599 スカイ・クロラの原作者がソフトバンクに怒る、を聞いて考えた事
しばらくぶりの更新になってしまいました。
少し前に話題になったニュースを聞いて、考えちゃった事について少し書いてみたいと思います。
◆スカイ・クロラの原作者がソフトバンクのユーザサーポートの酷さに怒る
スカイ・クロラの原作者、と書き始めてしまいましたが、私自身スカイ・クロラが何なのかよく解っていなかったりします。そういう小説があって、最近アニメ映画化されたものだそうでございます。解る人にはその方が解るらしいので、引用元からそのまま借りてきました。
今回書こうと思っている「話題」については原作者であるということ自体は実は関係が無くて、単にこの人が「ソフトバンクに不満を持っておられる」ということです。とりあえず引用をしてみましょうか。
スカイ・クロラの原作者の森博嗣氏がiPhoneのトラブルでソフトバンクモバイルに激怒
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080925_iphone_mori_log/
作家の森博嗣氏がソフトバンクで購入したiPhoneの回線が突然つながらなくなり、ソフトバンクモバイルに持って行ったところ、「初期不良であることは確認できましたが、このiPhoneはソフトバンクで販売したものではないので、こちらでは一切対応ができません」というわけのわからない対応をされ、挙げ句の果てに「違法なソフトをダウンロードした可能性があります」というようなことを言われてしまい、かなり激怒したためなのか、連日に渡って自身のブログで事の顛末を書き立てています。
正確には「引用の引用」みたいな事になってしまいました。元のブログから引用しようかなと思ったのですが、無闇に長くなるのと今回書こうとすることとずれちゃうので、すでに引用してまとめてある記事を参照することにしました。
ちなみに元のブログはこっちで、回線がつながらなくなる事件が発生してから時系列でソフトバンクの困った対応に当惑する様が連載されています。
森博嗣さんのブログの2008/09/17日分
http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2008/09/17/index.php
正確には09/17日から始まってしばらくしばらくの間この件についての記述が(リアルタイムで)続いています。
おおよそこういう感じのようです(ちょっといい加減ですが)
・iPhoneが購入してちょっとするとつながらなくなってしまう
・ソフトバンクのサポートに「壊れちゃったよ」と言うも、滅茶苦茶な対応をされる。
・ソフトバンクは関係ないことでございます。
・わかりませんので
・しらべますので→そのまま放置
・他人の電話と入れ替わったのではないでしょうか?
・お客様が違法なソフトウェアをお使いになったからぶっ壊れたのです
・もはやどうやったら修理してもらえるのか状態。
・警察か裁判か、と思うところまで行くが、その前にアップル日本に直接連絡してみた。
・アップルは常識的な対応をしてくれ、15分で修理解決。
・アップル曰く、森さんは何も悪くありません。単なる初期故障です。
・ソフトバンクからは謝罪すらなし
ちなみに、ソフトバンクとの契約ではソフトバンクがiPhoneのユーザサポートをすることになっているとかです。
また森さんは、
考えてみたら、最初からiPhoneに対して、ソフトバンクの店は嫌々という感じだった。自分たちでは技術的に取り扱えないものを売らなければならない。できるだけ売りたくない、という態度が見えていた。
なんて事も書いておられます。以前の記事でも書きましたけど、どうやら携帯屋の店員にとってはトラブルが多すぎて売りにくい端末なんだそうですけど。
とりあえずソフトバンクのミラクルな対応が明らかになっちゃったという次第であります。
非常識であるな、という件については(私がこの記事を書くのが少し遅い事もあって)すでにあちこちで書かれているので、少し違う視点からこの件について書いてみたいと思います。
◆あんまり驚かなかった
これを聞いて思ったことが色々あるのですが、まずは順番に書いてゆきたいと思います。
まず私はあんまり驚きませんでした。というのも昔、YahooBB(ADSL)で同じような目にあった知り合いが居て、その時もソフトバンクはかなりミラクルな対応をなさっていたからです。ので、あいかわらずか~、と思ったのが最初の感想でした。
その知り合いは二度とYahooBBは使うまいと決意なさいまして、また再度同じような目に遭うのはもうこりごりということで考えた結果、結局フレッツADSL+自分でプロバイダに乗り換えてしまいました。
そして、iPhoneはやっぱり「面倒を起こしすぎる」端末なのだろうなとも思いました。森さんのブログの「店員が売りたがっていない」というのも、そういうことでしょう。売った後に面倒の多い端末は携帯屋は売りたがりません。iPhoneはこの意味で最悪クラスの端末だとか聞きますから。
