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2008年7月の23件の記事

携帯のモックアップに「画面の写真」を貼らないほうがいい?

少しだけ。主にウィルコムに言いたいことかもしれません。

ずっと前から気にしてたことだったのですが。


◆モックアップ

携帯電話売り場では、何種類かの方法で携帯端末がお客に紹介されています。

ポスターとかパンフレットとか店員がマイクで何か言っているとか、いろんな方法があると思いますが、一番のものといえば、やはり「モック」の展示になると思います。

そしてモックには二種類のものがあります。

・電源が入っているもの:ホットモック
・電源が入らない模型

電源が入らない模型のことを、以下単に「モック」と記すことにします。そしてこの記事は「モック」についての意見です。


◆画面の部分

モックは模型ですから、本物と質感がいろいろ違う事があります。なんか塗装の質感が安っぽいなとおもったらモックだけだった、というようなこともあります。

例えば、ウィルコムはちゃんとしたモックを出しましょう、みたいな事が言われることがあります。でも、本物と同じ部品を使ってモックを作ったらすっかり解決するか、というとそうもなりません。

というのもモックではどうにもならない部分があります。それは、
・液晶画面
・ランプの部分やキーボードのバックライト
などです。

模型なんだから動作しないわけで、「液晶画面」はありません。また、ランプも光りませんし、キーボードのバックライトもつきません。だって模型だから。

バックライトがつくとキーの部分が綺麗に見える端末なんかはもうどうしようもない気がします。特に、夜にキーボードのバックライトが光るととても美しいな、という端末もあると思うのですが、ホットモックであったとしても売り場では伝わりませんね。プラズマテレビ販売の悩みのようなことがあるかもしれません。

画面の部分ですが、伝統的には「動作している画面のようなもの」を貼り付ける形で「画面ですよー」としていることが多い/多かったと思います。でも、この部分って安っぽく感じる事が多くありませんか?


◆動作画面を貼るのは止めよう?

動作している画面と全く同じ感じをうけるものを写真として貼ることは困難です。なぜならば、画面は「自ら発光している」からです。写真は入射光の一部を反射する事しか出来ません。しかし、実際の画面は光っています。入射光以上の光が出ていないといけないのです。

そして「光っているものの方が綺麗に見える傾向」があります。さらに、最近の液晶はそもそも明るくて綺麗ですから、写真を貼り付けた場合との落差はどんどん大きくなります。

ですから、写真を本物そっくりにする路線はなかなか難しい事になります。

ウィルコムの端末のモックは律儀に「動作画面ですよ」というのを張ってあります。たとえばWILLCOM 03では、なんかサッカーしてんなーみたいな壁紙で待ち受けしているみたいな写真が張ってあったりします。

WX321Jだと実際の動作画面そっくりにしたかったであろう写真が貼られていますが、しかしWX321Jの実機の美しい液晶画面から受ける「印象」と同じ物をモックの写真が放射できているかというと、それは全く出来ていません。

京セラの端末だとなんかゲームしてんなーみたいな画面だったり、nineだとなんか良くわかんない写真が張ってあったりします。

#光っている光っていない以前に写真のチョイスがどうなんだろうと思うところもあります

そう思って携帯売場を歩いて回るとわかるのですが、いかにも動作画面みたいなものが張ってないモック、ないしはそういう感じのものを貼るのを避けているモックがあります。

説明の例としては微妙なものになりますが、ソフトバンクの822Pを例にしてみましょう。

http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/38168.htm
http://panasonic.jp/mobile/softbank/822p/

まあ、「実際の動作画面もそういう感じ」ではあるので不適切な例にも思えますが、店頭で822Pを見ると、画面の部分には「高級感のするテクスチャ写真」が張ってあります。

つまり、そういうものを張ればモックから「良いイメージ」がするだろうということです。


◆高級感のするテクスチャを貼れ

実際の動作画面の画面写真を貼り付けましたー、ではなくて、実機から放射させたいイメージと同じイメージを放射する写真を貼ってしまいなさいということです。同じ写真を貼ろうとするのではなくて、同じ「イメージ」を貼り付けなさい、と。

たとえば、高級感のするテクスチャを貼っておけば、それなりのことになるでしょう。少なくとも間抜けな動作画面風のものよりは。

#ただ、実機との落差があんまりになりすぎてモック詐欺みたいなのが横行しても困りますが

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613 iPhoneとジョブス師匠の「省略病」

このネタについてそれほど詳しくて書くわけではないので、間違いなどはご容赦ください。

ジョブス師匠の
・演説魔力
・なんでそれを省略する?
・思い切り過ぎて使いにくい

iPhoneで色々言われている件について、昔からそういう人なんじゃないか、というようなことを書きます。

土日に誰かにこういう説明をしたら面白がっていたのでブログにも書いてみます。


◆ジョブス師匠

以下、基本的に必要以上に茶化して書いてますので、怒ったりしないでください。その方が読む人が面白いというだけの東スポ的理由で(すみません)やっています。

まず、この記事のために無茶苦茶に省略した略歴を載せて、それをベースに適当な事を書き散らしたいと思います。

ジョブス師匠の歴史:
・スティーブ・ウォズニアックとつるんでアップル社を作って成功する時期
・マックを作って、その後アップルを追放される時期
・NeXTというコンピュータを作るが今ひとつな時期
・アップルに戻ってきて現在に至るまで


◆スロット要らない事件

アップルといえばマックのイメージがありますが、「マックがアップル」になったのは途中からです。

そもそもはスティーブ・ウォズニアックという天才が良く出来た個人用コンピュータを作り出して、それを「手作業」で作って売ったところ好評で、そんでもってアップルを起業してそれの改良品を大々的に売って急成長したというのがアップル社の最初です。

で、ジョブスはそのコンピュータの拡張スロットの数が気にいらなかったようです。

ジョブス:「拡張スロットは一つにすべき、むしろ無しにしたいくらいだ」
ウォズ:「そんなのは絶対だめだ」

結局、コンピュータは「スロット4つ」で売り出されました。で消費者はどう思ったかというと、「四つでも全然足りません」。

その他:
・ジョブスは起業をためらったウォズを、「言葉巧みに煽って」アップル社を設立させる
・その他の人も、ジョブスが「言葉巧みに」設立に関与させる
・ただ、コンピュータそのものはウォズがほぼ独力で作った

ちなみに、ウォズさんは比較的初期にアップル社を去っています。この人、面白い事こそが大事でお金は全然気にしないような人なので(一方でジョブスは起業以前からビジネス=お金に執着)、ついてゆけなくなったようです。

ウォズさんは気にしてないようですが、ジョブス師匠はいまでもウォズさんを嫌っているようです。伝説の二人が再度仲良くする日はおそらく来ないような感じです。


◆マック

アップル社はウォズさんの作ったコンピュータで順調に成長していたのですが、他社、具体的には現在のウインドウズパソコンの直接の祖先にあたるIBMのパソコンの登場などによって、だんだん分が悪くなってきます。

次世代機が必要になりました。

で、LISAという次世代機プロジェクトができます、LISAというのはジョブスの娘の名前でした。

(以下については諸説あるようですが)ジョブスはゼロックス社で、こちらも伝説的人物のアランケイが開発していたALTOというマシンを見学します。で、ALTOに衝撃を受けたジョブスは・・言うなればALTOを真似することにします。

ジョブスは最初からLISAに「いらんこと」をしていたようですが、ALTOを見てからLISAをALTOのようにしようとして本格的にLISAの開発に過剰に口を出しはじめます。で、当時の(実務を取り仕切っていた)アップルの社長は、ジョブスを野放しに出来ぬと判断し、ジョブスをLISAから追い出します。

ジョブスは今後は社内の別プロジェクトの「マッキントッシュ」に張り付いて乗っ取ってしまい、全く同じ事をします。

・ALTOみたいにしろ
・拡張スロットは嫌いだから無くせ(今度こそ本当に無くなった)
・基盤の回路パターンが美しくないから作り直せ(そんなところ見ません)
・フロッピーの取り出しボタンは無粋だから無くせ(マックのフロッピー閉じ込め事故の原因)

結局これがアップルの次の主力になったわけですけれども。


◆追い出される

LISAとマックあたりの件でジョブスとアップルの社長と険悪になってアップルの社長が居なくなってしまいます。その結果、代わりが必要になります。で、ペプシの社長をジョブスが引っ張ってきます。この時にも口説き文句で伝説を残しています。

・ジョブス:砂糖水なんか売ってないで、世界を変えませんか?

結果、ペプシ(砂糖水)の社長は、アップルの社長になります。が、元砂糖水の社長もしばらくして、ジョブスは要らん事をしすぎだ、と思うようになり、ジョブスはアップルから追放されてしまいます、自分が呼んできた社長に。

次にジョブスは、プロ用のパソコン?を作ろうとします。NeXTというマシンでした。

でやっぱり、同じ感じで作らせ始めます。

・フロッピーは古いので廃止、MOドライブを標準装備の起動ドライブに
・マシンの形は(加工困難な)マグネシウム合金の1フィートの立方体で
・画面表示をプリンタ出力と共通にしてポストスクリプトで(画面表示なのに)
・UNIXをもとにNeXTSTEPという独自OS
・当時はまだ普通じゃなかったレーザープリンターが標準
・予算オーバーに次ぐ予算オーバー
・結局、値段は数百万円にもなってしまう

今度はジョブスを止める人が誰も居なかったので、徹底的に尖がったマシンが出来ました。

ジョブスは未来を先取りしたマシンだから高くないと言い、一部では高い評価を受けたようですが、結局売れず商売としては失敗になります。会社が沈没寸前になったので、ハードウェアを捨ててOSだけのメーカーになります。OSをIBMのPC(つまり「ウインドウズパソコン」)に移植したりしますがうまく行きません。

今度は失敗しました。


◆アップルに戻る

砂糖水社長はジョブスを追い出した後にマックで順調に儲けてゆきました。ただ「マックの次」をうまく準備できなかったのでアップルはおかしくなります。

ウインドウズ95が発売されますが、アップルには古くなったOSしかありません。独自開発していた次世代OSもありましたが、これも開発に失敗していました。そこで、次世代OSを外部から用意して立ち直る必要がありました。

候補は以下の四つ
・マイクロソフト:WindowsNT
・サン:Solaris(UNIX)
・BeOS
・NeXTSTEP

マイクロソフトの軍門に下るとか、サンに買収されるという話もあったようですが、それ以外のOSを買って自分で何とかする方向になったようでした。そして下の二つが残ります。

BeOSを作ったのも、元アップルの社員のジャン=ルイ・ガセーでした。しかもジャン=ルイ・ガセーは「ジョブス追い出される事件」で追い出すのに加わった人間でした。

BeOSはまだ十分に完成していなかったものの、まさに未来的なOSであったためにジャン=ルイ・ガセーは勝利を確信します。普通に考えてBeOS以外に選択肢無しだろうと思っていたようです。

ところがジョブスが勝利します。なんでも聞くところによると、

・ジョブス:印刷機能も無いOSを採用して良いんですか?

これから採用するOSの評価にあたって、印刷機能のあるなしなんて本来問題ではないわけですが。

創業者のジョブスはアップルに復帰します。ところが、ジョブスは自分をアップルに呼び戻した人(ジョブスのOSを選んだ人)をアップルから追い出してしまい、さらに内部でいろいろやった結果、ジョブスがアップルの皇帝になります。つまり現在の体制になります。

OSとしてはNeXTが劣っていたように思いますが、アップルはOSではなくて「ジョブス」を購入したとするのならば、正解だったのかもしれません。


◆iMacの省略

まずは次世代OSができるまでの時間稼ぎ的なOS(アップルが独自開発していた次世代OSの外観を従来のマックのOSにかぶせてかっこよくして、機能的には小改良したもの)を開発したり、iMacを発売したりします。

iMacは機能的には(世間で斜陽だった)それまでのマックと同じで、それをカッコイイデザインに落とし込んだだけなのですが、ジョブス師匠は世間にうまくアピールして、アップル復活開始のシンボルにしてしまいます。

でiMacですが、これもまた「省略」されていました。iMacにはケーブルを差すところがほとんどありませんでした。

当時はまだアナログモデムで電話回線に接続する時代だった、ということを考えに入れてください。たしかケーブルを(差せる)ところが、

・電源ケーブル
・電話線をつなぐところ
・キーボードとマウス
・USB1.1が一箇所(一箇所くらいは無いとプリンタにも接続できなくなるので)

という何も無い状態でした。マシン内部に非公式な「拡張スロット」が存在してはいたのですが、これもほどなく消滅します。使っているうちに不足を感じてもどうしようも無い感じでした。どこまで拡張性が嫌いなんでしょうか。


◆で、iPhone_

その上でiPhoneについて考えてみましょう。

・全面タッチパネル
・バッテリーは交換できません

・なんかすごくカッコイイ
・でも日常的に使うとあちこち困る(だから二台持ちが)

・初代iPhoneが発表される際の「アップルは今日、電話を再発明します」のジョブス師匠の煽り

・などなど

ジョブス師匠またやってるぞー、と思えてきませんか。

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614 ソフトバンクのあの人が、「iPhoneは無線LANで使って欲しい」/「PC定額は他社の罠」

ソフトバンクの「なんちゃって基地局」のあの人が、iPhoneのトラフィックについて、PC定額をしない件についてインタビューに答えています。


◆「iPhoneは無線LANで使って欲しい」

孫社長の「基地局の数を46000にする」の達成できなかった無茶苦茶目標の遂行を押し付けれて困り果てたことのあるあの人が、iPhoneのトラフィック問題への質問に答えたり、PC定額はしません(したくないです)という発言をなさっています。

3Gネットワークは正直言ってドキドキ--宮川潤一 ソフトバンクモバイル取締役専務執行役CTO(1)
http://www.toyokeizai.net/business/interview/detail/AC/41ae5c76a7018abe6289b53e0351a417/page/1/

インタビュー記事ですね。記事は要点を抜粋して書いている感じです。ソフトバンクにとって難儀な質問についても、結構直球でお答えになっています。

まず、iPhoneが高すぎるといわれている件については、

――データ定額5985円という料金は「ソフトバンクは安い」というイメージから離れているように感じます。

確かに音声中心のユーザーからは高く見えるでしょうが、法人やよく使う人から見れば、ドコモのデータ定額が同じ5985円なので高くは感じないと思います。

携帯電話とは別にパソコンで使うデータカードを契約している法人ユーザーにとっては、むしろアイフォーン一つで事足りるわけで、そうとう安く感じるかもしれません。

高いのか安いのかということについては以前記事にもしました。私の記事でも「ソフトバンクは安い」というイメージからすると相当に高く、さらに一般人的にも高いように思えるはずだと書きました。ただ、スマートフォン方面の事情を知っている人間にとっては安く思えたりする事もある微妙な料金だと。

記者は、世間一般の「高くないですか?」をぶつけていて、答えとしては「従来の状況を解っている人」(「よく使う人」)にとっては高くない」という想定内の答えです。ただ「アイフォーン一つで事足りる」というのはどうかと思いますけどね、ちょっと無理があるように思います(まあ、高いとは言えない立場なのかもしれません)。

ちなみに、この方はソフトバンクで基地局建設のような事をなさっている方なので、この質問自体微妙ではあります。担当者じゃないので。

そして以降は、この人が社内で担当している系の質問になりまして、結構面白いことになっています。記事の記載が各種の話題で入り混じっているので省略したりして引用します。省略部は(省略)で示します。

まず、iPhoneのトラフィックで混雑したりしないですかという質問。

――3Gのネットワークがパンクする心配はないですか。

そりゃ不安ですよ。一機種がもたらす通信量としては莫大(省略)。結論を言えば、アイフォーン導入に向けて準備をしてきたので大丈夫。

「準備してきた」という発言になっています。ただ、iPhoneの発売自体が結構急に決まったはずで、なおかつ基地局の建設はすぐにできることではないので、これはちょっと怪しいです。しかもソフトバンクは最近基地局数を増やしていません。

本音が出ているのはむしろ以下の部分ではないかと思います。

でも、実際の動向を見てみないと正直ドキドキですよ。自宅でWi‐Fi(無線LAN)経由でつないでくれる人が、5%いるのか10%いるのか。ヘビーユーザーが少しでもそうしてくれるとかなり楽になる。発売後2週間は特別体制でネットワークの状況を見続けます。

――無線LAN接続を推奨していく必要がある、と。

僕が管理している投資を削ってでもいいから、アイフォーン購入者には無線LANルーターを1個ずつプレゼントしたいと思っているくらい。自宅ではぜひ無線LANでつないでほしい。You Tubeやナビなどは、3Gネットワークよりもサクサク動きますから。

実際の動向を見てみないと解らないというのは、そりゃそうでしょうね。どんな人が買っているかすら解りませんから。iPhoneをブラウザ的に駆使する人(本来想定されたと思われる使い方)が多数なら、トラフィックはうなぎのぼりになるはずです。

ただ、iPhoneは発売後思ったよりも人気爆発にならなかったので(ネットで慎重意見が溢れているように)、玄人は購入を回避している可能性もあります。

ファッションで買ったミーハー層は、逆に買ってから「使いにくさ」に音を上げているはずで、そうなると通常の端末よりもトラフィックは少ないかもしれません。極端な話、電源を入れない端末は一切通信をしませんから。

ただ、iPhoneがiPhoneらしく使われる前提においては、iPhoneは怪物級のパケット浪費端末ですから、場合によっては大変な事にもなります。ただ、今のところ絶賛している人は少なく、このコースからはそれつつあるように思えます。

販売奨励金の負担が大きい事も含め、ソフトバンクにとっては「iPhoneは適度に失敗する」(本来のターゲット層に拒否られる)方が良いのかもしれません。ネットに溢れる慎重意見、ソフトバンクは内心では歓迎していたりするかもしれません。話題作りはもう成功しましたしね。

で、無線LAN経由で使って欲しくてしょうがないようです。お願いしますから玄人さんは無線LANで使って下さいと仰っています。要するにソフトバンクの基地局側には余裕は無いということのようです。また、

ぜひ無線LANでつないでほしい。You Tubeやナビなどは、3Gネットワークよりもサクサク動きますから。

と、良く言われる「3G接続だと遅い」ということを間接的に認めちゃっているような発言もなさっています。ただ、無線LANで使う前提ならば、iPod Touchで十分なんですけどね。

