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2008年4月の20件の記事

657 HSPA+はどの程度速度が出るのか?

とりあえず更新します。


◆HSPA+の話題が出てきていますね

半年くらい前までは無駄にモバイルWiMAXの話題だらけでしたが、最近ではLTE(Super3G)の話題が多くなってきました。そして併せて、HSPA+の話題も出るようになってきています。

念のために簡単におさらいしておきます(すでに理解なされている方は先へ読み飛ばしください)。詳しくはブログの過去の記事を参照ください。

LTEとはドコモを含むW-CDMA陣営が開発している次世代技術のことで、Super3Gとか3.9世代携帯とか言われます。よく勘違いされているようですが、名前的には第三世代の発展版のように見えるのですが、実質的には技術的に違うものになっており、「第四世代の先行版」というのが正しい理解です。つまり、

3.9世代の正しい理解
・×:3+0.9世代
・○:4-0.1世代

結構わかりやすい説明ではないかと自分で思いますので、上記の説明は今後しつこく用いてゆきたいと思います。

なお、(モバイル)WiMAXや次世代PHSもUMBなども技術的にはLTEの親戚です。

一方で、現行の第三世代(あるいは第三世代の発展版)をさらに発展させようとしている流れもあります。こちらは本当の意味で第三世代をさらに進化させた存在です。

・第三世代:W-CDMA、CDMA2000
・3.5世代:HSDPA(HSPA)、EV-DO
# Rev.AやRev.Bがどう区分されるかは微妙なので曖昧にして誤魔化しました。

で、現行のHSDPAをそのまま進化させたのが、今回の記事で書く「HSPA+」のことです。

LTEは次世代技術の本命であるという「空気」ではあるのですが、現行技術と繋がっていないために、サービスインにはいろんな種類の「最初から整備をやり直し」が生じます。コストと労力が大変にかかります。また、サービスイン実績があるわけではないので、サービスインしてみると面白いように駄目技術だったという可能性もありえます。

HSPA+は現行技術をさらに増築したものなので、増築が重なっての無理感はあるのですが、既存のものと基本は同じなので「やり直し」はあまり発生しません。また、大失敗するリスクもあまりありません。


◆42Mbpsの正体

W-CDMA陣営の重鎮のエリクソン様は最近HSPA+のデモを良く行っているようです。

エリクソンというのはスウェーデンの通信会社で日本でいうNTTみたいなところです。ここは携帯基地局で圧倒的な力を持っているところで、3.5世代の基地局ではだいたい半分のシェアを持っている、とエリクソン自身は言っておられます。

日本人自身が日本で封じ込めてしまっているNTTと違い、エリクソンは国を代表する企業として世界的に大きな存在感を持っています。NTTがやりたい放題では私自身にも困る事は起きそうではあるのですが、しかし、どうにも引っかかる感じもします。

エリクソンはLTEでも主役ですが、3.5世代の発展版も大いに売りたいようです。そして、HSPA+でも速度が出るんだぞ、というデモなどを最近なさっているようです。よく出てくるのが「42Mbps出るようになります」という数値です。

この42Mbpsですが、こういうことでの数値ではないかと思います。

・3.6Mbps×2×2×1.5×2=42Mbpsくらい

つまり

・3.6Mbps×2(7.2化)×2(14.4化)×1.5(64QAM化)×2(2x2MIMO)=42Mbpsくらい

式の掛け算のそれぞれの意味については、しばらく前の記事をご覧下さい(この記事自体をむやみに長くするわけには行きませんので、すみません)。

まずは現状の説明から。

まず「3.6Mbps」ですが、これは素のHSDPAの速度のことです。つまりドコモの(今現在において大半の)の「ハイスピードなFOMA」の速度のことです。今のところは日本での基本は「3.6Mbps」で展開されているような状況です。

そして現在、導入が進んでいるのは、次の「×2」の部分です。3.6Mbps×2で「7.2Mbps」となりまして、少し前までイーモバイルが「最速」と盛んにCMしていた数字になります。またドコモも機種限定ながら7.2Mbps対応を開始しています。スペック上は二倍になりますが、利用時の速度が2倍になるわけではありません。

それ以降についてはまだ導入されていません。つまり上記の式の大半は「まだ全然実現されていない」ということにはご注意ください。

そして、式について考えて見ましょう。

実際に出る速度:
(3.6Mbpsであなたが実際に出ると思っている速度)×2(二倍にはならない)×2(一応速くはなる)×1.5(多少は速くなる)×2(状況次第、実用的ではないかもしれない)

あるいは現に7.2Mbpsのサービスを利用していて、その速度で考えたい人は、
(7.2Mbpsであなたが実際に出ると思っている速度)×2(一応速くはなるが)×1.5(多少は速くなる)×2(状況次第、実用的ではないかもしれない)

7.2Mbpsを基準にして、最後の×1.5と×2が最大限働くという前提に勝手にして、そこからの誤差は14.4化の×2を計算外にすることで帳消しにする、と考えてみます(これでは多すぎるのではないかと思いますが)。そうすると7.2Mbpsでの速度の3倍ということになります。ただし、MIMOまでフルに使っての話。

MIMO無しならば理論的な速度向上自体が×2×1.5で3倍ですから、速度2倍も難しいのではないかと思います。

つまり7.2Mbpsのせいぜい数倍がいいところだろうということになります。場合や状況や場所によってはほとんど速度向上無し、ということもありそうです。


◆しかしマーケティング上は意義あり

結局のところ、実質的な速度向上は劇的な感じではなさそうです。そのために基地局に大きなお金を投入するメリットがあるかについては(実質的効果を考えた場合)には微妙だということになります。

少なくとも一般人が42Mbpsというスペックから受ける印象と、実際に出る速度にはかなりの落差が生じる事にはなるでしょう。

しかしスペック上は「42Mbps」と恐るべき数字になりますし、この数字ならば真正の3.9世代技術にも大きく見劣りしません。そしてなにより、現行の3.5世代網に混ぜて運用する事が出来るので、切り替えの大作業で悩む必要もなくなります。また、LTEについても確実に速度向上(電波の利用効率の向上)は図られるものの、こちらも「現行と同じ帯域幅で使う限り」は劇的な速度向上は起きません。

ユーザに「実際には42Mbpsには程遠い数字しか出ていない」ということを気がつかせない仕組みを用意できるのならば、HSPA+で当面は問題ないかもしれません。


◆LTEが「外れ技術」だった場合には

LTEがハズレの技術(サービスインしてみると駄目だった場合)や初期トラブルが酷かった場合には、HSPA+か単なる3.5世代で様子見するのが正解ということになります。

あまりにLTEが駄目だった場合には、HSPA+をさらに高速化する方法も考えられます。

帯域幅が5MHz幅×2の前提においてはHSPA+でおそらくもう限界に近いのはずですが、ならば「帯域をもっと使ってしまえば」速度を上げる事も出来なくはありません。例えば、5MHz幅×2×2などにする方法です。つまり、5MHz幅の帯域を二つ束ねて使ってしまう方法です(10MHz幅×2ではない)。

これならばHSPA+の「既存の方式と混ぜて使える」という利点そのままに、42Mbpsよりもさらに先に進む事も出来ます。まだまだ延長戦はできるということです。

よって可能性としては、数年度にはHSPA+の発展版が流行っている、ということも考えられます。おそらくドコモはどのような状況になろうとも驚くべき執念でLTEの改良を続けることになりましょう。そして年月がかかってもそれを成し遂げて、最終的に世界最強のLTE基地局網を日本に完成させる事になると思います。ドコモにはそういう力があります。

ただし、他キャリアはLTEをHSPA+で様子見できる可能性があるだけではなく、「HSPA+の先」すらあるという事には注意する必要があります。ドコモと一緒に炎上する義理はありませんし、ドコモと一緒にLTEをスタートしても同じように成功できるとは限りません。

ただし、LTEが初期から素晴らしい技術として出てきた場合には、HSPA+への投資は単なる無駄になります。ただし、既存の3.5世代と混ぜて使えるため、おそらくそれ以上のダメージは発生させない事でしょう。いずれにせよ、判断は難しいところでしょうが。

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658 次世代PHSで1Gbpsが出るかもしれない

更新する時間が取れないので、更新が疎かになっていてすみません。

以下、そのような事情によりネタに近い記事です。


◆ウィルコムの喜久川社長、「次世代PHSでも数百Mbpsを目指しています」

ウィルコムの喜久川社長へのインタビュー記事が出ています。

開拓者の矜持で荒れる市場に対峙 次世代PHSは業界最高速に
http://www.telecomi.biz/backnumber_tc/interview_tc_0805_1.htm

これも記事に出来ていないのですが、このインタビューでも次世代PHSの展開計画を前倒しする可能性について言及がなされています。不完全な状態で慌てて早期展開すると相当悲惨な事になるのは過去の歴史が証明済みなので止めて欲しいのですが(初期FOMAなど)、しかし状況的に言って早期の次世代以降は望まれるところでもあります。

前から書いているように、次世代PHSが予想を上回る大成功をした場合には、歴史が変わる可能性もあります。その場合、次世代PHSに携わった人たちの名前が歴史に残るようなことだって考えられます。一方で失敗をすればウィルコムは存在すら危うくなります。

ぜひとも、良い意味で予想を裏切ってほしいところです。

さて、次にこの記事で話題にしたいところを引用したいと思います。

次世代PHSは最大20Mbps以上と、HSDPAの7.2Mbpsよりも速くなります。これまでは、マイクロセル方式により実効速度が理論値より落ちないことを強調していましたが、カタログスペックでも他の規格を上回り最高速になります。  今後、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を採用することで、さらなるスピードアップに取り組むつもりです。  現行PHSは32kbpsから800kbpsまでになりました。次世代PHSでも論理的に数百Mbpsまで通信速度を上げることは可能です。次世代PHSの開発部隊には数百Mbpsを目標に開発するよう指示しています。商用化するには消費電力などの問題がありますが、そうした問題は必ず時が解決してくれるはずです

「数百Mbpsを目標」という発言は新しい発言ではないかなと思います。これについて少し書いてみたいと思います。


◆同じくインフレさせてみる

これまでLTEがどうやって速度を「稼いで」いるかということを記事にしてきました。そして既存の第三世代ですら、スペック上の速度を上げる方法があることも記事にしました。

さて、ここで次世代PHSにも同じ考察を行ってみて、果たしてどの程度の高速化が可能なのかを考えてみたいと思います。

現行の次世代PHSの速度については、「最大20Mbps以上」という表現がなされています。これは「スペックの値」としては控えめな表現のはずです。実際に次世代PHSがサービスインした時に実測値で20Mbpsも出ることは基本的に無いはずですが、この点は他の技術でも同じです。

そこで、インフレの基本となる値としては、まずは「20~30Mbps」という幅を持たせた数値を用いて考察をしたいと思います。30は多すぎる気もしますが、後で中和します。

次世代PHS
・10MHz幅(上下兼用)
・20(~30)Mbps
・MIMOなし

まず、次世代PHSでは20MHz幅での運用が既に規格で用意されています。帯域を倍にすると、速度は倍以上になるはずですが、30をここで中和した事にします。

・20MHz幅(上下兼用)
・40~60Mbps
・MIMOなし

次におなじみのMIMOブーストを行いたいと思います。他の技術が用いているのと同じく、4x4MIMOを用いて、速度を四倍にしたいと思います。

・20MHz幅(上下兼用)
・160~240Mbps
・4x4MIMO

どうでしょう?LTEなどと見劣りしない数値になりました。ウィルコムはそういうことには予算とリソースは使わないと思いますが、もしウィルコムがデモ専用の試作機を作ってLTEのような「スペック発表競争大会」に殴りこもうと考えた場合には、「200Mbpsが出るマイクロセル技術である」というような発表は可能だという事になります。

私は基本的に「堅実に開発を続けて、実効速度と実績他陣営を圧倒した方が良い」という考えですが、メディアに「200Mbpsが出る国産マイクロセル技術」という発表がされるところを想像すると、ちょっと鳥肌かもしれません。

また、3.9世代相当の技術(LTE/Super3G、WiMAX、802.20、次世代PHSなど)は結局理論面の速度は似たようなことになるということもこれで解ったと思います。技術によって一桁以上違うような印象を与える報道が多いですが。もちろん進歩の余地がなくなったということでは決して無くて、こういう発表での速度以外の面ではかなりいろいろな「差」があるのではないかとは思います。

さて、実はまだ速度を公平に比較するという理由で「高速化」をさせる余地がまだ一つ残っています。

・LTE 20MHz幅×2(下り:基地局→端末、上り:端末→基地局)
・次世代PHS 20MHz幅(下り上がり兼用)

つまり、「次世代PHSは電波資源を半分しか使っていない」のです。よって、LTEの大本営発表との比較を考えて公平を期すには、2倍にしても悪くは無いという事にもなります。やってみましょう。

20MHz幅 4x4MIMOを2倍してみた
・320~480Mbps

「20Mbps」を基本にした計算でもLTEとなんら変わらない状態になりましたし、上側の数値についても500メガに到達するかもしれない数値になっています。

なおこれは40Mhz幅運用をした時の数値にもなりうるものかもしれません。


◆次世代PHSで3.5GHz第四世代

広い帯域での運用で速度を出すといえば、第四世代携帯の話題がそれに当たります。

第四世代携帯のイメージとされるもの
・100Mhz幅程度での運用
・静止時1Gbps
・移動時100Mbps

「静止時1Gbps」ばかりが話題にされて夢のような未来が来るかのような事が良く言われますが、100MHz幅で、理論値で、なおかつそれを全員で分け合って使うわけですからそんなにとんでもない数値でもありません。

100Mhz幅もの帯域を実際に確保するのは非常に難しく、使い勝手の良い周波数での確保は難しいと思われます。世界的に第四世代向けの帯域として指定されている帯域では、3.5GHz帯はもしかしたら大丈夫かもしれません。なぜならば、3.5GHz帯は電波がどうしようもなく取り扱いにくく、進んで使おうとするところが少ないためです。

まず、先ほどの計算と同様にして、次世代PHSを100Mhz幅運用にしてみる事にします。

次世代PHS
・10MHz幅(上下兼用)
・20(~30)Mbps
・MIMOなし

10倍します、

第四世代化次世代PHS
・100MHz幅(上下兼用)
・200~300Mbps
・MIMOなし

次にMIMOで四倍にしましょう、

第四世代化次世代PHS
・100MHz幅(上下兼用)
・800~1200Mbps(0.8Gbps~1.2Gbps)
・4x4MIMO

次世代PHSを100MHz幅運用できるようにすれば、1Gbpsに到達できるかもしれないということになりました。

というわけで、あっさりと「第四世代携帯を名乗れるだけのスペックがある」ということになってしまいました。


◆「難儀な3.5GHz帯」はPHS向けかもしれない

3.5GHz帯はとても取り扱いが難しい帯域です。電波は光のような性質が強くなって物陰に回りこまなくなり、減衰が激しくなって建物の中にも入りにくくなります。天気が変わるだけで電波状態はかなり変わるのではないかとも思います。

ですから、普通の携帯電話キャリアはスルーすべき帯域ではないかと思います。よっぽどの覚悟かよっぽどの自信があるか、あるいは3.5GHz帯を誰でも問題なく使えるような「枯れた」技術が出現するまでは、単に地雷ではないかと思います。

まず、マクロセルは成立不可能だと思われます。一つの基地局で広範囲をカバーするという考え方は、ある程度の出力の電波で周囲を照らせば、広い範囲に電波が問題なく行き渡る事を前提にしているためです。

となると、
・基地局を沢山配置する
・補完にしか使わない

後者は、3.5GHz帯は基本的に圏外だらけであることはすっぱり諦め、圏外の部分では既存の通信網を用いる方式です。つながる時だけ使うと。しかし、3.5GHz帯はあまりにも繋がらない可能性があるので、そのような前提をもって考えても結局同じ課題にぶつかるとは思います。

「基地局を沢山配置する」ですが、それはつまりマイクロセル化するということです。

先にも書いたように、3.5GHz帯は電波の挙動が非常に難儀なので、事前に計算してマイクロセル基地局網を作る事は困難ではないかと思います。基地局のカバーする範囲は教科書的理想では円で示されますが、この場合には崩れた円どころか、円とは程遠い複雑怪奇な形になると考えられるためです。

また、雨が降るだけでセル形状がまったく代わってしまったり、道路に車が沢山走っているときと走っていないときで形が変わる、電車が通るときだけまったく変なところに電波が強く届くなどのとても難しい状況になるのではないかと思います。

そして、そういう状況を前提として作られているのがPHSですから、既存の技術では対処が難しいこれらの状況にあっても、次世代PHSは「別段普段どおりに問題なく動作しつづける」ということも考えられます。

もしかすると、PHSすら想定していないような過酷な状況が待っているかもしれませんが、それでも長年の実績がある既存の技術を改良することで対応できるという点においては他よりも有利なはずです。

うまく行くとしても基地局をかなり多数作らないといけなくなるでしょうから、既存のキャリアにとっては最初から手を出す理由の無い帯域には思えますが、第四世代化した次世代PHSというのはありえるかもしれないということで少し書いてみました。

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659 TD-SCDMAはどうやら苦戦中

2008年4月1日からサービスインしている、TD-SCDMAですが、どうやら(予想通り?)あまり上手く行っていないようです。


◆国策の第三世代

まず最初に簡単な説明を。

TD-SCDMAというのは、中国が国策で開発している第三世代携帯技術です。

そもそもは、CDMA2000やW-CDMAと同時期(少し遅れて)開発が開始されており、CDMA2000やW-CDMAに多少遅れてサービスインする事になっていたのですが、その後開発は延々と遅延してしまっており、2008年4月1日にようやく試験サービスを開始できた状態になっただけ、というのが現在の状態です。

2008年4月1日に「試験」サービスインしたのは、中国の威信をかけたオリンピックで国策の技術をお披露目したいという目標にギリギリ間に合わせるためだ思われます。もしかすると無理にサービスインしているかもしれません。

東アジアの国策技術というと他にはWiBroがありますが、こちらはサービスイン後の状況はかなり問題だらけで利用者数などは非常に厳しい状況のようですが、結局どんな有様になっているかについての記事はほとんどありませんでした。記事自体はあるのですが、日本を批判する流れで(具体例を出さずに)WiBroを話に出すようなものくらいでした。

TD-SCDMAについても、現地の実態の情報は同様に出てこないんじゃないかと思っていたのですが、幸いにしてそうではないようなので、現地の状況を伝えていると見られる記事で私が見つけたものについて引用してみることにします。


◆そもそも繋がらないらしい?

