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2008年5月の15件の記事

648 知られざる空き電波帯域(?)、「ホワイトスペース」とは何か

ホワイトスペースというものについて記事を書いてみたいと思います。

※また、どこか間違っていたらコメントいただけると幸いです。


◆またGoogle

まずはアメリカで話題になっている感じについて記事にします。

Google創業者、ホワイトスペース活用訴えテレビ局を批判
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/23/news064.html

米Google共同創業者のラリー・ペイジ氏は5月22日、米国政治の中心地ワシントンD.C.に乗り込み、議員や米連邦通信委員会(FCC)を相手に、放送チャンネル間の未使用周波数帯を免許なしで利用することを認めるべきだと訴えた。

まず、放送関係とGoogleが喧嘩していることがわかります。

そして話題は「放送チャンネル間の未使用周波数帯」であること、そしてGoogleは「免許なしで利用したい(無線LAN)」としており、放送関係は自分達の利用と干渉するから止めてくださいと言っています。

そして、干渉するのかしないのか(あるいは干渉しない方法があるのかどうか)を調べるために米連邦通信委員会(FCC)が実験をしたところ、実験は失敗したそうです。

FCCは2007年、Microsoftから提供された装置で実験した結果、テレビ放送や無線マイクの信号が継続的に感知・検出できなくなったと述べ、ホワイトスペース構想に水を差した。

しかしこの件で勢いづいた放送業界を、Googleが再度批判している、という話です。

ちなみにベライゾン(Cブロック)のオープンアクセス義務が生じたのも、こういう「Googleからの圧力」によるものだったようです。


◆放送チャンネル間の未使用周波数帯

「放送チャンネル間の未使用周波数帯」という表現は、
・チャンネルとチャンネルの間の隙間
・使用しているチャンネルと使用しているチャンネルの隙間

後者の話である、と聞いています(のはず)。前者だとするとかなりの隙間利用計画になります。

日本でいうと「ファミコンに使ったりするチャンネル」のこととなります。

つまり、関東では1chや3chは放送に使われていますが、2chは放送に使われていません。関西では逆に2chは放送に使われ、1chや3chは放送に使われていません。

なぜ貴重なはずのVHFの全部のチャンネル(01~12)が埋まっていないのかというと、(そもそもは)干渉の防止のためのはずです。つまり日本全部で全部のチャンネルが埋まっている状態にすると、どこかで放送が混ざってしまう(違う放送をしている電波を同時に受ける場所が出てきてしまう)、ということです。

例えば、干渉の心配がそもそもないCATV(有線)などでは全部チャンネルが埋まっていたりします。

というわけで、全部のチャンネルが使われていないのには理由はあるわけですが、しかし電波の空きが何かしら生じている事には違いありません。

例えば、関東全域で2chは空いており、関西全域では1chと3chは空いています。小出力で使われていない周波数を利用しても、別に大きな問題は生じないはずだからそうやって使おう、というのが「ホワイトスペース問題」の発端です。

推進派の主張は、
・空いているんだから使わせろ
・放送業界は電波をただでも使いすぎなので、これくらい当然である
・干渉については、機器が自動的に未使用帯域を検知して、大丈夫な周波数を使うようにすれば大丈夫なはずだ

反対派(放送局)の主張は
・空いていようとなんだろうと、放送局に免許が下りている帯域である
・放送局馬鹿にすんな
・天下の放送に干渉の可能性があるなんて許せない。
・現に怪しい機器を作って実験しても、干渉しているではないか。

GoogleはCブロックの時と同じく、正義を振りかざしてロビー活動をしておりまして、悪の放送業界vs自由と正義のGoogleの図式に持ち込もうとしています。しかもGoogleの主張は無線LANみたいに「免許なし」で利用できるように、というものです。

免許なしの場合には、「干渉を自動で防止する機能を備えた機器」のみに販売許可が降りる形になります。で、使うのは自由という事になります。

ちなみに免許割り当てありでの利用方法も考えられます。その場合は、免許をもらった人が責任を持って干渉を防止することになります。例えば、ソフトバンクが関西限定で「3ch」に相当する帯域の免許をもらって、既存の利用と干渉しないようにしか基地局を配置しない約束で使う(違反したら免許取り上げ)、というようなパターンです。

個人的には放送局が使っているような電波の性質が良い帯域を無線LANに使うなんて勿体無い気がします。また、何にせよこんな複雑な割り当てを行うと、後日に帯域の利用方法を変更する時に困りそうな気もします。

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ここしばらくのその他ニュース

その他のニュースについて(随時上書き)

ウィルコムら4社、「WILLCOM D4」の発売時期を延期
http://japan.internet.com/allnet/20080523/1.html

元々開発は遅れ気味だったらしいですので、無理しないで発売を遅らせる事にしたようです。少なくとも一般人が購入即解約(あるいは塩漬け)となるような端末にはしないで頂きたいと思います。

入浴のぞかれ警官、裸で追跡 屋根から飛び降り失神の自衛官逮捕 幕別
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/94292.html

ありえないほど間抜けな状況です。こち亀並みです。
・自衛官がお風呂を覗こうとホテルに侵入
・覗いたところ、警官(男)がお風呂に入っていた
・自衛官は屋根伝いに逃走
・警官は風呂から出て裸で犯人を追跡
・自衛官は屋根から飛び降りた際に着地に失敗して失神
・失神していたので余裕でタイホされる

ソフトバンクの大半がホワイトプランに
http://response.jp/issue/2008/0523/article109672_1.html

ホワイトプランが1300万だそうです。ネットワークとお金が大丈夫なのか心配ではあります。

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中国の(携帯)電話会社、三大グループに集約される見込み(ただし、国策で)

短い記事です。

あんまり自信ないんで、どこか間違っていたり、補足すべきような興味深い事があったらコメントください。


◆日本ではありえない話

中国、通信3社に再編 第3世代携帯、免許発行も
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080524AT2M2402924052008.html

中国の工業情報化省、国家発展改革委員会、財政省は24日、通信業界を再編し、全国規模で固定通信から移動体までの総合サービスを手掛ける企業3社を誕生させる方針を正式発表した。

つまり、国策で通信業界を三グループに集約してしまうそうです。日本で(公に)同じことをやったら大騒動になるにちがいありませんが、さすがというか国策での再編です。

しかも、相当に具体的なことまで命令しておりまして、

通告では(1)中国移動による中国鉄通の吸収(2)固定最大手の中国電信(チャイナテレコム)による携帯2位の中国聯通(チャイナユニコム)のCDMA部門買収(3)中国聯通のGSM部門と固定2位の中国網通(チャイナネットコム)の合併(4)中国電信による中国衛星通信(チャイナサットコム)の基礎通信サービスの吸収――を提案。各社に回答を求めた。

お上がどことどこが合併するかまで全部指示しているような次第です。日本では全くあり得ない事であります。もしこれがセンスの無い提案だった場合には、大変な迷惑であるはずです。

ちなみに私には、これは妥当な提案なのかどうなのかはわかりません。

3といえばアホになる数字ですが、中国で3グループに集約するというと三国志を連想したりします。案外と、三つにすれば三すくみになるのではないかというような安易な発想だったりするのかもしれません。

記事に出てくるものだけですが、簡単に整理します。ちなみに中国移動と中国電信は元々国家唯一の国営通信企業(東側の国家でしたから)を分割したものです。

グループ1:
中国移動(国営携帯電話会社)(国内1位:世界1位)
+中国鉄通(チャイナレールコム)(鉄道の通信網が由来の固定事業者)
+中国衛星通信(チャイナサットコム)(元は中国電信の一部)

グループ2:
中国電信(チャイナテレコム)(国営固定電話会社:固定1位)(PHS事業者)
+中国聯通(チャイナユニコム)(国内2位:世界3位)のCDMA部門

グループ3:
中国網通(チャイナネットコム)(固定2位)(PHS事業者)
+中国聯通(国内2位:世界3位)のGSM部門

移動と固定をセットにしようとしていることがわかります。他の企業もあったはずですが、ニュースに出てきていないので気がつかなかったことにしてスルーしたいと思います。

中国聯通は分割されるようです。また、鉄道由来の事業者は日本にもあります、実はソフトバンクはルーツをたどると鉄道の通信網にたどり着きます。すでにルーツとは関係なくなっていますが。

また、中国では固定通信事業者が固定電話の延長としてPHS(小霊通)をサービスしていますが、上記のとおりとなっております。再編後も一つにはならないようです。とは言っても、競争させるべき固定一位と固定二位を合併させるわけには行かず、なおかつPHSは固定網と一体のようなところがあるのでどちらにせよ難しいのでしょうけれど。

ただ、このとおりになるとは限らないと思いますし、そもそも国策で三つに再編しようという試み自体どうなんだろうとは思います。

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北米700MHz帯、ブロックDをどうするかと意見募集

ちょっとだけ書きます、以前の話題の続き。

以前、書いた記事の続きをちょっとだけ。

以前:
北米700Mhz帯:Googleに非難の声上がる/失敗したDブロックで揉める
アメリカの700Mhz帯オークション終了、ただし結果はまだ秘密


◆条件変更をする?