――無線LAN接続を推奨していく必要がある、と。

僕が管理している投資を削ってでもいいから、アイフォーン購入者には無線LANルーターを1個ずつプレゼントしたいと思っているくらい。

3G側の投資よりも無線LANを無料でバラ撒いた方が投資効果が高いかもという意見です。

ソフトバンクは固定回線もやっているのだし、干渉問題のあるフェムトセルよりも無線LANをばら撒いた方が効果が高いのではないかという件を思い出したりします。例えば、LTEに「無線LANバラ撒き」で対抗するのもありかなと思ってみたりもします。変な対抗策で自滅するよりは。

で、以下では綱渡り感がわかります、苦しそうです。

アイフォーンは、通信キャリアとユーザーさんの共同事業。もし3Gネットワークが集中的に使われるようであれば増強投資が必要になるので、どうしてもサービス対価が上がってくる。僕らとしてもそうした事情をオープンにしたいと思っていて、すでに音声では、ホワイトプランでわかりやすく提示したつもり。「この時間帯はあまり使わないので好き放題しゃべってくれ。この時間帯は重たいので課金させてもらう」と、通信キャリアの構造を説明している。

ユーザーさんとの信頼関係が深くなって、仮に家で無線LAN経由にしてくれる人が半分いたら、料金は半額にできる。ユーザーとキャリアが共存できるような使い方をしてくれたら世の中は変わると思うし、逆にガンガン3Gに負荷を与えられたとしたら、音を上げるかもしれない。

「ガンガン3Gに負荷を与えられたとしたら、音を上げるかもしれない」だそうでして、これは結構本音でしょうね。基地局の予算も無いようなので、本当につらい状況なのではないかと思います。

「iPhoneが割と不評でよかった」と本当は思っているんじゃないかと思えます。


◆PC定額は他社の罠

もう一つ面白い発言が、

ソフトバンクがパソコン用のデータカードをやらない理由は、データカードのパケット負荷が通常の端末の20倍以上あるから。100万枚データカードが出ると、2000万の携帯電話ユーザーと同じくらいのネットワークキャパシティを用意しないといけない。

ライバルが定額料金でデータカードを始めたとき、「ソフトバンクはすぐについてくるはず。そうしたらやつらは崩壊する」と読んでいたらしい。彼らの分析も正しいし(笑)、僕も錯覚はしていない。

PC定額をすると少なくとも20倍以上のトラフィックになるとのことです。一部で実験していた結果のことだと思います。

例えば、中国電力(旧アステル系)がPHSで64K定額を提供していたのですが、これの停波にあたり、期間限定で既存の利用者にソフトバンクでのPC接続定額が期間限定(その後は未定)で提供されるというのがあって、結局期間限定で終わったということがありました。おそらく、商売にならなかったのだと思われます。

元が「64K使い放題」の人たちですから、鬼トラフィック系のユーザでは無いはずです。ですから、マイルドなユーザだけでもこの数字だったのではないかと思います。

100万枚データカードが、2000万人の利用に等しいというのは深刻さをリアルに表現できていますね。社内で説得するのに苦労して作ったたとえ話なのではないかという気もします、たった100万枚くらいのデータカードで、現在のソフトバンクの全トラフィックに匹敵するようなことになりますよ、と。

で、ドコモとAUの(制限だらけの)PC定額提供は、ソフトバンクの自滅を狙う策略だったのではないかという意見です。これも「ソフトバンク社内を説得するために」作った話にも思えますけれども。ちなみに、ソフトバンク社内では、PC定額を開始しろという意見が強くあり、この人が必死で抵抗していたとかですから。


◆予算は無いそうです

予算状況はやっぱり厳しいようです、まあ聞かなくても諸般の状況から明らかですが。

――昨年度より設備投資額を増やさない計画とか。

お客がこんなに増えているにもかかわらず投資はむしろ減らす。知恵を使ってやっています。基地局を作るときも、場所探しの費用や工事・人件費など、ありとあらゆるものを見直した。工事業界などからは恨まれましたが、言われるがままにはしなかった。

僕が社内で言ってきたのは「キャペックス(設備投資金額)をユーザー数で割った数字を通信3社の中でいちばん小さくする」ということ。そうするとドコモの3分の1の投資で作らないとダメなんですよ。ようやく昨年度、その水準になりました。僕ら技術チームは、投入したコストとユーザー数で分析し、社長チームはARPUとユーザー数の掛け算を考える。厳しくても、これをやらなければいつまでもドコモを抜くことができませんから

「ドコモを抜く」のではなく、「崩壊しない」ようにするのが本当のところに思えます。ちなみに、三分の一というのは簡単な話で、ユーザ数がそれくらい少ないというだけのことです。また、「ドコモと同等の品質ではなくて」三分の一というのもまた事実。

お金が無くて設備がギリギリで、第二世代の巻き取りもあり、次世代もおしよせてくるという死にそうな状況のはずですから、仕方ないところもあるでしょうが。

そして、

――ARPUを引き上げるのがソフトバンクの課題です。

一概には言えないんですよ。ライトユーザーからの収入は確かに少ないですが、ネットワークの負荷がかからないため、そのARPUでも十分に成り立つ。要はバランスなんですよ

「使わないユーザ」相手の商売でもいいんじゃないですかとのことです。設備担当側からの「設備に負担をかけないで設ける方法を考えてくれ」という要望にも思えますが。

ちなみに、ドコモはこの面においても有利でして、ドコモの携帯はとりあえず契約して持っているけれども、ほとんど使わずにそれなりの料金を払いつづける人たちが沢山居ます、IT音痴系の古い人たちのことですが。また、この人たちがキャリアを移動する可能性も低いわけです。

また、iPhoneの獲得は実利的では無い面があって、獲得そのものの象徴的な価値が大きいことも認められています、

ヘビーユーザーや企業経営者などのオピニオンリーダー的なお客さんがソフトバンクにはまだ少ないですから、そういう人たちを呼び込むにはアイフォーンはいい武器なんです。PCのデータカードは反対するが、これは質が違う。

それに他社がやった場合に、いったいユーザーはどう感じるか。もしドコモにアイフォーンを取られたら、それをきっかけにソフトバンクが今まで作り上げてきたものが全部ひっくり返されるおそれもあった。これは何が何でもソフトバンクがやるしかなかった。

悪い言い方をすると、自転車ないしは「風頼み」だからこそ、獲得したくないけれど獲得しないわけには行かなかったといことになります。

ということはやっぱり「iPhoneが割と不評」な状況は、ソフトバンクには有難い状況かもしれません。大好評では無い限り、トラフィックの爆発は起きませんから。

ただ、2ギガヘルツ帯の周波数で携帯事業をやっている身としては、データ通信量の大きい端末をこれ以上、詰め込むのはもう厳しい。ほかの帯域を使えるようになれば状況は変わりますが、現状ではアイフォーンを最後にしてほしい。

とりあえず、設備的には半泣きの状況ではあるようです。大変そうです。

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615 一方でソフトバンクは「LTEこそ高コスト」(ドコモvsSBMに)

昨日、ドコモが「次世代はLTEであるべき」であり「HSPA+は意味が無いのでやめれ」ということを言っていたという記事を書きましたが、今度はソフトバンクが全く反対のことを表明なされました。


◆LTEこそ高コスト、だそうで

ソフトバンクの松本副社長が、ドコモと同じ行事でドコモと反対の発言をしています。

【WIRELESS JAPAN08】「ソフトバンクの3.9GはHSPA+,LTEはコスト高」,松本徹三副社長
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080723/311312/

「LTEはコスト高」だそうです。

昨日、以下のような記事を書きましたが、反対の意見となっています。

616 ドコモはHSPA+が嫌いらしい
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/07/616_hspa_1d00.html


ソフトバンクモバイルの松本徹三取締役副社長は2008年7月23日,ワイヤレスジャパン2008の講演で,2010年に向けた携帯電話の次世代規格に現行規格の改良版である「HSPA+」を採用する見通しを示した(写真)。NTTドコモは同時期に次世代規格LTE(long term evolution)を導入する予定だが,ソフトバンクモバイルでは端末価格が高くなることを理由に,LTEの採用は2012~2013年ころになるという。

ドコモが批判していた「HSPA+導入論」ですが、ソフトバンクはHSPA+を余裕で導入する方向のようです。理由としては、「端末価格が高くなる」ことが挙げられており、「LTEの採用は2012~2013年ころになる」のだそうです。

また、このスケジュールはアメリカの携帯電話会社AT&Tの次世代導入スケジュールと似ています。

そして、現在ソフトバンクが第二世代用として持っている1.5GHz帯の帯域を、再度ソフトバンクが次世代用に獲得したいと言っています。

同社は2G用の1.5GHz帯を2010年に返還するが,より高速なデータ通信で1.5GHz帯を2010年前半から利用できるように総務省に申請するという。

ちょっと前に記事にしましたが、1.5GHz帯の免許の期限はもう二年を切っています。2010年3月(2009年度末)までには、ソフトバンクの第二世代は停波する必要があります。で、その跡地をどうするかという話し合いも始まっていますが、ソフトバンクとしては

「俺のものは俺のもの」

ということのようです。1.5GHz帯はソフトバンクのものじゃん、と。

また、導入する方式については、

現状で主流のHSDPA(high speed downlink packet access)規格は下り最大14.4Mビット/秒だが,ソフトバンクモバイルは3.9Gとして下り最大28Mビット/秒のHSPA+リリース7の採用を目指す。

このあたりは過去の記事に詳しく書きましたのでそちらを参照してほしいのですが、高速化には色々な方法があります。14.4×2で28Mbpsのようですから、実質14.4Mbps化するだけなのかな?


◆LTEを「高い」と批判

ドコモはHSPA+を「和を乱す」ものであり不経済なものであるとしていましたが、ソフトバンクはLTEをコスト高だとしています。

松本副社長は「まだ最終決定ではない」と前置きをしながらも,「LTEでは端末のコストが安くならず,下位互換性もない。ユーザーに高いコストは負担させるわけにいかない」として,端末価格をHSPA+選択の理由に挙げた。

「最終決定ではない」とのことで、ドコモのような強い自信はなさそうですが、「端末のコストが高い」ことと下位互換性が無い事、つまりLTE基地局と旧来の機種の間の通信ができないことを挙げています。ちなみにHSPA+ではHSPA+基地局と旧来の端末の間の通信も出来ます。

個人的には、端末のコストなんだろうか?と思うところもあるのですが、端末のコストだと仰っておられます。


◆あまり意味は無いがまとめてみます

というわけで、発言に含まれる予定を時系列で整理すると、

2010年3月までに 第二世代(1.5GHz帯)を停波
2010年3月以降 1.5GHz帯でHSPA+をサービスにむけ準備
2012~2013年 LTEを採用

つまり、

2010年3月まで、W-CDMA/HSDPAとPDCの並存
2012~2013年ごろまで、W-CDMA/HSDPAとHSPA+の並存
2012~2013年以降 HSPA+とLTE並存

というのも2010年から初めて、2012年までに回収できませんからね。LTEと並存になります。

また、ソフトバンクは1.5GHz帯でPDC(第二世代)用の基地局を整備していますから、PDC用ながらも1.5GHz用の基地局の場所は一応持っていることになります。PDCとHSPA+では色々と違いがあるはずですが、一応は場所取りの苦労も少ない、かもしれません。

またいずれにせよ、1.5GHz帯は国際的にみて「変な周波数」の帯域なので、HSPA+にせよLTEにせよ特注っぽくなります。

また、1.5GHz帯を獲得した時点で、700/900MHz帯の獲得は難しくなると思われます。諦めたんでしょうか?両方とも獲得するのはちょっと難しそうですし。

またもしかすると、

今 2.0GHz帯:第三世代 1.5GHz帯:第二世代
2010年度以降 2.0GHz帯:第三世代 1.5GHz帯:HSPA+
2012年度くらいから 2.0GHz帯:第三世代→LTEへ移行開始 1.5GHz帯:HSPA+

2.0GHz帯にユーザを巻き取り、次に1.5GHz帯にユーザを巻き取り、次に2.0GHz帯に巻き取るのかもしれません。なんとも忙しいですが、そうせざるを得ないのかもしれません。お金が足りなくなりそうな気もしますが。

ちなみに、2.0GHz帯でのLTEは国際標準なので機器の心配はあまりありません。もしかすると、HSPA+でこのようにする以外の方法で、LTE用の帯域が獲得できないというだけのことかもしれません(そして1.5GHz帯でLTEは嫌なのでしょう、LTEが長期的には本当の本命だと考えると)。というわけで、発言と裏腹に本当は「2012年のLTE」こそがソフトバンクの本命かもしれません。


◆その他

なお、蛇足ながら、

携帯電話網のカバー率については「一生懸命やっているが,NTTドコモやAUに遅れていることは確か」(松本副社長)として,ユーザーからの要望にあわせて,随時対処していく方針を示した。

というわけで、ソフトバンクはエリアが狭いということは自覚しているとのことです。iPhoneで移ってきた人もエリアが狭いと言っている人多いですしね。でも最近、全然基地局の数は増えてないんですけど。

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616 ドコモはHSPA+が嫌いらしい

ドコモの人がHSPA+について発言をしていたようなので、それについて。


◆HSPA+は和を乱す?

【ワイヤレスジャパン】「せっかくまとまってきたのに…」,NTTドコモがHSPA 拡張版に懸念示す
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080722/155200/

同氏は最近の3GPPなどの議論において,HSPAの拡張版(HSPA evolution)の動きが活発である点に対してコメントした。「最近,HSPA evolutionが出てきている。一つの標準規格であるにもかかわらず,その規格内で技術の断片化(technology fragmentation)が起きていると感じている。せっかく技術がまとまりはじめたのに,仲間が割れてくるのが心配だ」と,HSPA evolutionとLTEという二つのコンセプトが3GPP内で並立している点に,懸念を示した。

ドコモはHSPA+(HSPA evolution)のことを、陣営内の分裂と言っているようです。

念のために再度説明をすると、W-CDMA陣営には以下が次世代ないしはこれから取りうる道です。

・LTEへ移行する
・HSPA+へ移行する
・3.5世代のまま様子見する

LTEは3.9世代とかSuper3Gとか呼ばれるものです。名前が「第三世代」であるかのような感じなのですが、実際には第三世代技術ではなく、第四世代のさきがけのような存在です。よって、3+0.9世代ではなく、4.0-0.1世代というのが正しい理解です。

つまり、真正の次世代技術であるのですが、現行技術とは断絶もあります。

HSPA+は現行の第三世代をさらに強化する方向の進化です。LTEよりも移行が容易なので、現在ソフトバンクやイーモバイルが採用を表明しています。

LTEでは専用の帯域や専用の端末の開発など面倒な事が沢山あるのですが、HSPA+では現在の第三世代の電波や現行端末と混ぜたまま移行できるという点がメリットです。ただ、性能的な上昇はLTEにくらべあまり無いと思われます。

また、状況が読めないなと思っているのならば、現行のW-CDMA/HSDPAのまま様子見をするのも作戦ではあります。変なところに投資してしまうと取り返しがつきませんから、待つのも作戦のうちです。


で、ドコモはLTEを開発している張本人だということもあり、LTEに積極的です。そして、最近LTE以外の選択肢としてHSPA+がよく話しに上がる事について、不快感を表明したようなのがこの記事です。

まず、「陣営内の足並みを乱すから止めて欲しい」と言っています。ただ、そんな理由じゃ、孫社長や千本会長が方針を変更するとは思えませんが。

また、HSPA+を推進しているのはドコモと並ぶLTE陣営の欧州の大物たる「エリクソン」でもあるのですが(さらには利権上の都合でCDMAを延命させたいクアルコムも間接的に支持している)。


◆HSPA+は投資に値しないというドコモの意見

そのうえで同氏は,「無線技術は,なるべく少ないステップで進化することが好ましい。数多くのステップの存在は,システムを複雑にし,コスト増につながる」と,HSPA拡張版を推進する動きを牽制した。さらに,「HSPA evolutionのもともとの趣旨は,現行システムに最小の変更で済ませるという意味合いがあったはず。もしもHSPA evolutionの導入のために設備の大幅な変更を伴うのであれば,本来の趣旨を逸脱している。NTTドコモはあくまでもLTE導入を優先していく」とし,これまでの同社の姿勢を改めて示した。

一般人にはわかりにくい説明ですが(プロ向けの集会なんでしょうがないのでしょうが)、つまりドコモとしては「HSPA+(HSPA evolution)は経済性に疑問がある」と言っているように思えます。

簡単に説明をすると
・HSPA+のもともとの趣旨:現行システムに最小の変更でさらに高速化する

つまり、現行の設備にちょっとだけ下駄を履かせて高速化可能ならば、それもやってしまった方がいいということだったはずだということです。そういう感じで済むのならお金はかかりませんし。

ですが、現在のHSPA+の話では、基地局側の入れ替えが必要になっていることもあります。そうなると、少しの投資とは言いません。

もしもHSPA evolutionの導入のために設備の大幅な変更を伴うのであれば,本来の趣旨を逸脱している

また、これらの発言には暗黙の前提が一つあります。つまり、LTEではコストをかけるだけに値する性能の進歩があるのに対し、HSPA+ではさしたる実性能の向上が無いということです。おそらくドコモは本当にそう思っているのだと思います。ドコモはLTE開発を行っている張本人ですから、それは実際事実なのでしょう。

私も以前から書いていますが、HSPA+への移行で投資が必要になる場合には、その部分には慎重になる必要があるはずです。LTEが出てきてから無駄な投資になる可能性があるからです。


◆しかしドコモが言及しなかった「HSPA+」の別のメリット

しかし、イーモバイルやソフトバンクがHSPA+を検討しているのには別の理由があります。ドコモはそこには言及しませんでしたが。

ドコモは「基地局設備の入れ替えコスト」だけを問題にしました。しかし、コストやリスクはそこだけではありません。

LTEを開始するためには専用帯域を用意する必要がありますが、それもコストです。LTEにすると基地局の配置場所が第三世代と同じ場所ではうまく働かない可能性があり、基地局の打ちなおしをする必要があることも考えられますが、これもリスクでコストです。新しい端末を用意しなければならないのもコストです。そしてLTE自体が「たいしたことないな」とか「なんですかこの失敗技術は」という場合だった場合もリスクです。

また、なんでも初期においては高くて不安定です。LTEが安価で安定したものになるのにはしばらく待つ方がよいことになります。

つまり、「動かずにしばらく待てる、様子を見られる」というメリットですね。

さらには、現時点において不可避的に3.5世代への設備投資をしばければならない前提で考えると、「いや、今年のこの投資は未来を見据えたものなんです」と株主に説明をするには、「HSPA+を見据えています」という説明をぶっこいておくのが効果的です。LTEが本命といってしまうと、投資の意義が薄れて見えますので。


おそらくHSPA+採用陣営はこれらのリスクを勘案して、LTEを様子見しているのです。よって、ドコモのいう「経済合理性」は一面に過ぎないことになります。また、言い換えれば、HSPA+の採用を言及しているところの本心は複雑かもしれないということにもなります。

もしドコモがHSPA+を根絶やしにしたいのなら、これらの面についても言及した発言をしなければならないでしょう。おそらくドコモからの攻撃はもっと可能なはずですので、これから頑張ってもらいましょう。ただ、ドコモにはそういうのは苦手に思えますが。

しかし、どうやら一部ではHSPA+のスペック上の性能を真にうけているところもあるようでして、そういう場合にはドコモのこのお叱りは意味のあるものになります。HSPA+の主な効果は「見た目のスペックが向上する」ということで、実性能の向上は知れているはずですから。

消費者がアホである事を前提に考えると、HSPA+で見た目の数字だけ下駄を履かせて時間稼ぎはできるような気はします。実際には遅いことに気が付かれないようにしなければなりませんが。

ただ皮肉な事に、HSPA+の導入が一番たやすいのもドコモ(設備が最も高性能なので、少ない追加投資でHSPA+化できる)だったりします。ドコモそのものについてはどっちに転んでも勝者だと思われます。

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中国は独自の第三世代(TD-SCDMA)以外を締め出さない?