技術的な問題でどうしても穴が空いてしまうのか(例えばWiBroはこれが疑われます)、それとも基地局の整備がろくに出来ていないのでそうなっているのかはわかりませんが、エリア的にどうも厳しいようです。

TD-SCDMA:北京市の電波弱いと指摘
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0421&f=it_0421_003.shtml

TD-SCDMA連盟は17日、現在行われている商用化テストについて専門家を招いて意見交換会を行った。その結果、広東省広州市や深セン市に比べて、北京市の通信電波が特に弱いことが明らかになった。
通信専門家の李進良氏は、テスト開始以来、北京市、広州市、深セン市を訪れて電波状況を確認したが、北京市が一番悪かったと指摘。北京市内には現在約2000カ所の基地局があるが、更に700-1300カ所増設しなければ、北京オリンピック期間中の需要を満たせないとアドバイスした。

なんとも要領を得ない記事ですが、とりあえずエリア的問題があるようです。通信電波が弱いというのは、要するに圏外になりやすいと言いたいのでしょう。

北京市内で2000箇所というのが多いのか少ないのかは解りません(基地局配置密度について解る人はコメントください)、加えて700-1300という話が出ていますが、その数字は一体どこから出てきた数字なのかわかんない数字です。つまり、かなり増やさないと足りませんといいたいだけなのでしょう。どうにも中国の怪しい方のイメージそのままがしてしまう記事です。翻訳が悪いだけと思いたい。

また、最初は珍しさで利用者が来ていたらしいのですが、とうとうそれも来なくなったとか。

3G携帯電話:差別化足らず、スタートから苦戦
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0416&f=it_0416_002.shtml

中国移動(チャイナモバイル)が第3世代(3G)通信TD-SCDMAの商用テストを開始して、既に2週間が経過した。今は3Gを求めて訪れるユーザーの姿もまばらで、当初の勢いは既に失われている。
上海市人民路にあるTD-SCDMAの展示会場では、2時間のうちに5人しかユーザーが訪れず、対応携帯端末も全く売れていない。発売初日には長蛇の列ができていたが、現在の状況を前にして、責任者も具体的な契約数を明かそうとしない。

そもそも試験サービスなので、限られた数の端末しか提供されていないはずなのですが(またそもそも、中国の人口は多いわけで、日本基準で数を認識してはいけない)、どうもそれすら掃けていないようです。

実際に興味を持って体験サービスを利用したり、販売員から機能について説明を受ける人は多いものの、購入を決断する最後の決め手に欠けるようだ。あるユーザーは、「3Gのデータ通信機能に興味を持っているが、特色がない」とインタビューに答え、他のワイヤレス接続と大差がなく、なかなか購入に踏み切れないと明かす。

日本では新技術だというだけで買ってしまう人が割と沢山います、TD-SCDMAの試験サービスは既存サービスよりも料金的に優遇されているようですから、日本だったら試験サービス用の枠は物好きで結構消化されてしまっている気もします。

「通信方式?」「具体的に今までの電話と使ってどうちがうの?」「それなら買わないなあ」中国の人は現実主義のようですね。


中国でTD-SCDMAの商用テストサービスが開始
http://journal.mycom.co.jp/column/wmobiletopic/009/index.html

鳴り物入りで登場したTD-SCDMAサービスだが、開始前から指摘されていた通りに問題が多発しているようである。ネットワーク、端末共に品質が安定していないようであり、中国内の報道によると通話中の突然の切断、電話がかからない、ネットワークを拾わないといった問題が各都市で発生しているとのことである。また端末も、電源投入後30分で突然使えなくなる、ハングアップする、といったトラブルが発生する機種もあるとのことであり、利用者からの反応は思わしくないものばかりだ。

どうやら初期FOMAどころではないようです。

端末が不安定な点については「次からはちゃんと作れ」で本サービス開始までにも対応することも可能でしょうし、電波の点についても単にエリア整備が不十分であるというだけならば、基地局をもっと整備する(あるいは正しく整備しなおす)ことで割と早期に解決は可能でしょう。しかし、技術そのものの問題による不安定であるならば、年単位で現在の状態が続くのではないかと思われます。

TD-SCDMAの成功を願う人、あるいはW-CDMA/LTE以外の技術が増える事を願う人は、根が深い問題ではない事を願いましょう。個人的には、根拠が無いながらも当面は回復しない問題に思えていますが。

どうやら慌てて基地局を大量に整備してサービスインしているようなので、もしかすると慌ててエリア整備しすぎた可能性はなくはありません。

TD-SCDMA:稼動基地数は1万4119カ所に
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0407&f=it_0407_001.shtml

中国移動(チャイナモバイル)は2日、北京市で開かれた「2008中国モバイル通信産業フォーラム」において、現在開通している全国のTD-SCDMA基地数が1万4119カ所であることを明らかにした。
中国移動がわずか300日余りで完成させたTD-SCDMAネットワークの総規模は、10年がかりで立ち上げたGSMネットワークの規模を超えたという。

最後の引用については、「いかにも中国人らしい」と思える誇張表現ですね。向こうの人はこんな事ばっかり言いますな。特に悪気は無いらしいのでそういう文化だからと理解するべきようですが。

とりあえずオリンピックまでには何らかの結果は出てしまっているはずです。さて、ここから安定した状態にできるのでしょうか?

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690 北米700Mhz帯:Googleに非難の声上がる/失敗したDブロックで揉める

続きの記事です。

日本より一足先に行われたアメリカの「700MHz帯」の取り合いの結果を巡って、言い合いが発生しています。


◆簡単に再度説明

以前の記事に書いたとおりではあるのですが(過去の記事を参照していただくと幸い)、一応簡単に再度整理しておきたいと思います。

アメリカの700Mhz帯オークション終了、ただし結果はまだ秘密
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/03/707_700mhz_26ac.html
WiMAXの風吹かず:北米の700Mhzの過半はLTE陣営が獲得
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/03/706_wimax700mhz_1356.html
やっぱりLTE:北米の700Mhz帯の使い道が発表される
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/703_lte700mhz_efbc.html

700MHz帯というのは、地上波アナログTVの停波にともなって空くことになっている帯域です。日本でもアメリカでももうすぐ空くことになっています。

そして、700Mhz帯は携帯電話用として非常に優れた性質をもっており、そんな一等地にまとまった空きができることなど滅多に無い事なので、非常に注目をされています。

日本では、割り当て自体をどうするかで(そもそも何に使うかというレベルで。携帯電話以外にも使いたいといっているところがあるため)現在揉めているところです。個人的には、一等地を下らない用途に使うのは止めて欲しいと思うので、他の帯域でも十分な用途(車と車の通信とか、単なる無線とか)は全て他所の帯域に移動させて欲しいと思う次第です。

アメリカでは、オークション方式での取り合いが既に終了したところです。結果をごく簡単に説明をすると、ベライゾンという携帯電話会社とAT&Tという携帯電話会社が大半を落札しまして、つまりのところ「LTE陣営」が帯域をほとんど占拠してしまいました。

その後、結果について言い合いがちょっと発生してしまっているようでして、それについての記事です。


◆Dブロックはどうするんだ?

オークションは終わったわけですが、実は「売れ残り」が発生してしまっています。Dブロックという特殊な条件をつけたブロックが落札最低価格に到達しなかったのです。

[WSJ] 700MHz帯競売の売れ残り分をどうするか――米下院公聴会で議論
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/17/news059.html

Dブロックというのはどういうものかというと、全米をカバーするペアになった(つまり普通の携帯に使える)帯域なのですが、緊急時には公共の無線のためにインフラを開放するという変わった条件がついていました。

これを思いついた人は、民間も使えるし、民間が整備したインフラで政府は労せずに公共の無線網が使えるようになるというナイスアイディアですよ、と胸を張っていたらしいですが、結果としては大恥ということになりました。

で、向こうの国会でこのアイディアを思いついた人が「めちゃめちゃ失敗しとるやないか!」とまず怒られています。そりゃ自慢のアイディアだったのに結果がこれでは突っ込まれます。

そしてこんな計画が出た背景には、どうやらアメリカの公共無線が機能していないという事情があるようです(あるいはそういう口実で計画が進んでいる)。911やカトリーナの時に無線を使って各機関が連携しての緊急対応を取る事ができなかったので、今後はそういうときに大活躍する無線網を作りたい(繰り返しますが「そういう口実で」ということかもしれません)、でも政府にはお金がぜんぜん無いのでどうしよう、という時にDブロックのアイディアが出されたようです。

しかし結果は大失敗。

そしてそもそもこの計画は話の根底から腐っているので駄目だといっている人たちも居ます。

それらの機関には大昔から十分な帯域が与えられているじゃないか、でもこれまでちゃんと使えるように整備してこなかっただけではないかと。まあ、何処の政府も無駄使いだらけってことでしょうか。たぶん向こうもミュージカル作ったり、マッサージチェアを買ったりしているんでしょう。

結局足りないのはきちんとしようとする気持ちと、そして目先の予算(予算が厳しい事は共通認識)だけだということなら、Dブロックを普通の帯域としてオークションにかけて、その売り上げで既に持っている帯域を使って無線網整備をしたら良いじゃないかという意見もあります。

民間のふんどしでインフラ整備をしようというような腐った考えはやめて、政府の金でちゃんとやるべきだったという話もあるようです。

この話のポイントは何かというと、「どうするかまだ揉めている」というところです。ということは、Dブロックがきちんと決まるのはもうしばらく先になるということです。繰り返しますが、Dブロックは700MHz帯という一等地の一部です。

そして、性懲りも無いというか「折角オークションにしたのに、既存事業者が大半を落札して失望した」という意見も出ているようです。携帯事業はそんなお手軽なものじゃないと言いたいですし、オークションだからこそ既存事業者が大半を取った気がしてなりませんが。「正しい」オークションならば「正しい」結果(その人にとって)が出るはずだと信じていたのに、というのはちょっとまずい思考回路に思えます。


◆Googleが非難される

さて、前からこのブログでもちょっと書いていたことについて、非難する人が出てきました。

「グーグルは700MHz周波数帯域の入札を都合よく利用した」--米下院議員が批判
http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000056021,20371619,00.htm?ref=rss

経緯はこういう感じでした。

・Googleは700MHz帯の割り当てが始まったころから、ロビー活動を強力に開始し、割り当て方針に散々干渉した。
・700MHz帯のCブロックには、日本でいう「MVNO義務」のような条件(オープンアクセスの義務)がつけられていますが、これはGoogleが強く主張したためにこういう条件がついた
・この条件は、落札価格が一定価格以上になった場合に自動で発動する事になっていた
・Googleが700MHz帯でかなり騒いでいたので、向こうのネット小僧は700MHz帯のCブロックは当然にGoogleが落札するもんだと思い込んでいたらしい(そして、落札後はWiMAXで夢のネットワークを作るのだと思っていたらしい)
・ところがふたを開けてみると、余裕でベライゾンが落札していた。ぐっとガッツポーズをしただけで全米のほとんどのCブロック(一部重要ではない地域は無視)はベライゾンのものになっていた。
・Googleは落札価格が必ず「一定価格以上」になるための落札だけを行い、あとは何もしなかった。ベライゾンとの熾烈な争いなんて何も無かった。

Googleはオープンアクセスのルールが発動するギリギリの価格での入札を行います。ベライゾンは本当に帯域が欲しかったので、それよりちょっと高い金額で再入札してGoogleの反撃に備えます。しかし・・・そのあとGoogleは動きませんでした。

落札直後に私はブログで書いたわけです、「自分で帯域を獲得するつもりでいたのなら、何故にMVNO条件のようなめんどくさい条件を自分でつけますか」と。あそこは正義なところだからみんなのことを考えて提案したんだ、と思っていた人も居たようですが、私はそういう考え方は甘いと思うわけです。

また、モバイルWiMAXがはじまるんだと思っていた人も当てが外れました。というか、最初から自分で獲得する気がないのなら、あるいは途中で降りた時点で、ベライゾンから回線を借りることがGoogleの前提となっていました。そして、ベライゾンが帯域を獲得した場合LTEに使う事は周知の事実でした。GoogleもLTE前提だったわけです。

「Googleはこのシステムを巧みに利用することに成功した」と述べたUpton氏は、この要件はFCCによる「ソーシャルエンジニアリング」的な企てであり、これによってFCCはさらに数十億ドルの歳入を得る機会を失ったと指摘した。

FCCというのは電波の割り当てなどを行うアメリカの役所みたいなところだと思ってください。

「さらに数十億ドルの歳入を得る機会を失った」というのは、Googleが変な条件をつけさせたので入札を嫌がる企業がでたと考えられるためです。そんな変な条件がついた帯域なら落札しないよ、というところがあったに違いないという意見です。たしかに、Googleが飲ませた条件は落札者にとっては面倒な条件です。

Cliff Stearns氏(共和党:フロリダ州選出)とJohn Shimkus氏(共和党:イリノイ州選出)の両下院議員もこのUpton氏の意見を支持し、FCCがGoogleに「一杯食わされた」のではないかとの疑問を提起した。

この件について責められるべき立場の人(一杯食わされた責任者)はこう言い訳しています。

FCC議長のKevin Martin氏は、この要件の目的は入札を妨げることではなく、ネットワークに関する消費者の選択肢を確実に増やすことだったと語った。

まあ、そういう風に説明するしかないでしょう。

そして問題の源の反論も、またどこかで見たような意見です。

Googleは、700MHz周波数帯を獲得する意思はあったとしながらも、オープンアクセスルールが確実に導入されるようにすることが入札に参加した主な目的だったことを認めている。
「このオークションで大きな勝利を収めたのは、どの企業でもなく、消費者だ」とGoogleの広報担当、Adam Kovacevich氏は声明で述べている。「このオークションによって、米国の国庫に記録的な金額が振り込まれただけでなく、Googleの入札による直接的な成果として、無線サービスを利用する消費者には歴史的な新しい権利が与えられた。どのような点から見ても、これは消費者にとって大きな成功であり、その実現を促す役割を果たしたことをわれわれは誇りに思っている」とKovacevich氏は記した。

「消費者の勝利」だそうです。

◆鵜飼の鵜

私は過去の記事でこれと似た状況が日本で発生しうる事を懸念する記事を書いていました。

以下は日本の少し前の話です。2.5GHz帯の獲得戦終了「後」になぜかMVNOの条件をどのように変えるか、というような面倒な事があったために、落選陣営から言いたい放題の条件が出るという事件がありました。

「MVNO条件」で2.5Ghz場外乱闘が再発 / 「事後の正義」は頂けない
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/760_mvno25ghz_9bf8.html

上記の話自体については、結局先日になって、総務省が落選陣営の言いたい放題の条件を実質的に全て却下するという対応をしたため、なにも起こらずということになったようです。

上記の記事にはこう書きました。

・「国民にも財産の一部が落ちる」(自分の懐にも財産は落ちる)ことをもって、正義であると言い張るのはどうだろうか
・他人に帯域を獲得させて、それに破格の条件で貸し出しをさせれば、自分で帯域を取るよりよっぽど良い。自分で冷たい水の中にもぐらずに、鵜に魚を取らせて、取った魚は自分が横取りするのが一番楽。
・そんな事ばかり横行すると商売が全体的におかしくなってしまいます。

これもそんな感じかもしれません。

--

一応書いておきますと、私は今回の件は「Googleは上手くやった」と思っています。結果としては、そんなもんだろうと思います。ただし、こういう不満も出て当然です。

Googleがもし自前で帯域を獲得していた場合には「携帯電話事業はそんなに甘くないぞ」とか「これで事業全体が傾く可能性もでてきたかもしれませんよ」と言うようなことを書くつもりでした。そしてやっぱり、自前で帯域を獲得するような不必要にリスキーな事をしませんでした。Googleの本業が何かを考えると、大変なリスクを負って本業ではない携帯事業に自ら手を出すのは変ですから。

ただし、それならば「帯域を獲得するつもりである」ではなく、「帯域を開放して欲しい」と言っているだけならばこういうことにはならなかったはずです。そういう主張では帯域が借りることができる状態になるのか解らない状況だったので、実は仕方が無かった、というようなことがあるような気もするのですが。

ただ、本気で「期待」していた人にはかなりガッカリしている人も多いのではないかと思ったりもします。

--

ちなみに欧州ではMVNO義務化は消滅の方向だそうです。世界はいろいろです。

MVNO義務化は消滅,欧州委員会が既存事業者への規制緩和へ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080208/293313/

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691 エリクソンがLTE(Super3G)を日本でデモ、その実力のほどは?

エリクソンがLTE(Super3G/3.9G/3.9世代)のデモを日本で行ったそうで、それについての記事です。


◆以前のデモの記事

エリクソンが日本でLTEのデモを行ったそうなので、それに関しての記事を書きたいと思います。

エリクソンは以前に同じようなデモを携帯電話関係の国際会議で行っています。それについては既に記事にしています。

エリクソンが世界最小のLTE端末をデモ、対モバイルWiMAXで自信を見せる
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/02/727_ltewimax_68b0.html

上記の記事で、エリクソンが割と小さい試作端末でLTEのデモをしましたという記事でした。

「割と小さい」というのは、普通は開発中の技術では馬鹿でかい通信機で試験をしている事がほとんどなので、エリクソンのデモ機が小さいのは間違いないのですが、しかし利用者の我々の感覚からすると「でかっ!」というサイズであるためです。

ドコモのLTEデモの「デモ端末のサイズ」とは「トラック一台自体」でした。ある意味において、エリクソンがデモに使っているものよりも「モバイル」な端末である事は間違いなさそうですが。

ちなみに上記の記事は、2.5GHz帯獲得戦の流れで、世間の注目が無駄にモバイルWiMAXに集まっているけれども、LTE(Super3G)の方が注目すべきですというようなことで書いた記事でした。当時、というほど前ではありませんが、LTEはほとんど話題になっていなかった次第でして。

その時のデモについては、いろいろな条件が記事には載っていないながらも、下り9メガが出たとあります。


◆同じデモ端末が日本でデモされた

上記の記事と同じ試作ハードと思われるものでのデモが日本で行われました。

Ericsson、LTE端末によるデモを国内初公開
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0804/18/news134.html

このブログでLTE関係の記事をずっと読まれている方にはおなじみだと思いますが、またもや無駄な「速度発表競争」が行われていて、100メガとか300メガというような無駄に派手な数字が発表では飛び交っています。これらの数字についてはいつもと同じく「また言ってるぞ」という程度に受け取っておきましょう。

そして、デモ自体なのですが、実際に電波を出す許可が出なかったという理由で「有線接続を使ったデモ」が行われています。

有線接続で:
試作基地局-シミュレータ-試作端末

デモがこの形式を取られるのは「現実にはありえない理想的な状態」を生じさせるためではないかと思われることが過去の各種デモでは良くありました。このデモもそれが疑われます(つまり、実利用で出る速度の差が激しい可能性がある)

そもそも、会場内で無線接続デモをしたとしても、会場内基地局から会場内の試験端末の間の電波状態は実環境よりも相当に良い状態なわけで、基本的にデモでは無駄に速度が出るものなのですが。

試作端末は
・MIMOなし
・20MHz幅×2(基地局→端末:20MHz幅、端末→基地局:20MHz幅)
・試作端末で出せる最高速度は25Mbps(改良で50Mbpsまで対応できるとの説明)

以上の状態で(シミュレータ経由での有線接続で)20Mbpsが出たとあります。もしかすると前回のデモでは同じ状況での無線接続で9Mbpsだったのかもしれません。

「改良で50Mbps」というのは高度な変調方式に対応できるようにするなどの改良だと思われます。よって、50Mbpsに対応させたとしても同じ状況で出る速度は2倍になるわけではありません、もちろん高速化はしますが。

例のごとくの算数考察をしますと、日本でLTEが既存帯域の転換利用で開始される場合には、最初は5MHzは場だと思われますので(またその方がW-CDMA/HSDPAとの直接比較もしやすい)、

・20MHz幅×2→5MHz幅×2
・20Mbps→5Mbps
・MIMOはなし

帯域を四分割したら通常は速度は四分の一よりももっと下がる事と、デモが実際の環境よりも良い状態で行われている疑いについては考慮する必要があります。しかしこのデモ端末は変調などにフル対応していないということで、部分的に帳消しということで一度考えてみます。

W-CDMA/HSDPAも5MHz幅×2ですが、実測で5Mbpsが出ることは基本的に無いはずです。ですが、同じ帯域幅でのMIMOなしLTEでは5Mbpsは実測で出る領域(計測上発生する値)である可能性があるということになります。