森さんが怒るのはもっともな事で、そもそも自分がお金を出して買って、なおかつ「その間も」お金を出して維持している回線についてどうにもならなくなっているというのはちょっと耐えがたいことです。もしこの回線が「メインの回線」だったら本当に困った事になったはずです。
利用者としては、これでは明らかに困ります。ただし、サポセンの担当者の側で考えると、とんでもない事になっていて「こういう対応しか出来なくなっている」のではないかという気もします。
そもそもサポセンには訳のわからん苦情が日夜押し寄せてくるわけですが、来る日も来る日もiPhone関係の訳のわからん+難しい苦情が押し寄せてきていて、収拾がつかなくなっているのかもしれません。携帯屋の店員が売りたがらない(苦情や質問は店にも行くので)のと同じような理由で。
つまり、iPhoneはやっぱり「素人にはお薦めできない」代物だ、ということかもしれません。しかもそういうものをあんな売り方(むしろ解ってない人に売っている感じ)をしているわけです。
ただサポセンの担当者個人には同情するにしても、結局ちゃんと対応できていないソフトバンクそのものがよろしくないのは同じです。個人的には「昔から何も進歩してないのか」と思えたりもしました。
◆しかし考えてしまった事
おそらく森さんは、まともな知識(常識)のあるユーザなのではないかと思います。そして森さんを襲ったトラブルは、iPhoneにとって典型的な初期トラブルだったと思えました。アップルストアがあっさり解決しているあたり、典型的な問題だと思えます。
よって、このような状況をまともに解決できないサポセンはどうしようもないとも思えます。
ただ、じゃあサポセンを万全にすべきか、という話になると、もしかすると考えないといけない事があるのではないかという気もします。
もし現在iPhoneのサポート体制が崩壊しているとすれば、崩壊している原因は森さんのようなユーザへの対応が原因では無い、とも思えます。
伝え聞く話では携帯屋の店員は「うっかり悪質なアホにiPhoneを売ると、ものすごく面倒な事になる」ということをもう解っていて、うかつに売りたくない感じだそうです。同じ現象がサポセンでも起こっているかもしれません。
#ちょっと酷い表現も使いましたが、解りやすくするためですのでご容赦ください
もし悪質なアホ+iPhoneへの対応も含めて万全なサポート体制にするとなると、それは大変な事になるのではないかと思えます。
「そんなもの大変だろうと利用者には関係ない」と思うかもしれませんが、実はそうでもありません。サポートセンタもお金を使って維持されるわけでして、悪質なアホ+iPhoneにもしっかり対応できるサポセンというのは、おそらくコスト高になるのです。
ユーザサポートの利用は有料ではありませんから、サポセンのコストは利用者が平均に負担する事になります。ということはどういうことかというと、こういうことになってしまいます。
サポセンをアホ対応OKにする:
・アホがより高度なサービスを受けるために、真っ当なユーザが損をする形になる。
このブログを読んでおられる皆様は、ブログを読む能力があるという時点で私がここで言っている「悪質なアホ」には属しない人たちであろうと思います。
公平不公平の話といえば、機種変間隔が短い人と長い人の話が少し前にありました。また、AUの帯域規制も似たような話題かもしれません。ただし、機種変を多くするとかパケットをたくさん使う方向にお金を流すのは(至極いい加減は表現ですが)まだしも世の中を前に進める方向にお金を傾ける形になります。
しかし悪質なアホのためにお金を流すというのは、アホのコスト負担をアホでない方が行うという変な仕組みにも思えます。森さんがなさった「苦労」も、もしかするとアホのコスト負担をアホでない人が行った一形態なのかもしれません。
「商売というのはそういうものだよ」ということも思うわけですが(ということは念を押しておきます)、そうやって考えてみると、
・「アホであること」のコスト負担を「アホでない方」がする仕組みになっている
というのは他でもある気がするな、と思えてきます。
◆何か方法は無いものか
今回の件でソフトバンクのサポセンは問題があるということが暴かれてしまいましたが、実はもっとダメなサポセンなところがある、という話も聞きます。イーモバイルのサポセンはさらに一段階ダメレベルが高いところだと。
ただまあ、親切なサポセンはお金がかかるのだということを考えますと、サポセンがダメでもその分安いのならば、アホではない人や常識のある人にとっては良い傾向である可能性もあります。よってもしかすると、通信業界の新興勢力のサポセンがダメ揃いだとしても、それは合理的なことであるのかもしれません。
ただ、現状の「ダメなサポセン」というのは、こちらの意味においても結局ダメで、結局どうやってもダメな評価しかあげられないもののような気がしてなりませんけれども。
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