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620 京セラが2.0GHz帯へのiBurstの売り込みをやっている件について

少し前のニュースですが、京セラがiBurstを売り込んでいるという記事についてです。


◆そのままのニュース記事のタイトルになっています

ニュース記事にタイトルが、全くそのままな感じになっています。「再割当を目指す」だそうですから。

京セラ、iBurstの説明会を開催。2GHz帯の再割当を目指す
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/22416.html

基本的に記事の内容は、これまでに書いてきたようなことそのままです(以前の記事を参照してください)。

また、

アダプティブ・アレイ・アンテナ技術も紹介。ターゲットの端末に電波を集中し、それ以外には電波をいかないようコントロールすることで干渉を抑える技術で、この技術により隣接するセルでも同じ周波数が利用でき、トータルの利用帯域を狭く抑えることができるという。

だそうですから、隣接するセルで違う周波数にする必要はないという言及があります。例えば、2.5GHz帯でのモバイルWiMAXは干渉防止のために、10MHz×3にして、つまり三つに分割して隣では違う周波数を使うようにしなければなりませんが、iBurstならば15MHz全体でサービスできるということです。少なくとも3.5世代での定額提供に比べると、かなり混雑に強くなるでしょう。

また、2GHz帯の割り当て幅が中途半端である点が、iBurstに有利であるといっておられます。

「他の技術でも5MHz幅でのサービスは提供できるが効率は落ちる。逆に我々は周波数幅が増えればさらに高速化できる」とし、「2GHz帯の割り当てはわずか15MHzで、30MHz必要なシステムでは利用できないが、我々のiBurstなら十分」と補足した。

iBurstは上下兼用の5MHz幅で使いますから、三つ押し込む事が出来ます。

基本的にデータ通信用な感じなのですが、IPに音声を載せて音声通話も出来るといっています。

時速100km以上で通信できる移動性・常時接続性やVoIPもサポート。VoIPでは音質の基準であるR値でほぼ固定電話と同等、遅延では固定電話より高い品質を維持できるという。ただし、遅延に関しては「あくまで無線区間のデータであり、その先のネットワーク区間も考慮しなければいけない」としつつ、「少なくとも携帯電話と同程度の遅延で抑えられるだろう」とした。

802.20はそもそも移動時の性能も基本要求ですので、移動時の性能もあるということです。


◆京セラ自身が参入するわけではない

ニュース記事タイトルでは一瞬京セラ自身による参入がなされるかのようにも見えますが、

具体的な事業者名などは明らかにされていないが、現在のところCATV事業者をターゲットとして、10社程度と交渉を進めているという。

というわけで、他社の参入を前提にしているようです。ケーブルテレビ関係がメインなようです。もしかしたら、多くの企業の連合体での参入かもしれません。

CATV事業者の場合は全国展開している事業者が存在しないため、サービス開始当初はCATVインターネットを代替するような固定サービスとして展開し、事業者間の連携やサービスの普及が進んだ段階でモバイルサービスへと移行していく流れを想定しているという。

「固定サービスとして展開」して、その後モバイルサービスにするんだそうです。移動性能がある通信規格なのに、固定から手をつけるんですねえ。

この場合固定サービスではじめるのは、エリアカバーがかなり局所的状態でスタートせざるをえないとか、有線のケーブル引くのが面倒すぎる過疎地対策とかでしょうか。ちなみに過疎地で有線代わりにiBurstというのは外国でも例がある使い方です。となると、意外にも地域WiMAXが真っ先にiBurstによって潰されるのかもしれません。

都市部で固定サービスとなると、これも本来のWiMAXの使い方っぽいことになります。ただ、超高密度のトラフィックの収容は出来ないはずですから(iBurstはマイクロセル系ではないはず)、そこそこな感じになりましょうか。

アメリカでモバイルWiMAX新会社へ資金を出したところにもCATVが目立ちました。ADSL専業とかCATV専業のところはやっぱりモバイルの高速化がかなり恐ろしいんでしょうね。ただ、私にはどうも過剰反応に思えます。

次世代のモバイル通信技術は超高速だとホラを吹きまくっいるだけに思えてならないので(散々書いたので、過去の記事を参照してください)、固定側が必要以上の心配をしている気がしてなりません。モバイル側では容量をどうするんだという懸念ばかり出ている気もするのですが。


◆最大の強みはサービスインが今すぐできること

これも以前から何回か書いていますが、iBurstが他よりも圧倒的にリードをしているのが、「今すぐにサービスを開始できる点」です。

具体的なサービス開始時期などは事業者次第だが、「免許さえ割り当てられれば1カ月でサービスは可能。早ければ2008年にもサービスを提供できるのではないか」とした。

国内のモバイルブロードバンドサービスは、イー・モバイルに加えてNTTドコモやauもサービスを提供しているが、iBurstでは周波数の利用効率が高く、設備投資も低く済ませられるというメリットを武器にとして事業者と交渉していく方針。「事業者にとって投資の回収は重要な問題。iBurstは非常に早く展開でき、設備投資の回収もしやすい」とした。

他の候補に比べて次世代感が薄いiBurstですが、他の候補はサービスインに時間がかかり、なおかつ技術的に大丈夫なのか未知な部分があります。免許さえあればあっという間にサービス可能で、技術的にも素性が知れている点、つまり「ビジネスの早さ」が有利な点です。

ただし、他の次世代技術がぐんぐん伸びてきた場合には、アップグレードないしは早期の撤収が必要になりましょう。


◆影響

2005年の最初の割り当て時にiBurstが割り当てられていた場合、現在の勢力図はかなり変わっていたはずです。イーモバイルに致命的な打撃(スタートすら大失敗するような)を与えていた可能性がありますし、ウィルコムも今よりも苦悩していたかもしれません。

もし今回の割り当てでiBurstが割り当てられて、早期のサービス展開が行われたとします。そうなると、同じような事をしているところは当然影響を受けます。思わぬところから敵が出現する形になります。

ウィルコムの次世代PHSやモバイルWiMAXについては立ち上げ時期が近い状況になります。免許がいつ出るか次第ですが、iBurstの方が先行する可能性はあります。iBurst以外の候補ならば、確実に2.5GHz帯の陣営が先行できるのですが、iBurstに限っては逆になることも無くはありません。

イーモバイルについては、「スペック上の速度」が勝る点と、エリア展開が先行している点はリードします。しかし、実効速度ではあっさり負ける可能性があります。HSPA+にしたところで、主な効果はスペック上の速度向上です。ちょっと面倒なことになるかもしれませんね。

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コメント

今すぐ開始できるというのはすごいですね。
基幹有線はCATV各社のものを使うのかな?

問題はエリアでしょうが、コストと実績に優れた規格のようですし、1年でイーモバイルのエリアに匹敵するぐらいのが可能ならば脅威かもしれません。

全CATVのエリアってのは、どれぐらい広いものでしょうか?

投稿: | 2008/07/16 20:09

日本でもiBurstが出てきたら 移動体通信規格関連の動向がもっと楽しくなりそうですね。

投稿: | 2008/07/17 22:34

久しぶりにUQのコメントが出たような。相変わらず進捗が分かりませんが。
ttp://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20080708/1016520/?P=1

国際ローミングが韓国のkT(ソウル市)、米国スプリント(3地域限定)そしてUQだけというのもすごいかも。
CATV+iBurstにエリアもローミングも負けたりして・・・

投稿: TT | 2008/07/18 19:39

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