結構改善されるなと思う人も居ると思いますが(イーモバイルな方など)、光ファイバ並みの速度という誇張を信じている人にとっては、たったそれだけなの?という感じだと思います。

なお、モバイルWiMAXや次世代PHSも同じような帯域利用効率であることも書き添えておきたいと思います(毎度の事ながら)。


◆ドコモのデモとの差

案の定というか、ドコモが250Mbps出しましたという発表との「速度差」について会場から質問があったようです。そりゃそうでしょうね、プレゼンでも三桁の数字が飛び交っているのに、デモ機で出たのは20Mbpsだということになればそういうことになるのかもしれません。

ドコモのデモの方については既に記事にしています。

「LTEが250Mbpsを出しました」は実はそれほど凄くない
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/701_lte250mbps_f4e9.html

つまりのところ4x4MIMOとかドコモの技術+車のサイズ(そんなサイズの携帯は無い!)で理想的な状態に近づけたデモだからそんな意味のわからん数字が出ただけということになります。

NTTドコモが実施したスーパー3Gのデモでは100~240Mbpsという通信速度だったため、その差が気になる。日本エリクソン CTO(Chief Technical Officer)の藤岡雅宣氏は「アンテナを束ねることで容易に高速化できるので、100~200Mbpsにも対応できる」と説明した

「アンテナを束ねること」というのは「MIMOを使ってないから」ということです。ただし、4x4MIMOをフルに使えたとしても4倍が限度だと思うんですけどね。だとすれば20の4倍で80Mbpsなのでして、実は回答になっていなかったりします。

と言いましょうか「その差が気になる」というように思った記者は単に、LTEの大本営発表にすっかりだまされているというだけのことかもしれません。

#各方面の記者の方「光ファイバ並み」という比喩の記事を書くのはもうやめましょう


◆第三世代での圧倒的シェア/UMBは一目置く

LTE以外の部分について書いて見ましょう。

エリクソンは他陣営についてコメントをしています。エリクソンはご存知の通り、GSM本部とでも言えるところで、W-CDMAやLTEの本拠地の一つです、クアルコムとは長年ライバル関係にあり、モバイルWiMAXには手厳しい評価をしています(このあたりは過去の記事に書きました)。

現在主に三陣営あるということになりますが、エリクソンはGSM/W-CDMA/LTE陣営のものしか生産していません。

モバイルWiMAXについては例のごとく厳しい評価を行っています。以前からモバイルWiMAXはこき下ろしていますから当然のコメントかもしれません。

クアルコムのUMBについては、

「どちらも、技術的に大きく異なる規格ではないが、環境がまったく違う。LTEは、NTTドコモやチャイナモバイル、北米とヨーロッパの主な事業者が採用した。LTEは巨大な市場に成長するだろうが、一方のUMBに関心を寄せる事業者をわたしは知らない」

と技術的には認める存在であるが、世界的流れは圧倒的にLTEであるから我が陣営有利、というコメントをしています。ベライゾンがUMBからLTEに寝返ったのが非常に効いている事もあたらめてわかります。

クアルコムもモバイルWiMAXについてはボロカスに言いますが(手厳しい評価というレベルではもはや無い)、LTEについては厳しい事は言いません。そもそもクアルコム自体がLTE陣営と関係を持っている状況です。

三つの陣営の互いの関係が良くわかる発表でもあります。

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692 ドコモの新ロゴは不吉な色でスイーツ/しかし「それ以外」は侮れないかも説

ドコモの新しいロゴが発表されているようでして、その件について少し。

まず、これについてのニュース記事の一つです。どういう新しいロゴであるかについてご存知無い方はニュースでご覧下さい。

ドコモ、7月から新しいロゴ 設立以来初の「衣替え」
http://www.asahi.com/business/update/0418/TKY200804180313.html


◆不吉な色

これまでのドコモのロゴには二つのイメージがあります。

まずは「NTT渦巻き」がロゴの一部になっている黒色のロゴのもので、現在のNTTドコモのトップページにもお顔を見せているロゴです。もう一つは、「青」のイメージです。ソフトバンクがドコモのコピープランを「ブループラン」と呼んでいるように、ドコモの色といえば「青」でした。

今度の新しいロゴは「赤」です。くすんだ方面の赤です。また、ポップな感じのフォントになりました。

私には赤は不吉な色としてのイメージがあります。以下、過去に使われて消えた「不幸な赤」のものです。

・ボーダフォン(現ソフトバンクモバイル)
・暗黒時代のAU
・立ち直る前のDDI POCKET(現ウィルコム)

現時点で携帯電話で「赤」といえば、ボーダフォンを思い浮かべる人が多いのではないかと思います。この連想からのイメージはあまり良いイメージは無い筈です。ソフトバンクモバイルでは、赤のイメージが排除されています。

AUは今では明るい色のオレンジのイメージですが、初期には赤でもありました。今では赤のイメージはありません。

DDI POCKET(現ウィルコム)の大失敗に終わった音声通話による反攻計画のイメージも赤です。その後、データ通信にシフトする段階でイメージカラーは青となります。

またそもそもイーモバイルが思いっきり赤色でかぶります。ただしこちらは、ドコモでは使えないような思いっきり攻撃的な赤です。ドコモにはイーモバイルのような赤の使い方は出来ません。

今のドコモのロゴは真面目な感じのフォントに、三色でNTT渦巻きがあしらってあるものです。また、青のイメージは真面目で清潔なイメージです。

新しいロゴのフォントは、前よりは真面目な感じではなくなりました。そして、赤も青よりは真面目な色ではありません。

これからのドコモは、既存ユーザを重視した真面目で堅実なイメージにするとおっしゃっているようなのですが、新しいロゴのイメージはそういうイメージではなく、むしろ真面目で堅実なイメージはふやけてしまっているような気がします。

ロゴは親しみやすくした、ということだそうですが。安っぽくしたら親しみやすくなるのは当然というツッコミをしている人も既に見かけました。本当にこれでよいのでしょうか?


◆スイーツ作文

新ドコモ宣言なるものがあるそうでして、
http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/080418_00.html

・ブランドを磨きなおし、お客様との絆を深めます。
・お客様の声をしっかり受け止め、その期待を上回る会社に変わります。
・イノベーションを起こし続け、世界から高い評価を得られる企業を目指します。
・活き活きとした人材で溢れ、同じ夢に向かってチャレンジし続ける集団となります。

これも何か不味いなと思いました。

まず、「ブランドを磨きなおし」というところ、ドコモ2.0の「反撃」と同様のミスをしています。あれだけ自爆していると言われたのに、今回に生かせていません。

不祥事を起こしてしまって、そこから再出発する企業ならばこういうフレーズでしかるべきですが、ドコモはそうではありません。ここ数年の流れなどどうでも良いほどの圧倒的な業界の巨人です、改めるべきは世間の認識の方です。それなのに自分で狼狽して自分の評価を自分で毀損しています。

どうしようもないと思ったのは最後のものです。これは、顧客に向かって言うような言葉ではありません。顧客からすると知ったことの無いことです。

世の中には、自分の頭の中で発生しているだけの事と、外界で発生していることの区別ができない人が居ます。例えば、私の頭の中にこんなに『ポジティブ』な感情が発生した/させる、ということを、外界や自分以外の人間にも良い事が起こったということ区別ができていない人などです。

最後のものはそういう感じです。そしてそれを踏まえて残りの部分をも読むと、同じ傾向をもっています。

ドコモは企業でして、個人が自分の内面で発生した感情を個人的表現で書いているブログではありません。表明すべきことは、「我々は、顧客側の基準で、何をどのように提供するように変化するのか」ということです。

以下不必要に解りやすくした例ですが、

はっきりしているコミットメント:
・2012年までに人口カバー率94%
・他社とそっくり同じプランを200円引きで用意し、24時間以内に必ず対応値下げを行います
・産地を偽ることは今後一切行いません、そのために産地の確認は以下のように厳密に行うことを義務つけます。

はっきりしていないコミットメント:
・来年はもっとポジティブな自分を実現します。
・チャレンジする自分に生まれ変わります。
・お客様を思う気持ちをもっと大事に思いたいと思います。

要するに何かといいますと、日本的な甘えに満ちているんじゃないかということです。

ロゴの件といい何か、脳内と現実の区別が怪しげな状態の「内気なスイーツさん」がドコモの新しい企業イメージを作ってしまって、それがそのまま承認された、ような感じがしなくもありません。

フレーズについてはこれまで書いたとおりですし、ロゴの件についても内気なフェミニンな感じで設計されたものだと考えると納得が行くかもしれません。宣言以外の部分も以下のような状態です。

まあ、これはこれで悪くはない気もするのではありますが・・

■新ブランドステートメント

これからのドコモが目指すこと。
それは、人と人、人と明日を、新しい絆でつないでいくこと。

そのためにまず、
一人ひとりのあなたと、きちんと向き合い、関わり合うことからはじめます。

昨日までできなかったことを、次々とかなえながら、
それぞれが今、いちばん必要としていることに、真っ先に応えること。
そして、あなたが生きていく今日を、明日を、
もっと気持ちよく、もっとあなたらしくしていくこと。

ドコモは、一人ひとりの手の中で、
その毎日を一緒に歩いていこうと思います。
そして、あなたを自由な明日へと導く、新しい扉になろうと思います。

いつでも、どこでも、あなたと明日をつなぐために。
その手のひらから、限りない可能性を広げるために。

■新ブランドスローガン

手のひらに、明日をのせて。

ドコモユーザには「これを作った奴は今すぐ表に出ろ」と思った人も居たのではないかと思います。

どうにもスイーツ作文風です。


◆新しいドコモの現実的だと思われる点

イメージ方面はともかく、他の方針としては納得できるところもあります。

新規ユーザの獲得重視から、既存ユーザ重視(つまり解約抑止中心)にするという発言です。

つまりのところドコモにとってはまずは防御が肝要だろうということでもあります。そして、防御が上手くいっている限り、ドコモにはものすごく都合のよいユーザを大量に抱えたままで居られます。ほとんどコストがかからず、支払いがよく、解約しないユーザです。

またそもそも、市場が飽和して居る状況でもありますから、ドコモは母数が多い以上解約には弱い構造になっています。

ならば、解約させない事ばかり考えるというのは悪い作戦ではないかもしれません。

「解約妨害割」が今後大活躍の予感でもあります。

なお、ずっと使っているユーザにやさしくします、というような情緒的表現や議論がこれから横行すると思いますが、本質は単に以下のようなもののはずです。

・顧客の新規獲得に使う予算の金額は?
  ・どんなターゲット層にどこのよう分配しますか?
・既存の顧客の解約抑止に使う予算は?
  ・どんなターゲット層にどこのよう分配しますか?

夏野さんは派手なパフォーマンスで新規獲得を行いつつ、副作用で既存の顧客の引きとめも狙いました。しかし、これへの反感が出たのでしょうか、新規獲得の予算の比率を削るようです。

しかし、予算全体を削ってしまうのではなく、解約抑止の方を重視するということのようです。解約抑止とはつまり、囲い込みに予算を使うというだけのことであります。それはつまり、解約妨害割に力を注ぐということになります。

ユーザのことを考えるとか言うと本質が見えなくなりますが、つまりのところは「解約妨害割」をなさるというだけのことです。


◆新社長は技術系

また、新社長は今度は技術系です。

現社長(中村社長)は労務系の人だったようで、その前の社長(立川社長)は技術系だったはずです。

理系の官僚と文系の官僚が交代でトップになるというお役人ルールをドコモがいまだに守っているという情けない状況も予想されます。

しかし第4世代への移行準備期(LTEとか)に技術系がトップに座るというのは悪い事ではないかもしれません。超基本的な技術的判断ミスをする可能性はなくなるだろうからです。ただし、FOMAが大失敗したのは立川社長の時期でもありまして、LTEに拘りすぎて自爆する事はあるかもしれません。

私が懸念しているようにHSPA+こそが当面の正解選択肢だった場合には、ドコモは先行したゆえに苦労する事になるかもしれません。しかし、もしLTEが最初から素晴らしかった場合、LTEが何であるか理解しているトップに率いられた「技術のドコモ」はここから加速をつけて独走するかもしれません。

蛇足ですが、立川社長は次の社長も技術系の社長にするつもりだったはずですが(津田さん)、NTT本体からの指令(グループ全体の意向だ指令)が炸裂して現在の社長になったいうこともありました。そして、社長になれなかった津田さんが電撃的にボーダフォン日本で社長になる、という驚愕の展開もありました。結局、津田さんはボーダフォンで大失敗して(ただし、この失敗の責任が全て津田さんにあるのかどうかは不明です)しまいますが。

ドコモの前副社長で社長になり損ねた人が、今で言うソフトバンクモバイルの社長に就任したというわけで、今ならば・・・夏野さんが今年の秋にソフトバンクモバイルの社長になるくらいの大事件でしょうか。

とりあえず今後のドコモは

・解約妨害割中心
・LTEへの急速な移行

こんなところでしょうか。

既存のドコモユーザで長く使っている人は、今後どんな素敵な「解約妨害割」が用意されているのかを期待しても良いかもしれません。

また、孫社長はこの状況に黙っていないかもしれません。全社で囲い込みが横行すると、全体ではユーザの不利益になる可能性もありますから、もしかすると孫社長、本件については真に我々の役に立つ事をやってくれる事になるかもしれません。

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ソフトバンク巻き取り問題:2010/3/11(停波寸前)まで、第二世代のスパボ縛りが残る?

執筆時間がなくなって困っているブログ主です、ブログ書くくらいの生活のゆとりは欲しい。

記事についたコメント(ありがとうございます)から少しだけ記事にします。

難題:ソフトバンクは二年以内(2009年度末まで)に第二世代を停波する義務がある件
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/695_2009_00d2.html

投稿の都合上、少し修正補足しました。

(2008年)1月15日で第二世代の新スーパーボーナス受付を終了していますが、考えてみると最悪2010年3月11日になるまではこの割賦金縛りと特別割引の残っている契約者がいるという事になります。

とすると、巻取りを行うのであればソフトバンク側が割賦金の免除を行う&特別割引分の還元をしてあげなければ(特に一括払いした契約者に対して)、期限間近まで相当の契約者が残るのではないかという気がします。

あとは、約120万の2Gプリペイド契約者のうち残留した分の移行先。さすがにプリモバイルへ変更できるようになると思われますが…

停波は「2010年3月31日」なので、2010年3月11日というのは20日前ということになります。3月31日を超える可能性があったらかなりのトンマで面白かったのですが(他の条件と合わさると突破するなんてことを見つける人が居れば神、誰か頑張れ)、停波の20日前まで第二世代縛りというのも正直どうかと思います。

ソフトバンクはちゃんと巻き取りのことを考えていないのではないかと思っていたのですが、これもそういう印象を補強してしまう話です。

ソフトバンクはお金(現金)がつらい状態だとおもうのですが、巻き取りというのは何かとお金が出てゆくことになるはずです。その上にもしかすると、割賦金の特例まで出さなければならないのかもしれないようです。これもお金がかかってしまいます。

実際のところ既に第二世代に機種変更したり新規契約したり人はほぼ無視できる状態になっていて、この問題は無きに等しいのならば別にかまわないわけですが、もしそうならば受付自体をもっと早期に停止しているべきはずです。ただでも他社よりも世代移行が遅れているわけですから。

巻き取りだけでそもそもお金はかかるし、第三世代の帯域はホワイトプランで利用者多過ぎ状態、巻き取り問題が第二の「4万6000問題」にならなきゃいいのですが。基地局建設と違って今回は基本的に人と人での事なので「無茶」は比較的効くとも思うのですが、無茶というのはお金がかかるものです。

個人的には期限までの巻き取りは大変なのではないかと思っています。もし期限までの実施をおこなうとしたらソフトバンクは結構な苦労を強いられるのではないでしょうか。

また、プリペのうち移行しない/移行不能な分が出た場合、KDDIがツーカーで苦労しているように、2010年度頭にソフトバンクに「大きな純減」が発生する原因になるかもしれません。

停波、遅らせた方が良くないかなあ?

第二世代を無理矢理にでも早期停波する必要のある自転車計画になっているとか、帯域獲得戦の計画をよくよく考えるとどこかで致命的な遅れに繋がってしまうということでも無い限りは、遅らせた方が良くないでしょうか?

停波を遅らせて困るのは、ソフトバンクというよりも「1.5GHzでLTEをする勝負の計画を作ってしまっている他陣営」になることでしょうし、おそらく(他の可能性を思いつく人が居たら教えてください)。

いや、本当はした約束は守るのが筋だとも思いますし、ソフトバンクのお陰で次世代計画が遅れてしまった陣営(のユーザ)は冗談ではすまないと思いますが。

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693 必見:「WiMAXは駄目過ぎる」とアメリカ人が怒っている動画

某お方からの提供情報です、ありがとね。

今回の記事は、アメリカでサービスインされているWiMAX(固定WiMAX)があまりに駄目すぎるとお怒りの方がおられるという話です。

ネタとしての面白いので記事にしてしまいました。


◆前置き

アメリカの「クリアワイヤ」が提供している、固定向けのWiMAXについてあれこれ言っている動画が今回のネタです。

「クリアワイヤ」というのはインテルも関係しているWiMAXなベンチャー企業で、2.5Ghz帯でADSL代わり的(そういう「売り方」)な無線接続サービスを提供しています。

本来ならばクリアワイヤとスプリント(北米の携帯電話会社:過去にいろいろ記事にしました)が手を取って、全米の2.5Ghz帯でモバイルWiMAXが開始される予定でしたが結局破談となり、その後スプリントはモバイルWiMAXそのものから撤退する事も検討しているとされるような状況になっています。

いわば、北米のモバイルWiMAXの先行版(および日本のWiMAXの先行版とも言えるかもしれない)が今回のネタだということです。そして、日本の地域WiMAXとは同種のサービスかもしれません。

また当たり前ではありますが、クリアワイヤのサービスはあらゆる場合において今回の動画で突っ込まれているような状態では無いはずです(たまたま何かの原因で悪い状態の人の動画なだけかもしれない)。さらにクリアワイアのサービスが仮にトホホな状態だったとしても、今後行われる他のサービスも同様の状態になるとは限らない点についてもご注意ください。

以下、以上に配慮の上、面白いネタだとしてお楽しみください。


◆下り97Kbps!

http://www.youtube.com/v/6i3HLG8og9s

妙に冷静に批判をなさっております(怒りを通り越して別の何かになっている?)。

動画の最初に写っているのが「クリアワイヤのモデム」です。確かにモバイル用途が想定された機器ではないですね。

最初にモデムを移しながらクリアワイヤは
・下り 1.5Mbps
・上がり 256Kbps
を提供すると言っていたんだぜ、と言っています。

WiMAXの接続スピードから考えて、これは理論値ではなくて、エンドユーザでこれだけ出ますという話のはずです。確か他にも、1Mbpsとか2Mbpsの料金違いプランがあったはずですので、WiMAX自体の限界速度の表示ではないはずですね。クリアワイヤが制御してユーザに提供している速度のはずです。

で、モデムのランプが四つ点灯しているのは「電波状態はOK」ということなのだとか。つまり、圏外な感じだからではないらしい。

しかし速度計測サイトで速度を調べてみると、
・下りが260Kbps
・上りがわずか45Kbps

というなんだコリャという計測結果が出ています。

上記のテストは純粋な転送速度を調べる感じのテストのようですが、次にはサイズの大きめの画像ファイルを実際に落としての速度計測(こちらの方が実利用に近いはず)が行われます。

画像はなかなか落ちてきません。

そして画面に表示された結果は「ダウンロード速度は97Kbps」。


◆速度計測のみ

http://www.youtube.com/v/Z65KHpRMRzg

速度計測の結果だけですが、これも同じような事になっています。


◆延々と「全然快適じゃないから」ということを見せつづける動画

http://www.youtube.com/v/cMUu9ifSTzc

結構長い動画です。

サイレントで、どうですかこの状況は?ということを見せつづけています。速度が遅い事だけが問題ではなさそうです。PINGしてる部分がありますが、これはどうかなと。

個人的には、「これはWILLCOMの2x(100k)で繋いだ時の動画です」といわれて見せられて解らないと思いました、というかWILLCOMの2xのPC接続の方が快適じゃなくね?


