場に遭遇した人の動画が見られるので、出かけるルートを変えるべきか判断できる、といったようになる」(辻村氏)。このように、現在主にダウンロード型だった動画コンテンツの楽しみ方が、アップロードを組み合わせたものに変わるとし、「これがインターネットのパワーであり、インターネットのケータイ化である。PCにはなかったリアルタイム性を持っている」(同)と強調した。

なんか怪しい感じですね。また、後述するようにこの提案は、容量の面で危険な提案です。

ちなみに「上がり回線」ですから、端末→基地局の高速化ということになります。つまり、端末内に入っているデータを外に高速に出したい、という要求と結びついていないといけない事になります。ですが、そういう要求(で利益につながるもの)はなかなか見つからなかったと言うのがこれまでの流れです。

オンラインストレージなんかも検討されたようですが、携帯電話の外部メモリーカードでいいじゃんと言うことになってしまいます。

「端末で撮影した動画をUPする」というのはこういうアイディアの中で、明らかに最初に思いつくものです。確かに端末で発生した多量のデータであり、端末からネットにデータを出す動機とつながっていますが、誰でも思いつくものです。AUがこの道に進んでいないからには理由があると考えるべきです。

実はたいしたニーズが無い可能性は高いでしょうし(携帯で撮影した動画の「UP」が大流行すると思いますか?)、また「携帯で動画」が流行るとなると通信容量の面で多大な負荷をかかる原因になります。

動画のUPが流行っている状況を考えてみましょう、果たしてUPだけが流行って「携帯で動画を見る」方が流行っていない状況というのは考えられません。つまり、下り回線の容量に悪夢のような負荷がかかるということになります。

量より質で基地局整備をしているAUにとっては、容量が足りなくなる事態は避けるべきことです。よって、この案はいただけません。最初に検討されてすぐに封印された案ではないかと思われます。

基地局を鬼整備しているドコモは、携帯で動画を見るのが大流行しても耐えられると思っているのかもしれませんが、耐えられるという事と儲けられるということは別問題です。もしかすると、動画を大流行させて自分も苦しみつつ、動画に堪えられない他社を押しつぶしてしまう作戦なのかもしれませんが、大流行したとしても「携帯で動画を見れないからドコモにする」とは「思わない人」の方が大半な気がします。

まあつまり、AUが「使い道が解らなかった」のと同じく、「ドコモも持て余す」可能性が高いのではないかという気がします。もしかするとドコモがすでに秘密計画を立案している可能性もありますが、ドコモのことですからそれは無さそうです。

というわけで、高速な上がり回線の画期的な使い方を思いついた人は披露すると有名になれると思います。


◆ドコモの凄さは伝わってくるが、大勢への影響は未知数

ドコモの「執念の基地局整備」の凄さが伝わってくるニュースではあります。既存の基地局をソフトウェア的に更新する感じで簡単に対応できてしまう感じで、物理的工事はあまり必要ないのかもしれませんが、もしそうだとしても「そんな余力のある高性能基地局」を多数整備しているという点では、やはり凄さの証明です。

ただし、これを使ったキラーサービスはまだ発明されていないし、発明される可能性は決して高くない(注:しかし無視も出来ない)ので、ソフトバンクやイーモバイルは「この件は無視」でもあまり問題ないような気もします。おそらくながら、下り回線の高速化のみに執念を燃やしていても大丈夫なのではないかと。


(この記事には他の内容もありますが、まずここで一度区切って次の記事に続きを書きます)

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ウィルコムの「どこでもWi-Fi」で気になる意外なこと

少し前になりますが、ウィルコムから「どこでもWi-Fi」というものが発表されましたが、これについて意外なところが気になるということについて。


◆「ゲーム機用の無線LANを持ち歩く」という装置

ウィルコムから「どこでもWi-Fi」というものが開発中であることが発表されました。まずはプレスリリースの引用。

~超小型通信モジュールW-SIM(ウィルコム シム)搭載。
いつでもどこでも日本全国が無線LANスポットに~
「どこでもWi-Fi」の発売について
http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2008/10/09/index.html

これは何かというと、

・W-SIM対応機器
・ウィルコム回線を無線LANに変換してくれるような装置
・携帯ゲーム機ユーザをターゲット層にしている
・電源がエネループ四本で稼動

W-SIMを挿して使う小さい装置で、エネループを電源にする事もあり、エネループの充電器のような感じを受けます。

これで何が出来るかというと、「どこでもWi-Fi」自体がモバイルな「無線LANアクセスポイント」になってくれて、周囲の無線LAN機器にネット接続環境を提供してくれるという代物です。

