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622 ドコモ名物「夏野さん」がニコニコ動画の人になる件

少し前のニュースですが、


◆ドコモ名物の夏野さん、ドコモを去る

知っている人には何ら説明が不必要なほどの「ドコモの夏野さん」がドコモを去りました。ちょうど、ドコモが「赤くなった」頃のことでした。次は何をなさるのだろうとか言われていたわけですが、どうやらニコニコ動画などに関与なさるらしい、というニュースについて書いてみたいと思います。

まず、夏野さんがなんだかわかんない人向けに、この人は誰なのか簡単に説明してみましょう。

ドコモは「NTTドコモ」です。ドコモには割と都会的なイメージがありますが、ドコモは本来「NTT」でもあります。NTTと聞くとどういう印象を皆さんもたれるでしょうか?良い意味でも悪い意味でも「カタイ」イメージがあるんじゃないかと思います。

NTTと聞くと、カタイ印象がありますが、ドコモと聞くと少し違う印象がします。NTTグループの中では少し違う空気のところだということですね。

かなりいい加減な説明にもなってしまうのですが、「夏野さん」は「ドコモのNTTらしくない部分」を担っていたような人でした。褒めるというよりもツッコミで説明した方がわかりやすいのですが(悪意はないのですが・・)、「ドコモ2.0」とか「他社さまは御覚悟ください」みたいなノリを主導なさっていたのが夏野さんです。NTTらしくない、と先に書きましたが、まさにそういう感じです。

夏野さんは現在のドコモの基礎になっている、iモードの立ち上げメンバーでした。そしてiモードが文字通りに大成功したあとにドコモの「そういう成分」を主導する人として長年ドコモに居られました。

ドコモは第二世代への移行期にiモードを発明し、なおかつNTTパワーで徹底的なエリア整備を行いました。ちょうどその時、日本の携帯電話市場が最大速度で成長している時期で、その時期に圧勝した事によりドコモは携帯電話で圧倒的なシェアの存在となります。

iモードでの圧勝を基礎に、NTT的な良い面が合わさって支持を得ているのが現在のドコモともいえるでしょう。

その後J-Phoneのブームがあったり、AUの歴史的快進撃があったりしましたが、決定的な時期に圧勝したドコモの一位は全く揺らぐ事はありませんでした。最近ではSBMの進撃が続いていますが、ドコモには全く届く気配すらありません。しかも、次世代でもドコモは勝者になる流れです。


◆夏野さんが有名になるまで

最初ドコモは民営化されたNTTの一部門でしたが、その後子会社として切り離されて「NTTドコモ」になります。ドコモはNTTグループ内でも未来の無い事業だと思われていて、人材の捨て場所的な存在でもあったそうであります。今では全く信じられないことですが。

最初の社長になった大星社長が、型破りな新しい事をやって逆転しよう、と思われたとかで、ドコモ社内にNTT的にはありえない「異分子」を飼って新しい事をさせようとしました。そして、「異分子」はiモードを発明しまして、ドコモの大逆転と一位独走が起こることになります。

夏野さんはその時の「異分子」の初期メンバーです。ただ、iモードの成功自体がちゃんと考えられた成功かどうか怪しいところもあるようで、なおかつ円満な成功でも無かったようですが、とりあえずは夏野さんは現在のドコモの基礎を作った「iモードの大成功」の功労者の一人ということになっています。

その後、夏野さんはmovaの50xiシリーズや90xiシリーズで象徴されるような日本式な豪華端末の企画(の派手派手な部分)やらに関わったり、メディアに出てきてはオモシロげなことを仰る人ということになりました。数々の迷言があったりしまして、例えば「反撃してもいいですか?」とか「他社さまは御覚悟ください」なんかは、いかにも「らしい」感じがします。

長らくドコモの顔でもあったわけですが、「ドコモ2.0」のあたりでドコモの偉い人方面的に愛想が尽きちゃったのか、ドコモが青から赤に変わるのを機に、夏野さんはドコモを去ることになりました。

たしかに、軽薄というか軽率というかそういう方でして、いろんな批判を受けたりする人でもありました。ただ、基本的にはNTT体質だったはずのドコモが軽薄さや軽率さを感じるようなことを自ら行えたようには思えないので、ドコモが「我々のイメージするドコモ」がすべきことをするためには必要な人だったのかもしれません。

また調子の良い事を言う人がいなかった場合、AUの快進撃以降の流れをもろにかぶってしまい、もっと沈んだ暗い感じの会社になっていたんじゃないかと思ったりもします。

「また言ってるなあ」というのは、孫社長や千本会長もよくやっていることです。もし、孫社長や千本会長がしおらしいだけだったらどういう空気になっているかを考えて見てください。