FCC、700MHz帯競売の売れ残り「Dブロック」の再競売で広く意見求める
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/16/news022.html

米連邦通信委員会(FCC)は5月14日、3月に終了した無線周波数帯競売で売れ残った周波数帯「Dブロック」について、再競売と免許の提供方法をどうすべきか一般からの意見を求める「Second Further Notice of Proposed Rulemaking」(Notice)を発表した。

おそらく、普通の帯域として競売しなさいという意見が寄せられることになるのでしょう(たぶん)。しかし、その結果どうなるのかは解りませんけれども。

また、記事には10MHz幅の帯域(ペアになった帯域)とあります。700MHz帯は一等地ではあるのですが、この幅でできることしかできないという事では、できることは割と制限されます。

ではあるのですが、この結果変更された条件での再割り当ては北米で最後の一等地の割り当てとなります。あるいは、公共機関が自ら帯域を利用する事に決まってしまい、再割り当て自体消滅ってこともあるかもしれませんが。

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649 クアルコム、LTEへの流れを認める?

ちょっと前のネタについての記事です。

※ちょっと前:更新する時間が無かった


◆クアルコムがLTEへの流れを認める?

クアルコムも流れがLTEになっているのを認めているようです。

LTE特許やフェムトセルでコメント,米Qualcommの半導体事業説明会から
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080515/301915/

方式選択の状況に対するコメントを求められて,「UMBについては事業者の決定を待っている。方式についてはLTEさらにはモバイルWiMAXとある中では,LTEがマジョリティーになると考えており,開発を進めている」と説明した。

というわけで世界のクアルコム様も「LTEがマジョリティーになると考えており」ということだそうです。モバイルWiMAXはありえん勢いで批判しまくるクアルコム様ですが、LTEについてはこの有様でございます。

LTEに明らかなる問題点が存在する場合には、クアルコム様がことあるごとにチクチク刺すと思うのですが、そういうこともしないようですね。

クアルコム自体がLTEのハードウェアを作っていますし、CDMA2000+LTEの移行パスすらクアルコム自身が用意している次第ではありますが。

また、クアルコム様はCDMAについては完全制圧していますから、CDMA2000だろうとW-CDMAだろうと、第三世代系の技術の寿命が延びても別に問題はありません。おそらくHSPA+が流行しても全く問題ないはずですし、CDMA2000のさらなる改良についても色々たくらんでいるようです。

クアルコム、次世代通信技術やチップセットの動向を紹介
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/39887.html

一方、W-CDMAの進化系であるHSPDA/HSUPAを、さらに発展させる「HSPA+」という技術については、2008年後半にも試験が実施されるとの見通しが示された。クアルコムでは「MDM8200」というチップセットでサポートしていく考えで、オペレーターからは、ローコストかつ自然な進化として、反響があるという。

全然対応するおつもりのようです。さすが第三世代の支配者です。

CDMA2000の方がW-CDMAよりも進歩の速度が速いので、EV-DO Rev.AですでにHSPA+の一部が先行して実現しているわけですが、その先の先までも計画なさっているようです。

まずは、以前からずっと話題になっているEV-DO Rev.Bがあります。これについては大まかに言って、Rev.Aの通信を多数束ねて高速化するような技術です。ただし、KDDIなどが導入するかどうかについては微妙な状況ではありますが。

最初の予定ではその次は事実上UMBだったわけですが、ここへ来てCDMA2000のままRev.Bのさらに先の話も出てきています。第三世代で引っ張れるところまで引っ張ろう作戦です。EV-DO Enhancemetsだそうです。

EV-DO Enhancemetsでは、干渉の制御などによって更なる高速化が図られており、下り最大34.4Mbps、上り最大12.4Mbpsという通信速度が実現できるという。

EV-DO Enhancementsでは、HSPA+と同じく2x2のMIMO(での倍速ブースト)にも対応するようです。

さらには、CDMA2000ベースのフェムトセルでなにか用意なさっている模様。

CDMA2000 1xEV-DO Enhancementsの特徴として「Femtocell enhancements」も示されている。Femtocell(フェムトセル)とは、室内などに設置できるサイズの小型基地局を意味する言葉だが、ジャ博士は「今後はフェムトセル専用のベースステーションのような製品の開発を検討している。またフェムトセルとマクロセル、あるいはフェムトセルとマクロセルとピコセルというものを1つのネットワークとして認識できるような仕様の開発を進めている」と述べた。

現在話題になっているフェムトセルには各種の問題があるとされますが、クアルコム様はそのあたりは全部解った上で、高い技術力を用いて改良をしてくるはずです。

もしかするとフェムトセルもその結果としてKDDI優位ということになるかもしれません。

また、音声通話の効率アップ技術も出てきています。

EV-DOはデータ通信に注力した方式だが、そのベースとなったCDMA2000 1xでも「CDMA2000 1x Enhancements」という技術があるという。こちらでは、音声通話の最大容量の向上が可能とされており、従来は1基地局あたり35回線の同時通話が可能だったが、Enhancementsでは55回線の同時通話が可能とのことで、2009年中頃にも登場する予定という。

主要能力がおよそ2倍にパワーアップするとかいう説明がなされる事もあるようです。

現行のAUの基地局がどうなっているのかはわかりませんが、もしこれに容易に対応できる基地局ならば、KDDIのインフラ力(インフラ効率力)はさらにパワーアップするかもしれません。

「次世代技術が話題だが、多くの通信事業者からすれば、現行資産を最大限に活用するのが現実的。CDMAベースの技術もできるだけ下位互換性を含めながら開発していく。LTEは2011年頃の導入とされるが、たとえば日本市場で3G導入後もPHSやPDCが長く続いたように、LTE導入後もそれ以前の通信方式がかなりの期間、続くのではないか。Rev.AやRev.Bは、CDMA2000を進化させるもので、これらの技術は(通信事業者の選択肢として)現実的ではないか」と述べた。

LTEへの早期移行ではなく、長い間、第三世代を使って欲しいようですね。

HSPA+についても結構なパワーアップがありましたが、クアルコムの延命第三世代はさらに色々なパワーアップがなされています。KDDIにもLTEにもUMBにも移行せずに(様子見をして)粘る方法があるようです。

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650 フェムトセルより、無線LANかもしれない?

無線LANが流行る?かもしれないということについて少し

投稿出来ずに居たネタの山を崩しての投稿です。


◆引用記事のタイトルは要領を得ませんが

ドコモは以前から無線LAN対応のFOMAを出したりしていたのですが(900iLとか)、なにやら新しい事をするようです。

携帯がIP電話に早変わり ドコモ、融合サービス開始
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008051901000893.html

ドコモが新たに投入するFMC専用の新端末は第3世代携帯「FOMA」の夏商戦向けの上位機種。屋外では通常の携帯として機能する一方、自宅ではIP電話機の子機に早変わりし、屋内の無線LANアンテナを介して光ファイバーなど固定通信のブロードバンド(高速大容量)回線に自動接続する仕組み。

携帯からIP電話に切り替わると(1)通話料が携帯でかけるより3割程度安くなる(2)ドコモの携帯向けインターネット接続サービス「iモード」で高速通信が可能になる-などのメリットがある。

記事は「流行語」をちりばめましたという体裁になっておりまして、IP電話やらFMCやらブロードバンドやらの単語が出てます。

つまりのところどういうことかというと、FOMAなんですけれども、自宅ではFOMAの電波の代わりに、自宅の無線LANの電波を使う事の出来るFOMAということです。W-CDMA/HSDPAと無線LANのDUAL対応機、ともいえます。