すこしだけ。


中国、第3世代携帯電話の免許発給時期を発表
http://japanese.cri.cn/151/2008/07/18/1s122304.htm

中国が、第三世代携帯への免許を出すと言う話なのですが、それについて。

念のために再度書いておきますと、中国は2008年になってもまだ「第三世代携帯」のサービスインを正式には許可していません。この他国ではありえない状況は、国策で開発している独自の第三世代技術がまだ完成していなかったからです。

時期については以下のように発表されています。

中国工業情報化省の奚国華次官は17日、北京で「中国の6つの大手通信事業者によって通信体制の改革や調整が行われているが、それが終われば、今年末か来年初めに3G・第3世代携帯電話事業の免許を交付する」と述べ、中国政府としては、初めて3G事業の免許の発給時期を明らかにしました。

「今年末か来年初め」だそうです、2009年頭前後だと言う事になります。ただし、TD-SCDMAについては既に2008年の4月から「試験サービスイン」をしています。よって他の第三世代よりも先行して動いている事になります。

で、懸念されている件ですが、

奚国華次官は、「中国政府は、3Gの技術基準について中立的な態度を取り、現在持っている3つの世界基準(TDーSCDMA、WCDMA、CDMA2000)とも推薦する」と述べました。

表向きのということだけかもしれませんが、とりあえずは国策技術以外を締め出すということは言っていないようです。

もしこのとおりにするとなると、TD-SCDMAはまだ怪しい状態であるにもかかわらず、CDMA2000やW-CDMAは完成の領域にありますので、自然な競争が行われた場合にはTD-SCDMAが敗北する可能性が高くなります。

TD-SCDMAを生き残らせるには、おそらく何らかのインチキをしないといけないはずです。TD-SCDMA以外を禁止するのが一番解りやすく効果的な方法です。しかし、今のところは「公平にします」だそうです。

もしかすると「もう諦めた」のかもしれませんし、別の方法で何らかの保護政策が取られるのかもしれません。

とりあえず本当に公平にするのならば「TD-SCDMA終了のお知らせ」ではないかと思います。

このままだとLTEばっかりの世界になってつまらないので、別の技術が残っていても面白いとは思うのですが、ただ、現状では厳しい状態のようで難しいところですね。

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617 ヤフー騒動と、日本のヤフーの株が売られるかもしれない件

アメリカでヤフーの本体とマイクロソフトが揉めていますが、それに関しての話。

今さら記事にするのもどうかと思ったのですが、一回くらい記事にしてみても悪くは無いのではないかと言う事で投稿。


◆大まかな話

米Yahoo!、アジア資産売却も視野に、Yahoo! JAPANへの影響は?
http://markezine.jp/article/detail/4629

7月17日、米Yahoo!が株主に対して再度、現経営陣の支持を訴えた。アイカーン氏は株主として、Microsofotの買収提案を受け入れなかった現経営陣を批判し、メンバーを入れ替える意向を明らかにしているが、Yahoo!側は現状の施策こそ、株主価値を高めると主張している。

Yahoo!は株主に対して、Microsoftに1株あたり33ドルでYahoo!をまるごと売却することが最良であると訴えており、条件次第では検索事業のみの売却の可能性もあるとしている。また、企業価値を高める施策を検討するなかに、同社のアジアにおける資産を売却し、株主に還元することも視野に入れていることを明らかにした。

日本のヤフー株式会社の筆頭株主はソフトバンクで持ち株比率は40.16%だが、Yahoo!も33.41%を持つ大株主、また中国のBtoBオンラインマーケット事業を手がけるアリババ・ドットコムの大株主でもあることも知られている。

皆さんご存知のとおり?、アメリカではYahoo(本体)をマイクロソフトが買収しようとして騒動が続いています。一通りの騒動があったあと、途中からアイカーンさんというややこしい人が参戦してきたのた現在の状態です。

基本的なところを確認しますと、ヤフーはヤフー本体(アメリカのヤフー:以下、単にヤフーと記す)と日本のヤフーは別の会社で、今回の話はアメリカのヤフーの話です。

そして、マイクロソフトがGoogleに対抗するためにヤフー(の検索事業)を買収しようとしたところ、ヤフーが買収を嫌がったために買収が成立しませんでした。

そして、ヤフーが買収を嫌がっているのは理不尽だとして、途中からアイカーンさんというややこしい人がヤフーに態度を変えるように、そしてヤフーのボスに退陣するように要求しています。

引用したニュースは、この騒動が日本のヤフーの株が売却される事態につながるかもしれないというニュースです。


◆何故買収しようとしたか、何故嫌がっているか

なぜこの買収の話が出てきたかということですが、マイクロソフトがグーグルに対抗したいからで、しかもマイクロソフトが自分で行っているネット検索の事業がうまく行っていないためでした。したがって、こちらもグーグルに押されて下り坂になっているヤフーの検索と合体してグーグルに対抗しようと思ったのがことの始まりです。

どうにもマイクロソフトは悪の帝国みたいな印象があります、また、買収となるとなおさらです、よって、ネットの空気みたいなものは「マイクロソフトがまた悪事を働こうとしているので阻止せねば」と反射的に反応している感じもあります。この反応があることによって話の全体がわかりにくくなっている感じもします。

二社が手を組む事にはビジネス的な合理性もあります。特に、外野(この意味については後で書きます)にとってはそうです。両社が組む事によって企業の価値は向上するので、上の話とは逆に「ビジネスっぽい話題」に拘泥なさっている方面では、両社の合併こそ正しく、反対している奴は無知ということになっています。

では、ヤフーのボスが反対しているのはどうしてでしょうか。悪の帝国と戦うためでしょうか、そうではありません(もしそうならばトップに値しないバカです)。おそらく「単に嫌」なのです。

あなたがどこかの会社に勤めているとしましょう、そしてそこの業績が最近下り坂で社内がちょっと微妙な空気になってきているとしましょう。そこで、あなたにとって「微妙な会社」が会社に買収を仕掛けてきたとしましょう。買収は事業レベルで考えると合理的だったとしても、そんなことには関係なく「嫌だな」と思うはずです。だって、自分にとっては嫌なんですから、「嫌だ」と言うのも正しい意見です。

企業や企業の事業をそれ自体を単位として考えて色々な事を言う事は出来ます、しかし、そこで働いている個々の人間にとって望ましい事かどうかということは、そういうこととは別です。大義などなくとも、企業を実際に構成している要素にとって嫌なら、その人にとっては嫌です。事業価値とか経済全体とか知った事ではありません。

マイクロソフトはワルイというのも、企業価値が向上するみたいなのも、結局は外野の意見だということになります。ただヤフーの株主にとっては外野ではなくて当事者なので、現実的には「株主の意見」と「従業員の意見?なのかヤフーのトップの個人的情念?なのかわからんもの」が激突する形になります。


◆恐怖のアイカーンさん登場

ヤフーのボスはあらゆる手段で徹底的に反対をしています。

その間、ヤフーからは大量の人材流出がありまして(辞めて欲しくないような人も沢山去った)、株価も下がってしまいました。ヤフーのボスは、それでもあらゆる手段での抵抗を続け、本来商売敵でもあるグーグルに支援を要請することになります。これがヤフーの一部を削るみたいな形になったので、合併するべきだと言う人にとってはまた嫌な感じになりました。

マイクロソフトとしてはヤフーがどんどん「安く」行くので、待つのも悪くは無い状況かもしれません。ただ、あんまり弱体化してしまうと手に入れる価値もなくなってしまいますが。

以前からの株主にとっては、憂鬱な事になっているはずです。

諸般の事情があるにせよ、株主の視線(ないしは全体の視線)でみると、理不尽な事が続いています。この視点からすると、買収された方がよいと考える人が多いわけですから。

そこで、「アイカーンさん」という人が、株主を代表して「さっさと買収されろ」「ヤフーのボスは辞めろ」ということで殴りこんできました。

アイカーンさんというのはどういう人かというと、大昔から企業を買収したり株主として企業に何かを言ったりして来た人です。経済全体から見ると理不尽な運営をしている企業を買って、「合理的」に作り変えたり、部門を切り売りして買収前よりも価値をあげて売って儲ける事をしてきた人です。

しばらく前に日本でも企業を無理矢理に買おうとした人がいたりして騒動になっていましたよね。

アメリカではずっと昔からそういうことが行われていて、アイカーンさんはこの分野での古株かつ大物です。いわば、そういう件で「日本で有名になった人/ところ」を超グレートにしたような人です。

アイカーンさんも当然にボランティアではありません。理不尽な状況になっているために価値が下がっているところで参入し、自分が先頭に立ってこの理不尽な状況を改めさせると、価値が回復して儲かることになるわけです。アイカーンさん「としては」、自分が儲けると同時に世の中を合理的に改めているわけです。

そして、アイカーンさん、企業は従業員のものでもある、という意見については(立場上)以前から猛烈に批判を行っています。今回についてはむしろ「ヤフーはヤフーのボスの私物ではない」という批判が目立つ気がしますが。

アイカーンさんは、他の株主に自分に味方をしてヤフーのボスと戦うように呼びかけています。アイカーンさんが勝つと、とりあえずはヤフーの現在のボスは追い出されることになるはずです。


◆日本のヤフーの株

ヤフーのボスは、買収阻止のためにあらゆる手段を使おうとしています。また、そろそろ引用もとのニュース記事について直接コメントをつけると、

7月17日、米Yahoo!が株主に対して再度、現経営陣の支持を訴えた。アイカーン氏は株主として、Microsofotの買収提案を受け入れなかった現経営陣を批判し、メンバーを入れ替える意向を明らかにしているが、Yahoo!側は現状の施策こそ、株主価値を高めると主張している。

アイカーンさんは、とっとと買収されろと言っています。それに対して、ヤフーのボスは「現状維持が株主のためにもなるんで、我々を支持してください」と言っているということです。

Yahoo!は株主に対して、Microsoftに1株あたり33ドルでYahoo!をまるごと売却することが最良であると訴えており、条件次第では検索事業のみの売却の可能性もあるとしている。また、企業価値を高める施策を検討するなかに、同社のアジアにおける資産を売却し、株主に還元することも視野に入れていることを明らかにした。

「1株あたり33ドル」というのは、ちょっと高くね?という価格提示です(交渉ですから)。ただ、一連の騒動で株価が下がっているので、最初のマイクロソフトの提案に応じていれば、もっと高い値段で余裕で売れたようです。おそらく時間が立てば経つほど安くなります。

で、株主にどうやって利益をもたらすかということについて「同社のアジアにおける資産を売却し、株主に還元することも視野に入れている」ということを言っています。利益の出ることをやって還元すると言っているわけではなく。

で、「アジアにおける資産」って何なんですかということになると、

日本のヤフー株式会社の筆頭株主はソフトバンクで持ち株比率は40.16%だが、Yahoo!も33.41%を持つ大株主、また中国のBtoBオンラインマーケット事業を手がけるアリババ・ドットコムの大株主でもあることも知られている。

というわけで。
・日本のヤフーの株
・アリババの株
を売り払ってお金にして、株主に配るよ、と言っていることになります。

ヤフーのボスがあらゆる手段で反対を続けていて、理不尽な感じになっているという意見があることについてはこれで何となくお解りいただけるでしょうか。グーグルにグーグル有利な条件で泣きついてみたり、自分自身を削って配当する(アイカーンさんに賛成しなければ、お金が株主に配られるので我々に賛成してね)と言ってみたりしているわけですから。

で、もうひとつ気になるのは、巻き込まれる可能性のある日本のヤフーです。

日本のヤフーの株主
・ソフトバンク 40.16%
・ヤフー本体 33.41%

日本のヤフーの株がまとめてどこかに売りに出るということです。株が大量に売りに出ると言う事は、株価が下落することにつながります。もしそうなるとソフトバンク保有の株の価値も下がります。また、もしどこかがこの株をまとめて買うと変な事になります。そんなことは決しておきないはずですが、もしドコモが全株を買い、さらに株を買い進めるととても変な事になります。

また、仮にマイクロソフトがヤフーを完全支配してしまうと、以下のようなことになるかもしれません。

日本のヤフーの株主
・ソフトバンク 40.16%
・マイクロソフト支配下のヤフー 33.41%


◆その他

恐怖のアイカーンさんですが、この人は「こういうこと」を専門にしている人なので、いろんな会社に年中同じような事をやっています。

このブログに以前書いた事と関係のあるところでは、モトローラにアイカーンさんが圧力をかけてます。

モトローラは携帯電話の端末の販売の利益で苦しい状況になっていて(世界シェアは結構ありますが)、端末製造の売却の話が出たりして、とりあえずはモトローラ本体から端末の事業が切り離されました。これに、この人は(一応)関係しています。

モトローラといえば、2008年の一月あたりに書いたように、WiMAX陣営の重鎮というかWiMAXに最初から関わっているメンバーです。一応ながら、アイカーンさんが「WiMAXは明らかに儲からないから手をひけ、手をひかないなら次の株主総会で現経営陣を全員交代させる」と言い出すことだってあるわけです。



という記事を少しづつ書いていて投稿した途端にこういう事になりました(泣)。

米ヤフーがアイカーン氏を取締役に、委任状争奪戦に幕
http://jp.reuters.com/article/domesticFunds/idJPnJT821008920080721

以下のように、両者で手打ちがなされたようです。

米ネット検索大手ヤフー(YHOO.O: 株価, 企業情報, レポート)は21日、委任状争奪戦を仕掛けていた米著名投資家カール・アイカーン氏を取締役として受け入れると発表し、8月1日の株主総会前に同氏と和解した。
ヤフーは声明で、取締役を9人から11人に増やすことを公表。現取締役9人のうちヤンCEOを含む8人を再選し、新たにアイカーン氏を迎え、残りの2人はアイカーン氏が推していた候補やタイム・ワーナー(TWX.N: 株価, 企業情報, レポート)インターネット部門AOLのジョナサン・ミラー前会長兼CEOの中から選ぶ方針だと述べた。
アイカーン氏は、合意は「好ましい結果」であり、ヤフーのすべてもしくは検索事業の売却について、引き続き検討がなされると確信しているとの声明を発表した。
ヤンCEOは声明で、今回の合意により委任状争奪戦は過去のものとなるとした。

これでこの騒動はすっかりおさまるのかどうか解りませんが、とりあえずは何かしらの売却は行われる事になるような気がしますね。検索事業だけが売られるとか。現在のまま何もないということはないでしょう。

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618 台湾の国策モバイルWiMAX計画「M-Taiwan」について

台湾のモバイルWiMAXについては何も書いてなかったと思いまして、久しぶりにWiMAX関連の記事を少し書きます。


◆その名は「M-Taiwan」

最近、すっかり下り坂の話題ばっかりのモバイルWiMAXですが、下り坂になる前に採用を決定しちゃったところは今も活動を続けています。

日本ではKDD(慎重)、アメリカではスプリント(炎上)、韓国は国策(失敗)、そして台湾も国策で大規模な計画を進めています。小さい計画を除くと、これだけが世界の全部だということです。

とりあえず今回は台湾の話題に付いて少し書きます。台湾は国策でモバイルWiMAXの計画を進めています。あるいは、進めちゃっています。

台湾が決断をしたのは、世界的な「WiMAXバブル」が頂点だった時期です。つまり(モバイルWiMAXがスカだった場合には)、最悪の時期に超重大な決定をしてしまったことになります。

台湾が国家レベルで推進しているWiMAXの計画は、「M-Taiwan」という名前がついています。モバイル台湾、というわけです。そして、M-Taiwanは、「台湾全土をモバイルWiMAXで覆い尽くす」という目標を立てています。


◆勘違い

2005年くらい?にはモバイルWiMAXは非常に「評判」になっていました。

当時良く言われていたように思えることには、今となっては謎なことが多々あります。従来の技術とは異次元に高性能だとか、「携帯電話」では全く勝負にならないほどだとか、固定回線を置き換えるとか、非常に安価に提供できる、などです。

「時速120Kmでも通信でき、光ファイバ並みの70Mbpsが出て、基地局一つで数十キロの範囲をカバーし、無線LAN並みに安価で、ADSLより安くて固定回線の代わりにもなる」というようなものです。で、携帯電話なんてもう時代遅れで滅びる寸前だ、のような。

とても安価で、高速で、湯水のように高速パケットをどこでも使える時代が来る、というような感じのことも言われていたように思います。

以前から記事で書いているように、このイメージはほぼインチキだったと言っていいでしょう。ですが、何故だか解らないことに、以前はこのイメージが世界中に広められて妙に期待がなされていました。

ADSLやCATVがモバイル技術に恐れをなした時期があったのも、このイメージを真に受けたためだと思われます。そもそも宣伝文句のとおりの性能だったとしても、モバイルが固定回線と勝負するなんて容量の面でものすごい無理があるんですが。