◆ネトゲをするとこんな酷いことになった

http://www.youtube.com/v/GTffaH40Bw4

ネトゲ方面的にはありえん動画だそうです。私にはわかりません。提供主はこれで大笑いでした。

ネトゲに詳しい人感想と解説きぼんぬ。


◆呆れてモデムでバスケをしているらしい?動画

http://www.youtube.com/v/XWr4odWdhyc

本当にそういう行為の動画なのかわかりませんが、これまでの動画の言うとおりならば、「窓から投げ捨てろ」というのは自然な感想かもしれません。


◆クリアワイア叩き動画

http://www.youtube.com/v/ZaaN2yqTYik

笑えます。


◆終わり

これがWiMAXの全てだと思ってはいけないのも確かですが(ご注意あれ)、しかし伝見による話は割とこんなんばっかりだったりします。そりゃ「2007年全米ガッカリ大賞」に載ったりするわけだと思いました。

またこれらは「固定WiMAX」ですので、基本的に契約者の自宅で使うものです。ですから、自宅から出て電車に乗ったときならの良好だから大丈夫というわけにはならないわけです。コンセントに差さないと使えない大きなモデムを持ち歩いて使うわけには行きませんから。

同様に彼らは、固定回線として利用しているので、移動時の性能については何も言っていないことに注意しましょう。KDDIは過去に「ワイアレスだが、モバイルではない」(過去の記事参照のこと)というようなことを言っている訳でして・・

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694 「WILLCOM D4」はむしろITリテラシーの低い人向け戦略商品かもしれない

こういう形でも投稿しないと、投稿せずになりそうなので勢いで投稿。

久しぶりに今日のニュースを今日のうちに投稿。


◆D4

インテルのえらい人の「うっかりリーク」によって事前にばれていたとおり、本日、ウィルコムの新しい端末の発表がありました。各方面この話題で盛り上がっている様子ですね。

「これまでのスタイルを変える」Vista搭載インターネットマシン「D4」
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/04/14/026/index.html

名前は、WILLCOM D4

平たく言うと、画期的に小さいVista搭載ノートパソコン。

世間的にはウルトラモバイルPC(UMPC)とか言われていますが、つまりのところ「画期的に小さいVista搭載ノートパソコン」。

重さは470g、500mlのペットボトルよりも軽いそうで。

最初に39800円の頭金を払い、月々5980円(データ限定完全定額3880円+端末代金のローン2100円)で手に入れられる。

それにW-SIM端子がついている、というのがこの端末です。

無線LANに対応してたり、有線のLANにつなげたりするほか、将来的には何らかの方法で次世代PHSにも対応させるつもりだとか。

本体では音声通話はできないようですが(出来たら面白かったのにね)、ヘッドフォンみたいな例の奴をつけると音声通話も出来るようです。Bluetoothも積んでいて、ワイアレスでも大丈夫なようです。

まさに携帯電話機の形をしたBluetoothのワイアレス通話用物体も同時発売されるようでして、そうなると、結構電話として使える感じになりそうかもしれません。ただ、パソコンと電話機を単に二台持ちしている感覚っぽくなりそうですけども(以下、電話機っぽいワイアレス通話用物体の画像あり)。

写真で解説する「WILLCOM D4」(外観編)
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0804/14/news094.html

Windows Vistaの電話機ですからがVistaが起動していないと電話を受けられない(携帯電話としては異次元ですがまあそうなるようです)ようなのですが、電話がかかってきたら自動でスリープ状態から目を覚ますようです(注:これについて「出来ない」としている記事もあるようです、どっちなんだ)。メールも休止状態でも同じようにして自動受信できるようで(注:同じく)、予想以上に電話機な感じのようです。

Vistaベースの異次元感はかなり予想されます、例えば、電話機の「電話帳」が「Windows Vista付属の『Windows アドレス帳』」だそうです。そこから「電話する」事になるようです、なんとも不思議な体験じゃないかと思います。もろデスクトップWindows用の機能そのものでしかないところから電話することになるわけですから。

わざわざ「携帯電話の形」をしたBluetoothの通話用物体を作って一緒に発表しているあたり、もともと電話機用では到底無いはずのVistaをベースにしていながら、ちゃんとVistaでありつつ携帯電話でもある不思議な物体として作ろうといろいろ努力している、ということなのでしょう(それがどの程度実っているかは実際に使ってみないと解りませんが)。パソコンだから通話なんて知らん、ということではなくて。

ただ、買った人の実態としてはそもそもデータ通信だけにしか使わない人が大半になってしまう気もしてなりませんが。

ワンセグがついてたり外部ディスプレイ端子がついているなど(プレゼンで持ち歩く人は有り難いだろう)、気の効く部分もありつつも、超小型になっているゆえにハイスペックというわけには行かないので、スペック上の不満も聞かれます。でもまあ、私はそんなもんだろうと私は思いました。

Vistaは重いから、XPにしろという意見も(自分で入れ替える人は結構出そうです)あるようですね。しかし、今回の端末は「どうしてもVista搭載である必要がある」のではないかと私は思っています。


◆「壁の前で力尽きた彼ら」のための端末

ちなみにこれは、[es]なしのW-Zero3の後継ラインの機種だそうです。

これまでのW-Zero3シリーズは、ある程度以上まで理解して使い込むと非常に面白いマシンになるようですが、デフォルトの状態(インストールされているソフトウェアなど)が不親切である事もあり、

「買った途端に使わなくなってしまう人」

を大量に生んでしまっているとか。詳しい人は、自分でカスタマイズして面白くなる領域への壁を越えてゆくわけですが、その前に力尽きる人や、そもそも壁を越える資質が無いのにW-Zero3を買ってしまう人も居ました。

W-Zero3の第一の顧客層は「詳しい人」で、彼らは壁を越える能力は基本的に持っていて、問題はその前に飽きるかどうか程度でした。

ですが、店頭でW-Zero3シリーズの売れ方をみていると、ITリテラシーがむしろ平均以下の人(穏やかな表現にしてみましたが)が「なんかスゲー」とか「これパソコンじゃん」とか、また別カテゴリの平均以下の感じの人が「これでExcelとかWordを開けるんですか」ばかり(だけを)何回も聞くような人とか、そういう人が買う事も多かったようです。

ウィルコムとしては後者の顧客層は当初の想定外の顧客で、顧客層の拡大には貢献したはずですが、後者の顧客層は基本的に「壁を越える資質の無い人たち」でした。無論、中には自分で壁を越えてしまったらしい人も見かけまして、何でこの人がW-Zero3を駆使しまくっているんだろう?(リテラシーの低い人が、ファーストパソコン代わりとして使い始めてそのまま使いつづけてしまっている状態だった)という不思議な状況に出くわしたこともあります。

「意図せずに壁を越えた彼ら」は、もはや平均以下どころか達人の領域に到達していることもありました。

ですが、多くは壁を超えられなかった事でしょう。壁を越えられなかった人は解約予備軍に直行となり、ウィルコムをこれまで苦しめてきたはずです。

実際身近に、Zero3を買ったけど使わなくなってる人が居るなー、と思える人は多いと思います。

彼らに本当に必要な端末の「一つの解」は、「パソコンっぽく見える」だけ(彼らの目にはそう見える、というだけのことなのですが)ではなく、「本当にパソコンそのもの」である端末でした。

#別の解は、彼らでも壁の越え方をすぐに理解できるスマートフォンを作ることです。
#あるいは、壁を超える必要がないスマートフォンを作ることです(これは携帯各社がやっていますが)。

ですから、「掛け値なしにパソコン」であり、なおかつ「Vista搭載」で「Officeも入っている」新端末は、これまでW-Zero3シリーズを買ってしまった「彼ら」が本当の意味で買うべきだった端末、ということになります。

玄人方面からは今回の端末のスペックについて、「なぜVistaなんだ(XPにしてよ)」とか「SSDの方が良かった」とかいろいろな意見が出ていますが、私が思うにこの端末は

「玄人ではない人」

も実際のターゲットになっている端末で、W-Zero3が大半を囲い損ねた「彼ら」への解となる端末なのではないかと思います。そう考えると、Vista搭載などの彼らにとって「ふつうのパソコン」っぽいかどうかの判断がされる点は戦略上「譲れないスペック」に見えてきます。

D4はもはやパソコンそのものです。その点において文句のつけようはありません。

また、W-Zero3が彼らの理解水準を越えていた場合には「ウィルコムがその原因」だと思って使うのをやめたはずですが、D4の場合には「パソコンを理解できない自分」が原因だと思うに違いありません。

D4の出荷予定数ですが、ウィルコムの発表では結構控えめです。

これは、これまでのZero3シリーズの反省点を踏まえて慎重に対応していたり、価格を考えてのことではないかと思います。しかし個人的にはこの端末、これまで書いたとおり、

むしろこれまでのW-Zero3シリーズよりも「一般人」向けに売れる端末ではないか?

と思いまして、Zero3シリーズの「思わぬ人に売れてしまった効果」の面を最大限に作動させる事のできる端末にようやくなったのではないか、とも思えます。今度こそ店頭で遠慮なく売りさばいて大丈夫なのではないか、とも思えます(D4の利用感に特に特殊な感じが無いのであれば)。

そうなると問題は、素人をも多量に釣った「W-Zero3の体感価格」とD4の価格が違うところを解消する必要があるかもしれません。仕方がないのですが、D4はちょっと高いですからね。Zero3シリーズのように電話の予算感で買う感じに納められると完璧かもしれません。


◆玄人の皆さんは

というわけで玄人の皆さんは、彼らにも売るために必要なスペックについては我慢して、買ってからXPに入れ替えたり、プレインストール大掃除の儀式を執り行ったり、マシンを開けて自分でハードディスクの増量を試みたりして頑張る事にしましょう。

#あるいはシャープが「そういうこと」にこっそり配慮していると粋な計らいということになります

いわば今回の端末は、素人領域から玄人領域の間の壁を「玄人は自分で壁を超えなさい」という端末なのかもしれません。

まあいいじゃないですか、意味がわからんほど大量に売れてヒットになり(そのためには「素人ウケ」は必要です)、その流れのまま次世代PHS祭りに移行、となれば次は驚愕するようなスペックのマシンを低価格で手に入れられるかもしれません。ただし、その場合はさらに「玄人は自分で壁を超えなさい」ということになるのかもしれませんけど。

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695 難題:ソフトバンクは二年以内(2009年度末まで)に第二世代を停波する義務がある件

驚くべき事に(知らなかった人には)、ソフトバンクの第二世代携帯は「2009年度末まで停波」させる必要があった、という件についての記事です。


形式上は以下の記事の続きです:

解説:1.5Ghz帯が3.9世代/LTE/Super3G用帯域に再割り当ての件
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/696_15ghz39ltes_96e4.html


◆二年切っておりまして「450万人」

前に書いた記事にて書いたところによりますと、ソフトバンクの第二世代携帯が使っている「電波の免許」は2009年度末で切れてしまいます。

つまり、2009年度末(2010/3/31)までには、「ソフトバンクの第二世代は完全終了しました」ということにしなければならないということです。免許的にはそうなっているということです。

現在、2008年度が始まったところです。つまり、もう二年を切ってしまっているという事です。

そして、ソフトバンクの第二世代を利用している人は、「まだ450万人以上」も居るそうです。

ソフトバンクの利用者は現時点で1800万人くらいです。つまり「ソフトバンクの利用者の四人に一人は、まだ第二世代を使っている」のが現状です。


◆450万人を24ヶ月で割り算してはいけません

残り450万人で残りおよそ24ヶ月ですから、単純に割ると「19万人弱/月」ということになります。

そして現在の第三世代への移行ペースは、この数値よりも上になっています。しかし、だからといって大丈夫ということにはなりません。移行ペースは最終的には鈍ってゆくものだからです。

最終的には梃子でも動こうとしないユーザが残ります。あるいは、計算ずくで「移行せずに居座ってごねる」客すら存在します。こういうユーザを処理して移行させるにはお金がかかってしまいます(少なくとも対応をする人員の人件費はかかってしまいます)。

移行しないお客の気持ちも解らなくはありません。

『私はJ-Phoneがとても好きで契約しました、そして端末をずっと大事に使っています。これまで電話会社が勝手に代わったりしてとても迷惑しました。ドコモを使っている友人にはそんな無茶苦茶な事は無かった。その上、今度は電話を変えろというのはどういうことですか。そちらの勝手な都合で我々に関係があるのですか?素人に難しい話をして誤魔化そうとしてもそんなことは私は知りません。私はこの電話を契約する時に、2009年度末までしか使えないという説明を聞いていません。引き続きこれで使えるようにしなさい。』

あるいは、

『巻き取りがあるらしいので、親がほったらかしにしてた古い端末があったのを思い出して、回線ごと譲ってもらった。あともう少しこの端末のまま粘っていれば、ソフトバンクが泣きを入れてくるはずだ。そうなれば、一番高い端末を無料でゲットできるだろうから、それまで粘ろう。それまでは何を言われても移行しない。「元が取れない」からね。』

第二世代の回線をわざわざ探してきて、利益を得ようとする人すら居るだろうということです。

このように移行にはお金(現金)がかかりますが、ソフトバンクにはつらい話です。

また、ホワイトプランの影響で第三世代の帯域には余裕がありません。現時点ですでに混雑気味です。

二年間で移行ユーザの450万人を追加収容するというのは大変な話です。四分の一のユーザが移行してくるとなると、それだけで現在の1.33倍のユーザを収容しなければならなくなるからです。

何らかの方法で設備を増強して対応するにもお金がかかってしまいますし、増強の効果が出るまでタイムラグもあります。

これは面倒な状況です。

◆ただし今回は「無理」は出来る

巻き取りは(例えば「基地局4万6000局」よりは)、無茶な計画をしやすい作業です。

ですから可能性としては、「二年後どころかもっと早期に巻き取ってしまう」ということも考えられます。4万6000局は常識的に考えて無理な計画でしたが、例えば「2008年度中に全部巻き取って停波する」というのはもしかしたら可能です(そんな事をする理由は思いつきませんが)。


◆巻き取らない方法を考える

面倒な状況であることには違いないわけですが、普通に巻き取る事を諦めてしまうと、以下のようなとんでもない事も出来なくはありません(以下、子供の発想ですが)、


・免許切れに便乗して低コストで第二世代の整理をする

2009年度末の時点でも、無視できない数の第二世代ユーザが残っているにもかかわらず、無理矢理停波しましょう。

普通は、移行しないユーザを何とか移行させようとして苦労をして、それでも残ったごく少数のユーザについては仕方なくそのまま停波としますが、そこまでせずに停波してしまいましょう。

停波すれば、第二世代の設備の維持費がかからなくなります。免許が切れることを口実にして「早期に第二世代を強行処理をする」口実にしてしまえば、大きな支出になるところか、逆にお金の節約をするチャンスです。

発生する混乱の責任は、「悪質」ユーザと国にかぶせることが出来ます。


・停波を延期し、他社の次世代計画を混乱させる

社長は言います。2009年末に停波するとなるとユーザが可哀相である。ドコモは2012年まで第二世代が使えるじゃありませんか。当社はそもそも第三世代のスタートが一番遅かったのに、ドコモよりも第二世代終了が早いなんて、ユーザが可哀相です。ドコモより遅くてもいいくらいだ。

免許なしでの帯域の占拠状態になるのか、免許が延長されるのかはともかく、約束の日になっても停波は行われません。

結果、ソフトバンクが停波するまで1.5GHz帯は塩漬けになってしまいます。ソフトバンクは1.5GHz帯の再割り当て時期をコントロールできる状態となります。

同じく、帯域の追加割り当てをしてもらわないと停波出来ません、と言い張ることも出来るかもしれません(これは「ソフトバンク自身に1.5GHz帯をLTE用として再割り当てすれば解決する」、と言い張る場合も含みます)。


◆ありえないことはありえる

普通に考えてあり得ない事が実際に実行される事はこれまで何回かありました。

(失敗しましたが)800MHz帯の割り当て要求もそうでしょうし、ボーダフォンの電撃的買収もありえないことでした。新規参入直後の買収自体ありえませんし、そもそもボーダフォンを買収するという事自体が、ありえない事でした。

もし仮に、ソフトバンクにとって第二世代を免許切れまでに巻き取る作業がかなりの負担になるのであれば、何か予想しない事をなさる事もあるのではないかと思っています。

たとえば、停波が延期される事態。


◆またそもそも

またそもそも、孫社長は第三世代への移行を前倒ししたのではないかと言われていてこの状態ですから(ただし、第三世代への移行そのものは基本的にボーダフォン時代に立てられていた計画に沿っているだけで、孫社長は手柄を横取りしているだけという話も聞きますが)、もし買収がなされなかった場合にはどうなっていたのだろうと思ったりする次第です。

例えば、

平行世界:
・買収されずボーダフォンのまま(評判も「ボーダフォン」のまま)
・2009年度末に、免許切れにもかかわらず停波できないという前代未聞の事件発生
・その謝罪会見をする社長もやっぱりボーダフォンの社長

これは・・・相当大変な事になった気がしますね。

ただしもちろん、

現実の未来:
・2009年度末に、免許切れにもかかわらず停波しない

これもありえますけれども。そして、そのようにする理屈もあると思いますけれども。

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696 解説:1.5Ghz帯が3.9世代/LTE/Super3G用帯域に再割り当ての件

しばらく前に、「1.5GHz帯を3.9世代用に再割り当てする」というニュースが出ていましたが、それに関する記事です。

私の知っている範囲程度で、ではありますが、全く知らん人向けの解説っぽい事を書きつつ、記事にしてみたいと思います。

◆その前にまず、全体の状況を再度書き出してみます

1.5GHz帯というのは、現在第二世代携帯用(PDC)に割り当てられている周波数帯のことです。その前に、まず最初に大雑把に、携帯電話の周波数割り当て全体の状況をまず書いてみますので、全体像をつかんでください。

・700/900MHz帯(近い将来に割り当てあり)
アナログ地上波TV停波後に利用可能、携帯電話用の電波としては一等地であるため、壮絶な取り合いになること確実。

・800GHz帯(決定済)
AU(第三世代)、ドコモ(第二世代+一部第三世代)が利用中。ここも一等地。現在、細切れになった電波帯域を「区画整理中」で、区画整理後はAU(第三世代)とドコモ(第三世代)で利用することが決定済みです。昔、孫社長が「私に帯域をよこしなさい」と割り混もうとしましたが、各方面の調整の末に複雑な区画整理作業計画が決定後という微妙な段階での殴りこみだったので、返り討ちにされています。

・1.5GHz帯(近いうちに?再割り当てあり)
現在、第二世代用に使われています。ツーカー(東名阪:東京/名古屋/大阪近辺のみ)、ドコモ、Jフォン→ボーダフォン→ソフトバンク(全国帯域)に割り当てられています。
Jフォンが圏外になりやすかったのは800MHz帯よりも1.5GHz帯の方が電波の飛びが悪いためでもありました。今回の記事は、この帯域が今後、3.9世代用に割り当てられるらしいという件についてです。