ドコモは無線LAN経由の料金を低減なさるようです。よって、こういう事になります。

利用者にとって
・無線LAN経由で利用すると安くすむ
・無線LAN経由の方が高速接続になる

安くする事で利用を促進するということのようですが、三割引はちょっとケチなんじゃないだろうかという気もします。孫社長なら無料攻撃に出ている気がします。あるいはもう少し値引きを増やして「半額」とした方がアピール効果は大きいはずです。実にもったいない。

ドコモにとってのメリットは簡単です、FOMAの帯域がその分空くわけです。

つまりこれは、事実上フェムトセルと似たような事をするということです。

そして、なんちゃって基地局を暴露した人も同じような事を言っています。

通話定額制導入の成功と次世代戦略
孫社長を支えるソフトバンクモバイル宮川潤一CTO
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20080422/1009778/?P=2

宮川氏:「トラフィック処理に関しては、フェムトセルよりもWiFiのほうが効果があるという気もする。WiFiは我々がADSLの時代に配って歩いた。トラフィックを抜くために何でもやっていきたい」

つまり、ソフトバンクでも「フェムトセルより無線LANの方が良くね?」という意見はあるということのようです。


◆面はカバーできないし、ハンドオーバーもうまく出来ないが、干渉問題が無い

フェムトセルについては、スポット的カバーしか考えないようなパターンと、とにかくバラ撒いてフェムトセルで一般的なエリア拡大まで担うという野心的な案?があります。

前者についてはホームアンテナと同じような話です。後者については、フェムトセルに熱狂する方面の意見がこれのような気がします。

これまでのフェムトセルの方針の議論では、上位二社(KDDIとドコモ)は慎重派で、下位二社(ソフトバンクとイーモバイル)は積極派でした。慎重派の意見はつまりのところ「基地局の電波と干渉しまくってえらいことになる可能性がある」「出力を絞ったフェムトセル基地局だったとしても、ユーザで容易に出力に細工が出来てしまう」というものでした。

第二世代携帯は干渉すると通信不能でしたが、第三世代携帯(CDMA)では、多少の干渉を許容するようになりました。しかし、これは「多少の」ということであって、干渉を許容する場合でも通信品質の低下が発生しました。もろに干渉した場合には、第三世代でも通信不能などの不味いことになります。

よって、フェムトセルについての懸念の一つとは、極めて計画的に設置されている携帯基地局とちがって、無秩序に設置され、出力に細工される可能性もあるフェムトセルが干渉を発生させる懸念でした。そして、フェムトセルでエリア拡大というような野心的な計画では、必然的に「干渉だらけ」や「やりたい放題」の状況が懸念されました。

一方で、「まさにこの場所(点)だけエリア化」の場合、電話機が対応していれば別に通信方式は何でも良いともいえます。無線LANでも別に良いわけです。

無線LANは面的カバー(町全体とか)などは期待できない通信方式ですが、しかしながら自分の部屋をカバーする程度ならば十分な能力があります。そして何より、携帯基地局の電波との干渉問題の可能性は全くありません。そして、無線LANの機器は十分に枯れていて安価です。

無線LANとW-CDMAの切り替えに難が生じますが、実のところフェムトセルでも同じような問題があります。フェムトセルが問題を解決できない限り(簡単ではありません)は、もしかしたら同じようなものかもしれません。

もしかしたら、ドコモはフェムトセルより無線LANが正解だと思っている可能性もあります。

ドコモは、技術部門が早期に「モバイルWiMAXなど話にもならないから無視でよい」という判断をしていたと予想されますが、モバイルWiMAXがブームの頃には、ドコモも取り組む所存であるという発言がありましたし、2.5Ghz帯騒動でも、一応ながら手を挙げる感じとなりました(その後、放置となりましたが)。

もしかするとドコモのかつてのモバイルWiMAXへの姿勢と同じく、フェムトセルは単に「保険」なのかもしれません。つまり、他社が手を出す以上はドコモも手を出しておく方が安全だろう、と。

ただ、ドコモの壮絶な設備投資の結果として、非常に小さな圏外すらも全て塞ごう的な状況になっており、従来の小型基地局での投資には微妙な小さな圏外を塞ぐための「フェムトセル」ならば、ドコモの所望するものかもしれません。しかしそうだとして、世間的な流行イメージとしてのフェムトセルとは異なるものではあります。

KDDIはそもそもフェムトセル反対派です。

また、無線LANでよいのならば、むしろフェムトセルよりも孫社長には有利な展開かもしれません。むしろ、ソフトバンクはフェムトセルを禁止させる方向で動いても悪くはないかもしれません。

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中国のTD-SCDMA、導入わずか二ヶ月で中国版3.5世代に移行開始?

更新する時間がなくなっています、すみません。


◆TD-HSDPA?

これまで記事に書いたとおり、中国大陸では、国策の独自の第三世代技術のサービスインが、2008年の4月1日(なんとエイプリルフール)にありました。

もともと、W-CDMAやCDMA2000に少し遅れてサービスインするはずだった技術でしたが、実用化は遅れに遅れ、おそらく北京オリンピックには間に合わせたいというだけのことで、何とか直前の試験サービスインが行われたようです。

その後の状況はあまり伝わってきませんが、どうやらあまりうまく行っていないようでして、その事についても記事にしました。

#過去の記事をTD-SCDMAで検索してください

「大丈夫かなあ」という風に思っておりまして、読者の方もそう思われていたはずなのですが、なにやらよく解らないニュースが湧いて出てきています。

【中国】中国移動、中国 TD 規格を5月末に 3.5G 規格にアップグレード
http://japan.internet.com/allnet/20080516/26.html

5月15日、中国国内メディアの報道によれば、中国移動(チャイナ・モバイル)は5月末に TD 規格(TD-SCDMA:中国独自の 3G通信規格)を 3.5G 規格(TD-HSDPA)にアップグレードさせることを明らかにしたという。

アップグレードの実施により、接続速度は大幅に上昇し、2.8 Mbps に達する見通しとのこと。

なんとも(悪い意味で)驚きのニュースです。

まず、なにやら危うい感じになっているらしいTD-SCDMAであり、既存のTD-SCDMAの基地局網の問題を何とかすべき状況のはずなのですが、ここでなぜかの新技術投入です。

しかも、五月末です。TD-SCDMAの試験サービスを開始したのは、4月の頭です。二ヶ月で3.5世代移行というのは、いかがなものでしょう。

また、「2.8 Mbps」という半端な速度だということもまた微妙な印象です。

北京オリンピックまでに3.5世代のサービスインまでやってしまいたくてしょうがなかったのでしょうか?正直なところTD-SCDMAのサービスインすら無理矢理な感じでしたから、ここまで来るともうなんだかよく解りません。

ただ、もし仮に(仮にですけどね)、この技術が問題なく動いた場合には、中国市場に巨大なマーケットが存在して量産効果を見込むことが可能で、なおかつ3.5世代としても使えるものが、日本の2GHzTDD帯域でも利用可能になった、ということにもなるかもしれません。現地で調査を行って、TD-SCDMAは今は初期状態だけれども将来は大丈夫だぞ、ということが解ったのならば、日本でTD-HSDPAをサービスインするのも選択肢かもしれません。

ただまあ、そんな風には全く思えませんけれども。

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北米WiMAX:スプリントはさらに苦境、赤字がさらに拡大

ブログを更新する時間がちょっと厳しいので、短いバージョンでの投稿にします。

スプリント1-3月期、契約者の流出続き赤字拡大
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCDU7587.html

スプリント・ネクステル(NYSE:S)が12日発表した1-3月期決算は、最も大きな収益源である長期契約者の解約が続いたことから、赤字が拡大した。

だそうです。新CEOは努力なさっているようですが、低落傾向はまだ止まらないようです。

日本でもわかりやすい問題点を挙げてみると、たった三ヶ月で契約者数がかなり減っているようです。つまり、純減がかなり激しいということ。それだけではなくてARPUも減ってしまっているようです。

スプリントの後払い契約者数は110万人減少し、前年同期比1.5%減の5280万人となった。後払い契約者の1人当たり月間利用料金(ARPU)は6%減少し、解約率は2.3%から2.45%に上昇した。

