645 AUも帯域が足りないので規制開始、とドコモの動画戦略
ちょっと前のニュースですが、帯域不足話題繋がりで投稿します。
◆AUといえば節約上手なところですが
AUが利用制限をなさっています。
au、EZwebの大量通信ユーザーを対象にした速度制限試験
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/39905.html
KDDIは、EZwebの通信で連続かつ大量の通信を行なう一部ユーザーを対象にした速度制限機能の導入に向け、全国で同機能の試験を実施する。期間は5月26日~6月30日で、全日ではなく21時~翌1時に限定した形での試験となる
今回行なわれる試験は、大量通信する一部ユーザーに対して、通信速度を制限するというもの。対象となるユーザーは、前々月(今回は3月利用分)の通信量が月間300万パケット(約366MB)以上で、なおかつ21時~翌1時に「auの設備を逼迫させる恐れがある」とKDDIが判断した場合に限られる。
AUはもともと、「帯域の節約上手」なキャリアでした。
一部AUユーザには不評でもあるようですが、定額開始時からずっと、いろんな制限をあちこちに設けていて、定額にしても通信量が極端に増えたりしないように注意しているように思われました。たとえば有名なアプリの制限とか。
結果として、AUは800MHz帯を非常に効率良く利用しています。AUは2GHz帯は今ひとつ使っておらず、その事について2.5GHz帯の騒動の最中に孫社長に悪口を言われたりもしています。
しかし、800MHz帯の方を非常に高度に利用しているため、800MHz帯と2GHz帯をあわせてもなお、帯域あたりのユーザ数はソフトバンクのほうが下で、つまりソフトバンクのほうが総合的には「帯域を無駄使いしていた」という有様でした。
AUはPC定額を提供していますが、PC定額の通信カードそのものが「自分で帯域制限をする」という機能を備えています。そもそも速度はあまり出ないようになっており、さらに連続で通信を続けると厳しい帯域制限を端末自らなさるというありさまです。まさしく節約王です。
イーモバイルの帯域逼迫は無制限で使わせ過ぎなだけであり、ソフトバンクについてはホワイトプランが無茶なだけですが、AUについてはちょっと様子が違うということです。無茶のツケではなくて、800MHz帯が本当に厳しい状態なのではないかと思われます。たぶん、他の二社とは次元の違う悩みのはずです。
おそらく「21時~翌1時」ということですから、ここ最近になってパケットを沢山利用するユーザが増えて来たために、通常の利用を守る必要が出てきたのではないかと思います。
もしかすると、2GHz帯へのパケットを流すのが予定の通りに行っていないのかもしれません。対応端末への乗り換えが遅れているか、エリア整備が遅れているか、あるいは基地局は配置したものの2GHzが圏外になる事が多く、2GHz化したエリア内であるにもかかわらず800MHzでの通信になってしまうとか。
おそらくごく一部の動画見まくりな人とか音楽落としすぎな人限定で、混雑時間帯・混雑地区限定ながら遅いよ状態になるのだと思われます。大半の人にとっては今のところは大きな影響はなさそうです。
◆AUの悩みは続くだろう
原因はおそらく主に動画ではないかと思われるわけですが、制限の話が出た前後にこういうニュースが出てしまっています。
YouTube、au端末での再生に対応
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/22/19659.html
AUにとってはもう止めてという感じかもしれませんし、もしかしたらYouTubeが対応する方針であることを聞いて、先手を打って規制を開始したのかもしれません。
なんともAUにとっては頭の痛い状況が続くかもしれません。
しかも、困った事にドコモは「動画を今後のサービスの主軸」に据えようとしています。
これまでの記事で色々書いてきたとおり、ドコモはここ数年のとんでもない設備投資の結果、超最強な基地局網を構築しています。しかも数年すると今度は世界最強のLTE基地局網の建設も始まる事になります。
AUはドコモに先んじて3.5世代を開始したときにはパケット定額を開始し、ドコモは半泣きになりました。ドコモは本来定額が厳しい3.5世代ではない第3世代でパケット定額をして苦労をする事になります。
今度は、ドコモが最強の3.5世代基地局網で動画を売りにし、AUが半泣きになるのかもしれません。
AUの3.9世代展開はしばらく時間がかかります。しかし、今現在の技術で2GHz帯を急遽強化する投資をするにも微妙な時期です。モバイルWiMAXもしばらくは役に立たなさそうです。
なお、動画競争になってしまうと、ソフトバンクはもっと困ります。データ通信が全般的に危ういのでAU以前の状態だからです。イーモバイルにとっても、端末は高くなるし音声より帯域は無駄になるし、ドコモの網のほうが強固な上にドコモは無制限PC定額も音声定額もやっていないのでその分帯域は空いています。
ドコモ以外の各社にとっては動画の流行は望ましくない現象かもしれません。最強ドコモが有利な場所での戦いに引きずり込まれるからです。
ドコモが最近「動画」と騒ぎ始めたのは、もしかしたら結構考えた結果であって、どうやったら他社に最大のダメージを与えられるかを考えた結果かもしれません。ただし、ドコモが流行らせようとしたものが失敗に終わる事は多かったりもしますけれども(例:テレビ電話とか)。
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