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600 売れ行き不振だと言われる『iPhone』を「企業に売り込む」そうです

iPhoneですが、あんまり売れてないという話題が最近あります。それに関しての記事と、iPhoneを企業に売り込むらしいというニュースについて。


◆売れてない?

まず前置き。

最初に断っておきますが、iPhoneについてはこれまでいろいろ書いてきたとおりの感想を持っています。デジタルガジェットとしてはとても面白いと思うのですが、携帯電話としてはかなり難がある機種に思えるので一台持ちは厳しいし、かといって二台持ちにはお金がかかりすぎるなあ、という良くある感想を持っています。

二段階定額で見た目は安くなったけれど、実際に使うと月一万円くらいになってしまうだろう、という事も書きました。また、ソフトバンク視点で料金を見てみると、決して高い料金設定ではなくて、化け物級のパケット通信をすることを考えると、むしろ大丈夫なのか解らないほど安い料金に思えるということも書きました。

評価もしているんだけど難しい事も多いという風に思っています。

今回の記事はiPhoneにとって明るい話題ではないので、まず最初に無用な誤解を与えぬように悪口を言いたいが為の批判ではないという事を断っておきたいと思います。以下は、純粋に現状の情勢についての考察です。

まず一つ目の記事を、

【クローズアップ】どうなる スマートフォン戦線異常あり
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200809040080a.nwc

ちょっと前に出て割と話題になった記事です。基本的にはいろんな話題がだらだら書いてある感じでもあるのですが、話題になった部分は以下のあたりです。

≪アップル“敗戦”≫

 日本では100万台売れる-との予測もあったアイフォーンに、もはや当初の勢いはない。アップルとソフトバンクは販売実績を極秘にしているが、通信業界に詳しいUBS証券の乾牧夫シニアアナリストは「20万台前後で止まっている感がある」と推測。年内販売は控えめに35万台程度と見積もっていたが、それにも及ばない情勢という。

「iPhoneはあまり数が出ていない」というのは発売直後から言われつづけていることですが、この記事では具体的数字が挙げられています。あまりよろしくない数字が出ています。

発売される前には、iPhoneは短い期間で100万台売れる、みたいなことを言っている人も居たようですが、思いっきり外れてしまいました。記事で「日本では100万台売れる-との予測もあった」というのは、調子の良い予想をしていた人たちへのツッコミでしょうね。

私も手放しで褒められる機種ではないと思っていたので(発売される前からそういう評価を含む記事を書いていましたし)、馬鹿売れするという予想は無責任なんじゃないかと思ってみていました。ただ、もうちょっとくらいは流行るのではないかとも思っていました。しかしどうも予想外に激しい秋風感のようです。


乾氏は「新しい提案のある製品だが、日本向けに手直しせず発売した点で市場を見誤っていた。一定のヒットはしたが、戦後処理も必要な段階だ」とアイフォーン商戦を総括。携帯が電話とメール機能にとどまっていた欧米と異なり、「日本はすでにネット閲覧や音楽再生機能を盛り込んでいる。アイフォーンの新規性は薄い」と市場環境の相違を指摘した。

携帯としては微妙だし、高度に発達した日本の携帯を前提に考えると、決定的なものがあまり無いという良く言われる指摘です。

これだけだと「この記事が勝手に言っているだけ」とも取れるのですが、各種情報にはiPhoneがさほど好調ではないというような情報があります。そもそも売れ行きランキングにあまり良い順位で出ていませんでした。

iPhoneは話題性の後押しもありましたし、売れ行きが拡散することなく1機種に集中するので(競争相手が居たとして、競争相手は複数の機種に分かれている)、順位が上がりやすいはずだったのですが、在庫が十分な状態になってからも今ひとつ大きな動きがありません。

iPhoneが「事前の感じ」のようなヒットになった場合、容易に「売上一位が連発」になったはずですが、そうなっていません。

また、何らかの数字で示せる「好調の証拠」があった場合には、あの孫社長が発表で使っていないわけがありません。しかし、iPhoneが何らかの「記録」を作ったというを誇らしげに発表されるようなことはありませんでした。


◆あくまでも伝聞

個人的には売り方を間違っている気もしています。どうも、iPhoneを本当に可愛がってくれる人には結局敬遠されてしまい、勘違いして買ってすぐにほったらかし状態にするような人に向けて一生懸命売り込みがされているようにすら思えます。

なんとなくiPhoneが可哀相に思えています。そもそも、大量に売れるような機種じゃないような気がしていたのは確かですけども。

以下は上記の記事のようにちゃんとソースがあるものではなくて、単なる伝聞ではあるのですが(ということは念を押しておきたいと思います)、実情は上記の記事で示されているものよりももっと悲惨なようです。

