638 アメリカのAT&TはしばらくLTEを採用しない?
ちょっとだけです。
◆LTEを少し待つらしい
iPhoneがらみで、アメリカのAT&Tの3.9世代の話が出ていましたので、それをきっかけに少し書いてみます。
3G iPhoneへの準備!? 米AT&Tが3Gサービスを強化
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/06/05/010/
AT&Tは、HSDPA/UMTSを用いていた3GネットワークをHSDPA/HSUPA (HSPA)へとアップグレードする作業を進めており、既存の同社の3Gサービス提供地域については6月末までに作業を完了する見通しだ。
2005年からこれまで、AT&TはHSPAネットワーク導入に200億ドル以上を投じてきた。2009年~2010年には20Mbpsのスピードが期待できるHSPA+へと同ネットワークをアップグレードし、長期的にはLTE (Long Term Evolution)の導入を計画している。
ちなみに最近読み始めた人のために説明しますと、これは次世代通信技術がらみの話題です。
現在、AUとウィルコム以外の電話会社は、
・導入済み:W-CDMA(第三世代)
・導入済みないしは進行中:HSDPA(3.5世代)
そして現在世界中で話題になっているのは、この次の「次世代」をどうするかです。一昔前にはモバイルWiMAXが未来技術ともてはやされた事もあるのですが、最近では正体がばれてしまって、すっかり人気がなくなりました。クアルコムが開発している次世代技術(UMB)もあったのですが採用するところがなく、現在では世界標準になりつつあるW-CDMA陣営が次世代として提案しているLTEが次世代になる流れになっています。
また、こういう世界の戦いには混ざっていませんが、次世代PHSも独自開発されている次世代技術です。
ドコモはLTE陣営の重鎮(開発している張本人の一人)でして、早期のLTE導入を目指しています。
・導入済み:W-CDMA(第三世代)
・導入済みないしは進行中:HSDPA(3.5世代)
・導入予定:LTE(3.9世代)
LTEは現在利用されている第三世代とは違う技術を用いています。そして、LTE以外に、既存の第三世代をさらに強化しようという流れもあります。HSPA+などと言われている技術です。ドコモは、HSPA+には手を出さないようです。
現在はLTEが次世代の本命だという空気で、一時期は早期導入を競うような流れにもなりかけたようですが、LTEの早期導入が正解かどうかはこれも解りません。HSPA+(第三世代の強化系)で様子見をする方法もあります。
で、このニュースなんですが、アメリカのAT&T(W-CDMA陣営)は「しばらくはHSPA+を導入し、LTEはしばらく後にする」ということを言っているということです。
日本以外では第三世代の導入がかなり遅れていることが多く、AT&TもGSM(第二世代)が基本になっており、現在第三世代と同時に3.5世代の整備を行っている状態です。
また、日本では下り通信(基地局→端末)の高速化を行うHSDPAしか導入がなされていませんが、AT&Tは上り通信(端末→基地局)の高速化をするHSUPAの導入も行っているようです。
そして最近妙に突貫工事でエリア整備を行っているようですが、これは「第三世代のiPhoneに間に合わせるため」だとされていて、この引用元もそれについての記事です。
この記事などによると、
・AT&Tは現在HSDPA/HSUPAの導入を急ピッチで行っている
・2009年~2010年には、HSPA+の導入を行う
・LTEの導入はさらに後
となります。
またAT&Tはベライゾンとおなじく700MHz帯を獲得していますので、LTEを導入する帯域の都合ができないということではないのです。新しい帯域はすでに手に入れています。それでもLTEの早期導入はしないということなのです。
2009年~2010年は、世界で先頭グループの「次世代」が立ち上がる時期です。
2009年は日本では、モバイルWiMAXと次世代PHSが利用可能になる時期です。またベライゾンが2009年にLTEを開始したいといっています(実際に実現できるかは不明ですが)。ドコモはLTEを2010年に開始すると言っています。
ですが、その時期にはHSPA+の導入を新たに始めることになっているようです。繰り返しますが、AT&TはLTEのための帯域が無いわけではありません。LTE導入の先頭グループに参加することが出来るのに、参加しないようだということです。
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