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603 WiBroは引き続き泥沼中/TD-SCDMAが世界進出宣言?

隣国の(自称)独自通信技術についての記事を書きたいと思います。


◆WiBroがピンチなので音声通話をサポートします?

VoIP番号移動やWiBro音声通話など、韓国の通信分野活性化に政府が柔軟姿勢
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/08/22/041/

色々書いてありますが、まずこの部分。

|WiBroで通話が可能になる可能性

VoIP問題と同じく同委員会が「早めに検討する」との方針を明らかにしたのが、WiBro(韓国版のMobile WiMAXサービス)の問題だ。

WiBroは韓国で2年以上サービスしてきたものの、加入者は約20万人と不振だ。WiBroの中継器などを供給する中小企業も「(2008年)第4四半期は、大部分が赤字だった」(放送通信委員会)という。こうした状況を打破するためにも、WiBro機能をグレードアップする目的で、音声通話機能搭載ということが以前から叫ばれていた。

ただし同委員会でも、すぐに音声機能導入とはいかず、あくまで音声機能を導入の可否を検討するという立場だ。WiBroに音声通話機能を搭載すれば、携帯電話をはじめとした既存の無線事業者との衝突が予想される。何より利用者がそれほど多くないことも、こうした決断を遅らせている要因の1つであり、今後慎重な検討が必要となりそうだ。

少し前までは日本でもWiBroが変な持ち上げられようでしたが、現状としてはどう考えても不振です。国策で国家レベルで持ち上げておいて20万人ですから。

日本国内での日本叩きにWiBroが使われていた時期があったりもしました、韓国はWiBroという凄い独自技術を開発したIT先進国であり、一方で日本はこんなにダメでもう駄目で未来は無い滅びる、というような取り上げられ方です。

実際にはWiMAX(モバイルではない)を韓国が勝手にモバイル化したものだったわけです。ただ、韓国国内では、
・WiBroは韓国オリジナルの技術である
・WiMAXは韓国の技術が基になっている
という誤解が広まっている、ないしは広められている気がします。

自己反省過剰な日本もどうかと思うんですが、こういうのも困った現象です。またモバイルWiMAX陣営というのは、こういう風なWiBro関係者も内包してしまっているということになります。

最初はWiBroで世界征服するような掛け声でのサービスインだったようですが、結局加入者数は伸びず、ここしばらくではとうとう「バラ撒きでの加入者増やし」という最終作戦までとられていました。HSDPAとのセットで配るというよな意味不明なことまでされたとか何とか。

韓国の人はWiBroを韓国の素晴らしい独自技術であると誇らしげに言ったりしますが、利用しているんですかと聞くとこういう有様ですから当然に契約していません。エリアが悪すぎるしHSDPAと比べてよい点が無いというようなことでの不満表明付きで。

最初の発言と次の発言に矛盾がありますが、その点については「電話会社がやる気が無いのがいけないんだ」ということで電話会社が槍玉にあがるとか。欠陥技術である可能性にはあまり思い至らないようです。

で、今度は音声対応させるんだそうです。既存の無線事業者との衝突を心配なさってますが、問題はそこではないような気がします。データ通信で不評なエリアのものを、音声対応させて誰が使うのだろうとは思わないのでしょうか。

また、この会談自体がトンマな理由でおこなわれておりまして、

今回会談を開催したのは、IT分野における雇用創出や中小企業の倒産防止といった問題を解決したいとの思いが根底にある。それには「IT事業の連鎖の最上位にある」(放送通信委員会)通信業者による投資が必須となるが、最近通信業者は熾烈なマーケティング競争を繰り広げており、そのためになかなか大規模投資にいたらない状況に陥っている。このままではいずれ事業者の体力が消耗して、関連業者や消費者の利益にもならないということで、政府が状況打破に乗り出した形だ。
無線通信会社と有線通信会社別の投資額とマーケティング額の比較。いずれも投資額の半分以上をマーケティング費用が占めており、とくに無線業者は投資額をマーケティング費用が大きく上回っている(放送通信委員会資料)
通信会社の経営を圧迫するマーケティング費用に関しては、同委員会では「直接規制することは避ける」とし、あくまで通信会社による自律的な統制に任せるとしている。ただし、「マーケティング費支出現況点検」などと銘打ってモニタリングを強化していく方針を明らかにした。

