« 595 ドコモはLTEを慌てて導入しない / ドコモは全陣営を採用 | トップページ | 593 モバイルWiMAXの実機デモで、わずか1.7Mbpsしか出てない件 »

594 中国で第三世代の「三方式が戦う」流れに / 「iPhoneの真似」には物理キーボードがついた

間が悪いながら中国の第三世代のことを少しと、物理的キーボードはやっぱり必要なんじゃないか、という話


◆排除するのかしないのか

基本的に以前から書いている内容の再まとめみたいになりますが、書いてしまう事にしました。

世界にポスト第三世代(3.9世代)の足音が響く中、中国が国策で開発中の独自の第三世代技術(TD-SCDMA)はまだ今ひとつ未完成の状態です。

国の威信をかけたオリンピックまでには一応完成したような形にして、現在商業サービスインを準備している事になっています。さて、まともなサービスとして提供できるのやらわかりませんが。

TD-SCDMAについてはこれまでに何回か記事にしましたが、ライバル技術が完成して枯れた状態にまでなっているのに、「まだ安定すらしていない」という致命的遅れと、超巨大市場中国が技術鎖国した場合にはそれでも「生き残ってしまって将来的には侮れない存在になる」可能性の二つの側面があります。

また、TD-SCDMAは結局のところ「素の第三世代」です。3.5世代でなければ、3.9世代でもありません。一応これらについても中華版が計画されていて

・中華版3.5世代 TD-HSDPA
・中華版3.9世代(ないしは第4世代) TD-LTE

という話があります。TD-LTEについては、(どうやら)すでに作られつつあるLTEのTDDモードのことではなくて、自前で作ろうとしているもの。

TD-HSDPAについても実験して成功した、みたいなことは発表されたりしているようですが、TD-SCDMAについても長年、実験して成功しましたというニュースとともにいつまで経っても実用化しない状況だったようなので、どうにもあてになりません。

というわけで、CDMA2000やW-CDMAとの競争を考えるとなかなか厳しい状態が続いています。よって、普通に競争に晒すとTD-HSDPAが滅びる可能性があることになります。実際、中国でこれまで第三世代のサービスインがなされていないのは、TD-HSDPAの完成を待つためでした。

つまり政治次第なところがあります。また、中国では国策で携帯電話会社や固定の電話会社が三グループに再編されつつあります。

グループ1:
中国移動(国営携帯電話会社)(国内1位:世界1位)
+中国鉄通(チャイナレールコム)(鉄道の通信網が由来の固定事業者)
+中国衛星通信(チャイナサットコム)(元は中国電信の一部)

グループ2:
中国電信(チャイナテレコム)(固定1位)(PHS事業者)
+中国聯通(チャイナユニコム)(国内2位:世界3位)のCDMA部門

グループ3:
中国網通(チャイナネットコム)(固定2位)(PHS事業者)
+中国聯通(国内2位:世界3位)のGSM部門

毎度の事ながら、グループにつけた番号は私が適当に付けた番号です。

「中国移動」は中国の携帯電話では圧倒的な存在です。どのくらい圧倒的かというと、現地の大学生の就職で中国移動カッコイーみたいなのが押し寄せてやまない、というような感じです(何が?)。過去にドコモが大人気だったり、KDDIが大人気だったりのと同じ感じです。つまり時代を代表する感じがするということです。

「中国移動」は国策を担う係でもありますので、TD-SCDMAをする事になっています。一応、「圧倒的な一位」が手がけるということでTD-SCDMAがダメな感じでも何とかできるのかもしれません。

で、問題は他勢力。他勢力は勢力に劣るながらも「TD-SCDMAをやらなくてもいい」かもしれないわけです。実際、

・グループ2はCDMAOneつながりでクアルコムの技術の採用
・グループ3は世界標準のGSM→GSM+W-CDMA/HSDPAの採用

の話が進んでいるはずです(もし違ったら教えてください)。というわけでそのままだとこうなります。実際、「グループ3」がインフラの準備をしているというニュースが出ています。