・1.7GHz帯(利用中:ただし空き帯域有り)
イーモバイル(全国帯域)とドコモ(東名阪)が利用しています。ソフトバンクにも一度割り当てられましたが、新規参入をやめたので返却されました。ドコモについては補助的な利用になっています。また別途記事を書く予定ですが、帯域に空きがあります。イーモバイルにとって生命線(のはず)の帯域です。

・2.0GHz帯(利用中)
現在、第三世代用に使われています。ドコモのFOMAが代表的です。ドコモ(FOMA)、ソフトバンクの第三世代、AUの第三世代に利用されています。電波の飛びは今ひとつで、そのことはFOMAやソフトバンクがエリア面で苦労する原因にもなっています。この帯域は今後次第に3.9世代用の帯域としても利用されると見られます。

・2.0GHz帯:TDD帯域(現在割り当て作業が進行中)
元々はアイピーモバイルに割り当てられたのですが、サービスインに失敗してしまい、現在再割り当て作業がまさに進行中です。しかしこの帯域はどうも人気がありません。この帯域についてはこれまで何回か記事に書いたとおりです。

・2.5GHz帯:TDD帯域(割り当て済)
2007年末に大騒動の末に、KDDI(モバイルWiMAX)とウィルコム(次世代PHS)に割り当てられました。この帯域についても散々記事にしましたのでそちらをご覧下さい。

・3.5GHz帯:TDD帯域(将来に割り当てられる)
世界的な「第4世代用帯域」として割り当てられる予定があります。広い帯域が割り当てられることになりそうですが、周波数が高すぎて利用は大変に難しいとみられます(これも過去に記事にしました)。

◆1.5GHz帯

簡単に書くつもりでしたが長くなってしまいましたが、1.5Ghzはそんな感じで現在第二世代用に使われている帯域です。利用者の感覚的には「Jフォンで象徴される帯域」と思ってよいところです。

これまでの割り当て
・第二世代用(PDC)に割り当てられていた
・約50Mhz幅×2(下り帯域:基地局→端末、上り帯域:端末→基地局)
・帯域の約半分が全国で利用可能な帯域、残りが東名阪(東京/名古屋/大阪の近郊)でのみ利用可能な帯域。
・全国帯域は基本的に「J-Phone→ボーダフォン→ソフトバンク」に割り当てられていた(あるいはそのように考えて差し支えない状態)
・東名阪帯域は基本的にツーカーに割り当てられていた
・ドコモに一部割り当てられており、シティフォン/シティオや補助用途(mova全盛期の800Mhz帯の混雑対策)に用いられていた。

現在の状況
・ツーカーが2008年三月末で停波したので、ツーカー利用分が空き状態になった。
・ドコモも2008年秋までに、帯域を明け渡す予定。
・ソフトバンクの第二世代についても、免許の期限が2009年度末(2010/3末)となっている。

凄い事実が一つ明らかになってしまいましたが、その事については後で書くとして、帯域自体の説明を続けます。

今後の予定
・とりあえず第二世代にはすべて退場して頂いて、空き地にする。
・併せて、周辺帯域における携帯以外での「ローテクな利用」を成敗して、帯域を総合的に綺麗にする。
・最終的な目標は、帯域の整理によって「50MHz幅以上×2」「全て全国で利用できる帯域」とすることのようです。
・ただし、現時点ではツーカーの部分が空いただけに過ぎず、作業はまだこれから。
・帯域は既存キャリアに割り当てられて、3.9世代用に、つまりLTE/Super3G用の帯域として利用される見込み。

箇条書きの形にしましたので、解説的にはやさしくない感じになりましたけれども、状況は解っていただけたでしょうか?


◆実質的に「LTE用帯域」を意識した再割り当て

計画上(書類上)では、2010年度末には一応の帯域の返却が終わっていることになっているので、この4月(2008年の4月)になって、実際の割り当て作業の話が出てきました。

総務省、“3.9Gケータイ”の技術条件検討へ
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/39402.html

7月を目処に基本コンセプトを整理し、年内を目処に具体的な技術的条件を定める。総務省では、12月頃にも情報通信審議会からの答申を受ける見通しを示しており、その後、規定の整備を行なっていく考え。

2008年中に再割り当て作業の基本的部分を決めてしまい、2009年に割り当て作業(つまり「帯域の取り合い」をしてもらう)を行い、2010年には実際に使ってもらえる状態にする、ということのようです。

「3.9世代」が具体的に何を差すかについては、これまでに書いた記事を参考にしてください。LTEやUMBが該当し、場合によってはモバイルWiMAXや次世代PHSも該当するかもしれませんが、実質的には「LTE(Super3G)」が主に想定される方式となります。

よって、非常に大雑把に言うならば、「1.5GHz帯はLTE帯域として再編される」という感じになります。

また(これも以前の記事に書いたとおり)、ソフトバンクやイーモバイルは「HSPA+」(従来の第三世代系の技術)や、さらには「W-CDMA/HSDPA」での利用も場合によっては一時的に許すように国にお願いした方が良いかもしれません。

ツーカーとドコモの利用分についてはもう空いている(も同然な)ので、その部分については再割り当て可能になると思われますが、他の部分の停波や帯域の整理がそれまでにどうなっているかはわかりません。

次世代の通信技術は、基本的に帯域を大食いする方式になっているため、将来において電波が有効に利用される事を考えると、帯域を綺麗に整理して大きな幅で割り当てる必要があります。そうしないと十分な性能が出ないためです。

実際、再割り当ての方針では「二社程度」という話が出ているようで、細切れにしないつもりではいるようです。ただし(いつもの事ながら)、一社に全部割り当てるという男らしい方針ではなくて「二社」のようです。

つまり、こういう事になります。

・2010年度(2010/04/01)から、1.5Ghzで3.9世代の帯域を確保できるかもしれない(計画上は)

それはつまり

・2010年度(2010/04/01)から、1.5GhzでLTE用の帯域を確保できるかもしれない(計画上は)

ということになります。2010年までには他の注目帯域の割り当てなどもあるでしょうから、1.5GHz帯だけが注目される事にはならないでしょうが、なかなかこれは注目の割り当てという事になります。


◆しかし疑念が

本来ならばここから「予想される最初の割り当て幅」などを考えて、その幅でLTEをしたらどうなるかとか、どの陣営に割り当てられるか考えてみたいところですが、その前に気になることがあります。

以上は、先ほどスルーした「ある疑問点」が何も問題を起こさず、加えて、その他の帯域の整理も平行して上手く進んだと考えた場合の予定です。

というのは、2009年度末までには(執筆時点の現在から)すでに二年を切っていることです。

どういうことかというと、「今から二年以内にソフトバンクの第二世代が完全停波する」ということがこの計画の前提になってしまっているということです。

これは人によっては「驚愕の事実」ではないでしょうか。

何しろ、2008年4月の時点で、ソフトバンクの第二世代の利用者は「まだ450万人以上存在する」からです。


(続きは次の記事)

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697 「日中韓で第四世代携帯」は正直どうだろうか?

ちょっと前のニュースについて。

◆どうなんでしょう?

ネタを投稿しないでいるうちにちょっと前の話題になってしまいましたが、以下のニュースについての記事です。

第4世代携帯、日中韓で国際標準 今月下旬に国際会議
http://sankei.jp.msn.com/economy/it/080320/its0803201418000-n1.htm

大丈夫なの?と思えるニュースです。

読んでいる人からのリアクションが無いので、実際のところは解りませんが、私が思うに、読者のかたも同じく「これは怪しくね?」と思っている人が多いのではないかと思っています。

とりあえず、日本のメリットが今ひとつ解らなかったりします。

◆技術的に組むメリットなし

組むとしたら、技術的な点か、数の力を期待してということになります。まず、技術的な点について考慮する価値があるかどうかを考えてみましょう。

両国のこれまでの国策技術について挙げてみましょう。

・韓国:WiBro
・中国:TD-SCDMA

両方ともみっともない状態です。

まずWiBroについては、このブログでそこそこ書いています。

WiBroの大本営発表(一部では大成功という事になっている)を鵜呑みにしている日本のマスコミはいるようですが、成功した技術とは言えないと思います

韓国国内ではWiBroは完全に独自の技術で、なおかつWiMAXはWiBroを基にして作られた、というようなことになっているようですが、それは間違いですので信じてはいけません。

次はTD-SCDMAについて。

世界がCDMAの話題で盛り上がっていた頃に中国が独自の第三世代技術として開発を開始したものです。最初は、CDMA2000やW-CDMAに「多少遅れてサービスインする」ということになっていたはずですが、結局開発は延々遅れており、試験サービスインがようやく2008年の4月1日にスタートするということになりました。

「多少遅れる」どころか「CDMA2000より後発のW-CDMAの発展版(HSDPA)すら枯れた状態」になっているのに、今さら試験サービスインでは国際的にはさすがに手遅れです。しかし、国策で保護されているために、中国大陸ではある程度は普及するかもしれないのが恐ろしいところです。

結局のところ「通信技術そのもの」を作ることを考えた場合には、これまでの実績をみる限り、技術的に組む必要性は怪しいように思えます。


◆「中国が大きい」のは世界にとっても日本にとっても同じ

次に理由として考えられるのは、中国の巨大さでしょう。

TD-SCDMAがこの手遅れの状態にありながら、しかし中国大陸ではこれから無視できない存在になる可能性があるとされている事自体が、この意味での「中国の実力」の一端を示しています。

つまり、その技術が何であろうとも、中国が採用すると言った途端に世界的に無視しにくくなるというわけです。これは組む理由にはなりえます。

しかしこれは「中国にとって中国自身の巨大さが有利である」という事実を示しているだけで、その中国が日本を尊重してくれない限りは、日本にとっては逆の結果を生みかねません。

つまり、日本と中国の陣営内部においても「中国の存在力は巨大」になりうるので、日本は世界に出る前に「陣営内部で中国に押しつぶされるだけ」かもしれないということです。

今回の話は、日本側に十分に考えられた「シナリオ」があって、万事大丈夫なのかもしれません。しかしこれまでのいろいろな事での経緯をみる限り、日本側にはそういうことをする才能は皆無のはずです。

例えば考えてみてください、こういうことを言われたらどうしますか?

「我々は日本の技術案は採用しません」
「TD-SCDMAに配慮した次世代技術とします」
「日本は日本の技術力でTD-SCDMAの発展に貢献してください、日本独自の提案はいりません」
「日韓が独自案を出して『非協力的』ならば、中国は欧州かアメリカのどこかと組むことにします」

中国の巨大さを頼りにする限り、交渉の主導権はそれを持っている中国にあることになります。そして中国は日本(や韓国と)組む必然性は無いのです。

日本は自分では戦えないけれど、中国と組めば欧米と対抗できるかもしれない、というのは中国の立場に立って考えていないように思えます。

こちらが気を使ったんだから、向こうも当然気を使うでしょ、というのは日本でしか通用しません(これは本当の話)。日本が気を使っているから、中国も気を使ってくれるはずだから上手く行くだろう(上記発言例のような事にはならない)、っていうのは考えが足りないか、日本人の習性を熟知した向こうに嵌められているかもしれません。

またそもそも、欧米と日本自身で渡り合える自信が無いのに、どうして中国と渡り合えると思うのでしょうか?

◆典型的フレーズ

記事には典型的フレーズが出てきます。

日本は第2世代携帯電話(2G)でNTTドコモの規格が国際標準に採用されず、世界の携帯電話市場から孤立した苦い経験がある

ドコモはその後W-CDMAで大反省して日欧連合を成立させ、そして今やW-CDMA/HSDPAは勝者で、次の世代のLTEも勝者の可能性濃厚なのですが、なぜか毎回無視されます。

自国を無意味に褒めるマスコミよりはよっぽど健全だと思いますが、なぜに日本のマスコミは日本は駄目だと言いたがるのでしょう。彼らは一体いつまで第二世代の話をするのでしょう。

ドコモは現在、「勝ち陣営」の重鎮なのですが。

日本と並ぶ情報通信先進国となった韓国

彼らは「携帯端末の製造」で世界の水準になっただけで、他の分野では世界水準ではありません。

ちなみに補足しておくと、「携帯端末の製造で世界クラス」というのはとても立派な事です。何しろ日本はそうではないのですし。しかし、携帯端末の製造で優れているからといって全面的に優れている事にはなりません。


◆そもそも「現在の流れの延長」に進むだけでは?

第4世代は現行の3.9世代のどれかからから生まれるか、あるいは3.9世代の技術そのものになるか、類似技術になるはずです。3.9世代は第3世代の発展したものであるというのは誤解で、むしろ第4世代の初期型なのですから。

ならば、ドコモとエリクソン(やクアルコム)でそのままLTEから第4世代を作ってしまってそれでいいのではないか、とも思うのですが。それが世界標準に採用されないとは到底考えられませんし。

もちろん、これから(実質的に)新たに3.9世代技術を作るのもありえるでしょうけれども、日中韓で協力関係自体が何も無い状態からそれをはじめて、上手く行くようには思えません。2011年(だったとして)はもうすぐですし。

ドコモと欧州のやり取りでは、ドコモが提案したけれど駆け引きの結果蹴られた提案は沢山あるようです。まあ確かに欧州と組まなければ、ドコモがせっかく作ったのにお蔵入りした技術のようなことはなくなるように見えるのかもしれません。でも中国や韓国に蹴られたら同じ事でして、中国政府やサムスンがドコモの提案をありがたく受け取るでしょうか?

上手く行くパターンがあるとすれば、最低限、
・日本(ドコモ)の提案の多くを中国と韓国が飲む状況(何らかの理由で「日本の提案に乗っかる方が彼らの利益になる」状況が出来上がっていること)
・欧州やアメリカとの全面戦争にならない(そうなると東アジア限定技術になる)

まあ、無理じゃないかなと。

また、この話についてドコモ自身はどう思っているのでしょうね。

::

もしくは、日中韓で何をするつもりなのか本当のところを知っている人が居たら教えてください。私が知らないだけで「これは基本的に上手く行く話」だというのならば(私の心配が間違いである方が)、その方がはるかに良いですから。

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698 2GHz帯(TDD)でMediaFLOを使えないかなあと考えてみた

適当な記事ですのでご了解ください。


◆2GHz帯(TDD)をどうしても欲しいところは無い流れでしょうか

2007年末には2.5Ghz帯の取り合いで盛り上がっておりまして(良い意味でも悪い意味でも)、その際の場外乱闘に巻き込まれたことや、2.5Ghzでなくても帯域が欲しいというその場の盛り上がりで、2008年を迎えた時点では、「2.0GHz帯の割り当て」についてもテンションが高い状態で、国も割り当て作業を急いでいる状態でした。

しかし、その後熱が醒めて冷静になってきたからなのか、現在にいたるまで前回の落選組から「2.0GHz帯をぜひとも獲得したい」という声は無いのが現状です。

前回の騒動を牽引した、孫社長と千本会長のお二方についても、孫社長は発言無し、千本会長についてもLTE(TDD)を提案するという不気味な動きを見せましたが、その後「とりあえず提案してみただけで、凄く熱意があるわけではない」的なリアクションがありました。アッカも沈黙したままです。各陣営の真意はともかく、今のところ見える動きは無い状態です。

2.0GHz帯で候補になりうる技術の候補とそれぞれが何かついては、これまでブログで何回か記事にしていました(読んでいない人はどうぞ、たいしたものではありませんが)。

しかし、決定的な選択肢と思えるものは私には思いつかず、複数の選択肢が一長一短に思えています。私の感想としては、「これは正解だな」と思えるような選択肢にするためには、帯域を獲得した後のビジネス展開も考えての「意外な用途」を思いつく必要があるのではないかと思っています。

そして落選組にとっては、どちらかというと帯域を獲得しない方が正解にも思えています。例えばソフトバンク、既に持っている2Ghz帯と干渉すると言っています。イーモバイルについては1.7GHz帯に集中するのが筋でしょう(他の通常帯域ですら手を出すべきではない)、所帯の小さいイーモバイルがメインストリームな用途には使えない2GHz(TDD)に手を出すのはどうかなと。

そして、帯域を一番美しく利用できるであろう「EV-DO Rev.Bによる利用」については、2.5Ghz帯を得たKDDIにさらなる割り当てを行う必要があるという点で、各社の同意が得られません。

こういう感じではないかなと思います

・自分のところが積極的に獲得する計画は作れていない
・しかし他社が獲得するのは嫌な感じである
・他社の獲得を防ぐ最も確実な方法「自社で獲得に乗り出す」は困る(良い使い道が無い)
・しかし、どこかの会社が凄い使い方を考えついていると恐い
・一番望ましいのは、他社が間違って獲得して自滅すること
・どこにも割り当てられないというのも悪くない結末

自分が取っても今ひとつだけれども、敵に取られると脅威になる可能性がある、という状況になっているように思えます。そしてこういう場合には、関係勢力で手打ちをして「空白地帯にする」のがやはり正解なのかなとおもいます

ただ、そのつもりで動いていて、どこかがこっそりと凄い使い方を思いついていたりすると、とっても困るわけです。実際どこかがひっそりと必殺ビジネスプランを作り上げている可能性はあるのではないかという気もします。


◆AUがRev.Bで使うとすれば

どこも手を挙げずに割り当てが流れたとしましょう、そしてやはり活用されるべき使い方で使われるべきであるということになって「EV-DO Rev.Bによる利用」が出てきたとしましょう。

KDDIにとっては労せずに(設備投資もほとんどかからない)2Ghz帯の容量を一気に増やす事が出来ます。ですが、他社は最後まで足を引っ張るでしょうし、これによってKDDI/AUの帯域追加割り当ての権利を消費することになってしまい、700/900Mhz帯の獲得で不利に働くかもしれません。ペアになっていない、たったの15Mhzのために。

新規参入に割り当てるとすると、前回のアイピーモバイルの大失敗の二の轍を踏みたくないという力が、非常に強く働いて上手く行かないように思います。すでに書いたように、普通に思いつくような正解の使い方は無いように思える状態です(例えばW-CDMA/HSPAのような鉄板が無い)。しかし、それ以外の使い方になるとチャレンジを伴う使い方になり、新規で大丈夫?ということになります。アイピーモバイルもチャレンジ組でしたから。


◆そこで考えてみた全く違う使い方

そこで、
・各社が手打ちをするような結末になる
・既存のニーズに沿ったような割り当て
で何か無いかかんがえてみて、「これまでにまったく出ていない選択肢」が無いかどうかを考えてみることにしました。

問題になっている帯域はペアになっていない帯域です。そして、TDDでの選択肢についてはこれまで記事にしてしまっているので新ネタがありません。そこで、ペアになっていない場合のもう一つの使い方「放送」での利用について考えてみました。

700/900Mhz帯で、モバイル向けのテレビ放送の帯域への割り当ても話し合われているようです。といいましょうか、あらゆる勢力が「俺にも帯域をくれ」とわらわら集っている状態です。

脱線しますが、ひどいもの(と私が思えるもの)になると、自動車業界が車と車の間の通信のために結構な帯域をくれといって居たりするようです。以前から書いているように700/900は貴重な「非常に良質な帯域」なのであって、700/900でなくとも良い用途には使うべきではないに決まっています。

正直なところ、車と車の間の通信なんてもっと使い勝手の悪い帯域で十分だろうし、専用帯域を割り当てる必要すらない気がするのですが(雑多な用途の帯域の使い方の一つでよい)、自動車業界の声が大きいからそういうことになっているのでしょうか。