出荷した数と実際に売れた数の差みたいなのがどうもあるらしいのですが、この差が大きいのではないかという話があります。また、売った後のクレームが多いので店員が困っているらしい事、返品の試みやら早期解約のような面倒が比較的目立つらしい事、あくまでも伝聞でしかないので完全なデマが混ざっているかもしれませんが、通常の大ヒット商品の感じでは到底ないようです。

もしかすると、20万台という数字よりもさらに下が現状を正しく伝える数字かもしれないということです。

また、買ったあとのiPhoneもなかなか悲しい状態のようです。「ひろゆき」さんが、「一ヶ月で飽きる」という予言(暴言)をしましたが、実際に調べてみると既に飽きられてほったらかしになっているiPhoneはかなりの比率で存在しているようです。よって予言的中の可能性があります。これも伝聞みたいな感じではあるんですけど(すみません)。

家電量販店の携帯売り場に行ってみても、iPhone売り場のデモ機は余裕で遊んでいる状態です。発売直後には長蛇の列で、手にとってみても電池切れの端末ばかりでしたが、今や触っている人が誰も居ないのが基本状態にすら思えるようなありさまです。iPhoneは無駄に数だけ揃って店頭で充電されているだけになっています。

身近でも、時間があるごとにiPhoneを触っていた人(まるでインタビュー時の夏野さんのように)が、知らない間に全く持ち歩かなくなっていたり、携帯電話とかにはあまり詳しくない人(ソフトバンクの電波が上位二社よりも悪いことすらまるで知らない人)が、ソフトバンクの普通の電話機と比べてというような意味で「iPhoneは相当電波悪いらしい」ということを言って回っていたりと、どうにも悪い話ばかりが発生中です。

たしかに普通の電話としては問題あるように思いますが(一台目としては薦められない)、もうちょっと愛好されても良い機種だと思うんですけどね。個人的には、なんか可哀相だなと思うようになっています。


◆売れないと困るかもしれない?

こういう次第ですから、iPhoneの二段階定額化については「販売不振ゆえの販売てこ入れがもう行われた」なんて言う人も居たりします。

アップルとの契約が実際どうなっているのかは(私には)解らないのですが、売れただけ仕入れる形ではなくて、既に「ソフトバンクは最低限○○万台は仕入れます」というようなかなりの台数の約束をしてしまっていて、売れ行き不振だと大量の不良在庫になってしまう事情があるという噂もあります。

そうでないのならば「随分と話題になったし売れなくても別に良いや」でも済ませられるのですが、状況によっては「売れてない」というのは非常に致命的な現象である可能性もあります。

多少(予定より)売れ行きが悪いのならば別に問題ないのでしょうが、山のように売れ残ってしまう感じだとちょっと厳しいことになってしまいます。


◆孫社長、iPhoneの法人向け販売に力を注ぐと発表

そして今日(昨日)、孫社長がiPhoneを法人向けに大規模に売り込むという発表をしています。

ソフトバンクがiPhoneを1500社に無償貸与、法人市場に攻勢
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080909/314491/

ソフトバンクの孫正義社長は9月9日、「iPhone(アイフォーン) 3G」を法人顧客1500社に無償で貸与する方針を明らかにした。この日の法人顧客向け説明会に出席した企業が対象で、上限は各社5台、最大7500台程度を用意した。貸与期間は3カ月間で、通話料や通信料はソフトバンクモバイルが負担する。

これを「iPhoneが好調なので、それに乗っかって超攻撃的な作戦に出たのである」という解釈をすることも可能だと思うのですが、「全然売れてなくて困り果てているんだな」という解釈をすることも可能です。

とりあえず、売れに売れていて在庫がないですよ、という状態ならこんなバラ撒きは出来ません。よって、バラ撒きが出来るくらいには端末があるということになります。

また、一部の「楽観的予想」が言っていたように、あっちこっちからビジネス用も含めたアプリが自然にドカドカ作られるということだったなら、てこ入れをせずとも今ごろはビジネスiPhoneの話題がメインの話題が通るところを行き来していたはずです。でも今出ている話題は珍しい系の取り扱いです。ただしこれが「今はそうではない」だけなのか、「将来もそうならない」のかは解りません。

孫社長も結構慎重な物言いのようでして、

ソフトバンク孫社長「iPhoneを生産性向上のための武器に」
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/41746.html

