601 値下げドミノ:ドコモがパケ代値下げ→ソフトバンク→?
更新する時間が確保できてなくてすみません。
しばらく前のニュースから。
◆ドコモが値下げ?値上げ?
しばらく前に、ドコモがパケ代を「値下げ」したというニュースがありました。
ドコモ、ソフトバンクよりも最低料金が低い3G携帯向け料金プランを発表
http://markezine.jp/article/detail/5142
ドコモは、大量のデータをやりとりする第3世代携帯向けのコンテンツやサービスの利用者のために、月額定額料が毎月の利用量に応じて変動する新しいパケット定額サービス「パケ・ホーダイ ダブル」と「Biz・ホーダイ ダブル」を10月1日から提供する。「パケ・ホーダイ ダブル」は月額1,029円から始まり、iモードのみの場合は上限が4,410円、iモードフルブラウザを利用する場合は5,985円となる。
つまりのところ、某社のダブル定額のパクリをするということのようです。「パケ・ホーダイ ダブル」定額ですから、略すと「ダブル定額」になってしまいます。デコラティブメール、略してデコメとかと似ています。
料金コース的にはあれとにそっくりです。
最低料金が1029円で、携帯電話の世界に閉じ込められてのパケット利用ならば4410円上限、フルブラウザなどを使うと、5985円になります。
ドコモの「Answer」の結論として、お客さんに意見を聞いてみた=調査したところ「他社のあれがドコモにも欲しい」という意見が多く、ならばドコモも真似しようということかもしれません。客の言うとおりにした、ということかもしれません。
基地局を立てて欲しいと言われれはすぐに立てようとする、他社のあれが羨ましいという意見が多かったら素直に真似をする、というようなことが「Answerのドコモ」なのかもしれません。
また、実は戦略レベルでの積極的な判断によるものであり、他社をあっさり真似する作戦にしたのかもしれません。業界の巨人ですから、他社の良いところを全部真似することを中心にし、物量で一位をキープする作戦は有効です。ドコモに革新性を求めている人にとっては、そういう作戦はつまらなくてしょうがないでしょうけど。
ニュースでは値下げっぽい取り扱いになっていますし、ドコモはこれで減収する(つまり儲からなくなる)ようですが、値下げなのか値上げなのかは微妙なところがあります。
下限が1029円になりましたから、使っていない人、ないしはドコモに多そうな「店員に言われて『安心』だと思ってオプションをつけているけど、携帯はほとんど使わない」「実は定額が得なのか検討したことが無い」ような人は値下げになります。
逆にいえば、一番儲け幅の多いユーザ(使いもしないのに料金を払いつづける客)から儲けられなくなります。
一方でパケット馬鹿方面にとっては定額上限突破は当たり前の世界です。そして、以前の完全定額の料金よりも二段階の上限の料金の方が高く設定されています。よって、パケット馬鹿によっては実質値上げという事になります。おそらくこのブログを読むような人にとっては値上げとなることでしょう。
よって
・某社のコピー
・「実は使っていない人」には値下げ(イラネ割)
・ある程度以上使っている人にとっては値上げ
です。
また、これで「見た目の安さ」がかなり改善する事になります。ソフトバンクがiPhoneでやったのと同じような値下げ感が生じる事になります。よって、
・「安く」なったので、パケット定額オプションをつける人が飛躍的に増える
・ドコモは月々○○円から、という比較で他社に対して優位になった
・でも、ある程度以上パケットを使う人にとっては実質値上げ
・ただしトータルでは儲からなくなるらしい
またこれは、引用元のニュースタイトルが言っているように、ドコモがソフトバンクよりも見た目安くなったという瞬間でした。
しかし、ドコモの方が安い(ように見える)というのはソフトバンクにとっては許容できないことでして、案の定あっという間に対抗策がとられました。
◆ソフトバンク、すぐに対応する
ソフトバンク、「パケット定額フル」下限額を値下げ
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/41505.html
ソフトバンクモバイルは、パケット通信料定額制サービス「パケット定額フル」の下限額を値下げし、月額1029円~5985円のサービスとして27日より提供を開始する。既存ユーザーに対しては自動的に適用される。