批判については割と簡単で、不必要で無意味なことをいろいろやったように見えるし、迷言だらけだということです。ドコモユーザの方にはいなくなって良かったと思っている人も居るんじゃないかと思います。

夏野さんが去ることは、今後のドコモの為になるのか、それともドコモにとって損失なのかはまだわかりませんが、今回の件は何らかの変化をドコモにもたらす事になるでしょう。

赤い色のドコモが以前のドコモよりも嫌いな人は、もしかすると夏野さんを懐かしむべきかもしれません。


◆敵陣営?と関係し、ニコニコ動画に関わる事に

ドコモから去ったあとの夏野さんですが、まず「SBI」に関わることになったようです。SBIというのは、もともとはソフトバンクグループで投資関係を取り仕切るようなところだったところ、という説明にしておきましょうか(何か怪しいですが)。ソフトバンクのSBに投資(インベストメント)の「I」をくっつけたものだと。

SBIが世間にも直接知れたことがあります。ライブドアがフジテレビを掌中に納めようとした際に、最終的にフジテレビ側に「味方」が現われてライブドアの野望が頓挫したのを覚えておられるでしょうか?その時の「味方」こそSBIでした。ホリエモンも孫正義帝国には勝てないか、なんて言ってた人も居ました。

ちなみにライブドア事件の時点では、SBIは最初は先の説明のとおり「ソフトバンク・インベストメント(SBI)」だったのですが、今では単なる「SBI」になったとか。つまり「ソフトバンク」をもう名乗っていないのです。孫社長との同盟関係も解消されたとかなんとかいう話も聞きますし、実はそうではないという話も聞きます。

で、夏野さんはまず「SBIの偉い人」になるということです。ドコモの敵陣営に鞍替えしたとも取れますし、SBIはもうソフトバンクじゃないからそうじゃないという気もするような状態です。ただ、ドコモの重鎮が、ソフトバンク関係のところに移動するとなると、どうも孫社長と関係があるようには見えてしまいます。

まあつまり、なにやら穏やかならぬようにも見える空気があるということです。赤いドコモから追放されたように見え、孫社長と関連しているようにも見えるところに行くのですから。

もう一つ、もっと解りやすいニュースは、夏野さんが「ニコニコ動画」に関わる事になった件です。ニュースを引っ張ってきましょう。

“iモード創設者”夏野 剛氏、ニコ動の「黒字化担当」へ――ニコニコ大会議2008
http://japan.internet.com/busnews/20080707/5.html

夏野氏はドワンゴの顧問就任について、「多くの企業の上場に携わってきたが、ドワンゴだけは昔から変わらない。儲けたお金をどんどん赤字の事業(ニコニコ動画)に注ぎ込んでいく前向きな姿勢が良い」と説明。また、ニコニコ動画については「ニコニコ動画以外に世界を狙えるコンテンツはない。私がニコニコ動画の黒字化担当となり、来期までに黒字化を実現する」と語った。

記事のタイトルでも「iモード創設者」という紹介になっていますね。ただこの書き方だと、異論が出そうな気もしますけど。

夏野さんとドワンゴの関係は一応は長いようです。というのも、夏野さんはiモードでドワンゴもiモードだというとても簡単な理由で。

またいきなり「夏野節」が炸裂しています、いいですねえ。

「ニコニコ動画以外に世界を狙えるコンテンツはない。」

これまでドコモのサービスや端末を持ち上げていたのと全く同じノリです。ただ、ウェブのサービスでは軽薄で軽率なくらいでちょうどいいとも思うので、何か違和感がないような気もします。

「私がニコニコ動画の黒字化担当となり、来期までに黒字化を実現する」

ちょっと脱線しますが、以前書いたように「動画配信サービス」というのは「現状では」とにかく儲からない商売です。無料では巨額の設備維持費が広告で回収できず、有料では誰も会員になりません。黒字にするだけでとても大変です。夏野さん、これは自分の言っている意味が良くわかっていないようにも思います。今期っていうのはちょっと。

夏野さんに節約させたりする方面の実績はありませんので(ドコモ時代を思い起こしましょう)、なにやら派手なことや奇抜な事で人気を取ったりお金を取ったりなさろうとするのでしょうね。ドコモよりも変な事はしやすいでしょうし。ただ、成功するんでしょうか?

個人的には「夏野さん、またやらかしてるな」というような、どこかピントが外れてる感じのキャンペーンを全力でやっていただけると楽しくてよいのですが(ちなみにこの文には嫌味は全くこめていません)。

もしかするとドワンゴとしては「夏野さんが顧問」ということ自体が話題作りになるというだけのことで、もう「目的は達した」のかもしれませんけども。たとえば、私が思わずブログの記事にしてしまっていることそのものとか。

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