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703 やっぱりLTE:北米の700Mhz帯の使い道が発表される

北米の700Mhz帯の割り当てについての記事です。

しばらく前に記事に書いた「北米の700Mhz帯割り当て」の落札者が、獲得した帯域を何に使うかということをとうとう語り始めました。


◆これまでは言ってはいけなかったらしい

これまでに記事で説明した通り、アメリカの周波数割り当ては入札で行われていて、そして入札は既に終わっていました。しかし、終わったのに詳細は解らないという変な状態が続いていました。落札者が落札した帯域についてマスコミにコメントをしてはいけない期間が設定されていたためです。

そして、ようやくその期間が経過しまして、落札組が「獲得した帯域を何に使うか」を語り始めました。これについての記事です。


◆ベライゾンは

Verizon、落札した700MHz帯のプラン発表
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/05/news011.html

注目のCブロックをはじめ、帯域を多量に獲得したベライゾンの使い道は次のとおりだそうです。

Verizonは2010年までに、新たに獲得した700MHz帯でLTE(Long Term Evolution、別名スーパー3G)を採用したネットワークを構築

LTEに使うそうです。

帯域は2009年2月から利用可能になるのですが(アメリカのアナログ地上波が停波する)、2010年「まで」には、LTE(ないしはSuper3G/3.9世代)を開始するそうです。

このブログをずっと読んで下っている方には、帯域をLTEに早期に全部使う方針はほとんど想定のとおりだったと思います。そしてこれもこれまで書いてきた通り、ベライゾンが全力LTEモードに入った、ということは「通信技術の勢力図が将来どうなるか」にとって決定的事件でもあります。

(ベライゾンについては以前からいろいろ書いているので、読んでいない方jは以前の記事を)

ベライゾンはCDMA2000陣営(クアルコム陣営)で世界最大の電話会社で、それが2007年終わりに「LTEを採用します」と宣言するという大事件がありました。もし仮にその時、ベライゾンが「UMBを採用する」と宣言していて、そして700Mhz帯を同じように獲得していたら、形勢は全く違ったものになっていたはずです。KDDIがUMBを採用する確率は確実に上がり、スプリントも結局UMBを採用する可能性もあったかもしれません。

しかし、CDMA陣営最大の電話会社はLTEに寝返ると宣言した上に、最後のモバイル用電波の一等地のオークションで帯域を大量獲得し、そして帯域を全て、しかも早期にLTEに投入するということになりました。

ベライゾンは「2010年までに」と言っています。ドコモは「2010年に」LTEを開始したいといっていましたから、それよりも早いことになります。もちろん、これは具体的な計画を考えていない発言であるだけの可能性もありますが、とりあえずはサービスイン開始になり次第、基地局を買ってきて整備を開始するつもりである、ということでの発言であることは間違いなさそうです。

もしかすると、世界初のLTEサービスインは、何とCDMA2000陣営の筆頭のベライゾンが勤めることになるかもしれません。

また、2.5Ghz帯を獲得して、しばらく前までモバイルWiMAX熱に浮かれていたスプリント(同じくCDMA2000陣営)とはとても対照的な状況になりました。

ただしベライゾンが困った事になる場合も無いわけではなく、初期のLTEが酷い出来で盛大にコケた場合や、ここからLTEの実用化が延々難儀するようなことになった場合には、ベライゾンも困った状況に追い込まれることもあるかもしれませんが。

◆AT&Tとクアルコム

AT&TとQUALCOMM、落札した700MHz周波数帯の利用計画を明らかに
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/05/news010.html

AT&Tも同じように獲得した帯域の利用方法を発表しています。

AT&Tは獲得した700MHz帯で、HSPA+(HSPA Evolution)およびLTE(Long Term Evolution、別名スーパー3G)によるネットワークを構築する計画という。

というわけで、AT&Tは「GSM/GPRS/EDGE, W-CDMA/HSPA/HSPA+, LTE」という、GSM/W-CDMA陣営の王道を進むようです。

また注意して欲しいのが、AT&Tは「HSPA+とLTE」に帯域を使うといっており、ベライゾンは「LTE」だけに使うと言っていることです。前回の記事に書いたとおり、ベライゾンは「CDMA2000/EV-DO+LTE」に移行するのであって、「W-CDMA/HSPA/LTE」に移行するわけではない、ということがこれでよく解ります。

KDDIがLTEに移行する場合にはベライゾンをそのまま真似するはずですから、KDDIがW-CDMAを採用するかもしれないという話はやっぱり勘違いのようですね。

そして帯域がペアになっていないEブロックなどを獲得したクアルコムは、帯域をMediaFLOに使うそうです。これによってクアルコムは自らモバイル向けのテレビ放送局を運営する事になります。クアルコムが「マスコミ」だなんて、なんかイメージと違う感じです。


◆HSPA+

まずAT&TのLTEへの移行ですが、AT&TはGSM/W-CDMA陣営ですから(日本ではGSMは採用されていませんけれども)、ドコモやソフトバンクやイーモバイルと似た状況ということになります。

AT&TはLTEだけに使うつもりではないようで(あるいはLTEの導入はしばらく待ってからにするのかもしれません)、現在の3.5世代(日本でHSDPAと呼ばれているもの)を高速化したHSPA+(HSPA Evolution)にも使うと言っています。

HSPA+はサービスインはまだこれからですから、これからHSPA+も「新たに」採用する、ということになります。つまり、LTEの前に一段階はさむということかもしれません。

LTEはW-CDMAとは全く違う技術なので導入には色々と苦労があるはずですが、HSPA+はW-CDMAやHSDPAの延長線上にあり、混ぜて運用するのにさほどの苦労はないはずです。少なくともLTEへの移行よりは簡単なはずです。

また、今は第三世代の基地局を普通に買ってくるとW-CDMA/HSDPAですが、これが今後は自然にW-CDMA/HSDPA/HSPA+になってゆくはずです。その基地局を今までどおりに設置し、今までどおりの帯域で従来の基地局と混ぜて利用しつつHSPA+への(段階的)移行ができるはずです。

しかもスペック上は結構な速度向上になります(実用上どうかはともかく)。

一方でLTEは完全に切り替え作業をする必要があります。

またLTEと違って現行技術ですから、導入したけどトラブルだらけというなリスクも低いはずです。LTEは大失敗するかもしれませんし、初期のLTEは手を出すべきものではないかもしれないからです。

#場合によってはHSPA+こそが当面の正解になる可能性もあります。

異次元の資金力と技術力のドコモ様はともかく、ソフトバンクやイーモバイルもLTEをしばらく様子見してHSPA+を採用することもありえる選択肢だと思えます。


(長くなったので続きは次の記事で)

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