「iPhoneを使い始めて最初の2週間くらいは、いままでのケータイと使い勝手が違うため頭にくるかもしれない」と語る孫氏。その上で「業務で使うアドレス帳をコピーし、社内メールにアクセスできる設定を行い、手持ちのCDをデジタル化して持ち歩いてもらえば3カ月経ったときにiPhoneが可愛くてたまらなくなるだろう。われわれの感じている興奮が無料モニターで少しでも伝われば」と述べ、講演を締めくくっている。

「手持ちのCD」というのは社用端末にそんなもんコピーしたら怒られるだろう、と思うのですがそれはともかく、孫社長も「iPhoneが普通の携帯とは違うので」というあたりについては言及せざるを得ないようです。

またビジネスの現場をコストの観点から分析した場合にもiPhoneは有効だという。「平均的なビジネスパーソンにとって、デスクと会議室のちょっとした移動なども含めた『移動時間』がはオフィスアワーの約30%に上るという調査結果がある。年俸500万円の社員で計算すると約150万円分の無駄。セキュアで、いつでも持ち歩けるiPhoneを使ってこの時間も仕事できれば、端末や通信コストもあっという間に回収できる」(孫氏)。

「オフィスアワーの約30%」というのが本当かなという気がしますし、また、移動時間は移動時間なのでして(必要な移動ならばそれは「無駄」というのだろうか?少なくとも「その間」まで他の作業を強いられるほどの)、さらには移動時間には携帯電話で音声通話やメールチェックで使ったりノートパソコンを広げたり、紙のメモ帳を開いたりすることが出来ますが、これらとの比較はどうなんでしょう?

もしPDAっぽい形状のものが最適だったとしても、他のスマートフォンでも良くね?という気はします。iPhoneじゃ無きゃならない理由がこの発表からはよく解らないわけです。

また、外回り業務にドコモ端末のiモードやiアプリを用いるような方法は前からあるので、これと比べてどうなんだろうということも思います。

つまりのところ何が言いたいのかというと、例えば
・この記事をソースにして
・私の会社にiPhoneを用いたシステムを(金を払って)導入しましょう
という説得が可能かと言われれば実にごもっともなツッコミを多数浴びてしまうだろうということです。

正直なところ私には、iPhoneをビジネスに使おうという発想、将来的に正解になるのかどうかはよく解りません。ので、この記事は将来に渡ってもiPhoneのビジネス利用はダメである、という主張をするつもりは全く無いのですが(この点は念を押しておきます)、ただ現時点でどう判断すべきかと言われたら、慎重に判断すべきではないかと答えることになろうと思います。

また気になるのは、アップル自身にとってビジネス利用を意識する事自体が、3G端末の投入から始まった「新しい挑戦」、ないしは「再挑戦」であることです。つまり実績が無いということです。また、アップルが「やっぱりダメだな」と思った途端に撤退方向に進む可能性があることです。

ビジネス利用が最初から意図されている端末と比べると、ちょっと気になる点ではあります。


◆最初の話題に戻る

最初の話題に戻りますと、これは一般向けにiPhoneを売り込むのが大変厳しくなったので、じゃあ法人向けにダメ元でつっこんでみようと思ってのことである、ということも「疑われる」ということです。

つまり、販売不振が極まった結果であるということになります。この場合には、ビジネス端末としての適性が実際にあるかどうかということはあまり問題になりません。

「何でもいいから在庫を崩さないとピンチになった」というだけのことになります。この場合の作戦成功は「在庫が掃けること」ですから、実際に役に立つかどうかについては上手に煙に巻くのが正しいということになります。

そうではなかった場合には、孫社長が「自分で使った結果感じたこと」として、「これはビジネス端末としていけるぞ」という判断としてのことになります。つまり、iPhoneには本当に未来が詰まっており、孫社長はそれを開花させようとしている場合です。

その場合に気になるのは、孫社長の判断が正しいのかどうかです。これは「将来において正しい判断が出来る人か」という興味にも直結します。

例えば夏野さんに、「iPhoneってビジネスに使えると思いますか?」とか聞いてみたらなんて答えるんでしょうか。とても気になります。

ただ、夏野さんの答えが孫社長より正確と思えるかどうかと言われれば、そのあたりはどうも怪しいわけですけれども。

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コメント

SBMと孫社長にはお詫びいたしたい気持ちです。
以前、iPhoneユーザーの増加によるトラフィック増大のため、iPhoneに対する帯域制限が行われているという根拠の無いうわさで批難してしまいました。

「実際は、深刻な影響を与えるほどは売れていない」ようですので。

謝られても孫社長は
「いや売れてるって、売れるって!」
と取り合ってくれないかもしれませんけども。

投稿: TT | 2008/10/03 09:23

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