650 フェムトセルより、無線LANかもしれない?
無線LANが流行る?かもしれないということについて少し
投稿出来ずに居たネタの山を崩しての投稿です。
◆引用記事のタイトルは要領を得ませんが
ドコモは以前から無線LAN対応のFOMAを出したりしていたのですが(900iLとか)、なにやら新しい事をするようです。
携帯がIP電話に早変わり ドコモ、融合サービス開始
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008051901000893.html
ドコモが新たに投入するFMC専用の新端末は第3世代携帯「FOMA」の夏商戦向けの上位機種。屋外では通常の携帯として機能する一方、自宅ではIP電話機の子機に早変わりし、屋内の無線LANアンテナを介して光ファイバーなど固定通信のブロードバンド(高速大容量)回線に自動接続する仕組み。携帯からIP電話に切り替わると(1)通話料が携帯でかけるより3割程度安くなる(2)ドコモの携帯向けインターネット接続サービス「iモード」で高速通信が可能になる-などのメリットがある。
記事は「流行語」をちりばめましたという体裁になっておりまして、IP電話やらFMCやらブロードバンドやらの単語が出てます。
つまりのところどういうことかというと、FOMAなんですけれども、自宅ではFOMAの電波の代わりに、自宅の無線LANの電波を使う事の出来るFOMAということです。W-CDMA/HSDPAと無線LANのDUAL対応機、ともいえます。
ドコモは無線LAN経由の料金を低減なさるようです。よって、こういう事になります。
利用者にとって
・無線LAN経由で利用すると安くすむ
・無線LAN経由の方が高速接続になる
安くする事で利用を促進するということのようですが、三割引はちょっとケチなんじゃないだろうかという気もします。孫社長なら無料攻撃に出ている気がします。あるいはもう少し値引きを増やして「半額」とした方がアピール効果は大きいはずです。実にもったいない。
ドコモにとってのメリットは簡単です、FOMAの帯域がその分空くわけです。
つまりこれは、事実上フェムトセルと似たような事をするということです。
そして、なんちゃって基地局を暴露した人も同じような事を言っています。
通話定額制導入の成功と次世代戦略
孫社長を支えるソフトバンクモバイル宮川潤一CTO
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20080422/1009778/?P=2
宮川氏:「トラフィック処理に関しては、フェムトセルよりもWiFiのほうが効果があるという気もする。WiFiは我々がADSLの時代に配って歩いた。トラフィックを抜くために何でもやっていきたい」
つまり、ソフトバンクでも「フェムトセルより無線LANの方が良くね?」という意見はあるということのようです。
◆面はカバーできないし、ハンドオーバーもうまく出来ないが、干渉問題が無い
フェムトセルについては、スポット的カバーしか考えないようなパターンと、とにかくバラ撒いてフェムトセルで一般的なエリア拡大まで担うという野心的な案?があります。
前者についてはホームアンテナと同じような話です。後者については、フェムトセルに熱狂する方面の意見がこれのような気がします。
これまでのフェムトセルの方針の議論では、上位二社(KDDIとドコモ)は慎重派で、下位二社(ソフトバンクとイーモバイル)は積極派でした。慎重派の意見はつまりのところ「基地局の電波と干渉しまくってえらいことになる可能性がある」「出力を絞ったフェムトセル基地局だったとしても、ユーザで容易に出力に細工が出来てしまう」というものでした。
第二世代携帯は干渉すると通信不能でしたが、第三世代携帯(CDMA)では、多少の干渉を許容するようになりました。しかし、これは「多少の」ということであって、干渉を許容する場合でも通信品質の低下が発生しました。もろに干渉した場合には、第三世代でも通信不能などの不味いことになります。
よって、フェムトセルについての懸念の一つとは、極めて計画的に設置されている携帯基地局とちがって、無秩序に設置され、出力に細工される可能性もあるフェムトセルが干渉を発生させる懸念でした。そして、フェムトセルでエリア拡大というような野心的な計画では、必然的に「干渉だらけ」や「やりたい放題」の状況が懸念されました。
一方で、「まさにこの場所(点)だけエリア化」の場合、電話機が対応していれば別に通信方式は何でも良いともいえます。無線LANでも別に良いわけです。
無線LANは面的カバー(町全体とか)などは期待できない通信方式ですが、しかしながら自分の部屋をカバーする程度ならば十分な能力があります。そして何より、携帯基地局の電波との干渉問題の可能性は全くありません。そして、無線LANの機器は十分に枯れていて安価です。
無線LANとW-CDMAの切り替えに難が生じますが、実のところフェムトセルでも同じような問題があります。フェムトセルが問題を解決できない限り(簡単ではありません)は、もしかしたら同じようなものかもしれません。
もしかしたら、ドコモはフェムトセルより無線LANが正解だと思っている可能性もあります。
ドコモは、技術部門が早期に「モバイルWiMAXなど話にもならないから無視でよい」という判断をしていたと予想されますが、モバイルWiMAXがブームの頃には、ドコモも取り組む所存であるという発言がありましたし、2.5Ghz帯騒動でも、一応ながら手を挙げる感じとなりました(その後、放置となりましたが)。
もしかするとドコモのかつてのモバイルWiMAXへの姿勢と同じく、フェムトセルは単に「保険」なのかもしれません。つまり、他社が手を出す以上はドコモも手を出しておく方が安全だろう、と。
ただ、ドコモの壮絶な設備投資の結果として、非常に小さな圏外すらも全て塞ごう的な状況になっており、従来の小型基地局での投資には微妙な小さな圏外を塞ぐための「フェムトセル」ならば、ドコモの所望するものかもしれません。しかしそうだとして、世間的な流行イメージとしてのフェムトセルとは異なるものではあります。
KDDIはそもそもフェムトセル反対派です。
また、無線LANでよいのならば、むしろフェムトセルよりも孫社長には有利な展開かもしれません。むしろ、ソフトバンクはフェムトセルを禁止させる方向で動いても悪くはないかもしれません。
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