よって、「どこでもWi-Fi」を持ち歩けば、いろんな無線LAN対応機器がウィルコムのエリア内ではどこでもネットにつながるようになります。

ノートパソコンはもちろん、iPodTouchをこれでネットに繋いだりもできるはずです。

今回の発表は年一回の「東京ゲームショウ」(TGS)でお披露目し、ゲーム方面からのフィードバックを得るためのようです。つまりこの装置は、

任天堂株式会社の「ニンテンドーDS」や株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンのPSP「プレイステーション・ポータブル」などと、簡単かつ安全に接続できます。

というわけで、ウィルコムの狙いは、

・「どこでもWi-Fi」を持ち歩けば、どこでもDSやPSPでネトゲができますよ

という商品を作って売る事のようです。


◆ゲーム機向けへの配慮がなされている

東京ゲームショウでお披露目されたのはたまたまではなく、最初から携帯ゲーム機ユーザを狙って開発しているようです。というのも、「使い方が難しくないよ」という点への配慮(なんというか任天堂的な配慮といいましょうか)が見られるためです。

例えば、無線LANのアクセスポイントを利用する場合には、「設定」がとても大変です。解っている人間にも毎回面倒ですし、設定するたびに毎回ネットで調べて復習して設定しているような人も多いはずです。また、設定を失敗して第三者にアクセスされ放題になっていても困ります。

これについてはこのようにあります。

【3】無線LAN簡単設定システム「AOSS」を搭載

AOSS(AirStation One-touch Secure System)とは、バッファローが開発した無線LANの設定を自動で行う画期的なシステムです。AOSSを搭載した機器であれば、ボタンを押すだけで簡単に接続設定が完了しますので、誰でも無線LANの初期設定を行うことができます。

本製品にはAOSS機能と専用ボタンを装備しており、AOSSが搭載された、任天堂株式会社の「ニンテンドーDS」や株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンのPSP「プレイステーション・ポータブル」とワンタッチで接続設定を行えます。

つまりボタンを押せば設定修了、という簡単設計になっているということです。別に画期的な工夫ではありませんけれども、マニア向けの機器を志向しているわけでは無さそうだということです。

また、電源が専用バッテリーではなくて、「単三四本」での動作です。つまり、電池で動くということです。販売するセットにはエネループ四本と充電器のセットがついてくるようです。

エネループは、従来の充電池のように気がついたら自然放電で電池が空みたいな事は無いし電池の劣化も遅い気がするし、使いやすい感じがします。

別に普通の電池でも利用できますから、コンビニに駆け込んで電池を買ってしまえばあっさりバッテリーは元通りです。

単三電池を入れれば動く、というのはこれも解りやすい作りです。

アホガキにも理解可能に作ってありますから、「これを買えば学校でもオンラインのモンハンができる」の感じで売れて欲しいのでしょう。

また、ガキの場合は回線代金は親払いです。ということは「ゲームしたいのでもう一回線契約させてくれ」というのはなかなか成立しません。しかし、「メイン回線をウィルコムのW-SIMの電話にする+W-SIM差し替えでどこでもWi-Fi」ならば親も何とかできそうです。
#ただし「モンハン中は電話がつながらない」ということにはなりそうですが

ガキ専用プラン(年齢制限プランにすればよろしい)を作って、一回線で「どこでもW-SIM」と「W-SIM電話機」のセット販売をすれば良いのではないでしょうか。さらには、ファミリー割引とかもセットにして親子も定額にしてしまうとか。

また、DSやPSPを携帯ネットデバイスとして本格的に使うことが出来るようになるかもしんないということです。例えばIP電話とか。

ネットの意見というのは基本的に「デジタル機器利用者の中でも、かなり出来る人たち」の意見ですが、正直なところ無線LANの設定が良くわからん人もたくさん居るはずです。結構いろんな人を救う可能性はあるのではないかと思います。たとえば、バカ社員に持たせると管理者が楽できるとか。

ただしこれらのターゲット層(リテラシが低い人たち)には、外見が「これは何?エネループ充電器?」というかエネループの充電器とすら思ってくれない可能性もあるので、売り込むのは難しいかもしれないなあとも思います。

結局、マニアが買って「これは地味に便利だよな」で終わってしまいそうな気も。


◆ウィルコムの「遅さ」の正体

「ウィルコムは遅い」とは良く言われます。絶対的なトップスピードが劣るのもそう言われる原因だと思われますが、遅く感じるのは「レスポンスが悪い」こともあるのではないかと思っています。