サンフォード・バーンスタインのアナリスト、クレイグ・モフェット氏は「スプリントは顧客が減少しているだけではなく、最も重要な顧客を失っている」と指摘した。スプリントの1-3月期の料金前払い利用者は54万3000人減少した。

「後払い」というのはいわゆる普通の契約です、「前払い」とはつまり「プリペイド」(プリ:前)のこと。

なかなかの減りっぷりです。

また、スプリントが低落傾向になった原因である「ネクステル」について、再放出するという噂が出ている事に対しては、これを否定なさっています。

ヘッセ氏は電話説明会で、「スプリントはネクステルの資産を再び活性化することに注力している」としたうえで、「スピンオフは複雑な手続きが必要だ」と指摘した。それ以上の詳細については言及しなかった。

わざわざ「スピンオフは複雑な手続きが必要だ」などと言っているあたり、なにも心当たりが無い事ではないようですね。

会社の建て直しで、ややこしい部門をどんどんぶっ飛ばしてしまうのは基本的な方法ですが、もしかしたらそれを忠実に実行なさるのかもしれません。

また、記事にはモバイルWiMAX新会社についてややこしい懸念材料が一つ出ています。

問題になりそうなのは、スプリントの携帯電話サービス関連会社iPCSが提起している訴訟。iPCSは「スプリントとクリアワイヤーの提携は、iPCSが自社の営業地域で携帯電話サービスを独占提供するとしたスプリントとの契約に違反する」と主張している。

というわけで、もしこの会社が裁判で勝ってしまうと、北米のモバイルWiMAXがまた頓挫するということになってしまいました。意外な伏兵です。裁判で再頓挫というのもまた画期的で面白いかもしれません。

ただ、金の力で解決できる話のようではあるようで、iPCSをスプリントが買収すれば何とかなるようです。しかし、そういう買収は高くつきますし、しかも赤字だ赤字だと言っているとおりスプリントはお金が無いわけです。

インテル様はとうとう裁判の手伝いまでしなきゃならないのかもしれません。

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アッカ、ドコモの回線とイーモバイルの回線の両方を借りる事に

少しだけ書きます。

アッカ、ドコモに続きイー・モバイル回線もMVNOとして利用へ - 個人も対象
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/05/12/023/

ACCA mobile(D)が法人のみを対象としたサービスであるのに対し、ACCA mobile(E)は個人でも契約が可能になる予定。料金などサービスの詳細については現在検討中で、決定次第追って発表するとしている。
サービスは6月中をめどに開始する予定。

年明けからのイーアクセスとの騒動の結果(おそらく)、アッカはドコモの回線を借りる事が決まっていましたが、それに加えて、イーモバイルからも回線を借りる事になったようです。

名前は、
・ドコモの回線のものが、ACCA mobile(D)
・イーモバイルの回線のものが、ACCA mobile(E)

ドコモの回線の方は、結局個人向けではないようです。ドコモの方は従量課金で回線を借りる事になったとかそういう事情があるのでしょうか?イーモバイルの方は、個人向けにも提供するんじゃないか、ということだとかで。それゆえの両方借りなのかもしれません。

良い意味で無節操でよろしい、と書こうとも思ったのですが、両方の回線を提供しているプロバイダなんかは別に珍しくも無いかもしれません。ただし、単に回線を借りているだけではなくて・・例えば、利用者からはすっかりアッカの回線として見え、なおかつ両者の回線がアッカのユーザからすると区別されない感じで使えると、面白いかもしれません。

単に回線を借りている以上の事をどれだけするかどうかが、アッカを評価するかどうかのポイントになるでしょうか。単に「借りました」というだけのことならば、大して意味は無いと思います。それなら、別にアッカである必要はありませんからね。

もしこれがうまく行くのなら(という前提でですが)、今後は借りれるものは全て借りるくらいの無節操な勢いで頑張っていただく事にしてもらいましょうか。ウィルコムの回線も借り、KDDIからモバイルWiMAXの回線を借り、次世代PHSの回線も借りて頂きましょう(ソフトバンクは・・)。まあ、その前に無線LANとの組み合わせでしょうか。

借りた回線で何をするのか、お手並みを拝見させていただく事にしましょうか。

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651 北米WiMAX:謎が多い?スプリントのモバイルWiMAX新会社

またもやの話題です。

他の話題が読みたい、という方はもうしばらくお待ちください。確かに同じ話題が集中しすぎかなと書いてる本人も思っておりますので。次は別の話題にする予定です。

スプリントの今後の行方は、世界のモバイルWiMAXの流れや通信技術の流れに大きな影響を及ぼす、ということでご了解ください。


◆スプリントの出資はマイナス要因だとか

日本ではどちらかというと明るいニュースとして報道がほとんどに思えます。そもそも、
・Google
・モバイルWiMAX
・Intel
というような素人ウケする単語が多い話でしたし、スプリントとクリアワイヤの株価は上がっていたようです。

しかし、アメリカで投資のプロ関係から「少なくともスプリントが合弁会社へ出資するのはよいことではない」(マイナス要因)というような評価が出てきているようです。でも株価はまだ上がっています。

喜んでいるのは解っていない人だけかもしれないということです。


◆スプリントがネクステルを放り出すという噂

先の記事で書きましたが、現在のスプリントのフルネームは「スプリント・ネクステル」(Sprint Nextel)で、スプリント(CDMA2000)が、ネクステル(iDENというアメリカ独自の第二世代技術)を買収して現在の体制になっています。で、これも前に書いたとおり、この買収は失敗だったとされます。

ここへ来て、ネクステルの再放出が行われるという噂があるようです。「スプリントが切り離したがっている」とか「ネクステルの旧経営陣がネクステルを自分達で再度立て直したいと行動を始めた」とかなんとかいう噂が出ています。

スプリントはもしかすると、ネクステルを切り離し、モバイルWiMAXも切り離したいだけなのかもしれません。そう考えると、新CEOはややこしい部門を一掃してスプリントを建て直そうとしているだけなのかもしれません。


◆モバイルWiMAX新会社のバラバラな感じ

ビッグネームが並んでいるというところだけしか見ないと立派にも見えますが、

・スプリント:携帯電話会社
・クリアワイヤ:固定WiMAXで固定回線の市場に攻め込みたい
・CATV会社複数:固定回線では出来なかったことがやりたい、携帯電話会社が羨ましい
・インテル:今すぐの北米陥落をとりあえず回避、そもそも半導体屋。
・グーグル:(使い物になる)高速ネット接続を自由放題に使わせてくれるところなら何でもいい

スプリントは既存の携帯電話の商売を基準に考えて、結果として従来の携帯電話の補完としての認識や評価になるはずです。しかし他社にとってはそれでは困ることもあるはずです。

クリアワイヤとCATVの考えている事も整合しません。またCATVで意見がすべて一致するとも限りません。

アメリカはやたらと広い上に、電波の飛ばない2.5GHz帯であって、しかも面のカバーに不安があるモバイルWiMAXです。モバイル的に立派な感じにするのは非常に大変な作業になるはずです。それでも巨費を使ってでもエリアをしっかりさせて欲しいところと(おそらく本当に「巨費」が必要になる)、多少穴ぼこでも構わないところがあるかもしれません。

また、移動して使える感じにするかどうかでも意見が分かれるかもしれませんし、一部の地域から集中的にエリア整備をするのかどうか、というようなことでも意見が割れるかもしれません。

エリア整備の方針や、そもそもどういうふうにして電波を出すか、端末をどうするか、料金設定をどうするか、回線容量をどのような感じで利用者に使わせるか、付加サービスをどうするのか、誰に回線を貸して誰に貸さないか、などなどについて意見が揃うとは限りません。

またこの種の事業に十分な知識があるのは、スプリントだけになります。しかしスプリントの立場には微妙なところもあります。下手すると、今回の話自体が、モバイルWiMAXを社外に出して処分したいだけかもしれません。

2007年の夏前には、スプリント+クリアワイヤ(おそらくスプリントに主導権)で一度協力をする話が進みました。その頃はまだモバイルWiMAX熱がある頃で、世間的には大いに期待されていました。しかし2007年末にはそれが驚きの「協力は白紙撤回」事件になります。今回も同じ事にならないとは限りません。

今回また話が復活したわけですが、前より話がややこしくなっただけにも思えます。しかも、一年近くの時間が経過してしまっています。それはつまりLTE陣営が攻めて来るまでの猶予時間もそれだけ減ったということになります。

