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641 ドコモが「iモードの公式サイトの上位に表示される権」利をオークション制に

ドコモが「iモードの公式サイトで上位に表示される権利」をオークションで売ることにした模様です。


◆難しいところ

というわけでまず記事です。

ドコモ「iモード」表示項目を競売 「利便性を損なう」と事業者から批判
http://www.j-cast.com/2008/05/30020923.html

NTTドコモは、携帯電話ネット接続サービス「iモード」の公式サイトに表示される項目の一部を競売にかける。これまでは利用者が多い順に表示していたが、入札額の高い順に切り替える。

これまでは、利用頻度トップ10が表示されるという、それはそれで公平な仕組みだったようです。そしてこれからは、毎月行われる入札でお金を積んだ順トップ10で表示されるという、それもそれで公平な仕組みになります。

競売にかけられるのは、このうち「働く/住む/学ぶ」「着うたフル」「着うた/着モーション」「着信メロディ/カラオケ」「待ちうけ画面/フレーム」「ゲーム」「占い/診断」「コミック/書籍」「デコメール」の10項目についてで、08年6月23日から「入札額順」が反映される予定だ。

なんというか、いかにも導入されそうな項目です。

NTTドコモ広報はJ-CASTニュースに対し、 「この10個のサイト(項目)はほとんど同じ順位が続いており、替わり映えがなく、新しいサイトが作られてもなかなか昔からの上位サイトのなかに入れない。(入札額順にすることで)ユーザーの選択肢が増える可能性がある」

ドコモは「ユーザのためです」と言い張っています。

そして記事はどちらかというとドコモ批判調になっておりまして、これでもかという感じです。

その一方で、利用者数の多いコンテンツ事業者の反応は冷ややかだ。
不満を露にするコンテンツ事業者も少なくない。
「auやソフトバンクまで競売を始めたら大変だ」
(『メニューリスト』は)公共性の高いものですから、お金でランキングが決まってしまうのはいかがなものなのか」

以下、強調部は私によりますが、

また「メニューリスト」の上位にいる別の事業者は、次のように批判する。 「今まで良いコンテンツを作れば、何もしなくても来ていたお客さんが、お金をかけなくては来なくなるというのは明らかにデメリット。一体どういう経緯でこんなことになったのか。今までドコモの『メニューリスト』を信頼して来たお客さんの利便性を損なうもの。ユーザーへのサービスを第一に考えて欲しかった」

というわけで、これらについて少し意見を書いてみたいと思います。


◆話はそんなに簡単ではない

こういう場合の典型的は反応や論調は、お金への嫌悪です。この記事はまさにそれ一色です。「公共性」とか「お客様のため」というのもまた「定番」です。

最初に書きましたが、これまでのシステムもこれからのシステムも、ある意味においては公平なシステムです。恣意的なところはどこにもないという意味では。

また、記事の後半で不満を言っているのは、「既得権益者」であることには注意してください。現在のシステムで現に利益を受けている人がシステムのルールの変更を歓迎するはずがありませんから(現在のルールで勝ち組なのですから)、そりゃ聞けば文句を言うに決まっているわけです。

また、メニューリストは公共性の高いものですから、とありますが、「着うたフル」「占い」「待ち受け画面」みたいなメニューに公共性うんぬんというのは違和感も感じます。

一般の側で嫌がる意見が多いとすれば(おそらく賛成しない意見が多いのではないかという気がします)、ドコモが儲けるということ自体についての不満ではないかと思います。

確かに「インチキな手段が横行し、手段を選ばずに金」では世の中荒廃してしまいます。でも、お金を得られるか得られないかで判断する思考回路(市場原理)が働かないと、世の中みんな"終わってる田舎"のようなことになります。

またそもそもドコモがここで利用者以外から儲けられるならば、利用者の負担額が間接的に減る可能性だってあることになります。極端な話、ここで天文学的な収入が得られるなら、ドコモの携帯は完全無料、ということだってあるかもしれません。

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さて、今回の旧システムと新システムですが、旧システムは良い意味でも悪い意味でも波乱の無いシステムだったはずです。新システムでは波乱のあるシステムになるはずです。

旧システムでは、一度上位に表示されるとさらに上位に表示されるループが形勢されやすいですから、既得権益を持っている人を優遇する仕組みです。実際ドコモも、

この10個のサイト(項目)はほとんど同じ順位が続いており、替わり映えがなく、新しいサイトが作られてもなかなか昔からの上位サイトのなかに入れない。

言ってみれば、NTTみたいなのが居座っていて、イーモバイルやソフトバンクみたいなのが入れなくなっているということなのです。そしてなにより、新しい勢力があらゆる手段でここに割り込もうと考えても、その目的の達成は簡単ではなかったはずです。

ところが今度はお金で買い取る仕組みに変わりました。もしかすると結構な金額が飛び交う事になるのかもしれません。そして、新しい勢力の割り込みは、お金を積めばよいだけという実にわかりやすいものになりました。

新システムで安定上位になるところがあるとすれば、常に大金を積みつづけるところということになります。

旧システムでは、上位に表示されることが自動的に上位表示につながるループになりましたが、新システムでは、上位に表示されることがお金につながり、そのお金が来月の上位表示の買い取り資金につながるループになる必要があります。

つまり、儲ける才能(ユーザからお金を取る能力)のあるところが優遇されるともいえます。ユーザから巧妙に金を取ることができるところが上位表示されやすくなる、という意味では、一般での「嫌悪する意見」は正しいとも言えます。ただ、お金を払いたくなるようなナイスなサービスのみが生き残る、と考えると悪くは無いかもしれません。

また、結局のところはメニューに表示されるところが上位表示のために使うお金は、ユーザから巻き上げたお金ですから、ユーザからドコモへの新しいお金の流れができた事には違いありません。ただし、新しいサービスが出てくる可能性は増えたとは言えます。

つまり、ユーザにとってはこういう事になるのではないかなと思います、

新旧比較:
・旧システム:いつ見ても化石みたいなつまらん定番サイトばっかり表示されてる
・新システム:いつ見ても金の亡者ばっかり表示されてる

つまり、公式メニューなんか今も昔も将来もあてにするなということかもしれません(・・・)。

「ユーザにとって本当に良いところ」が恣意的な何かに依存せずに表示されるルールを考えるのは、まあ難しいですね。

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