M-Taiwanでも例えばこういうことが良く言われていたようです、

勘違い
・ADSLは台湾人にとって料金が高い
・モバイルWiMAXはADSLより安く提供できるし、ADSLより高速で、モバイル利用もできる
・台湾全土をモバイルWiMAXがカバーすれば、ADSLは要らなくなる

これを台湾が国家を挙げて信じてしまったというのがM-Taiwanの一つの側面であります。


◆台湾的成功体験

台湾は世界におけるIT機器の量産拠点となっています。ノートパソコンやスマートフォンなんかも台湾で作られてるものが沢山です。こういう感じが台湾の成功であって誇りになっています。

無線LAN関係の機器についても台湾が量産拠点です。無線LANは台湾にとっては「我が領土」だというわけです。

ですが、無線LANは所詮無線LANです。モバイルとは置き換わるものではありません。一昔前に、無線LANが携帯電話の領域に入り込むなんて思われてたこともあったようですが、その結果(教訓)として思い知ったのは、無理だと言う事でした。

台湾ではちなみに無線LANについても国策での普及が進められています。よって広く利用されていますが、面をカバーしようとしたりした試みはやっぱり失敗しているようです。

そういうわけでWiMAXが夢の技術という売り込みで出てきたとき、台湾にとっては願ったりかなったりの技術に見えたのかもしれません。

一度国策で話を進めてしまうと、なかなかやり直しは出来ないようです。決めた当時は鉄板の未来だと思ったんでしょうか。

台湾は日本より先にモバイルWiMAXに多量の帯域割り当てを行っていて、日本で2.5GHz帯の割り当てが行われる時には、日本は台湾を見習ってもっと多量に帯域を割り当てないと世界に遅れる(またか)というお怒りの方も居られたようです。

帯域は台湾でも一陣営あたり30MHz幅単位(10MHz幅×3で利用する)での割り当てが行われています。さらに追加で割り当てがなされる予定もあるようですが、実際に追加割り当てが行われるのかは不明です。

帯域の割り当てやサービスインの計画は日本よりも結構適当なようでして、サービスインしてからおかしなことになる可能性も(日本よりは)高いような感じのようです。つまり、実際のモバイルのサービスを提供すると言うような意味ではあんまり慎重に検討されていないように思えます、日本よりは。

また、初期には超高速な接続を実現するということも言われていたようですが(例の「光ファイバ並み」のイメージ)、実際に試してみるとさほど速度が出なかったのか、最近ではそういうことはあんまり言われなくなったようです。実際に試してみるほどにトーンダウンしていったKDDIと似ている気もします。

台湾の目論見は、モバイルWiMAX関連機器を量産して世界中に輸出することです。ですから、世界で広く普及することが前提になっていたと思うのですが、この予定がすでに違うことになっています。台湾だけで成功しても失敗した感じなのですが、その上台湾でもうまく行かなかったら、大失敗であります。

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619 ひろゆき(と夏野さん)、iPhoneを酷評

しばらく前に記事にした「夏野さん」ですが、夏野さんがiPhoneを買ったようで、それについての記事が面白いことになっています。


◆「iPhoneは一週間で飽きる」

他の取材(ニコニコ動画の取材)だったようですが、夏野さんがiPhoneを買っていじっているので、その件についての話にもなったようです。

ちなみに、元記事が「おもしろおかしく書いてあるので、私も少しおもしろおかしく書きますが、別にiPhoneを馬鹿にして喜びたいということでそうしているのではないので、大変お気に入り中な方は気分を害したりなさらないようにしてください。

元ドコモの夏野氏、iPhone早速入手 ひろゆき氏は「電話として不便」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/18/news074.html

まずは状況、

NTTドコモからドワンゴ顧問に転じた夏野剛氏と、ニワンゴ取締役の西村博之氏に7月15日、ニコニコ動画に関するインタビュー取材をした。iPhoneを手に入れたばかりの夏野氏は、インタビュー中も暇があればずっとiPhoneをいじっていた。

ひろゆきさんは最初から最後まで、あまりに身も蓋もない酷評をなさっております(笑)。夏野さんも、一見褒めているように見えて、結局のところ各種の問題点にしっかりとツッコミを入れています。あるいみひろゆきさんよりも手厳しい感じです。

以下、全ての引用における強調部は私によります。

夏野 iPhone、3G接続だと遅いけどWiFiは速くて快適だねぇ。ビュワーとして最高に面白い。

夏野さんは手に入れたばかりで目新しい事もあって、iPhoneの良い点とされているところについては評価なさっているようです。確かに、(受動的な)閲覧に使うだけならなんか面白い装置です。

「いいねえ」と言っているはずの最初の発言なんですが、この時点で既に同時にツッコミが行われています。ビュワーとして「は」最高で(じゃあ、ビュワーとしてじゃなかったら?)、「3G接続だと遅い」っていうのも良く言われることですね。

実際試してみると、3G接続だと結構待たされます。とにかくなんか良くわかんないけど待たされます。HSDPAエリアでこの始末ですから(遅いので3.5Gの電波が来てないのかと思ってしまったりする程のようです)、HSDPAが無いエリアだと本当に遅いとか。


ひろゆき iPhoneずっと持ち歩く感じですか?

夏野 持ち歩く。

ひろゆき 1週間ぐらいで飽きたりしないですか?

ひろゆきさん、言ってしまいました(笑)。実際、あっという間に飽きちゃった(ないしは個人的大ブームではなくなった)という話も聞きますね。

熱狂的に支持している人は怒ってるだろうなと。

夏野さんは「持ち歩く」と言っているので、褒めているのかと思ったらどうにも微妙な動機のようです。


夏野 分かんないけど。こういうの作りたかったんですよ。

ひろゆき 作ってたら大失敗しますよ。

夏野 なんで大失敗なのよ。

ひろゆき 1カ月後には使ってる人はほとんどいないと思いますよ。iPod touchも今、持ってる人見ないもん。

夏野 そうね、iPod touch持ってるとiPhoneと勘違いして女の子にモテるから。でもぜんぜん便利じゃないよね

夏野さんも、個人的に使いやすいので持ち歩きたいと思っているのではなく、話題性や「なんか面白い点がある」という点にひかれて持ち歩きたいと思っているようです。二台持ち、ないしはむしろ三台持ちの三台目的な誉め方です。

夏野さんはドコモで「こんな端末が欲しい」「こんなコンセプトの物を作ってくれ」というような事を、端末メーカーに行って端末を作らせ、端末を作り直せとメーカーに言って泣かせ、そんでもってメディアに「今度のドコモの新端末はヤバイです」的な(迷言入りの)発言をして、世間でネタにされる、というような感じの人でした。

だから、「この企画は面白い」という「ドコモの夏野センサー」がONになっちゃっているんでしょうね。たぶん、「ここを手直ししたら(日本で)ものすごく売れるのに」みたいなことが夏野さんの頭で湧き上がっているのではないかと思ったりします。


ひろゆき iPhoneは電話として不便じゃないですか。電話として結局使わないから持ち歩かなくなって、誰も持ってないという状態になると思うんですけどね。

夏野 でも格好いいよ。なんでこれが売れるかユーザー目線で分析すると、最新の携帯電話は5万円するけど、iPhoneは2万3000円。2万3000円は安いよ。

ひろゆき 確かにそう言われるとそうですね。おしゃれで半額。

ひろゆきさんは、良く言われるような「日本の携帯の代わりは厳しい」とか「二台持ちの端末だ」ということで、不便だと言っているのでしょう。そして電話として微妙ならば持ち運ばなくなるので、誰も持ってない状態になるじゃないかと言う指摘です。

確かに二台持ちをすることを考えても、iPhoneはサイズが大きいですからポケットの中に普通の携帯とiPhoneというのは難しいかもしれません。

で、夏野さんですが、そのツッコミに対して否定をしていません。それはわかっているけれど、でもカッコイイよねと言っています。こうなると褒めているのかどうか微妙です。

また、「2万3000円は安い」とのことですが、それは見た目の値段のことであって、決して安い部類ではないと思うのですが、何故に?夏野さん、お金持ちだから携帯電話料金程度の小銭の計算はしなかったんでしょうか。


ひろゆき でも、企画を仕事にしている人がiPhoneを信じていると「バカじゃないの」と思う。Second Lifeがすごいと言っていた人を見る思いなんですよ。おまえちゃんと使ってるの? 不便だよ、という。

夏野 まぁそうだね。でもこういうものが日本にあってもいいじゃないですか。日本のキャリアやメーカー、携帯電話開発にたずさわる人間は真摯(しんし)に、なんでこれがアメリカから出てくるのかということを考えなくてはいけない。ま、他人の業界ですけどね。

ひろゆき 親心からの意見でした。

確かに妙に話題だけが先行しているようなところがあるというのはみんな感じるところでしょう。

実際に出てきたiPhoneはよく出来てはいるのだろうけれど、事前にとんでもないほど巨大化した期待を納得させるほどの出来では無かったはずです。

特に、日本人の日常を満たしている携帯電話の代わりにつかうと、何かの喪失感がすることがあるのは確かです。「おまえちゃんと使ってるの?不便だよ」というのは、いずれにせよ痛い指摘でしょう。

不便じゃないよという人も居るとは思うのですが(少なくとも私は、とても気にいっている人の気持ちまでどうこうする気はないです、引き続き楽しくお使いください)、「一般的にどうか」という話になると、一台目として万人に勧めるのはちょっと無責任なんじゃないかと。

実際、ソフトバンクの店員に話を聞いてみると、「二代目としてはものすごく素敵でお勧めですよ」というようなことを言います。

そしてそれに対して夏野さん、「まぁそうだね」です。反論も何もしないようです、結局同意なされています。

ただ、以下(再引用します)は、iPhoneはたいしたことがないと思っている人にも心すべきだということのようです。

夏野 でもこういうものが日本にあってもいいじゃないですか。日本のキャリアやメーカー、携帯電話開発にたずさわる人間は真摯(しんし)に、なんでこれがアメリカから出てくるのかということを考えなくてはいけない。ま、他人の業界ですけどね。

iPhoneを買わない、買わないし欲しいとも思わないし人にも勧めないと思っている人でも、何かしら考えるところはある端末だと思います。実際に携帯を開発なさっている方にとっては、自身を振り返って反省する材料にはなりそうです。

まあ、そうだなと思っていると、

ひろゆき 親心からの意見でした。

見事にオチにされてしまいました。

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iPhone行列のモヒカンの人は買うつもりで並んでいなかった

iPhoneの徹夜行列にモヒカンの人が居て、妙に話題になっていましたが、あの人、「iPhoneを買うために並んだわけではない」そうです。

◆インタビュー

【トレビアン動画】iPhoneに並んでいた世紀末ビッグウェーブに独占インタビュー!!
http://news.livedoor.com/article/detail/3729868/

モヒカンにサングラス、タトゥ、さらには片手にお酒とという誰が見ても危ないお兄さんなのだ。そんな彼が今、注目されているのはテレビ報道のためといってもいい。テレビの取材にて「ビッグウェーブ」なる発言をしたところ、たちまちネット上で大人気。

そうです、あの人。見た目が北斗の拳のザコキャラみたいな人(笑)です。

まずは問題の部分です。

記者  そもそもなんで買おうと思ったんですか?

ブッチ いや、最初は買うつもりなかったんです。バイトで知り合いの代わりに並んでたんですよ、暇だったし。でもいろいろ取材受ける内に収拾付かなくなっちゃいまして、そのまま帰るわけにもいかずに結局購入と……。思い出作りですね。だから『iTunes』とかサッパリわからないです。

記者  あれ? 日経の動画でUIだのアップル大好きだの言ってたような……。

「買うつもりなかった」そうです。おいおい。

この人、どうも天然のお調子者のようです(笑)。何の関係もなく並んでいただけの人が、調子に乗っているうちに気が付いたら日本で一番有名なiPhoneユーザになっているという、訳のわかんないことが起こってしまったようです。

#ただ、この件は最初から最後まで仕込みである気もしますが


■全米デビュー?

記者  海外のサイトにも載ったのってご存じですか? 日本代表みたいなものですよね。

ブッチ この身なりなんで多少は取材受けるとは思ってましたがここまでとは思ってませんでした。

記者  『iPhone』のCMに出たようなものですよ。

ブッチ 『iPhone』を購入してお店から出るとき凄かったですよ。僕らは『iPhone』の契約終わったの3番目くらいだったんですよ。で、ノロノロしてたらソフトバンクショップの店員さんに「邪魔だから出て行って下さい」と怒られちゃいました。取材陣が沢山いるので。それで最初にお婆ちゃんに電話掛けたんです(笑)。

「買うつもりが無かったのに」外国でも知られてしまったようです。「真の林檎バカ」ではなくて「ウケ狙いだけの人」が日本代表になってしまったようです。

で、この人がiPhoneの感想は、

■『iPhone』の率直な感想

記者  『iPhone』を使った感想は?

ブッチ コピー&ペーストが無いので辛いですね。あとたまにフリーズして困っちゃう。でもUIが格好いい。

記者  なるほど。やっぱり見た目は洗練されてますか。

ブッチ UIで思い出したけどテレビで発言した際に「なんでおまえが“UI”なんて言葉知ってるんだ」っていわれました。隣の人に聞いたんですけどね。なんかね、いきなり取材とか言われて専門用語だらけなんですよ。で、とりあえず意味分からないけど“ビッグウェーブ”とか言っておけって出たのがあの時の発言ですね。

ブッチ 最後の方の取材でカメラ2台に囲まれたときは焦りましたね。もう何を話していいのかわからない。意味がわかりませんでした。限界ですって。

あんまり褒めてませんね。かっこいいし、一部の機能にはひきつけられるが、トータルでは何か使いにくい、という良く聞くような感想になっています。やっぱ一台持ちは止めといた方がいいんでしょうね。

で、「ビッグウェーブ」は苦し紛れのウケ狙いだったようです。

iPhone自体が話題が先行した感じでしたから(中身が何も無いという意味ではないですよ)、ウケ狙いが全部かっさらっていったというのもまあ、実は自然の摂理なのかも。

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620 京セラが2.0GHz帯へのiBurstの売り込みをやっている件について

少し前のニュースですが、京セラがiBurstを売り込んでいるという記事についてです。


◆そのままのニュース記事のタイトルになっています

ニュース記事にタイトルが、全くそのままな感じになっています。「再割当を目指す」だそうですから。

京セラ、iBurstの説明会を開催。2GHz帯の再割当を目指す
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/22416.html

基本的に記事の内容は、これまでに書いてきたようなことそのままです(以前の記事を参照してください)。

また、

アダプティブ・アレイ・アンテナ技術も紹介。ターゲットの端末に電波を集中し、それ以外には電波をいかないようコントロールすることで干渉を抑える技術で、この技術により隣接するセルでも同じ周波数が利用でき、トータルの利用帯域を狭く抑えることができるという。

だそうですから、隣接するセルで違う周波数にする必要はないという言及があります。例えば、2.5GHz帯でのモバイルWiMAXは干渉防止のために、10MHz×3にして、つまり三つに分割して隣では違う周波数を使うようにしなければなりませんが、iBurstならば15MHz全体でサービスできるということです。少なくとも3.5世代での定額提供に比べると、かなり混雑に強くなるでしょう。

また、2GHz帯の割り当て幅が中途半端である点が、iBurstに有利であるといっておられます。

「他の技術でも5MHz幅でのサービスは提供できるが効率は落ちる。逆に我々は周波数幅が増えればさらに高速化できる」とし、「2GHz帯の割り当てはわずか15MHzで、30MHz必要なシステムでは利用できないが、我々のiBurstなら十分」と補足した。

iBurstは上下兼用の5MHz幅で使いますから、三つ押し込む事が出来ます。

基本的にデータ通信用な感じなのですが、IPに音声を載せて音声通話も出来るといっています。

時速100km以上で通信できる移動性・常時接続性やVoIPもサポート。VoIPでは音質の基準であるR値でほぼ固定電話と同等、遅延では固定電話より高い品質を維持できるという。ただし、遅延に関しては「あくまで無線区間のデータであり、その先のネットワーク区間も考慮しなければいけない」としつつ、「少なくとも携帯電話と同程度の遅延で抑えられるだろう」とした。

802.20はそもそも移動時の性能も基本要求ですので、移動時の性能もあるということです。


◆京セラ自身が参入するわけではない

ニュース記事タイトルでは一瞬京セラ自身による参入がなされるかのようにも見えますが、

具体的な事業者名などは明らかにされていないが、現在のところCATV事業者をターゲットとして、10社程度と交渉を進めているという。

というわけで、他社の参入を前提にしているようです。ケーブルテレビ関係がメインなようです。もしかしたら、多くの企業の連合体での参入かもしれません。

CATV事業者の場合は全国展開している事業者が存在しないため、サービス開始当初はCATVインターネットを代替するような固定サービスとして展開し、事業者間の連携やサービスの普及が進んだ段階でモバイルサービスへと移行していく流れを想定しているという。

「固定サービスとして展開」して、その後モバイルサービスにするんだそうです。移動性能がある通信規格なのに、固定から手をつけるんですねえ。

この場合固定サービスではじめるのは、エリアカバーがかなり局所的状態でスタートせざるをえないとか、有線のケーブル引くのが面倒すぎる過疎地対策とかでしょうか。ちなみに過疎地で有線代わりにiBurstというのは外国でも例がある使い方です。となると、意外にも地域WiMAXが真っ先にiBurstによって潰されるのかもしれません。

都市部で固定サービスとなると、これも本来のWiMAXの使い方っぽいことになります。ただ、超高密度のトラフィックの収容は出来ないはずですから(iBurstはマイクロセル系ではないはず)、そこそこな感じになりましょうか。

アメリカでモバイルWiMAX新会社へ資金を出したところにもCATVが目立ちました。ADSL専業とかCATV専業のところはやっぱりモバイルの高速化がかなり恐ろしいんでしょうね。ただ、私にはどうも過剰反応に思えます。

次世代のモバイル通信技術は超高速だとホラを吹きまくっいるだけに思えてならないので(散々書いたので、過去の記事を参照してください)、固定側が必要以上の心配をしている気がしてなりません。モバイル側では容量をどうするんだという懸念ばかり出ている気もするのですが。