「レスポンスが悪い」というのはどういうことかというと、端末とネットの間のパケットの行き来に時間がかかるということです。その結果、待ち時間が長くなるだけではなく、速度も出にくくなります。また、1x接続から必要に応じて回線を束ねて加速する方法のために、接続した途端にフルスピードが出せないのも「レスポンスが悪い」原因になっているものと思われます。

もしかすると現行のx4やx8でレスポンスが大幅改善するだけで、ウィルコムは遅いという印象は一掃されるのではないか、とも思ったりします。

で、「レスポンスが悪い」というのはネトゲ用としては非常に困る性質です。このニュースを聞いてすぐ思ったのは、その点の心配でした。しかし今回の発表にはこのようにあります。

【2】ウィルコムのマイクロセルネットワークで安定したレスポンスの早いインターネット環境を実現

全国16万局からなるウィルコムのマイクロセルネットワークで、通信速度が劣化しにくい安定した通信環境で本製品をご利用いただけます。また、PHS高度化通信規格である「W-OAM」※1により、ネット対戦ゲームなどに適した、レスポンスの早い通信を実現しています。

この書き方は、「遅延の問題については検討済み」という書き方です。ネトゲしても大丈夫なのでしょう。

現行のウィルコムの遅延でもゲームができる事を確認しただけなのか、何らかの方法での対策が取られるのかどうかは良くわかりません。

対策が取られるとしたらこういうことになりましょうか。もしかしたら両方かもしれません。

・どこでもWi-Fi用の「遅延の少ない専用通信方式」をウィルコムが用意して、それを使ってもらう。
・光ファイバー回線を引き込んだ基地局では、遅延は大幅に減少して快適になるはずなので、「光基地局への置き換え計画を考えると大丈夫」ということで
あるいは
・単に、現状の回線でもDSやPSPのネトゲ的には全然大丈夫だった

つまり、ウィルコムの問題点である「レスポンスが悪い」という点は近いうちに解消される見通しである、というニュースを含んでいる「かも」しれないかもしれないということです。

ただ、もしかすると

・パケット通信ではなく、回線交換で通信を行う

のかもしれません。回線交換の場合は音声通話時のような回線接続形態となり、速度は32Kないしは64Kになりますが、遅延の問題は確かに一掃される気がします。

ネトゲは遅延が多いとうまく動かない事が多いのですが、一般的に最大速度はあまり要求しないので、これで正しいのかもしれません。

しかし、発表には「PHS高度化通信規格である「W-OAM」により」とあるので、回線交換ではない気もします。普通W-OAMと言えばパケット通信な気がしますから(でもBPSKでの音声通話もありますか)。

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597 ドコモが「新型ブラックベリー」投入および、スマートフォン大量投入を表明

ドコモが「ブラックベリーの新型」を投入し、来年はスマートフォンでも攻勢をかけてくるようです。

来年はこの分野、なかなかすごい事になってしまうかもしれません。


◆本命の「新型ブラックベリー」の日本登場が発表される

ブラックベリー(BlackBerry)というのは日本ではあまり知られて居なかったりもしますが、北米を中心に大人気の「ビジネススマートフォン」です。

実はiPhoneは本拠地の北米でもブラックベリーに数では負けてしまっています。おそらくこういうこともあり、iPhone 3Gでのアップルのチャレンジには「iPhoneをビジネス用途にも使ってもらいたい」という目論見も含まれていました。今のところアップルの目論見は成功していないように見えますが。

iPhoneが純然たる趣味の領域であるiPodから派生した(Mac OSXからの派生だとも考えられますけれども)ものであるのに対し、ブラックベリーはビジネスのために生まれた端末です。そしてブラックベリーが(北米で)大成功しているというのは、企業でビジネス用端末として使うために必要なことをちゃんと実現している端末だということでもあります。

今回ドコモが投入する最新型のブラックベリーは、ビジネス向けの機能に加え、個人が遊びで使う際に必要になりそうな「スマートフォンとしての機能」が強化されており、iPhoneとは逆に「ビジネス用途側から個人が趣味で持つ用途に」攻めようとしています。

さて、簡単にまとめて見ますと
・ドコモが最新型のブラックベリーを投入することを発表した
・ブラックベリーはもともとビジネス用途に作られている端末
・最新型のBlackBerry Boldでは個人が趣味で持つための機能も強化されている
・ハードウェアのキーボードとトラックボール付き
・HSDPA/無線LAN/Bluetoothに対応

ただ、注意しないといけないのは、日本で今現在「普通のスマートフォン」と思われている感じの物にブラックベリーがあっさり撃破されてしまう事もありえるということです。北米と日本は違うかもしれないので。また、Android携帯やら何やらも出てきます。