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652 携帯電話4月の純増数:KDDIとウィルコムが純減

携帯電話加入者数の4月の純増数が発表されましたので、それについて少し書いてみたいと思います。


◆まずは結果

SBM 19万2900
ドコモ 9万6000
EM 9万2400
ウィルコム -1万2600
KDDI(AU+ツーカー) -11万8700
AU 11万5400

ソフトバンクはまた一位で、ドコモも健闘しています。そしてウィルコムは純減です。このあたりはこれまでのとおりなのですが、KDDIがツーカーの最終処理のお陰で大幅な純減になってしまっています。

基本的にこれまでの流れでの数字ですが、KDDIだけが変わったことになっています。

KDDIはツーカーの最後まで残ってしまった人をゼロにする処理を行ったためにマイナスになっています。最後まで残ってしまっていたのは、プリペイドのユーザが多かったようです。KDDIは一生懸命移行をしてもらおうとしていたようですが。プリペイドではさすがに難しいようです。

おそらくこの現象、ソフトバンクが2Gを停波する際にも同じ事になるはずです。二年後の春(ソフトバンクの第二世代の停波時)は同じ事になるかもしれません。

二年後まで今回の事を覚えておくと面白い事もあるかもしれません。もちろん、孫社長が今回の件を見て、それまでに対策をなさるかもしれませんが。

また今月は「超およそ2位」現象が発生しています。AUで順位をつけるとドコモを抜いて二位ですが、KDDIで考えると最下位という事になっています。「超およそ1位」なら話として面白かったのですが、残念ながら2位でした。

イーモバイルについては数字的には割と良いですが、他キャリアと違って実質的に解約者が存在しない状態なので、これを良い数字であるかどうかは微妙です。ただ、イーモバイルは数を目いっぱい増やそうとしているのではなくて、お金を消耗しないようにしているように思えるので、これはこれでいいのでしょう。

ウィルコムですが、またもや純減となってしまいました。小幅な純減ということで、逆低空飛行とでも言っておきましょうか。

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653 北米WiMAX:モバイルWiMAX新会社+買収をそのまま合わさると意味不明になる件

ちょっとだけ書くつもりで書きます。


◆併せて考えてみる

ここ数日の間にスプリントに関係するニュースが二つありました。

・モバイルWiMAXの合弁会社の設立
・Tモバイルによる買収の噂

モバイルWiMAXの新会社の方についてはどうやら、これまでに何回もあった「噂だけ」ではなくて、本当に実現するようですね。しかし前回の記事で書いたように、スプリント自体がどこまで主役をやるのかわからん気はします。

スプリントが本腰を入れる気なのか、それとも本体から切り離して距離を取る第一歩なのかどうかはよく解りません。それ以外の会社についてはどうも利害が揃わないようにも見えますしね。

Tモバイルの方については噂に過ぎませんけれども、今度はこちらと併せて考えてみたいと思います。

まず、一番つまらない?パターンは、単に「食い合わせの話だった」というパターンです。たとえばスプリントの内部に

・一派:ここまで来ちゃったし、もうモバイルWiMAXで行くしかない
・一派:モバイルWiMAXなんてすぐ捨てよう

前者が合弁会社を作ろうとし、後者がTモバイルと話をしていた、とか。あるいは、この二つの選択肢を条件で競わせていたとか。

次に、「食い合わせではない場合」を考えてみます。つまり、これから別途Tモバイルとの話し合いも合意に達すると考えた場合。

その場合に問題になるのはスプリントのモバイルWiMAXへの態度と、TモバイルのモバイルWiMAXへの態度です。

その1
スプリント:WiMAXイラネ
Tモバイル:WiMAXイラネ
→イラネ

この場合には、合弁会社はモバイルWiMAXの処分地ということになります。そしてスプリントとTモバイルで合流をしてLTE陣営になるということになります。

先日の記事に書いたとおり、スプリントがモバイルWiMAXに執心しているならば、わざわざ他社を取り込んで話をややこしくした新会社を作ろうと思わない気もするので、このパターンはありえると思います。

その2
スプリント:WiMAX必要
Tモバイル:WiMAXイラネ
→?

これはちょっと話が成立しませんね、書いてみてから失敗だと思いました。こういう場合もありえるとは思いますが、とりあえず今回の記事的には話がそれてしまいます。

その3
スプリント:WiMAXイラネ
Tモバイル:WiMAX必要
→?

これも同じ。

その4
スプリント:WiMAX必要
Tモバイル:WiMAX必要
→必要

一部報道で言われているように、Tモバイルの目的は実はモバイルWiMAXだった場合、というものです。話題のWiMAXにTモバイルも群がっています、とか、LTE陣営に結束して対抗、とかいう記事もあったとか。

このパターンの場合、スプリントとTモバイルが抱える技術が訳の解らないことになります。まず両社が現在抱える技術について整理します。

スプリント(スプリント・ネクステル)
・CDMA2000
・EV-DO Rev.A
・iDEN
・モバイルWiMAX

CDMA2000はスプリント由来のものです。で、区別するのも微妙ではありますが、Rev.Aもサービスすることになっています。

iDENはネクステル由来のものです。現在のスプリントはスプリントがネクステルというところを買収した「スプリント・ネクステル」です。iDENはモトローラが開発した独自の第二世代技術のはずです(詳細は調べていません)。

ちなみにスプリントの経営状態がおもわしくなくなったのは、ネクステル買収の失敗によるものです。日本で(かなり)無理矢理にたとえると、W-CDMAのJ-PhoneがドコモPHSを買収したところまではよかったが、その後それが原因で調子を崩したような状態とでも言いましょうか。

そして現在、さらにモバイルWiMAXを開始しようとしています。

つまり、既に無駄にややこしくなっています。

Tモバイル
・GSM
・W-CDMA/HSDPA(HSPA)
・(LTE)

TモバイルはCDMA2000陣営の本拠地にありながら、GSMで全米展開しているキャリアです。つまり、基本的にW-CDMA陣営。

すでにW-CDMA/HSDPAが開始することも決まっています。そして自然の流れは当然にLTEということになりましょう。何の無駄もない構成です。

さて、二社の技術をそのまま張り合わせて見ましょう、

スプリント(スプリント・ネクステル)+Tモバイル
・CDMA2000
・iDEN
・GSM
・EV-DO Rev.A
・W-CDMA/HSDPA(HSPA)
・モバイルWiMAX
・(LTE)

なんというか意味がわからんとかいうレベルの話ではなくなりました。そしてここから調整が可能なのは、モバイルWiMAXとLTEの部分だけです。

非常にすっきりしたTモバイルとくらべると、整頓の極みから混乱の極みということになっています。

一番綺麗に整頓できる方法は、LTEで二社を束ねて収束させる方法です。そしてすでにベライゾンがLTEを採用しAT&TもLTE確実ですから、そうなると北米はLTEが基本になります。

・CDMA2000/EV-DO Rev.A/LTE(ベライゾンの真似)
・iDENは廃止、あるいはネクステルを再度外に出す。
・GSM/W-CDMA/HSDPA(HSPA)/LTE(世界標準)
・モバイルWiMAX(データ用)

LTEなしとなると、二社を束ねる方法は難しくなります。モバイルWiMAXに対応した端末は用意できるかもしれませんが、基地局がどうしようもない感じにも思えます。

・CDMA2000/EV-DO Rev.A+モバイルWiMAX
・iDENは廃止、あるいはネクステルを再度外に出す。
・GSM/W-CDMA/HSDPA(HSPA)+モバイルWiMAX

モバイルWiMAXを捨てないとしても、LTEを採用しないと考えるとどうするのか良くわからなくなります。

もちろん話として一番すっきりするのは、最初に書いたように、モバイルWiMAXを捨てるシナリオの場合だと思いますが(あるいはTモバイルとの話自体が実現しないか)。

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654 北米WiMAX:さらに今度は「モバイルWiMAX新会社設立で再合意」だとか

またモバイルWiMAXについて少し書きます。

前回の記事とは反対で、今度は実現?に向けた流れの記事です。

前回:北米WiMAX:今度は「スプリントがLTE陣営の会社に買収される」という噂
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/05/655_wimaxlte_2be4.html


◆モバイルWiMAXの新会社で合意?

