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639 新型iPhoneが後押しするかもしれないモバイルWiMAXの没落

一つ前提があっての話ですが、書きはじめてみたいと思います。

日本での発売が決まったとの報道で近いうちの発表が確実になった、第三世代版のiPhoneについての話題です。


◆世界はまだGSMで覆われている

日本でのiPhoneの話題は、アップルがいつ許可を出すかということも話題でしたが、そもそも日本で使えるiPhoneが未発売であることも問題でした。つまり、主に端末の話題でした。

現行のiPhoneの通信方式はGSMで発売されました。それはなぜかというと、多くの国ではまだGSMが主役だからです。GSMの通信速度ではiPhoneの能力は十分に生かせない面もあったのですが、まずは広く利用されているGSMで開発され、利用者はGSMと無線LANの組み合わせで使うことになりました。

発表当初、iPhoneは世界的に大層な話題になりまして、多くの国ではいつ私の国に来るのかという話題になっていたようですが(でも、多くの国にはなかなか来なかったのですが・・ジョブス師匠との交渉があまりに難儀だったためです)、日本にはGSM網がありませんので、次世代iPhone待ちの状態となっていました。

そして、おそらく近いうちに発売されるであろう新型iPhoneは、第三世代携帯となっているものと思われます。つまり、W-CDMAに対応した端末になるものだと思われます。W-CDMAに対応することによって、GSMよりも高速な通信が可能になり、iPhoneはより真価を発揮する事になると思われます。


◆世界の悩み

第三世代なiPhoneが発売される流れとなり、日本でも「いつ私の国に来るのか」という話題で済むようになりました。

しかし、日本以外では状況が少し異なります。第三世代なiPhoneが発売されても、自国で使えるとは限らないのです。なぜかというと、W-CDMAの網が十分に整備されていない国が沢山あるためです。つまり、日本以外での悩みは端末ではなくて携帯網の方なのです。

たとえば世界最初にiPhoneを発売した、アップルお膝元のアメリカのAT&Tですが、現在かなりの勢いでW-CDMAの基地局網を整備しています。あるいは、かなりの勢いで整備しなきゃならないような「整備されて無い状態だ」ということでもあります。

700MHz帯に関する話題でこれまで北米の携帯事業者についての話題は色々書きましたので詳細はそちらを参考にして欲しいのですが、北米では大まかに言ってCDMA2000二社とGSM二社になっており、AT&TはGSMなところでした。そして、今現在W-CDMA/HSDPAに移行中です。AT&Tは獲得した700MHz帯について、HSPA+とLTEに使うと表明しています。

次世代iPhoneが発表されたのに、私の国では第三世代網が無いというのは通信事業者にとってプレッシャーです。しかもGSMからW-CDMAへの移行は規定路線ですから、プレッシャーをかけられると宿題をやっていない子供のような気分になってしまうはずです。

特にAT&TはiPhoneで他社からの移行をかなり受け入れましたから、新型iPhoneに通信網を間に合わせる必要があるのです。

また、ジョブス師匠も各国での交渉において、第三世代網を全然整備するつもりの無いキャリアには端末を提供しないはずです。意味がないですから。

つまり、新型iPhoneの発表は世界のGSM/W-CDMA/HSDPA化を進展させる可能性があります。


◆エリクソンが言うには

W-CDMA/HSDPAである3.5世代基地局で世界の半分のシェアを持っているのが、このブログでよく記事に出てくるエリクソンです。

このブログでエリクソンが出てくる時には、二つのパターンがありました。LTE陣営としての場合と、モバイルWiMAXを馬鹿にしているところとしての場合です。

エリクソンはモバイルWiMAXについては、モバイルWiMAXが大ブームだったころから批判的です。
・一度検討したこともあったが、問題のある技術であると判断した
・次世代と言っているが、せいぜいHSDPAと比べるのが適当な程度では?新規でモバイルWiMAXを導入するよりも、既存網をHSDPA(既存の3.5世代)にアップグレードする方がマシでは?

エリクソンはモバイルWiMAXは次世代としての評価どころか、HSDPAと比較しても負けているとでもいうような評価なわけです。実際、世界に先駆けてモバイルWiMAXではないモバイルWiMAXのようなものを導入して失敗している韓国では、速度的にもHSDPAとの違いが今ひとつ明確にできていないという意見もあるそうで。

W-CDMA/HSDPAの導入をやってしまうと、その後にHSPA+でのさらなる高速化への道が開けていることもあって、携帯キャリアにとってのモバイルWiMAXの価値は低下します。

つまり、新型iPhoneによる第三世代網の整備圧力は、モバイルWiMAXの敵を増殖させている事になります。


◆さらに次のiPhoneの通信方式

気が早いですが、さらに次のiPhoneが対応する通信方式について考えてみましょう。

ジョブス師匠は最初のiPhoneを、速度面で遅いながらも広く利用されているGSMを選択する非常に手堅い作戦を取ってきました。

そしてW-CDMAも事実上世界では標準的な第三世代になりつつある存在です、アップルのお膝元のアメリカではCDMA2000系の方がまだ勢力がありますが。

GSMでW-CDMAとなるとその次には来る通信方式はその流れでの後継となると考えるのが順当です。そうなると、HSPA+やLTEに対応したiPhoneが発表されると考えるべきではないかと思われます。

そうなると同じく、HSPA+やLTEの導入を急がせる効果をiPhoneが発生させる事が考えられます。

LTEは言うまでも無く、現在モバイルWiMAXの命脈を絶ちつつある技術です。


◆念のために書いておくと

念のために書いておきますと、今回の話にはひとつ考慮していないことがあります。

モバイルWiMAX「にも」対応しているiPhoneが発売される可能性はゼロではないということです。その点はご注意ください。現在のiPhoneは無線LANに対応していますが、そういう感じでモバイルWiMAXにも対応する可能性は無くはありません。

でも、GSMを選択したように慎重で保守的な面があるジョブス師匠ですから、モバイルWiMAXを主軸としたiPhoneがアップルのメインとして発売される可能性は低い、とは言えるでしょう。


◆また

iPhoneやモバイルWiMAXから離れますが、W-CDMAの普及が進むとしたら日本としては良いことがあります。日本ではGSM網がありませんが、日本にはW-CDMA網はあるからです。あるというより、世界でも稀なほど「完備されている」状態と言って良いかもしれません。

第二世代では日本独自になっていますが、第三世代は世界標準なのであり、世界が第三世代に移行すれば日本も世界と一体になるのです。

日本の悪口を言う人はGSMのことを例にあげて「今現在の」日本を非難する傾向があります、しかし、第三世代ですでにその反省は終わっており(ドコモは世界標準技術の重鎮です)、次の世界標準になるであろうLTEでも日本は重鎮にいます。

問題はいつまでもGSMが居座り、第三世代化が進まないことです。よってiPhoneでW-CDMA化が進むとしたら、日本にとって良い事かもしれません。

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