なお同社では、今回の値下げについて、NTTドコモの「パケ・ホーダイ ダブル」に対抗したものとしている。
孫社長はあいかわらず上手でして、ソフトバンクは気前が良いぞという感じでドコモにすぐに対抗した感じにしているようです。値下げするからには「さすがソフトバンク」と思わせたわけです。また、あまりに素早い対抗値下げ発表もソフトバンクの本領発揮でした。
ですが、この状況では半ばそのようにせざるを得なかったように思えます。ソフトバンクがここでドコモに対抗策を出さないわけには行かなかったのが正しいところではないかと思います。つまり、ソフトバンクには他に方法は無かったのではないかと思います。
料金コースはドコモ(や某社のあれ)と横並びということになりました。
結果としては、iPhoneが変な感じで追加値下げされた感じになったり、iPhoneの巻き添えで料金値下げになって喜ばしい状況だったと思われるソフトバンクのスマートフォンユーザがさらに値下げということになりました。
iPhoneの一回目の値下げは「2990円」になるなどギリギリのラインで計算されたものではないかと思われますが、思わぬ形で再値下げを強いられる事になりました。もし、2990円がギリギリのやりくりで生まれた料金だったとするならば、痛い値下げになったかもしれません。
値下げ自体は客へのインパクトはありますが、しかし2990円から「2324円」ですから、どうもインパクト感は強くありません。どうも能率の良くない価格になってしまったのではないでしょうか。最初の値下げのタイミングを誤ったと思っているかもしれません。
◆値下げドミノ
ドコモが意図してやったのかどうかは解りませんが、ドコモの値下げはギリギリで活動しているソフトバンクの命を削るような効果もあったのではないかと思います。
ドコモの値下げはソフトバンクに対抗値下げをさせて、自滅させるための作戦の一環かもしれません。
ドコモが値下げをした場合、どうしてもソフトバンクは対抗せざるを得ない状況があります。他の方法で対抗できるかというと、どうも難しいように思えます。
ソフトバンクにはホワイトプランがあり、ドコモはそんな大変な事はやっていません。ですから、パケット代やら他の料金がドコモよりも高くても本来問題ない(トータルではソフトバンクが有利ならよい)とも言えるはずですが、でも「ソフトバンクの勢い」を支えているものが何であるかを考えると、そういう理屈で対抗するのは困難で、値下げによって対抗しないのは難しいように思えます。
また、ソフトバンクがいろんな値下げをするとダメージを受ける陣営がまたあります。おそらくイーモバイルが被害を受けるのではないかと思います。イーモバイルはCMで「安い」と連呼していような次第でして、ソフトバンクよりも高くなる、ましてやドコモよりも高くなるわけには行かないからです。
ただイーモバイルにとってはそれでも、恐ろしい負荷がネットワークにかかる「完全パケット定額」よりも(次世代戦争も間近です)、音声端末でソフトバンクを食べてゆく方に将来を賭けるでしょうから、あのCMは正しいし、ソフトバンクが値下げをしたら自分達はさらに値下げをしてソフトバンクにプレッシャーをかけるくらいの事をする気がします。
ドコモはソフトバンクにとって痛いポイントを狙って「値下げ」を続ける事で、さらに攻撃を続ける事も出来ます。もしこういうことを意図しての値下げで、これからも攻撃が続くのだとすると今後えらいことになるかもしれません。
◆あまり影響を受けないAU
携帯にどっぷり使っている人たちの方面では最近評価の芳しくないAUですけれども、上記の値下げドミノとはあまり関係ない場所にいるのがAUでもあります。
かくなる方面の人からは「明後日の方向に行ってしまった」と評判の良くないAUですが、明後日の方向に行ってしまったということは、他社とは違う戦い方をしているということでもあります。例えばもしドコモとソフトバンクがとんでもない殴り合いを開始したとしても、AUは別のルールに守られるというわけです。
AUの現在の戦略が嫌いな人は結構居ると思いますが(特に携帯馬鹿の人には)、こうやって考えると巧妙な作戦を取っているようにも見えてきます。前々から時間をかけて、他社とは戦う場所がずらしてあるわけです。戦う場所がずれているということは、勝敗を決めるルールも違うということです。
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