そもそもは、スプリントとクリアワイヤがモバイルWiMAXの会社を作る話になっていたのですが、2007年末にその計画が白紙に戻るということがありました。北米の2.5GHz帯はスプリントが全部持っているわけではないので、クリアワイアとの協力が必要なためでしたが、それが白紙に戻るという大事件でした。

ちなみにクリアワイアというのは、以前の記事で書いた、北米でWiMAXを用いて固定回線の代わりのサービスを提供しているところです。モバイル用のサービスはまだ行っていません。

以前の記事:「WiMAXは駄目過ぎる」とアメリカ人が怒っている動画
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/693_wimax_1d93.html

そして、クリアワイヤはWiMAX専門の会社だけあってインテル様の手先のような存在でもあります。ここは、成り立ちから言ってWiMAXと生死をともにせざるを得ない組織です。選択肢としては、モバイルWiMAXに手を出すか固定回線の代替の商売に専念するかくらいでしょう。

今回の新しいニュースは、スプリントとクリアワイアの合弁会社の話が、他のいろいろな出資話と合体して復活したかもしれないということです。

超高速無線インターネット接続の合弁会社、インテルなどが出資へ【WSJ】
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=RSCDN2930%2007052008

ケーブルテレビ(CATV)、インターネット、半導体の各業界の代表的企業が参加する企業連合が、今日提供されているものよりも、かなり高速なネット接続を携帯電話やノートパソコン向けに提供する新会社に総額32億ドル投資することを、早ければ7日にも発表する。
通信大手スプリント・ネクステル(NYSE:S)、携帯電話業界の先駆者クレイグ・マッコー氏が創業した新興企業クリアワイヤー(Nasdaq:CLWR)が含まれる。出資する大手企業は、CATV最大手のコムキャスト(Nasdaq:CMCSA)と同2位のタイム・ワーナー・ケーブル(NYSE:TWC)、インターネット検索大手グーグル(Nasdaq:GOOG)、半導体最大手インテル(Nasdaq:INTC)など。
誕生する新会社は、コムキャストから10億5000万ドル、インテルから10億ドル、グーグルから5億ドル、タイム・ワーナーから5億5000万ドル、ブライト・ハウスから1億ドルの出資を確保した。クリアワイヤーの社名を引き継ぎ、株式の過半数はスプリントが握る。

「総額32億ドル」とありますが、両社は既にこれまでにもWiMAXにお金を使っています、これはゼロからのお金ではありません。

またどうやら、スプリントはスプリントのモバイルWiMAX部門を切り離して新会社に移動させて、クリアワイヤが存続する形になるのだとか。クリアワイヤといえばインテル様の手下のようなところですから、そこにモバイルWiMAX関連を集約して、いろんなところからお金をかき集める形にするようです。

ただこの話で一番重要な(それがないと全く話すら成り立たない)「帯域の権利」を提供するのはスプリントですので、株式の過半数はスプリントが握り、役員もスプリントが大半を送り込む事になるようです。

お金を出すところは、インテル様以外には、CATVとGoogleといったところのようです。CATVがモバイルに出資したがるのは日本でADSLの会社がモバイルに進出したがるのと同じ理由のはずです。日本と同じく、ちょっと危ういところもある傾向のはずです。Googleはたしか、クリアワイヤ自体にも同じくらいの金額を出資していたはずです。

みなさんもそう思われたと思いますが、いかにも素人ウケする要素満載なので(あの「WiMAX」ですし、Googleですし、インテルですし)スプリントやクリアワイヤの株価は上昇中のようです。

ちなみに、2007年末の「合弁会社が白紙に戻る事件」ですが、こういう状態から「やっぱりやめます」という発表が再度なされるというような事件でもありました。もう一回白紙に戻ったらとても面白いのですが。


◆さてどうなるのかしら?

インテルにとって最悪の展開は、スプリントがモバイルWiMAXからの撤退宣言を行って、帯域も他の用途に使うと言い出して2.5GHz帯自体が「消滅」するという展開でした。700MHz帯は既にLTE陣営が占拠しましたので、そうなるとどこでサービスするんだ?ということになります。

つまりインテルにとって一番大事なのは、スプリントがどうこうということではなくて、2.5GHz帯の所有権が敵陣営の手に落ちないということかもしれません。

今回の話が再度白紙に戻ったりしなければ、とりあえず2.5GHz帯はWiMAXには使われる事になります。また帯域の所有権はおそらく新会社のものになるはずです(ですよね?)。

スプリントは新会社と早々にバイバイすることもできるでしょう。素人ウケする会社ですから、株は高く売れるでしょうし。あるいは、新会社を支配下におきつづける事も出来る状態になりました。

スプリントはCDMA2000を採用している事も併せて考えると、「KDDI化した」と思えなくもありません。

いろいろ困った事になってしまっているスプリントの立場で考えると、自社に残された最大のカードは「2.5GHz帯の権利を持っている」ということでした。これを有効活用することがまず求められました。当初の計画のとおりモバイルWiMAXをするにしても、他の方式に寝返るにしても、帯域を売り飛ばすにしても。

ただしちょっと難しいのは、自前で全米全部の帯域を持っているわけではないことでした。寝返ろうとしてもそこが問題になったと思います。インテルが「2.5GHz帯の大半を獲得した奴がインテルを裏切れないように」一部の地域の帯域を自分の手下に獲得させていたとしたら、それは非常に効果的だったということになるかもしれません。

結果この話は、スプリントにとってはどちらにも取れるような話になりました。

・当初の計画に近い計画(KDDI的にお金を薄めただけ)を実行しているようにも見える
・回りくどい形で帯域を売り飛ばしたとも見なせる

もしスプリントがモバイルWiMAXに大きな希望を見出しているのならば、クリアワイヤとスプリントだけで新会社を作るべきです。資金が致命的に無いわけではありませんから(だと思うんですが・・)、よそ者を混ぜても話がややこしくなるだけだからです。むしろクリアワイヤすら邪魔です。

しかし、今回の話では総務省からの横槍で泣く泣く「薄めた会社」を作ったKDDIのようなことを「自ら」行っています。スプリントが経営建て直しに当たってモバイルWiMAXが良い選択肢だと持っているのならば、モバイルWiMAXに「集中」をしたと思うのですが、結果から見ると薄めています。

よってもしかするとこれは、スプリントによるモバイルWiMAX処分市ということなんじゃないかとも思えてきます。

ただスプリントからすると、案外と成功しそうだったらそのままモバイルWiMAXに乗っかる、やっぱり不味そうだったら、それが世間にばれる前に株を処分できるようになった、といったところではないでしょうか。そして、幸いにしてこの手の話にうっかりお金を出してくれるところは沢山ありそうですしね。

また、これを処分市であると判断した場合には、Tモバイルに買収されるという話との整合性も取れる可能性があります。面倒なものを処分してLTE陣営に参加する、と。ただし、TモバイルはLTE陣営でモバイルWiMAXを評価していないという前提での想像ですけれども。

最後に念を押して起きますと、スプリントがモバイルWiMAXに本気の本気だということも当然考えられる事ですのでご注意ください。この記事はそれ以外の可能性について考えてみた記事です。


◆日本への影響

北米のモバイルWiMAXがご破算にならないならば、日本への影響もあります。

北米が完全に陥落した場合、モバイルWiMAXは「極東の海っぽいところの固有種」になっていた可能性がありました。その可能性は少し遠のき、少なくともCDMA2000くらいの固有種に前進する話かもしれません。

各種量産効果も見込めるようになるかもしれません。これは意外にもモバイルWiMAXよりも、ハードウェア的に共通のものを用いることが多い次世代PHSにも朗報となる可能性があります。そして、「サービスインしたけれどモバイルWiMAXは実に酷かった」という場合のモバイルWiMAX生態系の跡地に、次世代PHSが入り込む可能性もできることになります(ただ次世代PHSに楽観的な予想をした場合の話です、と念を押しておくことにする)。

また、「LTE完全一色の世界」は少し遠のいたということかもしれません。「LTE完全一色」は少なくとも私にとっては退屈な未来ですので、どんどん遠のいていただきたいところです。

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655 北米WiMAX:今度は「スプリントがLTE陣営の会社に買収される」という噂

