653 北米WiMAX:モバイルWiMAX新会社+買収をそのまま合わさると意味不明になる件
ちょっとだけ書くつもりで書きます。
◆併せて考えてみる
ここ数日の間にスプリントに関係するニュースが二つありました。
・モバイルWiMAXの合弁会社の設立
・Tモバイルによる買収の噂
モバイルWiMAXの新会社の方についてはどうやら、これまでに何回もあった「噂だけ」ではなくて、本当に実現するようですね。しかし前回の記事で書いたように、スプリント自体がどこまで主役をやるのかわからん気はします。
スプリントが本腰を入れる気なのか、それとも本体から切り離して距離を取る第一歩なのかどうかはよく解りません。それ以外の会社についてはどうも利害が揃わないようにも見えますしね。
Tモバイルの方については噂に過ぎませんけれども、今度はこちらと併せて考えてみたいと思います。
まず、一番つまらない?パターンは、単に「食い合わせの話だった」というパターンです。たとえばスプリントの内部に
・一派:ここまで来ちゃったし、もうモバイルWiMAXで行くしかない
・一派:モバイルWiMAXなんてすぐ捨てよう
前者が合弁会社を作ろうとし、後者がTモバイルと話をしていた、とか。あるいは、この二つの選択肢を条件で競わせていたとか。
次に、「食い合わせではない場合」を考えてみます。つまり、これから別途Tモバイルとの話し合いも合意に達すると考えた場合。
その場合に問題になるのはスプリントのモバイルWiMAXへの態度と、TモバイルのモバイルWiMAXへの態度です。
その1
スプリント:WiMAXイラネ
Tモバイル:WiMAXイラネ
→イラネ
この場合には、合弁会社はモバイルWiMAXの処分地ということになります。そしてスプリントとTモバイルで合流をしてLTE陣営になるということになります。
先日の記事に書いたとおり、スプリントがモバイルWiMAXに執心しているならば、わざわざ他社を取り込んで話をややこしくした新会社を作ろうと思わない気もするので、このパターンはありえると思います。
その2
スプリント:WiMAX必要
Tモバイル:WiMAXイラネ
→?
これはちょっと話が成立しませんね、書いてみてから失敗だと思いました。こういう場合もありえるとは思いますが、とりあえず今回の記事的には話がそれてしまいます。
その3
スプリント:WiMAXイラネ
Tモバイル:WiMAX必要
→?
これも同じ。
その4
スプリント:WiMAX必要
Tモバイル:WiMAX必要
→必要
一部報道で言われているように、Tモバイルの目的は実はモバイルWiMAXだった場合、というものです。話題のWiMAXにTモバイルも群がっています、とか、LTE陣営に結束して対抗、とかいう記事もあったとか。
このパターンの場合、スプリントとTモバイルが抱える技術が訳の解らないことになります。まず両社が現在抱える技術について整理します。
スプリント(スプリント・ネクステル)
・CDMA2000
・EV-DO Rev.A
・iDEN
・モバイルWiMAX
CDMA2000はスプリント由来のものです。で、区別するのも微妙ではありますが、Rev.Aもサービスすることになっています。
iDENはネクステル由来のものです。現在のスプリントはスプリントがネクステルというところを買収した「スプリント・ネクステル」です。iDENはモトローラが開発した独自の第二世代技術のはずです(詳細は調べていません)。
ちなみにスプリントの経営状態がおもわしくなくなったのは、ネクステル買収の失敗によるものです。日本で(かなり)無理矢理にたとえると、W-CDMAのJ-PhoneがドコモPHSを買収したところまではよかったが、その後それが原因で調子を崩したような状態とでも言いましょうか。
そして現在、さらにモバイルWiMAXを開始しようとしています。
つまり、既に無駄にややこしくなっています。
Tモバイル
・GSM
・W-CDMA/HSDPA(HSPA)
・(LTE)
TモバイルはCDMA2000陣営の本拠地にありながら、GSMで全米展開しているキャリアです。つまり、基本的にW-CDMA陣営。
すでにW-CDMA/HSDPAが開始することも決まっています。そして自然の流れは当然にLTEということになりましょう。何の無駄もない構成です。
さて、二社の技術をそのまま張り合わせて見ましょう、
スプリント(スプリント・ネクステル)+Tモバイル
・CDMA2000
・iDEN
・GSM
・EV-DO Rev.A
・W-CDMA/HSDPA(HSPA)
・モバイルWiMAX
・(LTE)
なんというか意味がわからんとかいうレベルの話ではなくなりました。そしてここから調整が可能なのは、モバイルWiMAXとLTEの部分だけです。
非常にすっきりしたTモバイルとくらべると、整頓の極みから混乱の極みということになっています。
一番綺麗に整頓できる方法は、LTEで二社を束ねて収束させる方法です。そしてすでにベライゾンがLTEを採用しAT&TもLTE確実ですから、そうなると北米はLTEが基本になります。
・CDMA2000/EV-DO Rev.A/LTE(ベライゾンの真似)
・iDENは廃止、あるいはネクステルを再度外に出す。
・GSM/W-CDMA/HSDPA(HSPA)/LTE(世界標準)
・モバイルWiMAX(データ用)
LTEなしとなると、二社を束ねる方法は難しくなります。モバイルWiMAXに対応した端末は用意できるかもしれませんが、基地局がどうしようもない感じにも思えます。
・CDMA2000/EV-DO Rev.A+モバイルWiMAX
・iDENは廃止、あるいはネクステルを再度外に出す。
・GSM/W-CDMA/HSDPA(HSPA)+モバイルWiMAX
モバイルWiMAXを捨てないとしても、LTEを採用しないと考えるとどうするのか良くわからなくなります。
もちろん話として一番すっきりするのは、最初に書いたように、モバイルWiMAXを捨てるシナリオの場合だと思いますが(あるいはTモバイルとの話自体が実現しないか)。
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