きつい言い方をすると、各社が暴走しすぎて共倒れになりそうなので政府主導で業界談合をさせますというような集まりだったようです。

笑いたいところですが、日本でも一部で共倒れの予感がありますので他人事では無い面もあったりします。世間の空気が暴走フィーバーな状態で自重を続けるのはかっこ悪いのですが、そこを我慢するのが本当の大人の対応なこともあります。韓国では無理だったようです。


◆TD-SCDMAが世界進出宣言

とうとう北京オリンピックも終わってしまいまして、TD-SCDMAについても最低限は国家のメンツが問題となる事はなくなりました。

世界全体を見ると手遅れ感のTD-SCDMAで、しかし中国が技術鎖国すれば生き残るかもしれないという微妙な状態のTD-SCDMAですが、こんどはこんな事が。

中国、独自の3G通信規格「TD-SCDMA」の世界進出を宣言
http://www.ipnext.jp/news/index.php?id=4313

中国科技院院長は22日、中国独自の第三世代移動通信技術(3G標準)「TD-SCDMA」の世界進出を進めていくと発表した。欧米主導となっている現在の移動通信技術の構造に対抗すべく、大規模なネットワーク試験などを行い、市場を開拓していくという。

最終段階に到達しつつあるCDMA2000やW-CDMAと、まだまっすぐ歩けないTD-SCDMAを国際市場で競争させようということだそうです。

念のために書いておきますと、TD-SCDMAには可能性ゼロだとは思っていません。北欧の割り当ての記事で書きましたが、TDD帯域にはTDDの技術しか使えないのでそこに力技で入り込める可能性もありますし、技術的に劣っていても及第点に到達していれば、中国政府の支援と圧力付きでの導入(酷いやり方ですが)とか、超巨大市場中国のスケールメリットをフル回転させた攻撃とかも可能かもしれません。

よって、日本の2.0GHz帯(TDD)にTD-SCDMAで手を挙げるようなことも、作戦としては検討されるべきことではあると思います。暗に明に中国政府の支援はもらえるでしょうし、もし化けた場合には超当たりくじです。ただ、中国大陸自体が技術を見捨てた場合には悲惨です。基本的に相当リスキーな選択肢になるでしょうが。

純粋に技術的に見た場合には厳しい状況である事には違いありません。これからTD-SCDMAが大化けして立派な技術になる可能性もあるのですが、ただ、他の二陣営に比べてあまりにも遅れすぎているのが厳しいところです。HSPA+かLTEかの話をしているときに、新しい第三世代の話では・・

#繰り返しますが、しかしながらTD-SCDMAが大化けする可能性も同時にあります

また、中国の人はこういう時に「意味のわからんぐらい大言壮語する」という癖があるようにも思えますから(あれは真に受けてはいけない)、天然でこういう感じになっているだけかもしれません。本当にそう思っているかどうかということではなくて。


中国はすでに同技術を発展させた独自の4G規格「TD-LTE」を策定。次世代の移動通信技術で国際競争力の強化を図っている。

そして、独自の「LTE」も開発しています、とのことです。おそらく独自という感じでもなくて、やっぱり似た感じになるはずです。

エリクソンや他のところが手がけているLTEのTDD版とはまたそれぞれ違うはずです。ちなみにエリクソンがLTEのTDD版を造っている理由の一つには、中国を狙っていることがあるはずです。

で、LTE(=自称発展版)といえば3.9世代なのが通例です。第三世代を発展させた結果という事になっている場合はそうです。中国のこれも「同技術を発展」とあるのですが「4G規格」と名乗っています。3.9世代と名乗るとまた世界から遅れてしまった感じになるので、世代数だけでも増やしたようにも見えます。

ちなみに、いわゆる普通に言われる「LTE」は3.9世代と言われていますが、その実態は「4.0世代-0.1世代」でして、実質的には第三世代とは見なし難い存在です。そこで第4世代を名乗らないのは、第3世代と名乗るものが「現在」持っている利権から離脱しないためです、のはずです。区別にはあんまり意味がありません。

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コメント

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>そろそろ京セラからジャケットフォンな新機種が発表されていてもおかしくないのですが、どうなったのでしょうか?

蜜蜂が売れすぎたので様子見しているのでは?
W-SIMは小ロットで利益を回収できるはずですが、そうでない蜜蜂はまだ回収途上かも。
まだ蜜が吸える。。。まだ、まだ。。。
と思っている間に時間がたって、お蔵になった
なんてことだけはないように願いたいっす。

個人的には京セラ(京セラミタ)と遠縁関係になったKESとの開発協力とか期待したいですが。

投稿: TT | 2008/08/25 23:15

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