久しぶりにモバイルWiMAXネタで少し書きます。


◆スプリントとは

北米の携帯電話会社のスプリント(Sprint Nextel)が、今度は買収されるかもしれないという話が出ています。またもや新しい騒動発生です。

詳しくは2008年の一月くらいからの記事を読んでいただきたいのですが、スプリントというのはアメリカの携帯電話会社で、北米で唯一モバイルWiMAXに入れ込んでいる/いた携帯電話会社でもあります。いろいろと騒がれていたモバイルWiMAXですが、結局スプリント以外の電話会社はどこも採用せず、他は全てLTEを採用する流れです。

そんな電話会社のことなんて知らん、と思う人も多いと思いますが、「スプリントがモバイルWiMAXを諦めると、事実上モバイルWiMAXは北米で頓挫してしまう」という意味で注目すべきところです。そしてスプリントは経営状態が大変な事になっていて、実際にモバイルWiMAXから脱落する可能性も高まっているとされ、北米のモバイルWiMAXは非常に危うい事になっていました。

少し前まではスプリントは非常に調子の良い事を言っていて、モバイルWiMAXで革命を起こすぞというような勢いだったのですが、だんだんとスローダウンし、計画は縮小遅延し、2007年末にはとうとう撤退を検討しているという噂まで出てくるような状況になりました。

ちなみに、スプリントが撤退を考えていると囁かれだした頃、日本ではあの会社とあの会社がモバイルWiMAXはものすごく素晴らしい、だから2.5GHz帯をよこせと大騒ぎしていました。なんと情けない。


◆スプリントが買収されるかもしれないというニュース

そしてその後スプリントが今後どうするかの情報は全く出てこなくなります。おそらく、結論の出ない堂々巡りを続けているのではないかと思われます。

良く言われている観測としては、
・企業としての判断としては、巨額の投資が必要になるモバイルWiMAXを捨てるべきである。
・CDMA2000に再度専念するか(スプリントはCDMA2000陣営)、ないしはLTE陣営に合流するのが筋である。
・モバイルWiMAX網の整備をするとなると命がけの決断になるが、駄目技術であると言われまくっているモバイルWiMAXにそこまで入れ込んで勝負をする理由がない。
・しかし、スプリントが撤退すると「北米が陥落してしまう」という決定的な事態を招くのでインテル様(モバイルWiMAXの首謀者)が非常に困り、撤退するなと強烈に手を引っ張っている。

撤退を検討しているという話は最初から出ていますし、外野から「早く撤退を決断しろ」という声もずっとあります。また同じく北米のCDMA2000陣営だった「ベライゾン」は、次世代としてW-CDMA陣営の次世代技術のLTEを選択するという驚きの決断をしており、CDMA2000→LTEへの移行に相乗りすることも可能な状況になっています。

というところで、今度は別の話が出てきました。なんと、スプリントが買収されるという噂です。

独テレコム、米スプリントの買収検討
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080506AT2M0501H05052008.html

5日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、独通信大手のドイツテレコムが米携帯3位のスプリント・ネクステルの買収を検討していると報じた。 交渉は初期の段階としているが、ドイツテレコムは米携帯4位のTモバイルの親会社で、買収が実現すれば米市場でシェア首位に浮上する。

ドイツテレコムというのはドイツのNTTみたいなところです。そして、最大のポイントはアメリカの第四位の携帯電話会社の「Tモバイル(T-Mobile)」の親会社もドイツテレコムだということです。

つまり実質としては、Tモバイル(四位)にスプリント(三位)が買収されようとしているということになります。

TモバイルはCDMA2000本拠地のアメリカで昔からGSMに力を入れてきたところです、2008年には3.5世代(W-CDMA/HSDPA)もスタートする事になっていたはずです。つまり、普通に考えてLTE陣営。

つまりスプリントはLTE陣営の携帯電話会社に買収されるかもしれない、ということになったのかもしれないのです。これはもはや撤退するとか寝返るとかいうレベルの話ではなくなったのかもしれません。

さてインテル様はどうするのでしょう?

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656 ソフトバンクの4万6000基地局公約と、武士の情け

しばらく間があいてしまいました。

旬を逃してしまいましたが、しばらく前に話題だった件について書いてみたいと思います。


◆ぶっちゃける

以前から、ソフトバンクの自称基地局数は怪しいのだという話はありましたが、とうとう関係者がそれを認める発言をしてしまいました。

基地局4万6000局達成の裏に苦労あり!
孫社長を支えるソフトバンクモバイル宮川潤一CTO
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20080422/1009741/

宮川氏:「とりあえず、形だけ作らなくてはならない。10月にMNPがあるのはわかっており、MNPまでには何とかしたい。そこで、『なんちゃって基地局』で良いから早く作れと指示をした。 鉄塔をつくろうとするから時間もかかるし、手こずってしまう。そこで、コンクリートポールを建てまくった。電柱の用地交渉は簡単で、この場所だけをかしてくれといってOKがもらえればいい。こうすると、工事開始してから設置まで1カ月かからない。

これまでも、
・他キャリアでは基地局にカウントしていないものがカウントされている
・本格的基地局が少なく、簡易(非力)な基地局が多い
ということが言われていましたが、それを認める発言ですね。

ちなみに、他社が鉄塔を建てているのにはちゃんと理由があります。そうしないと電波が飛ばないからです。コン柱で済むのなら、他社も安上がりなコン柱で済ませているはずです。必要も無いのに鉄塔を建てているわけではありません。

なにしろマイクロセルなウィルコムですら、コン柱よりも高さを稼ぐ事の出来る「鋼管柱」の基地局を作る傾向があります。

ただし、すでに公然の事実に等しくなっていることでもありますから、特に驚きは無いというのも事実ではないかと思います。関係者が認めた、というのが新しい展開ですが。

そして、これもやはりというかですが、「そういうことは何も知らないで始めてしまいました」という発言もあります。

宮川氏:「やってみると難しい。こんなに無線が難しいとは思わなかった。こんなに難しいなら、モバイルをやりたいなんて言わなければよかった(笑)。

少しでも解っていれば、4万6000局の目標をぶち上げたりは出来なかったはずです。実際、多くの人が孫社長の目標発表がなされた時点で無理な目標だと思っていたような次第ですから。


◆経緯を振り返る

その前に、読者の方が全員この問題の経緯について詳しくないでしょうから、簡単に経緯を振り返ってみる事にします。

まず事の始まりは、ドコモがとんでもない基地局整備計画を打ち出した事でした。

ドコモの恐るべき2006年度の計画
・2006年度にはおよそ一兆円を使って怒涛の基地局整備を行う
・これでFOMAのエリアの不評を一掃したい
・基地局数は4万5000基地局まで増やす

この件については当時記事にした記憶があります。そして、このニュースの(当初の)最大のポイントは「信じられないほどの予算を使って、ドコモが全力でエリア整備する」という事実でした。

#そして2Ghz帯というのはとてもお金がかかる、ということでもありましょう

ここ数年でFOMAは随分と圏外になりにくくなりましたが、その第一歩がこの怒涛の設備投資でもありました。

ここで終わりならば、さすがドコモだな、ということで話は終わっていたはずですが、これに孫社長がとんでもない話をかぶせてしまいました。

孫社長のとんでもない公約
・2006年度末までに、ドコモの基地局数を上回る4万6000基地局を達成する
・数年後には10万を超える
しかも、2006年度頭での既存の基地局数がすでにドコモとは違いました。ドコモのほうが数が多かったのです。スソフトバンクのこの公約は「一年で基地局数を倍増する」という公約でした。さらには、ドコモは基礎的なエリア整備は済んでおり、穴を埋めている状態でした。ソフトバンクは、基礎的なエリア整備がまだの状態でした(こちらの方が作業的に大変)。その他、予算面でもドコモの資金力が圧倒している状態でした。その上、基地局を作る業者は「全力ドコモ」が全力で確保している状態でした。

そして結果は(案の定)こういう事になってしまいました。
・ソフトバンクは、結局2006年度末の基地局数で3万にすら届かなかった。
・ドコモは4万5000どころか、嫌味のごとく4万6000を達成した
・ドコモは引き続いて2007年度について5万7000の達成を公約し、結果として5万7000を軽く超える数の基地局を作ってしまった

ソフトバンクは数ヵ月後に「数ヶ月遅れたけれども4万6000を達成した」という発表を行いました。しかし、この時点での実質的な基地局数は三万を少し超えた程度でした。現時点(2008年5月)でも実質的な基地局数は3万5000程度であると思われます。

