615 一方でソフトバンクは「LTEこそ高コスト」(ドコモvsSBMに)
昨日、ドコモが「次世代はLTEであるべき」であり「HSPA+は意味が無いのでやめれ」ということを言っていたという記事を書きましたが、今度はソフトバンクが全く反対のことを表明なされました。
◆LTEこそ高コスト、だそうで
ソフトバンクの松本副社長が、ドコモと同じ行事でドコモと反対の発言をしています。
【WIRELESS JAPAN08】「ソフトバンクの3.9GはHSPA+,LTEはコスト高」,松本徹三副社長
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080723/311312/
「LTEはコスト高」だそうです。
昨日、以下のような記事を書きましたが、反対の意見となっています。
616 ドコモはHSPA+が嫌いらしい
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/07/616_hspa_1d00.html
ソフトバンクモバイルの松本徹三取締役副社長は2008年7月23日,ワイヤレスジャパン2008の講演で,2010年に向けた携帯電話の次世代規格に現行規格の改良版である「HSPA+」を採用する見通しを示した(写真)。NTTドコモは同時期に次世代規格LTE(long term evolution)を導入する予定だが,ソフトバンクモバイルでは端末価格が高くなることを理由に,LTEの採用は2012~2013年ころになるという。
ドコモが批判していた「HSPA+導入論」ですが、ソフトバンクはHSPA+を余裕で導入する方向のようです。理由としては、「端末価格が高くなる」ことが挙げられており、「LTEの採用は2012~2013年ころになる」のだそうです。
また、このスケジュールはアメリカの携帯電話会社AT&Tの次世代導入スケジュールと似ています。
そして、現在ソフトバンクが第二世代用として持っている1.5GHz帯の帯域を、再度ソフトバンクが次世代用に獲得したいと言っています。
同社は2G用の1.5GHz帯を2010年に返還するが,より高速なデータ通信で1.5GHz帯を2010年前半から利用できるように総務省に申請するという。
ちょっと前に記事にしましたが、1.5GHz帯の免許の期限はもう二年を切っています。2010年3月(2009年度末)までには、ソフトバンクの第二世代は停波する必要があります。で、その跡地をどうするかという話し合いも始まっていますが、ソフトバンクとしては
「俺のものは俺のもの」
ということのようです。1.5GHz帯はソフトバンクのものじゃん、と。
また、導入する方式については、
現状で主流のHSDPA(high speed downlink packet access)規格は下り最大14.4Mビット/秒だが,ソフトバンクモバイルは3.9Gとして下り最大28Mビット/秒のHSPA+リリース7の採用を目指す。
このあたりは過去の記事に詳しく書きましたのでそちらを参照してほしいのですが、高速化には色々な方法があります。14.4×2で28Mbpsのようですから、実質14.4Mbps化するだけなのかな?
◆LTEを「高い」と批判
ドコモはHSPA+を「和を乱す」ものであり不経済なものであるとしていましたが、ソフトバンクはLTEをコスト高だとしています。
松本副社長は「まだ最終決定ではない」と前置きをしながらも,「LTEでは端末のコストが安くならず,下位互換性もない。ユーザーに高いコストは負担させるわけにいかない」として,端末価格をHSPA+選択の理由に挙げた。
「最終決定ではない」とのことで、ドコモのような強い自信はなさそうですが、「端末のコストが高い」ことと下位互換性が無い事、つまりLTE基地局と旧来の機種の間の通信ができないことを挙げています。ちなみにHSPA+ではHSPA+基地局と旧来の端末の間の通信も出来ます。
個人的には、端末のコストなんだろうか?と思うところもあるのですが、端末のコストだと仰っておられます。
◆あまり意味は無いがまとめてみます
というわけで、発言に含まれる予定を時系列で整理すると、
2010年3月までに 第二世代(1.5GHz帯)を停波
2010年3月以降 1.5GHz帯でHSPA+をサービスにむけ準備
2012~2013年 LTEを採用
つまり、
2010年3月まで、W-CDMA/HSDPAとPDCの並存
2012~2013年ごろまで、W-CDMA/HSDPAとHSPA+の並存
2012~2013年以降 HSPA+とLTE並存
というのも2010年から初めて、2012年までに回収できませんからね。LTEと並存になります。
また、ソフトバンクは1.5GHz帯でPDC(第二世代)用の基地局を整備していますから、PDC用ながらも1.5GHz用の基地局の場所は一応持っていることになります。PDCとHSPA+では色々と違いがあるはずですが、一応は場所取りの苦労も少ない、かもしれません。
またいずれにせよ、1.5GHz帯は国際的にみて「変な周波数」の帯域なので、HSPA+にせよLTEにせよ特注っぽくなります。
また、1.5GHz帯を獲得した時点で、700/900MHz帯の獲得は難しくなると思われます。諦めたんでしょうか?両方とも獲得するのはちょっと難しそうですし。
またもしかすると、
今 2.0GHz帯:第三世代 1.5GHz帯:第二世代
2010年度以降 2.0GHz帯:第三世代 1.5GHz帯:HSPA+
2012年度くらいから 2.0GHz帯:第三世代→LTEへ移行開始 1.5GHz帯:HSPA+
2.0GHz帯にユーザを巻き取り、次に1.5GHz帯にユーザを巻き取り、次に2.0GHz帯に巻き取るのかもしれません。なんとも忙しいですが、そうせざるを得ないのかもしれません。お金が足りなくなりそうな気もしますが。
ちなみに、2.0GHz帯でのLTEは国際標準なので機器の心配はあまりありません。もしかすると、HSPA+でこのようにする以外の方法で、LTE用の帯域が獲得できないというだけのことかもしれません(そして1.5GHz帯でLTEは嫌なのでしょう、LTEが長期的には本当の本命だと考えると)。というわけで、発言と裏腹に本当は「2012年のLTE」こそがソフトバンクの本命かもしれません。
◆その他
なお、蛇足ながら、
携帯電話網のカバー率については「一生懸命やっているが,NTTドコモやAUに遅れていることは確か」(松本副社長)として,ユーザーからの要望にあわせて,随時対処していく方針を示した。
というわけで、ソフトバンクはエリアが狭いということは自覚しているとのことです。iPhoneで移ってきた人もエリアが狭いと言っている人多いですしね。でも最近、全然基地局の数は増えてないんですけど。
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コメント
iPhoneのイキッぷりにだんだんSBM批判するのすら可哀想になってきました。
売れすぎじゃないかなー。これでMNPが増えてなかったらちょっと・・・です。
ガソリン高騰のおりに、ハマーを購入したような気分でいらっしゃるのではないかと。
基地局の整備の件は、本当に一生懸命やっているんだと思います。
ただこれまで、碁盤の上に「黒石が足りないからと灰色石を置き過ぎた」のかなー。
いま一所懸命に碁石を黒く塗り直しているところじゃないかしら。(碁石の数は変わらない)
iPhoneさえなけりゃこんな作業する羽目にならなかったかもですけど。
投稿: TT | 2008/07/24 21:53
追記
孫社長のフォースの強さも良し悪しだと思います。
iPhone発表の唐突さを見る限り、本当に孫社長ひとりで誘致工作に成功してしまったのでは、
そして、重役幹部らにも事後報告のワンマンアーミーっぷりファイトスタイルなのではと。
そうなると、相当タイトな作業をこなしていると思われるインフラ担当者なんか、「聞いてないよ、助けてクレー!」かもしれないです。
投稿: TT | 2008/07/25 12:42