◆最大の強みはサービスインが今すぐできること

これも以前から何回か書いていますが、iBurstが他よりも圧倒的にリードをしているのが、「今すぐにサービスを開始できる点」です。

具体的なサービス開始時期などは事業者次第だが、「免許さえ割り当てられれば1カ月でサービスは可能。早ければ2008年にもサービスを提供できるのではないか」とした。

国内のモバイルブロードバンドサービスは、イー・モバイルに加えてNTTドコモやauもサービスを提供しているが、iBurstでは周波数の利用効率が高く、設備投資も低く済ませられるというメリットを武器にとして事業者と交渉していく方針。「事業者にとって投資の回収は重要な問題。iBurstは非常に早く展開でき、設備投資の回収もしやすい」とした。

他の候補に比べて次世代感が薄いiBurstですが、他の候補はサービスインに時間がかかり、なおかつ技術的に大丈夫なのか未知な部分があります。免許さえあればあっという間にサービス可能で、技術的にも素性が知れている点、つまり「ビジネスの早さ」が有利な点です。

ただし、他の次世代技術がぐんぐん伸びてきた場合には、アップグレードないしは早期の撤収が必要になりましょう。


◆影響

2005年の最初の割り当て時にiBurstが割り当てられていた場合、現在の勢力図はかなり変わっていたはずです。イーモバイルに致命的な打撃(スタートすら大失敗するような)を与えていた可能性がありますし、ウィルコムも今よりも苦悩していたかもしれません。

もし今回の割り当てでiBurstが割り当てられて、早期のサービス展開が行われたとします。そうなると、同じような事をしているところは当然影響を受けます。思わぬところから敵が出現する形になります。

ウィルコムの次世代PHSやモバイルWiMAXについては立ち上げ時期が近い状況になります。免許がいつ出るか次第ですが、iBurstの方が先行する可能性はあります。iBurst以外の候補ならば、確実に2.5GHz帯の陣営が先行できるのですが、iBurstに限っては逆になることも無くはありません。

イーモバイルについては、「スペック上の速度」が勝る点と、エリア展開が先行している点はリードします。しかし、実効速度ではあっさり負ける可能性があります。HSPA+にしたところで、主な効果はスペック上の速度向上です。ちょっと面倒なことになるかもしれませんね。

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中国には自称「待ち受け時間:二ヶ月」な携帯があるらしい

難しい投稿が続いたので、アホで短い投稿をします。


◆待ち受け時間:二ヶ月

中国で国産(中国産)の携帯電話が売れなくなりつつありますよ、という記事です。

デザインコピーの中国携帯、人気がた落ちで危機的状況に―中国
http://www.recordchina.co.jp/group/g21598.html

まずは真面目な部分について。

2008年7月14日、市場報は中国産携帯のシェアが低下し、20%を割り込む危機的な状況にあると報じた。

中国では第三世代はまだ国策で封印されていましたから、海外からのGSM携帯の流入が著しいということのようですね。

ガラパゴスだ何だと言われていますけども、他国の携帯に蹂躙されるというのはやっぱり複雑な気分がするはずでして、日本の携帯が一番に思えている日本人は幸せなのかもしれないとも思いました。

「国産携帯を買うのはほとんど中年。彼らは国産ブランドを信じているし、値段も安いからね。それでも買う人の数は前より減っている」とは北京の大型家電店店員。今や中国産携帯は危機的な状況にある。波導、夏新は巨額の損失を計上し、レノボに続き携帯事業売却を検討しているという。

「今の中国」になる前の思想的な中国を知っている年代は国産品を贔屓するんでしょうかね。でももう、基本的に安かろう悪かろうゾーンにしか棲息できてないようです。そして大陸の人は豊かになりつつありますと。


国際的には無名の中国メーカーとはいえ、そのデザインや性能は外国製に劣るものではない。しかしオリジナリティや信頼性の欠如に加え、「待ち受け時間が2か月超」「太陽電池駆動」など詐欺的なまでに機能を誇張された携帯の登場は消費者の信頼を徹底的に失わせるものとなった。

劣っていると思うのですが、なかなか認めたくないところなのでしょうか。

で、面白いのが、

・「待ち受け時間が2か月超」
・「太陽電池駆動」
など詐欺的なまでに機能を誇張された携帯

ウソにも程があると言いたくなりますね(笑)。「築五分、駅から五年」という冗談がありますが、まるであれです。

この記事からではありませんが、こういう機種も普通にある(普通に)とかいうのがすごいです、

・携帯電話にはいかにもカメラのレンズっぽい部分があってそれっぽい事が書いてあるのだが、余裕でカメラ機能非搭載

日本でそんな機種を発売しようものなら伝説になってしまいますが(むしろ、出たら面白くてしょうがないと思う)、中国では「ああ、安物を買うからだよ、しょうがないよ」ということになるわけです。

しかも中国の人、こういう件についてどうやらあんまり悪意は無いようでして、なかなか難しい人たちであります。

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621 大人の事情で複雑な(通信)規格はろくなことにならないという話

最近のニュースでもなんでもないのですし、ごく普通の話ではあるんですが、一回くらいはこの話題で記事を書いておこうと思いました。


◆委員会で規格を作ると訳が解らなくなる

以下は、最新のニュースでもなんでもありません。2006年のニュースです。ですが、これを話の種にして少し書いてみたいと思います。

Black Hat USA 2006 - 脆いデバイスドライバ、無線LANモジュールが攻撃のターゲット
http://journal.mycom.co.jp/articles/2006/08/07/blackhat2/index.html

記事のサブタイトル的なものに

コミッティーが主導するプロトコル策定の問題点

とあります。コミッティーというのは「委員会」ということです。

このブログ話題にしている「モバイルWiMAX」なんかはまさに「委員会で作られた技術」です。LTEもどちらかというとそういう感じです。

まず、記事の流れを追ってみましょう。

WindowsやMac OSなどのセキュリティが向上し、OSの脆弱性を狙った攻撃が難しくなる中、攻撃者は他の弱点を探し始めた。SecureWorksのシニアリサーチャーDavid Maynor氏と研究者のJohnny Cache氏によると、次のターゲットはパーツベンダーが作成しているデバイスドライバ、中でもWi-Fiモジュールのドライバが格好の標的になるという。

この集まりはセキュリティに関する話題の集まりのようです。で、一般人が使うOSも昔ほどマヌケではなくなったので悪さができなくなったので、次の流行が生まれつつあるぞという話題です。

その「流行」とは何かというと、「無線LANのドライバ」への攻撃なんだそうです。

「全般的にドライバのセキュリティは優れているとは言い難く、ベンダーの対応を促すのが我々の目的である」とMaynor氏。ベンダーが市場に製品を提供するスピードを競争し、十分なテストが行われていないのが原因だと同氏は指摘する。特にワイアレスのように、コミッティーによってプロトコルが策定された技術の新ハードウエアに、その傾向が顕著だという。

ハードウェアをパソコンで利用するためには、電気的に接続されているだけではダメで、OSがハードウェアとお話をできるようにするプログラムコードが存在する必要があります。そして、そういうのを「ドライバ」と言います。

ハードウェアメーカは、ハードウェアを作るだけではなく、Windowsがハードウェアを使えるようにするソフトウェアを書かなければなりません。で、そういうドライバはどうもあまり良くない状態のものが多いという指摘です。

で、委員会によってプロトコル(そのハードウェアとパソコン本体の会話の方法)を決められているハードウェアがヤバイぞといっています。で、無線LANがまさしくそれに該当すると。

脆弱性は複雑さが原因であることが多いそうだ。「ビジネスに乗り遅れるのではないかという"恐れ"が競争意識を煽り、"競争意識"は敵対関係となる。"敵対関係"はコミッティーによるプロトコル策定につながり、複雑な関係の縮図であるコミッティーからは複雑な成果しか生み出されない」とCache氏。

元記事は解らない人には解らないだろうなと思うので噛み砕きますと、

なぜ委員会で作られたものに問題があることが多いかというと、それは「無駄に複雑な規格になっていることが多い」ためです。

なぜ、無駄に複雑な規格になっちゃうかというと、委員会のそれぞれのメンバが、自分の都合にあわせた規格にしようとしてメンバ同士が政治的な綱引きを始めてしまうことがあるからです。趣味で規格を策定するのではなくて、ビジネス絡みですからどうしても、規格の内容次第で損得が出ます。で、俺も意見も俺の意見も、ということになるわけです。

技術的に優れた解の探求ではなくて、政治的なこと、いわば大人の事情のやり取りが話の流れの主流になってしまったりします。で、しょうがないから両社の主張を両方とも採用した規格にしよう、というようなことが度々発生します。

で、例えば無線LANはどういうことになってしまったかというと、

802.11a/b/gも例外ではなく、マネージメントフレーム×11、コントロールフレーム×6、多数のサブタイプ、暗号フィールドなど、非常に込み入っている。アドホックやQoS、省電力など機能も豊富だ。

802.11a/b/gというのは旧来からある無線LANのことです。最近出てきた高速な無線LANは802.11nというやつです。

で、大人の事情でどんな感じに複雑怪奇なことになったかというと、

・マネージメントフレーム×11
・コントロールフレーム×6
・多数のサブタイプ
・暗号フィールド
・アドホック
・QoS
・省電力

それぞれの細目については説明しませんが、なにか複雑な事になっているのはお察しいただけるかと思います。元記事には「・・・など機能も豊富だ。」とありますけど、これは嘲笑ですね。こんなに機能が「豊富」なんですよハッハッハーみたいな。

で、何がいけないかというと、規格が複雑だとドライバも複雑になっちゃうということです。プログラマーが怒るわけです、なんでこんな訳のわからんほど不必要に複雑なものにあわせて作らなきゃならんのだと。で、当然にバグも沢山できてしまうわけです。

Cache氏は「複雑な仕様はハッカーのベストフレンドである」と指摘する。「シンプルならばバグはなく、バグがなければハッカーにとって何の面白味もない」と続けた。

つまり、無線LANのドライバはこういう事情で問題点を抱えている事があり、その脆弱性を狙ったアタックがなされる事が多くなったということです。で、ここでは、その主張に基づいた実演もなされました。

Maynor氏は802.11がRTSメッセージとCTSメッセージを使用してデータの送受信を行う仕組みを説明しながら、パケットインジェクションを使って脆弱性のある802.11モジュールのドライバを不正動作させる可能性を示した。その後、実際にDellのノートPCからAppleのMacBookのデータを改ざんするデモのビデオを上映した。不正アクセスを実現するのに要した時間は1分程度。

要するに何をなさったかというと、

状況
・無線LANつきのDELLのノートPC(攻撃側)
・無線LANつきのMacBook

で、DELLのノートPCから電波経由でMacBookに「変なデータ」を送りつけ、変なデータがMacBookの無線LANのドライバのバグに困った動作をさせ、最終的には「MacBookのデータを改ざん」されてしまったという次第です。そして所要時間は一分と。

デモをした人が断っていますが、これはべつにマックがどうだという話をしたいのではなくて、無線LANが規格として腐っている側面があるためにこういう事になるんだということをおっしゃっているわけです。

我々の日常的な例に置き換えると、
・新幹線でノートPCを開いていたら、気が付くとマシンのファイルが全部消されていた
・スタバでノートPCを開いていたら、知らない間に壁紙がエロ画像になっていた
あんまり楽しい経験ではありません。


◆簡単にした例

で、この発表では「簡単にして成功した例」が挙げられています。

同氏はシンプルなワイアレス通信を実現している数少ない例として「ニンテンドーDS」を挙げた。

どういうことかというと、「ニンテンドーDS」は「無線LANのようなもの」をワイアレス通信機能として用いています。しかし、これは無線LANではないのです。

なぜならば任天堂は、無線LANの(任天堂にとって)必要最低限の部分のみに対応したハードウェアを作ってしまい、「規格の必要のない部分」は捨ててしまったからです。結果、スリム化した無線LAN規格を新たに作ったかのような形になりました。

他の機器とのオープンな接続なんかには全く興味の無い任天堂だからこそできることでもありますが、プレゼンをなさっている方は、これが良い例だといっているわけです。なぜなら、これまでの懸念が全部なくなっているからです。


◆複雑な規格のもたらすもう一つの問題

ここまでは脆弱性の話でした。

ワイアレスの規格として考えた場合、問題は他にもあります。規格が無駄に複雑だと、そもそも対応機器も必然的に複雑になってしまいます。端末も、そして基地局も。また、性能面でも問題が出ることがあり得ますし、規格を拡張する際に拡張が困難なだけれはなく、またもや「どうやって拡張するか」で話し合いをしなければならない場合もあることになります。

もちろん、委員会で決める事には良い面もあります。沢山のところが一緒に作ったので、「支持者」が沢山できます。また、ある一社が自分で作ったものよりも民主的なプロセスですから公共のものに近くなり、他社が安心して採用しやすくなります。つまり、数の力を持っている傾向があります。

ただ、ある目的を達成するために非常に理想的な、芸術品のような規格が生まれる事は稀になります。

例えばモバイルWiMAXがなんだか訳が解らなくなっているのは、委員会方式の問題点がそのまま反映された結果だと思います。

W-CDMAも色々なところの利害関係の綱引きで無駄に複雑になりました。LTEではW-CDMAの件を反省して、規格が複雑にならないように努力がなされています。ただ、LTEをどうするかという綱引きは当然にありまして、たとえばドコモの提案が欧州に叩き潰されて消滅したなんていうことは多々あったようです。そして、ドコモの提案の方が明らかに正しかったのに、力関係で潰された事も多々あったはずです。

ただし、結果として出来上がったものには大きな混乱は無いということには出来たようです、おそらく。

ちなみにクアルコムは自社で好きなように技術を作っているので、こういう手間はありません。もともと技術力もあるわけで、当然に良いものができる傾向があります。一本筋が通ったものが出来上がります。

また、ウィルコムがモバイルWiMAXに手を出さなかった(出せなかった)のは、モバイルWiMAXをそのまま採用することは出来ず、なおかつモバイルWiMAXの政治に巻き込まれつつ自分に必要な規格(ウィルコムのノウハウがつまったマイクロセル展開をできるようにする)にすることも出来ないと判断したからでしょう。

次世代PHSをモバイルWiMAXに合流させるべきという意見をそのまま実行した場合、複雑なモバイルWiMAXをさらに複雑にし、さらにウィルコムが必要とするものは実現されないということもあり得ました。

もし合流していたら、昨今のモバイルWiMAXの斜陽ぶりとあわさって、とても悲惨な事になっていたかもしれません。

結果、モバイルWiMAXの土台部分は流用しつつ、その上にウィルコムが実現したいことを自由に実現したものを次世代技術として採用する事になりました。

いわばウィルコムは「ニンテンドーDS」と同じような事をしているとも言えます。シンプルにした土台の上に、もともとシンプルなPHSの仕組み(規格としてはシンプルだが運用時のノウハウはウィルコムが大量に蓄積している)を載せたわけです。

この判断が正しいのかどうかはわかりません(単独での開発はやはりリスク大)が、現在ああなっているモバイルWiMAXと手を組み、なおかつ「そのモバイルWiMAX」の特殊なタイプの技術としての立ち位置だった場合、まあ、重い空気だったでしょうね。


◆蛇足

完全に蛇足ですがすこし、しかも完全に伝聞の話なんですが。

委員会が作った結果、面白いように複雑になって破綻した例としては、Commom LISPの失敗(失敗だと思います)があります。年配の方(60歳よりは下の)で昔(から)プログラムに詳しい人が身近に居られたら、当時の話を聞けるかもしれません。

LISPというのは恐ろしく単純なプログラミング言語ですが、しかし、とても自由度が高く何でも出来たので、あちこちで自分勝手流儀なものが発展しすぎたとか。そこで、委員会で世界共通のものを作ろうという動きができました。

結果どうなったかというと、言語の仕様書が電話帳より分厚いという壮絶に巨大な仕様になってしまったそうであります。しかも、その基礎になっているものが、恐ろしく単純なプログラミング言語であるにもかかわらずです。委員会恐るべしです。

また、民主的なプロセスというのはとても大事なことなので、この記事を読んたあとに独裁的な手法が正しいのだと思ってもらっても困りますので、その点は念を押しておきたいと思います。この点は、悩ましいところだと思っています。

ちなみに、独裁的な手法でトンマな判断が行われた場合には最悪に救いようのないものが出来上がります。世の中で生み出されるものの多くは実はこちらかもしれません。ただ、身の回りで目立たないのは、そういうものは生み出されたとしても広まらずにすぐに消えるからです。しかし、そういうものが排除されずにのこるととても困った事になります。

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622 ドコモ名物「夏野さん」がニコニコ動画の人になる件

少し前のニュースですが、


◆ドコモ名物の夏野さん、ドコモを去る

知っている人には何ら説明が不必要なほどの「ドコモの夏野さん」がドコモを去りました。ちょうど、ドコモが「赤くなった」頃のことでした。次は何をなさるのだろうとか言われていたわけですが、どうやらニコニコ動画などに関与なさるらしい、というニュースについて書いてみたいと思います。

まず、夏野さんがなんだかわかんない人向けに、この人は誰なのか簡単に説明してみましょう。

ドコモは「NTTドコモ」です。ドコモには割と都会的なイメージがありますが、ドコモは本来「NTT」でもあります。NTTと聞くとどういう印象を皆さんもたれるでしょうか?良い意味でも悪い意味でも「カタイ」イメージがあるんじゃないかと思います。

NTTと聞くと、カタイ印象がありますが、ドコモと聞くと少し違う印象がします。NTTグループの中では少し違う空気のところだということですね。

かなりいい加減な説明にもなってしまうのですが、「夏野さん」は「ドコモのNTTらしくない部分」を担っていたような人でした。褒めるというよりもツッコミで説明した方がわかりやすいのですが(悪意はないのですが・・)、「ドコモ2.0」とか「他社さまは御覚悟ください」みたいなノリを主導なさっていたのが夏野さんです。NTTらしくない、と先に書きましたが、まさにそういう感じです。

夏野さんは現在のドコモの基礎になっている、iモードの立ち上げメンバーでした。そしてiモードが文字通りに大成功したあとにドコモの「そういう成分」を主導する人として長年ドコモに居られました。

ドコモは第二世代への移行期にiモードを発明し、なおかつNTTパワーで徹底的なエリア整備を行いました。ちょうどその時、日本の携帯電話市場が最大速度で成長している時期で、その時期に圧勝した事によりドコモは携帯電話で圧倒的なシェアの存在となります。

iモードでの圧勝を基礎に、NTT的な良い面が合わさって支持を得ているのが現在のドコモともいえるでしょう。

その後J-Phoneのブームがあったり、AUの歴史的快進撃があったりしましたが、決定的な時期に圧勝したドコモの一位は全く揺らぐ事はありませんでした。最近ではSBMの進撃が続いていますが、ドコモには全く届く気配すらありません。しかも、次世代でもドコモは勝者になる流れです。