しかし何故4万6000であると言い張れたかというと、
・他キャリアでは基地局としてカウントしない設備をソフトバンクでは基地局としてカウントした
ということによります。

さらには、先の記事でも明らかになったように、ソフトバンクが急造した基地局はドコモに比べて質の低いものでした。無理に数を確保するために、本来必要な何かが犠牲になっている可能性があります。


◆武士の情け

私は、2006年度中、つまりソフトバンクの公約達成に向けての期間が進行中の段階では、「無理じゃないですか」ということを記事にしていました。ソフトバンクだけに既存キャリアではできないようなこともやってくれるとも思ったのですが、それを考えてもあまりに目標が彼方にあると思いました。

ただ、この件(46000未達成)に関しては同情の余地もあるなと思っていました。

まず、ボーダフォンを買収したばかりの孫社長が、「基地局を作らないといけない」ということを重要な目標とした点については評価出来るとも思えています。少なくとも、エリア整備の予算をケチって喜んでいたボーダフォンとはえらい違いです。

今となっては、孫社長がその後に4万6000を言い出してしまったので、ドコモの公約も有名になっていますが、その当時はドコモの4万5000の公約はあまり知られていない情報でしたから、そもそも孫社長がドコモの目標そのものを知らなくても不思議ではありませんでした。

しかし、すでに書いたように、結果としての目標は無茶苦茶でした。

「無理を通す」のがソフトバンク流だったのかもしれませんが、世の中には無理が通る場合とそうではない場合があります。また、無意味に派手な話にしてしまったというのも、いかにもソフトバンクです。

私は4万6000の話を聞いた時点で、気持ちや意気込みは解らなくもないけれども、これは決定的に間違っている目標設定であり、そしてその「間違い方」はどうしようもなくソフトバンク自体の欠点を如実に示しているなと思いました。そして、次に気にすべき事は

・孫社長はどの時点で間違いに気がつくか
・「達成できない公約」をどうやって処理するか

ということではないかと思って眺めていました。

そして順調に基地局建設は滞り、次に、最初の志(強固なインフラ)はどこへやらで「単なる数合わせ」の作業への堕落が始まりました、記事に書いてある「なんちゃって基地局」の建設の開始です。そして、その数合わせを駆使しても目標には全く届きませんでした。

最終的には、「他社では基地局ではないもの」を基地局のカウントに入れるという、これもソフトバンク的な手法で「達成できない公約」の問題は始末がつけられました。

最善策は、「最初からアホな公約をしないこと」でした。しかし、公約してしまった以上はそれを何とかしなければなりません。他キャリアならば間違いを認めて謝り、正しい目標に目標設定を変更することも可能だったはずですが、ソフトバンクの自転車の部分がそれを困難にします。

・間違いを認める:自転車的にピンチを招く
・数合わせを続ける:役に立たない基地局に予算が浪費されつづける

結果のところ、「4万6000達成宣言」というのは以下のようなものになったのではないでしょうか。

・実質的には撤退宣言:「解っている人」には間違いを認めた形となった、プラス材料
・真実が解らない人には、ウソの「プラス材料」を与えた。

正直なところ私の意見としては「これ以上無理な数合わせを続けて無為に予算を消費する」よりも「インチキ目標はインチキカウントで達成したことにしてうやむやにする」というのも仕方の無いところであり、諸般の事情を考えるとこれは「武士の情け」をかけるべきではないかとすら思った次第です。

ちなみに、ソフトバンクにはここ数年でエリア的も改善がありましたが、これは「ボーダフォン自体にもともと計画されていたが、遅らされ気味だったエリア整備計画」が同時進行したからではないかとも思われます。つまり、余計な無茶は何もしなくてもそれで十分だったのかもしれません。むろん、急造した基地局がすべて無駄になっているというような事までは言いませんが。


◆教訓

孫社長の目標実現を押し付けられて基地局建設で苦しんだこの人は、同時にネットワーク容量の厳しさについても苦しんでいるようです。まず、ソフトバンクが24時間定額をしていない件について、

今のネットワークでは難しいというのが正直なところ。営業部門も孫社長もユーザーのことを考えると「解放してくれ」というが、僕の目の黒いうちは『No!』だと思っている。

同じく、PC定額についても無理であるという発言をしています。

宮川氏:「まさに社内で僕一人が『やだー!』って言い続けてる張本人。そのクレームはみんな僕のところに来ている。営業部門もみんなやりたがっている。特に旧日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)がいるので、法人のアカウントマネージャーたちは『どうして、おまえのところはやらないんだ』と言われている。 データユーザーを一人満足してもらおうとすると、ホワイトプランを使っている通常ユーザーの何人分にも相当するトラフィックになる。計り知れない破壊力なんです。 音声定額という領域に踏み込んだので、『ひとつとったので、何かを諦めてくれ』と。そうじゃなかったら、ドコモと同じだけの資金が必要になるぞと。これは僕の経営ポリシーなんですけど。 既存のユーザーに迷惑をかけるようなPC向け通信データカードの定額化は喜んで踏み込みたくない。今、ユーザーがいないネットワークなら、実験でやってもいい。定額のサンプリングをしてみたが、うちの貧弱なネットワークで両方を獲りに行くのは難しい。 せっかく、ホワイトプランで会社の特色をつくれたので、このまま走っていくべきだと感じている。 音声定額制を明日から従量制に戻すというのなら、パソコン向け定額制にも踏み込めますが、両方を取りにいくよりも、マスの多い方を獲りに行くのがうちがやるべきかと思う」

私は孫社長がこの人の意見をしっかり聞いてあげていることを願うばかりです。

賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶといいますが、経験は最良の教師でもあります。少なくとも、経験した事からすら学べないのでは話になりません。

私の根拠の無い予想によると、24時間定額やPC定額どころか、「ホワイトプランの維持」すら困難なのではないかと思います。ホワイトプラン率は増えるばかりであり、しばらく前の記事から書いているように、第二世代の巻き取り(つまり第三世代への流入)もしなければならないからです。しかも、ソフトバンクにはお金が無いわけでありまして、怒涛の設備投資で解決を図るわけにも行きません。

さらに引用をすると、

4万6000局を達成した日からはユーザーのクレームの解析チームをつくった。クレームにもいろいろな種類がある。『そろそろ直してね』という優しいものもあれば、『どうしてくれるんだ』という解約予備軍、反対に暖かいクレームもある。それらを細かく分析して、ユーザーにフィードバックできる仕組み作りをしている。

これは別に特別な事ではなくて、普通の携帯電話会社が普通に行っている事そのままのはずです。最初から「この方式だけ」でやっておけばよかったですね。


◆今後の不安

ちなみに今は、急造した基地局網の「ネットワークの調整」を行っているそうです。普通は、きちんと計画してから基地局をつくるわけですが、勢いで作ってしまってからそれを何とかしようとなさっているようです。

「意外と大丈夫だった」のか、「撤去した方がまし」な基地局ばっかりになっているのかは解りませんが、「調整」をしているという事は、すっかり大丈夫だったという事では無いということでしょう。

ちょっと気になるのは「フェムトセル」です。ソフトバンクはフェムトセル急進派(どんどんバラ撒いて設置してしまえ)ですが、ドコモやAUやフェムトセルを無意味に設置させると電波的な崩壊を招くという心配をしており、慎重な意見を出しています。ソフトバンクの意見は上位二社とは違うというわけです。

きちんと検討してのフェムトセル急進派であるに違いないと思いたいのですが、4万6000騒動をみるにつけ、「実は何も考えていない」ということも考えられます。

破滅を招くフェムトセルの使い方を「画期的な使い方」であるというウソ情報をつかまされていて(誰かを専門家として送り込むとか)、自滅させられるなんてことも考えられなくもありません。

ホワイトプラン化の進行と第二世代巻取りで混雑でピンチになったところに切り札として投入したはずフェムトセルがソフトバンクを崩壊させる、なんてことが無い事を祈りたいと思います。

ふたを開けてみると、ばら撒きフェムトセルは非常に素晴らしい可能性もあると思いますし、問題があったとしてもたいしたことにはならないとは思うのですが。ただ、悪い方の可能性を考えると、安易なフェムトセルはちょっと心配だったりします。

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