以上脱線ですが、こういう感じでつまらない駆け引きがどんどん続いているような状況にあります。

モバイル向け放送については、

・ワンセグを(ベースにした)日本方式を主張する陣営:ドコモや放送局など
・MediaFLOを使いたい陣営:KDDI(AU)、ソフトバンク

で揉めています。そして、両方への割り当てを行うだけの帯域は用意できないと見られています。そして、車の通信と違って、こちらは両方の方式とも存在しても悪くはない話ではないかと思います。

ならば、どちらかを2Ghzに移動できないかと思ってみたりするわけです。


◆2GHzにMediaFLO

ワンセグな方式は確か14Mhz幅くらいを必要とします。よって、こちらを2Ghzに移動させることも(もしかすると)可能ではないかと思います。しかし、日本方式ではないのでどうしてもMediaFLOが不利でしょうか?(既存の放送局が絡むので)

MediaFLOについては、6Mhz幅だけで放送が出来てしまうようです。

6Mhz幅で、
・QVGA
・30fps
・20チャンネルくらい
・併せてその他の種類の放送も出来るらしい
・6Mhz幅だけで全国をカバー可能(干渉防止のために6Mhz幅×3などにする必要は無い)
と結構な事が出来ます。知らなかった人には結構驚きの事実かもしれませんが、たった片方向6Mhzでこれだけのことができるんですね。

MediaFLOはもともとテレビ向けだった周波数帯にしか対応していないはずで(400~900MHz?)、2Ghzに対応したMediaFLOは無い筈です。しかし、もし「MediaFLOを2GHz帯で利用する事が出来る」(対応機器は十分に開発可能)として、

・700/900Mhz帯 ドコモ陣営に
・2GHz帯:KDDIとソフトバンクの両方に割り当てる(15Mhz幅に6MHzを二つ入れる)

そのようにすると、

・モバイル放送の日本方式とMediaFLOの喧嘩は丸く収まる
・三陣営ともに放送が出来るようになる
・取り合いになっている700/900から、余している2GHz帯への移動を図った形になる。
・MediaFLO陣営は先制攻撃ができる(先に放送を開始できる)
・難題の2Ghz(TDD)帯はめでたく「各陣営手打ち」の形で放送に使われて消滅する。第三の勢力に予想外の使われ方をされることはなくなる。

と、いうことでおおかたについては各方面が丸く収まります。

まー、素人がありもしない事/実現できない事を想像しただけの話でしょうけど(と思って書いてます)、本当にMediaFLOに使えるのならば、こういう風にして欲しいとかも思います。一般人には一番インパクトの大きい「帯域の使い方」になると思いますし。

この話、技術的に現実性があるのかないのか判定できる人はコメントいただければなあと思います。今日の夕ご飯を食べている時になんとなく思いついただけの話なので、申し訳ないのですが。

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699 三月の携帯純増数:SBM僅差首位、ウィルコムは低空飛行、そして「AUが3000万突破」が意外に重大な事実

三月の携帯契約者数の増減の結果が発表されたので、記事にしてみたいと思います。

#実は風邪を引いています。


◆SBM一位

まずは結果一覧を掲載。

ドコモ 17万3700
KDDI 50万0500
AU 54万3100
SBM 54万3900
EM 13万0200
WILLCOM 1万8300

念のために説明をすると、KDDIというのは「ツーカー+AU」のことです。

今月はソフトバンクが僅差ながら一位でした。僅差で一位の場合には、KDDI<SBM<AUというどちらが一位なのか微妙な状態である「およそ一位現象」が発生しやすいのですが、今月はツーカーの動きが止まっていたために、「おそよ一位現象」は発生しませんでした。

なお、ツーカーは三月末で完全停波しております。しかし、ツーカーのユーザの数をゼロにする処理は三月分に加算されなかったようです。よって、来月の発表では、KDDIの数値は盛大に削られる(ツーカーをゼロにする処理のマイナスをかぶるため)ということになると思います。

ソフトバンクはホワイト学割があるので、もっと健闘するかと思いましたが、僅差で一位でした。

ドコモは意外に健闘しています。二年縛りと引き換えの「家族間定額」の効果などがあったのかなあとか、人間以外の契約が多かった(自動販売機など)のではないかと思ったりしています。

「家族間定額」については、これはユーザに料金ではなくて「自由」を支払わせているということで、「解約妨害割」という名前を付け、以前記事にした事もあります。

「家族間通話定額」は「窮屈な携帯の未来」の一部でもある - 「解約妨害割引」と「二台待ち」
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/02/721_d43a.html

今年のドコモは「解約妨害割」(二年縛り+家族縛りの複合妨害)で順調に解約率を減らすのではないかと思います。もしかするとこの4月の数字は、これから一年のドコモの「妨害作戦による健闘」の序章かもしれません。総務省や競合他社は、そろそろこの問題に対策をした方がいいかもしれません。

イーモバイルについては前例のないことなので、多いのか少ないのか解りません。しかし意外と少なかったような印象を受けています。イーモバイルについては現契約者数が非常に少なくて解約の効果がほとんど無いので、もっと盛大に増えていてもおかしくはなかったはずですが、初期料金が高すぎたってことでしょうか(しかし、初期料金を大盤振る舞いしていないのは、正しい判断だと思う)。

ウィルコムについては、新機種が好調で、しかも三月であり、3880円定額も始まりましたが、いつも通りの低空飛行となりました。純減しないのなら、しばらく低空飛行でも良しとしましょうか。来月も低空飛行でお願いします。


◆意外と重大な事実:AUが3000万突破で「帯域追加割り当て」の権利発生

結局、大勢としてはこれまで通りの流れの範囲内の結果でした。数字としては。

それ以外については、
・ドコモの(PHSを含む)市場シェアが、50%を切った
・AUが3000万に到達した

前者については、とうとうという感じもしますし、むしろ「まだドコモは半分もある」というところに驚きを感じます。

ドコモには、ドコモ式の優良ユーザ(支払いが良くて、ろくに使わないので設備に負担をかけず、解約せず、機種変更もあまりせず)がかなり多いはずです。その上に「解約妨害割」が順調な滑り出しです。ここ数年で第三世代の初期の大失敗を帳消しにして強固なインフラを構築し、次世代(LTE)では万全の体制を敷きつつあります。三分の一になる日は当面来ない気もします。

後者ですが、これは意外に重要な事実です。

通常ならば、これは言ってみれば「キリ番」なだけであって本質的には達成前と達成後で特に違いはない、というのが正しい理解だと思います。3000万達成が公約だったらしいことを考えても、本来はそうだと思います。

ところが、AUの3000万確保は「戦略的な意義」があります。

というのは、AUは3000万確保によって「電波帯域を追加で割り当ててもらう権利を得た」のです(そのはずです、間違っていたら訂正します)。

3G事業者は、帯域割り当てを公平にするために「利用者数に対して帯域の割り当てを行う」というルールが出来ています。これは、利用者数に対して帯域が多いと有利になるために、追加割り当ては公平にしようということで決まっているルールです。

「利用者数に対して帯域が多いと有利」の典型的な例としては、イーモバイルが挙げられます。パソコン向けに定額を提供できているのは、新規参入なので(最初は)帯域に思いっきり余裕があるためです。イーモバイルはその余裕を取り崩して初期の評判を作ったのです。

実はソフトバンクの音声定額も、第三世代への移行が送れていて第三世代のユーザ数が他社よりも少ない事を逆手に取った作戦でした。そのことは、孫社長自身が認めています。

例えば、ドコモがしばらく前に1.7Ghz帯の東名阪帯域を割り当てられていますが、これもこのルールによる追加割り当てでした。

AUは2Ghz帯はあまり活用していないのですが、800Mhz帯を鬼のように活用しているために、結果的に全体では「追加割り当て条件」に到達した、というわけです。AUが2Ghz帯をあまり活用していない事はいろいろ言われますが、実はトータルでは帯域を有効利用していたというわけです。


◆追加割り当ての権利

次世代(LTE)への移行には、既存の帯域をなんとかして開けるか、新帯域が必要になります。

ドコモは鬼のような設備投資をしていますから、ドコモにしか出来ない文字通りの力技で既存帯域に空きを作る事もできるでしょう。またそもそも、追加割り当ての権利も持っています。

AUは2Ghz帯には(今のところは)比較的余裕があるので、こちらで空きをひねり出す事は可能でしょう。そして、追加割り当ての権利まで手に入れてしまいました。

今後割り当てられる可能性のある帯域を挙げると、

・1.7Ghz帯の残り
・700/900Mhz帯
・1.5Ghz帯の再編後の再割り当て

AUはこれらで優位に立ったと言えるのではないでしょうかと。

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700 LTE不採用も選択肢:HSDPAの改良版(HSPA+)は100Mbps近く?まで到達する

さて、次は現在使われている第三世代携帯電話(W-CDMA/HSDPA)が、意外にもかなり高速化できる(スペック上は)ということを書いてみたいと思います。

次世代に移行するだけが選択肢ではないぞという話。

前回の怪しい記事に引き続いての投稿です。

前回の怪しい記事:
「LTEが250Mbpsを出しました」は実はそれほど凄くない
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/701_lte250mbps_f4e9.html


◆その前に「現実」の話を

この記事ではインフレ気味の話を書きますので、まず最初にバランスを取るために現実の厳しい側面について書いておきたいと思います。

W-CDMA/HSDPAは、事実上世界標準になっている第三世代携帯の方式です。適当ながらスペックを書くと以下のようになります。
・必要とする帯域:5MHz×2(下り:基地局→端末に5MHz、端末→基地局に5MHz)
・下り最大速度:384Kbps/3.6Mbps/7.2Mbps/14.4Mbps(場合による)

現在利用されている通信方式においては、5Mhz幅×2のペアは広い方です。しかし次世代通信方式は大量に帯域を使う事が多いので、将来に向かっては狭い方ということになりそうです。

速度についてはW-CDMAだけでは384Kとなります。いわゆる3.5世代と呼ばれたりするHSDPAを利用すると、3.6Mbps/7.2Mbps/14.4Mbpsとなります。

普通のHSDPAでは3.6Mbpsです。日本では現在7.2Mbpsの導入が始まっているところです。ただし7.2Mbpsにしても単純に2倍になるという感じではありません。

7.2Mbps化はそれほど苦労しなくても対応できること、利用者は表面上の数字に騙されやすいので商売上の効果があること(○○最速とか銘打っているところが実際ありますね)、そして実際の高速化の効果も割とあるということで7.2Mbps化までは各社の対応が進むのではないかと思います。

問題は次の14.4Mbpsです。これは対応がかなり手間である上に、実際の高速化の効果は知れているようです。そのため、HSDPAは7.2Mbps化で止まり、そのままLTEに進むだろうなんていう話も聞きます。

7.2Mbps化で終わりかもしれない、という現実があるのだと書いた上でインフレの話に進みたいと思います。


◆第三世代だって速度インフレは起こせる

光ファイバー並みだとかいわれている次世代技術ですが、発表されている数値はかなりインフレしていてそのまま真に受けるべきものではないのだということを前回書きました。

たとえば7.2Mbpsという数値は(実際の利用で7.2Mbps近辺の速度なんて絶対出ない、という問題点はありますが)、いわば次世代が使っているインフレのテクニックを使っていないスペックです。

ならば、HSDPAに次世代と同じような速度の水増し(というのは言いすぎか)を行ったらどうなるかというと、実はかなりスペックをあげることが出来てしまいます。

しかも、5Mhz幅×2でです。

それでは以下、ご覧下さい。


◆MIMOを採用する

まず最初に、基本の速度としては「14.4Mbps」を採用する事にします。先ほど7.2Mbpsで現実的には打ち止めではないかという話も書きましたが、以後あっさり無視します。

基本は14.4Mbpsとします。

そしてこれ以降の議論は超適当な内容を含むことを先にお断りしておきます。

MIMOとは前回の記事で実にいい加減に説明した通り、通信端末にアンテナを何本も生やしたりして、(スペック上の)速度を倍増させたりする方法です。

W-CDMAでもMIMOを利用する事は可能で、現実にMIMOの利用はすでに計画されています(HSPA+で)。

2x2MIMOで速度が2倍になったと言い張る事が可能です。よって、

・2x2MIMO化(×2):14.4Mbps×2=28.8Mbps

LTEが速度を誇張する際には、4x4MIMOが出てきます。4x4MIMOなんて実用的なのかどうかとか、×4するのはどうなのかという話はさておいて、

・4x4MIMO化(×4):14.4Mbps×4=57.6bps

かなりの速度になりました。一般の新聞ならば「従来の第三世代携帯でも光ファイバー並みの通信が可能になった」とか書きそうです。

同じ理屈でどんどん数値を増やす事も出来ますが、こういう手品はほどほどのところで止めておくのが無難です。


◆多値変調化

速度を稼ぐ方法は他にもあります。速度が出る変調方法への変更です。

AUは「EV-DO Rev.A」で通信速度を2.4Mbpsから3.1Mbpsに引き上げました。これと同じ方法がHSDPAにも使えます。また念のために書いておくと、EV-DOは「1.25Mhz幅×2」(HSDPAの四分の一の帯域幅)で実現されています。

素のEV-DOでは16QAMという変調方式が用いられていました。これは信号を送る波形を最大16通りのパターンにして情報を送信する方式で、16通りですので一つの信号で4ビットの情報を送る事が出来ます。

EV-DO Rev.Aではこれが最大64QAMになりました。64QAMでは最大6ビットの情報を送る事が出来ます。

HSDPAは現在16QAMを用いています。ですから、同じように64QAM化して高速化する余地があります。

算数レベルでは、
・4ビット→6ビット:つまり1.5倍の情報が送信可能
となります。

実際のAU(EV-DO)の速度向上を見てみると
・2.4Mbps→3.1Mbps:およそ1.3倍
というわけで、1.3倍くらいは高速化できそうだ、と言える根拠は出来ました。


◆最終的な計算

全部組み合わせてみる事にします。

・14.4Mbps×4×1.5=86.4Mbps

ほぼインチキですが、100Mbpsの一歩手前まで来る事が出来ました。もうちょっとで大台に乗っていないのが実に残念です。ウィルコムの800kbpsと同じくらいに残念です。

これ(86.4)をさらに四捨五入に及ぶと。
・およそ90Mbps
これを伝言ゲームすると「ほぼ100Mbps」ということになるかもしれません。よかったよかった。

なお、×1.3と×4を使って計算すると
・14.4Mbps×4×1.3=74.9Mbps

×1.5と×2を使って計算すると
・14.4Mbps×2×1.5=43.2Mbps

×1.3と×2を使って計算すると
・14.4Mbps×2×1.3=37.4Mbps

以上、「算数」を駆使することによって、HSPA+でもそれなりのスペックにできるということが解りました。

MIMOが派手にスペックを稼ぐのにとても便利であるのもよく解ります。実際、次世代技術の常套手段です。

念のために書いておくと、以上の考察は不正確極まりないので、結構スペックを稼げるんだな、と理解した時点でこれまでのことはすっかり忘れてください。


◆LTEに対する優位点

HSPA+はそれなりの速度(スペック上は)を実現する事ができます。また、LTEにしたところで(LTE用に広い帯域幅を用意するのでなければ)、超絶な速度の向上が見込まれるわけでもありません。

LTEをサービスインするには
・LTE用の新帯域を用意する(帯域幅が広くないと真価は発揮されない)
・または既存の第三世代の帯域を空けて電波を止める
・基地局を整備し、端末を用意する。
・新帯域・新基地局と、旧端末は通信できない

つまり、第二世代から第三世代への乗り換えと部分的に同じ事をしなければなりません。違う点は、PDCとW-CDMA両対応の端末が存在しなかったのに対し、W-CDMA/HSPAとLTEに両対応した端末があるとだろう点です。移行はちょっと大変です。

HSPA+ならば、
・新帯域を用意する必要が無い
・既存の通信方式の電波と混ぜて使う事も出来る。
・基地局は新旧混合で次第に置き換わってゆくこともできる
・旧型の端末と新型基地局は通信できるので、端末の置き換えも次第に進められる

初期のLTEを積極的に様子見するのも選択肢としては考えられる、ということです。スペック上の速度が見劣りして困る点についてもHSPA+である程度は対策可能ですから。またそもそも、無茶苦茶な速度は実際の利用ではあまり必要になりませんから、利用者が不便を感じる事も少ないでしょう。

例えば、ソフトバンクやイーモバイルはこうやってLTEが「安くて安全」になるまで時間稼ぎをする方法もあるということになります。

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701 「LTEが250Mbpsを出しました」は実はそれほど凄くない

しばらく前にドコモが「LTEで250Mbpsを出しました」という発表をしていましたが、その件に関して記事を書きます。


◆以前に書いたとおり、速度発表競争にはさほどの意味は無い

以前こういう記事を書いていました。

モバイルWiMAXやSuper3G/3.9世代/LTE関係のニュースで注意すべき点(復習)
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/02/732_wimaxsuper3_1c54.html

モバイルWiMAXやLTEなどで、時々「こんな凄い速度が出ました」という発表がされることがあります。

しかし、実際のところそういうニュースで出てくる数字は、サービスインした時に実際に出る速度とはほぼ無関係な数字になっています。また、モバイルWiMAXもLTEも次世代PHSも、スペック上の最高速度の面については、本来的に似たようなものであるということを書きました。

今回の記事では、しばらく前のドコモが250Mbpsを出したという発表について、この数字が実際にどれほどのものか一度考えてみる事にします。

以下、説明としては「相当に適当」になりますが、小学生でも計算できるレベル(算数)で考えてみることにします。以下はあくまでも非常にざっくりした話である事はお忘れなく。


◆どういう条件でなのかを一度整理する

NTTドコモ,Super 3G(LTE)の屋外実験にて250Mビット/秒を達成
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080326/297182/

まとめると以下のようになります。

・通信方式はLTE(Super3Gや3.9世代とも言われているもの)
・20MHz幅×2(上下あわせて40MHz幅の帯域利用)
・理論値は300Mbps
・実測値は250Mbps(理論値の83%)
・4x4MIMO

まず、理論値の83%というのがどうも怪しい数字です。

どれくらい怪しいか例を出しましょう。イーモバイルの理論値は7.2Mbpsですが、その83%は6Mbpsにもなってしまいます。同じく、HSDPAの理論値14.4Mbps(むしろこちらの方が良いでしょう)の83%は、12Mbpsとなります。実際の利用環境とはかなり違う状態での数値である事が疑われます。

そこで以後の考察では「300Mbps」の方の数値で考えてゆく事にします。300Mbpsはどうなんだというところもありましょうけれども、記事中に出てくる数字をそのまま用います。

帯域幅は現行のLTEの「贅沢の限界」まで広げてあります。
・下り(基地局→端末)に20MHz幅
・上がり(端末→基地局)に20MHz幅
20Mhz幅×2というのは、ドコモのFOMA用の2GHz帯全部にも相当します。当面の間は20MHz幅でのサービスインは難しいと考えられ、頑張って10MHz幅か5MHz幅でのサービスインがせいぜいのところでしょう。

「4x4MIMO」というのは基地局と端末の間の通信を「最大で4重化」する技術を使うということです。現在のところ、携帯電話でMIMOを利用するのは難しい状況なので、当面はMIMOなしでサービスインすると考えるべき状況です。

次に順番にこれらのインフレ要因を剥がしてゆく事にします。


◆4x4MIMO

「MIMO」というのは、基地局と端末の間の通信経路を増やすとでも言うような方法です。

現在普通に使われている携帯電話では、基地局と端末の間に一つの通信経路があり、これで通信をします。これを「道が一本」あるようなものだと思ってください。するとMIMOとは道を何本かに増やすような方法になります。