◆夏野さんが有名になるまで

最初ドコモは民営化されたNTTの一部門でしたが、その後子会社として切り離されて「NTTドコモ」になります。ドコモはNTTグループ内でも未来の無い事業だと思われていて、人材の捨て場所的な存在でもあったそうであります。今では全く信じられないことですが。

最初の社長になった大星社長が、型破りな新しい事をやって逆転しよう、と思われたとかで、ドコモ社内にNTT的にはありえない「異分子」を飼って新しい事をさせようとしました。そして、「異分子」はiモードを発明しまして、ドコモの大逆転と一位独走が起こることになります。

夏野さんはその時の「異分子」の初期メンバーです。ただ、iモードの成功自体がちゃんと考えられた成功かどうか怪しいところもあるようで、なおかつ円満な成功でも無かったようですが、とりあえずは夏野さんは現在のドコモの基礎を作った「iモードの大成功」の功労者の一人ということになっています。

その後、夏野さんはmovaの50xiシリーズや90xiシリーズで象徴されるような日本式な豪華端末の企画(の派手派手な部分)やらに関わったり、メディアに出てきてはオモシロげなことを仰る人ということになりました。数々の迷言があったりしまして、例えば「反撃してもいいですか?」とか「他社さまは御覚悟ください」なんかは、いかにも「らしい」感じがします。

長らくドコモの顔でもあったわけですが、「ドコモ2.0」のあたりでドコモの偉い人方面的に愛想が尽きちゃったのか、ドコモが青から赤に変わるのを機に、夏野さんはドコモを去ることになりました。

たしかに、軽薄というか軽率というかそういう方でして、いろんな批判を受けたりする人でもありました。ただ、基本的にはNTT体質だったはずのドコモが軽薄さや軽率さを感じるようなことを自ら行えたようには思えないので、ドコモが「我々のイメージするドコモ」がすべきことをするためには必要な人だったのかもしれません。

また調子の良い事を言う人がいなかった場合、AUの快進撃以降の流れをもろにかぶってしまい、もっと沈んだ暗い感じの会社になっていたんじゃないかと思ったりもします。

「また言ってるなあ」というのは、孫社長や千本会長もよくやっていることです。もし、孫社長や千本会長がしおらしいだけだったらどういう空気になっているかを考えて見てください。

批判については割と簡単で、不必要で無意味なことをいろいろやったように見えるし、迷言だらけだということです。ドコモユーザの方にはいなくなって良かったと思っている人も居るんじゃないかと思います。

夏野さんが去ることは、今後のドコモの為になるのか、それともドコモにとって損失なのかはまだわかりませんが、今回の件は何らかの変化をドコモにもたらす事になるでしょう。

赤い色のドコモが以前のドコモよりも嫌いな人は、もしかすると夏野さんを懐かしむべきかもしれません。


◆敵陣営?と関係し、ニコニコ動画に関わる事に

ドコモから去ったあとの夏野さんですが、まず「SBI」に関わることになったようです。SBIというのは、もともとはソフトバンクグループで投資関係を取り仕切るようなところだったところ、という説明にしておきましょうか(何か怪しいですが)。ソフトバンクのSBに投資(インベストメント)の「I」をくっつけたものだと。

SBIが世間にも直接知れたことがあります。ライブドアがフジテレビを掌中に納めようとした際に、最終的にフジテレビ側に「味方」が現われてライブドアの野望が頓挫したのを覚えておられるでしょうか?その時の「味方」こそSBIでした。ホリエモンも孫正義帝国には勝てないか、なんて言ってた人も居ました。

ちなみにライブドア事件の時点では、SBIは最初は先の説明のとおり「ソフトバンク・インベストメント(SBI)」だったのですが、今では単なる「SBI」になったとか。つまり「ソフトバンク」をもう名乗っていないのです。孫社長との同盟関係も解消されたとかなんとかいう話も聞きますし、実はそうではないという話も聞きます。

で、夏野さんはまず「SBIの偉い人」になるということです。ドコモの敵陣営に鞍替えしたとも取れますし、SBIはもうソフトバンクじゃないからそうじゃないという気もするような状態です。ただ、ドコモの重鎮が、ソフトバンク関係のところに移動するとなると、どうも孫社長と関係があるようには見えてしまいます。

まあつまり、なにやら穏やかならぬようにも見える空気があるということです。赤いドコモから追放されたように見え、孫社長と関連しているようにも見えるところに行くのですから。

もう一つ、もっと解りやすいニュースは、夏野さんが「ニコニコ動画」に関わる事になった件です。ニュースを引っ張ってきましょう。

“iモード創設者”夏野 剛氏、ニコ動の「黒字化担当」へ――ニコニコ大会議2008
http://japan.internet.com/busnews/20080707/5.html

夏野氏はドワンゴの顧問就任について、「多くの企業の上場に携わってきたが、ドワンゴだけは昔から変わらない。儲けたお金をどんどん赤字の事業(ニコニコ動画)に注ぎ込んでいく前向きな姿勢が良い」と説明。また、ニコニコ動画については「ニコニコ動画以外に世界を狙えるコンテンツはない。私がニコニコ動画の黒字化担当となり、来期までに黒字化を実現する」と語った。

記事のタイトルでも「iモード創設者」という紹介になっていますね。ただこの書き方だと、異論が出そうな気もしますけど。

夏野さんとドワンゴの関係は一応は長いようです。というのも、夏野さんはiモードでドワンゴもiモードだというとても簡単な理由で。

またいきなり「夏野節」が炸裂しています、いいですねえ。

「ニコニコ動画以外に世界を狙えるコンテンツはない。」

これまでドコモのサービスや端末を持ち上げていたのと全く同じノリです。ただ、ウェブのサービスでは軽薄で軽率なくらいでちょうどいいとも思うので、何か違和感がないような気もします。

「私がニコニコ動画の黒字化担当となり、来期までに黒字化を実現する」

ちょっと脱線しますが、以前書いたように「動画配信サービス」というのは「現状では」とにかく儲からない商売です。無料では巨額の設備維持費が広告で回収できず、有料では誰も会員になりません。黒字にするだけでとても大変です。夏野さん、これは自分の言っている意味が良くわかっていないようにも思います。今期っていうのはちょっと。

夏野さんに節約させたりする方面の実績はありませんので(ドコモ時代を思い起こしましょう)、なにやら派手なことや奇抜な事で人気を取ったりお金を取ったりなさろうとするのでしょうね。ドコモよりも変な事はしやすいでしょうし。ただ、成功するんでしょうか?

個人的には「夏野さん、またやらかしてるな」というような、どこかピントが外れてる感じのキャンペーンを全力でやっていただけると楽しくてよいのですが(ちなみにこの文には嫌味は全くこめていません)。

もしかするとドワンゴとしては「夏野さんが顧問」ということ自体が話題作りになるというだけのことで、もう「目的は達した」のかもしれませんけども。たとえば、私が思わずブログの記事にしてしまっていることそのものとか。

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iPhone関係の話題の流れが解りにくい

ちょっとだけ、ほとんど内容の無い事を書くつもりで書き始めます。

iPhoneが先週末に発売されました。

週末にはiPhoneで何か記事を書こうと思っていたのですが、まあなんというか状況がうまく掴めないので、記事が書けずに困ってしまいまして、それをそのまま書くことにしました(笑)。


好評なのか不評なのかよく解らず

iPhoneは安い感じではなくなりました。よって、買う人は比較的に本当に必要かどうか良く考えてから買ったはずです。しかも、入手は簡単ではない状況ですから、

よく考えて→面倒な手間を経て入手

ということになります。だから、本当に必要なものかどうかを検討して買っている人が多いはずなんですが(また、アップル社の製品には熱狂的な支持がつきやすいですし)、その割にはどうもどこかうろたえている感じの人とか、が居られますね。

私の予想としては、何かを見る的なことについては快適に使えるけれども、通話はメールは今ひとつだろう、というようなものでした。日本的機能が欠如している事も問題点になりうるでしょうが、これについては事前に察して買う気がしました。

iPhoneは今回発売される3G対応からソフトウェア的に改良されることになっておりまして、日本語入力などがどのように変更されているかについて観察させていただこうと思っておりましたが、これについても賛否両方の意見が見られます。

日本語入力については妙に褒めている人も居る一方で、かなり使いにくいという人も居るようです。相当使いにくいだろうと覚悟していた人には、そうでもなかったということなのかもしれないと思ったり、人によって差があるのかなと思ったりします。

ただ、もし私が他の人に意見を聞かれたら、妙に褒めるなんてことはやりにくいなとは思うんですが。


二本持ちがやはり必要?

一台で全部済むと思う、というような感じはあまりないようです。これについては予想通りですが。

また、メールや通話以外にも色々と細かい不満があったりするようです、中でも「言われてみれば」の要素としては、ソフトバンクの電波の悪さが挙げられていたりして、なるほどと思ったりしました。そりゃそうかも。

また、メール受信をしても端末が通知してくれないという点にお怒りの方も多いようです、他にも同じような問題点はあるようです。日本人向けに長年かけて洗練された日本の携帯と違ってこういう感じの不満点は複数あるようです。日本人的に使うと、細かいところであちこち足りない事があるようです。

iPhoneはUIが洗練されていると散々言われていましたから、そういう点は少ないのだろうとも思ったのですが、やっぱりそうでもないようですね。

#ただこれは、オサイフがないというような意味じゃないですから誤解の無きよう

ただ、メール受信の通知の件については、標準のメールを使う限りにおいては不便があるようですが、「アップルの有料サービス」を使うと、通知されるようになるようでして、

アップルに支払ってね

がいきなり炸裂している気もしなくもありません。「とっても便利なんだけれど有料」というものが今後も次々でてくるのかもしれません。

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623 ドコモ(など)が純減しない原因はこの物体

「ドコモが純減しない原因」についてのニュースを見つけたので皆さんに報告したいと思います。


◆これが減らない原因

まずは記事の引用、

ドコモ、組み込み型FOMAモジュール「FOMA UM02-F」・「FOM UM02-F専用アダプタセット」
http://www.rbbtoday.com/news/20080708/52605.html

NTTドコモは、自動販売機などの各種機器に組み込んでFOMAパケット通信を利用できるFOMAユビキタスモジュール「FOMA UM02-F」、および「FOM UM02-F専用アダプタセット」を7月14日に発売する。

FOMA UM02-FとFOM UM02-F専用アダプタセットは、ソフトウェア遠隔更新機能や遠隔監視機能、FOMAサービス回線を使ってネットワーク側でGPS測位をアシストするネットワークアシスト位置測位機能などをオプションとして用意したFOMAユビキタスモジュール。いずれもデータ通信速度は上り最大64kbps、下り最大384kbps、2GHz/800MHz帯(FOMAプラスエリア対応)の周波数帯を利用する。

FOMAのUM02-Fという新端末についての記事です。

UM02-F なんて携帯電話屋で見たことが無いと思われたかもしれませんが、それも当然、これは「人間が契約するFOMAではない」のです。

普通のFOMAは人間がおしゃべりするために使います。しかし、このFOMAは例えば自動販売機がおしゃべりするのに使うFOMAなのです。つまり、人間が利用する端末じゃないのです。

自動販売機がなにを話す必要があるのかですって?最近の自動販売機は賢くなっておりまして、自分で本部に状況を報告するようになっているのです。コーラが何時何分に何本売れたとか、温度はこのようになっておりますとか、つり銭が切れて困ってますとか、売り切れになりそうなものがあるから補充してくださいとか本部に連絡をするのです。もちろん、音声ではなくて、パケット通信でですが。

で、自動販売機の補充屋さん(あの車でぐるぐる走り回っている人)には、本部から「次は○○にある自販機に向かい、何と何をどれだけ補充せよ」と指示が飛んで無駄なく作業がなされるのです。

そしてこういう「話す機械」は自販機だけではありません。

また、こういうモジュールを増やしているのはドコモだけではありません、市場が飽和状態にあるにもかかわらずなかなか純減しないのは、このような人間以外の契約が出てきたからです。

ご存知無かった人は、「なあんだ、純増とか純減とか言っているけれど、自販機まで入っていたのか」と思ってください。

また、逆に「自販機を数に入れるなんて反則だ」と思っていた人には、自販機だって立派に電話で話すのだということを確認していただければと思ったりします。ただ、自販機人間と(人間のプリペイド)をごちゃ混ぜにして好調とか不調とか言われてもすっきりしない、という点については私も同感です。はっきりと分離して何がどうなっているのかわかるようにしてほしいと思います。


◆昔からある話

世の中、大事な事は大抵昔に考案されています。最新を名乗って世間で流行るものは沢山ありますが、昔からあることを言い換えただけだったり、そもそも実態の無いものだったりします。

自販機が電話で「話す」ようになったのも結構前からです。自販機から電話線が出ている奴が昔から居たりします。モバイル化するまえから会話をする自販機は居たのですね。

また、人間が飽和したあとは機械に契約させるのだ、というのは、ドコモの前の前の社長(前の社長ではない)だったか、つまりずっと前から言われていました。当時はドコモは「パケ死帝国」でしたから、パケットを使う人間が有限であることが問題でした(羽振りの良い時にはその流れが永久に続くもんだと思いこむ、ということなのかもしれません)。しかし、「機械にパケットを使ってもらえればドコモ帝国の成長に制限は無い」というような話でした。今じゃ、定額の時代で、浪費推奨どころか帯域制限の時代ですけど。

よって、自動販売機用のFOMAというのは、新しい話というよりも古い話です。ドコモが知恵を絞って出してきた最新アイディアではないのです。ただ最近では、人間で純増を稼ぐのが厳しくなってきたので、相対的に自販機への売り込みが熱心にはなっているようです。

まるで石油が値上がりしてきたら、原油を含む砂とか岩が注目を浴びたのと似てます。原油を含む砂とか岩は昔から知られていてましたが、そんな面倒なものは放置されていました。ただ、困ったときに頼りにした例もあって、昔の大戦で負けちゃった陣営は、石油切れに困り果てて、砂や岩から燃料を取ろうとしていました。

電話機でも似た例があって、困り果てたドコモのPHSが、自販機向けにPHSモジュールを売りこんで飢えから逃れようとしていたことがありました。自販機は屋内設置される事もあるので、屋内にとても弱いドコモPHSでは圏外になったという苦情とか無かったんだろうかとか思ってしまいますが。

自販機には良いところもあって、端末のデザインがかっこ悪いから買わないとか言う話は無いし、網にかける負荷も事前に予想できます。サイズの大きいデータ転送は深夜にやっていただくようにお願いする事も出来ましょう(自販機のファームをUPする作業とかもおそらくあるのです)。人間にはなかなか難しいですが。

ウィルコムのW-SIMはこういう用途にも使ってもらうことを意図して作られているはずです。ただ、うまく売り込めていない気がしますが。

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だそうだ「WILLCOM D4の大容量バッテリ差し上げます」

少しだけ、

もう少しで発売される「WILLCOM D4」ですが、もれなく大容量バッテリをプレゼントする事になったそうです。


◆らしからぬ

この思い切った対策には皆さん驚いているようです。

「WILLCOM D4スペシャルプレゼントキャンペーン」の実施について
http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2008/07/08/index.html

なにかというと、(7末までの)購入者全員に対し、「標準の三倍の容量をもつ大容量バッテリ」を無料で差し上げるという発表です。

この迅速にして思い切った対応、ウィルコムらしくないような。

また、大容量バッテリを急遽そんな数を用意できたことにも驚きました、もしかしたら「いつになったらとどくんだー」ということになるだけかもしれませんが。

標準のバッテリでは、公称1.5時間しか持ちませんでした。

大容量バッテリは、バッテリのサイズが大きくて装着すると多少重く分厚くなってしまう代わりに、標準の三倍の電力があります。つまり、公称4.5時間。結果としては、他のモバイル製品と遜色ないバッテリ持ちになりました。

スリムなままで持ち運びたい人には標準バッテリを、長い時間使いたい人は大容量を、もっと長時間使いたい人は両方持って歩こうということになりました。

D4についての主要なつっこまれ点は
・バッテリ
・マシンパワー
・回線速度
こんなところでしょうか。キーボードが気にいらないとか、ポインティングデバイスが気にいらないとか、重さとか、ホカホカが嫌だとかもあるでしょうが。

このうちマシンパワーについては、動作するデモマシンを使ってみた人の多くは許容範囲内だと判断したようでした。また、XPへの入れ替え版などの提供をしたりすればこの点はさらに対処可能でしょう。

個人的にはXP版があったらXP版を選んでしまいそうな気もするのですが、ただ、Vistaの余計なものを全て停止させた状態と、XPを入れたマシンとではあまり差が無いのではないかという気もしたりしなかったりします。

回線速度については、現行のW-SIMのx4でHSDPAではない第三世代と同じ程度の速度が出ています。さらなる速度向上については8xのW-SIMやTypeAGのW-SIMがそのうちに出ることなどを願いましょうか。

バッテリについてはマシンの使い方次第で持つ時間はかなり変わるはずで、実際に使ってみてどうなんだろうなとは思っていました。思ったより持つなという人と、全然持たないという人が両方とも出そうだなと。

しかし、今回の思い切った措置によって、バッテリ持ちで文句を言える感じではなくなってしまいました。これで、競合する可能性のある製品との差異が無くなってしまったからです。大容量でもバッテリが足りなかったとして、それはもうD4固有の問題という感じでは無いので。

さらには、大容量バッテリを標準装備にしていた場合には「割と分厚いかも」とか言われていたはずですが、それも言われずに済みました。標準バッテリ装着時の薄さの印象のまま、バッテリ持ちの懸念を除去してしまいました。マジックかもです。

また、バッテリを二つ提供することで、バッテリを交換する習慣が皆さんにつくはずですから、販売からしばらく経つと「バッテリの売上」が通常の商品より増えるようになるかもしれません。

発売まであと数日ですが、この時点でのこの措置、実は最初から全て計算していてタイミングを見計らってこの話を出して全て問題なしにしたかのようにすら思えます。

#発売日直前にうろたえて対処しただけだと思いますが

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624 アッカが横浜ベイエリアで無線LAN、が「10年前」な感じがする件

