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598 北米モバイルWiMAXが(一応)サービスイン/AUばら撒く/欧州のiPhone

今日のいろんなニュースについて少しづつコメントをつけてみたいと思います。


◆北米のモバイルWiMAXが(一応)サービスインした

一時期は撤退すら囁かれていた北米のモバイルWiMAXですが、ようやくサービスインをなさったようです。とはいっても、とっても小規模にですが。

米SprintのモバイルWiMAXサービス「XOHM」がついに始まる,まずはBaltimoreから
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080930/158762/

米Sprint Nextel社は2008年9月29日,同社のモバイルWiMAXサービス「XOHM」を,米Baltimoreにおいてサービス開始することを明らかにした(発表資料)。(略)Sprint Nextel社は2008年9月中にサービスを開始すると発表していたが,ぎりぎり公約を守る格好となった。

「2008年9月中にサービスを開始しますよ」→「9月29日にサービスイン」ですから、まるで小学生の夏休みの宿題です。しかもサービスインしたとは言っても、ボルチモア(という都市)限定でのサービスインとなっています。日本でいう「試験サービスイン」以下のレベルです。

課金システムですが、ホットスポット的にするようです。

携帯電話サービスのような長期間の契約を結ばずとも,1日単位でサービスの利用が可能としている。無線LANのホット・スポットのようなサービス形態を想定しているようだ。サービス料金は,1日単位の利用で10米ドル,「Home Internet service」が月額25米ドルで,「On-the-go service」が月額30米ドルである。

無線LANの月額料金が何故成立し難いか、というのと同じ事情がモバイルWiMAXにもあるのかなと思ってしまいます。つまりエリア的にその程度なのではないかと。

で、速度ですが

「XOHM」ブランドで開始される今回のモバイルWiMAXサービスは,下り方向で平均2~4Mビット/秒の速度を実現できるという。

少し前まで大騒ぎされていたような速度感とはうって変わっての「インパクトのない数字」です。台湾の端末で出るとされていた速度もこういう感じでしたし、韓国から伝わってくる速度感も似たような感じですから、モバイルWiMAXとは結局のところこの程度の速度しか出ない代物なのかもしれません。

光ファイバ並みの速度をモバイルで安価に使い放題する革命的技術だ、なんていう話を信じていた人にとってはこれはショックな数字かもしれません。

しかもこの数字は「混雑」は考慮していない数字ではないかと思われます。KDDIの方がハイレベルなWiMAX網を整備するとは予想されますが、日本でもこういう程度でサービスインする事になるかもしれません。ただこれでも、世間的にはガッカリ感だとしてもイーモバイル(や現行世代のPHS)にとっては困った存在になるでしょう。


◆AU、ユーザ獲得で一万円を撒くようです

au、新規契約ユーザーに1万円キャッシュバック
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/42028.html

auは、新規契約ユーザーを対象にした1万円のキャッシュバックキャンペーンを実施する。期間は10月1日~31日。沖縄を除く全国で実施される。

キャンペーンの対象となるのは、(1)MNPを利用してauに乗り換えたユーザー、(2)22歳以下で新規契約したユーザー、(3)50歳以上で対象機種で新規契約したユーザー。上記のいずれかの条件を満たせば、もれなく1万円がキャッシュバックされる。なお、(3)の対象機種は、W62PT、URBANO、A5528K、A5529T、A101K、A1407PTの6機種。

お金を撒いて10月の契約者数を底上げなさるようです。

増やしたいのは、
・MNPのポートイン
・大学生以下の新規契約
・URBANOとかに釣られた年配の方

最初の二つについては以前からの流れのてこ入れに思えますが、最後の一つは戦略的にも見えます。らくらくホンが嫌なシニア層を取り込もうとなさっているようです。

またもしかすると九月の純増数があまりよろしくないのかもしれません。


◆日本の「iPhone減速」は欧州での販売結果と同じ感じ

発売前の私の記事にも実はそういう感じのことを書き込んでいたのですが、欧州ではiPhoneは最初に盛り上がって売れたものの、その後にあっという間に減速してしまってあまり売れていません。

欧州編●初代iPhoneは苦戦,割安価格で巻き返しを図る
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080924/315303/?ST=network

2G版の初代iPhoneは,米国に比べて欧州での売れ行きは決して良いとは言えなかった。例えばフランスではフランス・テレコム(ブランド名「オレンジ」)が11月から販売を開始し,発売初日から最初の5営業日で3万台を販売して好スタートを切ったものの,人気は長く続かず最終的には約10万台にとどまったという。ドイツもT-モバイルが11月から販売していたが,販売台数は4万台程度にとどまったようだ。

最初の瞬間風速だけでその後は一気に減速していたというわけです。しかもフランスは日本と並んでアップルに「好意的」な人が多い国のはずですがこの有様です。

そして売れなかった理由ですが、これも日本と似た感じです。日本では日本の高度な国産携帯と比較されたことが難しい状況になった理由ですが、欧州ではノキアなどのハイスペック携帯の文化があり、これと比較されてしまったようです。

初代iPhoneが欧州で振るわなかった理由として,(1)本体の価格が高い,(2)2G(GSM)ではデータ通信を満足に利用できない,(3)iPhone対抗の端末が豊富にある──などが挙げられる。特に欧州市場は,フィンランドのノキアのシェアが高い。「ノキアを中心に欧州の端末ベンダーが,iPhoneに対抗できるマルチメディア端末を数多く投入していた。それらに比べてiPhoneは高額だったため苦戦を強いられた」と,情報通信総合研究所の渡辺研究員は分析する。

日本と似たような感じに見えます。

なお、この記事ではiPhone 3Gの初動は比較的良好である、と続いています。その理由としては3Gが販売奨励金モデルを持ち込んだことで見た目安くなったことと、3G対応して高速になったことが挙げられています。ただし、2Gの時にも販売直後の売れ行きは悪くなかったのでして、今後どうなるか次第です。

またイタリアでは散々なようでして、やっぱりイタリアでも「発売前にはメディアで騒動になった」ものの、

世界的なiPhone 3Gフィーバーに対する一般のイタリア人の反応は冷静だ。その理由を知るため,2008年7月28日~30日にかけて,ボローニャ市在住で18歳~68歳までの携帯電話利用者100人を対象に聞き取り調査を行った。質問は「あなたは,iPhone 3Gに興味がありますか」とごく簡潔にした。

この結果,71%のユーザーが「興味がない」と答えた(図1)。興味がないとした回答者に対して,さらに「なぜ興味がないのか」という質問をしてみたところ,最も多かった回答は「値段が高すぎる」で62%だった。iPhone 3Gの8Gバイトモデルの価格は,TIMのプロモーション価格は199ユーロだが,通常価格は499ユーロ。これは,ボローニャ市ではシェア(共有)型アパートの家賃1カ月分に相当する。これに次いで,「使い勝手が悪い」「現在の機種に満足している」との意見も多かった。

これはなかなかの感じでして、
・71%のユーザーが「興味がない」、18%が「興味がある」
・「値段が高すぎる」62%
・「使い勝手が悪い」20%
・「現在の機種に満足している」11%

「高すぎる」はともかく、その次に「使い勝手が悪い」が来ているというのがなんともです。

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