例えば、携帯端末にそれぞれ全く違う電波の受け方をする(違った個性をもつ)アンテナを複数つけると、アンテナごとに基地局との通信経路(電波が飛ぶ道)が全然違う状態が発生する事があります。二つのアンテナの電波が全く違う経路を通り、それぞれが完全に独立して基地局に到達しているとすれば、道が二本に増えたとでも言えるような状態です。

4x4MIMOというのは、道を最大で4本に増やそうとしているハードウェアで通信する事だと思ってください。また、「最大で4本になりうる」というだけで、常に4本になるわけではない点にも注意しましょう(おそらく「ならない」方がほとんど)。

MIMOは別にLTEだけに限らず、他の通信方法でも用いる事が出来ます。モバイルWiMAXや次世代PHS(XGP)でもMIMOは採用される見通しですし、現行の第三世代でもMIMOの利用が検討されています。

MIMOには色々面倒があり、実用的に利用できるのかどうか怪しい点もあります。

4x4MIMOでは「最大で4本の道」ですから、算数レベルでの考察ということで、素直に300Mbpsを4で割ってしまう事にしましょう。どうせ概算ですし、引き続いて行う計算で打ち消されるとおもって今は気にしない事にしましょう。

300Mbps÷4=75Mbps


◆75Mbpsという数値に似た数字

「75Mbps」に似た数字がこれまで頻繁に登場していた事があります。WiMAXバブルを牽引した「WiMAXは光ファイバー並みの70Mbpsを出す事が出来」の70Mbpsです。

その話での固定WiMAXが70Mbpsを出すという話(この話が出てくるときには大抵モバイルWiMAXと混同の極みでしたが)、WiMAXの最大幅の「20Mbps幅」での最高速度です。

・LTEの怪しい概算:75Mbps(下り20MHz幅)
・固定WiMAX:70Mbps(上下20MHz幅)

似た数字になってしまいました。しかもモバイルWiMAXは「上下」でです。


◆10Mhz幅にしてみる

20MHz幅でのサービスインの話は今のところ無いので、10Mhz幅にしてみる事にします。帯域幅を半分にすると、実際には速度は半分以下に落ちますが、最初から算数ですからそのまま二で割ってしまう事にします。

300Mbps÷4÷2=37.5Mbps

そして、ここでいう「300Mbps」の数値に相当する数値を他方式から持ってくることにします。

・LTEの怪しい概算:37.5Mbps(下り10MHz幅)
・モバイルWiMAX:30Mbpsちょっと上(上下で10MHz幅)
・次世代PHS(XGP):30Mbpsちょっと下(上下で10MHz幅)

まず、LTEだけが下りだけで10MHz幅(上下で20MHz幅)になっています。他の2方式は上下で10MHz幅で、消費する電波資源は半分です。上記は下りの速度ですが、次世代PHSは「上がりの速度」で勝ります。

結局、三方式ともに「似たような数字」になっている点に注意してください。類似の通信技術なので、結局のところ理屈上の最高速度も同じような数字になってしまっているのです。

「実際の利用環境で安定して利用できるか」という点については三方式は相当に違いがあると思われますが、このような数字にはその違いは出てきません。


◆5Mhz幅にしてみる

引き続いて調子に乗って5MHz幅にしてみることにしましょう。

300Mbps÷4÷2÷2=18.75Mbps

帯域を四分の一にしたら、速度低下は四分の一では到底すまないので、試しに参考に5で割ったものは以下です。最初からいい加減な算数に過ぎませんから、細かい事をあまり気にしても仕方はないので参考値です。

300Mbps÷4÷2÷2=15Mbps

5Mhz幅といえば、従来のW-CDMAの帯域幅と同じになりました。HSDPAは現在(スペック上は)7.2Mbpsで、理屈の上ではスペックは14.4Mbpsにも出来ることになっています。

LTEの怪しい概算:18.75Mbps(下り5Mhz幅)
HSDPA:14.4Mbps

なんと、これも大きく違わない数字になってしまいました。15Mbpsの方を採用するとなると、ほとんど同じになってしまいます。

LTEになったら画期的に性能がアップする、とか思っていた人も居ると思います。画期的というのは性能が一桁上がるようなイメージだということだとすると、そういう結果は全く期待できないということになります。

同じような数字になるのにはちゃんと理由があって、電波に乗せることの出来る情報量には理論的限界値が存在し(シャノンの定理)、現在の通信方式は十分に進歩したために、最初から理論的限界の天井の近くまできているためです。

夢のない話ですが。


◆まとめ

LTEで光ファイバ並みの速度が出ると思っていたら大変がっかりするには違いないのですが、進歩はしています。

例えば、HSDPAで実測5Mbpsを出すのはちょっと難しいですが、5Mhz幅のLTE(MIMOなし)の場合には5Mbpsは出るのではないかと思います。劇的には速くなりませんが、速くなる事は確実ではあります。

ですが、日本全国のW-CDMAの基地局を大変な苦労をしてLTEに置き換えて可能になることは、(当面は)その程度でしかないということでもあります。ドコモ様にとってはともかく、ソフトバンクモバイルとイーモバイルにとっては困った事実でもあります。

なお、モバイルWiMAXとLTE(ないしは新しい勢力の)の最高速度発表競争が今後もあるかもしれませんが、この記事で示したとおり、結果としては似たような数字のものを「発表の仕方を工夫して派手に見せている」だけのことであり、

通信技術の競争というよりも、プレゼン技術の競争

というのが現在の速度競争の真相だと思われます。

また言い換えれば、将来における本当の勝負のポイントは最高速度ではないと思われます。どこで勝負が決するかはわかりませんが。

LTEは遅延を極端に小さくしていたり、次世代PHSは「他の技術では干渉でエリア設計が崩壊する基地局配置でも平然と動作する」ようになっているであろうとか、そういうことの方がおそらく大事なのではないかと思う次第です。

あるいは単に初期に市場の多数を占めるという事実かもしれませんが・・

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702 続き:KDDIが次世代の「様子見」をする条件が揃った?ベライゾンのLTE早期開始で

続きの記事を投稿します。

やっぱりLTE:北米の700Mhz帯の使い道が発表される
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/703_lte700mhz_efbc.html

の続きです。


◆KDDIが「事前に確認したいもの」は全て事前に?

ベライゾンはLTEに一気に移行するというような感じの発表でした。移行すると決めた以上全力で、ということではないかと思います。

ベライゾンが言っているとおりに2010年「まで」に北米でCDMA2000+EV-DO+LTEのサービスインが実現した場合を考えてみます。ベライゾンは2009年2月から帯域を利用する権利がありますから、確かに2009年から早速LTEのサービスを始めたいところでしょう。帯域を遊ばせておいても意味がないですから。

この場合、KDDIが「様子見牛歩戦術」を取りたいと考えている場合には、実に都合の良いことになるかもしれません。。

KDDIが取りうる次世代の選択肢はおおよそ以下のとおりです。

・LTE(Super3Gや3.9世代とも呼ばれているもの)
・モバイルWiMAX(あるいはその改良版)
・UMB(クアルコム版の3.9世代)

現在KDDIはLTEとモバイルWiMAXを候補として考えているはずです。あるいは両方とも駄目だった場合には、敢えてUMBに移行することもあるかもしれません。

これ以外の可能性は低いですが、「あえて」それ以外の候補を挙げるとすれば、京セラ繋がりで次世代PHSも候補とする事は可能かもしれません。

KDDIが現在知りたいのは、「CDMA2000からLTEに移行したらどうなるのか」ということと、「モバイルWiMAXは携帯として(今後)どの程度使い物になるのか」(現状のままでは使い物にならないとKDDI自身が事実上認めている)の二つのはずです。

次世代はLTEで決定という空気もありますが、次世代はW-CDMAで決定の空気だったのにサービスインしてみるとひどい状態で、最初からきちんとサービスインできたCDMA2000を採用していたAUが快進撃をするきっかけになったということもあります。

LTEが駄目とわかってW-CDMAキャリアにはHSPA+が流行り、KDDI自身が手がけるモバイルWiMAXはもう勘弁な状態、という場合には「それ以外の候補」が正解になる可能性はあります。

逆にいえば、LTEが「外れクジ」だった場合に、CDMA2000からLTEに移行を開始してしまうとKDDIには逃げ場所がなくなります(KDDIはHSPA+に逃げられません!)。よって、仮にLTEが外れクジだった場合に移行を決めてしまっていると、KDDIには取り返しのつかない事態になる可能性もあります。

そして、以下のKDDIの知りたい以下の事は、近いうちに判明する可能性があります。

・CDMA2000からLTEに移行したらどうなるのか
・モバイルWiMAXは(今後)携帯としてどの程度使い物になるのか

都合のよいことに、2009年の終わりには上記二つの疑問にある程度の答えが出ている可能性があるかもしれません。


◆2009年

日本ではドコモが2010年中にLTEを開始したいといっています。ドコモがLTEを早期にサービスインしようとするのは間違いありません。ただし、LTE用の帯域を早期に用意するのは難しい状況に思えます。

おそらく本格的にLTEがサービスインするのは2011年以降になるのではないかと思います。あるいは、サービスイン自体が2011年に遅れてしまうかもしれません。

ソフトバンクとイーモバイルについては、LTEのスタートダッシュで大勝負を仕掛けてくるなどのことが無い限り(しかもそんな事をしてもドコモには勝てないでしょう)、普通に考えてドコモよりはサービスイン計画が遅れる事になるはずです。また、両社ともにHSPA+で高速化をしつつ様子を見ることも可能な状況です。

そのとおりになるかどうかは定かではありませんが、アメリカの700Mhz帯の記事では、スプリントは「2010年までには」と言っています。

まとめるほどの事ではないですが、

2009年~2010年 ベライゾンがCDMA2000+EV-DO+LTEのサービスを開始
2010年 ドコモがLTEのサービスを開始予定
2011年 ドコモのLTEへの移行の本格化?、他の二社もLTEへ着手?(あるいはHSPA+で様子見)

「ベライゾンのサービスインが2009年~2010年早期に行われる前提」においては、KDDIが「ベライゾンのLTEへの移行の様子を実際に確認してから」次世代への態度を決定しても、ドコモのLTEへの移行に大きくは遅れを取る事は無い、ということになります。

しかもベライゾンはKDDIと全く同じ状況の「CDMA2000+EV-DO+LTE」です。KDDIにとって一番知りたい「CDMA2000から移行した場合何が起こるか」が事前に解る事になります。

また、KDDIのモバイルWiMAXの予定を書いてみると、

2009年2月 東京23区および横浜市などで試験サービス
2009年夏 東名阪地区へとエリアを拡大/商用サービスを開始
2009年度末まで 政令指定都市
2010年度末まで 全国主要都市

こちらも2009年中にどの程度のものかは判明するでしょう。なにしろKDDI自身が手がけていますから、他社には解らないことまですっかり解っているはずです。

またスプリントがモバイルWiMAXをどうするかについてもさすがに2009年中には決着がついているでしょう。CDMA2000+モバイルWiMAXを(本気で)採用する陣営が北米に存在するかしないかということも解っているはずです。

おまけに次世代PHSも2009年末までには姿を現しているはずで、しかもこちらは身内の京セラが開発していますから内々の情報まで知る事も出来るかもしれません。

もしLTE自体が遅延した場合には、ベライゾンもドコモもその他他社も同じくサービスインが遅れるはずです。様子見できる時間そのものが延びます。

ベライゾンが「可能な限り早期のLTEサービスインを目指す」前提において、KDDIは「見たいものを全部見てから、次世代をどうするか決める」ことが出来るかもしれないということです。

KDDIは2009年末までならば、EV-DO Rev.Bをサービスインしつつ問題なく様子見を続ける事はできるはずです。なにしろ他社の次世代はまだ全然始まらないのですから。

モバイルWiMAXは「自分のところがサービスイン」しますし、次世代PHSは少なくとも問題になる携帯三社とは関係無いですし、日本でのLTEはもう少し時間がかかるでしょうし(帯域の用意の問題などで)。


◆ベライゾンにとっての2009年

ベライゾンからすると早期にLTEへの移行に成功すれば、日本のKDDIやスプリントも自陣営(CDMA2000+EV-DO+LTE)に巻き込むことができる可能性が増えます。この場合、仲間は増えるに越した事はありません。

また、既存の帯域の切り替えではなくて「新規の帯域」ですから、LTEを遅らせても帯域が遊ぶだけです。新しく獲得した700Mhz帯に繋ぎでCDMA2000の電波を吹くことも考えにくいですし。

エリクソン(など)からすると、北米のベライゾンは既にLTE側につき、スプリントは弱体化しており、あとはKDDIさえ陥落させれば日米欧はLTEでほぼ完全制圧したことになります。

しばらく前まではKDDIとスプリントがCDMA2000+モバイルWiMAXで似た取り組みをしており、ベライゾンも次世代への態度未定でした。CDMA2000陣営の世界三大キャリアはしばらく前までいずれもLTE陣営には居ませんでした。

場合によっては揃ってUMBやモバイルWiMAXを採用してLTEと敵対勢力として集結する可能性すらあり、CDMA2000陣営の三大キャリアはエリクソン(など)にとって問題勢力でした。この三キャリアからLTE以外が育ち、世界に広がる可能性がありました。

しかしスプリントとモバイルWiMAXは急速に弱体化し、2007年末にはベライゾンがLTE側へ完全に寝返りました。

KDDIは以前にはUMBに移行する雰囲気濃厚で、モバイルWiMAXにも手を出しているという厄介な存在だったはずです。しかしKDDIのUMB移行の可能性は低くなり、ここでベライゾンのLTEへの早期移行を問題なく成功させればKDDIの心が大きく揺らぐのは確実です。

もし2009年中にベライゾンの大成功が見えてしまえばKDDIの将来はほぼ決定です。そうなればドミノ式にスプリントの将来も自動的にほぼ決定となりましょう。

またKDDIがLTEへの移行を決定した場合には、ベライゾンの移行例を参考(真似)にして割とスムーズに移行するということになるでしょう。そうなれば日本でLTEへの移行競争勃発という事になりましょうから、LTE陣営としてはこれも思う壺という事になります。

そしてKDDIからすると、結局もうしばらく様子見をしていれば必要な事はかなり解ってしまうという事になる気がします。しかもモバイルWiMAXを自分の手の中に握ったままで。

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703 やっぱりLTE:北米の700Mhz帯の使い道が発表される

北米の700Mhz帯の割り当てについての記事です。

しばらく前に記事に書いた「北米の700Mhz帯割り当て」の落札者が、獲得した帯域を何に使うかということをとうとう語り始めました。


◆これまでは言ってはいけなかったらしい

これまでに記事で説明した通り、アメリカの周波数割り当ては入札で行われていて、そして入札は既に終わっていました。しかし、終わったのに詳細は解らないという変な状態が続いていました。落札者が落札した帯域についてマスコミにコメントをしてはいけない期間が設定されていたためです。

そして、ようやくその期間が経過しまして、落札組が「獲得した帯域を何に使うか」を語り始めました。これについての記事です。


◆ベライゾンは

Verizon、落札した700MHz帯のプラン発表
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/05/news011.html

注目のCブロックをはじめ、帯域を多量に獲得したベライゾンの使い道は次のとおりだそうです。

Verizonは2010年までに、新たに獲得した700MHz帯でLTE(Long Term Evolution、別名スーパー3G)を採用したネットワークを構築

LTEに使うそうです。

帯域は2009年2月から利用可能になるのですが(アメリカのアナログ地上波が停波する)、2010年「まで」には、LTE(ないしはSuper3G/3.9世代)を開始するそうです。

このブログをずっと読んで下っている方には、帯域をLTEに早期に全部使う方針はほとんど想定のとおりだったと思います。そしてこれもこれまで書いてきた通り、ベライゾンが全力LTEモードに入った、ということは「通信技術の勢力図が将来どうなるか」にとって決定的事件でもあります。

(ベライゾンについては以前からいろいろ書いているので、読んでいない方jは以前の記事を)

ベライゾンはCDMA2000陣営(クアルコム陣営)で世界最大の電話会社で、それが2007年終わりに「LTEを採用します」と宣言するという大事件がありました。もし仮にその時、ベライゾンが「UMBを採用する」と宣言していて、そして700Mhz帯を同じように獲得していたら、形勢は全く違ったものになっていたはずです。KDDIがUMBを採用する確率は確実に上がり、スプリントも結局UMBを採用する可能性もあったかもしれません。

しかし、CDMA陣営最大の電話会社はLTEに寝返ると宣言した上に、最後のモバイル用電波の一等地のオークションで帯域を大量獲得し、そして帯域を全て、しかも早期にLTEに投入するということになりました。

ベライゾンは「2010年までに」と言っています。ドコモは「2010年に」LTEを開始したいといっていましたから、それよりも早いことになります。もちろん、これは具体的な計画を考えていない発言であるだけの可能性もありますが、とりあえずはサービスイン開始になり次第、基地局を買ってきて整備を開始するつもりである、ということでの発言であることは間違いなさそうです。

もしかすると、世界初のLTEサービスインは、何とCDMA2000陣営の筆頭のベライゾンが勤めることになるかもしれません。

また、2.5Ghz帯を獲得して、しばらく前までモバイルWiMAX熱に浮かれていたスプリント(同じくCDMA2000陣営)とはとても対照的な状況になりました。

ただしベライゾンが困った事になる場合も無いわけではなく、初期のLTEが酷い出来で盛大にコケた場合や、ここからLTEの実用化が延々難儀するようなことになった場合には、ベライゾンも困った状況に追い込まれることもあるかもしれませんが。

◆AT&Tとクアルコム

AT&TとQUALCOMM、落札した700MHz周波数帯の利用計画を明らかに
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/05/news010.html

AT&Tも同じように獲得した帯域の利用方法を発表しています。

AT&Tは獲得した700MHz帯で、HSPA+(HSPA Evolution)およびLTE(Long Term Evolution、別名スーパー3G)によるネットワークを構築する計画という。

というわけで、AT&Tは「GSM/GPRS/EDGE, W-CDMA/HSPA/HSPA+, LTE」という、GSM/W-CDMA陣営の王道を進むようです。

また注意して欲しいのが、AT&Tは「HSPA+とLTE」に帯域を使うといっており、ベライゾンは「LTE」だけに使うと言っていることです。前回の記事に書いたとおり、ベライゾンは「CDMA2000/EV-DO+LTE」に移行するのであって、「W-CDMA/HSPA/LTE」に移行するわけではない、ということがこれでよく解ります。

KDDIがLTEに移行する場合にはベライゾンをそのまま真似するはずですから、KDDIがW-CDMAを採用するかもしれないという話はやっぱり勘違いのようですね。

そして帯域がペアになっていないEブロックなどを獲得したクアルコムは、帯域をMediaFLOに使うそうです。これによってクアルコムは自らモバイル向けのテレビ放送局を運営する事になります。クアルコムが「マスコミ」だなんて、なんかイメージと違う感じです。


◆HSPA+

まずAT&TのLTEへの移行ですが、AT&TはGSM/W-CDMA陣営ですから(日本ではGSMは採用されていませんけれども)、ドコモやソフトバンクやイーモバイルと似た状況ということになります。

AT&TはLTEだけに使うつもりではないようで(あるいはLTEの導入はしばらく待ってからにするのかもしれません)、現在の3.5世代(日本でHSDPAと呼ばれているもの)を高速化したHSPA+(HSPA Evolution)にも使うと言っています。

HSPA+はサービスインはまだこれからですから、これからHSPA+も「新たに」採用する、ということになります。つまり、LTEの前に一段階はさむということかもしれません。