ちょっと毛色の違うネタについて少し書きたいと思います。


◆アッカ、横浜ベイエリアで無線LANサービス

アッカが、無線LANで横浜ベイエリアをを面カバーするということを試すようです。

アッカ、横浜ベイエリアで無線LANサービス-エリア情報配信も
http://www.hamakei.com/headline/3322/

ブロードバンド・ネットワーク・サービスの「アッカ・ネットワークス」(東京都千代田区)は7月7日より、関内や新港地区などで無線LANサービス「skeletown(スケルタウン)」を期間限定で提供する。約4カ月間にわたり接続サービスを利用者へ無料で提供し、無線LANの特性を生かしたビジネスモデルや無線ブロードバンドの利用シーンを検証する。

同サービスは、横浜の都心臨海部に46カ所(スタート時)のアクセスポイント(電波中継機)を設置し、無線LAN環境をエリア全体で提供する試み。ユーザーが接続したアクセスポイントの周辺のエリア情報の配信をおこなう。1つのアクセスポイントがカバーするエリアが半径100メートル以下と狭い無線LANの特性を生かしたもので、位置情報はインターネット上でサービスを展開している事業者に提供し、位置情報と連動した新しいサービスの創造を目指す。アクセスポイントは期間中に100カ所以上設置する予定。

配信するコンテンツは、神奈川新聞の「カナロコ」が提供する天気予報やニュース、「ヨコハマ経済新聞」によるイベント情報のほか、アートスポットや商業施設などの情報を毎日配信していく。

ノートPCだけでなく、iPod touchやiPhoneユーザーのために、画面サイズやタッチパネルでの操作性を考慮した専用ポータルを用意し、リクルート社「Hot Pepper」の飲食店情報などを提供する。

また、検索エンジン・仮想通貨システムの開発など行う「未来検索ブラジル」と共同で、アンケート回答者に、インターネットで使えるポイント「モリタポ」を進呈するほか、無線LANなどのワイヤレスサービスの決済手段として仮想通貨の有効性について検証していく。

うまく行くと面白そうな気もするのですが(←一応念は押してきます)、どうも「昔聞いたような話」に思えてなりません。

この話は
・無線LANで横浜の一部を面的にカバーしてみよう
・位置に応じた情報配信をしたい
・iPod touchやiPhoneとか
・モリタポ

後ろの二つは単に話題作りな気もします。iPod touchやiPhoneについては、話題作りだと解ってて話題作りに使っている気がします。最後のものについては一応なにか書く必要がある気もしますが、話題が発散するので今回はやめにします。

で、今回で話題にしたいのは前の二つです。このニュースでは明確には書かれていませんが、どうも面的にカバーする気らしいんですね。


◆うまく行かないと思い込むのもよくないのですが

無線LANで町をカバーするという話は、昔に流行した話でもあります。無線LANが町を覆ってゆき、21世紀には街中では無線LANさえあればどこでも通信ができることになっているはずでした(推進派の話では)。

一番話題になっていたのは10年くらい?(以上?)でしょうか。

AirEDGEはほどなく無線LANに滅ぼされるなんていう「専門家」の人も居ましたし、無線LANは携帯電話の音声通話すら脅かすだろうなんていう話もありました。

しかし、初期PHSですら受け入れられなかったのに、無線LANでは話になりませんでした。

そんなことは解っている人には最初からわかっていたはずのことですが、話が勝手にでかくなり、その後それは落胆に変わりました。まさか今になっても「もうしばらくしたら街中では無線LANだけで圏外の心配はほとんどなくなる」なんていう人は居ないと思います。

もちろん、昔そうだからといって今も同じだと思って良いわけではありません。例えばPHS、現在使われているPHSは初期PHSとは異次元レベルに進化しています。昔失敗したからこれからも失敗するだろうというのは、たしかに良くない思考回路です。しかし、状況が変化した証拠なしに「今度は成功する」と思うのも愚かな行為です。

しかし、無線LANで市街地を覆うという話は、21世紀になってもまだ失敗が続いています。

米国で“街全体をカバーする無線LAN”の失敗相次ぐ,シカゴ市は計画を無期延期
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071012/284453/

いつでも,どこでも,市内ならば無線LANが使える--。自治体主導でインフラを整備して,市内一帯を公衆無線LANサービスでカバーするというアイデアがある。2004年ころから米国を中心にそうした計画が盛んに立ち上がった。例えば2006年にシカゴ市が立てた計画は,600平方km近い市内全体を無線LANでカバーするという壮大な計画だった。携帯電話に対抗する,新たな無線インフラになると期待された。ところが最近,こうした自治体主導の公衆無線LANサービスの計画が相次いで破たんしている。

ちなみに、公衆無線LANで大騒ぎしていた人たちは、その後WiMAXでの大騒ぎに乗り換えている傾向もあるようなないような。

さてさて、改めてアッカのニュースを見てください。2008年なのにまだ同じ事をまだやっているんですか、と思えてきませんか。


◆「位置に応じた情報配信」というのは

「位置に応じた情報配信が利用者になされるなんて、新しいビジネスの予感だ」とか思った人も居るかもしれませんが、これも10年(以上)前からグダグダになっているネタです。

まずこの話はシーズ(技術者側からの思いつき)によるものです。しかも「誰でも思いつく系」のシーズです。誰でも思いつくし、なんかそんなに難しく無さそうに思えてしまうので、とりあえすやろうと思ってしまいます。そういう意味では「アカンぞこれ」な感じの代表的なものとも言えます。

もちろん今回の実験で、とうとうお金になる話に変わるなんてことが起きるかもしれませんけども、無線LANで位置情報なんていうのは、むしろ典型的な要注意ネタだと思った方が無難に思えます。


◆コピペ

無線LANで町を面的にすっかり覆うのはさすがに厳しいと思いますが、無線LANがあちこちで使えるようにするのはよいことには思えます、日本では、というか日本の東京以外では、無線LANが使える場所が少なすぎますし。

位置情報も、またかという感じはしますし、モリタポについても十分に考えてのことならば割と面白いことになることもあるでしょう。私が予算を出す立場だったら勘弁ですが、他人の挑戦には拍手はしておきます。うまく行かないように思えますけど。

ただ、なにかしら「(昔)かっこよかった」ものを今さらやっているだけにも思えてしまいます。iPod touchやiPhoneが話に出てきているところとか、モリタポが引っ張り出されているところとか。

気になっていることがありまして、2.5GHz帯の落選騒動あたりからずっと継続して気にしていることなんですが、どうもアッカがすることには、「かっこよさげに見えたんだろうな」をコピペしただけに思える話がどうも多いように思えてなりません。

私にはなんとなく、モバイルWiMAXへの立候補自体も同じ思考回路で行われ、儲かる可能性の低いネット動画ビジネスに関与したのも、しっかり考えてそうしたのではなくて、「かっこよさげな話題をコピペ」で決まっちゃっただけの気がします。

アッカをめぐる騒動が少し前にありましたけど(その件については、乗っ取ろうとした行動もまた愚かだったので話がややこしくなりましたが)、その時にアッカに落胆してた人の憂鬱はまだ続くんじゃないだろうかと思ったりしました。


◆ただし

ただ、この話は机の上で考えている分には楽しい話題です。この仕組みがうまく回ると前提し、そこから想像すると楽しいです。相当に夢のあることを考えたりできます。

その時に想像の中に広がるのは、未来な感じの都市です。実験が実現しようとしていることが現実になっている都市が実際にあるとしたら、素敵に違いありません。

だから成功するならば成功していただきたいとも思いますし、この話のプレゼンはとても素敵なものでもあったに違いありません。ああ、そんな未来もあるんだなって。

でも、そこから発想しての行動はこれまではうまく行っていないように思えます。

私も「素敵なイメージ」は大事にしたいとは思ってて、これ自体を否定すると世の中が面白くなくなってしまいます。でもそれは、頭の中と現実を混同するような思考スタイルを肯定して良い事にはなりません。難しいでございますな。

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不気味:これはiPhoneがドコモから発売される予兆?

ドコモ公式サイトで、「ドコモで iPod Touchを使おう」というウェブページが存在するようです。

これがいつから存在するページなのかは知りませんが、もし仮に最近出来たページだとするのなら非常に意味深です。


◆問題のページ

ページのタイトルからして、意味深です。

iPod® touchで公衆無線LANを楽しむ
http://www.nttdocomo.co.jp/service/data/mzone/usage/ipod_touch/wireless_lan/index.html

どういう内容かというと、「FOMAのオプション契約で契約できる公衆無線LAN」で「iPod Touch」を楽しく使おう、というページです。

FOMAのユーザは+800円(税込840円)で無線LANのオプション契約をすることが出来るというだけのことで、別に「iPod Touch」である必要は全く無いのですが、まるで「ドコモならiPod Touchが使えます」というような内容になっています。

根本の話としては公衆無線LANというだけの話です。WILLCOM 03 をホットスポットで使っちゃうぞー、というのと同じではあります。

ただ単に昔から無線LANのサービスは行っていて、ただ無線LANのオプションを契約する人はあまり居なかったところに「iPod Touch」だと一般ウケするかもしれないな、と思って(iPhone騒動以前に)作られただけのページかもしれませんが、最近出来たページだとするならば相当に意味深ですね。

あるいは別の見方もできるかもしれません、やっぱり「iPod Touch」で事足りるんじゃないかという件の再確認です。

しかしこの時期にこんなページがあるという話になりますと、やっぱりドコモからもiPhoneが出るんじゃないかと思えてしまいます。

ドコモはアップルとの交渉の経緯については口止めされているそうなので、このページが実際のところ何かに関係していてもコメントできないはずですが、そこを逆に考えてみると「こういう形でならドコモが何かを伝えることができる」ということでのページなんじゃないかと・・それは考え過ぎですね。

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625 6月の携帯純増数:ドコモ↑AU↓全体では↓

携帯電話の六月の純増数(六月の間の契約者数の増減)が発表されましたのでそれについて少し。


◆まずは結果

まずは結果の一覧。

ドコモ 8万4200
AU 1万2000
SBM 15万8900
EM 4万7700
WILLCOM 900

まず今月がいつもと違うのは、AUが二位ではないことです。純減こそしていないものの、ドコモに抜かれてしまっています。またドコモですが、結構な健闘をしています。また、一位は今までどおりソフトバンクです。

イーモバイルは先月とおおよそ同様な感じに思えます。ウィルコムは今月は文字通りの微増となりました。


◆「買い控え」じゃなかった?

今月のもうひとつ気になる点は、全体の純増数が少ないことです。およそ30万です。一年前は40万は超えていたはずですから、全体的に減っています。

前月も全体の純増数が少なく、その理由としては「新機種が一斉発表されたので買い控えが起きた」なんていうことが言われていました。しかし、今月になってもあまり回復していません。

とくに、新機種による買い控え効果があったとして最大の効果があると思われるドコモについても、先月6万900で今月は8万4200と、新機種効果はあるように思えても買い控えというよりも全体の純増が減っているように思えます。

また、携帯各社ともに通常の携帯電話による契約以外が増えています。いろんな機器に組み込まれる形で利用される通信モジュールの数です。市場が開拓されて拡大しているとも言えますが、音声が飽和しつつあるとも言えます。

しかも現在、二年縛りや家族縛りが横行していて仕方無しに二台持ちしている人も結構居て、数が不自然に増えているところもあるはずです。そろそろ純増を当たり前に考えるのは終わりに近づいているのかもしれません。


◆AUとか

AUは純増数的にはここしばらく減速気味です。本来厳しい状況である筈ながら、純増数的にかなり無理して頑張っているように思えるドコモに追い抜かれています。

しかし、AUは純増数では追い抜かれているにしても、順調に儲かっています。世間的な勢いのイメージと違い、過去最高益のような状態になっています。AUはあんまり無理をせずに儲ける事を優先しているようにも見えます。会社の本務は利益をあげることですから、実はそれで正しいのかもしれません。

ただ(これも以前に書きましたが)、AUは戦略上の意味がある「3000万契約」の死守はするとは思います。というのは、3000万で「新規帯域を要求する権利」を得ているためです。何かあったときに「帯域下さい」と言える状況は守らなければならないだろうからです。

よってもしかすると、減るのは困るけれど沢山増えようとはしない、まるでウィルコムのような純増数の推移をするようになるかもしれないなと思ったりします。

イーモバイルは何となくそこそこ感な数字です。数字上はAUを越えましたが、イーモバイルは現契約者数が他のキャリアに比べるとほとんどゼロに等しく、解約数の効果が無視できる状態なので、他社との直接比較はどうもやりにくい数字です。

長期的に考えるとイーモバイルはもっと増えていなければなりません。しかし、現状を踏まえると、契約者の獲得に巨費を投じるのも適切にも思えません。明らかなばら撒きをやっていてこの数字ならば正直不味いはずですが、お金節約モードを続けつつこの数ならば、まあそこそこなのかもしれません。


◆ウィルコム

ウィルコムについては減るんじゃないかという気もしていたので、減っていなかったのはちょっと驚きでした。今月は超低空飛行でした。

WILLCOM 03 は6月中に発売されていますが、月末なのでそれまでの発売待ちとの効果を考えると微妙なところでしょう。WX320Kを店頭であまり見なくなっていますし(これは良くない事だと思います、むしろKRの方が要らないと思います)、HONEY BEE も全色揃っていないのをよく見たので、どうかなと思っておりました。

WX331K(HONEY BEE)が安定して売れているからなんでしょうか。

これから本格的に新しい端末が出てきますが、7月以降が果たしてどうなるかというところです。

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626 携帯電話各社の「次世代」通信技術の方向

タイミング的に変な感じもするのですが(なにかきっかけになったニュースがあったわけではないのですが)、ここしばらくのうちに携帯各社が次世代通信技術でどのような作戦を取るのか明らかになってきた件について、再度整理をしてみたいと思います。


◆まずは一覧

まずは、各社ごとに一覧を書き出してみたいと思います。説明はそれから行う事にします。

・ドコモ:早期のLTE移行
・AU:態度未定だが、LTEを検討している感じ/モバイルWiMAXを別会社で準備中
・SBM:HSPA+へ移行
・EM:HSPA+へ移行
・WILLCOM:次世代PHS

まず、この系の話題を始めて読む人向けに少しだけ説明を行いたいと思います。まず、現状を整理すると以下のようになります。相当にいいかげんですが、

・ドコモ:3.5世代(W-CDMA/HSDPA)では世界最強レベルの基地局網を整備済み、なおも基地局に巨額の予算を投下中
・AU:800MHzの3.5世代(CDMA2000 EV-DO)の整備をかなり以前に済ませており、現在、2GHzと3.7世代(EV-DO Rev.A)の整備を行っている
・SBM:第三世代(W-CDMA)でのエリア整備は一応完了、3.5世代(HSDPA)のエリア整備が不十分。上位二社にくらべてエリア整備は今ひとつ。
・EM:ゼロから3.5世代(W-CDMA/HSDPA)でエリア整備中、しかしエリアは全社の中で一番狭くまだまだこれから。
・WILLCOM:現行PHSでのエリア整備は完了、高度化PHSでのエリア整備を実行中。

携帯各社の「次世代」の選択肢としては
・3.5世代のまましばらく粘る
・第三世代系をさらに発展させたもの:HSPA+(W-CDMA陣営)、EV-DO Rev.B(CDMA2000陣営)
・第四世代系の技術:LTE

ということになります。ポイントは、HSPA+ならば現在の基地局網をほぼそのままにしても大丈夫なのに対し、LTEならば「最初からやり直し」というようなことが必要になることです。ただし、LTEの方が新しい技術なので、将来に向かっては大きな発展性があります・・あるとされます。


◆各社

ドコモ:LTE

まずドコモですが、LTEの早期開始がドコモの方針です。そもそもドコモがLTEそのものを開発しているところですし、ドコモはLTEそのものと一体のようなところがあります。

皮肉にも、HSPA+のサービスインがいちばん簡単なのもドコモのようなのですが(設備投資を惜しみなく行っているために設備の拡張能力も高い)、しかしドコモはLTEに進み、他社を「世代差」で引き離す作戦のようです。

ただ、ドコモはHSPA+の導入を行う場合でも他社よりも優位なので、HSPA+が主流になったとてドコモの作戦変更は難しくないと思われます。あるいは、世界最速のHSPA+化と世界最速のLTE化の同時達成すら可能だと思われます。

ただ、現在のところはドコモはHSPA+を実性能の面で評価しておらず(よって結局は「無駄な投資」になると思っている模様)、世界最速のLTEの導入となるようですが。


AU:LTEの方向と思われながらも態度未定

AUは、公式には次世代への態度を表明していません。今のところLTEへの移行を検討していることをほのめかしていますが、公式には未決定です。AUには以下のような多数の選択肢があり、決定保留が可能な状況なので、様子見をしているものと思われます。
・LTEを採用する
・CDMA2000系統の次世代技術、UMBを採用する
・Rev.Bで現行世代のまま時間稼ぎをする
・モバイルWiMAXに力を入れる


SBM:HSPA+

SBMですが、ニュースソースの控えを無くしてしまいましたが「なんちゃって基地局」の人が、ソフトバンクはまずはHSPA+に移行し、初期のLTEは様子見するという趣旨の発言をしています。「初期段階の技術」の採用は通常はリスキーでコスト高ですから、リスク回避をするのでしょう。妥当には思えます。

またそもそもの問題として、3.5世代化がまだ十分ではないところがあります。インフラ整備にこれまで各種の「混乱」があったため、基地局網が変な事になっている部分があると予想されます。よって、きちんと3.5世代化するだけでも、基地局整備のやり直しのようなことが必要になる可能性があります。

また、AUもドコモもLTEを開始するために必要な「専用帯域」を用意が可能な状態にあります。しかしSBM(やEM)には専用帯域の確保が難しい状況です。仮に新規の帯域をこれから獲得しても、新規帯域の基地局整備をゼロから行うとなると、時間的がかかりすぎて苦労する事になります。

SBMは次世代への移行で最も苦労する事になる可能性があります。HSPA+に移行するにせよ、LTEに移行するにせよ。3.5世代で時間稼ぎをするにせよ。


EM:HSPA+

EMもHSPA+を採用する方向のようです。

http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/40338.html

次世代のサービスについても質疑応答の時間で触れられ、ガン氏からは、「現状の設備を利用し、基地局のソフトウェアのアップデートなどで 40Mbps~80Mbpsまでは行けると見ている」と説明された。千本氏からは「ここ6カ月の動きを見ていると、明らかに世界の主流はHSPA。一番確実で、スピードが上げられる。既存のものをアップデートして80Mbpsまでいくのが現実的で、メインストリームはHSPA、LTEという流れ。我々もその流れを選択する。ただし、現実的には、LTEが今後2~3年後に来るわけではない」として、ひとまずは既存設備を更新しながら、世界のメインストリームに準じた対応を行なっていく方針を示した。