【中国】チャイナユニコムの WCDMA 設備入札、本日にも発表へ
https://japan.internet.com/allnet/20080926/8.html

中国 3G 戦争が益々白熱化している。中国移動(チャイナモバイル)と中国電信(チャイナテレコム)に次いで、中国聯通(チャイナユニコム)も26日に第一回目となる WCDMA 設備入札を正式に発表する予定だ。

入札対象となるのは200都市以上で、基地局数は7万近くとなり、その規模はチャイナモバイル(TD-SCDMA)の2倍となり、カバー都市の数で5倍となる。予想では、Ericsson、Nokia Siemens、Alcatel-Lucent、HUAWEI(華為)および ZTE(中興通訊)が入札に参加すると見られている。

というわけで、TD-SCDMAではない陣営は着々と準備を進めてしまっています。よってこうなりつつあります。

・圧倒的な「中国移動」+問題のある(かもしれない)TD-SCDMA
・現在はパッとしない陣営+確実に大丈夫な技術

日本でかつてこういうことがありました。

・第二世代の絶対勝者のドコモ+初期FOMA(地雷)
・まずい状態になっていた(はずの)AU+CDMA2000

これが再現するかもしれないわけです。事前にドコモが圧勝であったからこそ、余計にCDMA2000の優位が際立つ結果でした。

CDMA2000やW-CDMAに免許を出すのを遅らせたり、TD-SCDMAへの優遇がされるのかもしれませんが、どうなるんでしょうね。

で、もし中国移動がTD-SCDMAを大々的にサービスインしたものの、その後次第に弱小だったはずの他陣営に追い上げられた場合を考えてみます。ドコモの場合にはW-CDMAは世界標準だった事もあり、またドコモの脅威の執念によって再逆転がなされましたが、TD-SCDMAにそこまでの底力があるとは思えなかったりします。

・TD-SCDMAを生かすつもりなら、他の技術は最初から政治的に潰す
・そうでないなら、最初からTD-SCDMAは諦める

どちらかだと思えます。TD-SCDMA(+中国移動のパワー)が普通に他の技術と戦える状態ではないという前提が間違っていたら話が違いましょうが。

・中国移動がTD-SCDMAに入れ込んだ後で負け戦になる

場合によっては最終的に凄い事になってしまう場合すらありそうな気がするのですが、そう思うのは私だけでしょうか?


◆iPhoneもどきにキーボードがつきます

PRADAフォンというiPhoneもどきがあります。初代iPhoneの真似っこの一種でありつつ、意欲作だともみなされている電話です。

それの新しいものが出るようなのですが、それにフルキーボードがついているようです。

LGのPRADA携帯、第2弾はQWERTYキーボード付きで年内発売
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/14/news023.html

物理的キーボード論争がありますが、PRADAフォンの結論としては物理的キーボードが必要だと思ったようです。

もちろん、iPhoneの真似をしたところでiPhoneほど洗練されたものではなかったからこそ、キーボードなしの境地には到達出来なかっただけのこと、という解釈も可能です。

ただLGとしては、フルキーボード搭載は確実にコストアップにつながるものの、コスト増になっても「これをつけた方が儲かる」と思ったようです。

|

« 595 ドコモはLTEを慌てて導入しない / ドコモは全陣営を採用 | トップページ | 593 モバイルWiMAXの実機デモで、わずか1.7Mbpsしか出てない件 »

コメント

山寨機
http://kiyonari.vox.com/library/post/fake-mobile-phones--.html#comments

投稿: | 2008/10/16 22:27

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 594 中国で第三世代の「三方式が戦う」流れに / 「iPhoneの真似」には物理キーボードがついた:

« 595 ドコモはLTEを慌てて導入しない / ドコモは全陣営を採用 | トップページ | 593 モバイルWiMAXの実機デモで、わずか1.7Mbpsしか出てない件 »