しかし以下はこれまでの北米での ブラックベリーVS iPhone の流れを踏まえて書きます。


◆ドコモの発表

ドコモが最新型を投入しますと発表した記事から、さらに気になる点を拾ってみましょう。

ドコモ山田氏が語るスマートフォン戦略、ラインナップ拡充も
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/42015.html

まず、最新型のブラックベリー(BlackBerry Bold)について「軸足はあくまでも法人市場」だと仰っています。現在ソフトバンクの孫社長がiPhoneで手を出そうとしているところに、北米の「本物」が程なく攻めてくるということになったということです。

少なくとも現在までのところ(初代発売後ずっと)、北米ではブラックベリーに対するiPhoneの攻撃は成功していないはずです。ビジネス分野では分が悪いのです。

ドコモもこの点を踏まえてどうやら自信を持っているようで、

(法人市場も狙う)iPhoneとは、一部でターゲット層がかぶるだろうが、BlackBerry Boldは法人向けで一番オススメできる商品と捉えている

と言っています。

先に書いたようにBlackBerry Boldでは個人向けの機能も強化されています、こちらはブラックベリーがiPhoneを意識したとも言えなくもありません。こちらについてドコモは「個人ユーザーについても2台目としての需要があるだろう」と割と冷静な意見です。

また、iPhoneでいろいろ言われた「従来の日本式携帯の世界との調和」についても妥協はしないようです。

例えば、iモードや携帯プッシュメールとの統合も行うようです。

当初、BlackBerry Boldはiモードメールを利用できないが、串田氏は「パソコンからiモードメールが利用できるWebサービス『iモード.net』のような形のサービスを来年早い時期に投入する。その数カ月後に自動的にメールをプッシュ配信する仕組みを導入する方針」とした。

おそらくドコモ相手にわがまま放題で交渉に望んだであろうアップルと違い、ブラックベリーの発売元(RIM)はドコモとちゃんと協力関係を構築したのでしょう。日本の携帯市場に即したブラックベリーを用意することになるようです。

下手すると、iPhoneが素人携帯ユーザに敬遠というか買ってから「なんじゃこれ」と言われたのに対し、ドコモが「日本化」を済ませて投入したブラックベリーは普通に受け入れられてしまうという謎現象が発生するかもしれません。

またこうなってしまった以上、ブラックベリーは日本では「ドコモ組」の一員となってしまって、ドコモ独占供給になるやもしれません。

もっとも、iPhoneのような「超話題性」は望めないでしょうけれども。あれは林檎の特権ですから。


◆ドコモ、怒涛のスマートフォン攻勢の予定

ドコモが本気になると恐ろしい事になります。

狂気のレベルの基地局整備が良い例です。ソフトバンクがあらゆる無理とインチキを駆使してもドコモに数すら及ばない事を証明する羽目になったのが一例です。

iPhone騒動を経て(ドコモがiPhoneを取れなかったという「動揺」も大きかったはず)ドコモはスマートフォンに本気になったようです。

まずはスマートフォンを大量投入するようです、他社にとってこれは恐ろしい流れです。

今年度はBlackBerry Boldを含めて6機種程度、2009年度には10機種近くリリースしたい

ドコモは言った事は基本的に守りますから、これはハッタリだと考えるべきではないでしょう。

また、ブラックベリーだけではなくて「あらゆる物を出す」ようです。ウインドウズモバイル端末についてはすでに出していますし、

iPhoneはまだあきらめていない。Android端末は来年頭には出したい。

だそうです。Android端末については普通に出てくるでしょうし、iPhoneについてもまだ交渉は続いているようです。

iPhoneについては当初とアップルとドコモの力関係が全然変わっているのではないかと思われます。おそらくアップルがドコモに頭を下げなければならなくなりつつあるはずです。もしかするとドコモはiPhoneも「日本携帯化」をさせて発売させるかもしれません。もしそうでなくとも、ドコモから発売されれば、最強のドコモ基地局網でiPhoneを使うことができるということになります。

一部の人たちが待望する「ドコモでiPhone」が実現するのは、こうなると「後は時間の問題」になっているかもしれないということです、今すぐではないにしても。

また、スマートフォンの市場規模について

日本でのスマートフォン市場のポテンシャルは150~200万台程度ではないか

だそうです。

こういう流れになったということは日本のスマートフォン市場を切り開いてきたウィルコムにとっては難しい感じになりつつあるということです。

記事に書いたかどうかは解りませんが、これも「端末の優位」は簡単に追いつかれるという例かもしれません。基地局側(インフラ)の優位はなかなか覆せないのですが。特に質的な差については。

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