どういう理屈で「80Mbpsまで行けるのか」についてはちょっと前に記事にしましたので、それを参照ください。ただ、問題はスペック上の数値は80Mbpsに到達するにしても、実際の速度向上は知れていることになるだろうということです。

イーモバイルはサービスイン自体が最近ですから、結果的に基地局網も新しく、最初から3.5世代でエリア整備を行っています。SBMが抱えているような設備の混乱はありませんが、以下の問題はあるかもしれません。

イーモバイルは東京大阪などはエリクソンの基地局でエリア整備をしています。エリクソンはLTE陣営の欧州の親分であり、なおかつHSPA+を推進している張本人です。ので、エリクソンに「HSPA+にしたい」「LTEにしたい」と言えば、おそらくそれだけで済んでしまいます。ある意味理想的です。

ただよく解らないのが、コスト節約で中国の華為(Huawei)の基地局でエリア整備している地方都市(仙台など)です。もしかするとエリクソン地区と違って、アップデートが順調に出来ない可能性もあります。場合によっては華為の採用を後悔するようなこともあるかもしれません。

LTEの採用は専用帯域の用意の面だけではなく、3.5世代でのエリア整備すら済んでいない状況なので、設備投資の資金の用意の面でも厳しい状況があると思われます(3.5世代のエリア整備だけでいっぱいいっぱいのはずですから)。よって、当面はLTEについては考えない作戦はそれで仕方ないように思えます。


WILLCOM:次世代PHS(+現行PHSの強化版)

ウィルコムについては次世代PHSへの移行以外の道はありません。現行世代のPHSの進化版もありますが、これだけでLTEやHSPA+の流れについて行くのは厳しいと見られます。ただ、次世代とと併せて使うのが一番効果的だとは思いますが。


◆しかしもしかすると

また、次世代の話題が渦巻いているなか、実際には3.5世代でのエリア整備が終わっていないキャリアがあるので、これからも3.5世代への投資を続けなければならない現状があることが原因なだけなのかもしれません。

世間の話題の流れがどうであれ、今現在のサービスのためには3.5世代のエリア整備を続けなければならない現状があったとします。これを話の基点として考えてみます。

もしLTEが本命だ、と言ってしまうと、「今やっている3.5世代基地局への投資は、長期的には無駄になる」ということを言われてしまう可能性があります。

しかし、「HSPA+の方が正しいです」と言ってしまえば、「今やっている3.5世代基地局の整備はHSPA+へのアップグレードを考えてのものです」と言える事になり、無駄ではない感じに出来ます。

考えてみますと、ドコモとAUは3.5世代への一通りの設備投資は既に終わっています。AUに至っては、随分前に整備が終わっています。そしてこの二社はLTEについての言及が主です。

SBMとEMは、まだ3.5世代への投資を止めるわけには行きません。もし仮に、LTEが「革命的な大ジャンプ」であると解った場合には(そうなる可能性は低いとは思うのですが)、彼らが行う投資は回収できずに無駄になる可能性もあります。

よってもしかすると、HSPA+が正しいと判断していると言うより、「HSPA+が正しいと思わざるを得ない」というだけのことかもしれません。

◆再確認しておきますが

一応再確認しておきますが、このブログでは以前から「LTEへの移行だけが選択肢ではない」「LTEにはリスクがある」「HSPA+ならばリスクは無い」ということを割と何回も書いていまして、それらの意見を覆すつもりはありません。

LTEは専用帯域を必要とし、基地局から端末の調達までかなり手間がかかります。また、LTEがサービスインしてみるとダメ技術である可能性はありますし、新技術の初期段階は大抵リスキーです。LTEが安全で安価になるのはしばらく後になるでしょう。それまでの時間稼ぎの方法としてはHSPA+ないしは3.5世代のままで待つかのどちらかになります。

HSPA+は実績のある既存の技術に下駄を履かせる方法なので、とんでもない悲惨なことになる可能性はあまりないように思います。おまけに既存の帯域で既存の通信方式と混ぜて以降が出来、既存の端末と混ぜて利用する事が出来ます。LTEに比べて不確定要素はあまりありません。

またスペック上は、HSPA+は相当に高速化します。導入時期によっては、LTEよりもHSPA+の方が高速に見えるような変な現象すら発生するかもしれません。

ただし、LTEの方が圧倒的に性能が良いと思える場合や、初期からいきなり安定してLTEが動く場合には、HSPA+への迂回は単なる時間と資金のロスになります。特に、初期からいきなり安定していた場合には、LTE導入の早さ遅さがそのまま勝ち負けにつながることもあり得ます。

しかし総合的にはドコモに付き合ってリスクのあるLTEの早期導入競争をする必要性は低いのも事実でしょう。


◆半年で話題の流れが全然変わった

ただちょっと思うのは、2007年末の2.5GHz帯騒動の時点では「モバイルWiMAXは夢の未来技術」というような流れでしたが、これが今や「HSPA+で行きます」という選択肢が語られるようになったのは、ものすごい変化に思えます。HSPA+が正しいのかどうかはともかく、よく考えないとHSPA+は選択肢にすら出てこないからです。

もし2007年の時点で現在と同じ状況だったならば、2.5GHz帯は使い道そのもののレベルでまったく別の提案がなされていたような気すらします。

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627 WILLCOM D4を触ってきました

少しだけです。


◆予想以上に大きかった

週末にD4を触ってきました。

WILLCOM 03 のモックおよび実物を見たときには、予想以上に小さいことに驚きましたが、D4は「予想以上に大きい」事に驚きました。

もはや携帯電話のカテゴリとして考える事は不可能なサイズです。通話するにはちょっと巨大だよね、と思えた初代W-Zero3とすら隔絶した大きさです。売り場でも異常な存在感です。通常、携帯電話売り場に存在しないサイズの物体だからでしょう。

私は最初D4が発表された時に、本体だけで通話できない点が少し残念に思えました。実用的かどうかはともかくその方が面白そうだったためです。WindwosVistaのハードで直接通話するなんてなかなか面白い状況だろうと思えたからです。しかし、このサイズだとさすがに厳しいかな、というサイズです。

また、当然のことながら現在店頭には、WILLCOM 03 のモックも置いてあります。予想以上に小さい03のモックと、巨大なD4もモックが同じ場所にあることになります。その結果、03の小ささとD4の大きさが互いに実際以上に強調されて見えるような気もしました。

補足:ノートPCとして考えた場合には相当に小さいと感じますので、その点は誤解なきよう


◆操作感は悪くなかったがホカホカしていた

あまり長い時間触ることはできませんでしたが、動作しているD4を使うこともできました。

色々な感想があるようですが、とりあえずは目立って遅いということはないように思いました。ただ、私が操作した時点ではエアロは切ってありました。まあ、普通の用途ならば問題なく使えるんじゃないかと思いました。あまり長い時間使っていませんが、その間に遅いと思ったことはありませんでしたので。

D4単体で操作した場合には、デスクトップマシンと操作系が違う点(キーボードのサイズやマウスカーソルを動かす方法など)の方が操作においては問題になるような気がしました。もちろん、クレードル経由で通常のキーボードを使って操作した場合には、当然のことながら操作については問題ありませんでした。

ただ、手で持って操作していると端末に重さがある点と、ホカホカしているのが気になりました(ただしアツアツではなかった)。両手で空中持ちをして操作ができるVista端末として使う場合には、ホカホカしているのはちょっと嫌かもしれないと思いました。ただ、Vistaが動作していることを考えるとしょうがないことだとは思いましたが。


◆別カテゴリの端末

iPhoneと比べて云々を言っている人が居ますが、実物を見れば明らかに「まったくの別カテゴリの商品」であることがわかります。同じ用途には使いようがありません。同じく、WILLCOM 03 とも同一カテゴリの商品ではありません。比較するだけ無駄です。

D4は「第四のデバイス」ということだそうですが、そのとおりに新しいカテゴリの端末だと思います。よって、二台持ちをするかどうかを考えるような端末だと思います。

◆「素人向け」と考えた場合に欠落した残念な点

残念ながらD4は電話として使うことは難しい端末です。端末自体で会話できない事もありますが(そしてサイズ的にそういうサイズであり)、Vistaが起動している間しか電話を受けられないので、電話として売るのには無理があります。

店員も「電話ではありません」という説明を行っていました。WILLCOM 03 は電話でもあるけれども、D4はパソコンそのものですが電話ではありませんと言う説明を行っていました。そうせざるを得ないんでしょうね。

よって、従来W-Zero3を「間違って買ってしまった」ような人を従来と同じくひきつけることは難しいのではないかと思います。彼らは電話機の予算でパソコン(みたいなもの)もいっしょに買えるぞー、と思って買っていますので、電話機でなくなった時点で、ノートPCを買うこととの比較になってしまうからです。

もし、電話の着信を受け次第にVistaが眠りから覚めて着信して、電話機として使えるような端末になっていれば話は相当に違ったと思うのですが(私の以前の記事はそのような状態を少しは期待していました)、現状ではそのような使い方は難しい状態です。

さらに、今のサイズでは着信ができるようになっていても、もし本体にマイクとスピーカーがついていても、本体での通話は難しいサイズです。また、Bluetoothのハンドセットでは、これは二台持ちしているのと感覚的にはあまり変わらなくなります。一台で全部済んでいるように見えませんから。

つまり、「Vistaフォン」と呼べるようなハードではないのが残念だということです、W-Zero3が初代から一応は電話機として使えたことを考えると、この点は少し残念です。


◆ただ、今後の進化には期待できるかも

今のところは小型ノートパソコンの亜種ですが、D4がこの先に進化をすると面白いことになるかもしれないと思いました。初代W-Zero3が最終的にWILLCOM 03 にまで発展した事を考えると、色々な事があり得るのではないかと思います。

たとえば、一回り小さくなって例えば初代W-Zero3くらいのサイズになり、操作性は維持ないしは向上し、本体だけでの通話が可能になり、寝ている状態からの着信などを実現して「電話機として使える」状態になったとしましょう。そしてWILLCOM 03で行われているような「携帯電話としてのメニュー」も備えているようなデバイスだとしましょう。

そうなったら、かなり興味深いデバイスになるはずです。その上に次世代PHSにも対応していると考えれば、相当に面白い端末になります。

ただ、このような端末は携帯電話会社にとってはとっても困った特徴を持っています。通信量が半端ではない端末になってしまうということです。しかも、端末の出来が良いほどそういうことになるはずです。しかし、WILLCOMならば、そこも何とかなさるでしょう。

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628 中国の国策第三世代(TD-SCDMA)目標は「三年で1億」、たが現状は問題山積

中国の国策第三世代(TD-SCDMA)についての話題を書きたいと思います。

また、TD-SCDMAについてはこれまで沢山記事を書いてきましたので、解らないことや機になることがあったら過去の記事を参照してください。


◆中国政府が目標を発表

2008年の4月に試験サービスが開始されたばかりのTD-SCDMAですが、中国政府が今後の目標を発表したようです。

TD-SCDMA:3年で契約数1億件目指す
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0625&f=it_0625_002.shtml

香港メディアは20日、中国政府が中国移動(チャイナモバイル)に対し、TD-SCDMAに「3年以内に契約数1億件」という目標を与えたと伝えた。新浪科技が伝えた。

またTD-SCDMAの次の段階の作業について、政府は8月中に詳細な計画と予算を報告するよう求めているという。システム構築に関する入札は早ければ10月に行われる予定で、規模はおよそ300億元に達する見込みだ。

これまで記事に書いてきたとおり、TD-SCDMAは中国政府の国策で開発されている技術です。試験サービスの開始すらオリンピックに間に合わせるための国策日程だと思われます。

もはや他の第三世代が3.5世代すら枯れた状態になり、次世代技術のサービスインすら目前の状態ですから、客観的に考えてみるとTD-SCDMAの状況は微妙な状況であると言わざるを得ません。実際、中国国内でも早期撤退論はあるようです。

ただ中国政府はTD-SCDMAで世界と戦う野望をまだ諦めていないのか、今回契約者数の目標が出てきました。「3年で1億」だそうです。さすが中国、人口が多いだけあって日本とはけた違いの数字です。

中国の人はこういう目標に関しては「非常に大げさな事を言う」傾向があることも事実でして、信用しない方が良い数字には思えますが、もしこれが本当の目標だったとしていつにどれくらいになるのか考えてみましょう。

2008年4月 試験サービスイン
2009年4月 1年経過
2010年4月 2年経過
2011年4月 3年経過(1億)

2009年はモバイルWiMAXや次世代PHSが立ち上がることになっています。2010年にはLTEの一番最初のものが動き始め、2011年ともなるとLTEの立ち上げが行われています。また、もうひとつの「本命」であるHSPA+についても十分な時期です。

三年で1億というのは野心的に思える数字ですが、こうやって他の技術と比べてみると、それでもまだ十分ではないような気がしてきます。もちろんその原因は、TD-SCDMAがあり得ないほど遅れに遅れたためですが。


◆まだ調子は良くないようです

現在、中国国内で利用してどうなのかについての記事がありました。

商用テストが始まった中国の3Gサービス「TD-SCDMA」、その実力は
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0806/30/news098_3.html

記事では直接の批判を避けて書かれているように見えますが、結局のところ「現状はダメだ」と思える内容です。

一切電話として成立しないというような状況ではないようですが、エリア面・エリア内での安定性が悪い事・端末に問題があること・商品としても微妙な事・ただつながれば(GSMよりは)速度が出るのでデータ通信用としてはまだ使えること(ただこれは「利用者皆無」だということも要因だと思われる)などがあるようです。

まだ試験サービスだからなあ、というところで納得するしかない程度のようです。

エリアは主要都市でまだ問題があるようです。オリンピック向けですから、「主要都市」では圏外にならないようになっていなければなりません。もう残り時間が無いのですが、まだまだ圏外が多いようです。

圏外の問題については基地局が足りない問題もあるはずですが、日本がW-CDMAで苦労したように(そしておそらくWiBroで類似の問題が発生していると思われるように)技術的問題で圏外が発生している可能性もあります。その場合、基地局を建てても建てても圏外が解消しない状態になっている可能性もあります。

そして、エリア内での安定性にも色々と問題があるようです。エリア内のはずなのに電話がかかってきてもつながらなかったり、移動中に不安定になるなどの現象があるようです。初期FOMAのような感じなのかもしれません。

ただ、初期FOMAと違うのはGSMとのDUAL利用が基本になっているため、GSMで使う分には問題ないという点です。ただ、TD-SCDMAの意味は無しであります。

またデータ通信についてはつながれば速度が出て良いとの事ですが、これはGSMの速度が遅い事と利用者が少ないこととセットでの現象ではないかなと思います。

ただこちらでも速度が低下したり突然切れてしまったりするようで、やはり安定していないようです。

また、利用者にとっても特に安いこともあまり無いため、TD-SCDMAを利用するメリットは今のところあまり無いようです。初期FOMAを契約していた人は基本的に単なる物好きだけ、というかつての状況を思い起こします。


◆他の技術締め出しの可能性

すでに記事に書いたとおり、中国の(携帯)電話会社は三グループに再編されつつあります。そして(何もしなければ)それぞれの陣営の採用する「第三世代技術」は以下のようになる可能性があります。

グループ1:GSM+TD-SCDMA
中国移動(国営携帯電話会社)(国内1位:世界1位)GSM+TD-SCDMA
+中国鉄通(チャイナレールコム)(鉄道の通信網が由来の固定事業者)
+中国衛星通信(チャイナサットコム)(元は中国電信の一部)

グループ2:CDMAOne+CDMA2000(クアルコムと協力関係構築中)
中国電信(チャイナテレコム)(国営固定電話会社:固定1位)(PHS事業者)北部中心
+中国聯通(チャイナユニコム)(国内2位:世界3位)のCDMA部門

グループ3:GSM+W-CDMA/HSDPA?
中国網通(チャイナネットコム)(固定2位)(PHS事業者)南部中心
+中国聯通(国内2位:世界3位)のGSM部門

#グループにつけた番号は私が勝手につけた番号なのでご注意ください。

グループ1は「国策」の担い手なので、TD-SCDMAの主役をする義務があります。よって、GSM+TD-SCDMAはとりあえずサービス開始するはずです。本意でなくてもとりあえずはそうせざるを得ません。W-CDMAを併せて採用するような場合もあるでしょうが、そうなると「TD-SCDMAはやっぱり厳しいか」という状況でしょう。

グループ2はクアルコムと接触を図っていますし、CDMA網を引き継ぎますので、このままだとCDMA2000陣営になるのではないでしょうか。しかもクアルコム、世界市場で劣勢ですから、中国では必死で働くことになるはずです。

グループ3はGSM網が既にあります。よってGSM+TD-SCDMAかGSM+W-CDMA/HSDPAとなるはずですが、W-CDMAを採用すれば優位に戦えることがわかっている状況です。

もしこうなると第三世代技術が三つ揃って戦うことになって面白いのは面白いですが、現状を踏まえると、この状況ではTD-SCDMAが他国の技術に押し負ける可能性が大きくなるように思えます。既に完成の域にあるCDMA2000とW-CDMAとでは、当面勝負にならないでしょうし。

よって以前の記事で書いた「中国政府がTD-SCDMA以外を締め出す決定をする」というとんでもない話が、中国の技術を守るために本当に行われるかもしれません。

ただ、中国はあまりに巨大です。なにしろ日米欧を合わせたよりも沢山の人が居るほどです。中国がTD-SCDMAで鎖国を行った場合、中国が締め出されたのか、世界が締め出されたのかよく解らないような状況です。

自由な競争ではない方法での勝利は「反則」ではあるのですが、これが原因で2020年には中国は勝利する側にいることも無くもありません。数年頑張ってみて結局ダメなら、そこで世界標準を採用しても問題ないでしょうし。

もちろんこういう考え方は中国の消費者のことを全く無視していて、日本では許容される考え方ではありません。しかし中国はこれまでTD-SCDMAの保護のために第三世代のサービスインを許可していないとされ、消費者無視は別に新しい話ではなかったりします。

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