LTEはW-CDMAとは全く違う技術なので導入には色々と苦労があるはずですが、HSPA+はW-CDMAやHSDPAの延長線上にあり、混ぜて運用するのにさほどの苦労はないはずです。少なくともLTEへの移行よりは簡単なはずです。

また、今は第三世代の基地局を普通に買ってくるとW-CDMA/HSDPAですが、これが今後は自然にW-CDMA/HSDPA/HSPA+になってゆくはずです。その基地局を今までどおりに設置し、今までどおりの帯域で従来の基地局と混ぜて利用しつつHSPA+への(段階的)移行ができるはずです。

しかもスペック上は結構な速度向上になります(実用上どうかはともかく)。

一方でLTEは完全に切り替え作業をする必要があります。

またLTEと違って現行技術ですから、導入したけどトラブルだらけというなリスクも低いはずです。LTEは大失敗するかもしれませんし、初期のLTEは手を出すべきものではないかもしれないからです。

#場合によってはHSPA+こそが当面の正解になる可能性もあります。

異次元の資金力と技術力のドコモ様はともかく、ソフトバンクやイーモバイルもLTEをしばらく様子見してHSPA+を採用することもありえる選択肢だと思えます。


(長くなったので続きは次の記事で)

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704 とうとうKDDIもLTE陣営に寝返る (という報道)

KDDIがLTEを採用するという報道がありました。


◆という報道

KDDIが(KDDIも)LTE陣営に寝返りました、という報道がなされました。

KDDI、「LTE」採用でドコモなどに合流検討
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/01/news055.html

一応注意すべき点は、「KDDIからは一切何の発表も無い」ということですね。あちこちから報道はされていますが、結果としてはガセかもしれませんから皆さんご注意下さい。この種の誤報は何度かありますから。

世間的には驚きの事実でもあったようですが、このブログをずっと読んでおられる方にとっては想定どおりの流れだったのではないかと思います。

#驚いた方も2007年末あたりから読んでいただけると、なるほどということになると思います。

例えば、以下の記事にはそのあたりのことがすっかり書いてあります。

2.5Ghzシリーズ:KDDIはモバイルWiMAXと、LTEとUMBを天秤にかける
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/769_25ghzkddiwi_cf3c.html

迷子のCDMA2000陣営(含むKDDI/au)
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/765_cdma2000kdd_339e.html

CDMA2000陣営で最大だったアメリカのベライゾンが2007年末にLTEに寝返るという大事件がありまして(これが決定的でした)、同じくアメリカのCDMA2000陣営だったスプリントは次世代うんぬん以前の状態になってしまっており、クアルコムのUMBは怪しい感じになってきておりました。UMBが技術的に云々ではなくて、みんながLTEを採用するからLTEという流れで。

予想外なことがあるとすれば「LTEに寝返ることがもう発表されてしまった」ということでしょうか。というのは、KDDIにとって望ましい戦略と思われるのは「牛歩(次世代技術をどれにするか態度保留のままにする)」であるように思えるためです。

KDDIからの正式発表はないので、本音としては(今のところ)LTEに寝返るつもりでいるのだけれども、表面上は態度未定を続けるということかもしれません。報道は「KDDIの意図しないもの」であるとすれば納得は行きます。


◆再度、KDDIのポジション

ドコモは「LTEを作っている張本人(の一人)」なので、LTEを採用するも何もありません。ドコモ自身がLTEである、とでも言うべき状況です。

ソフトバンクとイーモバイルについてはW-CDMA陣営で、現在W-CDMAとHSDPAの組み合わせ(に移行中)です。よって将来の選択肢は「主に」以下のとおりです。

・HSPAの進化版を採用して、W-CDMA/HSPAのまま高速化する
・W-CDMA/HSPAに加えて、LTEを採用する
(・W-CDMA/HSPAにモバイルWiMAXを組み合わせる)

もっと驚くような作戦も考えられますし、そういう驚愕の逆転戦略を打ち出す可能性があるかもしれない二社ですが、普通に考えられるのは以上でしょう。そして、三つ目は前の二つよりも可能性が低いので括弧でくくりました。というのは、2.5GhzをKDDIに取られたためです。

ちなみに、KDDIが寝返ったという報道で、「携帯四社が全てLTEを採用する事に決まった」という報道もありましたが、LTEを(少なくとも初期段階では)スルーする場合も考えられるので、今のところなんともです。

KDDIについては、次世代をどうするか難しい状況になっています。また、どの選択肢を取るにせよ移行が他社よりも面倒な状況になっています。しかし、他社よりも複数の選択肢がある状況です。また、CDMA2000の序盤有利で築いたリードはまだ残っています。

・クアルコムの計画の通りUMBに移行する
・LTEに乗り換える
・モバイルWiMAXに頼る

困った事にUMBへの乗り換えは諸般の事情で超簡単というわけには行かないようですが、クアルコムの作った次世代技術ですからCDMA2000からの乗り換えには配慮されています。

LTEへの乗り換えは他陣営への乗り換えになってしまうのですが、ベライゾンが既に乗換えを表明していて相乗りが出来る事と、そもそもクアルコムからCDMA2000とLTEの両対応チップが出ているような状態で、乗り換えのパスは既にあります。

モバイルWiMAXについては、KDDIは2.5Ghzの帯域を確保しています。KDDIが当初期待した(と予想される)ように、モバイルWiMAXは現在のところ素晴らしい技術ではありませんでした。しかし、モバイルWiMAXが今後化ける可能性もなきにしもあらずで(実際「改良版」は計画されている)、LTEが登場してみると「駄目じゃん」で相対的に価値が上がる可能性もなきにしもあらず。

LTEに移行するのが当たりくじの可能性が一番高いと思いますが、別に今決める必要は無いわけです。モバイルWiMAXは入れ込みすぎないように整備しつつ、例えば

・流れがLTEならばベライゾンの真似をしてLTEに乗り換え、子会社ごとモバイルWiMAXは捨てる
・モバイルWiMAXが大化けしたら、モバイルWiMAXに本腰を入れる
・LTEが大失敗してモバイルWiMAXも駄目なままなら、他社がLTEの失敗に苦しむ中、クアルコムのUMBを採用して脱出する

KDDIはLTEでの競争で最初に先頭に立つのは大変な状況です。なぜならCDMA2000陣営なので、移行の苦しみがあるためです。しかし、他社にはない態度保留の権利があります。

他社はLTEを採用するかHSPAで粘るかしか選択できないわけですから(あるいは2GhzTDD帯をゲットして奇手を打つことを考えるか)。

また、モバイルWiMAXに入れ込みすぎ+経営ピンチでどうしようもなくなっているアメリカのスプリントと違い、KDDIはモバイルWiMAXには距離を持って接していますし、お金にも余裕があります。また現行世代のインフラの整備は一通り完了していて、じっとしている分には(そんなに)お金はかかりません。


◆CDMA2000とLTE

LTEですけれども、3.9世代と言われたりするので、第3世代携帯の直系の子孫であると思われている事もあるようですが、実のところ全然違う技術です。むしろ、「第4世代の初期バージョン」と思った方が良い代物です。そもそも、通信方式が第三世代とは根本的に異なっています。

ですので、W-CDMA陣営の技術は以下のように区分して考えた方が良いでしょう。なんか分類が変ですが気にしないていただくとして、

・第二世代:GSM/PDC
・第三世代:W-CDMA/HSDPA/HSPA/HSPA+
・およそ第四世代:LTE

LTEはモバイルWiMAXや次世代PHSとは類似の技術ですが、W-CDMAとは類似の通信技術ではありません。

つまり、W-CDMA陣営も実は「LTEで全然違う技術に移行しようとしている」のです。ただ、移行に際して面倒が起きたり混乱が起きたりしないようによく考えてある、というだけのことです。

移行する場合には、部分的にW-CDMAの電波を止めるか新しい帯域を用意して、LTEの電波を出す事になります。

ですからLTEは別にW-CDMAの存在を前提にする必要すらなくて、GSMのみのキャリアが(日本には居ませんが)第三世代を完全スルーして、GSM→GSM+LTEに移行する事だってできます。

#第三世代の完全スルーは世界的に結構流行るかもしれません

CDMA2000陣営がLTEに移行しにくいのは、通信技術が異なるからではなくて、「移行に際しての配慮が結果的に十分でない(だって他陣営ですから)」という理由によります。

また、同じくCDMA2000陣営はLTEへの移行に際して、W-CDMAを併せて採用する必要はありません。CDMA2000陣営は、単に以下のように移行するだけのはずです。

・CDMA2000+EV-DO → CDMA2000+EV-DO+LTE

よって、KDDIはLTEを採用する=W-CDMAを採用するという解釈がありますけども、それはおそらく間違いです。なぜならLTEだけ採用できるからです。


◆クアルコムのチップがそもそもLTE対応

これも以前に書いた記事なのですが、そもそもクアルコム自身がLTE対応のチップを作っています。

クアルコムがUMTS/HSPA+/EV-DO Rev. B/UMB/LTEに対応したチップセットの出荷予定
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/02/736_20ghzumtshs_ed71.html

・MDM9200 UMTS/HSPA+/LTEをサポート
・MDM9800 EV-DO Rev. B/UMB/LTEをサポート
・MDM9600 UMTS/HSPA+/EV-DO Rev. B/UMB/LTEをサポート

一つ目はW-CDMA陣営に売るためのチップです。二つ目は、ベライゾン(やKDDI)に売るためのチップ(CDMA2000+EV-DO+LTE)です。三つ目は「全部入り」ですね。

UMBとLTEの組み合わせ方がなんとも悲しい感じはします。UMBを本当は使って欲しいんでしょうね。

つまりこのチップを使って電話機を作れば、普通にCDMA2000+EV-DO+LTEな電話機は作れるということになります。

クアルコムはモバイルWiMAXとは喧嘩をしていますが(過去の記事参照のこと)、W-CDMA陣営とはずっと商売としていますし(そもそも上記の最初のチップはW-CDMA陣営用のものです)、LTEとも関わっています。CDMA2000と違って絶対的な主役ではないだけで。


◆CDMA2000とKDDI

KDDIがクアルコムの技術を採用する事になったのは、KDDI自身の意思によるものではないという話を聞いた事もあります。しかし、結果的に現在のKDDI(AU)の地位があるのはクアルコムの技術力によるものです。

最初から問題なく動作したCDMA2000に対し、初期FOMAはどうしようもない状態が続きました。

AUはFOMAの苦境をよそにCDMA2000の好調を反映して快進撃をはじめ、FOMAが初期の混乱をまだ収拾できないうちに、3.5世代(EV-DO)への移行に成功します(「WIN」が始まった時です)。

AUは3.5世代でなければサービスが難しいパケット定額や着歌などを開始して、快進撃を続けます。FOMAはまだ混乱したままで、ボーダフォン(今のソフトバンク)は第三世代への移行そのものにしくじります。

ところがドコモはその後、ものすごい資金を使ってFOMAをすっかり建て直し(鬼のように基地局を建設するなど)、ここへ来てとうとう巻き返しに成功します。ソフトバンクはまったく別の方法で身を削っての巻き返しに成功します。

ここしばらくはAUは他社の巻き返しをまともに食らっている最中で、なおかつ次世代をどうするかはっきりしない状態にあります。ただし、まだ余裕は残っています。

AUは好調な時代に余計な事をせずにお金を貯め(というか山のようにあった借金をせっせと減らし)、ドコモとの技術の差異が現在のリードを生んだという教訓からかモバイルWiMAXに手を出します。しかし、クアルコムの次世代は面倒な感じになり、モバイルWiMAXも難儀な感じになってしまったのが現状です。お金についてはあるはずですが。

KDDIがLTEを採用するとなると、それは「ドコモと同じ」ということになります。CDMA2000採用後からの大逆転のようなことは発生しにくくなる反面、ドコモから大きく離されることも起こりにくくなるでしょう(もちろん別のファクターを無視してですが)。

KDDIのLTE採用は、KDDIを「永遠の二位」にするんじゃないかなとも思います。

四社ともにLTEを採用するということはそういうことにも思えます。

LTEを脅かす技術が現われない限り、あるいはLTEが大失敗しない限りは、ドコモの一位は当面揺らがない状況になった可能性が高いようにも思います。面白くないですね。

モバイルWiMAXは頼りないですし、TD-SCDMAは籠の中で飼われているだけですし、UMBは採用するところがなさそうですし、802.20を採用するところはなさそうです。インテル様の道楽は失敗、クアルコム様の超技術は出る幕無しということになると、残るは次世代PHSとウィルコムの組み合わせだけが残りますが・・・

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705 エイプリルフールにTD-SCDMAの試験サービス開始 / これの日本への影響

TD-SCDMAについて少し。

このニュース、日本にも結構関係あるぞという話です。


◆よりによって4月1日ですか・・

4月1日(2008/04/01)にTD-SCDMAの試験サービスが始まったようです。

中国でも第3世代へ突入 TDのモニター利用開始
http://www2.explore.ne.jp/news/article.php?id=8761&r=sz

最初の最初の話ではもうとっくに中国全土でサービスインしているはずだったTD-SCDMAですが、ようやくサービスインすることになりました。とはいっても限定的な試験サービスインですが。

区切りが良い日である事は間違いないのですが、4月1日のスタートになりました。ただでも怪しげなところもあるTD-SCDMAなわけですが、エイプリルフールのサービス開始となりました。これは笑いを取るための技術ですと言いたいのでしょうか(笑)。

TD-SCDMAは中国の国策でして、それゆえに同じく国策のオリンピックまでにサービスインすることもこれも国策でした。遅れに遅れていたTD-SCDMAですが、オリンピックで中国自慢の技術(ということになっている)TD-SCDMAを世界にお披露目したいという目標を満たすぎりぎりのタイミングでのサービスインという感じです。

逆に言えば、今回の(試験)サービスインはTD-SCDMAが完成したからというよりも、こういう事情があってのサービスインの可能性があるということです。


◆大丈夫なのかどうか?

ちょっと心配しているのは、オリンピックに間に合わせるために無茶をしていないかということです。

技術的に未熟なままサービスインすると大変な事になるのは過去の例が証明済みです。初期FOMAしかり、WiBroしかり、初期PHSしかり。

TD-SCDMAがどのような状態なのかはまだニュースがありませんが、性能的に問題のある状態ならば現在整備しているインフラはあとでゴミになるでしょうし、使った途端に解るほど明らかに性能的に問題のあるのならば、国の威信をかけての恥さらしという事にもなってしまいます。

しかし後述するとおり、TD-SCDMAの完成度についての詳細な情報は「今すぐ日本に必要な情報」でして、どこかの方に報告していただきたいところです。でも、WiBroの現状すらニュースになりませんから、ニュースにはならないでしょうね。

#実際には悲惨な状態でも「素晴らしい」という報道はされるような気もしますけど・・


◆GSMとのデュアル端末

端末のほうですが、GSM/TD-SCDMAな端末で、TD-SCDMAの電波がつかめなければGSMで通信するような端末のようです。なんとなく、単なるGSM端末として活躍しそうな気がしてなりませんが。

GSM/TD-SCDMAというような端末は他国では全く売れないので、中国国内メーカ数社(レノボを含む)と韓国メーカ(サムスンとLG)だけが端末を供給しているようです。中国国内でもTD-SCDMAには慎重な意見が強い状態なので、韓国メーカが妙に突出している感じも受けます。

オリンピック向けに最低限のエリア整備が行われるであろうことと同様、端末についても最低限格好がつくようなラインナップが準備されるのではないかと思います。正直なところ、こんな動機での端末開発が行われる例は滅多に無いのではないかと思います。国策の携帯電話っていうのは何とも理解を超えた状況です。


◆日本の2Ghz帯への影響

なんとなく日本とは全く関係のないニュースにも思えるのですが、実のところそうでも無かったりします。

TD-SCDMAは、現在再割り当て作業が進行中の「2GhzのTDD用帯域」の候補だからです。

2Ghz帯で候補になっている技術で素性がわかっているものは実はあまり無かったりします。簡単にまとめて書いてみると、

・TD-CDMA:実用化されておらず
・TD-SCDMA:4/1から試験サービスイン(使える状態)
・モバイルWiMAX:面倒なので略
・802.20(クアルコム):サービスイン実績なし
・802.20(iBurst):サービスイン済み、基地局も端末も実物有り
・次世代PHS:開発中
・LTE(TDD):開発中かつ完成は一番遅いと見られる

商用サービスの実績があるiBurstを除くと、あとはよく解らないわけです。

ところがTD-SCDMAも4/1から試験運用されることになったわけでして、中国に行ってみるだけで素性が解るようになりました。

TD-SCDMAがある程度大丈夫そうならば、中国大陸では国策である程度は普及するはずですから、基地局や端末の市場規模も期待できそう、ということになるでしょう。

もし仮に(仮にですが)、TD-SCDMAがとても良い感じに出来上がっていて、日本に一式をそのまま持ってきても大丈夫そうだ、というような事だって考えられなくはないわけです。逆に、「ああ、こりゃどう考えても駄目」ということなら以後考える必要のある選択肢を削る事ができます。

あんまり考えたくない展開ですが、日本でTD-SCDMAを導入するといって手を挙げる陣営があった場合には、まず日本国内で大ニュースになり、次に中国大陸でニュースになり、中国大陸からその陣営にてこ入れなんていう面倒な展開も考えられなくはありません。2.5Ghz帯の終盤の場外乱闘のような状況で、中国大陸の巨大企業やらが全面協力を表明して日本で騒動になるとか。


◆全体の流れから見ると手遅れの技術

このブログを読まれている方なら当然にご存知のとおり、もう既にLTEの巨大な影が見えてきているのが昨今の状況です。全ての話題の中心はもはやこれです。

この状況で新しい第三世代をサービスインするというのはどうもタイミング的に遅すぎます。中国はTD-SCDMAの発展版やら、中国版の3.9Gなども画策しているようですが、少なくとも中国大陸以外での基準で考えると「手遅れ」です。これらは全て、国策で保護された中国大陸でしか生きられない存在です。

ただ、中国は日欧連合のLTEが世界制覇し中国も制圧するのを許さないかもしれません。また、中国大陸は半端ない巨大市場ですから(人数的には日米欧を足しても届かない)、わがままを続けられると厄介な存在ではあります。

ある意味、一番波風が立たない平和な展開は、

・TD-SCDMAが面白いような大失敗でスタートする
・改良を試みるが泥沼化しているうちにLTEが世界を席巻
・さすがに観念する

おそらくながら、中国にもTD-SCDMAはスタートした途端に木っ端微塵になり、早々に消滅して欲しいと思っている人は結構居るんじゃないかなと思う次第です。TD-SCDMAの導入を嫌がっている勢力もあるようですから。電話会社も本音ではW-CDMA→LTEに乗っかりたいというのが本音に違いありません。

ただ、TD-SCDMAは良い感じで仕上がっていた場合にはそれなりに普及(中国大陸で)する事も考えられるというのが、なかなか難しいところです。

モバイルWiMAXについてインテルの政治力を背景として発達したバブルの側面があると評しましたが、TD-SCDMAは中国政府の力によって直接に担保されています。

技術的に話にならない場合にはどうにもなりませんが(木っ端微塵コース)、神輿にできる程度の技術的完成度があれば(これも怪しいと思うのですが)、あとは政治的な力が働いてある程度は普及することになるでしょう。

日本で導入しようと思うところがあるのならば、「TD-SCDMA神輿の日本支部」をやるということになるわけです。TD-SCDMAの完成度がとても高ければ無くはない話(まあその程度の可能性ですが)かもしれません。ただし、TD-SCDMAが木っ端微塵コースに入っている場合には日本支部も瞬殺ですけども。

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